特許第6821013号(P6821013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6821013交互配置された整流器を有する無線電力伝達システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6821013
(24)【登録日】2021年1月7日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】交互配置された整流器を有する無線電力伝達システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20210114BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   H02J50/12
   H02J7/00 301D
【請求項の数】21
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-510707(P2019-510707)
(86)(22)【出願日】2017年8月24日
(65)【公表番号】特表2019-530395(P2019-530395A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】US2017048481
(87)【国際公開番号】WO2018039486
(87)【国際公開日】20180301
【審査請求日】2020年8月21日
(31)【優先権主張番号】62/379,042
(32)【優先日】2016年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/412,595
(32)【優先日】2016年10月25日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513307922
【氏名又は名称】ワイトリシティ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】WITRICITY CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ダニロビッチ, ミリサフ
(72)【発明者】
【氏名】クルス, アンドレ ビー.
【審査官】 宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−131447(JP,A)
【文献】 特開2015−231306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K17/00−19/18
H02J7/00−7/12
H02J7/34−7/36
H02J50/00−50/90
H04B5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電力受信器であって、
インピーダンス整合ネットワークに結合される受信器共振器であって、前記インピーダンス整合ネットワークは、第1のノードと、第2のノードとを有する、受信器共振器と、
前記第1のノードに結合される、第1の正のリアクタンスを有する第1の分岐および第1の負のリアクタンスを有する第2の分岐であって、前記第1の正のリアクタンスの絶対値は、前記第1の負のリアクタンスの絶対値と異なる、第1の分岐および第2の分岐と、
前記第2のノードに結合される、第2の正のリアクタンスを伴う構成要素を有する第3の分岐および第2の負のリアクタンスを有する第4の分岐であって、前記第2の正のリアクタンスの絶対値は、前記第2の負のリアクタンスの絶対値と異なる、第3の分岐および第4の分岐と、
前記第1の分岐に結合される第1の整流器入力を有する第1の整流器と、
前記第2の分岐に結合される第2の整流器入力を有する第2の整流器と、
前記第3の分岐に結合される第3の整流器入力を有する第3の整流器と、
前記第4の分岐に結合される第4の整流器入力を有する第4の整流器と
を備える、無線電力受信器。
【請求項2】
第1の負のリアクタンスの絶対値は、前記第1の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも4%異なり、前記第2の負のリアクタンスの絶対値は、前記第2の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも4%異なる、請求項1に記載の無線電力受信器。
【請求項3】
前記第1の負のリアクタンスの絶対値は、前記第1の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも10%異なり、前記第2の負のリアクタンスの絶対値は、前記第2の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも10%異なる、請求項1に記載の無線電力受信器。
【請求項4】
前記無線電力受信器による電磁エネルギーの受信の間に、
第1の電流が、前記第1の分岐内に形成され、第2の電流が、前記第2の分岐内に形成され、前記第1の電流の大きさは、前記第2の電流の大きさの30%以内であり、
第3の電流が、前記第3の分岐内に形成され、第4の電流が、前記第4の分岐内に形成され、前記第3の電流の大きさは、前記第4の電流の大きさの30%以内であり、前記電流はそれぞれ、基本周波数fにおいておよび前記基本周波数fの少なくとも1つの高調波周波数fにおいて発振する、請求項1に記載の無線電力受信器。
【請求項5】
前記受信器は、Vlow〜Vhighの電圧範囲を伴う電力をバッテリに送達するように構成され、前記バッテリは、前記第1および第2の整流器の出力に結合され、
low〜0.5(Vlow+Vhigh)の電圧に関して、(i)前記第1の電流の大きさは、前記第2の電流の大きさの30%以内であり、(ii)前記第3の電流の大きさは、前記第4の電流の大きさの30%以内である、請求項に記載の無線電力受信器。
【請求項6】
電圧Vlowに関して、前記第1の電流の大きさは、前記第2の電流の大きさの10%以内であり、前記第3の電流の大きさは、前記第4の電流の大きさの10%以内である、請求項5に記載の無線電力受信器。
【請求項7】
各整流器は、正の出力と、負の出力とを有し、前記整流器の正の出力は、第1の出力ノードを形成するように継合され、前記整流器の負の出力は、第2の出力ノードを形成するように継合される、請求項1に記載の無線電力受信器。
【請求項8】
前記第1の出力ノードおよび第2の出力ノードは、単一の負荷に結合される、請求項7に記載の無線電力受信器。
【請求項9】
前記第1の出力ノードおよび前記第2の出力ノードは、平滑コンデンサに結合され、前記平滑コンデンサは、負荷と並列に結合されるように構成される、請求項7に記載の無線電力受信器。
【請求項10】
前記インピーダンス整合ネットワークは、前記無線電力受信器が本周波数fの範囲に適応することができるように、前記第1のノードに結合される第1の同調可能要素と、前記第2のノードに結合される第2の同調可能要素とを備える、請求項1に記載の無線電力受信器。
【請求項11】
前記第1の同調可能要素および第2の同調可能要素はそれぞれ、同調可能コンデンサを備える、請求項10に記載の無線電力受信器。
【請求項12】
前記第1、第2、第3、および第4の整流器はそれぞれ、ハーフブリッジ整流器である、請求項1に記載の無線電力受信器。
【請求項13】
前記第1の整流器および前記第3の整流器は、フルブリッジ整流器を形成するように結合され、前記第2および第4の整流器は、フルブリッジ整流器を形成するように結合される、請求項1に記載の無線電力受信器。
【請求項14】
前記第1、第2、第3、および第4の整流器は、ダイオード整流器またはスイッチング整流器のいずれか一方である、請求項1に記載の無線電力受信器。
【請求項15】
前記第1の分岐および前記第3の分岐はそれぞれ、第1のインダクタと、第1のコンデンサとを備え、前記第1のインダクタのリアクタンス値の絶対値は、前記第1のコンデンサのリアクタンス値の絶対値を上回る、請求項1に記載の無線電力受信器。
【請求項16】
前記第2の分岐および前記第4の分岐はそれぞれ、第2のインダクタと、第2のコンデンサとを備え、前記第2のインダクタのリアクタンス値の絶対値は、前記第2のコンデンサのリアクタンス値の絶対値を下回る、請求項15に記載の無線電力受信器。
【請求項17】
前記第1のインダクタのインダクタンス値は、前記第2のインダクタのインダクタンス値に略等しい、請求項16に記載の無線電力受信器。
【請求項18】
前記基本周波数fは、85kHzである、請求項に記載の無線電力受信器。
【請求項19】
前記基本周波数fは、6.78MHzである、請求項に記載の無線電力受信器。
【請求項20】
車両充電システムであって、
無線電力受信器であって、
インピーダンス整合ネットワークに結合される受信器共振器であって、前記インピーダンス整合ネットワークは、第1のノードと、第2のノードとを有する、受信器共振器と、
前記第1のノードに結合される、第1の正のリアクタンスを伴う構成要素を有する第1の分岐および第1の負のリアクタンスを備える第2の分岐であって、前記第1の正のリアクタンスの絶対値は、前記第1の負のリアクタンスの絶対値と異なる、第1の分岐および第2の分岐と、
前記第2のノードに結合される、第2の正のリアクタンスを伴う構成要素を有する第3の分岐および第2の負のリアクタンスを有する第4の分岐であって、前記第2の正のリアクタンスの絶対値は、前記第2の負のリアクタンスの絶対値と異なる、第3の分岐および第4の分岐と、
前記第1の分岐に結合される第1の整流器入力を有する第1の整流器と、
前記第2の分岐に結合される第2の整流器入力を有する第2の整流器と
前記第3の分岐に結合される第3の整流器入力を有する第3の整流器と、
前記第4の分岐に結合される第4の整流器入力を有する第4の整流器と
を備える、無線電力受信器と、
第1の出力ノードおよび第2の出力ノードに結合される車両バッテリであって、前記第1の出力ノードは、前記第1の整流器の出力および前記第3の整流器の出力から形成され、前記第2の出力ノードは、前記第2の整流器の出力および前記第4の整流器の出力から形成される、車両バッテリと
を備える、車両充電システム。
【請求項21】
前記第1の負のリアクタンスの絶対値は、前記第1の正のリアクタンスの絶対値の少なくとも4%であり、前記第2の負のリアクタンスの絶対値は、前記第2の正のリアクタンスの絶対値の少なくとも4%である、請求項20に記載の車両充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2016年8月24日に出願され“Wireless power receivers having interleaved rectifiers”と題された米国仮特許出願第62/379,042号、および2016年10月25日に出願され“Wireless power receivers having interleaved rectifiers”と題された米国仮特許出願第62/412,595号に対する優先権を主張するものであり、これらの開示の全体は、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
本開示は、概して、無線電力システムに関し、より具体的には、本開示は、無線電力システム内の無線電力受信器のための整流器に関する。
【背景技術】
【0003】
無線電力システムは、大きい電圧範囲を有するバッテリを充電するために使用されることができる。無線電力送信器から受信器への効率的な電力送信における主な難題は、大きい電圧範囲に応答するように整合される必要のあるインピーダンスの範囲である。さらに、実践的な無線電力システムには、無線電力システムの受信器内の振動エネルギーの基本周波数に関連する、著しい量の高調波成分が、存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの実施形態によると、無線電力受信器は、インピーダンス整合ネットワークに結合される受信器共振器であって、インピーダンス整合ネットワークは、第1のノードと、第2のノードとを有する、受信器共振器を含む。第1の正のリアクタンスを有する第1の分岐および第1の負のリアクタンスを有する第2の分岐が、第1のノードに結合され、第1の正のリアクタンスの絶対値は、第1の負のリアクタンスの絶対値と異なり、第2の正のリアクタンスを有する第3の分岐および第2の負のリアクタンスを有する第4の分岐が、第2のノードに結合され、第2の正のリアクタンスの絶対値は、第2の負のリアクタンスの絶対値と異なる。受信器は、第1の分岐に結合される第1の整流器入力を有する、第1の整流器と、第2の分岐に結合される第2の整流器入力を有する、第2の整流器と、第3の分岐に結合される第3の整流器入力を有する、第3の整流器と、第4の分岐に結合される第4の整流器入力を有する、第4の整流器とをさらに含む。
【0005】
関連実施形態では、第1の負のリアクタンスの絶対値は、第1の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも4%異なり、第2の負のリアクタンスの絶対値は、第2の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも4%異なる。随意に、第1の負のリアクタンスの絶対値は、第1の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも10%異なり、第2の負のリアクタンスの絶対値は、第2の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも10%異なる。随意に、第1の負のリアクタンスの絶対値は、第1の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも20%異なり、第2の負のリアクタンスの絶対値は、第2の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも20%異なる。
【0006】
別の関連実施形態では、無線電力受信器による電磁エネルギーの受信の間に、第1の電流が、第1の分岐内に形成され、第2の電流が、第2の分岐内に形成され、第1の電流の大きさは、第2の電流の大きさの30%以内であり、第3の電流が、第3の分岐内に形成され、第4の電流が、第4の分岐内に形成され、第3の電流の大きさは、第4の電流の大きさの30%以内であり、電流はそれぞれ、基本周波数fおよび基本周波数の少なくとも1つの高調波周波数fで発振する。
【0007】
さらに別の関連実施形態では、受信器は、Vlow〜Vhighの電圧範囲を伴う電力をバッテリに送達するように構成され、バッテリは、第1および第2の整流器の出力に結合され、Vlow〜0.5(Vlow+Vhigh)の電圧に関して、(i)第1の電流の大きさは、第2の電流の大きさの30%以内であり、(ii)第3の電流の大きさは、第4の電流の大きさの30%以内である。随意に、電圧Vlowに関して、第1の電流の大きさは、第2の電流の大きさの10%以内であり、第3の電流の大きさは、第4の電流の大きさの10%以内である、請求項4に記載の無線電力受信器。
【0008】
関連実施形態では、各整流器は、正の出力と、負の出力とを有し、整流器の正の出力は、第1の出力ノードを形成するように継合され、整流器の負の出力は、第2の出力ノードを形成するように継合される。随意に、第1の出力ノードおよび第2の出力ノードは、単一の負荷に結合される。別の関連実施形態では、第1の出力ノードおよび第2の出力ノードは、平滑コンデンサに結合され、平滑コンデンサは、負荷と並列に結合されるように構成される。
【0009】
別の関連実施形態では、インピーダンス整合ネットワークは、無線電力受信器が基本周波数fの範囲に適応することができるように、第1のノードに結合される第1の同調可能要素と、第2のノードに結合される第2の同調可能要素とを含む。随意に、第1の同調可能要素および第2の同調可能要素はそれぞれ、同調可能コンデンサを備える。
【0010】
関連実施形態では、第1、第2、第3、および第4の整流器はそれぞれ、ハーフブリッジ整流器である。随意に、第1の整流器および第3の整流器は、フルブリッジ整流器を形成するように結合され、第2および第4の整流器は、フルブリッジ整流器を形成するように結合される。随意に、第1、第2、第3、および第4の整流器は、ダイオード整流器またはスイッチング整流器のいずれか一方である。
【0011】
別の関連実施形態では、第1の分岐および第3の分岐はそれぞれ、第1のインダクタと、第1のコンデンサとを備え、第1のインダクタのリアクタンス値の絶対値は、第1のコンデンサのリアクタンス値の絶対値を上回る。随意に、第2の分岐および第4の分岐はそれぞれ、第2のインダクタと、第2のコンデンサとを備え、第2のインダクタのリアクタンス値の絶対値は、第2のコンデンサのリアクタンス値の絶対値を下回る。
【0012】
さらに別の関連実施形態では、第1のインダクタのインダクタンス値は、第2のインダクタのインダクタンス値に略等しい。随意に、基本周波数fは、85kHzである。随意に、または代替として、基本周波数fは、6.78MHzである。
【0013】
別の実施形態によると、車両充電システムは、インピーダンス整合ネットワークに結合される受信器共振器であって、インピーダンス整合ネットワークは、第1のノードと、第2のノードとを有する、受信器共振器を有する、無線電力受信器を含む。第1の正のリアクタンスを有する第1の分岐および第1の負のリアクタンスを備える第2の分岐が、第1のノードに結合され、第1の正のリアクタンスの絶対値は、第1の負のリアクタンスの絶対値と異なり、第2の正のリアクタンスを有する第3の分岐および第2の負のリアクタンスを有する第4の分岐が、第2のノードに結合され、第2の正のリアクタンスの絶対値は、第2の負のリアクタンスの絶対値と異なる。受信器は、第1の分岐に結合される第1の整流器入力を有する、第1の整流器と、第2の分岐に結合される第2の整流器入力を有する、第2の整流器と、第3の分岐に結合される第3の整流器入力を有する、第3の整流器と、第4の分岐に結合される第4の整流器入力を有する、第4の整流器とをさらに含む。車両充電システムは、第1の出力ノードおよび第2の出力ノードに結合される車両バッテリであって、第1の出力ノードは、第1の整流器の出力および第3の整流器の出力から形成され、第2の出力ノードは、第2の整流器の出力および第4の整流器の出力から形成される、車両バッテリをさらに含む。
【0014】
関連実施形態では、第1の負のリアクタンスの絶対値は、第1の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも4%異なり、第2の負のリアクタンスの絶対値は、第2の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも4%異なる。随意に、第1の負のリアクタンスの絶対値は、第1の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも10%異なり、第2の負のリアクタンスの絶対値は、第2の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも10%異なる。随意に、第1の負のリアクタンスの絶対値は、第1の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも20%異なり、第2の負のリアクタンスの絶対値は、第2の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも20%異なる。
【0015】
別の関連実施形態では、無線電力受信器による電磁エネルギーの受信の間に、第1の電流が、第1の分岐内に形成され、第2の電流が、第2の分岐内に形成され、第1の電流の大きさは、第2の電流の大きさの30%以内であり、第3の電流が、第3の分岐内に形成され、第4の電流が、第4の分岐内に形成され、第3の電流の大きさは、第4の電流の大きさの30%以内であり、電流はそれぞれ、基本周波数fおよび基本周波数の少なくとも1つの高調波周波数fで発振する。
【0016】
さらに別の関連実施形態では、受信器は、Vlow〜Vhighの電圧範囲を伴う電力をバッテリに送達するように構成され、バッテリは、第1および第2の整流器の出力に結合され、Vlow〜0.5(Vlow+Vhigh)の電圧に関して、(i)第1の電流の大きさは、第2の電流の大きさの30%以内であり、(ii)第3の電流の大きさは、第4の電流の大きさの30%以内である。随意に、電圧Vlowに関して、第1の電流の大きさは、第2の電流の大きさの10%以内であり、第3の電流の大きさは、第4の電流の大きさの10%以内である、請求項4に記載の無線電力受信器。
【0017】
関連実施形態では、各整流器は、正の出力と、負の出力とを有し、整流器の正の出力は、第1の出力ノードを形成するように継合され、整流器の負の出力は、第2の出力ノードを形成するように継合される。随意に、第1の出力ノードおよび第2の出力ノードは、単一の負荷に結合される。別の関連実施形態では、第1の出力ノードおよび第2の出力ノードは、平滑コンデンサに結合され、平滑コンデンサは、負荷と並列に結合されるように構成される。
【0018】
別の関連実施形態では、インピーダンス整合ネットワークは、無線電力受信器が基本周波数fの範囲に適応することができるように、第1のノードに結合される第1の同調可能要素と、第2のノードに結合される第2の同調可能要素とを含む。随意に、第1の同調可能要素および第2の同調可能要素はそれぞれ、同調可能コンデンサを備える。
【0019】
関連実施形態では、第1、第2、第3、および第4の整流器はそれぞれ、ハーフブリッジ整流器である。随意に、第1の整流器および第3の整流器は、フルブリッジ整流器を形成するように結合され、第2および第4の整流器は、フルブリッジ整流器を形成するように結合される。随意に、第1、第2、第3、および第4の整流器は、ダイオード整流器またはスイッチング整流器のいずれか一方である。
【0020】
別の関連実施形態では、第1の分岐および第3の分岐はそれぞれ、第1のインダクタと、第1のコンデンサとを備え、第1のインダクタのリアクタンス値の絶対値は、第1のコンデンサのリアクタンス値の絶対値を上回る。随意に、第2の分岐および第4の分岐はそれぞれ、第2のインダクタと、第2のコンデンサとを備え、第2のインダクタのリアクタンス値の絶対値は、第2のコンデンサのリアクタンス値の絶対値を下回る。
【0021】
さらに別の関連実施形態では、第1のインダクタのインダクタンス値は、第2のインダクタのインダクタンス値に略等しい。随意に、基本周波数fは、85kHzである。随意に、または代替として、基本周波数fは、6.78MHzである。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
無線電力受信器であって、
インピーダンス整合ネットワークに結合される受信器共振器であって、前記インピーダンス整合ネットワークは、第1のノードと、第2のノードとを有する、受信器共振器と、
前記第1のノードに結合される、第1の正のリアクタンスを有する第1の分岐および第1の負のリアクタンスを有する第2の分岐であって、前記第1の正のリアクタンスの絶対値は、前記第1の負のリアクタンスの絶対値と異なる、第1の分岐および第2の分岐と、
前記第2のノードに結合される、第2の正のリアクタンスを伴う構成要素を有する第3の分岐および第2の負のリアクタンスを有する第4の分岐であって、前記第2の正のリアクタンスの絶対値は、前記第2の負のリアクタンスの絶対値と異なる、第3の分岐および第4の分岐と、
前記第1の分岐に結合される第1の整流器入力を有する第1の整流器と、
前記第2の分岐に結合される第2の整流器入力を有する第2の整流器と、
前記第3の分岐に結合される第3の整流器入力を有する第3の整流器と、
前記第4の分岐に結合される第4の整流器入力を有する第4の整流器と
を備える、無線電力受信器。
(項目2)
第1の負のリアクタンスの絶対値は、前記第1の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも4%異なり、前記第2の負のリアクタンスの絶対値は、前記第2の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも4%異なる、項目1に記載の無線電力受信器。
(項目3)
前記第1の負のリアクタンスの絶対値は、前記第1の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも10%異なり、前記第2の負のリアクタンスの絶対値は、前記第2の正のリアクタンスの絶対値と少なくとも10%異なる、項目1に記載の無線電力受信器。
(項目4)
前記無線電力受信器による電磁エネルギーの受信の間に、
第1の電流が、前記第1の分岐内に形成され、第2の電流が、前記第2の分岐内に形成され、前記第1の電流の大きさは、前記第2の電流の大きさの30%以内であり、
第3の電流が、前記第3の分岐内に形成され、第4の電流が、前記第4の分岐内に形成され、前記第3の電流の大きさは、前記第4の電流の大きさの30%以内であり、前記電流はそれぞれ、基本周波数fにおいておよび前記基本周波数fの少なくとも1つの高調波周波数fにおいて発振する、項目1に記載の無線電力受信器。
(項目5)
前記受信器は、Vlow〜Vhighの電圧範囲を伴う電力をバッテリに送達するように構成され、前記バッテリは、前記第1および第2の整流器の出力に結合され、
low〜0.5(Vlow+Vhigh)の電圧に関して、(i)前記第1の電流の大きさは、前記第2の電流の大きさの30%以内であり、(ii)前記第3の電流の大きさは、前記第4の電流の大きさの30%以内である、項目1に記載の無線電力受信器。
(項目6)
電圧Vlowに関して、前記第1の電流の大きさは、前記第2の電流の大きさの10%以内であり、前記第3の電流の大きさは、前記第4の電流の大きさの10%以内である、項目5に記載の無線電力受信器。
(項目7)
各整流器は、正の出力と、負の出力とを有し、前記整流器の正の出力は、第1の出力ノードを形成するように継合され、前記整流器の負の出力は、第2の出力ノードを形成するように継合される、項目1に記載の無線電力受信器。
(項目8)
前記第1の出力ノードおよび第2の出力ノードは、単一の負荷に結合される、項目7に記載の無線電力受信器。
(項目9)
前記第1の出力ノードおよび前記第2の出力ノードは、平滑コンデンサに結合され、前記平滑コンデンサは、負荷と並列に結合されるように構成される、項目7に記載の無線電力受信器。
(項目10)
前記インピーダンス整合ネットワークは、前記無線電力受信器が前記基本周波数fの範囲に適応することができるように、前記第1のノードに結合される第1の同調可能要素と、前記第2のノードに結合される第2の同調可能要素とを備える、項目1に記載の無線電力受信器。
(項目11)
前記第1の同調可能要素および第2の同調可能要素はそれぞれ、同調可能コンデンサを備える、項目9に記載の無線電力受信器。
(項目12)
前記第1、第2、第3、および第4の整流器はそれぞれ、ハーフブリッジ整流器である、項目1に記載の無線電力受信器。
(項目13)
前記第1の整流器および前記第3の整流器は、フルブリッジ整流器を形成するように結合され、前記第2および第4の整流器は、フルブリッジ整流器を形成するように結合される、項目1に記載の無線電力受信器。
(項目14)
前記第1、第2、第3、および第4の整流器は、ダイオード整流器またはスイッチング整流器のいずれか一方である、項目1に記載の無線電力受信器。
(項目15)
前記第1の分岐および前記第3の分岐はそれぞれ、第1のインダクタと、第1のコンデンサとを備え、前記第1のインダクタのリアクタンス値の絶対値は、前記第1のコンデンサのリアクタンス値の絶対値を上回る、項目1に記載の無線電力受信器。
(項目16)
前記第2の分岐および前記第4の分岐はそれぞれ、第2のインダクタと、第2のコンデンサとを備え、前記第2のインダクタのリアクタンス値の絶対値は、前記第2のコンデンサのリアクタンス値の絶対値を下回る、項目15に記載の無線電力受信器。
(項目17)
前記第1のインダクタのインダクタンス値は、前記第2のインダクタのインダクタンス値に略等しい、項目16に記載の無線電力受信器。
(項目18)
前記基本周波数fは、85kHzである、項目1に記載の無線電力受信器。
(項目19)
前記基本周波数fは、6.78MHzである、項目1に記載の無線電力受信器。
(項目20)
車両充電システムであって、
無線電力受信器であって、
インピーダンス整合ネットワークに結合される受信器共振器であって、前記インピーダンス整合ネットワークは、第1のノードと、第2のノードとを有する、受信器共振器と、
前記第1のノードに結合される、第1の正のリアクタンスを伴う構成要素を有する第1の分岐および第1の負のリアクタンスを備える第2の分岐であって、前記第1の正のリアクタンスの絶対値は、前記第1の負のリアクタンスの絶対値と異なる、第1の分岐および第2の分岐と、
前記第2のノードに結合される、第2の正のリアクタンスを伴う構成要素を有する第3の分岐および第2の負のリアクタンスを有する第4の分岐であって、前記第2の正のリアクタンスの絶対値は、前記第2の負のリアクタンスの絶対値と異なる、第3の分岐および第4の分岐と、
前記第1の分岐に結合される第1の整流器入力を有する第1の整流器と、
前記第2の分岐に結合される第2の整流器入力を有する第2の整流器と
を備える、無線電力受信器と、
第1の出力ノードおよび第2の出力ノードに結合される車両バッテリであって、前記第1の出力ノードは、前記第1の整流器の出力および前記第3の整流器の出力から形成され、前記第2の出力ノードは、前記第2の整流器の出力および前記第4の整流器の出力から形成される、車両バッテリと
を備える、車両充電システム。
(項目21)
前記第1の負のリアクタンスの絶対値は、前記第1の正のリアクタンスの絶対値の少なくとも4%であり、前記第2の負のリアクタンスの絶対値は、前記第2の正のリアクタンスの絶対値の少なくとも4%である、項目1に記載の車両充電システム。
【図面の簡単な説明】
【0022】
当業者は、すぐ下に要約される図面を参照して議論される、以下の「発明を実施するための形態」から、種々の実施形態の利点をより完全に理解されるはずである。
【0023】
図1図1は、交互配置された整流器を有する無線電力受信器を含む、例示的無線電力システムの図である。
図2図2は、交互配置された整流器を有する無線電力受信器の、例示的回路実装の図である。
図3図3は、交互配置された整流器を有する無線電力受信器の、例示的回路実装の概略図である。
図4図4は、交互配置された整流器を有する、無線電力受信器の一部の例示的実施形態の概略図である。
図5A図5Aは、無線電力受信器の整合ネットワーク内のインダクタL4A、L4B、L4C、およびL4Dのうちの2つ以上のものに対して使用されることができる、統合インダクタの例示的実施形態の図である。図5Bは、無線電力受信器の整合ネットワーク内の4つのインダクタL4A、L4C、L4B、およびL4Dに対して使用されることができる、統合インダクタの例示的実施形態の図である。
図5B図5Aは、無線電力受信器の整合ネットワーク内のインダクタL4A、L4B、L4C、およびL4Dのうちの2つ以上のものに対して使用されることができる、統合インダクタの例示的実施形態の図である。図5Bは、無線電力受信器の整合ネットワーク内の4つのインダクタL4A、L4C、L4B、およびL4Dに対して使用されることができる、統合インダクタの例示的実施形態の図である。
図6A図6Aは、例示的無線電力受信器内に非補償リアクタンスを有するインピーダンス整合ネットワーク内の、電流レベルのプロット図である。図6Bは、例示的無線電力受信器内に補償リアクタンスを有するインピーダンス整合ネットワーク内の、電流レベルのプロット図である。
図6B図6Aは、例示的無線電力受信器内に非補償リアクタンスを有するインピーダンス整合ネットワーク内の、電流レベルのプロット図である。図6Bは、例示的無線電力受信器内に補償リアクタンスを有するインピーダンス整合ネットワーク内の、電流レベルのプロット図である。
図7A図7Aは、種々の構成の非補償リアクタンスおよび補償リアクタンスを有する受信器に対するバッテリ電圧Vbattの関数としての、入力抵抗Rinのプロット図である。図7Bは、バッテリ電圧Vbattの関数としての入力リアクタンスXinのプロット図である。図7Cは、種々の構成の非補償リアクタンスおよび補償リアクタンスを有する受信器に対するバッテリ電圧Vbattの関数としての、入力抵抗Rinのプロット図である。図7Dは、バッテリ電圧Vbattの関数としての入力リアクタンスXinのプロット図である。
図7B図7Aは、種々の構成の非補償リアクタンスおよび補償リアクタンスを有する受信器に対するバッテリ電圧Vbattの関数としての、入力抵抗Rinのプロット図である。図7Bは、バッテリ電圧Vbattの関数としての入力リアクタンスXinのプロット図である。図7Cは、種々の構成の非補償リアクタンスおよび補償リアクタンスを有する受信器に対するバッテリ電圧Vbattの関数としての、入力抵抗Rinのプロット図である。図7Dは、バッテリ電圧Vbattの関数としての入力リアクタンスXinのプロット図である。
図7C図7Aは、種々の構成の非補償リアクタンスおよび補償リアクタンスを有する受信器に対するバッテリ電圧Vbattの関数としての、入力抵抗Rinのプロット図である。図7Bは、バッテリ電圧Vbattの関数としての入力リアクタンスXinのプロット図である。図7Cは、種々の構成の非補償リアクタンスおよび補償リアクタンスを有する受信器に対するバッテリ電圧Vbattの関数としての、入力抵抗Rinのプロット図である。図7Dは、バッテリ電圧Vbattの関数としての入力リアクタンスXinのプロット図である。
図7D図7Aは、種々の構成の非補償リアクタンスおよび補償リアクタンスを有する受信器に対するバッテリ電圧Vbattの関数としての、入力抵抗Rinのプロット図である。図7Bは、バッテリ電圧Vbattの関数としての入力リアクタンスXinのプロット図である。図7Cは、種々の構成の非補償リアクタンスおよび補償リアクタンスを有する受信器に対するバッテリ電圧Vbattの関数としての、入力抵抗Rinのプロット図である。図7Dは、バッテリ電圧Vbattの関数としての入力リアクタンスXinのプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
例証的実施形態では、無線電力システムは、交互配置された整流器を有する受信器を含む。さらに、これらの無線電力受信器は、受信要素からのエネルギーを負荷に効率的に結合させる構成要素を含む。整流器は、典型的には、直流電流または定電圧を要求する負荷のために要求される。交互配置された整流器は、下記に詳述されるように、無線電力システム内に複数の利点を有し得る。これらの利点のいくつかは、(i)無線電力システムが被る負荷インピーダンスの範囲の低減、(ii)無線電力送信器によって送信される完全および低減電力レベルにおける効率に対する改良、(iii)送信器が離調されるときの容易なシステム制御、(iv) それらがない構成要素と比較した無線電力システム内の構成要素の保守またはそれらの占有面積の低減、(v)広範囲のバッテリ電圧にわたる効率に対する改良、および/または(vi)整流器構成要素上の応力の低減を含む。例示的実施形態の詳細は、以下に議論される。
【0025】
図1は、下記により完全に説明されるような、交互配置された整流器を有する無線電力受信器を含む、無線電力システム100の例示的実施形態の高レベル機能ブロック図である。例えば、AC/DCコンバータブロック102内でDCに変換される、システムへの入力電力は、壁面コンセント(AC電源)によって提供されることができる。代替として、DC電圧が、バッテリまたは他のDC供給源から直接的に提供されることができる。いくつかの実施形態では、AC/DCコンバータブロック102は、力率補正(PFC)段であってもよい。PFCは、(例えば、50または60Hzの)AC入力のDCへの変換に加え、電流が電圧に実質的に同調するように電流を調整することができる。高効率スイッチングインバータまたは増幅器104は、DC電圧を、送信共振器106を駆動するために使用されるAC電圧波形に変換する。いくつかの実施形態では、AC電圧波形の周波数は、80〜90kHzの範囲内であってもよい。いくつかの実施形態では、AC電圧波形の周波数は、10kHz〜15MHzの範囲内であってもよい。1つの特定の実施形態では、AC電圧波形の周波数は、FCCおよびCISPR規制に起因する15kHz帯域内で変動し得る、約6.78MHzである。これらの例示的周波数は、無線電力システムの「動作周波数」と称されてもよい。
【0026】
例示的システム100では、送信器インピーダンス整合ネットワーク(Tx IMN)108が、インバータ104出力を送信共振器106に効率的に結合させ、効率的なスイッチング増幅器動作を可能にすることができる。クラスDまたはEのスイッチング増幅器は、多くの用途において好適であり、かつ最大効率の誘導負荷インピーダンスを要求し得る。Tx IMN108は、送信共振器インピーダンスをインバータ104に対するそのようなインピーダンスに変換する。送信共振器インピーダンスは、例えば、受信器共振器110および/または出力負荷に結合することによって負荷されることができる。送信共振器106によって生成される磁場は、受信器共振器110に結合し、それによって、受信器共振器110内に電圧を誘発する。このエネルギーは、受信器共振器110から外に結合され、例えば、直接的に負荷に電力供給する、またはバッテリを充電することができる。受信器インピーダンス整合ネットワーク(IMN)112は、受信器共振器110からのエネルギーを負荷114に効率的に結合させ、かつ送信共振器106と受信器共振器110との間の電力伝達を最適化するために使用されることができる。それは、実際の負荷インピーダンスを、最適な効率で負荷をより緊密に整合させる受信器共振器110によって把握される実効負荷インピーダンスに変換し得る。直流電流または(また、DC電圧としても公知である)定電圧を要求する負荷に対して、整流器116は、受信されたAC電力をDCに変換する。実施形態では、送信器118および受信器120はそれぞれ、フィルタ、センサ、および他の構成要素をさらに含む。
【0027】
インピーダンス整合ネットワーク(IMN)108、112は、所望される周波数(例えば、80〜90kHz、100〜200kHz、6.78MHz)で負荷114に送達される電力を最大にする、または電力伝達効率を最大にするために設計されることができる。IMN108、112内のインピーダンス整合構成要素は、共振器106、110の高いQ値(Q)を維持するように選定かつ接続されることができる。
【0028】
IMN(108、112)の構成要素は、例えば、コンデンサまたはコンデンサのネットワーク、インダクタまたはインダクタのネットワーク、または種々の組み合わせのコンデンサ、インダクタ、ダイオード、スイッチ、およびレジスタを含むことができる。IMNの構成要素は、調節可能かつ/または可変型であり得、システムの効率および動作点に影響を及ぼすように制御されることができる。インピーダンス整合は、静電容量を変動させる、インダクタンスを変動させる、共振器の接続点を制御する、磁性材料の透磁率を調整する、バイアス場を制御する、励起周波数を調整する、および同等事項を行うことによって修正されることができる。固定周波数、固定入力電圧等を伴う(例えば、固定インダクタンス、固定静電容量等の)固定整合を伴うシステムは、いくつかの動作条件においてインピーダンス整合を達成することができることを理解されたい。周波数、入力電圧、または構成要素の有効値を変動させることは、整合および/または出力を変更し得る。インピーダンス整合は、任意の数または組み合わせのバラクタ、バラクタアレイ、スイッチ要素、コンデンサバンク、スイッチおよび同調可能要素、逆バイアスダイオード、エアギャップコンデンサ、圧縮コンデンサ、ジルコニウム酸チタン酸バリウム(BZT)電気的同調コンデンサ、微小電気機械システム(MEMS)同調可能コンデンサ、電圧可変誘電体、変圧器結合同調回路、および同等物を使用するまたは含むことができる。可変型の構成要素は、機械的に同調、熱的に同調、電気的に同調、圧電的に同調、かつ同等状態に同調されることができる。インピーダンス整合の要素は、シリコンデバイス、窒化ガリウムデバイス、炭化硅素デバイス、および同等物であり得る。要素は、高電流、高電圧、高電力、または電流、電圧、および電力の任意の組み合わせに耐えるように選定される。要素は、高Q値の要素であるように選定される。
【0029】
送信器および/または受信器インピーダンス整合ネットワーク(IMN)は、インピーダンスを有する種々の構成要素を伴う幅広い回路実装を有し、特定用途の必要性を満足することができることを理解されたい。Kesler et al.の米国特許第8,461,719号(参照することによって本明細書に組み込まれる)は、例えば、図28a−37b等の種々の同調可能インピーダンスネットワークを開示する。任意の実践的な数のスイッチコンデンサが、源および/またはデバイス側面上で使用され、所望される動作特性を提供し得ることをさらに理解されたい。
【0030】
図2は、交互配置された整流器を有する無線電力受信器の、例示的実装のブロック図を示す。受信器は、平衡電子構成要素202A、202Bを有するインピーダンス整合ネットワーク(IMN)に結合される、共振器110を含む。いくつかの実施形態では、これらの電子構成要素202A、202Bは、同調可能コンデンサおよび/またはインダクタを含み得る。これらの構成要素は、平衡電子構成要素を有する交互配置された整流器の第1の段204に接続される。
【0031】
平衡構成要素は、例えば、駆動回路の摂動に起因して存在し得る、任意のコモンコード信号を拒否するために重要であり得る。上部分岐(204Aおよび204C)がそれぞれ、正のリアクタンス+jXおよび+jXを有し、底部分岐(204Bおよび204D)がそれぞれ、負のリアクタンス−jXおよびjXを有することに留意されたい。第1の段204の正のリアクタンス+jX(−jX1、+jX)分岐204A、204Cが、交互配置された整流器の第2の段206の第1の整流器206Aに接続される。第2の段204の負のリアクタンス−jX(−jX、−jX)分岐204B、204Dが、交互配置された整流器の第2の段206の第2の整流器206Bに接続される。いくつかの実施形態では、正および負のリアクタンス値の絶対値が、相互に等しくてもよいことに留意されたい。他の実施形態では、正のリアクタンスの絶対値は、負のリアクタンスの絶対値を上回るまたは下回ってもよい。下記により完全に説明されるように、これらの整流器206A、206Bの出力が、ともに追加され、バッテリまたはバッテリ管理装置等の負荷114に接続する。「交互配置された整流」の結果が、可能性として相互に位相を異にし得る整流信号の再合成に有利であることに留意されたい。これは、合成信号に対して平滑作用をもたらし得る。
【0032】
いくつかの例示的無線電力システムでは、スイッチングインバータ104は、基本周波数f自体に加え、基本周波数fの1つ以上の高調波周波数fにおいて交流電流または振動電圧を生成することができる。基本周波数fに加え、1つ以上の高調波周波数fにおけるエネルギーが、送信器から受信器に伝搬する。例えば、85 kHzの周波数に関して、送信器によって受信器内に誘発された電流が、周波数f=85kHzおよび高調波周波数fh1=170kHz、fh2=255kHz、fh3=340kHz等で発振する。いくつかの例示的システムでは、受信器内の構成要素は、高調波周波数fで発振するエネルギーを受信器内で伝搬させることができる。いくつかの実施形態では、(基本周波数fに加えて)これらの高調波周波数fにおけるエネルギーの伝搬は、基本周波数fのみでの動作と比較して、受信器の構成要素を予想外に挙動させ得る。例えば、受信器内のインダクタおよびコンデンサ等の構成要素は、基本周波数f=85kHzでの動作の間にあるインピーダンスを有するように選択され得るが、回路が、基本周波数f=85kHzに加えてfh1=170kHz(および/または他の高調波)の電流を搬送するとき、著しく異なるインピーダンスを呈し得る。したがって、それは、受信器の構成要素が、受信器回路内のインピーダンスが適切に整合され、かつ送信器が予期される反射インピーダンスをもたらされるように同調されるために有利である。
【0033】
例示的実施形態では、上記の難題に対処するために、リアクティブ成分は、非平衡にされ、高調波成分に起因するインピーダンス誤整合を軽減させることができる。言い換えると、正のリアクタンス分岐+jXのリアクタンスXは、負のリアクタンス分岐−jX内のリアクタンスXと異なるように構成されることができる。故に、図2に示される例示的構成では、リアクタンスは、以下のように構成されるであろう。
【化1】
【0034】
いくつかの実施形態では、XとXとの間の差は、XおよびXのより高い方の少なくとも4%であり得る。他の実施形態では、XとXとの間の差は、XおよびXのより高い方の少なくとも1%であり得る。さらに他の実施形態では、XとXとの間の差は、XおよびXのより高い方の少なくとも5%であり得る。これらの範囲が、XとXとの間の差にも適用され得ることに留意されたい。いくつかの実施形態では、XとXとの間の差d(X,X)は、XとXとの間の差d(X,X)と略同一である。
【0035】
【化2】
【0036】
不平衡リアクタンスは、無線電力システムの動作の間に受信器の分岐を通してより良好な平衡電流をもたらす。上記に説明された構成への別の重要な利点は、受信器内のインダクタ、すなわち、交互配置された整流器内のインダクタ内のピーク電流の低減である。ピーク電流の低減はまた、受信器のインダクタおよび/または他の構成要素内の大きい電流から生じ得る、任意の熱的課題を軽減させる。
【0037】
図3は、交互配置された整流器を有する無線電力受信器の、例示的実装の概略図である。受信器は、コンデンサC1AおよびコンデンサC1Bに直列に接続され、かつコンデンサC2に並列に接続される、インダクタL1を含む。同調可能コンデンサC3A’’に直列に接続される固定コンデンサC3A’およびコンデンサC3B’’に直列に接続される固定コンデンサC3B’が、ノードN1およびN2のそれぞれに接続される(同調可能コンデンサに関しては上記の実施例参照)。上部分岐上の1つ以上の構成要素が、底部分岐上の同一または同様の値の1つ以上の構成要素と平衡状態にあることに留意されたい。例えば、コンデンサC1Aは、コンデンサC1Bと平衡状態である。第1の分岐と、第2の分岐とを含む上部304が、ノードN3に接続される。第1の分岐が、コンデンサC4Aに接続されるインダクタL4Aを含み、第2の分岐が、コンデンサC4Bに接続されるインダクタL4Bを含む。インダクタおよびコンデンサが、相互に直列または並列に接続され得ることに留意されたい。第1の分岐では、正のリアクタンスを達成するために、動作周波数におけるインダクタL4Aのリアクタンスは、コンデンサC4Aのリアクタンスを上回ってもよい。第2の分岐では、負のリアクタンスを達成するために、動作周波数におけるインダクタL4Bのリアクタンスは、コンデンサC4Bのリアクタンスを下回ってもよい。
【0038】
第3の分岐と、第4の分岐とを含む、底部306が、ノードN4に接続される。第3の分岐が、コンデンサC4Cに接続されるインダクタL4Cを含み、第4の分岐が、コンデンサC4Dに接続されるインダクタL4Dを含む。インダクタおよびコンデンサが、相互に直列または並列に接続され得ることに留意されたい。例えば、コンデンサC4に直列に接続されるインダクタL4は、フィルタを作成し、所望される周波数を伴う電流を整流器の入力まで通過させる。第3の分岐では、正のリアクタンスを達成するために、動作周波数におけるインダクタL4Cのリアクタンスは、コンデンサC4Cのリアクタンスを上回ってもよい。第4の分岐では、負のリアクタンスを達成するために、動作周波数におけるインダクタL4Dのリアクタンスは、コンデンサC4Dのリアクタンスを下回ってもよい。インダクタL4および/またはコンデンサC4のうちの任意のものが、同調可能構成要素を含み得ることに留意されたい。
【0039】
第1の分岐の出力が、第1の整流器Rec1の入力I1に接続され、第2の分岐の出力が、Rec1の入力I2に接続される。第3の分岐の出力が、第2の整流器Rec2の入力I3に接続され、第4の分岐の出力が、Rec2の入力I4に接続される。整流器がそれぞれ、ハーフブリッジ、フルブリッジ、受動的(ダイオード)、または能動的(スイッチング)タイプの整流器であり得ることに留意されたい。実施形態では、10、15、20kWを上回る出力を伴う無線電力システムが、スイッチング整流器を使用し、負荷への高効率の電力供給を維持し得る。言い換えると、ある電力レベルにおいて、ダイオード整流器は、非常に高い電力レベルと同程度に効率的に動作し得ない場合がある。
【0040】
整流器Rec2の出力O3は、出力O1およびO3が電気的に追加されるようにノードN5に接続される。整流器Rec2の出力O4は、出力O2およびO4が電気的に追加されるようにノードN6に接続される。(ノードN5における)合成出力O1+O3および(ノードN6における)合計出力O2+O4が、平滑コンデンサC5に接続される。バッテリまたはバッテリ管理装置等の負荷114が、平滑コンデンサC5に並列に接続される。整流器Rec1およびRec2の構成が、図3の2つのフルブリッジ整流器としてもたらされることに留意されたい。この2つのフルブリッジ整流器構成は、図4に描写される4つのハーフブリッジ整流器と電気的に同等である。言い換えると、対(2つ)のハーフブリッジ整流器が、ともに結合され、フルブリッジ整流器構成を形成することができる。
【0041】
図4は、交互配置された整流器を有する、無線電力受信器の一部の例示的実施形態の図である。交互配置された整流器の入力において確認されるインピーダンスZIN=RINは、負荷インピーダンスZDC=RDCおよび特性インピーダンスXの関数である。図4に示される実施例では、リアクタンスX4A=X4C=XかつX4B=X4D=−Xである。整流器への入力インピーダンスは、負荷インピーダンスの関数として、負荷インピーダンスが
【化3】
に等しいとき、最小値を有し、より小さいおよびより大きい負荷インピーダンスに対して増加する。特性インピーダンスXが、
【化4】
が最小負荷インピーダンスと最大負荷インピーダンスとの間にあるように選定される、例えば、中間点の近傍で選定される場合、入力インピーダンスは、出力インピーダンスより小さい範囲にわたって変動し得る。実施例では、最小および最大の負荷インピーダンスは、最小および最大のバッテリ電圧マーカ280Vおよび450Vによって示される。これは、交互配置された整流器の重要な利点である、すなわち、交互配置された整流器に結合される回路によって確認される、インピーダンスの範囲を低減させ得る。いくつかの実施形態では、ダイオード構成402a、402b、402c、および402dがそれぞれ、ハーフブリッジ整流器として動作され得ることに留意されたい。
【0042】
下記は、理想的な抵抗圧縮装置に対する負荷インピーダンスの関数としての入力インピーダンスの関係である。
【化5】
【0043】
車両、ロボット、医療用デバイス、モバイル電子デバイス等の製品に統合される無線電力受信器に関して、インピーダンス整合ネットワーク内で使用されるインダクタのサイズ、重量、またはコストが最小限にされることが、非常に望ましい。例えば、多くの用途では、インダクタL4A、L4B、L4C、およびL4D(図3参照)は、各インダクタを構成する巻線および磁性材料に起因する大きい量の空間を占め得る。したがって、可能な最小値を伴うインダクタが、インダクタL4A、L4B、L4C、およびL4Dのそれぞれに対して選択される。
【0044】
いくつかの実施形態では、インダクタL4A、L4B、L4C、およびL4Dのうちの2つ以上のものが、単一の構造に統合され、個々のインダクタと比較して、統合インダクタのサイズ、重量、および/またはコストをさらに最小限にさせることができる。図5Aは、無線電力受信器の整合ネットワーク内のインダクタL4A、L4B、L4C、およびL4Dのうちの2つ以上のものに対して使用されることができる、統合インダクタの例示的実施形態の図である。インダクタL4AおよびインダクタL4Cは、コアSC1を共有し、かつフェライト層SF1を共有する。例証される実施形態では、流動が反対方向であるため、流束が、インダクタL4Aによって生成され、インダクタL4Cが、共有フェライト層SF1内で実質的にキャンセルされる。インダクタL4AおよびインダクタL4Cは、加えて、磁気的に結合解除される。コアを共有し得るインダクタL4BおよびL4Dは、それらの間の共有フェライト層SF2内の流束が実質的にキャンセルされる、同様の構成を有する。インダクタL4BおよびインダクタL4Dは、加えて、磁気的に結合解除される。種々の巻線構成が、流束キャンセレーションを産出し、特定の用途の必要性を満足させ得ることを理解されたい。図5Bは、無線電力受信器の整合ネットワーク内の4つのインダクタL4A、L4C、L4B、およびL4Dに対して使用されることができる、統合インダクタの例示的実施形態の図である。図5Bは、示されるように、1つ以上の共有フェライトピース504aおよび504bと、対応する流束キャンセレーションとを伴う4つのコア502a、502b、502c、502dを有する、例示的共有フェライトインダクタシステムを示す。種々の巻線構成は、複数の流束キャンセレーションを産出し、特定の用途の必要性を満足することができることを理解されたい。4つのインダクタL4A、L4B、L4C、およびL4Dは、フェライトの共有部分が、事実上、一方のインダクタによって連結される流束が他方によって連結されることを防止するため、著しくは磁気的に結合されない。統合インダクタの実施例は、「Inductor system having shared material for flux cancellation」と題された2017年8月8日に出願された共同所有の米国特許出願第15/671,680号内に見出され得る。
【実施例】
【0045】
以下は、交互配置された整流器内に補償リアクタンスを有する無線電力受信器の利点を例証する実施例である。実施例1A−1Cは、以下の仕様を伴う無線電力システムの実施形態を説明する。無線電力システムは、85kHzの動作周波数(基本周波数f)の負荷に略10kWの電力を送信するように構成される。無線電力送信器のスイッチングインバータによって産出される方形波に起因して、基本周波数f以外の周波数における電流および/または電圧が、システムにもたらされる。例えば、基本周波数fの少なくとも1つの高調波周波数を有するエネルギーが、無線電力受信器によって受信される。システム内の基本周波数以外の周波数の存在が、予測される以外のインピーダンス値をもたらす。受信器のリアクタンスXが、以下の関係によって定義されることに留意されたい。
【化6】
【0046】
実施例1A−1Cでは、負荷は、280V〜420Vの全体的電圧範囲Vbattを有する、1つ以上のバッテリであり得る。
(実施例1A)
【0047】
280Vのバッテリ電圧Vbattに対して、以下の表が、例示的無線電力受信器300の構成要素と関連付けられる値を概説する。上部および底部304、306のそれぞれの予期されるインピーダンスZは、6.35+j9.53オームである。いくつかの実施形態では、入力電圧Vinが、調節され、入力電力Pinを一定に保ち得る。
【0048】
交互配置された整流器の分岐のそれぞれの抵抗が、回路シミュレーションによって決定され得る。この特定の実施例では、予期される抵抗R4A、R4B、R4C、およびR4Dは、それぞれ、6.35オームである。予期されるリアクタンスX4A、X4B、X4C、およびX4Dは、以下のように計算される。
【化7】
【0049】
分岐4A、4B、4C、および4D内の電流I4A、I4B、I4C、およびI4Dは、無線電力システムの動作の間に(例えば、電流センサによって)測定される。電流I4A、I4C(グループ1)が、略等しく(電流のうちのより大きい方の1%以内)、電流I4B、I4D(グループ2)もまた、略等しい(電流のうちのより大きな方の1%以内)ことに留意されたい。しかしながら、これらの2つのグループの電流の間の差は、各分岐4A−4DのインピーダンスZの差の結果であり得る。例えば、例示的非補償システムでは、リアクタンスX4Aは、リアクタンスX4Bに等しく、リアクタンスX4Cは、X4Dに等しい。これはまた、「非補償リアクタンス」とも称される。それは、リアクタンスが、電流(および/または電力)非平衡を考慮するように調節(または非平衡に)されない点で、非補償である。したがって、基本および高調波周波数の両方においてエネルギーを受信する平衡リアクタンスを有する、非補償受信器は、非平衡電流を被る。補償受信器は、平衡電流を被る、補償リアクタンスを有する。補償受信器では、分岐4A、4B、4C、および4Dのそれぞれで見る正味インピーダンスは、物理リアクタンスX4A、X4B、X4C、およびX4Dが、以下であるように調整されているため、同様である。
【化8】
【0050】
いくつかの実施形態では、これらのリアクタンスX4A、X4B、X4C、およびX4Dは、具体的には、分岐4A、4B、4C、および4Dのそれぞれで見る正味インピーダンスを意図的に負または正にするように選定され得る。いくつかの実施形態では、正味インピーダンスは、具体的な値または値の範囲を有するように成され得る。このタイプの調節は、整合ネットワーク内に(図2に202Aまたは202B、または図3にC3A’’またはC3B’’として示される)同調可能構成要素を収容する利点を有し得る。例えば、同調可能構成要素が一方向に、すなわち、より負またはより正のリアクタンスに向かって調節され得る場合、交互配置された整流器の正味インピーダンスを反対方向に構成することは、同調可能構成要素に対するより大きな程度の調節を提供することができる。無線電力システム内での同調可能構成要素の実施例は、「Controlling wireless power systems」と題された2017年2月2日に出願された米国特許出願第15/422,554号および「PWM capacitor control」と題された2017年2月8日に出願された米国特許出願第15/427,186号内で見出され得る。
【0051】
抵抗値の割合の差は、以下に示されるように、抵抗値の差の、2つの抵抗値のうちのより高い方に対する比率を決定することによって計算されることができる。リアクタンス値の割合の差は、リアクタンス値の絶対値のそれぞれの差の、2つのリアクタンス値のうちのより高い方の絶対値に対する比率を決定することによって計算されることができる。
【化9】
【0052】
いくつかの実施形態では、リアクタンスの絶対値|X4B|は、リアクタンスの絶対値|X4A|と少なくとも4%異なり、リアクタンスの絶対値|X4D|は、リアクタンスの絶対値|X4C|と少なくとも4%異なる。いくつかの実施形態では、リアクタンスの絶対値|X4B|は、リアクタンスの絶対値|X4A|と少なくとも10%異なり、リアクタンスの絶対値|X4D|は、リアクタンスの絶対値|X4C|と少なくとも10%異なる。いくつかの実施形態では、リアクタンスの絶対値|X4B|は、リアクタンスの絶対値|X4A|と少なくとも20%異なり、リアクタンスの絶対値|X4D|は、リアクタンスの絶対値|X4C|と少なくとも20%異なる。
下記の表で詳述される例示的非補償受信器では、第1のグループの電流と第2のグループの電流との間の差は、略20.1%である。
【化10】
上記の公式では、割合の差が、電流のうちのより高い方との差として決定されることに留意されたい。
対照的に、下記の表で詳述される例示的補償受信器では、第1のグループの電流と第2のグループの電流との間の差は、略0.2%である。
【化11】
これまで説明された例示的非補償システム内に存在する非平衡電流課題は、インダクタL4A−L4Dに対して低いインダクタンス値を選定する状況におけるものであった。比較すると、例示的非補償受信器では、最小定寸されたインタクダL4のサイズの4倍のインダクタもまた、使用され、電流非平衡を軽減させ得る。この大きさのインダクタが、いくつかの用途において実行可能な解決策であり得る一方で、多くの用途では、サイズ、コスト、および重量の制限が、無線電力受信器の商品化における強い影響力をもつ要素であるであろう。いくつかの実施形態では、非補償受信器は、最小定寸されたインダクタL4のサイズの4倍から10倍の間の任意のサイズを要求し、電流非平衡を低減させ得る。使用されるインダクタが大きいほど、それは高調波周波数で発振する電流上により良好なフィルタリング効果をもたらす。しかしながら、インダクタのサイズを低減させながら予期される性能を維持することにおいて、重大な難題が、存在する。
【0053】
いくつかの実施形態では、インダクタンス値L4が、L4A、L4B、L4C、およびL4Dの全てにわたって同一であることに留意されたい。言い換えると、L4=L4A=L4B=L4C=L4Dである。
【表1】
【0054】
図6Aは、例示的無線電力受信器内に非補償リアクタンスを有するインピーダンス整合ネットワーク内の、電流レベルのプロット図である。線602aは、時間の関数としてのI4B、I4Dに関する電流の大きさであり、線604aは、時間の関数としてのI4A、I4Cに関する電流の大きさである。図6Bは、例示的無線電力受信器内に補償リアクタンスを有するインピーダンス整合ネットワーク内の、電流レベルのプロット図である。線602bは、時間の関数としてのI4B、I4Dに関する電流の大きさであり、線604bは、時間の関数としてのI4A、I4Cに関する電流の大きさである。図7における線602bの大きさと線604bの大きさとの間の差606に留意されたい。差606は、とりわけ、図6Bの電流の大きさ602b、604bには存在せず、リアクタンスが補償されるときに電流が平衡されることを例証する役割を果たす。
(実施例1B)
【0055】
350Vのバッテリ電圧Vbattに関して、以下の表が、例示的無線電力受信器300の構成要素と関連付けられる値を概説する。整合ネットワークの予期されるインピーダンスZは、9.93+j9.53オームである。
【0056】
ここでは、以前の実施例、すなわち、実施例1と同様の計算が、使用され、電流、抵抗、およびインピーダンス値の割合の差を決定する。補償受信器内の平衡電流(および/または平衡電力)の上記の効果は、このバッテリ電圧レベルではあまり顕著ではない。例えば、電流レベルの割合の差は、非補償受信器の41%から補償受信器の25.4%に低下する。大幅に大きなインダクタは、電流非平衡をおおよそ12.7%に低減させる効果を有するが、大幅に高いコスト(すなわち、最小インダクタンスL4のインダクタンス値のおおよそ4倍)においてである。
【表2-1】
【表2-2】
(実施例1C)
【0057】
420Vのバッテリ電圧Vbattに関して、以下の表が、例示的無線電力受信器300の構成要素と関連付けられる値を概説する。整合ネットワークの予期されるインピーダンスZは、14.3+j9.53オームである。
【0058】
ここでは、実施例1Aと同様の計算が、使用され、電流、抵抗、およびインピーダンス値の割合の差を決定する。補償受信器内の平衡電流(および/または平衡電力)の上記の効果は、このバッテリ電圧レベルではあまり顕著ではない。例えば、電流レベルの割合の差は、非補償受信器の65%から補償受信器の53.5%に低下する。大幅に大きなインダクタは、電流非平衡をおおよそ24.5%に低減させる効果を有するが、大幅に高いコスト(すなわち、最小インダクタンスL4のインダクタンス値のおおよそ4倍)においてである。
【表3-1】
【表3-2】
【0059】
図7Aは、バッテリ電圧Vbattの関数としての、入力抵抗Rin図4参照)のプロット図であり、図7Bは、種々の構成の非補償リアクタンスおよび補償リアクタンスを有する受信器に対するバッテリ電圧Vbattの関数としての、入力リアクタンスXinのプロット図である。実線702aおよび702bは、入力AC源(この場合、無線電力送信器)が、等価負荷抵抗よりも小さい範囲の等価抵抗を確認する理想的な抵抗圧縮装置の、それぞれ、予期される抵抗およびリアクタンスを表す。最小インダクタンスL4=18.12uHを有する非補償(または非補償)受信器704の抵抗およびリアクタンスが、それぞれ、図7Aおよび7Bにおいて三角形(▲)データ点で表される。最小インダクタンスL4=18.12uHを有する補償受信器706の抵抗およびリアクタンスが、それぞれ、図7Aおよび7Bにおいて丸形(●)データ点で表される。上記のデータ内に観察されるように、より低いバッテリ電圧(例えばV=280V)において、補償受信器706の抵抗およびリアクタンスは両方とも、理想的な抵抗圧縮装置702に最も近い。さらに他のバッテリ電圧レベルに関して、補償受信器706は、同様のサイズのインダクタL4を有する非補償システム704よりも理想的な抵抗圧縮装置702に近い。言い換えると、補償受信器706の最大の利点の一部は、受信器のより高い電流レベルに存在する。
【0060】
補償受信器706の抵抗およびリアクタンスが理想的な抵抗圧縮装置702に最も近いバッテリ電圧を選択することが、可能である。例えば、抵抗およびリアクタンスが、理想的な抵抗圧縮装置に最も近い点において、より低いバッテリ電圧(すなわち、この実施例では280V)の代わりとしてより高いバッテリ電圧(すなわち、この実施例では420V)を選択してもよい。この場合、補償受信器のリアクタンスは、より低いバッテリ電圧レベルにおいて、正であろう。
【0061】
図7Cは、バッテリ電圧Vbattの関数としての入力抵抗Rin図4参照)のプロット図であり、図7Dは、基本周波数f=85kHzを伴うエネルギーを受信するように構成される補償リアクタンスを有する受信器に対するバッテリ電圧Vbattの関数としての、入力リアクタンスXinのプロット図である。例示的な補償無線電力受信器は、静電容量C4A、C4C=445nF、C4B、C4D=75nF、かつインダクタL4A、L4C、L4B、およびL4D=18.12uHになるように設計されることができる。実線702cおよび702dは、入力AC源(この場合、無線電力送信器)が、等価負荷抵抗よりも小さい範囲の等価抵抗を確認する理想的な抵抗圧縮装置の、それぞれ、予期される抵抗およびリアクタンスを表す。最小インダクタンスL4=18.12uHを有する補償受信器の抵抗およびリアクタンスが、それぞれ、図7Cおよび7Dにおいて丸形(●)データ点で表される。それが、抵抗およびリアクタンスが理想的な抵抗圧縮装置に最も近い点であるため、より低いバッテリ電圧(すなわち、この実施例では280V)の代わりとしてより高いバッテリ電圧(すなわち、この実施例では420V)を選択してもよい。受信器C3A’’、C3A’’(図3参照)の要素の調節が、バッテリ電圧のそれぞれにおける受信器の入力リアクタンスを調節するために使用され得ることを理解されたい。
(実施例2)
【0062】
例示的無線電力システムは、略6.78MHzの基本周波数fで動作し、かつ負荷に略100Wの電力を送信するように構成される。この負荷に対するバッテリ電圧Vbattの範囲は、20V〜30Vである。いくつかの実施形態では、入力電圧Vinは、入力電力Pinを一定に保つように調整されてもよい。いくつかの例示的実施形態では、負荷は、ラップトップまたはノート型コンピュータであり得る。以下の表は、例示的無線電力受信器300の構成要素と関連付けられる値を概説する。整合ネットワークの予期されるインピーダンスZは、3.24+j4.86オームである。
【0063】
下記のデータは、無線電力受信器のリアクタンスにおける補償の利点を例証する。例えば、電流の非平衡は、非補償受信器の21.3%から補償受信器の1.6%に低減される。
【表4】
【0064】
本明細書に説明されるコンデンサ構成要素の任意のものの言及が、相互に電気的に接続される1つ以上のコンデンサまたはコンデンサ構成要素を参照し得ることに留意されたい。図では、複数のコンデンサ構成要素は、明確化のため、単一のコンデンサ記号によって表され得る。
【0065】
上記の議論は、本発明の種々の例示的実施形態を開示するが、当業者は、本開示の真の範囲から逸脱することなく、本発明の利点のいくつかを達成するであろう種々の修正を成し得ることが明白であるはずである。本明細書で言及される文書は全て、参照することによって本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D