特許第6821067号(P6821067)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6821067
(24)【登録日】2021年1月7日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】船のエアクッションスカートスリーブ
(51)【国際特許分類】
   B60V 1/16 20060101AFI20210114BHJP
   B60V 3/06 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   B60V1/16
   B60V3/06
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-572275(P2019-572275)
(86)(22)【出願日】2018年3月6日
(65)【公表番号】特表2020-511364(P2020-511364A)
(43)【公表日】2020年4月16日
(86)【国際出願番号】CN2018078100
(87)【国際公開番号】WO2018171419
(87)【国際公開日】20180927
【審査請求日】2019年10月21日
(31)【優先権主張番号】201710162943.8
(32)【優先日】2017年3月19日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519336090
【氏名又は名称】周東寧
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】周東寧
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−099259(JP,A)
【文献】 実開昭52−088812(JP,U)
【文献】 米国特許第04227475(US,A)
【文献】 実開昭48−011560(JP,U)
【文献】 実開昭64−029069(JP,U)
【文献】 米国特許第03782494(US,A)
【文献】 米国特許第03397753(US,A)
【文献】 中国特許出願公開第103253260(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60V 1/16
B60V 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船のエアクッションスカートスリーブであって、エアポンプ、エアパイプ、船、エアバッ
グスカート及びスリーブボトムを備え、前記エアバッグスカートは、前記スリーブボトム
の周りに設けられ、前記スリーブボトムは、取り外し可能な構造を介して前記船の底部の
水平面に固定して設けられ、前記エアバッグスカートは、前記エアパイプを介して前記エ
アポンプに接続され、前記エアバッグスカート内には、エアパイプが設けられ、前記エア
パイプの他端が前記エアポンプに接続され
前記取り外し可能な構造は、一端が前記スリーブボトムの周りに接続され、他端が舷の手
すり及びバルバスバウに固定されるベルトであり、前記バルバスバウのベルトは、環状で
あることを特徴とする船のエアクッションスカートスリーブ。
【請求項2】
前記エアバッグスカートは、下方にシート状スカートが接続されて二層スカート構造とな
り、前記シート状スカートの内側には、一端が前記スリーブボトムに接続され、他端が前
記シート状スカートに接続され、長さが前記シート状スカートと前記船の底部との間の夾
角を90度より小さくするスペーサーを有することを特徴とする請求項1に記載の船のエ
アクッションスカートスリーブ。
【請求項3】
前記エアバッグスカート内には、さらに横方向スカートを有し、それぞれの前記横方向ス
カートと周囲の前記シート状スカートにより囲まれた空間は、エアパイプが設けられ、か
つ前記エアポンプに接続されることを特徴とする請求項に記載の船のエアクッションス
カートスリーブ。
【請求項4】
前記シート状スカートは、浮揚性材料で製造され、又はシート状スカートの端部には、フ
ロート体が固定され、前記エアバッグスカート及びシート状スカートは、外側に硬質材料
が被覆されるか、又はそれ自体が硬質材料から構成されることを特徴とする請求項に記
載の船のエアクッションスカートスリーブ。
【請求項5】
船のエアクッションスカートスリーブであって、エアポンプ、エアパイプ、船、シート状
スカート及びスリーブボトムを備え、前記シート状スカートは、前記スリーブボトムの周
りに設けられ、前記シート状スカートの内側には、一端が前記スリーブボトムに接続され
、他端が前記シート状スカートに接続され、長さが前記シート状スカートと前記船の底部
との間の夾角を90度より小さくするスペーサーを有し、前記スリーブボトムは、取り外
し可能な構造を介して前記船の底部の水平面に固定して設けられ、前記シート状スカート
内には、エアパイプが設けられ、前記エアパイプの他端が前記エアポンプに接続され、
前記取り外し可能な構造は、一端が前記スリーブボトムの周りに接続され、他端が舷の手
すり及びバルバスバウに固定されるベルトであることを特徴とする船のエアクッションス
カートスリーブ。
【請求項6】
前記シート状スカートは、浮揚性材料で製造され、又はシート状スカートの端部には、フ
ロート体が固定されることを特徴とする請求項に記載の船のエアクッションスカートス
リーブ。
【請求項7】
前記シート状スカート内には、さらに横方向スカートを有し、それぞれの前記横方向スカ
ートと周囲の前記シート状スカートにより囲まれた空間は、エアパイプが設けられ、かつ
前記エアポンプに接続されることを特徴とする請求項に記載の船のエアクッションスカ
ートスリーブ。
【請求項8】
前記シート状スカートは、外側に硬質材料が被覆され、又はそれ自体が硬質材料から構成
されることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の船のエアクッションスカー
トスリーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船の省エネ分野に関し、特に船のエアクッションスカートスリーブ(air bott
om skirt sleeve for boats)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術による船は、底部のみが水と接触するため、摩擦力が大きく、エネルギー消費が
高い。エアパック船は、船底でエアパックを生成して抵抗を減少させるが、常にエアパッ
クを生成する必要があるため、エネルギー消費が大きく、従来技術によるホバークラフト
の一部は、新しい船舶でなければならず、既存の船舶が利用できず、コストが高く、且つ
メンテナンスや交換がしにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、既存の船舶に適用でき、且つメンテナンスや交換しやすい船のエアクッ
ションスカートスリーブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成させるために、本発明の技術案は、以下のとおりである。
【0005】
船のエアクッションスカートスリーブであって、エアポンプ、エアパイプ、船、エアバッ
グスカート及びスリーブボトムを備え、前記エアバッグスカートは、前記スリーブボトム
の周りに設けられ、前記スリーブボトムは、取り外し可能な構造を介して前記船の底部の
水平面に固定して設けられ、前記エアバッグスカートは、前記エアパイプを介して前記エ
アポンプに接続され、前記エアバッグスカート内には、エアパイプが設けられ、前記エア
パイプの他端が前記エアポンプに接続される。
【0006】
上記船のエアクッションスカートスリーブにおいて、前記取り外し可能な構造は、一端が
前記スリーブボトムの周りに接続され、他端が舷の手すり及びバルバスバウに固定される
ベルトであり、前記バルバスバウのベルトは、環状である。
【0007】
上記船のエアクッションスカートスリーブにおいて、前記エアバッグスカートは、下方に
シート状スカートが接続されて二層スカート構造となり、前記シート状スカートの内側に
は、一端が前記スリーブボトムに接続され、他端が前記シート状スカートに接続され、長
さが前記シート状スカートと前記船の底部との間の夾角を90度より小さくするスペーサ
ーを有する。
【0008】
上記船のエアクッションスカートスリーブにおいて、前記エアバッグスカート内には、さ
らに横方向スカートを有し、それぞれの前記横方向スカートと周囲の前記シート状スカー
トにより囲まれた空間は、エアパイプが設けられ、かつ前記エアポンプに接続される。
【0009】
上記船のエアクッションスカートスリーブにおいて、前記シート状スカートは、浮揚性材
料で製造され、又はシート状スカートの端部には、フロート体が固定され、前記エアバッ
グスカート及びシート状スカートは、外側に硬質材料が被覆され、又はその自体が硬質材
料から構成される。
【0010】
船のエアクッションスカートスリーブであって、エアポンプ、エアパイプ、船、シート状
スカート及びスリーブボトムを備え、前記シート状スカートは、前記スリーブボトムの周
りに設けられ、前記シート状スカートの内側には、一端が前記スリーブボトムに接続され
、他端が前記シート状スカートに接続され、長さが前記シート状スカートと前記船の底部
との間の夾角を90度より小さくするスペーサーを有し、前記スリーブボトムは、取り外
し可能な構造を介して前記船の底部の水平面に固定して設けられ、前記シート状スカート
内には、エアパイプが設けられ、前記エアパイプの他端が前記エアポンプに接続される。
【0011】
上記船のエアクッションスカートスリーブにおいて、前記取り外し可能な構造は、一端が
前記スリーブボトムの周りに接続され、他端が舷の手すり及びバルバスバウに固定される
ベルトである。
【0012】
上記船のエアクッションスカートスリーブにおいて、前記シート状スカートは、浮揚性材
料で製造され、又はシート状スカートの端部には、フロート体が固定される。
【0013】
上記船のエアクッションスカートスリーブにおいて、前記シート状スカート内には、さら
に横方向スカートを有し、それぞれの前記横方向スカートと周囲の前記シート状スカート
により囲まれた空間は、エアパイプが設けられ、かつ前記エアポンプに接続される。
【0014】
上記船のエアクッションスカートスリーブにおいて、前記シート状スカートは、外側に硬
質材料が被覆され、又はその自体が硬質材料から構成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、従来技術の様々な船体に適用でき、且つ船底スカートに少量のエアを補充すれ
ばよく、従って、コストやエネルギー消費を効果的に低減できるとともに、メンテナンス
が実施されやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による船のエアクッションスカートスリーブの実施例1のスカートスリーブの船横方向での原理模式図である。
図2】本発明による船のエアクッションスカートスリーブの実施例1のスカートスリーブの船底での原理模式図である。
図3】本発明による船のエアクッションスカートスリーブの実施例1のスカートスリーブの船縦方向での原理模式図である。
図4】本発明による船のエアクッションスカートスリーブの実施例2のスカートスリーブの船横方向での原理模式図である。
図5】本発明による船のエアクッションスカートスリーブの実施例2のスカートスリーブの船底での原理模式図である。
図6】本発明による船のエアクッションスカートスリーブの実施例2のスカートスリーブの船縦方向での原理模式図である。
図7】発明による船のエアクッションスカートスリーブのスカートの一態様の原理模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例についてさらに説明する。
【0018】
実施例1
図1図3に示すように、船のエアクッションスカートスリーブは、エアポンプ1、エア
パイプ2、ベルト3、船4、エアバッグスカート5及びスリーブボトム6を備え、前記エ
アバッグスカート5は、前記スリーブボトム6の周りに設けられ、前記ベルト3の一端は
、前記スリーブボトム6の周りに接続され、前記ベルト3の他端は、舷の手すり及びバル
バスバウ7に固定され、バルバスバウ7のベルト3は、環状であってもよく、使用する際
に、まず、環状ベルト3をバルバスバウ7に直接套設し、次に両側のベルト3を舷に締め
、前記スリーブボトム6は、前記船4の底部の水平面に固定して設けられ、前記エアバッ
グスカート5は、前記エアパイプ2を介して前記エアポンプ1に接続される。
【0019】
前記エアバッグスカート5内には、エアパイプ2が設けられ、前記エアパイプ2の他端が
前記エアポンプ1に接続される。
【0020】
使用する際に、風浪が一定の程度まで穏やかになったとき、エアポンプ1でエアバッグス
カート5に空気を注入し、これによりスカートがスリーブボトムの周囲から立ち上がり、
次にエアポンプ1でエアバッグスカート5に空気を注入し、船底の水を排出し、それによ
り、船底のエアバッグスカート5へ空気を十分に注入して、エアクッション層を形成し、
このように、船が航行する時に船底が水と接触せずに、空気層が水と接触するので、抵抗
が減少する。エアポンプ1は、船底スカート内の空気の損失に応じてエアクッション層へ
空気をタイムリーに注入することができ、エアクッション層の存在が確保される。
【0021】
実施例2
図4図6に示すように、前記スリーブボトム6は、前記船4の船底に被覆されている。
【0022】
前記スリーブボトム6の中央部には、楕円形構造の中空部が設けられ、前記スリーブボト
ム6は、前記船4の底部にシールして套設され、これにより、材料を節約できるとともに
、スリーブボトム6の大部分が船底に位置するため、依然として良好なシール作用を果た
すことができ、本実施例は、大きな船4に適用できる。
【0023】
前記スリーブボトム6の周りには、硬質材料から構成されるシート状スカート8が設けら
れ、前記シート状スカート8の内側には、一端が前記スリーブボトム6に接続され、他端
が前記シート状スカート8に接続され、長さが前記シート状スカート8と前記船4の底部
との間の夾角を90度より小さくするスペーサー9を有する。つまり、スペーサー9の長
さは、シート状スカート8と前記船4の底部との間の夾角が90度となるときにスペーサ
ー9がぴんと張っている場合の長さより小さい。それにより、シート状スカート8と船4
の底部との間の夾角が90度より大きいことによる空気漏れを防止する。
【0024】
前記エアバッグスカート5内には、さらに横方向スカート10を有し、それぞれの前記横
方向スカート10と周囲の前記シート状スカート8により囲まれた空間は、エアパイプ2
が設けられ、且つ前記エアポンプ1に接続され、このように、2つのエアクッションを形
成し、2つのエアポンプ1で2つのエアクッション層に空気を補充し、それにより、船が
縦揺れする場合に良好な空気補充効果が得られ得る。
【0025】
使用する際に、エアポンプ1でシート状スカート8に空気を注入して、船底スカートの内
部が空気で満たされるようにし、船底へ空気を注入するに伴って、シート状スカート8が
立ち上がり、このように、船底にはエアクッション層が形成され、これにより船が航行す
る時に抵抗が減少する。
【0026】
図7に示すように、前記エアバッグスカート5は、下方に柔軟性材料から構成されたシー
ト状スカート8が接続されて、二層スカート構造となり、前記シート状スカート8の内側
には、一端が前記スリーブボトム7に接続され、他端が前記シート状スカート8に接続さ
れるスペーサー9を有する。前記スペーサー9の長さは、前記シート状スカート8と前記
船4の底部との間の夾角を90度より小さくする。つまり、スペーサー9の長さは、シー
ト状スカート8と前記船4の底部との間の夾角が90度となる時にぴんと張っているスペ
ーサー9の長さより小さい。
【0027】
二層スカートとすることによって、船4が水平である場合、下層のシート状スカート8は
、水平に船底に浮き、スカートが高くなくても、抵抗を減少させることができ、船体が縦
揺れ又は横揺れする場合、シート状スカート8がエアとともに立ち上がり、エアの漏れが
止められる。
【0028】
前記船4の尾部に位置するシート状スカート8は、浮揚性材料で製造され、又はシート状
スカート8の端部には、フロート体が固定される必要があり、これによりシート状スカー
ト8は、船底水面の上方にフロートできる。また、船尾のスカートが後向きの水流による
衝撃力を受けるので、スペーサー9が弾性を有するものであってもよく、これにより、よ
り良好な効果が得られ得る。
【0029】
勿論、船体の両側もこのようなフロート可能なシート状スカート8を用いてもよい。
【0030】
前記横方向スカート10は、前記エアバッグスカート5内に用いられてもよい。前記エア
バッグスカート5内のスリーブボトム6は、中空であってもよい。シート状スカート8の
柔らかさは、必要に応じて決定できる。
【0031】
横方向スカート10は、エアバッグスカート5であってもよく、又はシート状スカート8
であってもよく、又は二層スカートであってもよい。
【0032】
スリーブボトム6は、磁石で船底に固定され、又は船底に取り付けられたフックで係着さ
れるなどの従来の様々な取り外し可能な方式で固定されるようにしてもよい。スリーブボ
トム6の周りには、さらにワイヤーが設置されてもよく、これにより、より良好な受力の
効果が得られ得る。
【0033】
エアバッグスカート及びシート状スカートは、いずれも外側に硬質材料が被覆され、又は
その自体が硬質材料から構成され、これにより、より良好な性能が得られ得る。
【0034】
以上のように、本発明は、従来技術の様々な船体に適用でき、且つ船底スカートに少量の
エアを補充すればよく、従って、コストやエネルギー消費を効果的に低減できるとともに
、メンテナンスが実施されやすくなる。
【0035】
本物の船体が数万トンの航海船舶の船体である可能性があり、エアポンプ、スカートがこ
のような船体に対して小さいものであり、明瞭に示すために、本発明の図面には、エアク
ッションスカートなどは、実際の比例によるものではないが、それにより本発明の実用性
や効果を否定してはいけない。
【0036】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明の特許範囲を限定するためのものでなく
、本発明の明細書の内容に基づいて行われる等価構造変更、又は他の関連製品の技術分野
への直接又は間接的な付設や使用は、いずれも本発明の特許保護範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7