特許第6821114号(P6821114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6821114
(24)【登録日】2021年1月8日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】股下収納室付きパンツ
(51)【国際特許分類】
   A41B 9/02 20060101AFI20210114BHJP
【FI】
   A41B9/02 H
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-544957(P2020-544957)
(86)(22)【出願日】2020年4月15日
(86)【国際出願番号】JP2020016593
【審査請求日】2020年9月24日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597119057
【氏名又は名称】浅田 一郎
(72)【発明者】
【氏名】浅田 一郎
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2020−002491(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0035325(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正立位の男性の胴周りに沿って配置される股上ウエスト部のはき口と、左右の脚を通す左右一対の股下と、股間に沿って前記はき口の前後を結んで配設される股上前後とを有する男性用パンツにおいて、前方下腹部の一部あるいは全部を開放して前側中央に開口部を穿設し、少なくとも男性性器から前ウエスト近傍までの領域以外の部分を覆う身頃と、前記身頃の開口部の外側で、前記前ウエストまたはその近傍の股上から股下またはその近傍まで上下方向に設けられる生地片で男性性器の前部を覆い、さらに前記生地片の向きを股間方向に切り替えて、股上よりも低い位置に延設して前記男性性器の下部を覆い、前記身頃の股上から股下にかけて接続して構成する前身頃と、を備え、前記左右一対の股下の前方部分は前記前身頃ともに、男性性器を囲む空間を形成する股下収納室を構成することを特徴とする男性用パンツ。
【請求項2】
前記前身頃下方の裏面で、左右方向の中心部から上方に凸設するひだを形成し、前記ひだを股グリに連設して構成することを特徴とする特許請求項第1項に記載の男性用パンツ。
【請求項3】
身頃の左右一対の前股上前後端縁が前記股下収納室の開口部を形成し、前記前股上前後端縁と後股上前後との境界点が即ち前記股下収納室の開口部の下端を形成するとき、前記開口部の下端がパンツ着用者の会陰部直下に配置することを特徴とする、特許請求項第1項ないし第2項のいずれか1項に記載の男性用パンツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用時に男性性器全体を隔離収納するフンドシの長所と、ボクサーショーツやボクサーブリーフのファッション性を継承する男性用パンツに関する。
【0002】
この明細書において男性性器とは男性の外部生殖器を指し、陰茎及び陰嚢を総称する意味で用いる。
【0003】
この明細書において生地は、非伸縮性の織物、伸縮性の編物、不織布、紙を含む素材による。
【0004】
この明細書において接続とは、縫合または溶着または接着等の任意の方法によるが、すべての接続部をシームレス成型により一体に形成することも可能である。
【0005】
この明細書において「前ウエスト」「後ウエスト」「股上前後長」「殿囲」「大腿囲」の言語の定義については非特許文献1を適用する。また「股上前後長」などの個々の計測データについても同文献から引用する。
【0006】
この明細書においてボクサーショーツに多く使用されるボタン止め前開き口のことを「ボタン止め前立て」と記載し、ブリーフやボクサーブリーフに多く使用される左右身頃の開口部を二重に重ね合わせる前開き口のことを「ブリーフ型前立て」と記載する。これらを総称する意味で「前立て」と記載する。
【0007】
この明細書においてパンツの「股上前後」とは人体の「股上前後長」の計測部位に沿って形成されるもので、身頃の前ウエストから後ウエストを最短距離で結び、左右方向の中心に形成される一本の仮想線分であり、生地片に線が描かれている訳ではない。本件発明のパンツにおいては前記一本の線分として形成するもののほか、前方下腹部の開口部により身頃の生地が前方で除去されている実施例1の形態については、前記開口部の端縁沿いにY字状に分岐する線分として形成される。パンツの「股上前後」は、人体の「股上前後長」に目的に応じて一定の長さを加減して形成する線分である。
【0008】
この明細書においてパンツの「股下」とは、パンツの「股上前後」の地上高の最も低い位置から脚裾口までの左右の身頃の部位を表わしており、相対的に「股下」よりも上の領域の身頃の部位を「股上」とする。
【背景技術】
【0009】
日本国で第2次大戦時の兵士に至るまで長く使用された男性用下着はフンドシである。構造が簡単で、裸同様の自然な着用感覚でいられる。また男性性器は大腿部から隔離して釣支されているため蒸れず衛生的である。鼠径部や臀部が露出するファッション性の問題と、着用時に紐を締める手間が面倒なことから近年の着用者は少ないが、手放せない愛好者も存在する。
【0010】
近年、ブリーフの伸縮性と、ボクサーショーツ同様の股下の脚裾口を有するボクサーブリーフが普及してきた。伸縮性に富む生地が膨出して男性性器を釣支し、陰嚢をフンドシ同様に大腿部から隔離するため装用感が優れている。体の中央に位置すべき陰茎が左右どちらかの配置を余儀なくされるボクサーショーツと異なり、股下の浅い上履きのズボンを着用しても陰茎の左右の配置を第三者が視認し辛いことが優れていると評価される。
【0011】
ボクサーブリーフの脚裾口は大腿部を覆う長さであるが、生地は大腿部に密着しており、冬場の防寒用に自己発熱性繊維のタイツが普及するに伴い、重ね着したときにボクサーショーツがかさばって相性が悪いのと対照的に着膨れすることがなくフィットし、現在はボクサーショーツを抑えて日本国の市場で最も多く着用されるタイプになっている。
【0012】
従来のボクサーブリーフは、ポリウレタンを含む伸縮性の生地で作られており、上向きの陰茎と陰嚢とをドーム状の膨出部に一体的に釣支するため、立ち座りを繰り返したり、運動をしたり、生地の伸縮性が経時劣化で低下したりすると、陰茎は直立姿勢を維持することが難しくなり、左又は右に傾いて収まりが悪くなる。陰嚢も大腿部側に降下して密着し不快感を覚える。陰嚢が強力に上方向に釣支されることで陰茎の包皮に鬼頭が埋没する現象に悩まされる男性も少なくない。不快感の解消のために、男性の手は無意識のうちに股間に伸びて男性性器の位置補正動作をしている。さらには、陰茎と陰嚢とが触れあって汗が溜まり、湿疹,皮膚炎,悪臭等の原因となるなど、衛生上の問題も起こり得る。
【0013】
そもそも歴史的にも古いボクサーショーツが、一時期とはいえそれまで主流であったブリーフを抑えて日本国の市場を席巻した背景には、日本国独特の湿度の高さやブリーフ着用時の男性性器の窮屈な態様が影響していると推測される。ボクサーショーツ着用時の男性性器は、裸の自然な立位の状態のときとおなじように陰茎が下向きで陰嚢は垂れた状態になる。しかも股下は大腿部を覆う長さで大腿部との間に隙間があり開放的な構造のため通気性が良く、内部がむれにくいという利点を有している。
【0014】
哺乳類における陰嚢は外部生殖器の機能として寒暖に対して敏感に反応し、絶えず収縮運動を続けて温度調節している。よって気温の高い季節にブリーフやボクサーブリーフの着用が長時間に及ぶと、伸縮性の生地によって身体に圧迫される陰嚢は前記温度調節を阻害されるため、陰嚢のとりわけ精巣の機能に好ましくない影響が及び得る。逆に、フンドシのように陰嚢の周囲に吸湿性の生地があれば、陰嚢表皮の汗を吸収して発汗作用を促進するため、好ましい影響が期待できる。
【0015】
ボクサーショーツは着用者の態勢によっては脚裾口と大腿部との隙間から男性性器が露出する可能性がある。パンツの最も重要な役割であるべき男性性器を隠蔽する機能が十分ではないだけでなく、排尿後の尿垂れによって尿が脚裾口から落下して足やズボンに付着する原因にもなる。乾燥した尿は臭いを発するようになるが、匂いに慣らされて着用者だけが気付かないこともある。ボクサーショーツ、ボクサーブリーフのいずれの場合も、前立ての開口部の下端の位置は前股グリの位置の制約を受けるため陰茎の付け根とほぼ同じ高さにあり、スムーズな排尿作業にとって理想的な配置とはいいがたい。殿囲に余裕がありすぎるボクサーショーツの場合、前開き口が左右にぶれて排尿時に前開き口を探す時間を要することも少なくない
【0016】
上記を鑑みて着用時に男性性器の陰茎が左右に配置されず体の中央にあり、陰嚢が大腿部に触れないようにしてパンツの快適性を得ようとする観点から、特許文献によってさまざまな提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特許第6376675号公報
【特許文献2】特許第3148833号公報
【特許文献3】特開2001−32101号公報
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】河内まき子・持丸正明、2006:AIST/HQL 人体寸法・形状データベース2003、産業技術総合研究所 H18−PRO503。
【非特許文献2】JIS L 4004:2001 表14
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
特許文献1によると、パンツを着用した状態においてパンツの男性性器が位置する部位に前記男性性器を収容する収容ポケットが形成され、ポケット後面部には収容ポケットに男性局部を収容する開口部が備わり、収容ポケットは、陰茎と陰嚢をそれらの根元から全て収容するようになっており、開口部を除くポケット後面部により、陰嚢が太腿部に直接接触しないようになっている。
【0020】
しかしながら、同文献の下着を着用するには逐一男性性器を開口部に手で挿入する手間が必要で、従来のように両足を通すだけという動作でパンツを着用することができない問題がある。しかも前記開口部の面積は男性性器の付け根部の断面の面積に等しい大きさでつくられているので、万一、激しいスポーツなどでパンツの前身頃に腰回り方向や前方向の外力が作用すると、開口部が男性性器を引っ掛けて直接引っ張り、男性性器のとりわけ陰嚢に深刻なダメージを与え得るという安全上の懸念がある。
【0021】
特許文献2によると、パンツ内側に左右相称形状の一対の左右身頃の各一側端の生地片を前記パンツの内側に向けて折り返して形成し、男性性器を支持するサポータを構成した。その効果としてパンツ内側に形成されるサポータにより男性性器を支持して安定させることができる。さらに、男性局部と太股部の直接接触を防止することができて衛生的である、としている。
【0022】
しかしながら同文献のサポータのV字形溝形状は会陰部付近ではほぼ平坦に近くなり、男性性器を逸脱することなく収納する空間に乏しい。もし収納空間を十分に確保しようとすれば、パンツの股上前後を下に下げてV字形溝を深くする必要がある。しかしながらV字形溝が深くなると会陰部のさらに後方までV字形溝の上端縁が継続して肛門に触れるため、後股グリの肛門保護としての機能が損なわれて不快感が生じる。さらにパンツの股上前後を下に下げるためには着用者の開脚動作などの運動機能を損なわないために脚裾口の周長を従来品より大きくする必要がある。脚裾口の周長が増えると身頃の周長かあるいは股上前後長さのいずれかが増えるという相関関係がある。脚裾口の周長や身頃の周長が増えると見た目が悪くなり、ズボン内部でのかさばりやゴロツキ感も大きくなる。脚裾口の周長が増えると前立ての左右方向の位置が安定せず、スムーズな排尿動作を損なう問題がある。
【0023】
特許文献3記載の技術は、下着の脚の部分を三股分かれにするもので、左脚収納部と右脚収納部の中間前方に、男性性器収納部を付け、男性性器部分を収納する専用スペースとする。三つの空間に、左脚、右脚、男性性器部分をはっきり分離して収納し、下着を両股まではきあげて着用するものである。
【0024】
このように特許文献3記載のパンツでは、前記の特許文献1、2と異なり、男性性器の収納部に専用スペースを設け、三つの空間に分割することで、左脚、右脚、男性性器がそれぞれゆとりをもたせて分離できるようになる。かつ男性性器を垂らしたまま着用することができるようになり着用感が優れている。
【0025】
しかしながら特許文献3記載のパンツは、左右脚裾口の股下の自由度を確保するために男性性器収納部分を第3の筒状体とせざるを得なかったので、様々な問題を抱えている。まず、このパンツを着用して着替えが必要なとき、股間の男性性器収納部は先端が自由であるため、前方に突き出たり風になびいたり、いやがうえにも強調されてしまい、見る人の目に異様または珍妙な光景に映る可能性が高い。さらに同パンツの上にズボンを着用するとき、男性性器の筒状収納部をズボンの左右いずれかの側の脚挿通口に挿入しなければならず、ズボンの大腿部の左右が外観上アンバランスに偏り、男性性器の配置が強調されてファッション性が劣る問題がある。男性性器収納部の第3の筒状体の入り口の高さはボタン止め前立てよりも下の低い位置にあり、激しい運動では男性性器が専用スペースからはみ出す可能性を排除できない問題がある。
【0026】
この発明の第1の目的は、男性性器を布地で下方から包み込み、大腿部から一枚の生地片で隔離するため蒸れず快適であり、既存のボクサーブリーフやボクサーショーツのデザインを継承しつつ、前開き口の位置を下げて排尿をスムーズに行うことが可能なファッション性に優れたパンツを提供することにある。
【0027】
第2の目的は、伸縮性あるいは非伸縮性の生地を問わず、着用時の下腹部前方股下に広い収納空間を形成し、陰茎がパンツの前股グリで左右の配置を強制されることなく中央に位置し、男性性器を釣支して圧迫することがなく自然に垂下する態様で収納することができて、既存のパンツになかった裸同様の自然な着用感覚でいられるパンツを提供することにある。
【0028】
第3の目的は、非伸縮性の生地の場合、脚裾口の通気性を有していながら男性性器が脚裾口から露出する恐れがなく、尿垂れによって尿が脚裾口から落下してズボンに付着する恐れがなく、十分な隠蔽機能と、衛生的なパンツを提供することにある。
【0029】
第4の目的は、伸縮性の生地の場合、既存のボクサーブリーフのように陰茎を上向きに釣支しないので鬼頭が陰茎の包皮に埋没するおそれがなく、生地の経時劣化によるサポート力の低下を気にする必要のない、装用感が優れて耐久性の高いパンツを提供することにある。
【0030】
第5の目的は、着用時に男性性器を股下収納室に収納するための手先の操作を必要とせず、従来どおりの着用が可能であり、激しいスポーツ等で万一パンツに前後左右方向の外力が作用しても男性性器を引っ掛けて傷つける恐れのない、履きやすく安全なパンツを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0031】
請求項1に係る発明は、正立位の男性の胴周りに沿って配置される股上ウエスト部のはき口と、左右の脚を通す左右一対の股下と、股間に沿って前記はき口の前後を結んで配設される股上前後とを有する男性用パンツにおいて、前方下腹部の一部あるいは全部を開放して前側中央に開口部を穿設し、少なくとも男性性器から前ウエスト近傍までの領域以外の部分を覆う身頃と、前記身頃の開口部の外側で、前記前ウエストまたはその近傍の股上から股下またはその近傍まで上下方向に設けられる生地片で男性性器の前部を覆い、さらに前記生地片の向きを股間方向に切り替えて、股上よりも低い位置に延設して前記男性性器の下部を覆い、前記身頃の股上から股下にかけて接続して構成する前身頃と、を備え、前記左右一対の股下の前方部分は前記前身頃ともに、男性性器を囲む空間を形成する股下収納室を構成することを特徴とする。
【0032】
請求項2に係る発明は、前記前身頃下方の裏面で、左右方向の中心部から上方に凸設するひだを形成し、前記ひだを股グリに連設して構成することを特徴とする。
【0033】
請求項3に係る発明は、身頃の左右一対の前股上前後端縁が前記股下収納室の開口部を形成し、前記前股上前後端縁と後股上前後との境界点が即ち前記股下収納室の開口部の下端を形成するとき、前記開口部の下端がパンツ着用者の会陰部直下に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
従来のフンドシ同様に体の中央で男性性器全体を布地で下方から包み込み大腿部から隔離して収納するという目的を、従来のボクサーショーツやボクサーブリーフのファッション性を大きく損なわずに実現した。
【0035】
請求項1の発明によれば、記左右一対の股下の前方部分は前記前身頃ともに、男性性器を囲む空間を形成する股下収納室を構成するため、本発明による男性用パンツを着用する正立位の男性性器は、着用前と同様に陰茎が体の中央に位置して股下収納室内に垂下しており、陰嚢の周囲を囲む吸湿性の生地によって陰嚢表面の汗を吸収するため、高温多湿の環境下で発汗作用を促して優れた装用感が得られる。大腿部と男性性器の間を左右それぞれ1枚の生地片で隔離しており、股間の生地片がかさばらず、非伸縮性生地のパンツにおいては通気性の向上に効果的である。
【0036】
着用時のパンツに左右の足を入れてパンツのはき口周縁を握り履き上げる通常の着用動作で、大腿部と身頃股下部との摩擦力が開口部端縁を引っ張り、生地のよれが戻された股下収納室開口部は上向きに開いており、かつ前記開口部が目視可能であり、男性性器は手先の操作を必要とすることなく股下収納室に収納される効果が得られる。
【0037】
ボクサーショーツタイプのパンツでは股下収納室に収納される男性性器によって相対的にパンツの左右方向のブレ自体が抑えられる。加えて前股グリが無くなるため、前立ての前開き口の下端の位置をズボンの前開き口の高さに合わせて下方に下げることができる。このため排尿時にズボンとパンツ前開き口の上下、左右方向のずれが減少し、パンツの前開き口を探す手間が減少し、陰茎の出し入れがスムーズに行えるようになる効果がある。
【0038】
股下収納室は広い空間を形成しており、尿吸収パッドなどを容易に収納することが可能で様々な分野での応用があり得る。脚裾口にはボクサーショーツと同様の隙間があるにもかかわらず、前身頃に形成する底部によって脚裾口方向からの視線に対して男性性器を隠蔽する効果があり、同時に尿垂れによるズボンへの尿の落下を防ぐ衛生的なパンツを提供する効果がある。
【0039】
請求項2の発明によれば、前記前身頃下方の裏面で、左右方向の中心部から上方に凸設するひだを形成し、前記ひだを股グリに連設して構成することで、股下収納室と股下との間に伸縮性を付与することができる。前記伸縮性によって脚裾口の周長や身頃の周長を増やすことなくパンツの股下の開脚動作などの自由な動きが担保される。ひだを股グリに連設して構成するため、後方からの意匠は股グリの一部として既存のボクサーショーツやボクサーブリーフのファッション性に馴染んでいる。股下に延設される前身頃にひだを形成するため、前方から見る意匠に股グリは存在せず、従って既存のパンツに比べて男性性器の配置が目立たなくなり、ファッション性の向上に役立つ。ゴムなどの特別なパーツを要することなく生地片の裁断だけで股下収納室を形成することで、着用時の股間にかさばりやゴロツキなどの違和感を生じることがなく装用感が優れて安価なパンツを提供することができる。
【0040】
請求項3に係る発明によれば、身頃の左右一対の前股上前後端縁が前記股下収納室の開口部を形成し、前記前股上前後端縁と後股上前後との境界点が即ち前記股下収納室の開口部の下端を形成するとき、前記開口部の下端がパンツ着用者の会陰部直下に配置することで、前記前股上前後端縁は股間から鼠径部に沿ってウエスト前部に配設されて男性性器の付け根部の断面積の数倍に匹敵する股下収納室の開口部を形成しており、万一パンツに激しいスポーツで外力が作用しても男性性器を引っ掛けてダメージを与える恐れがない安全なパンツを提供する。前股上前後端縁に連続する後股上前後は既存のパンツ同様、殿裂から会陰部にかけて配置されて確実に肛門を覆い保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明に係る実施例1の右身頃の裁断形状を示す展開図である。
図2】本発明に係る実施例1の左身頃の裁断形状を示す展開図で、右の身頃と左右相称形である。
図3】(a)は本発明に係る実施例1の右前身頃の裁断形状を示す展開図である。(b)は本発明に係る実施例1の見返しの裁断形状を示す展開図である。(c)は本発明に係る実施例1の左前身頃の裁断形状を示す展開図である。
図4】本発明に係る実施例1の裁断後の左右のそれぞれの身頃の突き当て端縁を接続し、右前身頃にボタンを取り付け、左前身頃に見返しを取り付け、それぞれの前身頃の折曲部を折曲した状態を、前側左斜め上方から見た斜視図である。
図5】(a)は図4の左身頃に左前身頃を接続し、右身頃に右前身頃を接続した状態を前側左斜め上方から見た斜視図である。(b)は(a)のα部の拡大図である。
図6図5の左右1組の身頃を互いに接続し、ウエストゴムを装着する直前の状態を前側左斜め上方から見た斜視図である。
図7図6のウエストゴムを接続して完成した実施例1の男性用パンツ1Vの左側を透視して前側左斜め上方から見た斜視図である。
図8】既設パンツの左身頃の裁断形状を示す参考展開図である。
図9】本発明に係る実施例1の男性用パンツ1Vを着用するとき、男性性器との位置関係を示す正面図である。
図10】(a)は図9の男性用パンツ1Vと人体を矢視β-βから見る断面図である。(b)は(a)の身頃股上前後長さの配分に関する説明図である。
図11】(a)は図10(a)の男性用パンツ1Vと人体を矢視ε-εから見る断面図である。(b)は(a)のη部の拡大図である。
図12図10(a)の男性用パンツ1Vと人体を矢視ζ-ζから見る、男性性器との位置関係を示す断面図である。
図13】(a)は図9の男性用パンツ1Vと人体を矢視γ-γから見る平面図である。(b)は(a)のν部の拡大図である。
図14】(a)は図9の男性用パンツ1Vと人体を矢視δ-δから見る底面図である。(b)は(a)の正立位時から開脚時への形態の変化を説明する底面図である。
図15】実施例2の男性用パンツ2Vを前側左斜め上方から見た斜視図である。
図16】本発明に係る実施例の男性用パンツVの上にズボンを着用するとき、男性性器との位置関係を側面から見る断面図である。
図17】本発明に係る実施例1の男性用パンツ1Vの股下収納室に吸水材を設置するとき側面から見る断面図である。
図18】本発明に係る実施例3の男性用パンツ3Vの正面図である。
図19】本発明に係る実施例4の男性用パンツ4Vの身頃の裁断形状を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
この明細書の図面において、煩雑さをまねく構成となることを避け理解の便宜のために、接続部は生地片の端縁を突き当て接続する表現に簡略化し、仕上げ代(縫い代)を省略している。ボタン止め前立ては2枚仕立て裁断となる箇所を1枚の生地片で簡略化している。立体を表すパンツの生地片にはよれがあり、接続部や外形線が完全な直線や円弧になることはないが完全な直線や円弧で簡略化して図示している。
【0043】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図面上で符号の末尾、または末尾の数字の前に表記するf、b、R、L、C、の符号は同一部材の前、後、左、右、中央の識別のために用いる。図面上のf、b、R、L、U、Dの符号付き矢印はパンツを着用する身体の向きに適合し、パンツの正面に向かって右側がパンツの左側になる。
【0044】
本発明に係る実施例1の男性用パンツ1Vの身頃は、すべて非伸縮性の生地、具体的には木綿である。図示例では、左身頃1ALと右身頃1ARとが接続されて構成されている。下着着用時に、左身頃1ALは着用者の左側の臀部や腰を覆い、右身頃1ARは右側の臀部や腰を覆い、左右対称に配置された同形のものである。実施例4に示すように左右の身頃を1枚仕立てに合成して形成することも可能である。
【0045】
本発明に係る実施例1の男性用パンツ1Vの前身頃1Gは、身頃の上下方向に接続する垂設部1Gfと前後方向に接続する底部1Gjを形成し、左右に分割するものを接続して構成されている。分割部の端縁にボタン止め前立て1Haとひだ1Ggを形成するうえで好都合であり、前記分割部を接続してパンツが完成する。なおボタン止め前立てHaについては前身頃1Gに必ずしも必要としない場合もあり得るので任意に配設する。
【0046】
図1図2および図3は男性用パンツ1Vを構成する生地片の裁断図であり、前記裁断図は着用時のパンツを外側から展開し、外側から投影する図である。図1図2の生地片1AL、1ARは一対の左身頃及び右身頃である。図3(a)(c)の生地片GL、GRは後に前身頃1Gとして接続する一対の左前身頃GL及び右前身頃GRであり、持ち出し部Heを除けば左右相称形状に裁断されている。図1の右身頃1ARについて説明すると、直線辺(303−305)で身頃前方の前突き当て端縁1EBRfと、直線辺(308−310)で身頃後方の後突き当て端縁1EBRbは、後に股間で互いに突き当て接続することで右の股下と脚裾口を形成する。直線辺(301−302)の上端縁1AORは後にパンツのはき口周縁の右側の一部を形成する。具体的な実施例1の上端縁1AORの長さ1Dhは430mmである。屈折する2本の直線辺(305−307)、(307−308)の下端縁1AURは後に右脚裾口となる。具体的な実施例1の下端縁1AURの長さ1Djは600mmである。凹弧状辺(301−310)はパンツの後方で股上前後に重複する端縁の後股上前後端縁1EEbであり、後に左身頃の同じ後股上前後端縁1EEbと互いに接続して後股上前後および後股グリを形成する。同じく凹弧状辺(302−303)はパンツの前方で股上前後に重複する端縁の前股上前後端縁1EERfであり、後に左身頃の同じ前股上前後端縁1EELfと下端部で接続してV字状の前股上前後および股下収納室の出入り口として穿設する開口部の端縁を形成するが、実施例2のように左右の前股上前後端縁を互いに接続して構成する場合もある。以上が右身頃1ARを形成する端縁部の構成であり、左右相称形状で図2の左身頃1ALの端縁部の構成についても同様に適合するので説明を省く。
【0047】
図1の右身頃1ARの接続線について説明すると、右身頃1ARに図示する二点鎖線は生地片に線があるわけではなく、説明の便宜上設けた接続位置を表す線である。線分(302−306)は後に前身頃1Gの垂設部側端縁と接続する接続線+1PcRである。点306は前身頃1Gの垂設部から底部への方向の切り替線との交点であり、実施例1では弧状に切り替えるが、前身頃の構成によっては実施例2のように鋭角に切り替えることも可能である。弧状線(306−304)と線分(309−311)は、突き当て端縁1EBRfと1EBRbの接続後は点309と点304が互いに重複して後に前身頃底部の側端縁へ接続する接続線+1PaRを形成する。線分(341−312)は後に前身頃GRの下端縁を接続する接続線+1PeRである。以上が右身頃1ARに形成する接続線の構成であり、左右相称形状で図2の左身頃1ALの接続線の構成についても同様に適合するので説明を省く。
【0048】
図3(a)の右前身頃GRは垂設部1Gfと底部1Gjおよびひだ部1Ggによって構成する。直線辺(102−110)の上端縁1GeOは後にパンツのはき口周縁の前方の一部を形成する。直線辺(102−103)は後に右身頃1ARの接続線+1PcRに接続する垂設部1Gfの右側端縁1PcRである。凸弧状辺(103−104)は後に右身頃1ARの接続線+1PaRに接続する底部1Gjの右側端縁1PaRである。端縁に屈折する2本の直線辺(104−105)、(105−106)は本発明で特に重要なひだ1Ggを形成する下端縁1PeRであり、後に右身頃1ARの接続線+1PeRに接続する。下端縁1PeRにハッチングを施したのは理解の便宜のためであって断面の図ではない。
【0049】
二点鎖線の線分(103−108)は垂設部1Gfから底部1Gjへの切り替え位置を表す切り替え線Pdであり、図面に向かって奥側に緩やかに曲面で折り曲げる折曲開始位置を表す。同じく二点鎖線の線分(104−107)も図面の奥側に折り曲げる折曲線その1の1Pg1であり、この折曲によりひだ1Ggが上方に凸設する。二点鎖線の線分(105−107)は図面の手前側に折り曲げる折曲線その2の1Pg2であり、この折曲により右身頃1ARの1本の接続線+1PeRに対して、屈折する2本の直線辺(105−106)、(105−106)の下端縁1PeRを接続することが可能になる。よって前記2本の直線辺の長さは図1の右身頃1ARの1本の接続線+1PeRの長さ1Dsに等しく、実施例1では具体的には略7.5cmほどにしている。直線辺(101−110)と弧状辺(109−110)は前立ての持ち出し部Heであり、所定の位置にボタンCaを装着する。以上が右前身頃GRの端縁部の構成であり、持ち出し部Heを除けば左右相称形状である図3(c)の左前身頃GLの端縁部の構成についても同様に適合するので説明を省く。
【0050】
図3(b)の見返しGcについて説明すると、生地片に前記持ち出し部HeのボタンCaに対応する位置にボタンホールCbが穿設されている。直線辺(151−152)と弧状辺(151−153)は後にそれぞれ左前身頃1GLの接続線(119−120)等に接続する。線分(154−155)は後に前立て開口部の下端を形成する接続線である。
【0051】
図4図5および図6は本発明に係る実施例1の完成図の図7に至るまでの製造過程を説明する斜視図である。木綿に図示するような形態を保つ性状はないが説明の便宜上、硬い性状のシートに例えて図示している。図4について説明すると、左身頃1ALの前突き当て端縁1EBLfと後突き当て端縁1EBLbを互いに突き当て接続し、右身頃1ARの前突き当て端縁1EBRfと後突き当て端縁1EBRbを互いに突き当て接続しているので、端点305、308と端点335、338がそれぞれ重複している。前記突き当て接合により左右の左脚裾口1NaLと右脚裾口1NaRが形成される。右前身頃GRは切り替え線Pdで折曲して前身頃の底部1Gjを形成し、さらに折曲線その1の1Pg1と折曲線その2の1Pg2を段落番号0049に記載するように折曲してひだ1Ggを形成し、左前身頃GLも同様に折曲線を折曲して上方に凸設するひだ1Ggを形成している。左前身頃GLの弧状接続線(120−119)と見返しGcの一部の弧状端縁(151−153)の接続を終えて次の接続工程に移行する。
【0052】
図5(a)について説明すると、図4で準備した左右の前身頃GL、GRの折曲によって形成した垂設部1Gfと底部1Gjの端縁部を左右の身頃1AL、1ARに接続する工程である。右前身頃GRでは前身頃垂設部1Gfの右側端縁1PcR、前身頃底部1Gjの右側端縁1PaR、ひだ1Ggの右下端縁1PeR、がそれぞれ接続済である。当該接続により右身頃1ARの切り替え点306と右前身頃GRの切り替え点103とが互いに重複している。左前身頃GLの左身頃1ALへの接続についても同様に適合する工程であり、説明を省略する。
【0053】
図5(b)のα部の拡大図について説明する。右下端縁1PeRは右の股下1ERに接続しており、ひだ1Ggが前記股下表面に連設して構成されることを示している。中央分割端縁1GgeCは後に左身頃側の中央分割端縁1GgeCと互いに接続する。前突き当て端縁1EBRfと後突き当て端縁1EBRbを互いに突き当て接続する部分が右側の前股上前後端縁EERfと後股上前後端縁1EEbとの境界点1Xであると同時に、股下収納室開口部1Uの下端であることを図示している。底部1Gjから端点303までの長さが股下収納室1Jの最も浅い箇所の深さ寸法となり、具体的には実施例1では略6cmとした。なお前記したように端点311から点312までの接続線+1PeRの実施例1での長さ(図1の寸法1Ds)は略7.5cmとしたが、これらの寸法は後にパンツの他の部分の寸法の説明の為に仮決めするものであり、任意に設定して構わない数値である。
【0054】
図6について説明すると、図5(a)で左右の互いに対峙する位置に現れた前身頃の中央分割端縁1GeCの一部を除いて接続して底部1Gjを形成し、さらに左右の中央分割端縁1GgeCを互いに接続してひだ1Gを形成する。身頃の後股上前後端縁1EEbを接続して後股グリ1Wと後股上前後1EAおよびはき口1Yを形成する。結果ひだ1Ggは底部1Gjの裏面で、左右方向の中心部から上方に凸設するひだを形成すると同時に、後股グリ1Wの表面に連設して形成されることになり、収納室を拡張するひだでありながら股グリの機能を兼ねている。さらに前記ひだ1Ggは前身頃の垂設部1Gf側には現れない位置に設けられており、これにより、下着姿の男性性器の配置を目立たなくするファッション上の効果がある。当該工程で左右の前股上前後端縁1EERfおよび1EELfによって股下収納室の開口部1Uが形成される。具体的な実施例1の前記接続後の前身頃1Gの幅1Diは180mmである。前身頃の中央分割端縁GeCを接続する工程で、端点101、152、151、110の順に接続し、さらに端点155、154、107の順に接続すると端点151、155と152、154間が非接続区間になるために前立ての開口部が穿設される。接続線(155−154)は開口下端Haaを形成する。ウエストゴム1Kを接続する準備を整える。
【0055】
図7について説明すると、図6で形成するはき口1Yにウエスト装着手段を接続して男性用パンツ1Vが完成し、左半分を透視する斜視図を示す。実施例1ではウエスト装着手段としてウエストゴム1Kを用いるが、はき口1Yの周縁に紐の通路を設けて紐で縛ったり、マジックテープ(登録商標)を用いたりしてもウエストへの装着は可能である。図7により意匠上、既存のボクサーショーツに近いことが理解できる。
【0056】
図9以降の説明の前に既存の男性用パンツの寸法関係の確認のために、図8の既存の男性用パンツの左右相称形の身頃において、左身頃の生地片の裁断図の各寸法と、表1の寸法の関係について説明する。本明細書に記載する男性用パンツの具体的な寸法値は全てMサイズを基準とし、Mサイズとは非特許文献2の表14で呼び方MY、MA、MBの対象者に適合するサイズである。本明細書の表1、表2、表3のMサイズの対象者として記載する身体の計測部位の平均値は、非特許文献1の個人の計測データから女性の分を排除し、さらに非特許文献2の呼び方MY、MA、MB、のチェスト、身長、ウエストの寸法に適合しない分も排除して、殿囲、股上前後長、大腿囲の平均値を独自に算出した。従って全個人の計測データを基にする同文献の同名項目の平均値とは内容が異なる。
【0057】
表1は非伸縮性生地の既存のMサイズのパンツ寸法と着用者の身体寸法を対比する表である。表2は非伸縮性生地の本発明品のMサイズのパンツ寸法と着用者の身体寸法を対比する表である。図8の左の身頃ALの生地片の上端縁AOLの長さDhを2倍にすると、表1の既存パンツの殿囲周長に該当する。厳密には長さDhはウエスト部分の長さであるが、図示するように前股上前後端縁および後股上前後端縁と上端縁AOLの成す角度を略直角に形成するため、はき口の周長は殿囲周長にほぼ等しい。前記生地片の下端縁AULの長さDjに股マチ布Ccの長さDqを加えると、表1の既存パンツの脚裾口周長に該当する。前記生地片の前股上前後端縁1EERfの弧状辺の長さDeと、後股上前後端縁EEbの弧状辺の長さDdと、股マチ布Ccの長さDqをすべて加算すると表1の既存パンツの身頃股上前後長さDcに該当する。
【0058】
表1の既存パンツの殿囲周長1059mmから着用者の殿囲910mmを差し引くと余裕値149mmとなり、着用者の殿囲寸法に対して16%の余裕をみていることになる。表1の既存パンツの脚裾口周長603mmから着用者の大腿囲542mmを差し引くと余裕値61mmとなり、着用者の大腿囲寸法に対して11%の余裕をみていることになる。同じく表1の既存パンツの身頃股上前後長さ697mmから着用者の股上前後長575mmを差し引くと余裕値122mmとなり、着用者の股上前後長に対して21%と、他よりやや大きく余裕を持たせていることになる。この表の余裕値に関し、殿囲周長や脚裾口周長の余裕は少ないことでファッション性が向上するのに対して、身頃股上前後長さの余裕が少ないと男性性器の配置が目立ちやすくなりファッション性が低下することを避けるために余裕値を大きめにしていると推測される。
【0059】
【表1】
【0060】
図9乃至図14は本発明の実施例1に係る男性用パンツ1Vを着用するときに、異なる方向から様々な態様について説明する図である。図9は実施例1の男性用パンツ1Vを着用するとき、男性性器との位置関係を示す正面図である。正面から見て左右の前股上前後端縁1EERfおよび1EELf、は大略V字状の股下収納室開口部1Uを形成して男性性器Sの全体幅よりも十分に広いので、着用時に特別な操作を必要とせずに男性性器Sを収納し、スムーズに着用できることを表現している。前立て開口部Hdの前あき口下端Haaと前ウエストMfの高さ寸法1Dtは排尿に直接的な影響があるので説明する。既存製品のボクサーショーツの前あき口下端における前記高さ寸法1Dtの平均値は表1の通り略186mmで作られている。一方既存製品の男性用ズボンの前あき口下端における高さ寸法1Dtの平均値は略215mmで作られている。これは男性用パンツのウエストはき口からの股上前後深さが男性用ズボンの股上前後深さよりも略3cmほど浅いことに起因している。本発明の男性用パンツ1Vに前股グリを設けないことにより、開口下端Haaを男性用ズボンと同等の高さに設定することができる。前記開口下端Haaの高さを男性用ズボンと同等の高さに揃える効果として排尿時に男性性器の出し入れ動作がスムーズになる効果がある。なお前記開口下端の高さが低すぎるとズボン側の股グリにパンツ側の開口下端が干渉する結果、ボタン止め前立てのスムーズな開閉動作に支障を生じる恐れがある
【0061】
図10(a)は図9の矢視β−βの断面である。男性用パンツ1Vを着用する男性Mの男性性器Sは、股下収納室1Jの内部で陰茎Sbと陰嚢Saが下向きに垂れた状態で収納されている。殿溝Mhは右身頃1ARによって完全に覆われている。男性性器Sの形状は個人差があり、また気温によって変化するため、陰嚢Saは図の状態よりも委縮して底部1Gjから上に浮き上がる場合もあり、図の状態よりも更に垂下して底部1Gjに載置される場合もあり得る。右側の前股上前後端縁1EERfは会陰部Meから大腿部Mgと陰嚢Saの間を通過して、はき口1Yの周縁で前ウエストMf近傍の右側に到達する。後股グリ1Wを形成する後股上前後端縁1EEbは会陰部Meから肛門Maを経て殿裂Md沿いに通過して後ウエストMbに到達し、後股グリ1Wに境界点1Xで連続している右側の前股上前後端縁1EERfは会陰部Meから大腿部Mgと陰嚢Saの間を通過して、はき口1Yの周縁で前ウエストMf近傍右側に到達する。前股上前後端縁1EERfと後股グリ1Wには大腿部の付け根の肌に密着させる力は作用しておらず通気性が確保されているため、既存のボクサーショーツ同様の蒸れることのない良好な装用感が得られる。
【0062】
図10(b)について説明すると、図10(b)は図10(a)の前股上前後端縁1EERfと後股上前後端縁1EEbの長さの配分に関する説明図である。厳密には発明品の前股上前後端縁1EERfは既存のパンツの前股上前後端縁と異なり、前股上前後端縁1EERfの起点がウエストの左右の中心である前ウエストMfから、ウエストゴム1K装着前に図6で示す前身頃の幅1Diの半分(90mm)ほど、パンツ着用後は図11(a)の−1Diの半分(60mm)ほど、左右に離れており、前ウエストMfを起点とする既存のパンツの身頃股上前後長さと同一に比較することはできない。そこで非特許文献1の股上前後長の長さの定義に基づく長さと、前記前身頃の幅1Diの半分ほど前ウエストMfから離れた位置での長さを比較して、その差(マイナス7mm)を既存のパンツの身頃股上前後長さに適合する寸法1Dcに補正し、Mサイズ対象者の股上前後長の平均値と対比したのが表2である。
【0063】
【表2】
【0064】
表2の通りマイナス7mmを補正する発明品のパンツの身頃股上前後長さ1Dcは590mmであり、表1の既存品のパンツの697mmに比べて11cm近く短く、身体の股上前後長575mmに対して僅か3 %の余裕しかない値が本発明の重要な要件である。この結果、左右の前股上前後端縁1EERfおよび1EELfは大腿部Mgの付け根付近から鼠径部にかけて遊びが少ない状態に維持されて、男性性器Sを大腿部Mgから確実に隔離することが可能になる。前記前股上前後端縁が既存のボクサーショーツのように股間から離れていないので、逆立ちなどの激しい運動に対しても男性性器Sは股下収納室1Jから脚挿通穴側に逸脱することなく保持される。大腿部の動きに身頃が追随することで、前股上前後端縁が股間の肌に当接しても密着しないように適度の隙間を形成することとなり、股下収納室1Jの通気性が確保されている。脚裾口はボクサーショーツ同様の通気性を有していながら男性性器を隠蔽する機能が十分で、股下収納室1Jの底部1Gjで尿垂れによるズボンへの尿の落下を防ぎ衛生的に優れている。脚裾口周長や殿囲周長については既存のパンツの寸法と略同等である。
【0065】
図10(b)の前股上前後端縁1EERfの長さ1Deと後股上前後端縁1EEbの長さ1Ddについて説明する。パンツの股上前後長1Dcをどのように配分するかという前提として、前股上前後端縁1EERfは股下収納室入り口を構成し後股上前後端縁1EEbが後股グリを構成しているので、股下収納室1Jには男性性器Sを収納し、後股グリは肛門を被覆するために最も適切な位置が前提になる。従って本発明の右側の前突き当て端縁1EBRfと後突き当て端縁1EBRbの突き当て位置、即ち境界点1Xの配置は図10(b)に図示するように会陰部Meの真下になることが最も好ましい配置になる。このとき長さ寸法1Deと長さ寸法1Ddの比率は着用者の体格がMサイズより大きくても小さくても大きく変わらないと想定される。ただし年齢あるいは人種において骨盤の前傾角度には大きな違いあることも知られており、現時点で前記比率についてすべての男性に適合する汎用性のある数値は特定することができない。具体的な1例として本発明のMサイズのパンツの股上前後端縁長さに適合する長さ1Dc590mmに対し、前股上前後端縁長さ1De254mm(7mm補正前は261mm)、後股上前後端縁長さ1Ddは336mmとし、全体寸法1Dcに対する1De対1Ddの比率が略43%対57%となる設定で、一部の日本人のMサイズの適合者にとって好適な比率の男性用パンツ1Vを提供することができた。
【0066】
図11(a)は図10(a)の男性用パンツ1Vを矢視ε-εから見る断面図である。股下収納室1Jの股下収納室開口部1U(前股上前後端縁1EERfと1EELf)が大略V字状を呈している。図11(b)は図11(a)のη部の拡大図であり、主としてひだ1Gg部を示す。この図で左右の股下1EL、1ERは接近しているためひだ1Ggは閉じられている状態である。
【0067】
図12図10(a)の矢視ζ-ζから見る男性用パンツ1Vと男性性器Sとの位置関係を示す断面図である。陰茎Sbが股グリによって左右いずれかの配置を余儀なくされる既存のパンツと異なり、陰茎Sbは下腹部の中央にある。本発明の実施例1の左右の身頃1AL、1ARはこのような完全な円弧状の線でなく説明の便宜上、よれを無くして簡略化して表現している。男性性器Sは前身頃1Gなどに圧迫されることなく、十分な広さの大略扇状の収納空間を形成する股下収納室1Jに収納されている。大腿部Mgと陰嚢Saの間に左右の股下1EL、1ERの布地辺が介在して互いを隔離しており、さらに前身頃1Gの垂設部1Gfの左右方向へのぶれを抑えている。従って前開き口が左右にぶれて排尿時に前開き口を探す時間を要することを抑止する効果がある。
【0068】
図13(a)は図9の男性用パンツ1Vを矢視γ-γから見る平面図であり、ハッチング部分は股下収納室1Jの開口部の形状を強調して示すものであり、断面図ではない。左右一対の股下部1ELおよび1ERの表面と、前身頃1Gの裏面とが、ともに大略扇状の股下収納室空間を形成している。男性用パンツ1Vを履くときに、はき口1Yのウエストゴム1Kを手で上に引き上げると、生地に作用する張力により開口部は図示するように男性性器に対して十分な広さで開口しており、特段の操作を要することなく、男性性器が股下収納室1Jに収納されることを理解できる。さらに前記開口部は上方から目視できることも確認できる。図13(b)は図13(a)のν部の拡大図である。ひだ1Ggの左右の下端縁1PeL及び1PeRが後股グリ1Wに接続されている。境界点1Xの前方から左右の前股上前後端縁EEfLおよびEEfRが接続されることなく開放されて股下収納室の股下収納室開口部1Uを形成している。左右の突き当て端縁1EBLf、1EBLbおよび1EBRf、1EBRbと境界点1Xはたまたま同一場所に形成されているが、例えば実施例4のように、必ずしも突き当て端縁と境界点は同一位置に形成されるものではない。
【0069】
図14(a)は図9の男性用パンツ1Vを矢視δ-δから見る底面図である。図14(b)は図14(a)の足を閉じた状態から開脚時へ移行する際の変化を説明する底面図であり、(a)の底面図と対比すると開脚時にひだ1Ggが左右に開くことで、股下部分が大腿部の動きに追従していることが理解される。この機能は開脚時に限らず脚の前後運動の際にもひだ1Ggによって股下に伸縮性の自由度を付与する効果として重要であり、もしこの機能がなければ脚裾口周長を大きくして対応する必要があり、余分な生地がだぶついて非常に着心地が悪く、かつ見た目の悪いパンツになってしまう。表1と表2の脚裾口周長はほとんど同一寸法であり、実施例1の男性用パンツ1Vは脚裾口周長を大きくする方法では開脚動作に備えていないことを示している。
【0070】
図15について説明すると、はき口2Yにウエストゴム2Kを接続して本発明に係る実施例2の男性用パンツ2Vが完成する図である。男性用パンツ2Vの身頃は、すべて伸縮性の生地、具体的にはポリウレタン混紡生地などである。図示例では、左身頃2ALと右身頃2ARとが接続されて構成されている。下着着用時に実施例2と同様、左身頃2ALは着用者の左側の臀部や腰を覆い、右身頃2ARは右側の臀部や腰を覆い、左右対称に配置された同形のものである。前記身頃の殿囲周長、脚裾口周長、股上前後は、人体の殿囲、大腿囲、股上前後長の各寸法から略10乃至20 %ほどマイナスする長さに設定し、裁断する。このため実施例2の男性用パンツ2Vは既存のボクサーブリーフ同様、伸縮性の生地によって人体に密着状態で着用される。
【0071】
男性用パンツ2Vの前身頃Gは、身頃の上下方向に接続する垂設部2Gfと、身頃の前後方向に接続する底部2Gjとで形成し、垂設部2Gfと底部2Gjは分割されたものを接続して構成する。さらに垂設部2Gfは2枚重ねのブリーフ型前立てHcを構成するために内側と外側の2枚の生地片で構成し、底部2Gjも左右対称の2枚の生地片GuL、GuRに分割されたものを接続して構成する。なおブリーフ型前立てHcについては前身頃2Gに必ずしも必要としない場合もあり得るので、前記ブリーフ型前立てHcを配設しない場合の垂設部2Gfは一枚仕立てで構わない。
【0072】
左右の前股上前後端縁2EERfおよび2EELfを股下収納室開口部2Uとすることは実施例1と変わらないが、実施例1と比較して着用前の開口部2Uは図13(a)に示すハッチング部分のように大きく開いておらず、スリット状である。しかしながら縦長の開口部と生地の伸縮性の効果によって、着用時の男性性器は特段の操作を要することなく股下収納室2Jの所定の位置にスムーズに収納される。図15から意匠上、既存のボクサーブリーフに近いことが理解できる。
【0073】
図16は実施例2の男性用パンツ2Vの上に既存の上履きズボンQを着用するときの正面図を示す。前身頃底部2Gjの中央部を既存のズボンの股グリQaが持ち上げるため、男性用パンツ2Vには前股グリが形成されるので陰茎Sbは左右いずれかに移動させられる。前股グリが形成される現象は実施例1の男性用パンツV1の場合も同様である。しかしながら股下収納室2Jの左右の側壁(股下)によって前記左右方向への移動量が抑えられるため、既存のボクサーブリーフやボクサーショーツよりファッション性が向上する。
【0074】
図17は実施例1の男性用パンツ1Vの股下収納室1Jの底部1Gjに吸水材Tを敷いて使用している断面図である。尿漏れの症状が軽い場合はトイレットペーパー程度でも十分に実用的で取り換えに手間を要しない。股下収納室1Jには高吸水性高分子の専用パッドを配置するスペースとしても十分な容積が確保されている。
【0075】
図18は本発明の実施例3の男性用パンツ3Vの正面図である。前身頃G3の上端縁をはき口3Yでなく、その近傍に接続する例として本図を提示する。
【0076】
図19は本発明の実施例4の男性用パンツ4Vの身頃Aの裁断形状を示す展開図であり、身頃Aは1枚仕立てに合成しており、左右に分かれていない。ハッチング部分は後股グリ4Wを示しており断面図ではない。左右の前股上前後端縁4EELfおよび4EERfと同じ端縁部に境界点4Xを境に後股グリの後股上前後端縁4EEbが配設されている。中央の二点鎖線は後股上前後4EAの一部であり、前記後股上前後端縁4EEbを接続することで全体の後股上前後が完成する。
【産業上の利用可能性】
【0077】
パンツに設けた股下収納室のスペースは広大であり、尿吸収パッドを取り付けることができるので、一般男性だけでなく介護施設などにおいて介護の必要な男女共用のパンツに適用できる。構造も単純であり不識布や紙などの素材で使い捨てのパンツにも利用可能である。
【符号の説明】
【0078】
符号の説明において記号「*」には実施例1乃至4の数字を適用し、例えば実施例1の形態左身頃の場合、符号と説明の記号「*」には同じ数字の1を適用し「1AL」の符号を用い「実施例1の形態左身頃」の説明とする。同様に実施例2の形態左身頃の場合、記号「*」には2を適用し「2AL」の符号と「実施例2の形態左身頃」の説明とする。他の符号の説明も前記に準ずる。
【0079】
A 実施例4の形態身頃
AL 既存のパンツの形態左身頃
*AR 実施例*の形態右身頃、*AL 実施例*の形態左身頃
AO 実施例4の形態身頃上端縁
AOL 既存のパンツの形態左身頃上端縁
*AOR 実施例*の形態右身頃上端縁、*AOL 実施例*の形態左身頃上端縁
AUL 既存のパンツの形態左身頃下端縁、*AUR 実施例*の形態右身頃下端縁、*AUL 実施例*の形態左身頃下端縁
Ca ボタン、Cb ボタンホール
Dc 既存のパンツの身頃股上前後長さ、*Dc 実施例*の身頃股上前後長さ
Dd 既存のパンツの後股上前後端縁長さ、*Dd 実施例*の後股上前後端縁長さ
De 既存のパンツの前股上前後端縁長さ、*De 実施例*の前股上前後端縁長さ
Dh 既存のパンツの身頃はき口の長さ、*Dh 実施例*の身頃はき口の長さ
*Di 実施例*の前身頃はき口の長さ
Dj 既存のパンツの身頃脚裾口の長さ、*Dj 実施例*の身頃脚裾口の長さ
Dq 股マチ布の長さ
Dt 既存のパンツの開口下端までの長さ、*Dt 実施例*の形態開口下端までの長さ
*EA 実施例*の形態後股上前後
*EC 実施例*の形態股上
*EEb 実施例*の形態後股上前後端縁
*EL 実施例*の形態左身頃の股下、*ER 実施例*の形態右身頃の股下
*EERf 実施例*の形態右身頃の前股上前後端縁、*EELf 実施例*の形態左身頃の前股上前後端縁
*EBLb 実施例*の形態左身頃の後突き当て端縁、*EBLf 実施例*の形態左身頃の前突き当て端縁、
*EBRb 実施例*の形態右身頃の後突き当て端縁、*EBRf 実施例*の形態右身頃の前突き当て端縁、
*G 実施例*の形態前身頃、*Gf 実施例*の形態前身頃の垂設部、*Gj 実施例*の形態前身頃の底部
GL 左前身頃、GR 右前身頃、GT 外側の前身頃垂設部、GN 内側の前身頃垂設部、GuR 右の前身頃底部、GuL 左の前身頃底部、Gc 見返し
*GeC 実施例*の形態前身頃の中央分割端縁
*Gg 実施例*の形態ひだ
*GgeC 実施例*の形態ひだの中央分割端縁
Ha ボタン止め前立て、Haa ボタン止め前立ての開口下端、Hd ボタン止め前たて開口部、Hc ブリーフ式前立て、Hca ブリーフ式前立ての開口部、Hcc ブリーフ式前立て開口下端、He 持ち出し部
*J 実施例*の形態股下収納室、
*K 実施例*の形態ウエストゴム
M 着用者、Ma 肛門、Mb 後ウエスト、Mc 鼠径部、Md 殿裂部、Me 会陰部、Mf 前ウエスト、Mg 大腿部、Mh 殿溝、M1J 下腹部
*NaR 実施例*の形態右脚口裾、*NaL 実施例*の形態左脚口裾
*PaR 実施例*の形態前身頃の底部右側端縁、*PaL 実施例*の形態前身頃の底部左側端縁
+*PaR 実施例*の形態底部右側端縁接続線、+*PaL 実施例*の形態底部左側端縁接続線
*PcR 実施例*の形態前身頃の垂設部右側端縁、*PcL 実施例*の形態前身頃の垂設部左側端縁
+*PcR 実施例*の形態垂設部右側端縁接続線、+*PcL 実施例*の形態垂設部左側端縁接続線
Pd 前身頃切り替え線、PdOU 前身頃切り替え線かつ分割端縁
*PeR 実施例*の形態前身頃の右下端縁、*PeL 実施例*の形態前身頃の左下端縁
+*PeR 実施例*の形態前身頃の右下端縁接続線、+*PeL 実施例*の形態前身頃の左下端縁接続線
*Pg1 実施例*の形態ひだ折曲線その1、*Pg2 実施例*の形態ひだ折曲線その2
Q ズボン、Qa ズボンの股グリ
S 男性性器、Sa 陰嚢、Sb 陰茎、Sd 亀頭、
T 給水材
*U 実施例*の形態股下収納室の開口部
*V 実施例*の形態男性用パンツ
*W 実施例*の形態後股グリ
*X 実施例*の形態前股上前後端縁と後股グリの境界点
*Y 実施例*の形態はき口
【要約】
【課題】
ボクサーブリーフ型の陰茎を上向きにサポートして男性性器を大腿部から隔離、収納するパンツは存在したが、垂下する男性性器を大腿部から隔離、収納するボクサーショーツ型のパンツは、左右の股下の自由度が制限されるおそれや、ファッション性が低下する問題があり、実現していなかった。
【解決手段】
身頃の前方下腹部に開口部(1U)を穿設し、前記開口部を股上(1EC)から股下(1ER、1EL)まで前身頃で覆って、股下の生地片で男性性器と大腿部を隔離する収納室を設け、前記収納室に股グリ(1W)に連設するひだを形成して股下に接続する。前記ひだの伸縮性によって左右の股下の自由度が制限されることがなくなり、股グリの無い前身頃によって既存のボクサーショーツなどよりも男性性器の配置が目立たなくなり、ファッション性の優れたパンツになる。
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