特許第6821118号(P6821118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6821118
(24)【登録日】2021年1月8日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】野菜収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 27/00 20060101AFI20210114BHJP
【FI】
   A01D27/00
【請求項の数】1
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2016-167161(P2016-167161)
(22)【出願日】2016年8月29日
(65)【公開番号】特開2018-33328(P2018-33328A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【識別番号】110000899
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村並 昌実
(72)【発明者】
【氏名】高木 真吾
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
(72)【発明者】
【氏名】二宮 浩二
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−226110(JP,A)
【文献】 特開2013−042683(JP,A)
【文献】 特開2005−095093(JP,A)
【文献】 特開平08−320055(JP,A)
【文献】 特開平10−023813(JP,A)
【文献】 特開2001−008513(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1374886(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 59/00 − 59/06
A01D 13/00 − 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の走行輪(3L,3R)を備えるメインフレーム(9L,9R)に引起こし機構(100)と引抜搬送装置(200)を設け、前記引抜搬送装置(200)に茎葉部切断装置(400)を設け、該茎葉部切断装置(400)で切断した茎葉部を機体の側方に排出する野菜収穫機において、
茎葉部排出方向と逆側の前記走行輪(3L)への出力軸(6a)を伸縮して前記左右の走行輪(3L,3R)のトレッド幅を変更可能にすると共に、横移動する前記走行輪(3L)を浮上させた状態に支持するための上下スライドする支持ロッド(15)を設け、
前記メインフレーム(9L,9R)の後方にエンジン(4)を搭載し、該エンジン(4)を覆う原動カバー(16)を設け、
該支持ロッド(15)は上昇させて収納した時にロッド上端(15b)が前記引抜搬送装置(200)の後端や前記原動カバー(16)より上に突出しない構成とし、
前記支持ロッド(15)の下端を水平に曲げて接地部(15a)とし、横移動する前記走行輪(3L)を浮上させた状態に支持する時に該接地部(15a)の曲げ方向を前記茎葉部排出方向と逆側の前記走行輪(3L)側に向けたことを特徴とする菜収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大根や蕪等の根菜類を圃場から引き抜いて収穫作業を行う野菜収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
大根等の根菜類を圃場から引き抜く根菜類収穫機が特許文献1に記載されている。
【0003】
野菜収穫機は、野菜が植生した畝を跨いで走行しながら収穫作業をするが、畝幅は作物によって異なっているために、畝溝を走行する左右走行輪の幅(トレッド幅)を変更可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−32460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
野菜収穫機のトレッド幅変更機構は、圃場外で走行させながら変更する機構もあるが、構造が複雑であり圃場内にはトレッド幅を変更するために走行する空き地がない。
【0006】
本発明は、野菜収穫機のトレッド幅変更を簡単な構成で安全に行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0008】
請求項に記載の発明は、左右の走行輪(3L,3R)を備えるメインフレーム(9L,9R)に引起こし機構(100)と引抜搬送装置(200)を設け、前記引抜搬送装置(200)に茎葉部切断装置(400)を設け、該茎葉部切断装置(400)で切断した茎葉部を機体の側方に排出する野菜収穫機において、
茎葉部排出方向と逆側の前記走行輪(3L)への出力軸(6a)を伸縮して前記左右の走行輪(3L,3R)のトレッド幅を変更可能にすると共に、横移動する前記走行輪(3L)を浮上させた状態に支持するための上下スライドする支持ロッド(15)を設け、
前記メインフレーム(9L,9R)の後方にエンジン(4)を搭載し、該エンジン(4)を覆う原動カバー(16)を設け、
該支持ロッド(15)は上昇させて収納した時にロッド上端(15b)が前記引抜搬送装置(200)の後端や前記原動カバー(16)より上に突出しない構成とし、
前記支持ロッド(15)の下端を水平に曲げて接地部(15a)とし、横移動する前記走行輪(3L)を浮上させた状態に支持する時に該接地部(15a)の曲げ方向を前記茎葉部排出方向と逆側の前記走行輪(3L)側に向けたことを特徴とする菜収穫機とする。
本発明に関連する第1の発明は、左右の走行輪(3L,3R)を備えるメインフレーム(9L,9R)に引起こし機構(100)と引抜搬送装置(200)を設け、前記引抜搬送装置(200)に茎葉部切断装置(400)を設け、該茎葉部切断装置(400)で切断した茎葉部を機体の側方に排出する茎葉排出部材(290)を設けた野菜収穫機において、前記茎葉排出部材(290)の茎葉部排出方向と逆側の前記走行輪(3L)への出力軸(6a)を伸縮して前記左右の走行輪(3L,3R)のトレッド幅を変更可能にすると共に、横移動する前記走行輪(3L)を浮上させた状態に支持する仮支持部材(15)を設け、前記仮支持部材(15)は接地部(15a)を前記左右の走行輪(3L,3R)の出力軸(6a)より上昇させて収納状態とすることを特徴とする野菜収穫機とする。
【0009】
本発明に関連する第発明は、前記メインフレーム(9L,9R)の後方にエンジン(4)を搭載し、該エンジン(4)を覆う原動カバー(16)を設け、前記仮支持部材(15)を上下スライドする支持ロッド(15)を設け、該支持ロッド(15)は上昇させて収納した時にロッド上端(15b)が前記引抜搬送装置(200)の後端や原動カバー(16)より上に突出しない構成としたことを特徴とする本発明に関連する第の発明の野菜収穫機とする。
【0010】
本発明に関連する第発明は、前記左右の走行輪(3L,3R)のトレッド幅を最短縮した状態での左右中央近くに前記仮支持部材(15)を設けたことを特徴とする本発明に関連する第の発明の野菜収穫機とする。
【0011】
本発明に関連する第発明は、前記支持ロッド(15)の下端を水平に曲げて前記接地部(15a)とし、該接地部(15a)の曲げ方向を前記茎葉部排出方向と逆側の前記走行輪(3L)側に向けたことを特徴とする本発明に関連する第の発明の野菜収穫機とする。
【0012】
本発明に関連する第の発明は、前記引抜搬送装置(200)の下部に設ける前記茎葉部切断装置(400)を上下調整可能にすると共に上下範囲の外側を覆う茎葉部切断カバー(18)を設けたことを特徴とする本発明に関連する第の発明の野菜収穫機とする。
【0013】
本発明に関連する第発明は、前記茎葉部切断装置(400)を覆う前記茎葉部切断カバー(18)の前後に茎葉回転刃(410)との茎葉部の落下空間を設けたことを特徴とする本発明に関連する第の発明の野菜収穫機とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明で、仮支持部材(15)を上下スライドして固定する支持ロッドとしたことにより、構成が簡単になる。
本発明に関連する第発明で、茎葉排出部材(290)から機体の側方に排出される茎葉部が、横移動する茎葉部排出方向と逆側の走行輪(3L)への出力軸(6a)の伸縮機構や仮支持部材(15)に絡まることを防止できるので、左右の走行輪(3L,3R)のトレッド幅を変更して仮支持部材(15)を収納するとその接地部(15a)が出力軸(6a)より高くなるので、収穫作業中に接地部(15a)が作物に当たることが防止される。
【0015】
本発明に関連する第発明で、本発明に関連する第の発明の効果に加えて、仮支持部材(15)を上下スライドして固定する支持ロッドとしたことにより、構成が簡単になる。
【0016】
また、支持ロッド(15)のロッド上端(15b)が引抜搬送装置(200)や原動カバー(16)を低位置で収納して収穫作業を行うことにより、機体の後部にいる作業者の視界を支持ロッド(15)が遮ることなく、引起こし機構(100)と引抜搬送装置(200)の前方を見通して引起こし機構(100)が適切な位置になるように操縦して、収穫作業を確実に行える。
【0017】
本発明に関連する第発明で、本発明に関連する第の発明の効果に加えて、左右の走行輪(3L,3R)のトレッド幅を最も短縮した状態において、左右の走行輪(3L,3R)の左右中央近くに設ける仮支持部材(15)が機体の略重心位置を支持して機体を浮かせるので、安定した状態で茎葉部排出方向と逆側の走行輪(3L)を横移動させてトレッド幅変更作業を行うことができる。
【0018】
本発明に関連する第発明で、本発明に関連する第の発明の効果に加えて、支持ロッド(17)は、接地部(15a)の曲げ方向を茎葉部排出方向と逆側の走行輪(3L)側に向けていることで茎葉部排出方向と逆側の走行輪(3L)側に加わる機体の重量を接地部(15a)が効果的に受けることができる。
【0019】
本発明に関連する第発明で、本発明に関連する第の発明の効果に加えて、引抜搬送装置(200)で挟持されて後方へ送られる根菜類の茎葉部が上下調整された茎葉部切断装置(400)で適切に切断されるが、その外側が茎葉部切断カバー(18)で覆われて作業者の安全を確保できる。
【0020】
本発明に関連する第発明で、本発明に関連する第の発明の効果に加えて、茎葉部切断装置(400)で切断される茎葉部が、充分な茎葉部の落下空間で茎葉部切断カバー(18)との間に挟まって詰りを生じることを防ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】野菜収穫機として大根引抜機の全体を示す左側面図
図2】大根引抜機の平面図
図3】一部の表示を省略した大根引抜機の平面図
図4】大根引抜機の正面図
図5】引抜搬送装置の要部概略平面図
図6】(a)図5中におけるE−E断面矢視図、(b)図5中におけるF−F断面矢視図
図7】肩揃え装置の要部概略平面図
図8】別実施例の肩揃え装置として、左右一対の胴切り回転刃と第2茎葉回転刃を示す概略平面図
図9】トレッド調節機構とスタンドを備える大根引抜機の平面図
図10】胴部切断装置の拡大平面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の野菜収穫機の一例としての大根引抜機について図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1図4に示すように、本実施の形態の大根引抜機1は、機体の右前側に配置されたゲージ輪2と、駆動輪としての左右一対の後輪3L、3Rと、機体の動力源としてのエンジン4と、機体を操縦する操縦ハンドル5と、を備えている。
【0024】
エンジン4を搭載する原動部の前と上側は原動カバー16で覆っている。
【0025】
ゲージ輪2を回動可能に支持する支持ステー2aの上端部は、支持ステー移動機構10に連結されている。また、支持ステー移動機構10は、支持ステー2aにその一端が連結されると共に他端が支持ステー移動機構10を回動させる回動ハンドル10aの前端部に傘歯車を介して連結された調節ロッドを上下スライド可能に保持している。
【0026】
調節ロッドは、支持ステー2aに連結された一端側の第1ロッドと、傘歯車を介して回動ハンドル10aに連結された他端側の第2ロッド2bとから構成されている。第1ロッドは円筒状を成し、その内周壁面に雌ねじが形成された穴部を有し、第2ロッド2bは第1ロッドの穴部に挿入されており、その外周面において、第1ロッドの雌ねじと嵌合する雄ねじが形成されている。
【0027】
回動ハンドル10aを回動することにより、傘歯車を介して第2ロッド2bが回動すると、第1ロッドが、回動ハンドル10aの回動方向に応じて上方向又は下方向に移動する。第1ロッドはメインフレーム9Rに摺動可能に取り付けられている。
【0028】
これにより、第1ロッドの下端部に連結された支持ステー2aが上下方向(図1の矢印T参照)に移動すると共に、ゲージ輪2が上下方向に移動する構成である。
【0029】
また、これにより、大根引抜機1の前側の車高を自在に変更することが出来、引抜搬送装置200の前端部の圃場Vの畝面からの高さを調節することが出来る。
【0030】
また、第1ロッドを摺動可能に保持するメインフレーム9Rの保持部にアーム12aでバランスウエイト12が取り付けられている。
【0031】
エンジン4からの駆動力は、ミッションケース6及び当該ミッションケース6の左右方向に突出した出力軸6aを介して左右一対のチェーンケース7L、7R内のチェーン(図示省略)に伝達され、左右一対の後輪3L、3Rを駆動する。
【0032】
また、左右一対のチェーンケース7L、7Rは、作業者がチェーンケース回動ハンドル11L、11Rを回動させることにより、左右方向に突出した出力軸6aを回動中心として、矢印U方向(図4参照)にそれぞれ個別に回動可能に構成されている。これにより、大根引抜機1の後輪3L、3R側の車高を左右独立して調整することが出来る。
【0033】
なお、左側のチェーンケース7Lの位置は、出力軸6aを伸縮伝動可能にすることで左右方向に変更可能に構成されている。出力軸6aの外筒10bに設けるロックハンドル13で左側のチェーンケース7Lの位置を固定する。制限ワイヤー14で出力軸6aが伸び過ぎて左側のチェーンケース7Lが脱落するのを防いでいる。
【0034】
出力軸6aの前側で左メインフレーム9Lに仮支持部材となる支持ロッド15を上下固定位置変更可能に設けている。この支持ロッド15の下端は水平に屈曲させて接地部15aとしている。また、支持ロッド15の位置は左右後輪3L、3Rを最接近させた場合に左右中間近くの左側となる。
【0035】
左後輪3Lを左右に移動する場合には、支持ロッド15の接地部15aを畝面に接地させて固定して左後輪3Lを浮かせるが、接地部15aの曲げ方向を左後輪3Lの方向へ向けて機体の左荷重を安定して受けるようにし、支持ロッド15を収納する場合には接地部15aの曲げ方向を前方に向けて固定する。なお、この収納状態では支持ロッド15の上端15bが引抜搬送装置200の後端やエンジン4の上部を覆う原動カバー16より上に突出することなく、後部の操縦ハンドル5を持って歩きながら操縦する作業者の前方視界を遮らないようにしている。
【0036】
また、左右後輪3L、3Rに伝動するチェーンケース7L、7Rは回動してメインフレーム9L、9Rの地上高さを変更出来るようにしているが、支持ロッド15の接地部15aは収納状態で後輪3L、3Rの出力軸6aよりも高い位置となって、大根Wの茎葉部W1に接触することが無いようにしている。
【0037】
また 、左右一対の後輪3L、3Rの位置も、左右一対のチェーンケース7L、7Rの左右の何れの側にも取り付け可能に構成されている。
【0038】
これにより、車輪間隔を変更可能とすることで、例えば、2条植えや3条植え等、植付条数が異なる畝の場合でも、大根の引抜作業が行える。
【0039】
また、本実施の形態の大根引抜機1は、図1図4に示すように、
1.圃場Vに広がった大根Wの茎葉部W1を引き起こす引起こし機構100と、
2.引起こし機構100により引き起こされた大根Wの茎葉部W1を挟持したまま機体の走行速度と概ね同期して機体斜め上後方に向けて搬送することで大根Wを圃場Vから概ね垂直に引き上げる引抜搬送装置200と、
3.引抜搬送装置200の下方に水平配置され、引抜搬送装置200により搬送されてくる大根Wの茎葉部W1を引き継いで当該大根Wの本体部W2の上端の肩部W2aの、側面視での上下方向における位置を揃えると共に、茎葉部W1の下部を挟持したまま機体の走行速度と概ね同期して後方に搬送する肩揃え装置300と、
4.後述する胴部切断装置500により大根Wの本体部W2の上端部W2bの切断が開始された後、当該大根Wの茎葉部W1を、引抜搬送装置200により挟持される位置と肩揃え装置300により挟持される位置との間の所望の位置で切断する、円盤状の単一の茎葉回転刃410と、茎葉部W1が当該茎葉回転刃410に押されて逃げるのを防ぐために当該茎葉回転刃410側に茎葉部W1を案内する切断案内バー420と、を有する茎葉部切断装置400と、
5.肩揃え装置300の搬送路の搬送方向A’(図7中の矢印A’参照)を基準として、茎葉部切断装置400より上流側に配置された胴部切断装置500であって、茎葉部切断装置400により大根Wの茎葉部W1の切断が開始される前に、引抜搬送装置200と肩揃え装置300とにより茎葉部W1がしっかりと挟持された状態で大根Wの本体部W2の上端部W2bを切断する、左右一対の円盤状の胴切り回転刃510L、510Rを有する胴部切断装置500と、
を備えている。
【0040】
ここで、胴部切断装置500と茎葉部切断装置400の配置について、図7を用いて更に説明する。
【0041】
即ち、左右一対の円盤状の胴切り回転刃510L、510Rの、平面視で、後述する左右一対の肩揃えベルト310L、310Rにより形成される搬送路上(図7中の間隔J2を有する搬送路付近参照)に存在する部分の上流側の刃先の部位が、単一の茎葉回転刃410の、平面視で、上記搬送路上に存在する部分の上流側の刃先の部位より上流側に位置する様に構成されている。
【0042】
茎葉回転刃410は回転する円盤刃であるが、固定の直刃でも良く、この茎葉回転刃410を取り付ける部材を黄色や赤色に着色して刃物がその位置にあることを表示して注意を促すようにすると良い。
【0043】
なお、本実施の形態では、胴部切断装置500により大根Wの本体部W2の上端部W2bの切断が開始された後、茎葉部切断装置400が大根Wの茎葉部W1の切断を開始する構成について説明するが、これに限らず例えば、胴部切断装置500が大根Wの本体部W2の上端部W2bを完全に切断した後、茎葉部切断装置400が大根Wの茎葉部W1の切断を開始する構成であっても良い。
【0044】
エンジン4からの駆動力は、ミッションケース6の前端部から前方に突き出した伝動軸6bを介して引抜搬送装置に伝達されると共に、左右に配置された伝動ケース8L、8R内の伝動機構に伝達されて、肩揃え装置300、茎葉部切断装置400、及び胴部切断装置500を駆動する。
【0045】
胴部切断装置500の胴切り回転刃510L、510Rは、図10に示す左右側部を回転刃側面カバー520L、520Rで上下に胴切り回転刃510L、510Rが移動する範囲を覆っている。この回転刃側面カバー520L、520Rは赤や黄色に着色して内部に回転刃があることを表示して注意を促すようにする。また、回転刃側面カバー520L、520Rは半円状にしても良いが、図示の如く直線を繋いで多角半円状にしても良い。その際に、入口側520LF、520RFと出口側520LR、520RRは搬送路の前後に向かって鋭角に長くすることで内部に作業者の指先が入り難くすると良い。回転刃側面カバー520L、520Rの広くなる前側と後側の空間部は、外側面が茎や葉が内部に侵入するのを防ぎ内部の空間が広がって詰りの発生を防ぐ。
【0046】
なお、左右に配置された伝動ケース8L、8Rの前端部は、機体の骨格部分を構成する、側面視で略逆ヘの字形状で円筒状の左右一対のメインフレーム9L、9Rにそれぞれ固定された左右一対の伝動ケース支持ステー9La、9Ra(図1参照)により支持されている。
【0047】
また、引抜搬送装置200が有する左右一対の引抜搬送フレーム270L、270Rの前端部は、左右一対のメインフレーム9L、9Rの前端部にそれぞれ固定された左右一対の引抜搬送装置支持ステー201L、201R(図1参照)により、引抜搬送装置200が側面視で後方斜め上向きに所定角度で傾斜する様に下方から支持されて固定されている。また、引抜搬送装置200が有する左右一対の引抜搬送フレーム270L、270Rの後端部は、後述する伝達分岐ケース6d(図1参照)の上面部に固定された上部支持ステー205により支持されて固定されている。
【0048】
また、引抜搬送装置200は、少なくとも上面側が、左右一対の引抜搬送装置カバー202L、202Rで覆われている(図1図3参照)。左右一対の引抜搬送装置カバー202L、202Rについては更に後述する。
【0049】
上記構成により、本実施の形態の大根引抜機1は、前進走行しながら、引起こし機構100で大根Wの茎葉部W1を引起こしながら、引抜搬送装置200で大根Wの茎葉部W1を挟持して圃場Vから大根Wを引き上げて、胴部切断装置500により大根Wの本体部W2の上端部W2bの切断を開始した後、茎葉部切断装置400により茎葉部W1の上部の切断を開始することにより、大根Wを圃場Vの元の穴に戻すと共に、切断した部分を右側後方に排出する構成である。
【0050】
これにより、作業者は、大根Wを圃場Vから軽い力で抜き取ることが出来、且つ、後加工で大根Wの本体部W2の上端部W2bの切断作業を行う必要が無く、作業能率の向上や労力の軽減が図られる。
【0051】
次に、上述した引起こし機構100について、主として図1図3を用いて更に説明する。
【0052】
引起こし機構100は、図1に示す様に、
1.圃場Vの畝面に広がって伸びている大根Wの茎葉部W1の内、主として機体の左右幅方向に伸びている茎葉部W1を上方に引き起こす左右一対の縦引起こし装置110L、100Rと、
2.左右一対の縦引起こし装置110L、110Rの後側に配置され、縦引起こし装置110L、110Rによって上方に引き起こされた茎葉部W1を引き継ぐと共に、主として機体の前後方向に伸びている茎葉部W1を上方に引き起こす左右一対の横引起こし装置130L、130Rと、
3.これら左右一対の縦引起こし装置110L、110R、及び左右一対の横引起こし装置130L、130Rに駆動力を伝達する引起こし装置駆動機構150と、
を備えている。
【0053】
左右一対の縦引起こし装置110L、110Rのそれぞれは、上下一対の縦引起こし駆動プーリ111a及び縦引起こし従動プーリ111bと、これら上下一対の縦引起こし駆動プーリ111a及び縦引起こし従動プーリ111bに巻き回された無端ベルトであって外周面に細長い縦引起こし突起112aが複数形成された縦引起こしベルト112と、を備えている。
【0054】
また、左右一対の横引起こし装置130L、130Rのそれぞれは、上下一対の横引起こし駆動プーリ131a及び横引起こし従動プーリ131bと、これら上下一対の横引起こし駆動プーリ131a及び横引起こし従動プーリ131bに巻き回された無端ベルトであって外周面に細長い横引起こし突起132aが複数形成された横引起こしベルト132と、を備えている。
【0055】
また、引起こし装置駆動機構150は、図3に示す様に、エンジン4からの駆動力が伝動軸6bを介して入力される引起こし駆動チェーン伝動部151と、駆動チェーン伝動部 151からの駆動力を左側の横引起こし駆動プーリ131aに伝達するユニバーサルジョイント部152と、後端部に左側の横引起こし駆動プーリ131aが挿入固定され且つ前端部に第1傘歯車153aが挿入固定されており、左側の縦引起こし駆動プーリ111aに第1傘歯車153aを介して駆動力を伝達する第1伝動軸153と、両端部に第2傘歯車154aが挿入固定され且つその内側近傍に左右一対の縦引起こし駆動プーリ111a、111aが挿入固定された第2伝動軸154と、前端部に第3傘歯車155aが挿入固定され且つ後端部に右側の横引起こし駆動プーリ131aが挿入固定された第3伝動軸155とを備えている。
【0056】
また、引起こし駆動チェーン伝動部151は、図3に示す様に、伝動軸6bの前端部から左右方向に分岐された回転駆動力の内、左側に伝達される回転駆動力が入力される引起こし入力スプロケット151aと、当該回転駆動力を引起こし装置100側に出力する引起こし出力スプロケット151bと、それら引起こし入力スプロケット151a及び引起こし出力スプロケット151bに巻き回された引起こし伝動チェーン151cと、これらを収納する引起こし伝動チェーンケース151dと、を備えている。
【0057】
また、第1伝動軸153、第2伝動軸154、及び第3伝動軸155は、それぞれ、円筒状の金属製の第1パイプ部材153b、第2パイプ部材154b、及び第3パイプ部材155bにより覆われており、第1パイプ部材153bは、左側の横引起こし装置130Lと左側の縦引起こし装置110Lとを締結部材で連結固定する固定部材の機能を兼ねており、また、第2パイプ部材154bは、左側の縦引起こし装置110Lと右側の縦引起こし装置110Rとを連結固定する固定部材の機能を兼ねており、また、第3パイプ部材155bは、右側の縦引起こし装置110Rと右側の横引起こし装置130Rとを締結部材で連結固定する固定部材の機能を兼ねている(図2図3参照)。
【0058】
また、ユニバーサルジョイント部152は、蛇腹状のゴム製カバー152bにより覆われている(図2図3参照)。
【0059】
これにより、左右一対の縦引起こしベルト112は、左側面視で、時計方向に回動し(図1の矢印P参照)、左右一対の横引起こしベルト132は、矢印Q1、Q2方向(図4参照)に回動する構成である。
【0060】
また、左右一対の縦引起こし装置110L、110Rは、それぞれ、縦引起こし突起112aによる茎葉部W1の引起こし機能を効果的に発揮させると共にベルト及びプーリなどの回動部への茎葉部W1の巻き込みを防ぐために、下方及び前方に突き出した縦引起こし突起112aだけが完全に外に露出する様に、外側カバー113aと内側カバー113bとで両側が覆われている。
【0061】
また、左右一対の横引起こし装置130L、130Rは、それぞれ、ベルト及びプーリなどの回動部への茎葉部W1の巻き込みを防ぐために、前側カバー133aと後側カバー133bとで前後両側が覆われている。
【0062】
また、左右一対の縦引起こし装置110L、110Rのそれぞれを内側から覆う内側カバー113bの後端部は、左右一対の横引起こし装置130L、130Rのそれぞれを前側から覆う前側カバー133aに締結部材で連結固定されている。
【0063】
また、左右一対の横引起こし装置130L、130Rのそれぞれを後側から覆う、後側カバー133b、133bの背面側には、後述する、引抜搬送装置200の左右一対の引抜搬送フレーム270L、270Rの上面側に固定された左右一対の略逆U字形状のパイプ部材203L、203Rの前端部の側面にそれぞれの後端部が回動可能に連結された左右一対の平行リンクアーム160L、160Rのそれぞれの前端部が締結部材で連結固定されている(図1図3参照)。
【0064】
次に、引抜搬送装置200について、主として図5を用いて更に説明する。
【0065】
図5は、引抜搬送装置200の要部の概略平面図である。
【0066】
引抜搬送装置200は、図5に示す様に、
1.左右一対の無端状の引抜搬送ベルト210L、210Rと、
2.当該左右一対の引抜搬送ベルト210L、210Rを駆動するために後端側に配置された左右一対の引抜駆動プーリ220L、220Rと、
3.前端側に配置せれた左右一対の引抜従動プーリ230L、230Rと、
4.左右一対の引抜搬送ベルト210L、210Rのそれぞれの内側であって引抜従動プーリ230L、230Rの直後に配置され、大根Wの茎葉部W1を挟持するための強い押圧力を引抜搬送ベルトに付与するための4つの挟持ローラから構成された左右一対の挟持ローラ群240L、240Rと、
5.上記挟持ローラ群と引抜駆動プーリとの間において、挟持された茎葉部W1が搬送される搬送路に沿って搬送方向A(図5の矢印A参照)を基準として上流側から下流側に向けて配置された左右一対の第1テンションローラ250L、250R、左右一対の第2テンションローラ251L、251R、及び左右一対の第3テンションローラ252L、252Rと、
6.左側の引抜搬送ベルト210Lの外側と内側に配置され、左側のベルト全体のテンションを調節する左引抜テンションプーリ群260L、及び右側の引抜搬送ベルト210Rの外側と内側に配置され、右側のベルト全体のテンションを調節する右引抜テンションプーリ群260Rと、
7.内部が中空の略角柱部材であって、それぞれの後端部に軸受け部271を有する左右一対の引抜搬送フレーム270L、270Rと、
を備えている。
【0067】
左右一対の引抜駆動プーリ220L、220Rのそれぞれの駆動軸295の上端部は、左右一対の引抜搬送フレーム270L、270Rのそれぞれの軸受け部271により回動可能に支持されており、且つ、それぞれの駆動軸295の下端部は、左右一対のユニバーサルジョイント6c、6cに連結され、伝動軸6bの前端部から左右方向に分岐された動力が伝達される構成である(図1参照)。
【0068】
なお、左右一対のユニバーサルジョイント6c、6cのそれぞれの下端部は、平面視で略T字形状の伝達分岐ケース6d(図1図3参照)の左右両端の上下の部位に設けられた軸受け部材により回動可能に支持された垂直伝達軸6e(図1図3参照)の先端部に連結されている。伝達分岐ケース6dは、伝動軸6bを収納した伝動軸ケースの前端部に連結されており、伝動軸6bの前端部から左右方向に分岐された動力を上下方向に伝達する上記垂直伝達軸6eなどの伝動機構を収納している。
【0069】
また、左側の引抜従動プーリ230Lと左側の挟持ローラ群240Lは、左側の引抜搬送フレーム270Lの先端部の下面に位置変更可能に取り付けられた左側挟持力調整フレーム280Lに対して、それぞれ回動可能に装着されている。
【0070】
また、右側の引抜従動プーリ230Rと右側の挟持ローラ群240Rは、右側の引抜搬送フレーム270Rの先端部の下面に位置変更可能に取り付けられた右側挟持力調整フレーム280Rに対して、それぞれ回動可能に装着されている。
【0071】
更に、左右一対の挟持力調整フレーム280L、280Rのそれぞれには、左右方向に長い長孔281が前後2箇所に設けられており、その長孔281の範囲内で左右方向(図5中の矢印H参照)へスライド移動させて位置決めした後、ボルト・ナット等の締結部材282により、左右一対の挟持力調整フレーム280L、280Rのそれぞれを、左右一対の引抜搬送フレーム270L、270Rに固定する構成である。
【0072】
これにより、作業者が、締結部材282を緩めて左右一対の挟持力調整フレーム280L、280Rを左右方向(図5中の矢印H参照)へスライド移動させて位置決めした後、締結部材282により、左右一対の挟持力調整フレーム280L、280Rのそれぞれを、左右一対の引抜搬送フレーム270L、270Rにしっかりと固定することで、左右一対の引抜搬送ベルト210L、210R同士の間隔G(図5参照)を容易に調節することが出来る。
【0073】
よって、作業者は、大根Wの茎葉部W1の太さや作業時間朝露の有無に合わせて引抜搬送装置200の搬送路の上流側における挟持力を容易に調節することができるので、挟持力が弱すぎて、大根Wが圃場から引き抜かれず、人手で引き抜くという手間の発生が防止されると共に、挟持力が強すぎて、茎葉部W1を潰してしまい、肩揃え装置300が茎葉部W1を引き継ぐことが出来ず、大根Wの本体部W2の上端部W2bが残ったまま圃場の元の穴に戻されることを防止できるので、後工程で大根Wの本体部W2の上端部W2bを除去するという作業は発生しない。
【0074】
また、締結部材282を緩め、左右一対の挟持力調整フレーム280L、280Rのそれぞれをスライド移動させるという作業により、引抜搬送装置200の搬送路の上流側における挟持力の調節操作を簡単に行うことができるので、作業能率が向上する。
【0075】
なお、上述した締結部材282を用いて引抜搬送装置200の挟持力の調節操作を行う構成に代えて、例えば、レバー機構により、生食用の大根、加工用例えば、おでん用の大根、漬け物用の大根について、3段階に上記挟持力をワンタッチで切り換える構成としても良い。
【0076】
次に、左右一対の挟持ローラ群240L、240Rを構成する4つの挟持ローラについて、図6(a)、図6(b)を用いて説明する。
【0077】
図6(a)は、左右一対の挟持ローラ群240L、240Rを構成する4つの挟持ローラの内の二段式ローラ部材241aを説明するための概略図であり、図5中におけるE−E断面矢視図である。また、図6(b)は、左右一対の挟持ローラ群240L、240Rを構成する4つの挟持ローラの内の一段式ローラ部材241bを説明するための概略図であり、図5中におけるF−F断面矢視図である。
【0078】
左右一対の挟持力調整フレーム280L、280Rに装着された、左右一対の挟持ローラ群240L、240Rを構成する4つの挟持ローラは、図5に示す通り、左右一対の引抜従動プーリ230L、230Rに近い方から順に二段式ローラ部材A241a(図6(a)参照)が1つ、その次に一段式ローラ部材241b(図6(b)参照)が1つ、その次に二段式ローラ部材241a(図6(a)参照)が2つ、それぞれ配置されている(図1図5参照)。
【0079】
二段式ローラ部材241aは、図6(a)に示す様に、左右一対の引抜搬送ベルト210L、210Rのそれぞれの内壁面に接触する上下二段のローラが長軸241a1に回動自在に取り付けられており、その上下二段のローラの隙間に、左右一対の引抜搬送ベルト210L、210Rの内壁面から内側に向けて突き出したリブ状突起211が挿入されることで、ローラによる押圧力がベルト側に確実に伝わる構成である。
【0080】
一段式ローラ部材241bは、図6(b)に示す様に、左右一対の引抜搬送ベルト210L、210Rのそれぞれの内壁面に接触する上一段のローラが短軸241b1に回動自在に取り付けられており、その上一段のローラが、左右一対の引抜搬送ベルト210L、210Rの内壁面から内側に向けて突き出したリブ状突起211の上側に配置されたことで、上側のローラで押圧力をベルト側に伝達すると共に、そのローラの下側には空間を確保した構成である。
【0081】
また、一段式ローラ部材241bは、引抜搬送装置200から肩揃え装置300に大根Wの茎葉部W1を引き継ぐ位置に対応して配置されているため、引抜搬送装置200の底面側の一段式ローラ部材241bの上記空間に対して肩揃え装置300の左右一対の肩揃えベルト310L、310Rの前端部を挿入して配置することが出来るので(図6(b)参照)、引抜搬送装置200と肩揃え装置300との隙間を短く出来、茎葉部W1の引き継ぎが確実に行える。
【0082】
これにより、左右一対の引抜搬送ベルト210L、210Rのリブ状突起211の両側に二段式ローラ部材241aを接触させて挟持力を強めることにより、大根Wを引き抜く際の反力に負けて挟持状態が解除されることを防止できるので、圃場から大根Wを確実に引き抜くことができる。
【0083】
また、左右一対の引抜搬送ベルト210L、210Rにおいて、下段のローラの無い部分に肩揃え装置300の前端部を隣接配置させると共に、一段式ローラ部材241bによりベルトを介して茎葉部W1を挟持することが出来るので、肩揃え装置300に引き継ぐ際に茎葉部W1が脱落することが防止される。
【0084】
また、左側の引抜搬送フレーム270Lには、左側の第1テンションローラ250L、左側の第2テンションローラ251L、及び左側の第3テンションローラ252Lを、それぞれの一端部に回動可能に支持すると共に、それぞれの他端部に第1引張バネ250aの前端部、第2引張バネ251aの前端部、及び第3引張バネ252aの前端部が取り付けられた、第1回動アーム250b、第2回動アーム251b、及び第3回動アーム252bが、第1回動支点250c、第2回動支点251c、及び第3回動支点252cを中心として回動可能に取り付けられている。
【0085】
これにより、第1回動アーム250b、第2回動アーム251b、及び第3回動アーム252bには、ぞれぞれの後端部が左側の引抜搬送フレーム270Lの側面に固定されている、第1引張バネ250a、第2引張バネ251a、及び第3引張バネ252aの弾性力収縮力により、平面視で、常時、時計回りに回動しようとする付勢力が働いている。その付勢力により、左側の第1テンションローラ250L、左側の第2テンションローラ251L、及び左側の第3テンションローラ252Lは、左側の引抜搬送ベルト210Lの内周面を、それぞれ異なる押圧力で押圧する構成である。
【0086】
即ち、本実施の形態では、左側の第1テンションローラ250L、左側の第2テンションローラ251L、及び左側の第3テンションローラ252Lによる上記押圧力は、搬送路の上流側から下流側に向かうに従って弱くなる様に、第1引張バネ250a、第2引張バネ251a、及び第3引張バネ252aの弾性力が予め調整されている。
【0087】
また、右側の引抜搬送フレーム270Rについても、上述した左側の引抜搬送フレーム270Lと同様に、第1回動アーム250b、第2回動アーム251b、及び第3回動アーム252bが、第1回動支点250c、第2回動支点251c、及び第3回動支点252cを中心として回動可能に取り付けられている。
【0088】
これにより、右側の第1テンションローラ250R、右側の第2テンションローラ251R、及び右側の第3テンションローラ252Rは、右側の引抜搬送ベルト210Rの内周面を、この記載の順番に順次弱くなる様に予め設定された押圧力で押圧する構成である。
【0089】
また、引抜搬送装置200の後端部には、茎葉部切断装置400により切断された茎葉部W1を、右側の引抜駆動プーリ220Rの外周縁部の後方側を通り、機体の右側に向けて排出する様に、茎葉排出部材290が設けられている。
【0090】
茎葉排出部材290は、図2に示す様に、平面視で、略ヘの字状に湾曲し、当該湾曲部が、引抜搬送装置200の搬送路の出口側から右側の引抜駆動プーリ220Rの外周縁部の後方側に沿う様に、当該右側の引抜駆動プーリ220Rの上方と下方にそれぞれ配置された、断面が円形の棒状部材である上側茎葉排出ガイド291と、下側茎葉排出ガイド292とを備えると共に、右側の引抜駆動プーリ220Rの下方において駆動軸295上の上下異なる位置に着脱可能に装着された上下一対の引抜出口用スターホイル293、294から構成されている。
【0091】
上下一対の引抜出口用スターホイル293、294は、それぞれの外周縁部に凹部と凸部が交互に形成された略星型の板状部材であって、当該板状部材の中心部に右側の引抜駆動プーリ220Rの駆動軸295を貫通させるための貫通孔を有している。また、外周縁部に形成された複数の凸部は、平面視で、右側の引抜駆動プーリ220Rを取り囲む右側の引抜搬送ベルト210Rの外周縁部の背面側から外側に向けて突き出している。
【0092】
また、上側の引抜出口用スターホイル293は、側面視で、下側茎葉排出ガイド292の上方に配置され、また、下側の引抜出口用スターホイル294は、側面視で、下側茎葉排出ガイド292の下方に配置されている。
【0093】
上側茎葉排出ガイド291の基部291aは、左側の引抜搬送装置カバー202Lにボルトにより着脱可能に固定されており、上側茎葉排出ガイド291の先端部291bは、機体の右側に向けて伸びている。
【0094】
また、下側茎葉排出ガイド292の基部292aは、左側の引抜搬送フレーム270Lの内側側面に一端が固定され他端が下方に向けて伸びているガイド固定プレート(図示省略)に対してボルトにより着脱可能に固定されており、下側茎葉排出ガイド292の先端部292bは、機体の右側に向けて伸びている。
【0095】
なお、本実施の形態の上側茎葉排出ガイド291は、本発明の第1案内部材の一例にあたり、本実施の形態の下側茎葉排出ガイド292は、本発明の第2案内部材の一例にあたる。
【0096】
これにより、茎葉回転刃410により切断された茎葉部は、引抜搬送装置200の搬送路の出口側まで搬送された後、上下一対の引抜出口用スターホイル293、294の凹凸部と、下側茎葉排出ガイド292との間に保持されたまま、上下一対の引抜出口用スターホイル293、294の回動に伴って、上下一対の茎葉排出ガイド291、292の内周壁に沿って移動し、機体後方の右側に排出される。
【0097】
また、上下一対の引抜出口用スターホイル293、294は、上記貫通孔を境にして半分ずつに分割可能に構成されている。
【0098】
これにより、左右一対の引抜駆動プーリ220L、220Rを取り付けたまま、上下一対の引抜出口用スターホイル293、294を分割して脱着することが出来るので、左右一対の引抜駆動プーリ220L、220Rのそれぞれの駆動軸295の何れに対しても、上下一対の引抜出口用スターホイル293、294の装着を容易に変更することが出来る。また、上下一対の引抜出口用スターホイル293、294を、左右一対の引抜駆動プーリ220L、220Rの両方の駆動軸295に、それぞれ装着した構成としても良い。
【0099】
なお、本実施の形態の大根Wは、本発明の作物の一例にあたる。また、本実施の形態の茎葉部W1は、本発明の葉部の一例にあたり、本実施の形態の大根Wの本体部W2は、本発明の作物の本体部の一例にあたる。
【0100】
また、本発明の作物の本体部とは、作物の太くなっているところから下の部分(図1の符号W2参照)をいい、本発明の作物の葉部とは、作物の太くなっているところから上の部分(図1の符号W1参照)をいう。
【0101】
また、本実施の形態の引抜搬送装置200は、本発明の引抜搬送装置の一例にあたり、本実施の形態の肩揃え装置300は、本発明の位置揃え装置の一例にあたる。また、本実施の形態の茎葉部切断装置400は、本発明の葉部切断装置の一例にあたり、本実施の形態の胴部切断装置500は、本発明の本体部切断装置の一例にあたる。
【0102】
また、本実施の形態の左右一対の引抜搬送ベルト210L、210Rは、本発明の左右一対の無端状の引抜搬送ベルトの一例にあたる。また、本実施の形態の左右一対の引抜駆動プーリ220L、220Rは、本発明の左右一対の引抜駆動プーリの一例にあたり、本実施の形態の左右一対の引抜従動プーリ230L、230Rは、本発明の左右一対の引抜従動プーリの一例にあたる。
【0103】
次に、上述した肩揃え装置300について、主として図7を用いて更に説明する。
【0104】
図7は、肩揃え装置300の要部の概略平面図である。
【0105】
肩揃え装置300は、図7に示す様に、
1.上述した引抜搬送装置200の下方に配置された左右一対の無端状の肩揃えベルト310L、310Rと、
2.当該左右一対の肩揃えベルト310L、310Rを駆動するための後端側に配置された左右一対の肩揃え駆動プーリ320L、320Rと、
3.前端側に配置せれた左右一対の肩揃え従動プーリ330L、330Rと、
4.左右一対の肩揃え従動プーリ330L、330Rと左右一対の肩揃え駆動プーリ320L、320Rとの間に配置され、搬送方向A’(図7中の矢印A’参照)を基準として上流側から下流側に向けてそれぞれ等間隔で配置された左右一対の肩揃え第1ローラ340L、340Rと、左右一対の肩揃え第2ローラ350L、350Rと、左右一対の肩揃え第3ローラ380L、380Rと、左右一対の肩揃え第4ローラ390L、390Rと、
5.左側の肩揃えベルト310Lの外側と内側に配置され、左側のベルト全体のテンションを調節する左肩揃えテンションプーリ群360Lと、
6.右側の肩揃えベルト310Rの外側と内側に配置され、右側のベルト全体のテンションを調節する右肩揃えテンションプーリ群360Rと、
7.平面視で略長四角形状の板状部材であって、それぞれの前端部に、左右一対の肩揃え従動プーリ330L、330Rのそれぞれを下方側から回動可能に支持する従動プーリ支持部331を、その取り付け位置を変更可能に保持し(図7中の矢印H参照)、且つそれぞれの後端部に、左右一対の肩揃え駆動プーリ320L、320Rのそれぞれの肩揃え駆動軸321を回動可能に支持する駆動プーリ支持部(図示省略)が溶接固定された左右一対の肩揃えステー370L、370Rと、
を備えている。
【0106】
なお、左右一対の肩揃えステー370L、370Rは、左右一対の肩揃え駆動プーリ320L、320R及び左右一対の肩揃え従動プーリ330L、330Rの下面側に配置されており、且つ、それぞれの前端側に溶接固定された取り付けプレート(図示省略)を介 して、左右一対のメインフレーム9L、9Rの前端部に着脱可能に連結されている。
【0107】
また、左右一対の肩揃え駆動プーリ320L、320Rの肩揃え駆動軸321、321の上端部のそれぞれは、左右に配置された伝動ケース8L、8R内に収納された後述する左右一対の第1スプロケット610L、610R(図1図7参照)の回動軸に対してスプライン接続により着脱可能に挿入連結されている。
【0108】
なお、左右一対の円盤状の胴切り回転刃510L、510Rは、後述する左右一対の第2スプロケット620L、620R(図1図7参照)から下方に伸びた回動軸621、621に対して、ボス部511を介してスプライン接続により着脱可能に挿入連結されている。
【0109】
また、左右一対の円盤状の胴切り回転刃510L、510Rは、側面視で上下方向に互いに少しずれた位置に取り付けられ、且つ、それぞれの直径は、図7に示す様に、互いの回転刃の外周部が、平面視で、左右一対の肩揃えベルト310L、310R同士の間に形成される搬送路の下方において重なる様に設定されている。
【0110】
また、左右一対の円盤状の胴切り回転刃510L、510Rの上面の中心軸上に設けられたボス部511の高さは、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rが、回動軸621、621に対してスプライン接続により挿入連結された状態で、左右一対の肩揃えベルト310L、310Rの下面と干渉しない高さに設定されている。
【0111】
また、左右一対の第2スプロケット620L、620Rの回動軸621、621に対して挿入可能な円盤状又は円筒状の所定厚みのスペーサ(図示省略)が備えられている。そのスペーサを単数又は複数、回動軸621、621に挿入した後、そのスペーサの下端部から突き出した回動軸621、621に対し、ボス部511、511を介して、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rをスプライン接続することが出来る構成である。
【0112】
また、胴切り回転刃510L、510Rを左右一対設けたことにより、大根Wの上端部W2bを左右から挟み切ることができるので、大根Wの上端部W2bを完全に切断することができ、圃場Vから引き抜かれた大根Wの切断面が綺麗に仕上がる。
【0113】
また、左右一対の円盤状の胴切り回転刃510L、510Rのボス部511、511の上面と、左右一対の第2スプロケット620L、620Rの下面との間に上記スペーサを着脱可能に装着出来る構成としたことにより、大根Wの本体部W2の上端部W2bの切断位置を変更することができるので、大根の大きさや出荷時の条件に合わせた切断位置を実現することができ、作業能率が向上する。
【0114】
また、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rの上面には、その中心部に所定高さのボス(図示省略)が設けられており、
1.上記スペーサを装着していない場合は、左右に配置された伝動ケース8L、8Rの下面と、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rの上面との間に上記ボスの存在による一定の高さを確保することで一定の隙間を形成し、
2.上記スペーサを装着した場合は、左右一対の第2スプロケット620L、620Rの下面側に装着された上記スペーサの下面と、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rの上面との間に上記ボスの存在による所定高さを確保することで一定の隙間を形成する
構成である。
【0115】
これにより、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rの上面には、常に一定の隙間を確保出来るので、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rにより切断された大根Wの上端部W2b等の破片が、左右に配置された伝動ケース8L、8Rの下面と、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rの上面との間、或いは、左右一対の肩揃え駆動プーリ320L、320Rの下面側に装着された上記スペーサの下面と、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rの上面との間に、詰まることを防止出来るので、詰まった大根Wの破片を除去する作業が不要となる。
【0116】
また、上記スペーサが装着されない場合でも、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rの上面には所定高さのボス部511が設けられており、一定の隙間が確保されるので、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rが、左右一対の肩揃えベルト310L、310Lの下面と接触することが防止出来る。
【0117】
また、上述した通り、左右一対の肩揃えステー370L、370Rが、取り付けプレート(図示省略)を介して、左右一対のメインフレーム9L、9Rの前端部に締結部材、例えば、ボルトとナットで着脱可能に取り付けられると共に、肩揃え駆動軸321、321の上端部のそれぞれは、左右一対の第1スプロケット610L、610Rの回動軸に対してスプライン接続により着脱可能に挿入連結された構成としたことにより、茎葉部W1の切断位置を揃えない粗切り作業のみの場合は、肩揃え装置300を取り外すことができるので、対応可能な作業内容の幅自由度が広がる。
【0118】
また、左側の肩揃え第1ローラ340Lは、左側の肩揃えステー370Lの下面に位置変更可能に取り付けられた左側ベルト間隔第1調整プレート341Lに対して、回動可能に装着されている。
【0119】
また、右側の肩揃え第1ローラ340Rは、右側の肩揃えステー370Rの下面に位置変更可能に取り付けられた右側ベルト間隔第1調整プレート341Rに対して、回動可能に装着されている。
【0120】
更に、左右一対のベルト間隔第1調整プレート341L、341Rのそれぞれには、左右方向に長い長孔342が設けられており、その長孔342の範囲内で左右方向(図7中の矢印H参照)へスライド移動させて位置決めした後、ボルト・ナット等の締結部材343により、左右一対のベルト間隔第1調整プレート341L、341Rのそれぞれを、左右一対の肩揃えステー370L、370Rに固定する構成である。
【0121】
また、左側の肩揃え第2ローラ350Lは、左側の肩揃えステー370Lの下面に位置変更可能に取り付けられた左側ベルト間隔第2調整プレート351Lに対して、回動可能に装着されている。
【0122】
また、右側の肩揃え第2ローラ350Rは、右側の肩揃えステー370Rの下面に位置変更可能に取り付けられた右側ベルト間隔第2調整プレート351Rに対して、回動可能に装着されている。
【0123】
更に、左右一対のベルト間隔第2調整プレート351L、351Rのそれぞれには、左右方向に長い長孔342が設けられており、その長孔342の範囲内で左右方向(図7中の矢印H参照)へスライド移動させて位置決めした後、ボルト・ナット等の締結部材343により、左右一対のベルト間隔第2調整プレート351L、351Rのそれぞれを、左右一対の肩揃えステー370L、370Rに固定する構成である。
【0124】
また、左右一対の肩揃え第3ローラ380L、380Rと、左右一対の肩揃え第4ローラ390L、390Rについても、上述した左右一対の肩揃え第1ローラ340L、340Rと、左右一対の肩揃え第2ローラ350L、350Rと同様に、左右一対の肩揃えステー370L、370Rの下面に位置変更可能に取り付けられた左右一対のベルト間隔第3調整プレート、及びベルト間隔第4調整プレートに対して、それぞれ回動可能に装着されている。
【0125】
これにより、作業者は、左右一対の従動プーリ支持部331、331のそれぞれを左右一対の肩揃えステー370L、370Rに個別に固定している固定部材(図示省略)を緩めて、肩揃え装置300の搬送路の入り口側のベルト間隔J1が所望の寸法になる様に、左右方向(図5中の矢印H参照)へスライド移動させて位置決めした後、それぞれの固定部材により、左右一対の従動プーリ支持部331、331を左右一対の肩揃えステー370L、370Rにしっかりと固定する。
【0126】
更にまた、作業者は、締結部材343を緩めて、搬送路のベルト間隔が上流側から下流側に向かうに従って徐々に狭くなり、平面視で、胴部切断装置500(図1図7参照)により大根Wの本体部W2の上端部W2bの切断が開始される位置に概ね対応する、左右一対の肩揃え第2ローラ350L、350Rが対抗する位置におけるベルト間隔J2(図7参照)が最小寸法になる様に、左右一対のベルト間隔第1調整プレート341L、341R、及び、その下流側の左右一対のベルト間隔第2調整プレート351L、351R等を、それぞれ個別に左右方向(図7中の矢印H参照)へスライド移動させて位置決めした後、それぞれの締結部材343により、左右一対のベルト間隔第1調整プレート341L、341R、及び、左右一対のベルト間隔第2調整プレート351L、351R等のそれぞれを、左右一対の肩揃えステー370L、370Rにしっかりと固定することで、左右一対の肩揃えベルト310L、310R同士の間隔J1〜J2(図7参照)を容易に調節することが出来る。
【0127】
なお、本実施の形態では、左右一対の肩揃え第3ローラ380L、380Rが対抗する位置におけるベルト間隔、及び左右一対の肩揃え第4ローラ390L、390Rが対抗する位置におけるベルト間隔についても、上述した間隔J2と同じになる様に設定されている。
【0128】
よって、上記構成によれば、作業者が、左右一対の従動プーリ支持部331、331、左右一対のベルト間隔第1調整プレート341L、341R、及び、その下流側の左右一対のベルト間隔第2調整プレート351L、351R等を、それぞれ個別に左右方向(図7中の矢印H参照)へスライド移動させて位置決めし、左右一対の肩揃えステー370L、370Rにしっかりと固定することが出来るので、左右一対の肩揃えベルト310Lと310Rとにより形成される通路の幅(図7中の符号J1、J2参照)を、例えば、おでん用の大径の大根茎径20mm〜60mmの場合は広く調整し、漬け物用の小径の大根茎径10mm〜40mmの場合は狭く調整することが出来る。
【0129】
また、上述した茎葉部切断装置400の単一の茎葉回転刃410は、左側の伝動ケース8L内に収納された後述する茎葉部切断装置用第2スプロケット720から上方に突き出した回動軸721に対してスプライン接続により着脱可能に挿入連結されており、当該単一の茎葉回転刃410の取り付け高さは、上述した胴部切断装置500の場合と同様のスペーサ等を用いることにより変更可能に構成されている。
【0130】
また、上述した茎葉部切断装置400の切断案内バー420は、側面視で、略逆L字形状を成し、その下端部は、右側の肩揃えステー370Rの側面に溶接固定されており、その上端部の先端側は、単一の茎葉回転刃410と干渉しない様に当該回転刃410の上方に位置すると共に、平面視で、当該回転刃410の外周部と重複する位置に配置されている(図7参照)。
【0131】
次に、上述した、断面が円形の棒状部材である上側茎葉排出ガイド291(図1図2参照)と基本的に同じ構造である本体上端部排出ガイド800について説明する。
【0132】
即ち、肩揃え装置300の後端部には、胴部切断装置500により切断された本体部W2の上端部W2bを、右側の肩揃え駆動プーリ320Rの外周縁部の後方側を通り、引抜搬送装置200により引き抜かれた大根Wから離れた位置であって、平面視で、右側の後輪3Rの後輪駆動軸3Ra(図2参照)より後方に向けて排出する様に、本体上端部排出ガイド800が設けられている。
【0133】
本体上端部排出ガイド800は、図2図7に示す様に、平面視で、略ヘの字状に湾曲し、当該湾曲部が、肩揃え装置300の搬送路の出口側から右側の肩揃え駆動プーリ320Rの外周縁部の後方側に沿う様に、当該右側の肩揃え駆動プーリ320Rの上方に配置されている。
【0134】
具体的には、本体上端部排出ガイド800の基部801は、左側の伝動ケース8Lの右側の外側面に着脱可能に固定されている。
【0135】
なお、上述した茎葉排出部材290が有する引抜出口用スターホイル293と同様の構成である肩揃え出口用スターホイル(図示省略)を右側の肩揃え駆動プーリ320Rの上面と右側の伝動ケース8Rの下面との間において、右側の肩揃え駆動プーリ320Rの肩揃え駆動軸321に対して着脱自在に取り付けても良い。これにより、胴部切断装置500により切断された本体部W2の上端部W2bに残る茎葉部が、肩揃え出口用スターホイルの外周縁部の凹凸部と本体上端部排出ガイド800とで、より確実に保持されて右側の後輪3Rの後輪駆動軸3Raより後方に向けて排出される。
【0136】
これにより、胴部切断装置500により切断され、本体上端部排出ガイド800により排出された部分が、元の穴に戻された大根の位置から離れた場所に落下するので、大根の回収を妨げることが無く、回収作業の能率が向上する。
【0137】
また、後輪3L、3Rが当該排出された部分を踏んで機体の作業姿勢が乱れ、引抜搬送装置200が大根を引き抜き損なうことや、本体部の上端側の切断面が粗くなって商品価値が低下することが防止される。
【0138】
なお、本実施の形態の本体上端部排出ガイド800は、本発明の本体上端部排出案内部材の一例にあたる。
【0139】
次に、胴部切断装置500により大根Wの本体部W2の上端部W2bが切断され、圃場Vの元の穴に戻された大根の背面側に接触して当該大根を前方に傾斜させる大根傾斜装置900について、図1を用いて説明する。
【0140】
大根傾斜装置900は、図1に示す様に、
1.元の穴に戻された大根の背面側に接触する度に当該大根を前方に傾斜させると共に、その傾斜した大根からの対抗力により後方に向けて一時的に移動する接触部材910と、
2.接触部材910が大根に接触する度に繰り返される当該接触部材の後方への移動の回数を検知するカウンタスイッチ920と、
を備えている。
【0141】
接触部材910は、正面視で、左右横方向に長い長方形状の板状部材であって、その板状部材の上端部分を成す樹脂製部材と、当該樹脂製部材に連結された下方部分を成すゴム製部材とで一体的に構成されている。
【0142】
また、接触部材910の上端部分は、左右一対のメインフレーム9L、9Rのそれぞれの下面部に橋渡しされて固定された大根傾斜装置取付ステー930に回動可能に取り付けられている。
【0143】
なお、接触部材910の配置場所は、側面視で、左右一対の肩揃え駆動プーリ320L、320Rの概ね下方である。
【0144】
これにより、接触部材910のゴム製部材の部分が、大根を押すことで大根が前方に傾斜すると共に、当該ゴム製部材に連結された樹脂製部材の部分が後方に移動してカウンタスイッチ920の突起部を押すことにより、引抜搬送装置200により引き抜かれた大根の数をカウントし表示することが出来る。
【0145】
従って、作業者が、カウンタスイッチ920に表示された数値を読み取ることで回収した大根の数を簡単に把握出来るので、回収した大根を作業者が数える手間が無くなり、作業能率の向上や作業者の労力の軽減が図られる。
【0146】
なお、本実施の形態の大根傾斜装置900は、本発明の作物傾斜装置の一例にあたる。また、本実施の形態の接触部材910は、本発明の作物接触部材の一例にあたり、本実施の形態のカウンタスイッチ920は、本発明の回数検知部材の一例にあたる。
【0147】
上記構成によれば、引抜搬送装置200の左右一対の挟持ローラ群240L、240Rの左右方向(図5中の矢印H参照)を適切に行うことで、大根Wを引き抜く際に引抜搬送装置200に対して最も大きな負荷がかかる範囲において、各挟持ローラによる押圧力が左右一対の引抜搬送ベルト210L、210Rに確実に伝わり、大根Wの茎葉部W1がしっかりと挟持されて後方斜め上方へと移動されることにより、大根Wの本体部W2は圃場Vから確実に引き抜かれていく。
【0148】
その後、左右一対の第1テンションローラ250L、250Rから第3テンションローラ252L、252Rに向けて搬送されるに従って、引抜搬送装置200の各テンションローラによるベルトの挟持力は弱くなる。
【0149】
これに対して、その下方において、圃場Vの面に対して水平に配置された肩揃え装置300における搬送路の入り口側のベルト間隔J1(図7参照)は、大根Wの上端の肩部W2aが上方へ通り抜けない程度に広く設定され、引抜搬送装置200による大根Wの上方への移動を妨げない様に構成されているが、肩揃え装置300の搬送路のベルト間隔は、上述した通り、上流側から下流側に向かうに従って徐々に狭くなり、左右一対の肩揃えベルト310L、310Rによる挟持力は徐々に強くなる。
【0150】
これにより、図1に示すように、大根Wの茎葉部W1は、引抜搬送装置200の搬送方向A(図5参照)に沿って後方斜め上方へと移動されることになるが、本体部W2の上端の肩部W2aは、肩揃え装置300の左右一対の肩揃えベルト310L、310Rのそれぞれの下面310La、310Ra(図6(b)参照)に当接することによって上方への移動が規制される。大根Wの上記肩部W2aが左右一対の肩揃えベルト310L、310Rのそれぞれの下面310La、310Raに当接すると、引抜搬送装置200による把持力が弱く、且つ、肩揃え装置300による把持力が強いので、その当接位置から下流側では当該肩部W2aの上方への移動が規制され、胴部切断装置500(図1図7参照)により大根Wの本体部W2の上端部W2bの切断が開始される位置の付近では、大根Wの肩部W2aの高さ方向の位置が揃えられる。
【0151】
これにより、肩揃え装置300により大根Wの肩部W2aの位置が揃えられるので、胴部切断装置500により、大根Wの大根Wの本体部W2の上端部W2bを所望の位置で確実に切断することが出来、且つ、茎葉部切断装置400により、大根Wの茎葉部W1を所望の位置で切断することが出来る。 また、大根Wの茎葉部W1の切断が開始される前に本体部W2の切断が開始されるため、本体部W2が切断される際は、茎葉部W1が、引抜搬送装置200と肩揃え装置300によって上下の位置でしっかりと保持されているので、例えば、本体部W2が切断時に前方にずれて斜めに切断されてしまうという切断位置のずれや切り損じの発生を防止することが出来、切断面もきれいに仕上がる。
【0152】
なお、大根Wの本体部W2の上端部W2bが切断された後、大根Wの本体部W2は落下して、元の穴に戻る(図1参照)。従って、後加工で大根Wの本体部W2の上端部W2bの切断作業を行う必要が無く、作業能率の向上や労力の軽減が図られる。
【0153】
また、大根傾斜装置900により、圃場の穴に戻された大根を前方に傾斜させることが出来、大根が植生していた場所の穴が大きくなるので、作業者が大根を回収する際に持ち上げやすくなり、作業能率が向上する。
【0154】
また、カウンタスイッチ920を設けたことにより、回収した大根の本数を作業者が数える手間が無くなる。
【0155】
また、茎葉部切断装置400により切断された茎葉部W1は、大根Wの上端部W2bを有していないので、引抜搬送装置200の搬送路の出口部から上側茎葉排出ガイド291及び下側茎葉排出ガイド292により案内されて、引っ掛かり無くスムーズに機体の右側に排出される。
【0156】
また、茎葉排出部材290を着脱可能とし、切断された茎葉部の排出方向を変更可能としたことにより、大根の栽培位置や切断された茎葉部の回収の要否に合わせて、切断された茎葉部の排出位置を変更することが出来るので、排出されて落下した茎葉部が大根の上を覆い、大根の回収作業を妨げることが防止され、作業能率が向上する。
【0157】
また、胴部切断装置500により切断された大根Wの上端部W2bは、そこに残された茎葉部が、本体上端部排出ガイド800により、肩揃え装置300の搬送路の出口側から右側の肩揃え駆動プーリ320Rの外周縁部の後方側に沿いながら搬送されることにより、右側の後輪3Rの後輪駆動軸3Raより後方に向けて排出される。
【0158】
また、左右一対の肩揃え駆動プーリ320L、320Rのそれぞれの肩揃え駆動軸321、321は、肩揃え装置300の搬送方向(図7の矢印A'参照)を基準として、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rのそれぞれのボス部511、511より下流側に配置されていることで、左右一対の胴切り回転刃510L、510が大根を切断する際に生じる負荷を、左右一対の肩揃え駆動プーリ320L、320Rの肩揃え駆動軸321、321が直接受けることを防止出来るので、左右一対の肩揃えベルト310L、310Rによる搬送動作が不安定になることが防止され、大根の本体部の切断位置や、茎葉部の切断位置が乱れることや、大根が十分に引き抜かれなくなることが防止される。
【0159】
また、上記構成によれば、肩揃え装置300の搬送路の出口側を機体の後側、即ち、左右一対の後輪3L、3Rより後側に位置させることが出来るので、肩揃え装置300から排出される大根の上端部が、左右一対の後輪3L、3Rの進路上に落下することが防止される。
【0160】
なお、本実施の形態の左右一対の肩揃えベルト310L、310Rは、本発明の左右一対の無端状の位置揃え搬送ベルトの一例にあたる。また、本実施の形態の左右一対の肩揃え駆動プーリ320L、320Rは、本発明の左右一対の位置揃え駆動プーリの一例にあたる。
【0161】
また、本実施の形態の単一の茎葉回転刃410は、本発明の葉部切断刃の一例にあたる。また、本実施の形態の左右一対の胴切り回転刃510L、510Rは、本発明の左右一対の本体部切断刃の一例にあたる。
【0162】
次に、図7を用いて、エンジン4からの駆動力を、左右一対の肩揃え駆動プーリ320L、320R、及び、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rに伝達する左右一対の第1チェーン伝動機構600L、600Rについて説明すると共に、エンジン4からの駆動力を、単一の茎葉回転刃410に伝達する第2チェーン伝動機構700について説明する。
【0163】
左右一対の第1チェーン伝動機構600L、600Rは、左右に配置された伝動ケース8L、8R内に収納されており、第2チェーン伝動機構700は、左側に配置された伝動ケース8L内に収納されている。
【0164】
左右一対の第1チェーン伝動機構600L、600Rは、図7に示す様に、
1.伝動軸6b(図7参照)の前端部から左右方向に分岐された動力が、伝達分岐ケース6dの左右両端に垂直に配置された垂直伝達軸6e、6eを介して伝達される左右一対の第1スプロケット610L、610Rと、
2.左右一対の第1スプロケット610L、610Rの前方に配置され、下方に長く伸びた回動軸621、621を有し、当該回動軸621、621のそれぞれに左右一対の胴切り回転刃510L、510Rが着脱可能にスプライン接続された左右一対の第2スプロケット620L、620Rと、
3.左右一対の第1スプロケット610L、610Rと左右一対の第2スプロケット620L、620Rとを巻き回した左右一対の第1伝動チェーン630L、630Rと、
を備えている。
【0165】
また、第2チェーン伝動機構700は、図7に示す様に、
1.伝動軸6b(図7参照)の前端部から左方向に分岐された動力が、伝達分岐ケース6dの右端部に垂直に配置された垂直伝達軸6eを介して伝達される、上記左側の第1スプロケット610Lと同軸上で当該第1スプロケット610Lの直上に配置された茎葉部切断装置用第1スプロケット710と、
2.単一の茎葉回転刃410の下方に配置され、上方に伸びた回動軸を有し当該回動軸に対して茎葉回転刃410が着脱可能にスプライン接続された茎葉部切断装置用第2スプロケット720と、
3.茎葉部切断装置用第1スプロケット710と茎葉部切断装置用第2スプロケット720とを巻き回した第2伝動チェーン730と、
を備えている。
【0166】
また、上記構成により、胴部切断装置500の下方には空間が確保されているので、上端部W2bが切断されて圃場Vの元の穴に戻される大根Wに接触して本体部W2が傷つくことが無く、商品価値が低下することが防止される。
【0167】
また、大根の本体部W2を押す接触部材910のゴム製部材の部分は、弾力性を有しているので、大根の本体部W2が傷つくことが無く、商品価値が低下することが防止される。
【0168】
また、左右一対の肩揃えベルト310L、310Rを圃場面に対して実質的に水平姿勢となる様に配置したことにより、大根Wの本体部W2の上端の肩部W2aの位置を揃える際に、大根Wの本体部W2の上端の肩部W2aが、左右一対の肩揃えベルト310L、310Rのそれぞれの下面310La、310Raに当接し、それ以上は上方に引き上げられることを防止できるので、位置揃え搬送ベルトがめくれて外れることが防止される。
【0169】
また、引抜搬送装置200に左右一対の挟持ローラ群240L、240Rを設けたことにより、引抜搬送装置200の搬送路の入り口近傍での挟持力が強くなるので、重量の重たい大根であってもしっかりと挟持することができるので、確実に圃場から引き抜くことができ、大根の回収作業の能率が向上する。
【0170】
また、上述した左右一対の引抜搬送装置カバー202L、202Rのそれぞれは、図3に示す様に、平面視で概ね中央付近において前後に分割して構成されている。
【0171】
即ち、左側の引抜搬送装置カバー202Lは、左前側カバー202Laと左後側カバー202Lbとで構成され、また、右側の引抜搬送装置カバー202Rは、右前側カバー202Raと右後側カバー202Rbとで構成されている。
【0172】
これにより、例えば、右側の引抜駆動プーリ220R側を調節する場合、右側の引抜搬送装置カバー202Rの内、右後側カバー202Rbの部分だけ取り外すことで必要な作業が行えて、また、例えば、左側の引抜従動プーリ230L側を調節する場合、左側の引抜搬送装置カバー202Lの内、左前側カバー202Laの部分だけ取り外すことで必要な作業が行えるので、作業効率が向上する。
【0173】
また、左右一対の引抜搬送装置カバー202L、202Rのそれぞれは、図1に示す様に、左右一対の引抜搬送ベルト210L、210Rの外周側面の内、大根Wの茎葉部W1を挟持して搬送する搬送路を構成する部分、左右一対の引抜駆動プーリ220L、220Rの周辺部分、及び、左右一対の引抜従動プーリ230L、230Rの周辺部分を除いた部分を覆う左右一対の搬送ベルトカバー用張り出し部202LL、202RRを有している。
【0174】
また、左後側カバー202Lb及び右後側カバー202Rbにおける左右一対の搬送ベルトカバー用張り出し部202LL、202RRには、側面視で、茎葉部切断装置400及び胴部切断装置500を左右両側から覆うと共に、茎葉排出部材290の下方において、平面視で引抜搬送装置200の後端側を取り囲む様に覆う両側背面カバー204がボルト・ナットで着脱可能に固定されている。
【0175】
これにより、茎葉部切断装置400の上に切断された茎葉部W1が落下し切断不良が発生することが防止できる。
【0176】
また、これにより、茎葉回転刃410、及び左右一対の胴切り回転刃510L、510Rを覆うことが出来るので、安全性が向上する。
【0177】
なお、上記実施の形態では、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rの、平面視で、左右一対の肩揃えベルト310L、310Rにより形成される搬送路上に存在する部分の上流側の刃先の部位が、単一の茎葉回転刃410の、平面視で、上記搬送路上に存在する部分の上流側の刃先の部位より上流側に位置する様に構成されている場合について説明したが、これに限らず例えば、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rの、平面視で、左右一対の肩揃えベルト310L、310Rにより形成される搬送路上に存在する部分の上流側の刃先の部位が、単一の茎葉回転刃410の、平面視で、上記搬送路上に存在する部分の上流側の刃先の部位より下流側に位置する様に構成されていても良い。この場合でも、大根の本体部の上端部を切断する胴部切断装置を備えたことにより、後加工で大根の本体部の上端部の切断作業を行う必要が無く、作業能率の向上や労力の軽減が図られる。
【0178】
また、上記実施の形態では、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rのそれぞれのボス部511、511と、左右一対の肩揃え駆動プーリ320L、320Rのそれぞれの肩揃え駆動軸321、321とを、平面視で、異なる位置に配置した場合について説明したが、これに限らず例えば、これらのボス部511、511と肩揃え駆動軸321、321とを同軸上でスプライン結合により着脱可能に連結して配置した構成であっても良い。この場合の構成例を図8に示す。
【0179】
図8は、図7に示す構成例とは別の構成例としての、第2肩揃え装置1300、左右一対の胴切り回転刃510L、510R、及び第2茎葉回転刃1410を示す概略平面図である。図7に示す構成と同じ構成には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0180】
図8に示す構成例では、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rの、平面視で、左右一対の第2肩揃えベルト1310L、1310Rにより形成される搬送路上に存在する部分の上流側の刃先の部位が、単一の第2茎葉回転刃1410の、平面視で、上記搬送路上に存在する部分の上流側の刃先の部位より下流側に位置する様に構成されている。
【0181】
また、茎葉部W1が当該第2茎葉回転刃1410に押されて逃げるのを防ぐために当該第2茎葉回転刃1410側に茎葉部W1を案内するための、側面視で略逆L字形状の第2切断案内バー1420が設けられている。
【0182】
また、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rは、左右一対の第2肩揃え駆動プーリ1320L、1320Rから下方に伸びた第2肩揃え駆動軸1321、1321に対して、ボス部を介してスプライン接続により下方から着脱可能に挿入連結されている。また、図8の構成の場合、左右の伝動ケース8L、8R内に収納された左右一対の第2スプロケット620L、620Rから下方に伸びた回動軸621、621には、左右一対の第2肩揃え駆動プーリ1320L、1320Rが着脱可能にスプライン接続により挿入連結されている。
【0183】
また、図8の構成の場合、左の伝動ケース8L内に収納された第2茎葉部切断装置用第2スプロケット1720は、平面視で、左の第2スプロケット620Lより前方に配置されている。
【0184】
また、左の伝動ケース8Lの上方に配置された単一の第2茎葉回転刃1410は、第2茎葉部切断装置用第2スプロケット1720から上方に突き出した第2回動軸1721に対してスプライン接続により着脱可能に挿入連結されている。また、左の伝動ケース8L内には、茎葉部切断装置用第1スプロケット710と第2茎葉部切断装置用第2スプロケット1720とを巻き回わした別の第2伝動チェーン1730が配置されている。
【0185】
図8に示す構成によれば、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rを、左右一対の第2肩揃え駆動プーリ1320L、1320Rの第2肩揃え駆動軸1321、1321に対して、スプライン接続により同軸上で連結した構成とすることで、第2肩揃え装置1300の前後幅を短くすることが出来ると共に、構造が簡素化出来、コストダウンや機体の軽量化が図られる。
【0186】
また、上記実施の形態では、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rと左右一対の肩揃えベルト310L、310Rとの間にスターホイル等を設けていない構成について説明したが、これに限らず例えば、これらの間に左右一対の軟質スターホイル等を設けた構成であっても良い。この構成によれば、切断された大根の本体部の上端部を詰まらせずに後方へ搬送し易くなる。また、左右一対の胴切り回転刃510L、510Rの回転軸に左右一対の軟質スターホイルを設けても良い。
【0187】
また、上記実施の形態の大根引抜機1において、肩揃え装置300の上方に茎葉回転刃410を設けた構成について説明したが、この茎葉回転刃410の直径を更に大きく設定した構成としても良い。これにより、直径の大きな茎葉回転刃は、平面視で、肩揃え装置410の後部の上面の大部分を覆うので、上方から落下する茎葉部の破片や土が、肩揃え装置300の肩揃えベルト310L、310R等の回動部分に入りにくくするガード体としての効果を発揮する。
【0188】
また、上記実施の形態の大根引抜機1において、肩揃え装置300の上方に回動可能に設けられた茎葉回転刃410は、左側の伝動ケース8L内に収納された茎葉部切断装置用第2スプロケット720から上方に突き出した回動軸721(図7参照)に対してスプライン接続された構成、即ち、茎葉回転刃410は下方から回動可能に支持された構成として説明した。しかしこれに限定されるものではなく、例えば、引抜搬送装置200が有する左側の引抜搬送フレーム270Lに上記茎葉回転刃410の回動軸の上端部の軸受け部を設けることで、茎葉回転刃410を上下両方から回動可能に支持する構成としても良い。
【0189】
また、上記実施の形態では、接触部材910が大根に接触する度に繰り返される当該接触部材の後方への移動の回数をカウンタスイッチ920(図1参照)がカウントすることで、大根の本数を検知する構成について説明した。しかしこれに限らず例えば、茎葉部回転刃410に代えて、平面視で、肩揃え装置300の搬送路を傾斜して横断する様に配置された非回転の長方形状の直刃を備え、その直刃の長手方向の上流側に位置する側の一端部が、一定の回動範囲内例えば、0°〜5°で回動可能に支持されると共に、その直刃の刃先が、バネ部材により上流側に向けて常時付勢された構成であり、その直刃の長手方向の下流側に位置する側の他端部の背面に接触可能にカウンタスイッチが設けられた構成であっても良い。これにより、引抜搬送装置200により搬送されてきた大根Wの茎葉部W1が、直刃の刃先に当接しバネ部材による付勢力に対抗して、直刃をその一端部を回動中心として下流側に回動可能範囲内で回動させて、直刃の他端部の背面がカウンタスイッチを押すことで、大根の本数をカウントすることが出来る。なお、上記の直刃は、一例として作物と接触するときの姿勢の安定性を考慮して長方形状としているが、作物の切断性を考慮して包丁や刀等のような円弧状の刃部を有するものとしたり、刃が作物に食い込みやすくすべく、鋸刃状の刃部を有するものとしてもよい。
【0190】
また、上記実施の形態の大根引抜機1において、左右に配置された伝動ケース8L、8Rのそれぞれの外側面にブラシ又はスクレーパ(図示省略)を設けることで、左右一対の肩揃えベルト310L、310Rの外周面を清掃する構成としても良い。
【0191】
また、上記実施の形態の大根引抜機1において、引起こし機構100に接地輪(図示省略)を設けてフローティングさせる構成としても良い。また、この場合、接地輪は、左右一対の横引起こし装置130L、130Rの後方で、且つ引抜搬送装置200の前端部の下方に配置しても良い。また、この場合、接地輪は、その取り付け高さを調節可能に構成されていても良い。
【0192】
なお、引起こし機構100に設ける接地輪の径は、少なくともゲージ輪2(図1参照)よりも小径とする。具体的には、引起こし機構100の下端後部と引抜搬送装置200の搬送始端部の直下の前後距離とほぼ同径とすることが望ましい。また、接地輪の左右幅は、ゲージ輪2と同じか、またはゲージ輪2よりも左右幅を広くする。
【0193】
これにより、接地輪を設けても引起こし機構100の前後幅が大幅に広くなることが防止され、引起こし機構100のコンパクト化が図られる。また、接地輪の左右幅をゲージ輪2と同じか、または幅広とすることにより、接地輪の接地圧が軽減され、走行性を妨げることが防止される。
【0194】
また、上記実施の形態では、左右一対の横引起こし装置130L、130Rのそれぞれを後側から覆う、後側カバー133b、133bの背面側に対して、左右一対の略逆U字形状のパイプ部材203L、203Rの前端部の側面にそれぞれの後端部が回動可能に連結された左右一対の平行リンクアーム160L、160Rのそれぞれの前端部が締結部材で連結固定されている場合について説明した(図1図3参照)。
【0195】
しかしこれに限らず例えば、平行リンクアーム160L、160Rのそれぞれの後端部を回動軸と連結させて引起こし機構100を上昇及び降下させることで、引起こし機構100の上下位置を調節するアクチュエータ(図示省略)を、左側又は右側の略逆U字形状のパイプ部材203L又は203Rの上端部に配置しても良い。
【0196】
この場合、回動ハンドルの回動により前後方向に移動可能に構成された略円筒形状のアクチュエータの前端部は、左側又は右側の平行リンクアーム160L又は160Rの上面に立設された回動アームの上端部とピン部材により連結されている。作業者が回動ハンドルを一方側に回動させることでアクチュエータの前端部が後方に移動すると、左側の平行リンクアーム160Lがピン部材及び回動アームを介して、左側面視で時計回りに回動し、引起こし機構100が上昇する。逆に、回動ハンドルを他方側に回動させることでアクチュエータの前端部が前方に移動すると、左側の平行リンクアーム160Lがピン部材及び回動アームを介して、左側面視で反時計回りに回動し、引起こし機構100が下降する。
【0197】
更にまた、引起こし機構100に上述した接地輪(図示省略)を設けてフローティングさせる構成である場合、上述したアクチュエータの前端部に設けられる、ピン部材を挿入するための連結用の孔の形状を長孔としても良い。これにより、引起し機構100が圃場の凹凸等で上下動する際の負荷を逃がす遊びを設けることが出来、耐久性の向上が図られる。
【0198】
また、上記実施の形態の大根引抜機1において、エンジン4の下方に設けられたバンパー14(図1図2参照)が、メンテナンス用スタンドを兼ねた構成としても良い。この構成によれば、作業者は、バンパー14の下面が地面に接地するまで、操作ハンドル5を下方に向けて押し下げることで、機体は、その前側、即ち引起こし機構100側が地面から上昇した姿勢を維持して安定するので、引起こし機構100、肩揃え装置300、及び左右一対の胴切り回転刃510L、510R等のメンテナンスを行うことが出来る。また、この構成の場合、バンパー14は、機体を旋回させる際に作業者が足を掛けて、引起こし機構100側を持ち上げることが出来る構成としても良い。また、バンパー14は、ロープ用フックを兼ねた構成としても良く、更に中央部で分割されておればロープを通し易い。また、バンパー14はウエイトステーの機能を兼ねていても良いし、或いは、メンテナンス性の向上を図る為にオイルパンをセット出来る構成であっても良い。
【0199】
なお、上記実施の形態では、引抜搬送装置200、及び肩揃え装置300の水平方向への搬送速度は、機体の走行速度例えば、0.18m/secと概ね同じに設定されている場合について説明したが、これに限らず例えば、機体の走行速度よりも若干速く設定しても良い。若干速く設定することにより、大根Wを押し倒したり、折ったりすることが防止出来る。
【0200】
また、上記実施の形態では、引起こし機構100として、左右一対の縦引起こし装置110L、110Rと、左右一対の横引起こし装置130L、130Rとを備えた構成の場合について説明したが、これに限らず例えば、縦引起こし装置が左側に一つ配置され、その背面の右側に横引起こし装置が一つ配置された構成であっても良い。
【0201】
また、上記実施の形態では、引抜搬送装置200において、左側の引抜従動プーリ230Lと左側の挟持ローラ群240Lとが、回動可能に取り付けられた左側の挟持力調整フレーム280Lと、右側の引抜従動プーリ230Rと右側の挟持ローラ群240Rとが、回動可能に取り付けられた右側の挟持力調整フレーム280Rとを備え、これら左右一対の挟持力調整フレーム280L、280Rの何れもが、左右方向(図5中の矢印H参照)に位置調整可能に構成されている場合について説明したが、これに限らず例えば、これら左右一対の挟持力調整フレーム280L、280Rの何れか一方が、左右方向に位置調整可能に構成されており、且つ他方のフレームは位置調整が出来ない構成であっても良い。
【0202】
この場合でも、引抜搬送装置200の搬送路の入り口側の幅(図5中の符号G参照)を容易に調整することが出来るので、上記構成の場合と同様の効果を発揮する。
【0203】
また、上記実施の形態では、左右一対の肩揃え従動プーリ330L、330R、左右一対の肩揃え第1ローラ340L、340R、左右一対の肩揃え第2ローラ350L、350R、左右一対の肩揃え第3ローラ380L、380R、及び左右一対の肩揃え第4ローラ390L、390Rが、それぞれ独立して左右方向(図7中の矢印H参照)に位置調整可能に構成されている場合について説明したが、これに限らず例えば、左側の肩揃え従動プーリ330L、肩揃え第1ローラ340L、肩揃え第2ローラ350L、肩揃え第3ローラ380L、及び肩揃え第4ローラ390Lが、一体として、左右方向に位置調整可能に構成され、且つ、右側の肩揃え従動プーリ330R、肩揃え第1ローラ340R、肩揃え第2ローラ350R、肩揃え第3ローラ380R、及び肩揃え第4ローラ390Rが、一体として、左右方向に位置調整可能に構成されていても良い。
【0204】
また、上記実施の形態では、左右一対の肩揃え従動プーリ330L、330R、左右一対の肩揃え第1ローラ340L、340R、左右一対の肩揃え第2ローラ350L、350R、左右一対の肩揃え第3ローラ380L、380R、及び左右一対の肩揃え第4ローラ390L、390Rが、それぞれ左右方向(図7中の矢印H参照)に位置調整可能に構成されている場合について説明したが、これに限らず例えば、左側又は右側の、肩揃え従動プーリ、肩揃え第1ローラ、肩揃え第2ローラ、肩揃え第3ローラ、及び肩揃え第4ローラのみが、左右方向に位置調整可能に構成されていても良い。この場合でも、肩揃え装置300の搬送路の入り口側の幅(図7中の符号J1参照)を容易に調整することが出来るので、上記構成の場合と同様の効果を発揮する。
【0205】
また、上記実施の形態では、茎葉部切断装置400が、単一の茎葉回転刃410を備えた構成について説明したが、これに限らず例えば、左右一対の回転刃を備えた構成であっても良い。
【0206】
また、上記実施の形態では、茎葉部切断装置400が、単一の茎葉回転刃410を備えた構成について説明したが、これに限らず例えば、固定刃を備えた構成であっても良い。この場合、固定刃は、その刃の部分が、平面視で、肩揃え装置300の搬送路を傾斜して横断する様に配置されると共に、当該固定刃の内、肩揃え装置300の搬送路を横断する刃の部分は、平面視で、左右一対の胴切り回転刃510L、510R(図7参照)の内、肩揃え装置300の搬送路上に存在する部分の上流側の刃先の部位より下流側に位置している。この構成により、構造を簡素化することが出来る。
【0207】
また、茎葉回転刃410に代えて固定刃を用いた構成の場合、固定刃に設けられた固定用の孔として、実際に固定する時に使用する数よりも多い数の孔を等間隔で設けた構成であっても良い。この構成により、複数の固定孔の内、実際に使用する孔を適宜ずらすことにより、固定刃の固定位置を変更することが出来、固定刃の切れ味を長期にわたり持続させることが出来る。
【0208】
また、上記実施の形態では、本発明の作物の一例として大根Wを例に挙げて説明したが、これに限らず例えば、引抜対象の作物が、にんじんなどの根菜類であっても、上記と同様の効果を発揮する。
【0209】
また、上記実施の形態で説明した、ミッションケース6から前方に突き出した伝動軸6bの高さ方向の位置(図1参照)を、下方に下げた構成とすることで、引抜搬送装置の傾斜を上記実施の形態の場合に比べて緩やかに出来る。この構成により、切断された茎葉部が排出される引抜搬送装置の後端部の排葉位置を上記実施の形態の場合に比べて低くすることが出来るので、茎葉部が風などで飛ばされ難くすることが出来る。
【0210】
また、上記実施の形態では、肩揃え装置300の左右一対の肩揃え駆動プーリ320L、320R、左右一対の肩揃え第1ローラ340L、340R、左右一対の肩揃え第2ローラ350L、350R、左右一対の肩揃え第3ローラ380L、380R、及び左右一対の肩揃え第4ローラ390L、390Rは、それぞれの外周端部に、肩揃えベルトの内周面に突き出したリブ状突起に対応する略V字状の溝が形成され、且つ、それぞれの上面の外径と下面の外径が同じである構成の場合について説明したが、これに限らず例えば、それぞれの上面の外径を下面の外径より一回り大きい径とするために、上面の外周部に鍔部を設けた構成としても良い。この鍔部により、肩揃えベルト310L、310Rが上方に脱線することを防止することが出来る。また、左右一対の肩揃え駆動プーリ320L、320Rの上面の外周部に設けた上記鍔部の外周端縁部の全周に亘り凸部を設けた構成としても良い。この構成により、肩揃え装置300の肩揃えベルト310L、310Rの肩揃え駆動プーリ320L、320Rにおいて、ベルト間隔が広がった場合でも、摩擦力が減少するのを補い、搬送力を維持することが出来る。
【0211】
また、上述した鍔部に加えて、肩揃え装置300の左右一対の肩揃え駆動プーリ320L、320R、左右一対の肩揃え第1ローラ340L、340R、左右一対の肩揃え第2ローラ350L、350R、左右一対の肩揃え第3ローラ380L、380R、及び左右一対の肩揃え第4ローラ390L、390Rのそれぞれの上面の上方近傍に、上記鍔部の径より大きな径を有する板状のベルト外れ阻止部材を設けた構成でも良い。この構成により、平面視で、ベルト外れ阻止部材が、鍔部より外側に向けて張り出しているので、仮にベルトが外れようとしても戻り易くすることが出来る。
【0212】
また、図8に示す構成例において、左右一対の第2肩揃え駆動プーリ1320L、1320Rの外周を取り巻く左右一対の第2肩揃えベルト1310L、1310Rの外周面と、その外周面の下方に位置する左右一対の胴切り回転刃510L、510Rとの近傍にスクレーパを配置する構成としても良い。この構成により、胴切り回転刃510L、510Rの上面に茎葉部の切れ端や大根Wのへたの部分等が残るのを防止すると共に、第2肩揃えベルト1310L、1310Rがめくれ上がるのを防止することが出来る。
【符号の説明】
【0213】
2 ゲージ輪
3L、3R 後輪
3Ra 後輪駆動軸
4エンジン
6a 出力軸
9L、9R メインフレーム
15 仮支持部材(支持ロッド)
15a 接地部
15b ロッド上端
16 原動カバー
18 茎葉部切断カバー
100 引起こし機構
200 引抜搬送装置
290 茎葉排出部材
400 茎葉部切断装置
410 茎葉回転刃
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10