特許第6821123号(P6821123)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6821123
(24)【登録日】2021年1月8日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】防除作業車
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20210114BHJP
   A01M 21/02 20060101ALI20210114BHJP
   A01B 39/18 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   A01M7/00 D
   A01M21/02
   A01M7/00 J
   A01B39/18 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-86109(P2017-86109)
(22)【出願日】2017年4月25日
(65)【公開番号】特開2018-183077(P2018-183077A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2019年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【識別番号】110000899
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松家 伸一
【審査官】 大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−185203(JP,A)
【文献】 特開2006−238731(JP,A)
【文献】 特開平09−037629(JP,A)
【文献】 特開2008−017709(JP,A)
【文献】 特開平09−070215(JP,A)
【文献】 実公昭44−026758(JP,Y1)
【文献】 特開2011−083199(JP,A)
【文献】 特開2002−330610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00−99/00
A01B 39/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右前輪(3,3)と左右後輪(4,4)で畝溝を走行する走行車台(2)の前部に設ける中央ブーム(11a)に対して左サイドブーム(11b)と右サイドブーム(11c)を横に展開して噴霧ノズル(14,・・・)から薬剤を散布し、前記後輪(4,4)後部に作業機(27)を設けた防除作業車において、
前記左右前輪(3,3)の前部に畝溝に植生する雑草を引き起す引起し装置(50)と、
前記引起し装置(50)により引起した雑草を切断する切刃(58)と、を設けたことを特徴とする防除作業車。
【請求項2】
雑草に係合する搬送ラグ(55)を設けた引起しベルト(56)を上方に周回させて前記引起し装置(50)としたことを特徴とする請求項1に記載の防除作業車。
【請求項3】
前記引起しベルト(56)を設けた引起しフレーム(51)に、前記引起しベルト(56)の側面視で周回軌跡に交差して前記切刃(58)を設けたことを特徴とする請求項2に記載の防除作業車。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に植生する作物の病害虫防除作業時に畝溝に生える雑草を取り除く防除作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
病害虫防除作業と同時に中耕除草を行う防除作業車として、特許文献1に記載の移動農機がある。
【0003】
この移動農機は、機体の左右に展開する散布ブームで農薬を散布する防除作業と同時に機体の後部に設けるロータリ装置で畝溝に生える雑草を中耕除草するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4360200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の移動農機は、作物がある程度成長した圃場で使用するが、作物と共に雑草も成長しているので、作物の病害虫防除と同時に雑草の除去を行うことを目的にしている。
【0006】
しかし、雑草の短いものはロータリ装置で掻き取りながら除去できるが、長く成長した雑草は車輪やロータリ装置に絡み付くので、防除作業を中断して絡み付いた雑草を取り除く必要があり手間がかかる。
【0007】
本発明の目的は、上記従来の防除作業車のこの様な課題に鑑みて、病害虫防除作業と同時に畝溝に生える雑草を車輪やロータリ装置に絡み付かさないで効果的に除草出来る防除作業車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の課題は、次の技術手段により解決される。
【0009】
請求項1の発明は、左右前輪3,3と左右後輪4,4で畝溝を走行する走行車台2の前部に設ける中央ブーム11aに対して左サイドブーム11bと右サイドブーム11cを横に展開して噴霧ノズル14,・・・から薬剤を散布し、後輪4,4後部に作業機(27)を設けた防除作業車において、左右前輪3,3の前部に畝溝に植生する雑草を引き起す引起し装置50と、前記引起し装置50により引起した雑草を切断する切刃58と、を設けたことを特徴とする防除作業車とする。
【0010】
請求項2の発明は、雑草に係合する搬送ラグ55を設けた引起しベルト56を上方に周回させて前記引起し装置50としたことを特徴とする請求項1に記載の防除作業車とする。
【0011】
請求項3の発明は、前記引起しベルト56を設けた引起しフレーム51に、前記引起しベルト56の側面視で周回軌跡に交差して切刃58を設けたことを特徴とする請求項2に記載の防除作業車とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、中央ブーム11aに対して左サイドブーム11bと右サイドブーム11cを横に展開して走行車台2を走行させて噴霧ノズル14から農薬を散布する防除作業中に、引起し装置50が畝溝に生える長い雑草を引き起こして地上高の低い位置を切刃58で切断するので、前輪3や後輪4にその雑草が絡み付くことなく、後部の作業機(カルチロータリ27)で中耕して除草するので、長い雑草も効果的に除草できる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、引起しベルト56の搬送ラグ55で雑草が引き起されるが、例え作物に搬送ラグ55が当たっても傷つけられることが無く、雑草が効果的に引き起こされて切刃58で短く切断される。
【0014】
請求項3の発明によれば、請求項2の効果に加えて、引起しフレーム51に切刃58を取り付けた簡単な構成で、切刃58の交換も容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】防除作業車の全体側面図。
図2】防除作業車の全体平面図。
図3】防除作業車の背面図。
図4】カルチロータリの側面図。
図5】引起し装置の斜視図。
図6】防除作業車の全体平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。なお、実施例の説明においては、機体の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向を前、後進方向を後というが、本発明の構成を限定するものでは無い。
【0017】
図1図3にはこの発明に係わる防除作業車1の全体図を示している。以下防除作業車1の構成について説明する。
【0018】
防除作業車1の走行車台2の前後左右には等径の前輪3,3及び後輪4,4が設けられていて、走行車台2の後部には、防除噴霧装置Aが設けられている。また前記左右の前輪3,3間上方にはエンジン(図示省略)が搭載されていて、このエンジン回りはボンネット6で被覆されている。走行車台2の前後中間部には座席7が設けられていて、座席7の前方に位置するようにステアリングハンドル8が設けられ、ステアリングハンドル8を左右に操舵すると、左右の前輪3,3及び後輪4,4が同時に操舵される四輪操舵の構成である。また走行車台2後部の座席7回りには、その左右両側方及び後側方を囲むように薬剤を収納する薬液タンク9が着脱自在に設けられている。
【0019】
また前記エンジンの出力軸から走行伝動装置(図示省略)を経由して前輪3,3及び後輪4,4に走行動力が伝達され、エンジンの出力軸から作業機伝動装置を経由して薬液噴霧用のポンプ及び後部作業機駆動用のPTO軸へ作業動力が伝達される。
【0020】
また前記薬液タンク9の下部給水口は、ポンプに連通されていて、同ポンプから吐出した薬液は圧力パイプを経て調圧装置に送られ、調圧装置で圧力が調整されて、薬液吐出口から複数の高圧ホースに分岐して送られ、更に中間ホース38を経て中央ブーム11a、左サイドブーム11b、右サイドブーム11c及び後ブーム11dに送られ、これらブームの噴霧ノズル14,…から薬液が散布される構成である。尚、前記中央ブーム11aを取り外して後述するように車体後部に取り付ける構成となっている。
【0021】
また前記走行車台2の前方には、上リンク18a,18aと下リンク18b,18bによりブーム支持部材15が昇降自在に取り付けられていて、昇降シリンダ19,19により全体を昇降する構成となっている。また前記ブーム支持部材15に対して中央ブーム11aのフレーム部左右中間部が前後方向の軸心回りにローリング調節できるように支持されていて、水平シリンダ20によりローリング調節する構成となっている。
【0022】
また前記ブーム支持部材15に取り付けられている中央ブーム11aのフレーム部両端には、左サイドブーム11b、右サイドブーム11cの基端部を横方向のピン回りに軸支し、左右の昇降シリンダ16,16により左サイドブーム11b、右サイドブーム11cを昇降回動するように構成している。また左サイドブーム11b、右サイドブーム11cのフレーム基部を縦方向のピン回りに軸支して、開閉シリンダ17,17により左サイドブーム11b、右サイドブーム11cを内外方向に開閉回動可能に構成している。
【0023】
しかして、左サイドブーム11b及び右サイドブーム11cを昇降回動、及び内外方向に開閉回動することにより、機体側面に略沿うような収納姿勢としたり、左右両側方に突出した散布作業姿勢にしたりすることができる。
【0024】
また前記左サイドブーム11b及び右サイドブーム11cは、左右サイドフレーム39と、左右サイドフレーム39の例えば内側に固定状態で取り付けられている固定ブーム40と、左右サイドフレーム39の外側に長手方向に移動調節自在に取り付けられている移動ブーム41により構成されていて、伸縮モータ21,21によりで移動ブーム41を伸縮調節し、短い散布状態と長い散布状態に変更できるように構成されている。
【0025】
また前記薬液タンク9のタンク形状は、平面視で座席7の左右両側及び後側に位置する左・右部分9a,9bと、この左・右部分9a,9bの後側部を接続する後部分9cとにより所定の幅及び高さを持って構成されている。そして、後部分9cの後側中央部には上下方向に切除した凹部9dを構成し、薬液タンク9の左右両側部に左右補給口22,22を設け、左右補給口22,22を左右開閉蓋23,23により開閉するように構成している。
【0026】
また、走行車台2の後部には、側面視ヘの字型に屈折した後昇降リンク25の前端部をピン連結し、後部昇降シリンダ(図示省略)の後端部を走行車台2の後部にピンで連結し、後部昇降シリンダの前端部を後昇降リンク25の中途部にピン連結し、後昇降リンク25の後部に連結したカルチロータリ27を昇降するように構成している。なお、走行車台2の後部にはPTO軸が設けられ、同軸から屈折自在の伝動軸を経てカルチロータリ27に動力が伝達される。
【0027】
また前記カルチロータリ27は、図4に示すように、葉菜類作物の除草や土寄せ作業をする例えば三連の耕耘作業機であって、次のように構成されている。
【0028】
前記PTO軸から動力の伝達される伝動ボックス28を左右方向中間部に設け、伝動ボックス28の後部には左右方向に沿うようにカルチ支持フレーム29を設け、このカルチ支持フレーム29の中央部にセンターロータリ30を取り付け、カルチ支持フレーム29の左右両側部に左右側部ロータリ31,32を左右方向に移動自在に取り付けている。
【0029】
そして、前記センターロータリ30及び左右側部ロータリ31,32は、ロータリ伝動ケース33、ロータリ伝動ケース33の下部に設けた耕耘装置34、ロータリ伝動ケース33の中途部に取り付けた耕耘フレーム35、耕耘爪34を被覆する耕耘カバー36等により構成している。
【0030】
また前記伝動ボックス28からカルチ支持フレーム29内に位置するように左右作業伝動軸を軸架延出して、左右作業伝動軸とセンターロータリ30及び左右側部ロータリ31,32のロータリ伝動ケース33,33の入力ギヤとをスプライン嵌合し、左右作業伝動軸からロータリ伝動ケース33に動力を伝達し、センターロータリ30及び左右側部ロータリ31,32の耕耘爪34,…を駆動するように構成している。
【0031】
しかして、薬液タンク9を取り付けたままで防除噴霧装置Aにより薬剤散布作業をしながら、カルチロータリ27による中耕除草作業の複合作業が可能となり作業効率を高めることができる。また、薬液タンク9の後側中央部には上下方向に切除した凹部9dを設けたので、後部昇降リンク25及びカルチロータ27を凹部9d内に入り込ませて上昇することができて、カルチロータ27のリフト量を確保して旋回時における作物の損傷を防止することができる。また、オペレータは薬液タンク9の凹部9dを通して後方視界がよくなり、カルチロータリ27の作業確認が容易となる。
【0032】
次に、図4により後ブーム11dについて説明する。
【0033】
前記センターロータリ30における耕耘フレーム35の後部には、上下方向の支持筒体42を左右のピン43,43により枢支し、この支持筒体42に縦ステー44を挿入支持し、この縦ステー44の上端部に地面と平行な前後方向の取付ステー45をボルト・ナットで固着している。この取付ステー45の後端部に後ブーム11dの取付部を後側から挿入しボルト・ナットで前後方向に調節自在に取り付けている。そして、後ブーム11dはカルチロータリ27と略同幅に構成して、後ブーム11dからカルチロータリ27の中耕後に全幅にわたって薬剤散布ができるようにしている。カルチロータリ27のリヤーヒッチ46を左右中央部に設け、リヤーヒッチ46と取付ステー45との間をロッド47で連結し、リヤーヒッチ46を上下調節装置48により昇降調節自在に構成している。
【0034】
しかして、カルチロータリ27による中耕作業後に後ブーム11dから除草剤を散布する複合作業をすることができ、除草剤を土中深く浸透させて除草効果を高めることができる。また、後ブーム11dをカルチロータ27に対して上下方向及び前後方向に調節し、後ブーム11dを作物の成長に応じて調整し薬剤の散布効果を高めることができる。
【0035】
次に、図5等を用いて、左右前輪3,3の前部に設けられた、畝溝に植生する雑草を引き起す引起し装置50と、当該引起し装置50に取り付けられた切刃58等について説明する。図5は、左側の前輪3の前側に配置された引起し装置50及び切刃58等の斜視図である。なお、右側の前輪3の前側に配置された引起し装置50及び切刃58等は、図5に示された引起し装置50及び切刃58等と左右対称形状で同じ構造を成している。
【0036】
前記ブーム支持部材15または中央ブーム11aに対して左右の昇降アーム60,61を取り付けており、この左右の昇降アーム60,61に引起支持アーム62を取り付け、左右の引起しフレーム51を介して左右の引起し装置50を取り付ける構成としている(図2参照)。図2の左右の引起し装置50は幅を広く構成して出力の大きいモータを取り付けており、草が多く茂っている場合に使用する。
【0037】
このように、左右の引起し装置50はブーム支持部材15または中央ブーム11aに対して取り付けられているので、昇降シリンダ19,19により中央ブーム11a、左サイドブーム11b、右サイドブーム11cと一緒に昇降する構成である。
【0038】
図5に示す如く、引起しフレーム51は、上部のプーリ53と下部のプーリ52を挟んで支持する板状フレームで、上昇側の側面視で先が上に曲った搬送ラグ55を有するゴム製の引起しベルト56を上部のプーリ53と下部のプーリ52に巻き掛けている。下部のプーリ52は、引起しフレーム51に設けるテンションばね63で引起しベルト56を張圧している。
【0039】
引起しフレーム51の側面には前記搬送ラグ55を上昇過程では外部へ突出し上端近くで内部へ引き込むように引起しベルト56の後側を囲む側面カバー57を取り付けている。側面カバー57の下部には切刃58を引起しベルト56の移動軌跡に引き出し可能に刃ケース59を取り付け、左右の側面カバー57を上端の連結軸69と上部のプーリ53下のスクレーパ連結材72で連結している。スクレーパ連結材72は上部のプーリ53への雑草の巻き付きを防ぐ。切刃58は摩耗すると刃先を折って取り除き、ノブボルト71を緩めて新たな切刃を引き出して更新出来るようにする。切刃58は使用しない場合には側面カバー57に沿って収納すると良い。
【0040】
上部のプーリ53は引起しフレーム51に取り付けた油圧や電気で駆動する変速モータ64で駆動するが、畝溝に生える長い雑草の量に応じて引起しベルト56の引起し速度を後輪4の走行速度と同期したり増減速したりして変速制御する。長い雑草が無い場合は、変速モータ64の駆動を停止しても良い。基本的には走行速度が速くなると変速モータ64を増速させ、走行速度が遅くなると変速モータ64を減速させるが、例えば草が多い場合などは、走行速度を遅くして変速モータ64を増速させる場合もある。このような場合には、手動スイッチ(図示せず)で変速モータ64を減速させる構成とする。
【0041】
また、変速モータ64で下部のプーリ52を駆動するように構成してもよい。図1の実施例では、変速モータ64は下部のプーリ52を駆動する構成としているので、変速モータ64は引起し装置50の下部に取り付けられている。このため、変速モータ64は引起し装置50の後側に取り付ける構成としている。これにより、変速モータ64に対して草などが直接当たらないので、変速モータ64を保護できる。
【0042】
引起しフレーム51の上部は、取付ブラケット70を引起支持アーム62にピン差し込み式で左右側方へ取り付け角度変更可能に取り付け、引起しフレーム51を側方へ傾けると雑草の引起し幅を拡げることが可能で、引起しフレーム51の下部にはゲージ輪65を圧縮バネ73で弾力的に支持するゲージ輪アーム66に軸支し、ゲージ輪65を接地して畝溝の凹凸に柔軟に追従して支持するようにしている。
【0043】
このゲージ輪65と引起し装置50の間には、下側分草杆68と上側分草杆67を設け、ゲージ輪65の雑草の巻き付きを防いでいる。また、コンバインに用いられているような後方に向かって広がる分草カバーで構成してもよい。
【0044】
ゲージ輪65は空気を抜いて(50%程度の空気充填量)柔らかくして畝溝を転がり、畝を崩さないようにするが、ゲージ輪65は空気を使用しない無垢のものでもよい。この場合は、軟質ゴムなどの比較的柔らかい材質でゲージ輪を構成する。また、引起しフレーム51を引起支持アーム62から取り外した際には、ゲージ輪65が運搬車輪となる。図2に示すように、左右の引起し装置50、50は「ハの字」状に配置されているため、前記ゲージ輪65を引起し装置50に取り付けるときには、前後輪3、4と同じように回転する方向に取り付ける必要がある。
【0045】
なお、引起しフレーム51は、昇降アーム60,61単体を前記油圧シリンダ19、19とは異なる別の油圧シリンダで昇降するように構成してもよい。
【0046】
図6に示す構成について説明する。昇降シリンダ19,19により中央ブーム11aと左右の引起し装置50、50のみが昇降する構成である。左サイドブーム11bと右サイドブーム11cは、左右の昇降シリンダ16,16で昇降するとともに左右の旋回モータ17a、17aで旋回する構成としている。
【0047】
左右の引起し装置50、50を支持する引起支持アーム62は、中央ブーム11aで共用する構成としている。即ち、中央ブーム11aの左右両端部に左右の引起し装置50、50を設ける構成としており、さらに、中央ブーム11aに対して左右の引起し装置50、50は回動可能に取り付けている。左右のシリンダ74、74により左右の引起し装置50、50を左右に回動できるので、草の倒伏状態により搬送ラグ55の作用位置を変更できて引起し性能が向上する。この場合はゲージ輪65を取り付けていないが、ゲージ輪をモータなどで左右方向に回動可能に構成してもよい。
【0048】
変速モータ64は、上部のプーリ53を駆動する構成としている。これにより、変速モータ64は草の背丈よりも高い位置に配置されることになるので、変速モータ64を引起し装置50の前側に取り付けても問題はない。変速モータ64を引起し装置50の前側に取り付けることで、変速モータ64のメンテナンス性が向上する。
【符号の説明】
【0049】
2 走行車台
3 前輪
4 後輪
11a 中央ブーム
11b 左サイドブーム
11c 右サイドブーム
14 噴霧ノズル
27 作業機(カルチロータリ)
50 引起し装置
64 引起動力源(変速モータ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6