(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記部位(143d)は、前記縦送り駆動アーム(150)が前記縦送りアーム(140)の前記下端縁部の前記部位(143d)に当接している当接点における前記縦送りアーム(140)の接線に対する、前記当接点を通る垂直方向の力(F)が、前記縦送りアーム(140)を下方に回動させる方向の成分(Fy)を有している部位であり、
前記部位(143d)は、前記トレイ縦送り部材(121)が所定の下限位置の手前で留まっている場合において、前記垂直方向の力(F)が前記縦送りアーム(140)を下方に回動させる方向の成分(Fy)を有する部位である、ことを特徴とする請求項1記載の移植機。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の移植機の一実施の形態の苗移植機について説明する。
【0023】
本実施の形態では、本発明の移植機の一実施の形態の苗移植機について、図面を用いて説明する。
【0024】
図1に、本実施の形態の苗移植機1の概略の左側面図を示し、
図2に概略の平面図を示す。
【0025】
野菜などの苗を移植する苗移植機1は、
図1、
図2に示すように、走行車輪としての左右一対の前輪2R、2L(従動輪)および後輪3R、3L(駆動輪)を備えた走行車体15と、走行車体15の前部に配置されたエンジン12およびミッションケース(主伝動ケースとも呼ぶ)4と、走行車体15の後部に配置された、苗22(
図3(a)参照)を圃場に植え付けるべく植付具11を上下揺動させる苗植付装置300と、その苗22を収容したトレイ20(
図3(a)参照)を供給するトレイ供給装置100と、そのトレイ供給装置100のトレイ20の育苗ポット21(
図3(a)参照)の内部に取出部材260の先端を突入させて苗22を取りだして植付具11へ供給する取出装置200と、苗22の植付深さを一定に保つためのセンサ板610を含む植付深さ調整機構(図示省略)と、鎮圧輪13、操縦ハンドル8、及び操縦ハンドル8の中央部に配置された操作部600等を備えて構成されている。
【0026】
また、操縦ハンドル8の左側のハンドルグリップ8Lの近傍には、エンジン12からの駆動力の伝動を入り切りする主クラッチ(図示省略)を入切操作するための主クラッチレバー80が設けられ、右側のハンドルグリップ8Rの近傍には、走行車体15を昇降させるための油圧昇降シリンダ10を作動させる昇降操作レバー81が設けられている。
【0027】
また、主クラッチレバー80には、主クラッチレバー80の操作位置を検知する接触型の主クラッチ入切検知センサ(図示省略)が設けられている。
【0028】
また、操縦ハンドル8の左側のハンドルグリップ8Lの下方には、左走行クラッチレバー90Lが設けられ、右側のハンドルグリップ8Rの下方には、右走行クラッチレバー90Rが設けられている。左走行クラッチレバー90Lは、左側駆動輪として左側後輪3Lへの駆動力の伝動を入り切りする左走行クラッチ(図示省略)を入切操作するためのレバーであり、右走行クラッチレバー90Rは、右側駆動輪として右側後輪3Rへの駆動力の伝動を入り切りする右走行クラッチ(図示省略)を入切操作するためのレバーである。
【0029】
また、左走行クラッチレバー90Lには、左走行クラッチレバー90Lの操作位置を検知する接触型の左走行クラッチ入切検知センサ(図示省略)が設けられており、右走行クラッチレバー90Rには、右走行クラッチレバー90Rの操作位置を検知する接触型の右走行クラッチ入切検知センサ(図示省略)が設けられている。
【0030】
また、トレイ供給装置100は、
図3に示す様に、トレイ20の底部を支持する前下がりに傾斜したトレイ搬送路111を有する苗置台110と、トレイ20をトレイ搬送路111に沿って縦方向に間欠的に送るトレイ縦送り装置120と、を備えている。
【0031】
ここで、
図3(a)は、トレイ供給装置100の斜視図であり、
図3(b)は、
図3(a)のX部の拡大斜視図であり、
図3(c)は、後述するトレイ送りロッド121の下端側の中央部121a(
図3(a)参照)に固定された平板状の長板部材122を説明するための部分拡大側面模式図である。
【0032】
なお、トレイ20は、
図3(a)に示す様に、複数の育苗ポット21を縦横に連設したもので、プラスチックで形成されていて、可撓性を保持する構成になっている。各育苗ポット21は表面側で連結し、裏面は各育苗ポット21の底部21cが独立して突き出した形態となっている。
【0033】
本実施の形態の苗22は、本発明の移植物の一例にあたり、本実施の形態のトレイ20は、本発明のトレイの一例にあたる。また、本実施の形態の取出装置200と苗植付装置300とを包括する構成要素は、本発明の植付装置の一例にあたる。
【0034】
また、苗移植機1は、トレイ搬送路111を有する苗置台110を左右方向に往復移動させるトレイ搬送路移動装置170(
図2参照)を走行車体15の後部に備えている。
【0035】
トレイ搬送路移動装置170は、
図2に示す様に、(1)トレイ搬送路111の裏面側に設けられ、植付作業中の移動については苗移植機1のエンジン12側からの駆動力を得て、また、植付作業停止中の移動についてはステッピングモータ175(
図2参照)からの駆動力を得て、苗置台110を左右横方向に往復移動させるリードカム軸171(
図2、
図3(a)参照)と、(2)リードカム軸171より上方に設けられ、苗置台110の左右方向への移動を案内する案内レール155と、(3)案内レール155を左右両側で保持する左右両側壁部172L、172Rを有している。
【0036】
なお、リードカム軸171は、右ネジ用と左ネジ用の螺旋状の溝(図示省略)が外周面において交差する様に形成されており、トレイ搬送路111の裏面に固定されたスライダ(図示省略)の突起部が当該溝に沿ってスライド移動可能に噛み合っている。そのため、リードカム軸171が一方向に間欠的に回動すると、苗置台110が間欠的に一方向にスライド移動し、リードカム軸171に形成された螺旋状の一方の溝(例えば、右ネジ用の溝)の端部で折り返して、他方の溝(例えば、左ネジ用の溝)に入ることで、苗置台110のスライド移動方向が自動的に反転する。
【0037】
この動作を繰り返すことにより、苗置台110は、
図2に示す様に、トレイ搬送路移動装置170の左側壁部172Lと、苗置台伝動ケース178との間で、往復移動を繰り返す構成である。苗置台伝動ケース178は、エンジン12側からの駆動力をリードカム軸171及び後述する縦送り回動軸151にチェーンベルト(図示省略)で伝動する伝動機構を収納したケースである。
【0038】
また、トレイ搬送路移動装置170は、エンジン12側からの駆動力と、ステッピングモータ175からの駆動力との何れの駆動力をリードカム軸171に伝動させるかを切り換えるための油圧駆動式の駆動源切替クラッチ(図示省略)を苗置台伝動ケース178内に有している。
【0039】
本実施の形態のトレイ搬送路移動装置170は、本発明の横送り装置の一例にあたる。
【0040】
また、苗置台伝動ケース178には、トレイ供給装置100の苗置台110が、作業開始位置に位置したことを検知する位置検知センサ1200が配置されている。本実施の形態では、苗置台110の作業開示位置は、左右往復移動範囲の最右端位置、即ち、苗置台110が苗置台伝動ケース178に最接近した位置である。
【0041】
また、本実施の形態では、苗置台110が作業開始位置に位置するとき、取出部材260は、トレイ20の左右横方向における一列分の育苗ポット21の最左端の苗22から順次取り出す。
【0042】
上述したことから明らかな様に、本実施の形態の苗移植機1のトレイ供給装置100の送り動作には、(1)トレイ20の横方向一列分の育苗ポット21の苗22が、取出部材260により順次取り出されるべく、苗置台110が、間欠的に左右横方向に送られる横送り動作と、(2)横方向一列分の全ての育苗ポット21の苗22の取り出しが完了した後、苗置台110上のトレイ20が、トレイ送りロッド121により育苗ポット21の横方向一列分について下方向に送られる縦送り動作がある。
【0043】
なお、横送り動作では、エンジン12側からの駆動力を用いる場合と、ステッピングモータ175からの駆動力を用いる場合がある。
【0044】
トレイ送りロッド121による縦送りは、トレイ20の裏面側の隣接する育苗ポット21間の溝部にトレイ送りロッド121の先端部が係合した状態となり、この状態でトレイ送りロッド121が側面視で略四角形の軌跡A(
図4参照)を描いて回動することにより、トレイ20がトレイ搬送路111に沿って斜め下方に間欠的に縦送りされることで実行される。
【0045】
また、本実施の形態では、植付作業中においては、エンジン12側からの駆動力を得て、トレイ搬送路移動装置170を作動させることにより、苗置台110を左右横方向へ間欠的に移動させ、その移動方向が反転する毎に、苗置台110のトレイ搬送路111上に載置されているトレイ20が、トレイ縦送り装置120により、育苗ポット21の横方向一列分について縦方向に送られる構成である。
【0046】
これに対して、植付作業停止中において苗置台110を作業開始位置に移動させる場合は、ステッピングモータ175からの駆動力を得て、苗置台110を左右横方向に往復移動させるが、その移動方向が反転しても、トレイ縦送り装置120は停止しており、トレイ20の縦送りは行われない構成である。
【0047】
なお、トレイ供給装置100のトレイ縦送り装置120の構成については、主として
図4〜
図6を用いて後述する。
【0048】
また、本実施の形態の苗移植機1では、
図1、
図2に示す通り、エンジン12から出力される回転動力は、ミッションケース4により分岐され、左右一対の走行伝動ケース9を介して左右一対の後輪3に伝動されるとともに、ミッションケース4の後側に設けられた植付伝動装置18にも伝動される構成である。
【0049】
即ち、本実施の形態の苗移植機1では、左右一対の前輪2、2及び左右一対の後輪3、3によって畝Uを跨いだ状態で走行車体15を進行させながら、育苗ポット21から苗22を取り出して圃場の畝Uに自動的に植付けるべく、ミッションケース4からの動力が植付伝動装置18に伝動されて、チェーンベルト202を介して取出装置200に伝動されるとともに、その植付伝動装置18に取り付けられた苗植付装置駆動機構400と、苗植付装置300を介して植付具11に伝達される。
【0050】
また、苗植付装置駆動機構400のケーシング401の後端上部において、植付具11の壁面に付着した泥等を落とすためのスクレーパー装置1000の上端部が回動可能に設けられている。スクレーパー装置1000については、
図7、
図8を用いて更に後述する。
【0051】
また、本実施の形態の苗移植機1の植付動作は、苗植付装置駆動機構400により間欠的に行える構成である。
【0052】
尚、苗植付装置300、及び苗植付装置駆動機構400の詳細な構成については、
図7、
図8を用いて、後述する。
【0053】
また、本実施の形態の苗移植機1では、走行車体15に対し左右一対の後輪3、3を上下動させて、走行車体15の姿勢及び車高を制御する機体制御機構が設けられている。
【0054】
ここで、上述した通り、主として
図3〜
図5を用いて、トレイ供給装置100のトレイ縦送り装置120について更に説明する。
【0055】
図4は、トレイ供給装置100のトレイ縦送り装置120の構成を示す概略側面図である。なお、
図4では、トレイ送りロッド121の中央部121aが下限位置に位置する状態を示している。
【0056】
また、
図5(a)〜
図5(d)は、縦送り駆動アーム150と縦送りアーム140の位置関係を示す模式側面図である。
【0057】
トレイ縦送り装置120は、トレイ20の裏面側から、当該裏面側に突き出した育苗ポット21同士の間に入り、下方に移動することでトレイ20を育苗ポット21の横一列分だけ送り、その後、育苗ポット21同士の間から抜け出して、育苗ポット21の横一列分だけ上方に移動する構成のトレイ送りロッド121を有している。トレイ送りロッド121は、中央部121aがトレイ搬送路111の下部に設けられた退避溝111a(
図3(a)、
図4参照)に出入り可能に構成され、両端部121bは直角に折り曲げられて、トレイ搬送路111の両サイドより外側に位置しており、トレイ20がトレイ搬送路111上を移動する際に、邪魔にならない構成である。
【0058】
また、トレイ供給装置100のトレイ搬送路111の左右両サイドには、縦送りされるトレイ20がスムーズに移動する様に両側から支持する支持側板113L、113R(
図3(b)参照)が設けられており、左右それぞれの支持側板113L、113Rには、トレイ送りロッド121の中央部121aの、後述する側面視で略四角形の軌跡A(
図4参照)と干渉しない様に第1切り欠き部113a(
図3(b)参照)が形成されている。また、第1切り欠き部113aの奥側縁部113a1(
図3(b)参照)は、滑らかな曲線を成している。これにより、トレイ送りロッド121の中央部121aが、慣性力により第1切り欠き部113aの奥側縁部113a1に衝突した場合でも、中央部121aは、その曲線に沿って軌跡Aの進行方向を基準にして下流側にスムーズに移動するので、トレイ送りロッド121の移動軌跡Aが乱れることが防止出来る。
【0059】
また、トレイ送りロッド121の中央部121aの、トレイ20の育苗ポット21の底部21cに当接する部位には、平板状の長板部材122が溶接固定されている(
図3(b)、
図3(c)参照)。
【0060】
これにより、トレイ送りロッド121の中央部121aを平板状の長板部材122を介してトレイ20に面接触させることにより、接触圧を低くすることができるので、トレイ送りロッド121がトレイ20を移動させるときや、トレイ20の移動を停止させる際に、育苗ポット21内に収容された苗の根部周辺の土を押し固めることが防止され、取出装置200で確実に苗を取り出すことが可能になる。
【0061】
また、トレイ供給装置100のトレイ搬送路111の左右幅方向における中央部には、トレイ20の横方向に隣り合って配置された育苗ポット21同士の裏側の隙間に入り込み、縦送りされるトレイ20を縦送り方向に案内するトレイガイドロッド123が設けられている(
図3(a)、
図3(c)参照)。
【0062】
また、平板状の長板部材122の内、正面視で、トレイガイドロッド123と交差する側の部位122a(
図3(c)参照)が凹状に切りかかれている。
【0063】
これにより、平板状の長板部材122とトレイガイドロッド123との干渉が回避出来て、平板状の長板部材122の動きが規制されることを防止できるので、平板状の長板部材122をトレイ20の育苗ポット21の裏側に確実に接触させることができ、トレイ20を所定位置に確実に留めることができる。
【0064】
また、退避溝111aの奥側に配置されている補強板124の上側(
図3(b)、
図4参照)の傾斜は、トレイ搬送路111(
図3(b)、
図4参照)の傾斜より緩やかに形成されている。これにより、トレイ搬送路111の下端と補強板124の上端との隙間の幅Wが広く取れるので、後述するリードカム軸171(
図4参照)等のメンテナンス作業が行い易い。
【0065】
また、補強板124の上端部には、リードカム軸171にグリスを注入する作業を行い易くするために所定の切り欠き部(図示省略)が形成されている。
【0066】
更に、トレイ供給装置100は、退避溝111aの下流側であってトレイ搬送路111の両サイドの端面部において、トレイ送りロッド121の動きを規制するための左右一対のロッドガイドプレート112を備えている。このロッドガイドプレート112の上端縁部には、トレイ送りロッド121の中央部121aの両端で下流側に突き出した突起部121abが進入可能な第2切り欠き部112aが形成されている(
図3(b)参照)。
【0067】
即ち、この第2切り欠き部112aは、トレイ送りロッド121の中央部121aが、下方に移動した後、育苗ポット21同士の間から抜け出すまでの間において、一時的にトレイ送りロッド121の中央部121aの両端の突起部121abを保持して、育苗ポット21に入れられている苗22や土の重みでトレイ20が下方へずれ動くことを規制する構成である。トレイ送りロッド121の中央部121aの両端の突起部121abが、第2切り欠き部112aの上端縁部に当接したときの、トレイ送りロッド121の中央部121aの位置が下限位置であり、トレイ送りロッド121の中央部121aは、これより下方には移動出来ない。
【0068】
また、トレイ搬送路111は、リードカム軸171と、トレイ搬送路111の内側上部に設けられた左右移動を案内する案内レール155により支持されている。これにより、案内レール155はリードカム軸171と離れた位置でトレイ搬送路111を支えるため、左右方向への移動時にがたつきが少ない。
【0069】
トレイ搬送路111と押え枠25との間に挟み込むようにしてトレイ20を苗載台110の上方から差し込むと、トレイ20の裏面側の溝部にトレイ送りロッド121の先端部が係合した状態となり、この状態でトレイ送りロッド121の先端部が側面視で略四角形の軌跡A(
図4参照)を描いて回動することにより、トレイ20がトレイ搬送路111に沿って斜め下方に間欠的に縦送りされる構成である。
【0070】
なお、取出装置200は、苗置台110の下端部に対向する位置に配置されており、取出部材260の先端が軌跡K(
図4参照)を描く様に作動して、左右横方向に移動する育苗ポット21から、順次、苗22を取り出して植付具11に供給する構成である。
【0071】
次に、
図3(a)〜
図4を参照しながら、トレイ供給装置100のトレイ送りロッド121を間欠的に駆動させる機構を中心に更に説明する。
【0072】
図4は、トレイ縦送り装置120の構成を示す概略側面図である。
【0073】
図4に示す通り、トレイ縦送り装置120は、(1)上述したトレイ送りロッド121と、(2)トレイ送りロッド121の両端部121bの上側先端部121b1が固定され、片方が内側に湾曲した湾曲縁部131aを有する突起状カム131が下部に形成された送りロッドアーム130と、(3)苗置台110の側板110aに固定された縦送りアーム回動軸141により回動自在に支持されると共に、先端部142で送りロッドアーム130を回動自在に支持する、下端縁部に第1凹部143a、第1凸部143b、第2凹部143c、及びロッド強制押し下げ部143dが側面視で滑らかに連続して形成された縦送りアーム140と、(4)苗移植機1の動力原から得た駆動力により矢印E方向に回動する縦送り回動軸151を取出装置200側から見て、縦送り回動軸151の中央位置と右端位置の2箇所にそれぞれ固定され、先端部に牽制ローラ152を回動自在に有する縦送り駆動アーム150と、を備える。
【0074】
なお、ロッド強制押し下げ部143dについては、
図5、
図6を用いて更に後述する。
【0075】
また、縦送りアーム140の先端部142と、苗置台110の側板110aの下部110a1との間には、縦送りアーム140に常に下向きに引っ張る力が印加される様に、縦送りアーム引っ張りバネ160が取り付けられている。また、縦送りアーム140を回動自在に支持する縦送りアーム回動軸141には、送りロッドアーム130の上端部に取り付けられたピン132に長孔を介して一方端が取り付けられた連結ロッド161の他方端を回動可能に支持する連結ロッド回動軸162を固定する連結ロッド取付基部163が固定されている。ここで、連結ロッド161はターンバックル式の長さ調節機構を備えている。
【0076】
なお、連結ロッド161に代えて、引っ張りスプリングを用いても良い。
【0077】
また、本実施の形態では、
図4に示す様に、縦送りアーム140の上端縁部144の内、上記連結ロッド回動軸162に対応する部位144aが予め下方に向けて切り欠かれている。
【0078】
これにより、上記切り欠きの無い場合に比べて、縦送りアーム140の時計回り方向の回動の幅を大きく設定した場合でも、縦送りアーム140の上端縁部144と連結ロッド回動軸162との干渉が発生しない。よって、例えば、育苗ポット21のサイズが大きく、配置されている育苗ポット21の総数が少ないトレイ20を使用出来る様にするためには、トレイ送りロッド121の上下方向のストロークを大きくする必要があるが、その場合でも、連結ロッド回動軸162との干渉が回避出来るので、縦送りアーム140の時計回り方向の回動の幅を容易に大きくすることが出来る。
【0079】
また、上記切り欠き部の寸法を調整することで、縦送りアーム140が時計回りに回動しすぎた場合に、上記連結ロッド回動軸162に対応する部位144aが連結ロッド回動軸162に当接することで、縦送りアーム140のストッパとなる。
【0080】
また、本実施の形態では、上記第1凸部143bは、なだらかな傾斜を有しており、トレイ送りロッド121の先端部がゆっくりと上昇し、スムーズに次の列の育苗ポット21の隙間に入ることが出来る(
図4の符号121a2、121a3参照)。
【0081】
次に、主として
図3(a)〜
図4を参照しながら、トレイ送りロッド121の間欠的な動作について説明する。
【0082】
なお、トレイ送りロッド121の間欠的な動作の説明では、左、及び右の用語は、苗移植機1を正面視したときに、左手側を左と称し、右手側を右と称した。
【0083】
リードカム軸171の回動により、苗置台110が右方向すなわち矢印H方向(
図3(a)参照)に向けて移動しているとする。その時、縦送り回動軸151は矢印E方向に回動している(
図4参照)。
【0084】
その間において、取出装置200は、右端の育苗ポット21から順次、苗22を取り出して植付具11に苗22を供給しており、その後、苗置台110が最右端に移動した時点で、最左端の育苗ポット21の苗22が取出装置200により取り出される。これにより、育苗ポット21の横一列分の全ての苗22が取り出されたことになる。
【0085】
この時、縦送り回動軸151と共に矢印E方向に回動している、縦送り回動軸151の右端に固定されている縦送り駆動アーム150の先端部に回動自在に取り付けられている牽制ローラ152が、縦送りアーム140の第1凹部143aとの接触を開始した後、少し遅れて送りロッドアーム130の湾曲縁部131aとの接触を開始する構成であるので、トレイ送りロッド121は、縦送りアーム140の時計回りの回動に伴い一旦上昇移動した後、先端部142の軸中心で反時計回りに回動を開始する。
【0086】
以下の動作説明では、(1)まず、トレイ20がトレイ送りロッド121によりスムーズに押し下げられて、トレイ送りロッド121が下限位置に到達する動作が繰り返される場合の動作(これを、「第1の動作」と称す)を
図4〜
図5(b)を用いて説明し、(2)次に、トレイ20がトレイ送りロッド121により押し下げられる途中においてその移動が停止することにより、縦送り駆動アーム150の先端部の牽制ローラ152と縦送りアーム140の第2凹部143cとの間に隙間が生じている場合の動作(これを、「第2の動作」と称す)を、
図6(a)〜
図6(b)を用いて説明する。
【0087】
なお、
図4では、トレイ送りロッド121が下限位置に位置している状態を示している。
【0088】
図5(a)、
図5(b)は、上記第1の動作における、牽制ローラ152が縦送りアーム140に及ぼす力の有無、及び、その力の方向を説明するための模式図である。
【0089】
図6(a)は、上記第2の動作における、牽制ローラ152が縦送りアーム140に及ぼす力の方向を説明するための模式図であり、
図6(b)は、
図6(a)の要部の部分拡大模式図である。
【0091】
(1−1)即ち、トレイ送りロッド121が、矢印121a0(
図3(b),
図4参照)の方向に一旦上昇移動することにより、それまで第2切り欠き部112aに保持されていたトレイ送りロッド121の突起部121abが、第2切り欠き部112aから抜け出すと共に、それまで育苗ポット21の裏側の隙間21aで待機していたトレイ送りロッド121の中央部121aも、その隙間21aの範囲内で矢印121a0の方向に上昇移動する。その後、送りロッドアーム130が、先端部142の軸中心で反時計回りに回動を開始することにより、トレイ送りロッド121の中央部121aは、矢印121a1(
図4参照)の方向に移動する。尚、第2切り欠き部112aの切り欠き深さは、トレイ送りロッド121の中央部121aが隙間21aの範囲内で移動できる程度に設定されている。
【0092】
(1−2)その後、更に、牽制ローラ152が矢印E方向に公転を続けると、牽制ローラ152が送りロッドアーム130の湾曲縁部131aとの接触を続けているため、トレイ送りロッド121の中央部121aは退避溝111aに位置した状態を維持している。この時、同時に牽制ローラ152が縦送りアーム140の第1凹部143aから第1凸部143bに向けて移動するので、縦送りアーム140は更に時計回りに回動し(
図5(a)の矢印I参照)、トレイ送りロッド121の中央部121aは、結果的に、退避溝111aに位置した状態を維持しつつ、矢印121a2(
図4参照)の方向(上方)に移動する。
【0093】
ここで、牽制ローラ152が縦送りアーム140の第1凸部143bに当接しながら矢印E方向に公転しているときの、縦送りアーム140に及ぼす力の方向について、
図5(a)を用いて説明する。
【0094】
矢印E方向に回動している牽制ローラ152が第1凸部143bに及ぼす力Fは、
図5(a)に示す様に、牽制ローラ152が第1凸部143bに当接している第1当接点145aにおける縦送りアーム140の第1接線146aに対する、第1当接点145aを通る垂直方向の力である。第1当接点145aは、牽制ローラ152が縦送りアーム140に及ぼす力の作用点である。
【0095】
また、この縦送りアーム140に及ぼす力Fは、縦送りアーム回動軸141の回動軸芯141aと第1当接点145aとを通る直線の方向の第1成分Fxと、その直線と直交し且つ第1当接点145aを通る直線の方向の第2成分Fyとに分解できる。
【0096】
従って、
図5(a)に示す様に、力Fの内、第2成分Fyのみが縦送りアーム140に対して矢印I方向(
図5(a)では時計回りの方向)に回動させる力、即ち、トレイ送りロッド121を上方に移動させる力として作用し、回転モーメントが発生する。なお、力Fの内、第1成分Fxは、縦送りアーム140の回動軸芯141aに向かう力であるため、回転モーメントは発生しない。
【0097】
ここで、再び、
図4を用いた第1の動作の説明に戻る。
【0098】
(1−3)その後、更に、牽制ローラ152が公転を続けると、牽制ローラ152が送りロッドアーム130の湾曲縁部131aと非接触状態となると同時に、バネ(図示省略)の復元力により送りロッドアーム130が先端部142の軸中心で時計回りに瞬時に回動することで、トレイ送りロッド121の中央部121aは、隙間21aから育苗ポット21の一列分だけ上側に位置する隙間21bに向けて、矢印121a3に示す様に移動する。
【0099】
(1−4)その後、更に、牽制ローラ152が矢印E方向に公転を続けると、牽制ローラ152は、縦送りアーム140の第2凹部143cと接触しながら第2凹部143cの終端部143c1まで移動するので、縦送りアーム引っ張りバネ160の復元力により縦送りアーム140が下方に引っ張られて、トレイ送りロッド121の中央部121aは、結果的に、隙間21bに位置した状態を維持しつつ、矢印121a4(
図4参照)の方向に移動するとともに、トレイ送りロッド121の中央部121aの突起部121abが第2切り欠き部112aに保持される。このとき、トレイ送りロッド121は下限位置に位置していると共に、縦送りアーム140の先端部142が下限位置に位置している。
【0100】
また、ここで、第2凹部143cの終端部143c1とは、縦送りアーム140の下端縁部140aにおいて、
図5(b)に示す様に、縦送りアーム回動軸141の回動軸芯141aと、縦送り回動軸151の回動軸芯151aとを通る仮想直線Lが、側面視で交差する部位である。
【0101】
(1−5)その後、更に、牽制ローラ152が矢印E方向に公転を続けると、牽制ローラ152は、ロッド強制押し下げ部143dを非接触状態で通過する(
図5(b)参照)。
【0102】
即ち、ロッド強制押し下げ部143dは、
図5(b)に示す様に、トレイ送りロッド121が下限位置に位置しており、同時に、縦送りアーム140の先端部142が下限位置に位置している状態において、少なくとも、上記仮想直線L上で、縦送り駆動アーム150の回動軸芯151aから牽制ローラ152の最外周縁部までの距離に若干のクリアランスを加算した距離を半径とする円弧で形成された部位であれば良い。ロッド強制押し下げ部143dの形状については、項目(2)の第2の動作の説明のところで、
図6(a)、
図6(b)を用いて更に説明する。
【0103】
これにより、牽制ローラ152は、ロッド強制押し下げ部143dを非接触状態で通過し、縦送りアーム140には何らの力も及ぼさないので、既に下限位置に位置しているトレイ送りロッド121に対して無用の下方への力を及ぼすことが無い。
【0104】
なお、矢印121a4(
図4参照)の方向に移動したトレイ送りロッド121の中央部121aは、育苗ポット21の裏側の育苗ポット同士の隙間に位置した状態を維持しており、苗置台110が、矢印G方向、即ち左方向に移動を開始すると、取出装置200は、左端の育苗ポット21から順次、苗22を取り出して植付具11に苗22を供給し、その後、苗置台110が最左端に移動した時点で、最右端の育苗ポット21の苗22が取出装置200により取り出される。これにより、育苗ポット21の横一列分の全ての苗22が取り出されたことになる。
【0105】
また、この間は、トレイ送りロッド121の中央部121aの突起部121abが第2切り欠き部112aに保持されているので、育苗ポット21に入れられている苗22の重みでトレイ20が下方へずれ動くことを防止出来る。即ち、突起部121abが第2切り欠き部112aに保持されている状態が、トレイ送りロッド121の中央部121aの下限位置である。
【0106】
尚、育苗ポット21の横一列分の全ての苗22が取り出されると、上記と異なり、縦送り回動軸151の中央位置に固定されている縦送り駆動アーム150の先端部に回動自在に取り付けられている牽制ローラ152が、送りロッドアーム130の湾曲縁部131aと、縦送りアーム140の第1凹部143aとの接触を開始する。
【0107】
上記の動作を繰り返すことにより、トレイ20は、右方向又は左方向に移動されるとともに、育苗ポット21の一列分だけ間欠的に縦送りされる。
【0108】
これにより、コンパクトな構造のトレイ縦送り装置120が得られる。また、案内レール155と、リードカム軸171の簡単な構造でトレイ搬送路111を左右移動可能に支持出来る。
【0109】
また、トレイ送りロッド121の中央部121aは、トレイ搬送路111の平面部111bに配置されているので、トレイ20が内側に撓むことがないので、育苗ポット21の裏側において、一定幅の隙間21a、21bを確保出来るため、トレイ送りロッド121が隙間21a、21bに確実に入ることが出来る。
【0110】
また、トレイ搬送路111の平面部111bの下流側に曲面部111cが設けられているので、トレイ20はその曲面にそって撓む。そのため、トレイ送り時に、トレイ送りロッド121が、矢印121a2の方向に移動している時でも、その撓みが抵抗となって、トレイ20が下流側にずれることが防止される。
【0111】
(2)第2の動作について:
ここでは、例えば、トレイ20の縦送りが後半部分の段階に入ることでトレイ20の搬送における摩擦抵抗が増大する等の要因により、縦送りアーム引っ張りバネ160の復元力だけでは、トレイ20がトレイ送りロッド121により完全には押し下げられずに、下限位置の手前で停止してしまう場合の動作について、主として
図6(a)、
図6(b)を用いて説明する。
【0112】
(2−1)縦送り駆動アーム150が矢印E方向に回動して、牽制ローラ152が、縦送りアーム140の第1凹部143aから第1凸部143bに沿って移動することにより、縦送りアーム140が時計回りに回動し(
図5(a)の矢印I参照)、トレイ送りロッド121の中央部121aが、矢印121a2(
図4参照)の方向(上方)に移動し、その後、矢印121a3(
図4参照)の方向(前方)に移動するまでの一連の動作は、上述した第1の動作と同じである。
【0113】
(2−2)その後、トレイ20が、トレイ送りロッド121により、矢印121a4の方向(
図4参照)に押し下げられる動作の最初の時点から又は途中において停止する。
【0114】
この状況においては、トレイ送りロッド121が下限位置に達しておらず、従って、縦送りアーム140の先端部142は下限位置に位置していない(
図6(a)参照)ので、牽制ローラ152と縦送りアーム140の第2凹部143cとの間に隙間152w(
図6(a))が生じている。
【0115】
よって、牽制ローラ152は矢印E方向に移動しながら、縦送りアーム140の第2凹部143cの下方を非接触の状態で通過していく。
【0116】
なお、
図6(a)では、上記隙間152wが生じている状況における、牽制ローラ152と縦送りアーム140の位置関係を共に実線で示した。
【0117】
(2−3)その後、牽制ローラ152の中心が、仮想直線L(
図6(a)、
図6(b)参照)を通過したあたりから、牽制ローラ152の移動軌跡を遮る様に、縦送り駆動アーム150の回動軸芯151a側に張り出しているロッド強制押し下げ部143dに、牽制ローラ152の外周縁部が当接を開始する。
【0118】
なお、
図6(a)、
図6(b)においては、牽制ローラ152が第2凹部143cの下方を通過した後、ロッド強制押し下げ部143dに当接しながら上流側から下流側に向けて移動する状態における各部の位置関係も同時に示している。即ち、ロッド強制押し下げ部143dへの当接を開始した時点での、牽制ローラ152及び縦送り駆動アーム150を一点鎖線で示すと共に、縦送りアーム140を実線で示し、また、ロッド強制押し下げ部143dへの当接が終了する直前の時点での、牽制ローラ152及び縦送り駆動アーム150を二点鎖線で示すと共に、縦送りアーム140を二点鎖線で示した。
【0119】
ここで、牽制ローラ152が縦送りアーム140のロッド強制押し下げ部143dに当接しながら矢印E方向に公転しているときの、縦送りアーム140に及ぼす力の方向について、
図6(b)を用いて説明する。
【0120】
矢印E方向に回動している牽制ローラ152がロッド強制押し下げ部143dに及ぼす力Fは、
図6(b)に示す様に、牽制ローラ152がロッド強制押し下げ部143dに当接している第2当接点145bにおける縦送りアーム140の第2接線146bに対する、第2当接点145bを通る垂直方向の力である。第2当接点145bは、牽制ローラ152が縦送りアーム140に及ぼす力の作用点である。
【0121】
また、この縦送りアーム140に及ぼす力Fは、縦送りアーム回動軸141の回動軸芯141aと第2当接点145bとを通る直線の方向の第1成分Fxと、その直線と直交し且つ第2当接点145bを通る直線の方向の第2成分Fyとに分解できる。
【0122】
従って、
図6(b)に示す様に、力Fの内、第2成分Fyのみが縦送りアーム140に対して矢印J方向(
図6(a)、(b)参照)に回動させる力、即ち、トレイ送りロッド121を下方に移動させる力として作用し、回転モーメントが発生する。なお、力Fの内、第1成分Fxは、縦送りアーム140の回動軸芯141aに向かう力であるため、回転モーメントは発生しない。
【0123】
以上説明したことから、ロッド強制押し下げ部143dは、上記項目(1−5)で説明した「トレイ送りロッド121が下限位置に位置している状態において、少なくとも、上記仮想直線L上で、縦送り駆動アーム150の回動軸芯151aから牽制ローラ152の最外周縁部までの距離に若干のクリアランスを加算した距離を半径とする円弧で形成された部位であれば良い」という要件に加えて、トレイ送りロッド121が下限位置に到達せず途中で停止している状況では、ロッド強制押し下げ部143dの上記円弧の全部又は一部が、縦送り駆動アーム150の回動軸芯151aから牽制ローラ152の最外周縁部までの距離を半径とする仮想円の内側に侵入する様に形成された部位であるといえる。
【0124】
以上のことから、本実施の形態によれば、縦送りアーム引っ張りバネ160の復元力だけでは、トレイ20がトレイ送りロッド121により完全には押し下げられずに、トレイ送りロッド121が下限位置の手前で停止してしまう場合でも、牽制ローラ152が、縦送りアーム140に形成されたロッド強制押し下げ部143dに当接することにより、途中で停止しているトレイ送りロッド121を確実に下限位置まで押し下げることが出来るので、トレイ20の縦送りが確実に行える。
【0125】
なお、縦送り駆動アーム150の回転方向上手側となる部分に凹部(くびれ)を形成し、牽制ローラ152と接触する縦送りアーム140のうち、突出部分との接触を凹部により回避し、縦送り駆動アーム150の回転が妨げられない構成としてもよい。
【0126】
次に、
図7を用いて、上述した苗植付装置300、及び苗植付装置駆動機構400について更に説明する。
【0127】
図7は、苗植付装置300と苗植付装置駆動機構400の左側面図である。
【0128】
苗植付装置300は、
図7に示す通り、苗22を圃場に植付ける植付具11と、植付具11を上下方向に揺動させるための互いに平行に配置された上アーム311と下アーム312を有する揺動リンク機構310と、下アーム312に第1連結軸321を介して回動自在に取り付けられ、揺動リンク機構310を上下動させる上下動アーム320と、植付具11と連動して上下方向に揺動するスクレーパー装置1000と、を備えている。第1連結軸321は上下動アーム320に固定されている。
【0129】
尚、上下動アーム320を回動させるための上下動アーム駆動軸440は、苗植付装置駆動機構400から突き出して設けられており、その先端部に上下動アーム320が固定されている。
【0130】
更に苗植付装置300は、
図7に示す通り、下アーム312に第2連結軸341を介して回動可能に取り付けられるとともに植付具11を開閉させる開閉アーム340と、第1連結軸321に固定されるとともに、第2連結軸341を中心として開閉アーム340の先端部に第3連結軸343を介して回動自在に取り付けられた開閉ローラ342の外周縁部に当接しながら回動することにより、開閉アーム340を前後方向に揺動させる開閉カム322と、一端部351が開閉アーム340の先端部の第3連結軸343に連結され、他端部352が植付具11の開閉機構11a側に連結された開閉用連結ケーブル350と、を備えている。
【0131】
ここで、上述した揺動リンク機構310について更に説明する。
【0132】
即ち、揺動リンク機構310は、
図7に示す通り、苗植付装置駆動機構400を収納したケーシング401の前側上端部401aに、上端が上前軸313aに回動自在に支持され、下端が下前軸314aを介して回動自在に連結支持板315に連結された前揺動アーム316aと、苗植付装置駆動機構400を収納したケーシング401の後側上端部401bに、上端が上後軸313bに回動自在に支持され、下端が下後軸314bを介して回動自在に連結支持板315に連結された後揺動アーム316bとを備え、連結支持板315に設けられた上軸316に、上述した上アーム311の前端部が回動自在に連結され、且つ、連結支持板315の下後軸314bに、上述した下アーム312の前端部が回動自在に連結されているとともに、上アーム311及び下アーム312のそれぞれの後端部が、植付具11の支持板317に設けた回動上軸317aと回動下軸317bに回動自在に連結されている。
【0133】
上記構成により、苗植付装置駆動機構400において上下動アーム駆動軸440に回転駆動力が伝動されると、上下動アーム駆動軸440に固定されている上下動アーム320が矢印A1の方向に回動することにより、下アーム312及び上アーム311が上下に揺動を繰り返すとともに前後への揺動も行われて、植付具11による苗22の植付動作が、畝Uに対して所定の間隔で自動的に行われる。
【0134】
また、この植付動作の際、第1連結軸321が固定されている上下動アーム320が、矢印A1の方向に回動すると、第1連結軸321に固定されている開閉カム322が開閉ローラ342の外周縁部に当接しながら回動するので、開閉アーム340が第2連結軸341を中心にして前方向(反時計方向)に揺動(回動)する。その動作にともなって、開閉用連結ケーブル350の一端部351が前方向に引っ張られるので、開閉機構11aが植付具11を開くべく動作する。
【0135】
また、開閉アーム340が第2連結軸341を中心にして後方向(時計方向)に揺動(回動)すると、開閉機構11aに設けられた植付具11を常に閉じる方向に付勢する付勢ばね(図示省略)の作用により、開閉用連結ケーブル350の一端部351が後方向に引っ張られるので、開閉機構11aが植付具11を閉じるべく動作する。
【0136】
上記構成により、上下動アーム320の駆動が1軸のため構造がシンプルであるとともに、上下動アーム320、開閉アーム340、及び開閉カム322をコンパクトに構成でき、植付作動を円滑に行える。
【0137】
次に、主として
図8(a)、
図8(b)を用いて、植付具11とスクレーパー装置1000について更に説明する。
【0138】
図8(a)は、植付具11を左前方から見た要部斜視図であり、
図8(b)は、植付具11とスクレーパー装置1000との配置関係を示す概略平面図である。
【0139】
本実施の形態のスクレーパー装置1000は、
図7、
図8(b)に示す様に、(1)苗植付装置駆動機構400のケーシング401の後端上部に、上端部が回動可能に連結されたスクレーパーアーム1010と、(2)スクレーパーアーム1010の下端部に固定された側面視で略L字形状のスクレーパー取付ステー1020と、(3)スクレーパー取付ステー1020の後端部に取り付けられた、中央部が左右方向に円弧状に張り出した張り出し部1031L、1031Rを有するスクレーパー本体1030とにより構成されている。
【0140】
また、スクレーパー本体1030には、前後方向に長い長孔が2つ形成されており、その長孔を介してスクレーパー取付ステー1020に対して締結部材1021により前後方向にスライド可能に連結されている(
図8(b)参照)。これにより、スクレーパー本体1030が後述するホッパー部1111L、1111Rの内部に挿入された際に、それらホッパー部1111L、1111Rの内壁の曲面に沿って密着し易くなり、内壁に付着した泥などを効率よく落とすことが出来る。
【0141】
また、本実施の形態の植付具11は、閉じた状態で先端部が尖った左右一対の嘴状のホッパー部1111L、1111Rの上端側の前後側に切り欠き部1112F、1112Bが形成されている。また、ホッパー部1111L、1111Rを開閉可能に保持する開閉機構11a(
図7参照)の一部である左右一対のホッパーホルダー1120L、1120R(
図8(a)、
図8(b)参照)には、スクレーパー本体1030が前側の切り欠き部1112F(
図8(a)参照)を通ってホッパー部1111L、1111Rの内部に挿入される際に、スクレーパー本体1030の左右の張り出し部1031L、1031Rが当接することにより、その左右の張り出し部1031L、1031Rを変形させながら、スクレーパー本体1030をスムーズにホッパー部1111L、1111Rの内部に案内する左右一対のスクレーパーガイド板1130L、1130Rが取り付けられている。また、スクレーパーガイド板1130L、1130Rは、ホッパー部1111L、1111Rの前側の切り欠き部1112Fの端面部(エッジ部)を覆う様に配置されている。
【0142】
これにより、スクレーパー本体1030は、前側の切り欠き部1112Fの端面部(エッジ部)によって傷つくことが無く、ホッパー部1111L、1111Rの内部にスムーズに挿入される。また、スクレーパー本体1030は、スクレーパーガイド板1130L、1130Rに案内されて変形しながらホッパー部1111L、1111Rの内部に挿入された後、その変形が解消されて元の形状に戻るので、スクレーパー本体1030がホッパー部1111L、1111Rの内壁部に接触し易くなり、ホッパー部1111L、1111Rの内壁部の泥を効率よく除去出来る。
【0143】
次に、
図9、
図10を用いて、上述した取出部材260と、その変形例としての第2取出部材1260、第3取出部材2260、及び第4取出部材3260の構成について更に説明する。
【0144】
図9(a)は、取出部材260の平面図であり、
図9(b)は、
図9(a)に示す取出部材260の側面図である。また、
図9(c)、
図9(d)は、取出部材260の変形例としての第2取出部材1260の要部側面図である。
【0145】
また、
図10(a)は、取出部材260の別の変形例としての第3取出部材2260の爪の位置と育苗ポット21との関係を示すための正面模式図であり、
図10(b)は、第3取出部材2260の要部概略斜視図であり、
図10(c)は、第3取出部材2260の上下の爪の側面図である。また、
図10(d)は、取出部材260の更に別の変形例としての第4取出部材3260の爪の位置を示すための正面模式図であり、
図10(e)は、第4取出部材3260の爪の斜視図である。
【0146】
本実施の形態の取出部材260は、
図9(a)、
図9(b)に示す様に、育苗ポット21内の土の部分に先端部が挿入されて、苗を取り出す左右一対の取出爪261L、261Rと、育苗ポット21から取り出して左右一対の取出爪261L、261Rにより保持されている苗22を植付具11の内部に落下させるための左右一対の押し出しロッド262L、262Rとを有している。
【0147】
左右一対の取出爪261L、261Rは、単数又は複数枚のスペーサ263を介して先端側に着脱可能に固定された左右一対の爪本体261aL、261aRを備えている。また、左右一対の爪本体261aL、261aRの先端側は、フォーク状に上下二股に分離しており、上下二股に分離した爪本体261aL、261aRのそれぞれの先端部は、育苗ポット21の内壁面の傾斜角度より大きく傾斜した傾斜部261bを有しており、傾斜部261bの根元側は側面視で鈍角を成しており、傾斜部261bの先端側は側面視で鋭角を成している。
【0148】
これにより、上下二股に分離した爪本体261aL、261aRのそれぞれの先端部が育苗ポット21の内部に挿入された場合、傾斜部261bの根元側の鈍角を成した角部の方が先に育苗ポット21の内壁面に当たり、傾斜部261bの先端側の鋭角を成した部位は内壁面に当たらないので育苗ポット21の壁面を突き刺すことが防止出来る。
【0149】
また、左右一対の押し出しロッド262L、262Rのロッド先端部262aL、262aRは、爪本体261aL、261aRの上下二股に分離した部位の周囲に前後方向にスライド移動可能に巻き付けられて略楕円のリング状を成しており、そのロッド先端部262aL、262aRが矢印M(
図9(b)参照)方向にスライド移動することにより苗22を押し出す構成である。
【0150】
また、育苗ポット21のサイズが大きなトレイ20を使用する場合、スペーサ263を左右各1枚挿入することにより、爪本体261aL、261aRの取り付け角度を維持したまま、爪本体261aL、261aRの左右間隔を苗の根部が集中する中央部付近を避けて苗の取り出しを行い得るものに変更することが出来る。これにより、苗を取り出す際に根部を傷付け、苗の圃場への活着の妨げや立ち枯れを防止できると共に、ホッパー部1111L、1111Rに取り出した苗を運んでいる途中で苗が落下することを防止できる。
【0151】
また、上記のスペーサ263を1枚挿入しただけでは、爪本体261aL、261aRの左右間隔が苗の根部に近い箇所に入り込んでしまうときには、スペーサ263を2枚以上挿入し、爪本体261aL、261aRの左右間隔、特に先端側の左右間隔Nw(
図9(a)参照)を広くし、育苗ポット21の内側面近く、即ち苗の根部と培土により形成される根鉢の外周付近に入り込む状態とする。これにより、苗の種類や生育度合いに合わせて苗を傷付けることなくホッパー部1111L,1111Rに送り込み、圃場に植え付けることができる。
【0152】
次に、
図9(c)、
図9(d)を用いて、第2取出部材1260について説明する。
【0153】
第2取出部材1260は、
図9(c)、
図9(d)に示す様に、上述したスペーサ263を介して先端側に着脱可能に固定された左右一対の第2爪本体1261aL、1261aRを備えた左右一対の第2取出爪1261L、1261Rと、上述した左右一対の押し出しロッド262L、262Rとを有している。なお、同じ構成には同じ符号を付した。
【0154】
図9(a)、
図9(b)で説明した取出部材260の左右一対の爪本体261aL、261aRの先端側のフォーク状に上下二股に分離した爪部の長さは同じであったが、
図9(c)に示す第2取出部材1260の場合、左右一対の第2爪本体1261aL、1261aRの先端側の上下二股に分離したフォーク状の上側の爪部1261a1の長さが、下側の爪部1261a2の長さより短い。
【0155】
これにより、例えば、
図9(b)の様に、フォーク状の上下の爪部1261a1、1261a2を同じ長さにし、側面視で台形状の育苗ポット21の底面近傍に到達する構成とした場合の上下爪部の幅(
図9(c)の符号Y参照)に比べて、
図9(c)の様に、フォーク状の上側の爪部1261a1の方を下側の爪部1261a2より短くした構成の方が、上下爪部の幅Y(
図9(c)参照)を広く取れるので、育苗ポット21内の土を幅広く捕まえることが出来、苗を確実に補足し取り出せる。
【0156】
また、この構成の場合、左右一対の押し出しロッド262L、262Rは、フォーク状の上側の左右の爪部1261a1からロッド先端部262aL、262aRが抜けるまで押し出す構成である(
図9(d)参照)。
【0157】
これにより、フォーク状の上側の短い爪部1261a1からロッド先端部262aL、262aRのリング状の部分が完全に外れているため、苗22を確実に押し出すことが出来る。
【0158】
また、左右一対の押し出しロッド262L、262Rは、基部側から爪本体261aL、261aRの上方を通過させ、且つ、端部側に形成するループ部(ロッド先端部262aL、262aRのリング状の部分)が爪本体261aL、261aRの外側に位置するよう、ループ部の内部に爪本体261aL、261aRを差し込まれる配置構成とする。これにより、爪本体261aL、261aRと押し出しロッド262L、262Rのループ部が重なり合う、所謂連結部が爪本体261aL、261aRの上方に位置するので、苗の押し出し時に、上側の短い爪部1261a1からロッド先端部262aL、262aRのリング状の部分が外れても、そのリング状の部分が元の位置に戻るとき、上側の短い爪部1261a1から外れない構成とすることができる。
【0159】
次に、
図10(a)〜
図10(c)に示す第3取出部材2260の場合、上記の第2取出部材1260との違いは、左右一対の第3取出爪2261L、2261Rが先端側に備えている左右一対の第3爪本体2261aL、261aRが、上側分離爪部2261a1と下側分離爪部2261a2に分離されており、下側分離爪部2261a2の外側に上側分離爪部2261a1を重ね、上側分離爪部2261a1に形成された長孔を利用して位置調整可能に固定されている点である。
【0160】
上記の構成により、左右の上側分離爪部2261a1同士の間隔を広くとれるので、爪部の開き量を大きく出来て、苗22の茎22a(
図10(a)参照)の部分から離れた位置を刺すため、茎22aを傷つけない。
【0161】
また、上側分離爪部2261a1には固定用の長孔が形成されているので、育苗ポット21のサイズに合わせて上側分離爪部2261a1の突き出し長和を調整出来る。
【0162】
次に、
図10(d)〜
図10(e)に示す第4取出部材3260の場合、上記の取出部材260との違いは、左右一対の第4爪本体3261aL、3261aRが、正面視で略くの字形状を成している点である。
【0163】
これにより、育苗ポット21の四隅の部分に爪が当たらないため、爪の開き量を広く出来る。
【0164】
次に、
図11〜
図12を用いて、予備苗枠の構成を中心に説明する。
【0165】
図11(a)は、本実施の形態の苗移植機1に予備苗枠700が取り付けられた状態の要部概略側面図であり、
図11(b)は、苗枠フレーム710の取り付けステー720の概略正面図である。
【0166】
また、
図12は、予備苗枠700の概略平面図である。
【0167】
左右に配置された苗枠フレーム710の前端部には、左右一対のフック701が設けられている。高い位置にフック701が設けられているため、あおりが高くても下方向に固定することが出来る。
【0168】
また、フック701は、前方向きに固定されており、苗移植機1を前方に向けて引っ張れる様に構成されている。
【0169】
この様に、フック701を横向きでは無く前方向きに固定している理由は、仮に、横向きに固定されている場合には、例えば、苗移植機1をフックを利用してトラックの荷台に固定する場合に、フックが横方向に強く引っ張られて、そのフックが固定されている苗枠フレーム710が変形してしまうので、これを避けるためである。
【0170】
また、左右の苗枠フレーム710は、フック701が取り付けられている部分で、補強部材702で連結固定されている。これにより、フック701へのロープ掛けにも強度的に強くなる。
【0171】
また、苗枠フレーム710の取り付けステー720は、正面視で略U字形状を成している(
図11(b)参照)。これにより、U字形状の中央部のスペースに、フロントウエイトや前鎮圧等を取り付ける場合にも、苗枠フレーム710が邪魔にならない。
【0172】
また、苗枠フレーム710の左側には排気カバー703が取り付けられており、苗枠フレーム710に排気ガスが直接当たらない様に構成されている。
【0173】
また、この排気カバー703は外側に向かって斜めになっているので、排気ガスを外側方向に逃がすことが出来る。
【0174】
また、予備苗枠700は、
図12に示す様に、平面視で、右側苗載せ台730Rと、左側苗載せ台730Lと、中央苗載せ台730とを備えており、それぞれ上下方向に3段ずつ配置されている。
【0175】
また、中央苗載せ台730の3段の内、下段には、前側に配置された前側苗載せ台731Fと、後側に配置された後側苗載せ台731Bとを備え、前側苗載せ台731Fと後側苗載せ台731Bとは、
図11(a)に示すように、側面視で、開き角度の大きな略V字状に配置されている。
【0176】
これにより、予備苗枠700の後方で作業をする作業者から見て手前となる、後側苗載せ台731Bに積載された苗を取った後でも、前側苗載せ台731Fと後側苗載せ台731Bが略V字状を描く配置であることにより、旋回走行時等、機体が前後傾斜するときであっても、トレイが前側苗載せ台731Fと後側苗載せ台731Bを滑って移動し、積載されているトレイが前側苗載せ台731F寄りに移動して作業者が取り出し辛くなることや、トレイが移動の勢いで予備苗枠700から落下することが防止出来る。
【0177】
なお、上記実施の形態では、移植物として、野菜などの苗について説明したが、野菜に限らず、取出装置で取り出して植付具で圃場に植え付ける移植物であればどの様なものであっても良い。