(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したクランクシャフト膜式ガスメーターでは、クランクシャフトの組み付けによっては、芯ずれが起こり、磁石を磁気センサーと対向する位置に保持できず、計測精度が低下するという問題が生じ得る。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、計測精度の低下を防ぐことが可能な膜式ガスメーター及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、膜式ガスメーターの膜に連動して回転するクランクシャフトを有する膜式ガスメーターにおいて、
前記クランクシャフトの上端部に配され、前記膜に接続されたレバーが連結されている連結シャフト部と、前記クランクシャフトを収容している機構部屋の内面に取り付けられるブラケットと、前記ブラケットに回転可能に支持され、磁石を保持
し、回転中心が前記連結シャフト部の移動軌跡円の内側に配置されたマグネットホルダと、
前記連結シャフト部と、前記マグネットホルダに設けられ、回転する前記連結シャフト部に押されて前記マグネットホルダ自体を旋回させるシャフト当接部と、からなり、前記クランクシャフ
トから前記マグネットホルダへ芯ずれを許容した状態で回転を伝達する回転伝達機構と、前記機構部屋の壁を隔てた外部で前記マグネットホルダの回転軸上に配置され、前記磁石による磁気の変化に基づいて前記クランクシャフトの回転量を検出して
信号を出力する磁気センサーと、前記磁気センサーにて検出した前記クランクシャフトの回転量に基づいてガスの流量を演算する演算部と、を備
え、前記シャフト当接部は、前記マグネットホルダの回転中心を中心に放射状に複数配置され、前記磁気センサーは、前記マグネットホルダが前記シャフト当接部の数の逆数分回転する度に信号を出力する膜式ガスメーターである。
【0008】
請求項
2の発明は、前記連結シャフト部は、前記シャフト当接部に対して前記クランクシャフトが回転する一方向から当接し、他方向に分離可能になっている請求項
1に記載の膜式ガスメーターである。
【0009】
請求項
3の発明は、前記連結シャフト部の上端部と前記シャフト当接部の下端部とのうち少なくとも一方に、前記シャフト当接部が前記連結シャフト部に対して上方から当接したときに前記シャフト当接部を前記連結シャフト部の側方に案内する逃がし傾斜面が形成されている請求項
2に記載の膜式ガスメーターである。
【0010】
請求項
4の発明は、前記シャフト当接部は、前記マグネットホルダの回転中心部及びその近傍を避け
て設けられ、複数の前記シャフト当接部における前記マグネットホルダの回転中心側の端部同士の間は、前記連結シャフト部の径よりも大きい請求項
1乃至
3の何れか1の請求項に記載の膜式ガスメーターである。
【0013】
請求項
5の発明は、前記シャフト当接部の上下方向の幅が、前記連結シャフト部に設けられている溝の幅よりも大きくなっている請求項
1乃至
4の何れか1の請求項に記載の膜式ガスメーターである。
【0014】
請求項
6の発明は、前記シャフト当接部は、上端が前記連結シャフト部の上端よりも上方に位置する一方、下端が前記連結シャフト部の途中位置に位置するように幅を有する帯板状をなす請求項
1乃至
5の何れか1の請求項に記載の膜式ガスメーターである。
【0015】
請求項
7の発明は、前記マグネットホルダの回転中心及び前記磁気センサーが、前記クランクシャフトの回転軸上に配置されている請求項
1乃至
6の何れか1の請求項に記載の膜式ガスメーターである。
【0016】
請求項
8の発明は、前記膜と前記クランクシャフトとが取り付けられた本体ケースと、前記本体ケースの上方に配され、前記機構部屋の
天井壁をなす前記壁を有する上ケースと、を有し、前記ブラケットが、前記上ケースの
前記壁に取り付けられている請求項
1乃至
7の何れか1の請求項に記載の膜式ガスメーターである。
【0017】
請求項
9の発明は、前記機構部屋には、前記クランクシャフトを回転可能に支持するクランク台が設けられ、前記ブラケットは、前記クランク台に取り付けられている請求項
1乃至
7の何れか1の請求項に記載の膜式ガスメーターである。
【0018】
請求項
10の発明は、前記マグネットホルダは、鉛直に延び、その中間位置を前記ブラケットに回転可能に支持されるホルダシャフト部を有し、前記磁石は、前記ホルダシャフト部の上端部に配され、前記シャフト当接部は、前記ホルダシャフト部の下端部に配される請求項
1乃至
9の何れか1の請求項に記載の膜式ガスメーターである。
【0019】
請求項
11の発明は、前記磁石の中心には貫通孔が形成され、前記ブラケットは、前記貫通孔を挿通して、前記機構部屋の前記壁に取り付けられている請求項
1乃至
7の何れか1の請求項に記載の膜式ガスメーターである。
【0020】
請求項
12の発明は、前記マグネットホルダは、前記磁石の底面が当接する主板と、前記主板から突出して前記磁石の側面に当接する当接壁と、前記当接壁に貫通形成された調整ネジ穴に調整ネジを挿通して前記磁石の位置を調整可能な調整機構と、を備える請求項1乃至
11の何れか1の請求項に記載の膜式ガスメーターである。
【0021】
請求項
13の発明は、膜式ガスメーターの膜に連動して回転するクランクシャフトを有する膜式ガスメーターの製造方法において、
前記クランクシャフトの上端部に前記膜に接続されたレバーが連結される連結シャフト部を配し、前記クランクシャフトを収容している機構部屋の内面にブラケットを取り付け、前記ブラケットに、磁石を保持したマグネットホルダを
回転中心が前記連結シャフト部の移動軌跡円の内側に配置されるように回転可能に取り付けて、
前記マグネットホルダに、回転する前記連結シャフト部に押されて前記マグネットホルダ自体を旋回させるシャフト当接部を前記マグネットホルダの回転中心を中心に放射状に複数設けて、前記マグネットホルダを、前記クランクシャフ
トの回転運動を芯ずれを許容した状態で受けて回転するように構成し、前記機構部屋の壁を隔てた外部で前記マグネットホルダの回転軸上に
、磁気の変化に基づいて前記クランクシャフトの回転量を検出し、前記マグネットホルダが前記シャフト当接部の数の逆数分回転する度に信号を出力する磁気センサーを配置し、前記磁気センサーが
出力した信号に基づいてガスの流量を計測する膜式ガスメーターを製造する膜式ガスメーターの製造方法である。
【0022】
請求項
14の発明は、前記膜及び前記クランクシャフトが取り付けられた本体ケースと、前記本体ケースの上方に配された上ケースと、を有する既存の膜式ガスメーターから、既存の上ケースを取り外し、前記機構部屋の前記壁となる天井壁に前記ブラケットが取り付けられ、かつ、前記磁気センサーを有する上ケースを装着する請求項
13に記載の膜式ガスメーターの製造方法である。
【0023】
請求項
15の発明は、前記クランクシャフトを回転可能に支持する既存のクランク台に前記ブラケットを取り付ける請求項
13に記載の膜式ガスメーターの製造方法である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、機構部屋の内面に取り付けられるブラケットに回転可能に支持されたマグネットホルダが、クランクシャフト又は連動回転部品の回転運動を芯ずれを許容した状態で受けて回転する。これにより、磁石が、磁気センサーと対向する位置に保持された状態で回転するので、計測精度の低下が防がれる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を
図1〜
図6に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の膜式ガスメーター10は、例えばアルミ鋳物のメーターケース11を有している。メーターケース11は、略直方体状をなしたケース本体20と、その上部に組み付けられた上ケース12とから構成されている。
【0027】
ケース本体20の上部には本体天井壁22が設けられていて、
図2に示すように、ケース本体20のうち本体天井壁22の下方には、仕切壁23によって仕切られた2つの計量室21,21が形成されている。各計量室21,21内は、計量膜24,24(本発明の「膜」に相当する)によりそれぞれ二分されている。
【0028】
また、メーターケース11内のうち、ケース本体20の本体天井壁22の上方には、機構部屋25が設けられている。機構部屋25には、本体天井壁22に形成され、計量室21,21と機構部屋25とを連通する連通孔22A,22Aを開閉するバルブ30,30等が配されている。
【0029】
計量膜24,24とバルブ30,30とは、本発明のクランクシャフト40を含む、機構部屋25に配された複数のリンク部材を介して連結されている。詳細には、
図1に示すように、クランクシャフト40が、本体天井壁22に固定されたクランク台26に回転可能に支持されていて、このクランクシャフト40に対し、計量膜24,24が、計量膜24,24の往復運動に伴って回動する回動シャフト27,27、大ひじ金28,28、小ひじ金29,29(本発明の「レバー」に相当する)を介して連結され、バルブ30,30が、バルブレバー31,31を介して連結されている。
【0030】
これにより、膜式ガスメーター10では、ガスの流れに応じた計量膜24,24の動きに伴って、クランクシャフト40が回転すると共に、バルブ30,30が往復運動する。
【0031】
次に、クランクシャフト40について説明する。本実施形態のクランクシャフト40は、従来の膜式ガスメーターのクランクシャフトと同一構造をなしている。即ち、クランクシャフト40は、
図3に示すように、クランク台26(
図1参照)に回転可能に支持される支持シャフト部41と、支持シャフト部41の上端部から側方に張り出した第1旋回部42と、第1旋回部42のうち支持シャフト部41からずれた位置から上方に起立しかつ上述したバルブレバー31,31(
図1参照)が連結されている第1連結シャフト部43と、第1連結シャフト部43の上端部から側方に張り出した第2旋回部44と、第2旋回部44のうち支持シャフト部41からずれた位置から上方に起立しかつ小ひじ金29,29(
図1参照)が連結されている第2連結シャフト部45(本発明の「連結シャフト部」に相当する)とが組み合わされてなる。
【0032】
第1旋回部42は略長方形状の金属板からなり、その両端部に支持シャフト部41と第1連結シャフト部43とが接続されていて、第2旋回部44は略正方形状の金属板からなりかつ第1旋回部42と平行に延び、1の対角線上の両端部に第1連結シャフト部43と第2連結シャフト部45とが接続されている。
【0033】
第2連結シャフト部45は、金属製のピンからなり、その断面形状は、「D」字形状をなしている。また、第2連結シャフト部45の上端部には、溝45Mが形成されている。
【0034】
さて、
図1に示すように、上ケース12には機構部屋25の天井壁となる支持壁13(本発明の「壁」に相当する)が設けられている。この支持壁13に、本発明のブラケット70及びマグネットホルダ50が取り付けられている(
図4及び
図5参照)。
【0035】
図6に示すように、マグネットホルダ50は、磁石55を保持する磁石保持部52が配された主板部50Sと、主板部50Sの中心から垂下したホルダシャフト51と、ホルダシャフト51の下端部に設けられ、両側方に張り出した旋回アーム53(本発明の「シャフト当接部」に相当する)と、を有している。なお、磁石55は多極構造をなしている。なお、旋回アーム53の厚さは、第2連結シャフト部45の溝45Mの幅よりも大きく、旋回アーム53は第2連結シャフト部45の溝45Mに入らないようになっている。
【0036】
なお、磁石保持部52は、マグネットホルダ50の主板部50Sから上方に突出して磁石55の側面に当接する複数の位置決突起52Sを有している。複数の位置決突起52Sの一部には、磁石55を保持するための爪部52Tが形成されている。
【0037】
図5及び
図6に示すように、ブラケット70は、長方形状の水平板をなし、その両端部が、支持壁13から垂下した2本の支持柱13T,13Tの下端部に固定ネジ71により固定されている。また、ブラケット70の中心部には、ブラケット70の一側面に向けて開口し、マグネットホルダ50のホルダシャフト51を受容可能な支持部70Aが形成されている。この支持部70Aにホルダシャフト51が受容されることにより、マグネットホルダ50がブラケット70に対して回転可能に支持される。
【0038】
図4に示すように、ブラケット70及びマグネットホルダ50は、磁石55が支持シャフト部41の回転軸上に保持されるように配されている。また、マグネットホルダ50は、旋回アーム53とクランクシャフト40の第2連結シャフト部45とが当接可能な高さに配されている。これにより、クランクシャフト40の回転に合わせて、第2連結シャフト部45が旋回アーム53を押して、マグネットホルダ50を回転させる。
【0039】
また、同図に示すように、支持壁13の上方には本発明の磁気センサー60が備えられている。磁気センサー60は、クランクシャフト40における支持シャフト部41の回転軸上、つまり、磁石55と対向する位置に配され、磁石55の回転(即ち、クランクシャフト40の回転)による磁気の変化を検出し、パルス信号を出力する。そして、図示しない演算部が、このパルス信号に基づいてガスの流量を演算する。
【0040】
本実施形態の膜式ガスメーター10は、既存の膜式ガスメーターを用意して、既存の上ケースを、ブラケット70やマグネットホルダ50、磁気センサー60が取り付けられた上ケース12に交換することで製造される。
【0041】
本実施形態の構成は以上である。本実施形態の膜式ガスメーター10では、ガスの流れに応じてクランクシャフト40が回転するときに、クランクシャフト40の第2連結シャフト部45により旋回アーム53が押されることでマグネットホルダ50が回転する。そして、磁石55の回転によって生じる磁気の変化により、ガスの流量が計測される。
【0042】
ところで、上述したように、クランクシャフト40は、複数の部品が組み合わされて構成されているが、部品同士のカシメ具合等によって、第2連結シャフト部45等の回動中心が、支持シャフト部41の回転中心からずれることがあり、磁石55を第2連結シャフト部45に取り付けた場合、磁石55が支持シャフト部41の回転中心上、つまり、磁気センサー60と対向する位置に保持されず、計測精度が低下することが考えられる。
【0043】
これに対して、本実施形態の膜式ガスメーター10では、磁石55が、クランクシャフト40とは分離した状態で取り付けられ、磁石55が磁気センサー60に対向する位置に保持された状態で回転するので、計測精度を向上することができる。
【0044】
また、磁石55が、磁気センサー60が取り付けられた上ケース12に支持されているので、磁石55と磁気センサー60との位置関係を保持しやすくなる。また、旋回アーム53が両側方に延びているので、一方のみに延びているものよりも、クランクシャフト40が逆回転するときに追従させやすくなる。さらに、旋回アーム53が両側方に延びていることにより、バランスがとれ、マグネットホルダ50が傾くことが防がれる。
【0045】
また、本実施形態の膜式ガスメーター10は、既存の膜式ガスメーターを用いて上ケースを交換することで製造されるため、回転検出型の膜式ガスメーター10を容易に製造することができる。特に、組み付けに手間を要するクランクシャフト40を流用しているため、製造にかかる手間及び費用をより減らすことができる。
【0046】
また、都市ガスの需要家で使用されているガスメーターの場合、10年ごとにその更新を行うことが法令上義務化されており、このような更新作業において引き上げて来た回動検出型の膜式ガスメーターから回転検出型の膜式ガスメーターを手間及び費用をかけずに製造することができる。特に、マイコンの取り換えのために上ケースは元々交換されることが主であるため、更新時にかかる手間が増えることを抑えることができる。
【0047】
[第2実施形態]
本実施形態の膜式ガスメーター10は、マグネットホルダ50の構造が上記第1実施形態と異なっている。即ち、
図7〜9に示すように、本実施形態のマグネットホルダ50では、ホルダシャフト51の下端部に、本発明の「シャフト当接部」に相当する旋回羽54Sを複数有する旋回プロペラ54が設けられている。
【0048】
図9に示すように、旋回プロペラ54では、旋回羽54Sが、鉛直方向に幅を有する帯板状をなし、ホルダシャフト51の下端部(旋回プロペラ54の中央部)を中心に放射状に8枚並べて配されている。また、
図8及び
図9に示すように、旋回羽54Sは、旋回プロペラ54の中央部(詳細には、マグネットホルダ50の回転中心部及びその近傍)を避けて配置されている。これにより、旋回プロペラ54の中央部側の下面が、旋回プロペラ54の外縁部側(旋回羽54S)の下面よりも上方に位置している。また、各旋回羽54Sの下面は板厚方向に丸みを帯びた第1逃がし傾斜面54Uとなっている。
【0049】
図7及び
図9に示すように、本実施形態の第2連結シャフト部46の上面は上方に向かって膨出して丸みを帯びた第2逃がし傾斜面46Aとなっている。また、第2連結シャフト部46の上下方向の中央部には、側方に張り出したフランジ46Fが形成されている。
【0050】
図7に示すように、上述した旋回プロペラ54の中央部の下面は、この第2連結シャフト部46の第2逃がし傾斜面46Aよりも上方に位置している。また、複数の旋回羽54Sにおけるマグネットホルダ50の回転中心側の端部同士の間は、第2連結シャフト部46の外径よりも大きくなっている。
【0051】
上記構成により、本実施形態の膜式ガスメーター10では、上記第1実施形態の膜式ガスメーター10と同様に、クランクシャフト40の回転に合わせて、第2連結シャフト部46が旋回羽54Sを押すことで、マグネットホルダ50が回転する。
【0052】
ところで、本実施形態の磁気センサー60は、パルス信号の出力を、磁石55が1/8回転する度に(即ち、マグネットホルダ50が1/8回転する度に)行うように構成されている。ここで、ガスの供給が急に止まりクランクシャフト40の回転が急停止した場合や、クランクシャフト40の停止中にマグネットホルダ50にがたつきが生じた場合、マグネットホルダ50がクランクシャフト40に対して空転し、パルス信号が誤出力されて、ガス流量の計測値に誤差が生じることが考えられる。これに対し、本実施形態の膜式ガスメーター10では、第2連結シャフト部45が当接可能な旋回羽54Sが放射状に8本配されているので、旋回羽54Sの厚みも考慮すると、マグネットホルダ50の空転が1/8回転未満に抑えられ、パルス信号の誤出力が防がれる。これにより、ガス流量の計測値の誤差の発生が防がれる。
【0053】
また、クランクシャフト40を有するケース本体20に、マグネットホルダ50を有する上ケース12を組み付ける際に、マグネットホルダ50の旋回羽54Sがクランクシャフト40の第2連結シャフト部46上に乗り上がってしまい、部品が損傷したり、マグネットホルダ50の回転に不具合が生じるといった問題が発生することが考えられるが、本実施形態では、第2連結シャフト部46の上面と旋回羽54Sの下面とが、丸みを帯びた逃がし傾斜面46A,54Uとなっているので、これらが当接したときに旋回羽54Sが第2連結シャフト部46に対して側方にずれ、旋回羽54Sが第2連結シャフト部46上に乗り上がることが防がれる。
【0054】
ところで、クランクシャフト40の製造過程において、組み付け誤差等により第2連結シャフト部46の位置がクランクシャフト40の回転中心側へずれることが起こり得る。このとき、旋回羽54S間の間隔がマグネットホルダ50の回転中心側に近づくにつれて小さくなるため、旋回プロペラ54に旋回羽54Sが多く配されていると、第2連結シャフト部46の逃がし傾斜面46A上に2つの旋回羽54Sが乗り上がり、旋回羽54Sの回避場所がなくなってしまうことが考えられる。
【0055】
しかしながら、本実施形態では、複数の旋回羽54Sが、マグネットホルダ50の回転中心側の端部同士の間が第2連結シャフト部46の外径よりも大きくなるように旋回プロペラ54の中央部を避けて配され、旋回プロペラ54の中央部の下面が第2連結シャフト部46の上端よりも上方に位置しているため、第2連結シャフト部46がクランクシャフト40の回転中心側へずれた場合でも、第2連結シャフト部46が旋回羽54S間又は旋回プロペラ54の中央部側に収容され、旋回羽54Sが第2連結シャフト部46上に乗り上がることが防がれる。
【0056】
また、旋回羽54Sが鉛直方向に幅を有しているので、旋回羽54Sのうち第2連結シャフト部46と当接する部分が大きくなり、旋回羽54Sを安定して回転させることができる。
【0057】
[第3実施形態]
本実施形態の膜式ガスメーター10は、マグネットホルダ50及びブラケット70の構造が上記第1実施形態と異なっている。即ち、
図10〜12に示すように、本実施形態のマグネットホルダ50では、ホルダシャフト51が設けられておらず、磁石55が保持された主板部50Sから直接、旋回アーム53が延びている。そして、マグネットホルダ50及び磁石55の回転中心に貫通孔50A,55A(
図12参照)が形成されていて、それら貫通孔50A,55Aが筒状のブラケット70を受容した状態で下から固定ネジ71に挿通されている。この状態で、固定ネジ71が支持壁13にねじ止めされることで、マグネットホルダ50及び磁石55が支持壁13に対して回転可能に支持される。
【0058】
これにより、上記第1実施形態の膜式ガスメーター10と同様に、クランクシャフト40の回転に合わせて、第2連結シャフト部45が旋回アーム53を押すことで、マグネットホルダ50が回転する。なお、
図10〜12に示す例では、旋回アーム53が主板部50Sから一方にのみ延びていたが、主板部50Sを挟んで両側方に延びていてもよい。
【0059】
[第4実施形態]
本実施形態の膜式ガスメーター10は、ブラケット70及びマグネットホルダ50がクランク台26に対して固定されている点が上記第1実施形態と異なっている。以下に、上記第1実施形態との相違点を
図13〜15に基づいて説明する。
【0060】
図13及び
図15に示すように、クランク台26は、略立方体状をなし、その上壁26Aと下壁26Bとに、クランクシャフト40の支持シャフト部41に挿通される貫通孔26K,26Kが形成されている。また、クランク台26の上壁26Aのうち貫通孔26Kの開口縁部26Lは、周囲よりも僅かに突出している。
【0061】
本実施形態のブラケット70は、互いに対向する下辺壁70A及び上辺壁70Cと、下辺壁70Aと上辺壁70Cとの一端同士を接続する縦壁70Bとを有する「コ」の字状をなしている。下辺壁70Aの先端部には、クランク台26の上壁26Aの開口縁部26Lに係合する係合孔70Kが形成されている。また、下辺壁70Aには、1側辺から係合孔70Kにつながる導入路70Lが形成されていて、クランクシャフト40が取り付けられたクランク台26に対してブラケット70を側方から差し込むことで、ブラケット70をクランク台26に取り付け可能となっている。また、下辺壁70Aのうち係合孔70Kよりも縦壁70B側には、下方に垂下して、クランク台26の1側面に当接する垂下壁70Mが設けられている。なお、本実施形態では、クランク台26の上壁26Aが本発明の「機構部屋の内面」に相当する。
【0062】
図13及び
図14に示すように、ブラケット70の上辺壁70Cは、クランク台26に取り付けられたクランクシャフト40より上方に配され、下辺壁70Aの先端部と略同じ位置まで延びている。この上辺壁70Cの先端部に、マグネットホルダ50が回転可能に支持されている。詳細には、上辺壁70Cの先端部には、貫通孔70E(
図15参照)が形成されていて、この貫通孔70Eに、マグネットホルダ50のホルダシャフト51が挿通されている。なお、本実施形態では、旋回アーム53がホルダシャフト51に対して着脱可能になっており、旋回アーム53を外した状態で、マグネットホルダ50をブラケット70に挿通し、旋回アーム53を装着することで、マグネットホルダ50がブラケット70に取り付けられる。
【0063】
本実施形態の膜式ガスメーター10は、クランクシャフト40を備えた既存のクランク台26に、マグネットホルダ50が取り付けられたブラケット70を側方から差し込むことで製造される。
【0064】
なお、
図13〜15に示す例では、旋回アーム53がホルダシャフト51から一方にのみ延びていたが、ホルダシャフト51を挟んで両側方に延びていてもよい。
【0065】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0066】
(1)上記第1実施形態では、支持柱13T,13Tの下端面と、ブラケット70のうち支持柱13T,13Tの下端面と突き合わされる部分とが平坦になっていたが、
図16に示すように、ブラケット70に突部70Tが形成され、支持柱13Tの下端面に、突部70Tを受容する凹部13Uが形成される構成であってもよい。この場合、ブラケット70が支持壁13に対して位置決めされやすくなる。
【0067】
(2)旋回アーム53又は旋回羽54Sに長孔を設け、その長孔に第2連結シャフト部45,46を受容させる構成であってもよい。この場合、クランクシャフト40が逆回転するときにも旋回アーム53をすぐに追従させることができる。一方、上記実施形態のように、旋回アーム53又は旋回羽54Sに長孔を設けない構成とすると、取り付けの際に、旋回アーム53と第2連結シャフト部45,46との位置を合わせる必要がないので、取り付けに手間がかかることが防がれる。
【0068】
(3)
図17に示すように、位置決突起52S(本発明の「当接壁」に相当する)の一部に調整ネジ穴52Nを設け、磁石55の位置を調整ネジ58によって微調整可能に構成してもよい。これら調整ネジ穴52Nと調整ネジ58とが本発明の「調整機構」に相当する。
【0069】
(4)上記実施形態では、マグネットホルダ50とクランクシャフト40とが分離していたが、芯ずれを許容した状態で回転可能であれば、ジョイント等で接続されていてもよい。
【0070】
(5)上記実施形態では、クランクシャフト40によりマグネットホルダ50を回転させる構成であったが、クランクシャフト40と連動回転する連動回転部品を備え、この連動回転部品によりマグネットホルダ50を回転させる構成であってもよい。
【0071】
(6)上記第2実施形態では、旋回羽54Sが鉛直方向に幅を有した帯板状をなしていたが、鉛直方向の幅が小さい形状であってもよい。この場合、
図18に示すように、各旋回羽54Sを上方で連結した構成とすることで、第2連結シャフト部46の位置がクランクシャフト40の回転中心側へずれた場合でも第2連結シャフト部46上に旋回羽54Sが乗り上がることが防がれる。
【0072】
(7)上記第2実施形態では、逃がし傾斜面が、旋回羽54Sと第2連結シャフト部46との両方に設けられていたが、何れか一方のみに設けられた構成であってもよい。また、上記第1,3,4実施形態において、旋回アーム53と第2連結シャフト部45との両方又は一方に逃がし傾斜面を設けた構成であってもよい。
【0073】
(8)上記第2実施形態では、逃がし傾斜面54U,46Bが、丸みを帯びた形状であったが、直線状に傾斜した形状であってもよい。
【0074】
(9)上記第2実施形態において、旋回プロペラ54を、
図19に示すように、円板54Aの下面に帯板状の旋回羽54Sを複数配した構成としてもよい。
【0075】
(10)上記第2実施形態では、ブラケット70の支持部70Aが一部開放し、マグネットホルダ50のホルダシャフト51を側方から受容可能な構成となっていたが、
図20に示すように、マグネットホルダ50から旋回プロペラ54を別体とすると共に、ブラケット70の支持部70Aを側面に開口を有しない円孔又は円筒状として、支持部70Aにホルダシャフト51を挿通した後に旋回プロペラ54を固定する構成であってもよい。
【0076】
なお、
図20に示す例では、旋回プロペラ54とホルダシャフト51とは、スナップフィット構造により固定されているが、ネジ等により固定される構成であってもよい。また、旋回プロペラ54ではなく主板部50Sを別体とし、主板部50Sとホルダシャフト51とを固定する構成としてもよい。また、上記第1実施形態において、旋回アーム53をマグネットホルダ50から別体とする構成としてもよい。
【0077】
(11)また、
図21に示すように、ブラケット70が支持部70Aを中心に二分割されていて、マグネットホルダ50のホルダシャフト51を両側から挟むようにして支持壁13に取り付けられる構成としてもよい。
【0078】
(12)上記第2実施形態では、旋回プロペラ54に設けられた旋回羽54Sの数が8枚であったが、これに限られるものではなく、例えば、6枚や12枚等であってもよい。
【0079】
(13)上記第2実施形態では、第2連結シャフト部46自体に第2逃がし傾斜面46Aが設けられていたが、従来のクランクシャフト40の第2連結シャフト部45に、第2逃がし傾斜面46Aを有するキャップ等を組み付ける構成であってもよい。この場合、従来のクランクシャフト40をそのまま流用することができる。