(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるような調湿装置においては、他装置から供給される熱量などを再生熱源にして、除湿用の吸着材を再生し、吸着材を繰り返して使用する。また、調湿装置は、室外に設置されると共に吸着材を備えて第1の室外空気からの吸湿と第2の室外空気に対する放湿とを行う調湿部と、調湿部の吸着材を再生するために第2の室外空気を他装置が出力する温熱により加熱して調湿部へ供給する加熱部とを備え、吸湿された吸着材は、他装置が出力する温熱により加熱されて放湿することにより、吸着材は再生する。調湿装置の設計は、他装置から供給される熱量などの再生熱源は十分にあることを前提としており、実使用において再生熱源が不足した場合、調湿装置は、除湿量が再生熱源の状態によって変化し、再生熱源から供給される熱量が小さいほど除湿量が少なくなっていく。熱源に燃料電池などを活用する場合、ユーザーの電力需要により燃料電池の発電出力が低下して、それに伴い供給される熱量も変化することから、上記調湿装置の能力低下が懸念される。以上を踏まえ、燃料電池から供給される熱量などを活用した熱源と調湿装置を組み合わせるシステムにおいて、熱源から供給される熱量が変化した場合にも安定した空調能力を得るための調湿装置が必要である。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、熱源から供給される熱量が変化する場合において、安定した調湿能力を得ることができる調湿システムおよびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、熱を発生する熱源と、水分を吸着可能な吸着材を備え、該吸着材によって第一の空間から取り込んだ空気の除湿を行うとともに、第二の空間から取り込んだ空気を前記熱源から供給された熱によって加熱した再生用空気を、前記吸着材に接触させることで前記吸着材に吸着した水分を脱離させ、前記吸着材を再生することができる調湿装置と、を備え、前記調湿装置は、前記吸着材に接触させる前記再生用空気の風速を制御可能であり、前記吸着材の再生に必要な熱量に対して、前記熱源から前記調湿装置に実際に供給される熱量が不足した際に、前記再生用空気の風速を低下させて、前記再生用空気の温度を維持させる制御を行うことを要旨とする。
【0007】
ここで、前記調湿装置は、回転可能なロータを有し、前記吸着材は、複数の部分を有し、前記ロータの回転に同期して、前記吸着材の各部分における前記第一の空間から取り込んだ空気の除湿と前記再生用空気による再生を繰り返し、前記調湿装置は、前記再生用空気の前記風速を変更する際に、該風速に比例させて、前記ロータの回転数を変化させるとよい。
【0008】
また、前記ロータの回転数を変更する際の該回転数と前記風速の間の比例関係は、前記調湿装置における除湿量が最大となる前記ロータの回転数を、前記風速の関数として一次近似したものとして、予め定められているとよい。
【0009】
また、前記熱源は、コジェネレーション装置とするとよい。
【0010】
また、前記コジェネレーション装置は、燃料電池を備え、前記燃料電池から供給される熱量を調湿装置に供給するように構成されているとよい。
【0011】
また、上記に記載の調湿装置を用いる調湿システムの制御方法において、前記調湿システムの制御方法は、事前の実験によって、前記調湿装置における除湿量が最大となる前記ロータの回転数を、前記再生用空気の前記風速の関数として見積もり、一次近似しておき、前記再生用空気の前記風速を変更する際に、該一次近似の結果を用いて、該風速に比例させて、前記ロータの回転数を変化させるとよい。
【発明の効果】
【0012】
上記発明にかかる調湿システムにおいて、調湿装置は、吸着材に接触させる再生用空気の風速を制御可能であり、吸着材の再生に必要な熱量に対して、熱源から調湿装置に実際に供給される熱量が不足した際に、再生用空気の風速を低下させて、再生用空気の温度を維持させる制御を行うものである。そのため、調湿装置は、熱源から供給される熱量が不足する場合においても、熱源から供給される熱量が十分にある場合に吸着材の再生に必要な熱量に応じて設定される再生用空気の温度に維持させる制御を行うことができる。したがって、調湿装置は、熱源から供給される熱量が不足する場合において、熱源から供給される熱量が十分にある場合と比べて、空調能力の低下を抑制することができるため、安定した空調能力を得ることができる。
【0013】
ここで、調湿装置は、回転可能なロータを有し、吸着材は、複数の部分を有し、ロータの回転に同期して、吸着材の各部分における第一の空間から取り込んだ空気の除湿と再生用空気による再生を繰り返し、調湿装置は、再生用空気の風速を変更する際に、該風速に比例させて、ロータの回転数を変化させる場合には、再生用空気の風速のみを変更する場合と比べて、ロータの回転数も変化させることで、高い除湿能力を得ることができる。
【0014】
また、ロータの回転数を変更する際の該回転数と風速の間の比例関係は、調湿装置における除湿量が最大となるロータの回転数を、風速の関数として一次近似したものとして、予め定められている場合には、再生用空気の変更する風速に対して第一の空間から取り込んだ空気の除湿量が最大となるように、最適なロータの回転数を設定できる。そのため、調湿装置は、熱源から調湿装置に供給される熱量が不足した場合でも、第一の空間から取り込んだ空気の除湿量が最大となる条件で、運転することができる。また、予め定められている比例関係に基いてロータの回転数を変更することにより、熱源から調湿装置に供給される熱量が不足する都度、自動的にロータの回転数を設定できるので、調湿装置を簡便に制御できる。
【0015】
また、熱源は、コジェネレーション装置とする場合には、コジェネレーション装置から供給される熱量を、調湿装置に供給し、調湿装置の運転に利用することができる。そのため、コジェネレーション装置から供給される熱量を有効利用することができる。
【0016】
また、コジェネレーション装置は、燃料電池を備え、前記燃料電池から供給される熱量を調湿装置に供給するように構成されている場合には、燃料電池で発電を行ってその際に発生する熱を活用することができる。また、住宅、商業施設等で、電力と空調の両方の需要に活用することができる。
【0017】
また、上記に記載の調湿装置を用いる調湿システムの制御方法において、調湿システムの制御方法は、事前の実験によって、調湿装置における除湿量が最大となるロータの回転数を、再生用空気の風速の関数として見積もり、一次近似しておき、再生用空気の風速を変更する際に、該一次近似の結果を用いて、該風速に比例させて、ロータの回転数を変化させる場合には、再生用空気の変更する風速に比例させて、第一の空間から取り込んだ空気の除湿量が最大となるように、最適なロータの回転数を変化させる制御ができる。そのため、調湿装置は、熱源から調湿装置に供給される熱量が不足した場合でも、第一の空間から取り込んだ空気の除湿量が最大となる条件で、制御することができる。また、事前の実験によって、第一の空間から取り込んだ空気の除湿量が最大となるロータの回転数を、再生用空気の風速の関数として見積もり、一次近似した結果を用いて、ロータの回転数を変化させることにより、熱源から調湿装置に供給される熱量が不足する都度、自動的にロータの回転数を変化させる制御ができるので、調湿装置を簡便に制御できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の一実施形態にかかる調湿システムについて、図面を参照しながら説明する。
図1に、本発明の一実施形態にかかる調湿システム1の全体構成を示す。本発明の一実施形態にかかる調湿システム1は、燃料電池22を備える熱源であるコジェネレーション装置2と調湿装置3とにより構成される。
【0020】
[コジェネレーション装置の構成]
コジェネレーション装置2は、
図1に示すように、改質部21と、燃料電池22と、ポンプ26を備えている。
【0021】
改質部21には、燃料である都市ガスが供給される。改質部21は、メタン等の炭化水素を改質して水素を主成分とする改質ガスを生成させるように構成されている。改質部21で生成された改質ガスは、燃料電池22へ送られる。また、燃料電池22へは、空気が供給される。そして、燃料電池22は、改質ガス中の水素を燃料として空気中の酸素を酸化剤とする電池反応を行い、得られた電力を出力する。燃料電池22は、その排熱により水を加熱することで温水を生成する。また、ポンプ26は、生成された温水を、後に説明する調湿装置3の加熱器35へと送り込む役割をし、この際に、送り込む温水の流量調整を行うことができる。なお、燃料電池22には、固体電解質型の燃料電池が使用されている。
【0022】
また、コジェネレーション装置2には、燃料電池22の排熱で生成された温水を排出するための温水管23、および温水を回収するための回収管24が設けられている。この温水管23および回収管24は、後に説明する調湿装置3の加熱器35に接続されている。
【0023】
また、熱源を、コジェネレーション装置2とすることができれば、どのような熱源を用いてもよいが、コジェネレーション装置2を熱源として用いることで、コジェネレーション装置2から供給される熱量を、調湿装置3の再生用空気を加熱する熱源として活用することができる。
【0024】
また、コジェネレーション装置2が、燃料電池22を備え、燃料電池22から供給される熱量を調湿装置3に供給するように構成されている場合には、燃料電池22で発電を行ってその際に発生する熱を活用できる。
【0025】
[調湿装置の構成]
調湿装置3は、
図1に示すように、ケース内に、調湿部33と、加熱手段である加熱器35と、制御部36とが収納されている。また、調湿部33は、回転可能な機構を備えるロータである回転ロータ34を備えている。
【0026】
ケース内に、第一通路31および第二通路32の区画が形成されている。第一通路31にはファン61、第二通路32には、ファン62が設けられている。ファン61を運転することにより、第一通路31では第二の空間である室内52から取り込んだ空気である室内還気RAが流通して、ファン61、加熱器35、回転ロータ34を通った後、室外51へ排出される排気EAになる。また、ファン62を運転することにより、第二通路32では第一の空間である室外51から取り込んだ空気である外気OAが流通して、ファン62、回転ロータ34を通った後、室内52に供給される給気SAになる。ここで、室内還気RAは加熱器35で加熱されて再生用空気として吸着材40の再生に利用される。
【0027】
回転ロータ34は、ハニカム状に形成されていて、モータ37により回転駆動する。また、ハニカム状の表面には、水分を吸着可能な吸着材40が担持されていて、回転ロータ34の厚さ方向に空気が通過可能となっている。また、吸着材40としては、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、ゼオライト等が使用される。また、吸着材40は、第一通路31を横断する部分と、第二通路32を横断する部分とを有し、回転ロータ34の無段階の回転に同期して、一部の部位が第一通路31を横断するとともに、別の部位が第二通路32を横断する状態で回転することにより、吸着材40の各部分における除湿と再生を繰り返す。このとき、吸着材40は、第二通路32を横断する部分では、室外51から取り込んだ外気OAと接触し、外気OAの水分の除去を行う。また、吸着材40は、第一通路31を横断する部分では、室内52から流入した室内還気RAが、加熱器35により加熱されて再生用空気となって接触し、すでに水分が吸着した吸着材40から水分の脱離を行う。これにより、除湿された空気の第一の空間である室外51から第二の空間である室内52への供給を連続的に行うことができる。このように、吸着材40の除湿と再生を繰り返すことで、長期にわたり吸着材40を使用することができる。
【0028】
加熱器35は、第一通路31における回転ロータ34の上流側に設けられている。加熱器35は、室内52から取り込んだ室内還気RAを加熱するためのものであって、コジェネレーション装置2の温水管23および回収管24に接続されている。温水管23には、コジェネレーション装置2内の燃料電池22の排熱により生成される温水が流される。加熱器35は、温水管23から供給された温水で室内52から取り込んだ室内還気RAを非接触の状態で加熱するように構成されている。また、加熱器35に供給された温水は、室内還気RAを加熱する役割に使用された後、回収管24によりコジェネレーション装置2内に回収される。
【0029】
制御部36は、ポンプ26を制御することで、第一通路31に供給される室内還気RAの温度を制御することができる。つまり、制御部36は、ポンプ26により温水の流量を調整することにより、吸着材40に接触させる室内還気RAの温度を調整可能である。
【0030】
また、制御部36は、回転ロータ34を回転させるためのモータ37の回転速度を制御する。また、回転ロータ34は、その回転速度が調整可能に構成されており、回転ロータ34の回転速度を調整すると、回転ロータ34の各部の吸着材40が、第一通路31および第二通路32それぞれに滞在する時間が変化する。そのため、吸着材40の各部における室外51から取り込んだ外気OAの除湿量および室内52から流入した室内還気RAの放湿量が変化する。ここで、除湿量とは、水分の吸着量であり、放湿量とは、水分の脱離量である。
【0031】
また、制御部36は、第一通路31のファン61を制御することで、第一通路31に供給される室内還気RAの風量を制御することができる。また、第二通路32のファン62を制御することで、第二通路32に供給される外気OAの風量を制御することができる。つまり、制御部36は、ファン61の回転数を調整することにより、吸着材40に接触させる室内還気RAの風速を調整可能である。また、ファン62の回転数を調整することにより、吸着材40での除湿に供する外気OAの風速を調整可能である。
【0032】
本実施形態においては、温水管23を介してコジェネレーション装置2から供給される温水によって、室内還気RAの温度が、吸着材40の再生に必要な熱量に応じて設定される温度に加熱されるように、温水の熱量に応じて、ファン61により室内還気RAの風速を調整する。
【0033】
以上のように、調湿装置3においては、制御部36によって、調湿部33の吸着材40の再生に用いる室内還気RAの風速および温度を制御することができる。調湿装置3の運転に際して、外気OAに対して所望される除湿量に応じて、室内還気RAに対して要求される放湿量が定まる。そして、その放湿量を達成するために必要となる室内還気RAの風速および温度が、制御部36において、吸着材40の再生に必要な熱量に応じて設定される。次に説明するように、その風速および温度を達成するのに十分な熱量がコジェネレーション装置2から供給される場合には、通常モードでの運転が行われ、室内還気RAの風速および温度を吸着材40の再生に必要な熱量に維持する制御が行われる。一方、室内還気RAに対して吸着材40の再生に必要な熱量がコジェネレーション装置2から供給されないときには、室内還気RAの温度、あるいは風速のどちらかは低下させる必要がある。室内還気RAの風速を低下させて、室内還気RAの温度を維持させる再生用空気温度維持モードおよび室内還気RAの温度を低下させて、室内還気RAの風速を維持させる再生用空気風量維持モードの運転が可能であるが、本実施形態においては、それらのうち、再生用空気温度維持モードでの運転を行い、室内還気RAの風速を低下させて、室内還気RAの温度を維持させる制御を行う。
【0034】
なお、上記実施形態においては、室内還気RAは加熱器35で加熱されて吸着材40を再生した後、排気EAになり、外気OAは吸着材40で除湿された後、給気SAになり室内52の空気を除湿する形態であるが、室内還気RAは加熱器35で加熱されて吸着材40を再生した後、給気SAになり室内52の空気を加湿して、外気OAは吸着材40で除湿された後、排気EAになる形態も採用できる。また、外気OAが加熱器35で加熱されて吸着材40を再生した後、排気EAになり、室内還気RAが吸着材40で除湿された後、給気SAになり室内52の空気を除湿する形態も採用できる。また、外気OAが加熱器35で加熱されて吸着材40を再生した後、給気SAになり室内52の空気を加湿して、室内還気RAが吸着材40で除湿された後、排気EAになる形態も採用できる。さらにまた、上記の複数の形態を、共通の装置を使用して切り換えて運転することもできる。
【0035】
[運転モード]
(通常時)
調湿装置3の運転モードについて説明する。まず、吸着材40の再生に必要な熱量に対して、コジェネレーション装置2から調湿装置3に供給される温水の熱量が充足している通常時の運転モードについて説明する。
【0036】
最初に、第二通路32に設けられているファン62を運転することにより、外気OAが第二通路32に流通して回転ロータ34を横断する。回転ロータ34を横断する外気OAは、回転ロータ34の表面に担持された水分を吸着可能な吸着材40により、水分が除去される。吸着材40により除湿された外気OAは、給気SAとして室内52に流入する。
【0037】
また、同時に、第一通路31に設けられているファン61を運転することにより、室内52から取り込んだ室内還気RAが、第一通路31に流通する。室内還気RAは、ファン61により風速が制御されて、コジェネレーション装置2の温水を利用した加熱器35にて加熱され、回転ロータ34を横断する。回転ロータ34を横断する室内還気RAは、すでに外気OAの除湿に利用され、吸湿されている吸着材40を加熱して、吸着材40に吸着した水分は脱離されて、吸着材40は再生し、脱離された水分を含む室内還気RAは、排気EAとして室外51へ排出される。
【0038】
このとき、ファン61を運転することにより、第一通路31に流通する室内還気RAの風速が、吸着材40の再生に必要な熱量に応じた値に制御される。また、ファン62を運転することにより、第二通路32に流通する外気OAの風速が、吸着材40による新たに水分を吸着する能力および/または所望される給気SAの風速に応じて調整される。
【0039】
また、ファン61の回転数を大きくすると、室内還気RAの風速が大きくなる。この場合、単位時間当たりの吸着材40の放湿量が増加する。そのため、第二通路32に流通する外気OAの除湿量が大きくなる。
【0040】
一方、ファン61の回転数を小さくすると、室内還気RAの風速が小さくなる。この場合、単位時間当たりの吸着材40の放湿量が減少する。そのため、第二通路32に流通する外気OAの除湿量が小さくなる。
【0041】
また、ポンプ26により温水の流量を大きくすると、コジェネレーション装置2から加熱器35に実際に供給される温水の熱量が増加して室内還気RAの温度が高くなる。この場合、単位時間当たりの吸着材40の放湿量が増加する。そのため、第二通路32に流通する外気OAの除湿量が大きくなる。
【0042】
一方、ポンプ26により温水の流量を小さくすると、コジェネレーション装置2から加熱器35に実際に供給される温水の熱量が減少して室内還気RAの温度が低くなる。この場合、単位時間当たりの吸着材40の放湿量が減少する。そのため、第二通路32に流通する外気OAの除湿量が小さくなる。
【0043】
このように、ファン61の回転数により室内還気RAの風量を制御するおよび/またはポンプ26により温水の流量を制御することにより、室内還気RAの風速および温度が定められ、温水管23を介してコジェネレーション装置2から供給される温水の熱量が一定であれば、その風速の室内還気RAが温水によって加熱される温度が定まる。コジェネレーション装置2から実際に供給される温水の熱量が、外気OAにおいて所望される除湿量を与えられる状態まで吸着材40を再生するために必要な熱量を充足している場合には、ファン61の回転数により室内還気RAの風量を制御するおよび/またはポンプ26により温水の流量を制御して、室内還気RAの風速および温度がその必要な熱量に達するように、ファン61の回転数により室内還気RAの風量を制御するおよび/またはポンプ26により温水の流量を設定すればよい。また、ユーザーによる設定変更等によって、外気OAにおいて所望される除湿量が変化した場合にも、その所望される除湿量に対応する熱量を充足する室内還気RAの風速および温度が得られるように、ファン61の回転数により室内還気RAの風量を制御するおよび/またはポンプ26により温水の流量を新たに設定し、変更すればよい。
【0044】
外気OAの除湿量を制御するに際し、このような室内還気RAの風速および温度の変更に加え、回転ロータ34の回転数も変更することができる。回転ロータ34の回転数を変更すると、室内還気RAおよび外気OAの吸着材40との単位時間当たりの接触量が変化するので、外気OAにおける除湿量が変化する。例えば、次に説明する再生用空気温度維持モードでの運転において、室内還気RAの風速に比例させて回転ロータ34の回転数を変更し、その風速での除湿量を最大にしているのと同様の制御を、通常モードにおいて行ってもよい。
【0045】
通常時は、このようにして、吸着材40の再生に必要な熱量に対して、吸着材40に接触させる加熱器35にて加熱された室内還気RAの熱量が充足した状態で、空調能力を得ることができ、室内還気RAの風速および温度は、吸着材40の再生に必要な熱量に応じて設定される風速および温度に維持される。
【0046】
(再生用空気温度維持モード)
次に、吸着材40の再生に必要な熱量に対して、コジェネレーション装置2から調湿装置3に供給される温水の熱量が不足した際に、室内還気RAの風速を低下させて、室内還気RAの温度を維持させる制御を行う運転モードについて説明する。なお、この運転モードを、再生用空気温度維持モードとする。
【0047】
ユーザーの電力需要により燃料電池22の発電出力が低下して、コジェネレーション装置2内の燃料電池22の排熱から生成される温水の熱量が低下した場合、加熱器35により加熱された室内還気RAは、通常時に比べて、熱量が吸着材40の再生に必要な熱量に対して不足した状態となる。
【0048】
このとき、ファン61の出力を低下させて、加熱器35により加熱された室内還気RAが回転ロータ34を横断するときの風速を、低下させる。また、さらに吸着材40の除湿量が最大となるように予め定めた回転ロータ34の回転数と室内還気RAの風速との正の比例関係を用いて、その時の室内還気RAの風速に応じた回転ロータ34の回転数を設定することもできる。ここで、通常モードにおいてコジェネレーション装置2から供給される熱量が吸着材40の再生に必要な熱量に対して十分である場合に、ファン61の回転数制御によって得られる室内還気RAの風速および温度を、基準の風速R0、基準の温度T0に設定する。
【0049】
調湿装置3を、変化させた室内還気RAの風速に従って運転することにより、室内還気RAの温度は、上記温度T0に維持するように制御を行う。換言すると、室内還気RAの風速を上記風速R0から低下させることで、その風速の低下した室内還気RAに対して室内還気RAの温度を上記温度T0に維持または近接できるように制御する。この際、後述するような回転ロータ34の回転数制御を合わせて行ってもよい。
【0050】
調湿装置3は、コジェネレーション装置2から調湿装置3に供給される熱量が不足した場合、室内還気RAの温度、あるいは風速のどちらかは低下させる必要があるが、本実施形態にかかる調湿システム1においては、再生用空気温度維持モードにより、風速の維持を犠牲にして、温度維持を優先させる。
【0051】
本実施形態にかかる調湿システム1においては、調湿装置3は、吸着材40の再生に必要な熱量に対して、コジェネレーション装置2から調湿装置3に実際に供給される熱量が不足した際に、後に示す再生用空気風量維持モードではなく、再生用空気温度維持モードでの運転を行うものである。再生用空気温度維持モードにおいては、コジェネレーション装置2から供給される熱量が不足する場合においても、室内還気RAの温度を、供給される熱量が十分にある場合の吸着材40の再生に必要な熱量に応じて設定される基準の温度T0に維持させることにより、後の実施例に示すように、再生用空気風量維持モードを採用する場合と比較して、外気OAに対する除湿量の低下による空調能力の低下を抑制することができる。その結果、安定した空調能力を得ることができる。
【0052】
(再生用空気風量維持モード)
再生用空気温度維持モードに対して、別の運転モードとして、吸着材40の再生に必要な熱量に対して、コジェネレーション装置2から調湿装置3に供給される熱量が不足した際に、室内還気RAの温度を基準の温度T0から低下させて、室内還気RAの風速を基準の風速R0に維持させる制御を行う運転モードが想定される。この運転モードを、再生用空気風量維持モードとする。換言すると、再生用空気風量維持モードは、調湿装置3を、変化させた室内還気RAの温度で運転することにより、室内還気RAの風速は、吸着材40の再生に必要な熱量に応じて設定される基準の風速R0に維持するものである。
【0053】
再生用空気風量維持モードは、室内還気RAの温度を調整可能な手段が必要であり、その手段として、加熱器35へ送り込まれる温水の熱量を調整可能な手段を採用することができる。具体的には、コジェネレーション装置2内のポンプ26により、加熱器35へ送り込まれる温水の流量を調整する。これにより、室内還気RAの温度を吸着材40の再生に必要な熱量に応じて設定される温度から低下させる制御によって、室内還気RAの風速を吸着材40の再生に必要な熱量に応じて設定される風速に維持させることが可能となる。
【0054】
再生用空気温度維持モードにおいて、再生用空気風量維持モードよりも外気OAに対する除湿量の低下を抑えることができる理由としては、以下のような機構が推定される。つまり、空気の温度および湿度によって規定される空気線図上において、吸着材40を再生する室内還気RAの温度が高いほうが、除湿限界がより低くなる。そして、吸着材40によって除湿される外気OAの状態が除湿限界に対して余裕をもった状態となり、吸着材40によって外気OAを除湿する推進力が大きくなる。このように、吸着材40に接触させる室内還気RAの温度を高くすることで、吸着材40に単位時間当たりに接触する室内還気RAの風量を減少させたとしても、除湿限界に対して余裕のある状態で外気OAの除湿を行えることの効果により、吸着材40の除湿および水分の脱離能力の低下を抑制することができると推測される。
【0055】
[回転ロータの回転数制御]
本実施形態の調湿装置3は、室内還気RAの風速を変更する際に、同時に回転ロータ34の回転数を変更するものであり、室内還気RAの変更する風速に対して室外51から取り込んだ外気OAの除湿量が最大となるように、最適な回転ロータ34の回転数を設定している。このような回転ロータ34の回転数の変更を伴わずに、再生用空気温度維持モードの実行によって室内還気RAの風速を変更するだけでも、上記のように、コジェネレーション装置2から調湿装置3に供給される熱量が不足した場合の室外51から取り込んだ外気OAの除湿量がコジェネレーション装置2から調湿装置3に供給される熱量が充足した場合に比べて低下するのを再生用空気風量維持モードの場合よりも高度に抑制するという効果を発揮することができる。しかし、回転ロータ34の回転数の変更を室内還気RAの風速の変更と合わせて行うことで、除湿量低下抑制の効果を一層高めることができる。
【0056】
後の実施例において発明者らが明らかにしたように、室内還気RAの温度を一定として回転ロータ34の回転数を変化させると、吸着材40による外気OAの除湿量が変化する(
図3参照)。また、吸着材40の除湿量が最大となる回転ロータ34の回転数は、室内還気RAの風速によって異なり、吸着材40の除湿量が最大となる回転ロータ34の回転数と室内還気RAの風速との間に、正の比例関係がある。そのような比例関係を利用して、室内還気RAの風速を変更した際に、回転ロータ34の回転数を変更すればよい。
【0057】
そのような比例関係は、調湿システム1の運転に先立って、予め定めておくことができる。そして、コジェネレーション装置2から調湿装置3に供給される熱量が不足した場合に、再生用空気温度維持モードにおいて室内還気RAの風速を変更するとともに、予め定められている比例関係に基いて、回転ロータ34の回転数を変更すればよい。このように、室内還気RAの風速と、回転ロータ34の回転数という2つのパラメータを同時に設定することで、室外51から取り込んだ外気OAの除湿量が最大となるように、調湿装置3を運転することができる。特に、室内還気RAと回転ロータ34の回転数の間の比例関係(比例係数)を予め定めて利用することで、コジェネレーション装置2から調湿装置3に供給される熱量が不足する都度、室外51から取り込んだ外気OAの除湿量が最大となる回転ロータ34の回転数を見積もる必要がなく、調湿装置3を簡便に制御できる。
【0058】
実際に、室内還気RAと回転ロータ34の回転数の間の比例関係を見積もる方法の一例を説明する。なお、この方法は、後の実施例において採用している試験方法と同様である。まず、加熱器35により加熱された再生用空気である室内還気RAの温度を、吸着材40の再生に必要な熱量に応じて設定される温度に維持する。また、第一通路31に流通する室内還気RA、および第二通路32に流通する外気OAの風速を一定速度に維持する。この状態において、回転ロータ34の回転数を変化させて、吸着材40の除湿量が最大となるときの回転ロータ34の回転数を見積もる。
【0059】
以上の手順により、室内還気RAの風速と、その風速において除湿量最大となる回転ロータ34の回転数の組を複数得ることができる。この複数組のデータを利用して、回転ロータ34の回転数と室内還気RAの風速の比例関係を見積もることができる。このようにして、吸着材40の除湿量が最大となる回転ロータ34の回転数と室内還気RAの風速との比例関係が予め定められる。なお、比例関係の設定方法は、例えば、縦軸に回転ロータ34の回転数、横軸に室内還気RAの風速をプロットして、吸着材40の除湿量が最大となる回転ロータ34の回転数を、室内還気RAの風速の関数として一次近似したものとして、定めることができる。ここで、関係性を定める関数としては、一次近似による比例関係に限定されることなく、任意の関数を使用できる。例えば、単調増加の領域において、二次近似、三次近似等の高次近似も使用できる。
【0060】
以上のような回転ロータ34の回転数制御は、再生用空気温度維持モードにおいて室内還気RAの風速制御と併用することが好ましい。また、通常モードにも同様に適用してもよい。また、通常モードと再生用空気温度維持モードとをコジェネレーション装置2から供給される熱量に応じて実行する制御は、従来一般のデシカント空調に対しても行うことができる。従来一般のデシカント空調において、室内還気RAの風速の制御を上記各モードに従って行うように、制御部36の設定を行えばよい。また、回転ロータ34の回転数を室内還気RAの風速に伴って変更させるには、それらの間の比例関係を見積もる試験を事前に行って、制御部36に記憶させておけばよい。
【0061】
試験においては、加熱器35に温水を供給する。この状態において、吸着材40の再生に必要な熱量に応じて設定される室内還気RAの温度を維持できるように、室内還気RAの風速を変化させる。次に、そのときの室内還気RAの温度を維持したまま、回転ロータ34の回転数を変化させて、吸着材40の除湿量が最大となるときの回転ロータ34の回転数を見積もる。
【0062】
次に、上記の温水の熱量(供給量)を変化させ、加熱器35に供給する。変化した各熱量の状態において、上記と同様の手順により、室内還気RAの温度を、吸着材40の再生に必要な熱量に応じて設定される温度に維持できる室内還気RAの風速と、その風速において吸着材40の除湿量が最大となる回転ロータ34の回転数を設定する。これにより、室内還気RAの風速と、その風速において吸着材40の除湿量が最大となる回転ロータ34の回転数の間の比例関係を見積もる。なお、試験は、後の実施例に示すようなデシカント空調装置をモデル化した実験装置を用いて行ってもよい。
【実施例】
【0063】
以下、実施例を用いて本発明をより具体的に説明する。
図2に、実施例の調湿システムの実験装置の概略図、
図3に、実施例の調湿システムの実験結果1、
図4に、実施例の調湿システムの実験結果2を示す。
【0064】
実験は、再生用空気である室内還気RAを加熱する熱量が低下したとき、室内還気RAの温度、風速、および回転ロータ340を変化させて、室外51から取り込んだ外気OAの除湿量の変化を検証するために実施した。また、実験は、デシカント空調装置をモデル化した実験装置を使用した。そのため、室内52および室外51は、実際の調湿装置を想定したものであり、室内および室外の空気を実際に用いているわけではない。
【0065】
[実験装置]
実験装置30は、
図2に示すように、ケース内に、第一通路310および第二通路320の区画が形成されている。第一通路310は、室内還気RAが流通して排気EAになる。また、第二通路320は、外気OAが流通して給気SAになる。
【0066】
また、回転ロータ340(デシカントロータ)が、第一通路310および第二通路320を横断するよう装着されていて、モータ370により回転駆動する。また、回転ロータ340は、円板状に形成されると共にハニカム状に形成されて、厚さ方向に空気が通過可能となっている。ハニカム状に形成された回転ロータ340の表面には、吸着材400が担持されている。
【0067】
また、加熱器350が、第一通路310における回転ロータ340の上流側に設けられている。加熱器350は、室内52から取り込んだ空気を加熱するためのものであって、固体酸化物型の燃料電池(SOFC)のモデルとして、電気ヒータが装着されている。加熱器350は、電気ヒータで室内52から取り込んだ室内還気RAを加熱するように構成されている。
【0068】
室内還気RAの温度は、熱電対で計測されている。また、相対湿度を湿度計で計測した後、温度と相対湿度から空気線図上で絶対湿度が決められる。このとき、除湿前後での絶対湿度差が除湿量となる。
【0069】
[実験条件]
室内還気RAを想定して、第一通路310に、気温26℃、絶対湿度10.5g/kgDAの空気を供給した。また、外気OAを想定して、第二通路320に、気温30℃、湿度15g/kgDAの空気を供給した。第一通路310および第二通路320のそれぞれに供給した空気は、図示しない加湿槽およびヒータにおいて除湿、再生の空気条件を整えて、ブロワにより、室内還気RA入口41および外気OA入口42から供給した。また、外気OA入口42からは風速2m/s一定、室内還気RA入口41からは最大で風速2m/sの空気を供給した。
【0070】
運転モード:室内還気RAの温度を維持したまま室内還気RAの風量を調整した再生用空気温度維持モードと、室内還気RAの風量を維持したまま室内還気RAの温度を調整した再生用空気風量維持モードとの2種類のモードを実施した。
【0071】
電気ヒータの熱量:熱量としては、100%、75%、50%、25%の4種類を対象とした。また、4種類の熱量のそれぞれに対してそれぞれ上記2種類のモードの試験を実施した。なお、熱量100%とは、加熱器350の電気ヒータの熱量と、室内還気RAの風速を一定(2m/s)としたときの室内還気RAの温度を、吸着材400の再生に必要な熱量に応じて設定される温度(75℃)にするために必要な熱量とが同一になるときの状態を示す。他の3通りの熱量は、この100%の熱量に対する割合として定義される。
【0072】
回転ロータ340の回転数:2種類のモードについて、毎時5回転(rph)から毎時50回転まで5回転きざみに設定した。
【0073】
[実験方法]
測定手順:
(熱量100%基準)
1.室内還気RA入口41および外気OA入口42から、上記実験条件の室内還気RAおよび外気OAを、それぞれ第一通路310および第二通路320に供給した。室内還気RAの風速は、最大値である2m/sとした。
2.電気ヒータにより加熱された室内還気RAの温度が75℃となるように、設定した。上記のように、そのときの電気ヒータの熱量を、熱量100%とした。
3.電気ヒータで加熱した直後の室内還気RAの温度を測定した。
4.回転ロータ340を、毎時5回転(rph)から毎時50回転まで5回転刻みに変化させて、外気OAの除湿量(g/kgDA)を測定した。
【0074】
(再生用空気温度維持モード)
上記「熱量100%基準」の場合と同様に実験を行った。ただし、工程2.において、電気ヒータの温度は、熱量が上記100%を基準として、75%、50%、25%となるように変更した。また、工程3.において、室内還気RAの温度を75℃に維持できるように、室内還気RAの風速を2m/sから低下させる方向に変更した。変更後の風速の値は、
図3中に表示している。
【0075】
(再生用空気風量維持モード)
上記「熱量100%基準」の場合と同様に実験を行った。ただし、工程2.において、電気ヒータの温度は、熱量が上記100%を基準として、75%、50%、25%となるように変更した。また、工程3.において、室内還気RAの風速を2m/sに維持できるように、室内還気RAの温度を75℃から低下させる方向に変更した。
【0076】
[実験結果1]
図3において、横軸は回転ロータ340の回転数、縦軸は外気OAの除湿量を示す。また、プロットした白抜きのデータは、再生用空気温度維持モードにおける外気OAの除湿量であり、塗りつぶしのデータは、再生用空気風量維持モードにおける外気OAの除湿量である。また、プロットした丸、四角、三角、菱型のデータは、それぞれ熱量100%時、75%時、50%時、25%時における外気OAの除湿量である。また、Aは、再生用空気温度維持モード、Bは、再生用空気風量維持モード、AおよびBの右記の100、75、50、25は、熱量を示す。
【0077】
また、熱量100%時の、電気ヒータで加熱した直後の室内還気RAの温度は、75℃である。図中に表記した風速の数値は、それぞれの熱量%時を表している。
【0078】
図3に示すように、熱量75%時の除湿量は、熱量100%時の除湿量に対して、A75の再生用空気温度維持モードの方が、B75の再生用空気風量維持モードよりも除湿量の減少が少ない傾向である。また、熱量50%時の除湿量も、A50の再生用空気温度維持モードの方が、B50の再生用空気風量維持モードよりも除湿量の減少が少ない傾向であり、熱量75%時と同様の傾向である。
【0079】
実験結果1は、供給される熱量が100%から低下した時に、再生用空気温度維持モードの方が、再生用空気風量維持モードよりも除湿量の減少が少ないという傾向を示している。また、その傾向となっている理由は、再生用空気の温度が高いほうが、除湿限界が下がり、除湿される外気OAの状態が除湿限界に対して余裕のある状態となり、除湿の推進力が大きくなるためと推察される。
【0080】
また、A25の再生用空気温度維持モードの場合、除湿能力が、A75の再生用空気温度維持モードの時、およびA50の再生用空気温度維持モードの時に比べて著しく低下している要因は、吸着材400が再生限界値に達しているためと推察される。
【0081】
以上の結果から、再生用空気温度維持モードは、再生用空気風量維持モードに比べて、熱量が不足した場合において、外気OAの除湿量の低下をより小さくすることができることが確認された。したがって、調湿装置3は、コジェネレーション装置2から供給される熱量が不足する場合において、空調能力の低下を抑制することができるため、安定した空調能力を得ることができる。
【0082】
図3において、再生用空気温度維持モード、および再生用空気風量維持モードにおいて、熱量100%時、75%時、50%時、25%時における外気OAの除湿量は、回転ロータ340の回転数に応じて、山なりに変化している。このことは、回転ロータ340の回転数を変化させることで、外気OAの除湿量を最大にすることができることを示している。また、A100、A75、B75、A50、B50、A25の各条件のデータにおいて、外気OAの除湿量の最大値は、熱量の値が小さくなるほど、最大の除湿量を与える回転ロータ340の回転数が小さくなる傾向である。
【0083】
この傾向を明確に認識するため、
図4に、
図3の再生用空気温度維持モードにおける各データ中のピークを表すプロット点を抜き出している。
【0084】
[実験結果2]
図4において、横軸は室内還気RAの風速、縦軸は外気OAの除湿量が最大になる回転ロータ340の最適ロータ回転数を示す。プロットした丸白抜きのデータは、再生用空気温度維持モードの熱量100%時、熱量75%時、熱量50%時、熱量25%時において最大の除湿量になるときの回転ロータ340の回転数、および室内還気RAの風速を示していて、
図3の各データ中のピークを表すプロット点を抜き出している。図中のA100、A75、A50、およびA25は、実験結果1と対応している。
【0085】
図4によると、再生用空気温度維持モードにおいて最大の除湿量となる条件は、室内還気RAの風速が小さくなるほど、回転ロータ340の最適ロータ回転数も小さくなる傾向である。
【0086】
しかも、再生用空気の除湿量が最大となるときの最適な回転ロータ340の回転数は、室内還気RAの風速に対して比例の関係を示していることが分かる。また、図中の点線は、各データをプロットした後、回転ロータ340の回転数を、室内還気RAの風速の関数として一次近似したものであるが、データ点が非常によく再現されており、除湿量最大となる回転ロータ340の回転数と室内還気RAの間に、明確な比例関係が存在することが確認される。この比例関係を利用して、室内還気RAの変化する風速に対して外気OAの除湿量が最大となるように、最適な回転ロータ340の回転数を設定できる。
【0087】
以上、本発明の実施形態および実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、熱源であるコジェネレーション装置に使用されている燃料電池は、SOFC以外にも各種燃料電池が採用できる。また、コジェネレーション装置は、内燃機関を活用したコジェネレーション装置、ボイラ&蒸気タービンを活用したコジェネレーション装置も採用できる。さらに、熱源の形態は、熱を発生する形態であれば、コジェネレーション装置以外のどのような構成でもよい。また、吸着材の形態は、水分を可逆的に吸着可能な形態であれば、回転ロータ型以外のどのような構成でもよい。