【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、磁流式低温分解装置(1)は、
空気を磁気化する磁力ボックス(20)と、
磁気化した空気で有機物を低酸素状態で低温分解する処理室(30)と、
排気ガスを処理するスクラバ(50)と、
を有する、分解装置本体(10)であって、
前記スクラバが、当該スクラバ内の臭い及び煙粒子を検知する第1の検知部(55)を有し、
前記処理室が、当該処理室内の温度を検知する第2の検知部(41)を有する、分解装置本体(10)と、
前記第1の検知部から取得した第1のデータ及び前記第2の検知部から取得した第2のデータに基いて前記処理室の所定時間後の反応を予測する予測部(84)を有する操作部(70)と、
を備える。
【0011】
請求項2に記載の磁流式低温分解装置は、請求項1に記載の磁流式低温分解装置において、
前記操作部は、前記第1のデータ及び前記第2のデータを組み合わせから構成される時系列データを統計学的手法の説明変数として記憶する記憶部(87)を更に有し、
前記予測部は、前記スクラバ内の煙粒子量が前記所定時間後に所定の値に到達することを統計学的手法により予測する、ことを特徴とすれば、本構成を有しない場合に比して、収集した時系列データを記憶して所定時間後の反応を予測し、磁流式低温分解装置を最適に稼働させて、処理効率の向上とダイオキシンや臭いを含む有害な煙発生量を抑えることができるので好ましい。
【0012】
請求項3に記載の磁流式低温分解装置は、請求項1又は2に記載の磁流式低温分解装置において、
前記操作部は、前記スクラバ内の煙粒子量が前記所定の値を将来超えないように前記処理室の反応を制御する制御部(83)を更に有する、ことを特徴とすれば、本構成を有しない場合に比して、制御部が、ダイオキシンや臭いを含む煙の排出を最小化し、処理効率を最大化する最適正制御を行うことができるので好ましい。自動運用が可能となり、専門家がいなくても運用が可能になるので好ましい。
【0013】
請求項4に記載の磁流式低温分解装置は、請求項3に記載の磁流式低温分解装置において、
前記制御部は、前記予測部の予測結果に基いて、前記磁力ボックスへの空気の投入量、前記処理室への磁気化した空気の投入量、当該処理室への有機物の投入量、及び、前記スクラバ内への噴霧量のうち少なくともいずれか一つを制御する、ことを特徴とすれば、処理室の反応を想定以上に進行し過ぎないように制御することができるので好ましい。
【0014】
請求項5に記載の磁流式低温分解装置は、請求項3又は4に記載の磁流式低温分解装置において、
前記記憶部は、有機物の種類と量、有機物の含水量、及び、外部の気温と湿度のうち少なくともいずれか一つを含む追加データとを記憶し、
前記予測部は、統計学的手法の説明変数に前記追加データを含めて予測する、ことを特徴とすれば、更に精緻な制御が可能になるので好ましい。
【0015】
請求項6に記載の磁流式低温分解装置は、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の磁流式低温分解装置において、
前記統計学的手法は、回帰分析、多変量解析、又は、教師あり学習モデルである、ことを特徴とすれば、日常の運用と並行してモデルを順次改良することが可能になるので好ましい。
【0016】
請求項7に記載の磁流式低温分解装置は、請求項5又は6に記載の磁流式低温分解装置において、
前記操作部は、通信回線(200)を介して接続されたクラウドサーバ(300)との間でデータの送受信をするルータ(190)を更に有し、
前記時系列データと前記追加データは、前記ルータを介して前記クラウドサーバのサーバ記憶部に送信され記憶され、
前記操作部は、前記クラウドサーバに接続された他の磁流式低温分解装置と共有される時系列データと追加データとに基いて、当該クラウドサーバの予測構築部(320)により計算された統計学的手法の説明変数を前記ルータを介して受信し、
前記予測部は、前記説明変数に基いて予測し、
前記制御部は、前記予測部の予測結果に基いて制御する、ことを特徴とすれば、本構成を有しない場合に比して、他の磁流式低温分解装置から収集されたデータと共にビッグデータ化され算出された共有可能な統計パラメータを、予測のために使用することでより精度のよい運用ができるので好ましい。
【0017】
請求項8に記載の磁流式低温分解装置は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の磁流式低温分解装置において、
前記処理室は、有機物に圧力が加えるプッシャ(35)を更に有する、ことを特徴とすれば、本構成を有しない場合に比して、
有機物に圧力が加えて有機物間の空気を排除して反応の進行を阻害し、処理室内の低温環境を維持すると共に、圧縮された有機物間の熱伝導が効率化するので好ましい。
【0018】
請求項9に記載の磁流式低温分解装置は、請求項3乃至8のいずれか一項に記載の磁流式低温分解装置において、
前記制御部は、前記処理室が有機物を低酸素状態で低温分解するように当該処理室に投入される有機物の量を制御する、ことを特徴とすれば、
処理室内の温度をダイオキシンの発生温度とされる300℃〜400℃よりも低い180℃〜250℃に保ち、ダイオキシン類、窒素酸化物等の有毒ガスの発生を抑制するので好ましい。
【0019】
請求項10に記載の磁流式低温分解装置は、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の磁流式低温分解装置において、
前記第1の検知部は、
緑色光または緑色光よりも短い波長の光を発光する発光部(61)と、
前記発光部が発光した光が煙粒子によって反射した散乱光を直接受光する受光部(63)と、
を有する、ことを特徴とすれば、水蒸気粒子を除く煙粒子の粒子量を検出でき、費用を低減することができるので好ましい。
【0020】
請求項11に記載の磁流式低温分解装置は、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の磁流式低温分解装置において、
投入された廃棄物中の有機物を低温分解して無機物を排出する、ことを特徴とすれば、有機物が無機物から単離され低温分解されて、排出される無機物が投入される廃棄物の1/200〜1/300(質量比)になり、その後の処理費用を低減することができるので好ましい。
【0021】
上記課題を解決するために、分解装置本体を操作する方法は、
空気を磁気化する磁力ボックス(20)と、磁気化した空気で有機物を低酸素状態で低温分解する処理室(30)と、排気ガスを処理するスクラバ(50)と、を有する、分解装置本体(10)であって、
当該スクラバが当該スクラバ内の臭い及び煙粒子を検知する第1の検知部(55)を有し、
当該処理室が当該処理室の温度を検知する第2の検知部(41)を有する、
分解装置本体(10)を操作する方法において、
前記第1の検知部から取得した第1のデータを記憶する工程と、
前記第2の検知部から取得した第2のデータを記憶する工程と、
前記第1のデータ及び前記第2のデータに基いて前記処理室の所定時間後の反応を予測する工程と、
前記第1のデータ及び前記第2のデータを組み合わせて時系列データを作成して統計学的手法の説明変数として記憶する工程と、
有機物の種類と量、有機物の含水量、及び、外部の気温と湿度のうち少なくともいずれか一つを含む追加データを記憶する工程と、
前記追加データを前記説明変数に含める工程と、
前記説明変数に基いて、前記スクラバ内の煙粒子量が前記所定時間後に所定の値に到達することを統計学的手法により予測する工程と、
予測結果に基いて、
前記磁力ボックスへの空気の投入量、前記処理室への磁気化した空気の投入量、当該処理室への有機物の投入量、及び、前記スクラバ内への噴霧量のうち少なくともいずれか一つを制御することで、
前記スクラバ内の煙粒子量が前記所定の値を将来超えないように前記処理室の反応を制御する工程と、
を備え、
前記処理室の反応を制御する工程は、前記処理室が有機物を低酸素状態で低温分解するように当該処理室に投入される有機物の量を制御し、
前記処理室の反応を制御する工程は、有機物に圧力が加えて有機物間の空気を排除して当該処理室の反応を制御する。
【0022】
請求項13に記載の方法は、請求項12に記載の方法において、
前記時系列データと前記追加データを、通信回線を介して接続されたクラウドサーバに送信する工程と、
前記クラウドサーバに接続された他の磁流式低温分解装置と共有される時系列データと追加データとに基いて、当該クラウドサーバにより計算された統計学的手法の説明変数を受信する工程と、
受信した前記説明変数に基いて予測する工程と、
前記予測部の予測結果に基いて前記処理室の反応を制御する工程と、
を更に備える、ことを特徴とすれば、本構成を有しない場合に比して、他の磁流式低温分解装置から収集されたデータと共にビッグデータ化され算出された共有可能な統計パラメータを、予測のために使用することでより精度のよい運用ができるので好ましい。