特許第6821214号(P6821214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本アキュライド株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6821214-スライドレール 図000002
  • 特許6821214-スライドレール 図000003
  • 特許6821214-スライドレール 図000004
  • 特許6821214-スライドレール 図000005
  • 特許6821214-スライドレール 図000006
  • 特許6821214-スライドレール 図000007
  • 特許6821214-スライドレール 図000008
  • 特許6821214-スライドレール 図000009
  • 特許6821214-スライドレール 図000010
  • 特許6821214-スライドレール 図000011
  • 特許6821214-スライドレール 図000012
  • 特許6821214-スライドレール 図000013
  • 特許6821214-スライドレール 図000014
  • 特許6821214-スライドレール 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6821214
(24)【登録日】2021年1月8日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】スライドレール
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/467 20170101AFI20210114BHJP
   A47B 88/433 20170101ALI20210114BHJP
   A47B 88/49 20170101ALI20210114BHJP
【FI】
   A47B88/467
   A47B88/433
   A47B88/49
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-190232(P2019-190232)
(22)【出願日】2019年10月17日
(62)【分割の表示】特願2016-97727(P2016-97727)の分割
【原出願日】2016年5月16日
(65)【公開番号】特開2020-75111(P2020-75111A)
(43)【公開日】2020年5月21日
【審査請求日】2019年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002255
【氏名又は名称】日本アキュライド株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 正彦
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−330418(JP,A)
【文献】 特表2000−501303(JP,A)
【文献】 特開2007−195754(JP,A)
【文献】 特開2011−224289(JP,A)
【文献】 特開2007−089610(JP,A)
【文献】 米国特許第06027193(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/467
A47B 88/433
A47B 88/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動側レールの後端部に、固定側レールの折曲縁に弾性的に圧接する圧接子を有する引込み部材を設け、圧接子が圧接する固定側レール折曲縁の後端部所定位置から移動側レールを引き込む方向に固定側レールの折曲縁と一体に引き込み案内路を形成した引き込み機能を有するスライドレールにおいて、引き込み部材は、移動側レールに取り付けられ、少なくとも一部が移動側レールの収納側端部の外側に突出する連結用支持部材と、一端が連結用支持部材に回動自在に枢止され他端に圧接子が回動自在に設けられた回動腕と、回動腕に回動力を付与する付勢手段より構成され、回動腕の回動時に、スライドレールの伸長短縮に合わせて圧接子が固定側レールの折曲縁に付勢手段により弾性的に圧接する姿勢と、圧接子が引き込み案内路に付勢手段により弾性的に圧接する姿勢をとるように、回動腕の前記枢止部を連結用支持部材の前記突出部に設けるとともに、引き込み部材は、引き込み部材の連結用支持部材が、少なくとも移動側レールの一対の上下折曲縁間の基材の内面あるいは外面に取り付けられることにより移動側レールに取り付けられることを特徴とするスライドレール。
【請求項2】
スライドレールの最短収縮状態で、圧接子は引き込み案内路下向き方向の端部に圧接し、引き込み案内路は、圧接子が圧接し、移動側レールを引き込む方向に突出し順次円弧状に変形するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスライドレール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドレールに連結された家具等の引出し部、陳列棚等のスライド棚等の移動側部材を、引出し状態(スライド全開状態)から収納位置(最終収納位置)まで完全に移動させなくても、所定位置まで移動されると、後は自動的に家具本体等の固定側部材に引き込まれ、さらに、移動側部材を固定側部材に勢いよく移動させた時に生じる移動側部材の跳ね返りの防止、あるいは、運搬時、地震時等、固定側部材からの移動側部材の不用意な飛び出しを防止する引込み機能を有するスライドレールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
家具本体等の固定側部材に引出し部等の移動側部材を収納する時、移動側部材を勢い良く収納すると、収納時の跳ね返りによって、移動側部材が完全に収納されなかったり、移動側部材が最初から完全に収納されていなかったりする場合があり、家具の運搬時、地震時に、引出し等が固定側部材から飛び出した勢いで、家具等を運搬中に落下させたり、あるいは転倒することで数々の不都合が生じる原因となっていた。
この問題を解決するため、移動側部材が所定位置まで収納されると、後は自動的に家具本体等の固定側部材に引込む、引込み機能を有するスライドレールが幾種類か提供されている。
【0003】
その一つとして、固定側部材あるいは移動側部材のいずれか一方側に引込み部材を設け、引込み部材に対応して他方側に引込み力受動部材を設け、引込み部材は、移動側部材が固定側部材に対して最終所定位置に近づいたとき、引込み力受動部材に一部が弾性的に圧接する圧接機構を有し、引込み力受動部材は、圧接機構の圧接力を、移動側部材を固定側部材に対し最終所定位置となす方向への引込み力に変化させる案内傾斜面を構成するものである。(特許文献1参照)
【0004】
この場合、引込み力受動部材を固定側部材、あるいは移動側部材のいずれかに取り付けなければならず、コストアップにつながる要因となっていた。
さらに、固定側部材あるいは移動側部材と引込み力受動部材は一体ではないので、その連結部分には微妙な段差が生じ、この段差を引込み部材が通過する際、摺動途中に不連続な違和感が発生する原因にもなっていた。
又、引込み部材は、凸状曲面上を接触移動するので、摺動中左右方向に揺動しやすく、摺動操作の円滑な連続性を損なうだけでなく、引込み部材のローラーが脱輪する要因にもなっていた。
【0005】
一方、安価に提供できる引込み機能を有するスライドレールとしては、移動側レールの一方のボール摺動溝の端部やや内側内面から他方のボール摺動溝の端部側内面に向かって傾斜する脚体を有する線バネからなる引込み部材を移動側レールに着脱自在に設けることにより、移動側のレールの摺動途中は、固定側レールのボール摺動溝に弾性脚体が接触し、移動側レールが一定位置に達した状態で、固定側レールの摺動方向側の端部に脚体が当接して、移動側レールを自動的に収納位置まで移動させるものが提供されている。(特許文献2参照)
この場合、固定側レールのボール摺動溝の端部の角部に線バネが当接するので、摩擦抵抗が大きく、円滑な摺動操作が損なわれるだけでなく、固定側レールあるいは線バネの何れか硬度の低い方が磨耗するなど、耐久性に問題があった。
【0006】
又、他の例としては、少なくとも第一スライド部材と第二スライド部材とを備え、第二スライド部材に取り付けられる引込み機構であって、前記引込み機構は、アクチュエータ(係合体)を案内するスロットをもっているハウジングを具備し、アクチュエータ(係合体)は、ばねにより生み出される力に応じて移動可能であるようにハウジングに取り付けられ、スロットに沿って第一位置と第二位置との間を滑動することができ、ばねにエネルギを蓄積して第一位置に係合されて残ることができる。
【0007】
そして、引き出された第一スライド部材が引込まれる時には、第一スライド部材が閉止位置に近づいたとき、第一スライド部材はアクチュエータに係合し、閉止位置の方へ引き続き移動するので、アクチュエータ(係合体)を第一位置から離脱させ、それによりエネルギを蓄積したばねが、アクチュエータ(係合体)、及び係合した第一スライド部材をスロットに沿ってスライドが閉じられる第二位置に滑動させる。
一方、第一スライド部材が、第二スライド部材に対して引き出されるとき、第一スライド部材がアクチュエータ(係合体)を第二位置から第一位置の方へ移動させ、アクチュエータ(係合体)はばねにエネルギを蓄積させ、第一位置で係合される。そして、第一スライド部材はアクチュエータから離脱される構成のものも提供されている。(特許文献3参照)
【0008】
この場合、ばねの引張り力で第一スライド部材を第二スライド部材に引き込む構成であるから、第一スライド部材がばねの引張り力に抗して(ばねに引張りエネルギを蓄積させながら)引き出され、アクチュエータ(係合体)が第一位置で係合されると、第一スライド部材はアクチュエータから離脱するので、急激に引き出し力が軽くなり、引き出しスピードが速くなって、収納物、展示物等を転倒、落下させる危険があった。
さらに、第一スライド部材が引き出された状態の時、アクチュエータ(係合体)の第一位置での係合状態が不測に外れ、アクチュエータ(係合体)が第二位置移動した状態では、引込み機能が働かない。この状態を、復帰させるためには、手動によって大きな力を負荷し、第一スライドを押し込み、強制的にアクチュエータ(係合体)に第一スライド部材を係合させなければならなかった。
【0009】
又、簡単な構造でコンパクトに構成でき、耐久性に優れ、円滑な摺動力で、安価に製作でき、故障等の発生も皆無で、操作も容易な引込み機能を有するスライドレールとして、移動側レールの後端部に、固定側レールの折曲縁に形成されたボール摺動溝に弾性的に圧接する圧接子を有する引込み部材を設け、圧接子が圧接する固定側レールのボール摺動溝の後端部所定位置から、移動側レールを引き込む方向に固定側レールの折曲縁を順次傾斜させて、固定側レールのボール摺動溝と同形で、ボール摺動溝に連続する引込み案内路を折曲縁と一体に形成され、引込み部材は移動側レールに先端部が回動自在に枢止され、後端部に設けられた圧接子が固定側レールのボール摺動溝に弾性的に圧接するよう回動力が付与された回動腕と、回動腕に回動力を付与するバネよりなるものが提供されている。(特許文献4参照)
【0010】
この場合、回動腕は移動側レールに直接枢止されているので、回動腕の回動可能角度は、後端部に設けられた圧接子が固定側レールに圧接できる上下方向の移動範囲に限定される。すなわち、圧接子の上下方向の移動距離が小さい(回動腕の回動可能角度が少ないので、圧接子のスライド方向の移動距離も小さい)ので、引込みストローク(引込み始めから引込み完了までの距離)を大きくするには、引込み案内路を長く構成する必要がある。つまり、引き込み案内路を長く構成すると、引込み力が弱まるだけでなく、引込みストロークを除いたスライドストロークが短くなる。スライドストロークを維持するにはスライドレール全体の長さを長く構成しなければならない。従って、スライドレール全体の長さが長くなると、所定場所に取り付けることができず、引込み機能を断念する結果となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−195754号公報
【特許文献2】特開2008−194381号公報
【特許文献3】特許第4394327号公報
【特許文献4】特開2011−224289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記問題に鑑み、簡単な構成で、スライドレールの長さに影響を与えず、引込みストロークを長く構成でき、引込み力も低下させることのない、引き込み機能を有するスライドレールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決する為、本発明が第1の手段として構成したところは、移動側レールの後端部に、固定側レールの折曲縁に弾性的に圧接する圧接子を有する引込み部材を設け、圧接子が圧接する固定側レール折曲縁の後端部所定位置から移動側レールを引き込む方向に固定側レールの折曲縁と一体に引き込み案内路を形成した引き込み機能を有するスライドレールにおいて、引き込み部材は、移動側レールに取り付けられ少なくとも一部が移動側レールの収納側端部の外側に突出する連結用支持部材と、一端が連結用支持部材に回動自在に枢止され、他端に圧接子が回動自在に設けられた回動腕と、回動腕に回動力を付与する付勢手段より構成され、回動腕の回動時に、スライドレールの伸長短縮に合わせて圧接子が固定側レールの折曲縁に付勢手段により弾性的に圧接する姿勢と、圧接子が引き込み案内路に付勢手段により弾性的に圧接する姿勢をとるように、回動腕の前記枢止部を連結用支持部材の前記突出部に設けるとともに、引き込み部材は、引き込み部材の連結用支持部材が、少なくとも移動側レールの一対の上下折曲縁間の基材の内面あるいは外面に取り付けられることにより移動側レールに取り付けられるものである。
【0014】
上記課題を解決する為、本発明が第2の手段として構成したところは、上記第1の手段としての構成に加え、スライドレールの最短収縮状態で圧接子は引き込み案内路下向き方向の部に圧接し、引き込み案内路は、圧接子が圧接し、移動側レールを引き込む方向に突出し順次円弧状に変形するように形成されように形成されているものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の手段として構成したところによると、一端に圧接子が回動自在に設けられた回動腕の他端が、連結用支持部材の移動側レールから上下方向のいずれかに突出する突出側の端部に回動自在に枢止されているので、回動腕を、ほぼ水平姿勢からほぼ垂直姿勢の範囲で回動可能に配設することができるので、圧接子は、上下方向からスライド方向に順次移動できるから、引き込み案内路がスライド方向に短くても、引き込みストロークを長く構成することができるので、スライドレール全体の長さを大きくしなくても、必要なスライドストロークを得ることができる。
【0017】
本発明の第2の手段として構成したところによると、スライドレールの最短収縮状態で、圧接子は円弧状の下向き方向の端部に圧接しているので、スライドレールの最短収縮状態を確実に維持する事が出来る。
また、引き込み案内路が、圧接子が圧接し、移動側レールを引き込む方向に突出し順次円弧状に変形するように形成されているので、簡単な構造で円滑な摺動感覚を得ることが出来るだけでなく、引き込み案内路、固定側レールの上折曲縁が同形で連続して一体に形成されているので、微妙な段差もなく、圧接子が、引込み案内路から上折曲縁にそれぞれ移動する段階(逆の段階でも同じ。)においても何ら違和感を生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のスライドレールの最短収縮状態の斜視図である。
図2】本発明のスライドレールの最大伸長状態の斜視図である。
図3】最短収縮状態のスライドレールの後端部拡大斜視図である。
図4】引き出し途中のスライドレールの後端部拡大斜視図である。
図5】引込み部材の分解斜視図である。
図6】本発明のスライドレールの基本構造断面図である。
図7】スライドレールの縮小状態での後端部の固定側レール側からの正面図である。
図8】スライドレールの最短縮小状態での後端部側からの正面図である。
図9】本発明の第2実施例のスライドレールの最短収縮状態の斜視図である。
図10】本発明の第2実施例のスライドレールの後端部の右側面図である。
図11】本発明の第2実施例のスライドレールの後端部の左側面図である。
図12】本発明の第2実施例のスライドレールの最短縮小状態での後端部側からの正面図である。
図13】本発明の第2実施例のスライドレールの基本構造断面図である。
図14】本発明の第2実施例のスライドレールの引き出し途中の後端部の右側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
移動側レールの後端部に、固定側レールの折曲縁に弾性的に圧接する圧接子を有する引込み部材を設け、圧接子が圧接する固定側レール折曲縁の後端部所定位置から移動側レールを引き込む方向に固定側レールの折曲縁と一体に引き込み案内路を形成した引き込み機能を有するスライドレールにおいて、引き込み部材を、移動側レールに取り付けられ少なくとも一部が移動側レールの収納側端部の外側に突出する連結用支持部材と、一端が転結用支持材の突出側の端部に回動自在に枢止され他端に圧接子が回動自在に設けられた回動腕と、回動腕に回動力を付与するバネより構成し、圧接子が固定側レールの折曲縁に弾性的に圧接しながら回動腕を、ほぼ水平姿勢からほぼ垂直姿勢に回動可能とし、スライドレールの最短収縮状態で、圧接子を引き込み案内路下向き方向の端部に圧接し、引き込み案内路を、圧接子が圧接し移動側レールを引き込む方向に突出し順次円弧状に変形形成する。
【実施例】
【0021】
第1実施例のスライドレールの基本的構成を図1図6に基づいて説明する。
スライドレール100は、家具等の本体の内面に連結ネジ等で連結される固定側レール1と、固定側レール1に対し、固定側ボール保持板3に回転自在に保持された複数個のボール30・・・を介して摺動自在に設けられた中間レール4と、中間レール4に対し、移動側ボール保持板5に回転自在に保持された複数個のボール50・・・を介して摺動自在に設けられた移動側レール2と、移動側レール2の後端部に取り付けられた引き込み部材6と、引込み部材6に対応して、固定側レール1に設けられた引き込み案内路7より構成されている。
以下、図1において左側斜め上方向を引き出し側(先端側)、右側斜め下方向を収納側(後端側)として説明する。
【0022】
固定側レール1は、金属製の細長条板の短手両端部を内向き円弧状に折り曲げて形成された内面長手方向(摺動方向)にボール案内溝を有する上下折曲縁11、11と、基板12より断面略C字形をなし、引き出し側前端部に、基板12の一部が移動側レール2方向に突出し、固定側ボール保持板3、中間レール4、移動側ボール保持板5等を介して、移動側レール2を最大引き出した状態で停止させ、スライドレール100を最大伸長となすレール伸長時ストッパー(図示せず。)と、収納側後端部に、基板12を移動側レール2方向に突出し、中間レール4等を介して、移動側レール2が最も収納された状態で停止させ、スライドレール100を最短縮小状態となすレール短縮時ストッパー130が形成されている。
【0023】
移動側レール2は、固定側レール1とほぼ同等の長さで、金属製の細長条板の短手両端部を内向き円弧状に折り曲げて形成された内面長手方向(摺動方向)にボール案内溝を有する上下折曲縁21、21と、基板22より固定側レール1に対向する断面略C字形に形成されている。
そして、基板22の引き出し側端部には、前記固定側レール1方向に突出し、移動側レール2の収納時に中間レール4の引き出し側端部に当接する移動側レール収納時ストッパー(図示せず。)が形成され、基板22の収納側端部には、スライドレール100の最大伸長状態で移動側ボール保持板5の後端に当接する移動側レール後端ストッパー(図示せず。)が形成されている。
【0024】
中間レール4は、帯状金属板にて上記固定側レール1と移動側レール2間に挿入可能な大きさに形成されている。
すなわち、金属製の細長条板の短手両端部を外向き円弧状に折り曲げて、外面長手方向(摺動方向)にボール案内溝を有する固定側上下折曲縁42、42と固定側基板41からなる断面略C字形に形成された固定側中間レールと、固定側中間レールと左右対称形で、金属製の細長条板の短手両端部を外向き円弧状に折り曲げて、外面長手方向(摺動方向)にボール案内溝を有する移動側上下折曲縁43、43と移動側基板40からなる断面略C字形に形成された移動側中間レールよりなり、固定側基板41、移動側基板40を摺動方向にややずらして固着された、断面略I字形で、固定側レール1及び移動側レール2より短い長さに形成されている。
【0025】
そして、中間レール4の固定側基板41の後端部に固定側レール1側に突出し、移動側レール2の引き出し時、固定側ボール保持板3の後端部に当接すると共に、移動側レール2の収納時、固定側レール1のレール短縮時ストッパー130の内面に当接する中間レール後端ストッパー(図示せず。)が形成され、移動側基板40の前端部に移動側レール2側に突出し、移動側レール2の引き出し時、移動側ボール保持板5の前端部が内面に当接すると共に、移動側レール2の収納時、前記移動側レール収納時ストッパーの内面が当接する中間レール前端ストッパー(図示せず。)が形成されている。
【0026】
固定側ボール保持板3は帯条金属板にて中間レール4より所定寸法短くした、固定側レール1と中間レール4間に挿入可能な大きさの基板31と、固定側レール1と中間レール4の各上下折曲縁11、11、42、42間に位置する上下突出縁32、32より断面略コ字形に形成され、上下突出縁32、32の長手方向(摺動方向)数個所でボール30・・・を回転自在に保持している。
【0027】
移動側ボール保持板5は帯条金属板にて中間レール4より所定寸法短くした、移動側レール2と中間レール4間に挿入可能な大きさの基板51と、移動側レール2と中間レール4の各上下折曲縁21、21、43、43間に位置する上下突出縁52、52より断面略コ字形に形成され、突出縁52、52の長手方向(摺動方向)数個所でボール50・・・を回転自在に保持している。
【0028】
スライドレール100は上記の如く構成され、移動側レール2が固定側レール1に最も収納された状態(最短縮小状態)では、中間レール後端ストッパーが、固定側レール1のレール短縮時ストッパーの前面に当接し、移動側レール2の移動側レール収納時ストッパーが中間レール前端ストッパーの前面に当接し、引き込み部材6が引き込み案内部7の収納側端部に位置している。
【0029】
この状態から、移動側レール2を前方に引き出していくと、移動側レール2の移動距離の2分の1の距離だけ移動側ボール保持板5は移動し、中間レール4の移動距離の2分の1の距離だけ固定側ボール保持板3は移動するので、移動側レール後端ストッパーの前面が移動側ボール保持板5の後端に当接し、移動側ボール保持板5の前端が中間レール4の中間レール前端ストッパーの後面に当接して、中間レール4の中間レール後端ストッパーの前面が固定側ボール保持板3の後端に当接し、固定側ボール保持板3の前端が、固定側レール1のレール伸長時ストッパーの後面に当接して、移動側レール2、中間レール4は停止し、スライドレール100は最大伸長状態となる。
【0030】
引込み案内路7は、固定側レール1の上折曲縁11の後端側所定位置から、移動側レール2を引き込む方向に固定側レール1の基板12から後方に突出する上折曲縁11を順次円弧状に変形させた形状で、固定側レール1の上折曲縁11と断面同形で、上折曲縁11に連続して上折曲縁11と一体に形成されている。
【0031】
すなわち、固定側レール1の上折曲縁11を残して、基板12と下折曲縁11の後端部を、前後方向に所定寸法切り落して加工用切り落とし部71が形成された後、残った固定側レール1の上折曲縁11を4分の1円弧状に変形されて、固定側レール1の上折曲縁11の外形と同形で、上折曲縁11の後端に連続して上折曲縁11と一体に形成されたものである。
【0032】
尚、実施例では、引き込み案内路7は、固定側レール1の高さ寸の法(基板12の高さを半径とした4分の1円弧状に形成されているが、半径(曲率半径)を大きくとれば、弧長は長くなるので、引き込みストロークも長くなる反面、後記する引き込み部材6のバネ63の付勢力が一定であれば引込みスピードは緩やかとなる。(引き込み力は弱くなる。)
一方、半径(曲率半径)が小さい円弧状とすれば、弧長は短くなるので、引き込みストロークも短くなる反面、後記する引き込み部材6のバネ63の付勢力が一定であれば引込みスピードは速くなる。(引き込み力は強くなる。)
【0033】
引き込み部材6は、移動側レール2の基板22の内面に取り付けられ、端部が移動側レール2の上方向の外側に突出する、横向き略L字型の連結用支持部材61と、一端が連結用支持部材61の突出側の上端部に回動自在に枢止され、他端に圧接子8が回動自在に設けられた回動腕62と、回動腕62に回動力を付与するバネ63より構成されている。
【0034】
連結用支持部材61は、移動側レール2の基板22の後端部内面に連結され後端部が基板22の収納側端部後方に突出する連結用突片611と、連結用突片611の後端から上方に向かって突出し、上端部が移動側レール2の外側に位置する回動腕支持突片612より形成され、回動腕支持突片612の上端部には連結用枢軸610の取り付け孔613と、バネ63の一端を係止するバネ係止突起614が設けられている。
【0035】
回動腕62は、一端が前記回動腕支持突片612の取り付け孔613に連結用枢軸610、連結用枢軸610に外嵌し、バネ63に内嵌する内筒600、及び、バネ63を介して、回動自在に一端が連結され、他端に圧接子8が回転自在に設けられた、移動側レール2の上下折曲縁21、21間よりやや長い長さに形成され、回動腕62の上端部には、バネ係止突起614に対応して、バネ63の他端を係止するバネ端部係止突起621が形成されている。
【0036】
バネ63は実施例では巻きバネが採用されており、バネ係止突起614に一端が係止され、他端がバネ端部係止突起621に係止され、それぞれの端部が接近する方向に付勢されている。すなわち、回動腕62は、図4では後端部が下方に回動する方向(図3では、時計まわりの方向)に付勢された状態となっている。
【0037】
圧接子8は、実施例では、固定側レール1の上折曲縁11(引込み案内路7)の外形に一致する外形を有する回転ローラーで形成され、回動取付軸81、連結孔620にて、回動腕62に回転自在に連結されている。
すなわち、ばね63の付勢力が一定であれば、枢軸610(回動中心点)から圧接子8(回転ローラーの中心)までの長さが長い程、圧接子8が引込み案内路7に圧接する力が弱くなり、引込みスピードは緩やかとなる。
【0038】
本発明は上記の如く構成され、スライドレール100の最短収縮状態(図1図3図7図8に示す状態)では、圧接子8は、ばね63によって引込み案内路7の下端部に弾性的に圧接し、常に移動側レール2を収納側方向に移動するよう付勢しているので、移動側レール2は不用意に引き出し側に引き出されることがなく、スライドレール100の最短収縮状態を確実に維持することが出来る。
【0039】
そして、この状態から、移動側レール2が引き出されると、ばね63の付勢力に抗して回動腕62は、図3で反時計廻りに回動しながら、移動側レール1と共に前方に移動し、圧接子8は案内路7から固定側レール1の上折曲縁11の外面後端部に位置する。この時、圧接子8の圧接方向が引込み案内路7の形状変化によって、初期抵抗よりは小さな抵抗で移動側レール2は前方に移動し、次に、圧接子8は固定側レール1の上折曲縁11に位置し、ばね63の付勢力による抵抗はほとんどなくなった状態で移動側レール1は最大伸長状態まで引き出される。
【0040】
すなわち、移動側部材の引き出し始めは、使用者が強めの感覚で引き出す傾向があるのを利用し、引込み案内路7を円弧状とすることで、円滑な摺動感覚を得ることが出来るだけでなく、案内路7、固定側レール1の上折曲縁11が同形で連続して一体に形成されているので、微妙な段差もなく、圧接子8が、引込み案内路7から上折曲縁11にそれぞれ移動する段階(逆の段階でも同じ。)においても何ら違和感を生じることがない。
又、スライドレール100の最短収縮状態で、圧接子8は円弧状の下向き方向の端部に圧接しているので、スライドレール100の最短収縮状態を確実に維持する事が出来る。
【0041】
そして、スライドレール100の最大伸長状態から、移動側レール2を押し込んでいくと(移動側レール2と連結された移動側部材を収納していくと)、圧接子8は、固定側レール1の上折曲縁11の後端から引込み案内路7に位置し、ばね63の付勢力によって、移動側レール2は自動的に引込まれていく。
そして、ばねの両端部が順次接近することでばね63の付勢力が弱まるが、引込み案内路7の収納側端部は下向きに突出する形状となっているので、圧接子8の圧接方向がスライドレール100の摺動方向となり、ばね63の付勢力の弱まりを補い、確実に最短縮小状態を維持する。
【0042】
さらに、回動腕62を、ほぼ水平姿勢からほぼ垂直姿勢の範囲で回動可能に配設しているので、圧接子8は、上下方向からスライド方向に順次移動できるから、引き込み案内路7がスライド方向に短くても、引き込みストロークを長く構成することができるので、スライドレール全体の長さを大きくしなくても、必要なスライドストロークを得ることができる。
【0043】
次に、第2実施例を図9から図14に基づいて説明する
符号100は本発明の第2実施例のスライドレールを示し、スライドレール100は固定側レール1と、ボール50・・・を回転自在に保持する移動側ボール保持板5を介して固定側レール1と互いに摺動自在となした移動側レール2と、移動側レール2の後端部に取り付けられた引込み部材6と、引込み部材6に対応して、固定側レール1に設けられた引込み案内路7より構成されている。
以下、図9において左側斜め下方向を引き出し側(先端側)、右側斜め上方向を収納側(後端側)として説明する。
【0044】
固定側レール1は金属製の細長条板の短手両端部を外向き円弧状に折り曲げて、外面長手方向(摺動方向)にボール案内溝を有する上下折曲縁11、11と基板12からなる断面略C字形に形成されている。
そして、基板12の引き出し側前部に一部を移動側レール2方向に突出させて移動側レール2が引き出された状態で、移動側ボール保持板5の後端部が当接するボール保持板後端部ストッパー(図示せず。)が形成されている。
又、引き込み部材6に対応して固定側レール1の上折曲縁11の後端部を円弧状に折曲げて、上折曲縁11と一体的に連続する引き込み案内路7が形成されている。
【0045】
移動側レール2は、固定側レール1とほぼ同等の長さで、金属製の細長条板の短手両端部を内向き円弧状に折り曲げて形成された内面長手方向(摺動方向)にボール案内溝を有する上下折曲縁21、21と、基板22より断面略C字形に形成されている。
そして、基板22の引き出し側端部には、前記固定側レール1方向に突出し、移動側レール2の収納時に固定側レール1の前端に当接する移動側レール収納時ストッパーが形成され、基板22の収納側端部には、スライドレール100の最大伸長状態で移動側ボール保持板5の一部に当接する移動側レール後端ストッパー(図示せず。)が形成されている。
【0046】
移動側ボール保持板5は、帯条金属板にて固定側レール1、移動側レール2間に挿入可能な大きさで、かつ、固定側レール1の略3分の1程度の長さで、基板51と、固定側レール1と移動側レール2の上下の折曲縁11、11、21、21間に突出する基板51の上下端部に連設された上下の折曲片52、52からなり、上下の両折曲片52、52の摺動方向の数箇所に複数個のボール50・・・を回転自在に保持している。
【0047】
引込み案内路7は、固定側レール1の上折曲縁11の後端側所定位置から、移動側レール2を引き込む方向に固定側レール1の基板12から後方に突出する上折曲縁11を順次円弧状に変形させた形状で、固定側レール1の上折曲縁11と断面同形で、上折曲縁11に連続して上折曲縁11と一体に形成されている。
【0048】
すなわち、固定側レール1の上折曲縁11を残して、基板12と下折曲縁11の後端部を、前後方向に所定寸法切り落して加工用切り落とし部71が形成された後、残った固定側レール1の上折曲縁11を円弧状に変形させて、固定側レールの上折曲縁11の外形と同形で、上折曲縁11の後端に連続して上折曲縁11と一体に形成されたものである。
【0049】
引き込み部材6は、移動側レール2の基板21の外面に取り付けられ、収納側端部が移動側レール2の上方の外側に突出する連結用支持部材61と、一端が連結用支持部材61の突出側の端部に回動自在に枢止され、他端に圧接子8が回動自在に設けられた回動腕62と、回動腕62に回動力を付与するバネ63より構成されている。
【0050】
連結用支持部材61は、移動側レール2の基板22の収納側端部外面に連結される連結用基板611と、連結用基板611の収納側端部上端から収納側に向かって突出し、収納側端部が移動側レール2の外側に位置する回動腕支持突部612より形成され、回動腕支持突部612には枢軸610の取り付け孔が形成され、連結用基板611の引き出し側には、バネ63の一端を保持するバネ保持突起614が設けられている。
【0051】
回動腕62は、一端が前記回動腕支持突部612の付け孔に枢軸610を介して、回動自在に一端が連結され、他端に圧接子8が回転自在に設けられた、移動側レール2の上下折曲縁21、21間よりやや長い長さに形成され、回動腕62のやや下端部には、バネ保持突起614に対応して、バネ63の他端を保持するバネ端部保持突起621が形成されている。
【0052】
バネ63は第2実施例では引っ張りバネが採用されており、バネ保持突起614に一端が保持され、他端がバネ端部保持突起621に保持され、それぞれの端部が接近する方向に付勢されている。すなわち、回動腕62は、図14では収納側端部が下方に回動する方向(図11では、半時計まわりの方向)に付勢された状態となっている。
【0053】
圧接子8は、実施例では、固定側レール1の上折曲縁11(引込み案内路7)の外形に一致する外形を有する回転ローラーで形成され、回動取付軸81、連結孔にて、回動腕62に回転自在に連結されている。
【0054】
第2実施例は上記のごとく構成され、スライドレール100の最短収縮状態(図9図10図11図12)では、圧接子8は、ばね63によって引込み案内路7の下端部に弾性的に圧接し、常に移動側レール2を収納側方向に移動するよう付勢しているので、移動側レール2は不用意に前方に引き出されることがなく、スライドレール100の最短収縮状態を確実に維持することが出来る。
【0055】
そして、この状態から、移動側レール2が引き出されると、ばね63の付勢力に抗して回動腕62は、図10で反時計廻りに回動しながら、移動側レール1と共に前方に移動し、圧接子8は案内路7から固定側レール1の上折曲縁11の外面後端部に位置する。(図14に示す状態。)この時、圧接子8の圧接方向が引込み案内路7の形状変化によって、初期抵抗よりは小さな抵抗で移動側レール2は前方に移動し、次に、圧接子8は固定側レール1の上折曲縁11に位置し、ばね63の付勢力による抵抗はほとんどなくなった状態で移動側レール1は最大伸長状態まで引き出される。
【0056】
すなわち、移動側部材の引き出し始めは、使用者が強めの感覚で引き出す傾向があるのを利用し、引込み案内路7を円弧状とすることで、円滑な摺動感覚を得ることが出来るだけでなく、案内路7、固定側レール1の上折曲縁11が同形で連続して一体に形成されているので、微妙な段差もなく、圧接子8が、引込み案内路7から上折曲縁11にそれぞれ移動する段階(逆の段階でも同じ。)においても何ら違和感を生じることがない。
又、スライドレール100の最短収縮状態で、圧接子8は円弧状の下向き方向の端部に圧接しているので、スライドレール100の最短収縮状態を確実に維持する事が出来る。
【0057】
そして、スライドレール100の最大伸長状態から、移動側レール2を押し込んでいくと(移動側レール2と連結された移動側部材を収納していくと)、圧接子8は、固定側レール1の上折曲縁11の後端から引込み案内路7に位置し、ばね63の付勢力によって、移動側レール2は自動的に引込まれていく。
そして、ばねの両端部が順次接近することでばね63の付勢力が弱まるが、引込み案内路7の収納側端部は下向きに突出した形状であるから、圧接子8の圧接方向がスライドレール100の摺動方向となり、ばね63の付勢力の弱まりを補い、確実に最短縮小状態を維持する。
【0058】
さらに、回動腕62を、ほぼ水平姿勢からほぼ垂直姿勢の範囲で回動可能に配設しているので、圧接子8は、上下方向からスライド方向に順次移動できるから、引き込み案内路7がスライド方向に短くても、引き込みストロークを長く構成することができるので、スライドレール全体の長さを大きくしなくても、必要なスライドストロークを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上詳述したように、本発明は、家具等の本体と引出し間、あるいは陳列棚本体と棚板間、さらには、複写機本体と給紙トレー間に取り付けて使用することができ、広範囲で利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 固定側レール
11、11 上下折曲縁
100 スライドレール
2 移動側レール
21、21 上下折曲縁
6 引込み部材
61 連結用支持部材
62 回動腕
63 ばね(巻きばね)
7 引込み案内路
8 圧接子(回転ローラー)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14