特許第6821285号(P6821285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許68212853層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6821285
(24)【登録日】2021年1月8日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/409 20210101AFI20210114BHJP
【FI】
   H01M2/16 L
   H01M2/16 P
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-66969(P2020-66969)
(22)【出願日】2020年4月2日
【審査請求日】2020年4月2日
(31)【優先権主張番号】202010140837.1
(32)【優先日】2020年3月3日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520117754
【氏名又は名称】武漢恵強新能源材料科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】王 紅兵
(72)【発明者】
【氏名】唐 浩林
(72)【発明者】
【氏名】辺 紅兵
【審査官】 森 透
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第104868080(CN,A)
【文献】 特開2019−089877(JP,A)
【文献】 特開2010−194967(JP,A)
【文献】 特開2012−015073(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第109742296(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第107732100(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第107331822(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第107316964(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104979513(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/16
H01M 10/05−10/0587
H01G 11/52
H01G 11/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
S1:まず2種類の異なるポリプロピレン樹脂を各々2個の異なる押出機の供給口に加え、溶融し可塑化させる工程(ここで、供給域の温度は、60〜70℃、圧縮域の温度が150〜200℃、計量域の温度が200〜230℃、回転数が100〜250rpmである)と、
S2:S1での溶融可塑化後に得られた2種類の異なるポリプロピレン樹脂を、3層共押出鋳造機の3層複合キャストダイから同時に共押出し、高倍率延伸比でフィルムとして延伸し、A/B/A3層共押出構造を有するキャストフィルムを得る工程と、
S3:上記A/B/A3層共押出構造を有するキャストフィルムをアニールボックスに入れ、アニール処理(アニール処理の温度:130〜150℃、時間:1〜24時間)を行う工程と、
S4:上記アニール処理後のキャストフィルムを縦方向に冷延伸、熱延伸し、多孔質膜構造を形成させ、微細孔構造およびA/B/A3層共押出構造を有するセパレータ(29)を製造し、最後に得られた多孔質膜を熱硬化させた後室温まで冷却する工程と、
を含む3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法であって、
前記ポリプロピレン樹脂は、ホモポリマーおよび融点が150°Cを超えるコポリマーから選択され、
S3内で使用されるアニールボックスは、ボックス本体(1)と、モータ(2)と、密封蓋(3)と、を含み、前記ボックス本体(1)が直方体構造の設計であり、前記ボックス本体(1)の内部に空洞が設けられ、前記ボックス本体(1)の内表面に均一に配置された加熱板(11)が固結され;前記ボックス本体(1)内部の前後方向に主動軸(21)が水平に設けられ、
前記ボックス本体(1)内部の主動軸(21)の左側に第1従動軸(22)が設けられ、前記ボックス本体(1)内部の主動軸(21)の右側に第2従動軸(23)が設けられ、前記主動軸(21)、前記第1従動軸(22)および前記第2従動軸(23)はいずれも軸受を介して前記ボックス本体(1)と回転可能に連結されており、前記第1従動軸(22)および前記第2従動軸(23)の前端面が前記ボックス本体(1)を貫通してボックスの外部に延び、前記ボックス本体(1)の前端面にパワーボックスカバー(24)が固結され、
前記パワーボックスカバー(24)の前端面にモータ(2)が固結され、前記モータ(2)の出力軸は前記パワーボックスカバー(24)を挿通して前記パワーボックスカバー(24)の内部まで延び、かつ前記モータ(2)の出力軸と前記主動軸(21)の前端面とが固結され、前記モータ(2)の前記ボックス本体(1)との接続面に近い前記モータ(2)出力軸の外円弧面の位置に駆動歯車(25)が固結され、前記ボックス本体(1)の前方位置にある前記第2従動軸(23)の外円弧面に従動歯車(26)が固結され、前記駆動歯車(25)と前記従動歯車(26)とが互いに噛み合うように配置され、前記ボックス本体(1)の前端面に近い前記モータ(2)の出力軸の外円弧面の位置に主動回転板が固結され、前記従動歯車(26)の前端面に近い前記第1従動軸(22)の外円弧面の位置に従動回転板が固結され、前記主動回転板と前記従動回転板との間に伝動ベルト(27)が連結され、
前記主動軸(21)と前記第1従動軸(22)との間には、前記ボックス本体(1)の内部位置で、前記セパレータよりも優れた熱伝導性をもつ中間膜(28)が巻き付けられ、前記中間膜(28)が水平に接続され、前記主動軸(21)と前記第2従動軸(23)との間には、巻き付け済みの前記中間膜(28)の上から前記セパレータ(29)が巻き付けられ、前記セパレータ(29)が斜めに接続され、
前記ボックス本体(1)の右上の縁端部に開口部が設けられ、前記ボックス本体(1)の開口部に密閉扉(12)が設けられ、前記ボックス本体(1)の前端面に近い前記ボックス本体(1)左側の側面に制御ボックス(13)が固結されることを特徴とする、3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法。
【請求項2】
前記第1従動軸(22)および前記第2従動軸(23)の外円弧面に回転可能に連結された嵌め輪(36)が設けられ、前記セパレータ(29)および前記中間膜(28)は、いずれも対応する前記嵌め輪(36)の外円弧面に巻回され、対応する前記嵌め輪(36)位置の前記第1従動軸(22)および前記第2従動軸(23)の外円弧面に段付き溝がいずれも設けられ、前記段付き溝の溝底に調整溝が設けられ、前記調整溝の内部に調整板(37)が設けられ、前記調整板(37)および対応する前記嵌め輪(36)の対向側の側面はいずれも粗い表面構造で設計されることを特徴とする、請求項1に記載の3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法。
【請求項3】
前記調整板(37)と対応する前記調整溝との間はヒンジで連結され、前記調整板(37)と対応する前記調整溝両側の側面との間にバネ(38)が接続され、前記調整板(37)における前記嵌め輪(36)の内弧面位置に線状溝が設けられ、前記調整板(37)が線状溝に着接され、前記嵌め輪(36)の小径は、前記第1従動軸(22)または前記第2従動軸(23)の外径より大きく、対応する前記嵌め輪(36)の両端面に近い前記第1従動軸(22)および前記第2従動軸(23)の位置にガイド溝が設けられ、対応する前記ガイド溝における前記嵌め輪(36)の位置が凸ガイド構造で設計され、前記第1従動軸(22)および前記第2従動軸(23)の対応する前記ガイド溝の反対側の円弧面に均一に配置された転動溝が設けられ、前記転動溝の内部に転動されるボール(39)があり、前記ボール(39)と対応するガイド溝の溝底との間が転動されることを特徴とする、請求項2に記載の3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法。
【請求項4】
前記中間膜(28)の材料が熱伝導性グラファイトフィルム材料で設計されることを特徴とする、請求項1に記載の3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法。
【請求項5】
前記主動軸(21)、前記第1従動軸(22)および前記第2従動軸(23)の内部には、前後方向に熱伝導孔が穿設され、
前記熱伝導孔の内部に高圧熱蒸気を導入する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法。
【請求項6】
前記ボックス本体(1)の上表面に2つの温調穴が穿設され、左側の前記温調穴の上方に配管を通じて凝縮器(31)が接続され、前記凝縮器(31)は前記ボックス本体(1)の左側の側面に固結され、右側の前記温調穴の上方位置に排気風道(32)が固結され、前記排気風道(32)の内部に羽根(33)に回転可能に連結されることを特徴とする、請求項1に記載の3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法。
【請求項7】
前記排気風道(32)の外円弧面に前記密封蓋(3)がねじ込まれることを特徴とする、請求項6に記載の3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法。
【請求項8】
前記排気風道(32)の上表面に環状シール溝が設けられ、前記シール溝の内部にシールリング(34)が固結され、前記密封蓋(3)の内部に断熱キャビティが設けられ、前記断熱キャビティの内部にエアロゲルフェルト(35)が設けられることを特徴とする、請求項7に記載の3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池用セパレータ技術分野に関し、特に、3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セパレータは、リチウムイオン電池において正極と負極を分離し、電子伝導性を遮断し、リチウムイオン伝導の通路を形成する役割を担い、リチウム電池内の界面構造、内部抵抗、容量、サイクル特性、特に、安全性能を決定する重要な材料である。
過充電/過放電または他の極端な条件下で、リチウム電池内部の温度が急激に上昇し、電池内部の温度がセパレータ多孔質体の融点に近づくと、多孔質体が軟化すると共に孔閉塞挙動が発生し、これによりイオン伝導が遮断され、シャットダウンをし、安全保護を働かせる。
しかしながら、単層材質のセパレータは、孔閉塞温度と溶融温度が同じであるためセパレータが孔を閉塞している間、温度が急激に上昇するため反応が悪く、容易に破膜を招くため、電池の正極・負極が直接接触して短絡および爆発してしまう。
【0003】
同時に従来技術において、ロール状構造のセパレータの巻芯は、アニール処理中、容易に不均一な受熱および冷却を引き起こすことで、セパレータの品質を低下させ、さらに品質合格基準に満たないという現象が起き、かつアニール処理プロセスは規定された時間範囲内での正確な温度変化が要求され、室温による冷却だけに依存すると加工要求を満たすことが難しく、同時に該セパレータの加工工場が夏季または冬季の時、温度の大きな変化があるため、これら外部環境の変化がセパレータ生産に著しく影響を与えるなどの問題が生じていた。
【0004】
当社は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法を設計開発し、特殊なアニールボックスを使用することで上記技術的課題を解決した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術の欠点を補い、従来技術において、ロール状構造のセパレータの巻芯は、アニール処理中、容易に不均一な受熱および冷却を引き起こすことで、セパレータの品質を低下させ、さらに品質合格基準に満たないという現象が起き、かつアニール処理プロセスは規定された時間範囲内での正確な温度変化が要求され、室温による冷却だけに依存すると加工要求を満たすことが難しく、同時に該セパレータの加工工場が夏季または冬季の時、温度の大きな変化があるため、これら外部環境の変化がセパレータ生産に著しく影響を与えるなどの問題を解決するため、3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その技術的課題を解決するために本発明の3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法は、以下の構成を有する。すなわち、以下の工程を順次含む電池用セパレータの製造方法である。
【0007】
S1:まず2種類の異なるポリプロピレン樹脂を各々2個の異なる押出機の供給口に加え、溶融し可塑化させる工程(ここで、供給域の温度は、60〜70℃、圧縮域の温度が150〜200℃、計量域の温度が200〜230℃、回転数が100〜250rpmである)、
S2:S1での溶融可塑化後に得られた2種類の異なるポリプロピレン樹脂を、3層共押出鋳造機の3層複合キャストダイから同時に共押出し、高倍率延伸比でフィルムとして延伸し、A/B/A3層共押出構造を有するキャストフィルムを得る工程、
S3:上記A/B/A3層共押出構造を有するキャストフィルムをアニールボックスに入れ、アニール処理(アニール処理の温度:130〜150℃、時間:1〜24時間)を行う工程、および
S4:上記アニール処理後のキャストフィルムを縦方向に冷延伸、熱延伸し、多孔質膜構造を形成させ、微細孔構造およびA/B/A3層共押出構造を有するセパレータを製造し、最後に得られた多孔質膜を熱硬化させた後室温まで冷却する工程。
【0008】
S3内で使用されるアニールボックスは、ボックス本体と、モータと、密封蓋と、を含む。
【0009】
前記ボックス本体は直方体構造の設計であり、前記ボックス本体の内部に空洞が設けられ、前記ボックス本体の内表面に加熱板が均一に配置されて固結される。
【0010】
前記ボックス本体内部の前後方向に主動軸が水平に設けられ、前記ボックス本体内部の主動軸の左側に第1従動軸が設けられ、前記ボックス本体内部の主動軸の右側に第2従動軸が設けられ、前記主動軸、第1従動軸および第2従動軸はいずれも軸受を介してボックス本体と回転可能に連結されており、第1従動軸および第2従動軸の前端面がボックス本体を貫通してボックスの外部に延びる。
【0011】
前記ボックス本体の前端面にパワーボックスカバーが固結され、前記パワーボックスカバーの前端面にモータが固結され、前記モータの出力軸はパワーボックスカバーを挿通してパワーボックスカバーの内部まで延び、かつモータの出力軸と主動軸の前端面とが固結され、モータフランジ面に近い前記モータ出力軸の外円弧面の位置に駆動歯車が固結され、ボックス本体の前方位置にある前記第2従動軸の外円弧面に従動歯車が固結され、駆動歯車と従動歯車とが互いに噛み合うように配置され、ボックス本体の前端面に近い前記モータの出力軸の外円弧面の位置に主動回転板が固結され、従動歯車の前端面に近い前記第1従動軸の外円弧面の位置に従動回転板が固結され、前記主動回転板と従動回転板との間に伝動ベルトが連結される。
【0012】
前記主動軸と第1従動軸との間には、ボックス本体の内部位置で中間膜が巻き付けられ、該中間膜は水平に接続され、前記主動軸と第2従動軸との間には、ボックス本体の内部位置でセパレータが巻き付けられ、該セパレータは斜めに接続される。
【0013】
前記ボックス本体の右上の縁端部に開口部が設けられ、前記ボックス本体の開口部に密閉扉が設けられ;ボックス本体の前端面に近い前記ボックス本体左側の側面に制御ボックスが固結される。
【0014】
動作時に、セパレータのアニール処理する必要がある場合、スペースを節約するために、セパレータが往々にしてロール状構造にされるが、ロール状構造は容易にセパレータの不均一な加熱と冷却を引き起こすことで、品質を低下させ、さらに品質合格基準に満たないという問題が起き、かつアニール処理プロセスは規定された時間範囲内での正確な温度変化が要求され、室温による冷却だけに依存すると加工要求を満たすことが難しく、同時に該セパレータの加工工場が夏季または冬季の時、温度の大きな変化があるため、これら外部環境の変化がセパレータ生産に著しく影響を与える。
【0015】
環境変化がセパレータの生産に与える影響を軽減し、セパレータ品質の安定性を確保するために、アニールボックスを用いる。
【0016】
まず密閉扉を開き、セパレータを第2従動軸に巻き付けてからセパレータの端部を主動軸に挿入させ、巻き付け済みの中間膜の上から主動軸と第1従動軸との間に巻き付けてセパレータと中間膜との同期巻回を実現し、その後密閉扉を閉じ、電源を入れ、まず電源で加熱板を加熱することにより、ボックス本体の内部温度を上昇させてからモータを起動させ、モータ出力軸の回転により、一方で主動軸を回転させ、他方で主動回転板を介して伝動ベルトを運動させることで、従動回転板を回転させ、第1従動軸が同じ方向に回転されるのを実現し、同時にモータ出力軸の回転により、駆動歯車を回転させ、駆動歯車がさらに従動歯車を回転させ、従動歯車がさらに第2従動軸を逆方向に回転させ、したがってセパレータと中間膜の同期巻き付けと分離を実現できる。
【0017】
中間膜はセパレータより優れた熱伝導性を持つため、セパレータの均一な受熱を確保でき、かつモータの正逆回転を通じて、主動軸と第2従動軸との間の巻回を実現でき、セパレータの急速な受熱および均一な冷却を効果的に確保し、3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法および前記方法内で使用されるアニールボックスを通じて、従来技術において、ロール状構造のセパレータの巻芯は、アニール処理中、容易に不均一な受熱および冷却を引き起こすことで、セパレータの品質を低下させ、さらに品質合格基準に満たないという現象が起き、かつアニール処理プロセスは規定された時間範囲内での正確な温度変化が要求され、室温による冷却だけに依存すると加工要求を満たすことが難しく、同時に該セパレータの加工工場が夏季または冬季の時、温度の大きな変化があるため、これら外部環境の変化がセパレータ生産に著しく影響を与えるなどの問題を解決し、アニール温度の制御可能を実現し、外部環境から隔離され、セパレータに対する外部環境の影響を防止し、セパレータの均一な受熱を確保するため、生産されたセパレータの品質が安定し、大規模で迅速な生産要求にも応えらえるようになる。
【0018】
好ましくは、前記第1従動軸および第2従動軸の外円弧面に回転可能に連結された嵌め輪が設けられ、前記セパレータおよび中間膜は、いずれも対応する嵌め輪の外円弧面に巻回され、対応する嵌め輪位置の前記第1従動軸および第2従動軸の外円弧面に段付き溝がいずれも設けられ、前記段付き溝の溝底に調整溝が設けられ、前記調整溝の内部に調整板が設けられ、前記調整板および対応する嵌め輪の対向側の側面はいずれも粗い表面構造で設計される。
【0019】
動作時、第1従動軸および第2従動軸が回転すると、中間膜およびセパレータが巻回されることや、表面に巻かれた中間膜およびセパレータを主動軸の表面へ移行しながら巻回したりし、セパレータの主動軸と第2従動軸との間の交互巻回を実現する。
【0020】
アニール処理の原因により、ボックス本体内の高温がセパレータを、ある程度軟化または収縮させ、これはキャストフィルムで縦方向の冷延伸、熱延伸の後工程で処理し、アニール処理や巻き付けプロセス中のセパレータの自然なサイズへの影響、またはセパレータの受熱収縮により、主動軸と第2従動軸との間のセパレータの引張応力が増加する問題を減らすため、嵌め輪と調整板を設けることにより、セパレータが嵌め輪の表面に巻き付けられると、セパレータの収縮が嵌め輪に対し接線張力が生じる。
【0021】
第2従動軸と嵌め輪との間に調整板が設けられ、調整板および対応する嵌め輪の対向側の側面はいずれも粗い表面構造で設計され、セパレータの収縮で生じた接線張力が調整板と対応する嵌め輪との間の摩擦力より大きい場合、嵌め輪と第1従動軸または第2従動軸との間の相対的な回転を発生させ、セパレータ収縮で生じた接線引張応力の解放を実現し、過度の収縮応力がセパレータの品質に影響を与えることを防止できる。
【0022】
好ましくは、前記調整板と対応する調整溝との間はヒンジで連結され;前記調整板と対応する調整溝両側の側面との間にバネが接続され;調整板における前記嵌め輪の内弧面位置に線状溝が設けられ、調整板が線状溝に着接され;前記嵌め輪の小径は、第1従動軸または第2従動軸の外径より大きく;対応する嵌め輪の両端面に近い前記第1従動軸および第2従動軸の位置にガイド溝が設けられ、対応するガイド溝における前記嵌め輪の位置が凸ガイド構造で設計され;前記第1従動軸および第2従動軸の対応するガイド溝の反対側の円弧面に均一に配置された転動溝が設けられ、前記転動溝の内部に転動されるボールがあり、ボールと対応するガイド溝の溝底との間が転動される。
【0023】
動作時、調整板と嵌め輪との間の摩擦力によりセパレータ収縮応力の自動解放の調整を実現する場合、一方では長期使用するため、嵌め輪と調整板の粗い表面が大きく摩耗されることで、摩擦係数が変化し、セパレータおよび中間膜の正常巻回過程で容易に嵌め輪と第1従動軸または第2従動軸との間の相対的な回転を生じさせ、アニールボックスの正常使用に影響を与え、もう一方で、嵌め輪は第1従動軸または第2従動軸と直接接触しており、接触面が大きくなると摩擦が大きくなり、調整板の通常の調整に対する干渉が大きくなるため、バネおよびボールの設置を介して、調整板のヒンジ連結およびバネの付勢力により、通常の状態で調整板は線状溝のいずれかに位置し、嵌め輪に対するセパレータあるいは中間膜の接線張力が大きい場合、調整板を回転させ、バネを変形させ、調整板の回転量が大きい場合、隣接する線状溝内に移動し、嵌め輪と第1従動軸または第2従動軸との間の相対的な回転の調整を実現し、かつ調整に対する回転接触面の影響を効果的に軽減させるため、ガイド溝を設け、嵌め輪がガイド溝内に回転可能に連結され、嵌め輪とガイド溝の溝底との間にボールを設けることにより、嵌め輪と第1従動軸と第2従動軸との間を回転可能に連結することを実現し、摩擦力を大幅に低下し、調整の精度も上がる。
【0024】
好ましくは、前記中間膜の材料が熱伝導性グラファイトフィルム材料で設計され;動作時、中間膜として熱伝導性グラファイトフィルム材料を使用し、その熱伝導や放熱の効果が良く、一般的な熱伝導材料と比べ、ボックス本体内の温度をロール状セパレータの巻芯内部に速やかに導入でき、セパレータの迅速かつ均一な受熱が実現され、同じロールのセパレータの品質の一貫性および安定性を確保できる。
【0025】
好ましくは、前記主動軸、第1従動軸および第2従動軸の内部には、前後方向に熱伝導孔が穿設され、前記熱伝導孔の内部に高圧熱蒸気を導入し;動作時、熱伝導材料は、伝導過程である程度の熱エネルギー損失および時間周期があり、セパレータの巻芯の受熱をさらに促進するため、主動軸、第1従動軸および第2従動軸の内部に熱伝導孔を穿設し、熱伝導孔の内部に高圧熱蒸気を導入することにより、迅速にセパレータおよび中間膜の内部を加熱でき、巻芯の迅速な受熱を確保できる。
【0026】
好ましくは、前記ボックス本体の上表面に2つの温調穴が穿設され、左側の前記温調穴の上方に配管を通じて凝縮器が接続され、凝縮器はボックス本体の左側の側面に固結され、右側の前記温調穴の上方位置に排気風道が固結され;前記排気風道の内部に羽根に回転可能に連結される。動作時、アニール処理の要件により、ボックス本体の内部温度をゆっくりと下げる必要がある。ボックス本体内部が密閉で、放熱に不利であるため、排気風道および羽根を設け、羽根の回転数を調整することによりボックス内の温度を要件に従い放熱でき、同時に凝縮器を設けることにより、一方で温度を迅速に下げることで、急速冷却製品類の要件を満たすことができ、同時に夏季の生産条件下で温度が比較的高く、温度を指定された温度範囲まで下げることを確保でき、アニール処理の要件を満たすことができる。
【0027】
好ましくは、前記排気風道の外円弧面に密封蓋がねじ込まれる。動作時、加熱板の加熱過程で、ボックス本体の上方に穿設された温調穴は、開放式であるため、ボックス本体内の急速な昇温および保温性に不利となり、したがって排気風道の外円弧面に密封蓋をねじ込み、密封蓋によりボックス本体を効果的に密封できる。
【0028】
好ましくは、前記排気風道の上表面に環状シール溝が設けられ、前記シール溝の内部にシールリングが固結され、前記密封蓋の内部に断熱キャビティが設けられ、前記断熱キャビティの内部にエアロゲルフェルトが設けられる。動作時、密封蓋の気密性および断熱性をさらに確保するため、排気風道の上表面に環状シール溝を設けると、環状シール溝内のシールリングを通じて、密封蓋の有効な気密性を確保し、密封蓋の断熱キャビティ内にエアロゲルフェルトを設けることにより、密封蓋位置の断熱性を確保し、ボックス本体内部の熱放散を低減する。
【発明の効果】
【0029】
1.本発明の3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法によれば、前記方法で使用されるアニールボックスは、ボックス本体、モータおよび密封蓋が設けられ、ボックス本体の内表面に均一に配置された加熱板が固結され、ボックス本体内部の前後方向に主動軸が水平に設けられ、ボックス本体内部の主動軸の左側に第1従動軸が設けられ、ボックス本体内部の主動軸の右側に第2従動軸が設けられ、主動軸と第1従動軸との間には、ボックス本体の内部位置で中間膜が巻き付けられ、中間膜が水平に接続され;主動軸と第2従動軸との間には、ボックス本体の内部位置でセパレータが巻き付けられ、セパレータが斜めに接続される。
【0030】
3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法および前記方法内で使用されるアニールボックスを通じて、従来技術において、ロール状構造のセパレータの巻芯は、アニール処理中、容易に不均一な受熱および冷却を引き起こすことで、セパレータの品質を低下させ、さらに品質合格基準に満たないという現象が起き、かつアニール処理プロセスは規定された時間範囲内での正確な温度変化が要求され、室温による冷却だけに依存すると加工要求を満たすことが難しく、同時に該セパレータの加工工場が夏季または冬季の時、温度の大きな変化があるため、これら外部環境の変化がセパレータ生産に著しく影響を与えるなどの問題を解決し、アニール温度の制御可能を実現し、外部環境から隔離され、セパレータに対する外部環境の影響を防止し、セパレータの均一な受熱を確保するため、生産されたセパレータの品質が安定し、大規模で迅速な生産要求にも応えらえるようになる。
【0031】
2.本発明の一実施形態による3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法によれば、前記方法で使用されるアニールボックスは、ボックス本体の上表面に2つの温調穴が穿設され、左側の温調穴の上方に配管を通じて凝縮器が接続され、凝縮器はボックス本体の左側の側面に固結され、右側の温調穴の上方位置に排気風道が固結され;排気風道の内部に羽根に回転可能に連結され、排気風道の外円弧面に密封蓋がねじ込まれ;したがって、排気風道および羽根を設け、羽根の回転数を調整することによりボックス内の温度を要件に従い放熱でき、同時に凝縮器を設けることにより、一方で温度を迅速に下げることで、急速冷却製品類の要件を満たすことができ、同時に夏季の生産条件下で温度が比較的高く、温度を指定された温度範囲まで下げることを確保でき、アニール処理の要件を満たすことができ、同時に排気風道の外円弧面に密封蓋をねじ込み、密封蓋によりボックス本体を効果的に密封し、ボックス本体内部の迅速な昇温および保温性を確保できる。
【0032】
以下、添付図面を参照しつつ本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の方法のフローチャートである。
図2】本発明で使用されるアニールボックスの外観図である。
図3】本発明で使用されるアニールボックスの立体図である。
図4】本発明で使用されるアニールボックスの上面図である。
図5図3内の部位Aの部分的拡大図である。
図6】本発明で使用されるアニールボックスの第2従動軸立体図である。
図7図6内のB−B線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明によって達成される技術的手段、創造的な特徴、達成する目的および効果を容易に理解してもらうため、具体的実施形態を参照しつつ本発明をさらに説明する。
【0035】
図1乃至図7を参照すると、本発明の3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法は、以下の工程を含む:
S1:まず2種類の異なるポリプロピレン樹脂を各々2個の異なる押出機の供給口に加え、溶融し可塑化させる工程(ここで、供給域の温度は、60〜70℃、圧縮域の温度が150〜200℃、計量域の温度が200〜230℃、回転数が100〜250rpmである)、
S2:S1での溶融可塑化後に得られた2種類の異なるポリプロピレン樹脂を、3層共押出鋳造機の3層複合キャストダイから同時に共押出し、高倍率延伸比でフィルムとして延伸し、A/B/A3層共押出構造を有するキャストフィルムを得る工程、
S3:上記A/B/A3層共押出構造を有するキャストフィルムをアニールボックスに入れ、アニール処理(アニール処理の温度:130〜150℃、時間:1〜24時間)を行う工程、および
S4:上記アニール処理後のキャストフィルムを縦方向に冷延伸、熱延伸し、多孔質膜構造を形成させ、微細孔構造およびA/B/A3層共押出構造を有するセパレータ29を製造し、最後に得られた多孔質膜を熱硬化させた後室温まで冷却する工程。
【0036】
S3内で使用されるアニールボックスは、ボックス本体1と、モータ2と、密封蓋3と、を含む。前記ボックス本体1は直方体構造の設計であり、前記ボックス本体1の内部に空洞が設けられ、前記ボックス本体1の内表面に均一に配置された加熱板11が固結され;前記ボックス本体1内部の前後方向に主動軸21が水平に設けられ、前記ボックス本体1内部の主動軸21の左側に第1従動軸22が設けられ、前記ボックス本体1内部の主動軸21の右側に第2従動軸23が設けられ、前記主動軸21、第1従動軸22および第2従動軸23はいずれも軸受を介してボックス本体1と回転可能に連結されている。
【0037】
第1従動軸22および第2従動軸23の前端面はボックス本体1を貫通してボックスの外部に延び;前記ボックス本体1の前端面にパワーボックスカバー24が固結され、前記パワーボックスカバー24の前端面にモータ2が固結され、前記モータ2の出力軸はパワーボックスカバー24を挿通してパワーボックスカバー24の内部まで延び、かつモータ2の出力軸と主動軸21の前端面とが固結され;モータ2フランジ面に近い前記モータ2出力軸の外円弧面の位置に駆動歯車25が固結され;ボックス本体1の前方位置にある前記第2従動軸23の外円弧面に従動歯車26が固結され、駆動歯車25と従動歯車26とが互いに噛み合うように配置され;ボックス本体1の前端面に近い前記モータ2の出力軸の外円弧面の位置に主動回転板が固結され、従動歯車26の前端面に近い前記第1従動軸22の外円弧面の位置に従動回転板が固結され、前記主動回転板と従動回転板との間に伝動ベルト27が連結され;前記主動軸21と第1従動軸22との間には、ボックス本体1の内部位置で中間膜28が巻き付けられ、中間膜28が水平に接続され;前記主動軸21と第2従動軸23との間には、ボックス本体1の内部位置でセパレータ29が巻き付けられ、セパレータ29が斜めに接続され、前記ボックス本体1の右上の縁端部に開口部が設けられ、前記ボックス本体1の開口部に密閉扉12が設けられ;ボックス本体1の前端面に近い前記ボックス本体1左側の側面に制御ボックス13が固結される。
【0038】
動作時、セパレータ29のアニール処理する必要がある場合、スペースを節約するために、セパレータ29が往々にしてロール状構造にされるが、ロール状構造は容易にセパレータ29の不均一な加熱と冷却を引き起こすことで、品質を低下させ、さらに品質合格基準に満たないという問題が起き、かつアニール処理プロセスは規定された時間範囲内での正確な温度変化が要求され、室温による冷却だけに依存すると加工要求を満たすことが難しく、同時に該セパレータ29の加工工場が夏季または冬季の時、温度の大きな変化があるため、これら外部環境の変化がセパレータ29生産に著しく影響を与え、環境変化がセパレータ29の生産に与える影響を軽減し、セパレータ29品質の安定性を確保するために、アニールボックスを用いる。
【0039】
まず密閉扉12を開き、セパレータ29を第2従動軸23に巻き付けてからセパレータ29の端部を主動軸21に挿入させ、巻き付け済みの中間膜28の上から主動軸21と第1従動軸22との間に巻き付けてセパレータ29と中間膜28との同期巻回を実現し、その後密閉扉12を閉じ、電源を入れ、まず電源で加熱板11を加熱することにより、ボックス本体1の内部温度を上昇させてからモータ2を起動させ、モータ2出力軸の回転により、一方で主動軸21を回転させ、他方で主動回転板を介して伝動ベルト27を運動させることで、従動回転板を回転させ、第1従動軸22が同じ方向に回転されるのを実現し、同時にモータ2出力軸の回転により、駆動歯車25を回転させ、駆動歯車25がさらに従動歯車26を回転させ、従動歯車26がさらに第2従動軸23を逆方向に回転させ、したがってセパレータ29と中間膜28の同期巻き付けと分離を実現でき、中間膜28はセパレータ29よりも優れた熱伝導性を持つため、セパレータ29の均一な受熱を確保でき、かつモータ2の正逆回転を通じて、主動軸21と第2従動軸23との間の巻回を実現でき、セパレータ29の急速な受熱および均一な冷却を効果的に確保し、3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法および前記方法内で使用されるアニールボックスを通じ、従来技術において、ロール状構造のセパレータ29の巻芯は、アニール処理中、容易に不均一な受熱および冷却を引き起こすことで、セパレータ29の品質を低下させ、さらに品質合格基準に満たないという現象が起き、かつアニール処理プロセスは規定された時間範囲内での正確な温度変化が要求され、室温による冷却だけに依存すると加工要求を満たすことが難しく、同時に該セパレータ29の加工工場が夏季または冬季の時、温度の大きな変化があるため、これら外部環境の変化がセパレータ29生産に著しく影響を与えるなどの問題を解決し、アニール温度の制御可能を実現し、外部環境から隔離され、セパレータ29に対する外部環境の影響を防止し、セパレータ29の均一な受熱を確保するため、生産されたセパレータ29の品質が安定し、大規模で迅速な生産要求にも応えらえるようになる。
【0040】
本発明の実施形態として、前記第1従動軸22および第2従動軸23の外円弧面に回転可能に連結された嵌め輪36が設けられ、前記セパレータ29および中間膜28は、いずれも対応する嵌め輪36の外円弧面に巻回され;前記第1従動軸22および第2従動軸23の外円弧面には対応する嵌め輪36の位置に段付き溝がいずれも設けられ、前記段付き溝の溝底に調整溝が設けられ、前記調整溝の内部に調整板37が設けられ、前記調整板37および対応する嵌め輪36の対向側の側面はいずれも粗い表面構造で設計され;動作時、第1従動軸22および第2従動軸23が回転すると、中間膜28およびセパレータ29が巻回されることや表面に巻かれた中間膜28およびセパレータ29を主動軸21の表面へ移行しながら巻回したりし、セパレータ29の主動軸21と第2従動軸23との間の交互巻回を実現するが、アニール処理の原因により、ボックス本体1内の高温がセパレータ29にある程度軟化または収縮させ、これはキャストフィルムで縦方向の冷延伸、熱延伸の後工程で処理し、アニール処理や巻き付けプロセス中のセパレータ29の自然なサイズへの影響、またはセパレータ29の受熱収縮により、主動軸21と第2従動軸23との間のセパレータ29の引張応力が増加する問題を減らすため、嵌め輪36と調整板37を設けることにより、セパレータ29が嵌め輪36の表面に巻き付けられると、セパレータ29の収縮が嵌め輪36に対して接線張力を生じ、第2従動軸23と嵌め輪36との間に調整板37が設けられ、調整板37および対応する嵌め輪36の対向側の側面はいずれも粗い表面構造で設計され;セパレータ29の収縮で生じた接線張力が調整板37と対応する嵌め輪36との間の摩擦力より大きい場合、嵌め輪36と第1従動軸22または第2従動軸23との間の相対的な回転を発生させ、セパレータ29収縮で生じた接線引張応力の解放を実現し、過度の収縮応力がセパレータ29の品質に影響を与えることを防止できる。
【0041】
本発明の実施形態として、前記調整板37と対応する調整溝との間は、ヒンジで連結され;前記調整板37と対応する調整溝両側の側面との間にバネ38が接続され;調整板37における前記嵌め輪36の内弧面位置に線状溝が設けられ、調整板37が線状溝に着接され;前記嵌め輪36の小径は、第1従動軸22または第2従動軸23の外径より大きく;対応する嵌め輪36の両端面に近い前記第1従動軸22および第2従動軸23の位置にガイド溝が設けられ、対応するガイド溝における前記嵌め輪36の位置が凸ガイド構造で設計され;前記第1従動軸22および第2従動軸23の対応するガイド溝の反対側の円弧面に均一に配置された転動溝が設けられ、前記転動溝の内部に転動されるボール39があり、ボール39と対応するガイド溝の溝底との間が転動される。
動作時、調整板37と嵌め輪36との間の摩擦力によりセパレータ29収縮応力の自動解放の調整を実現する場合、一方では長期使用するため、嵌め輪36と調整板37の粗い表面が大きく摩耗されることで、摩擦係数が変化し、セパレータ29および中間膜28の正常巻回過程で容易に嵌め輪36と第1従動軸22または第2従動軸23との間の相対的な回転を生じさせ、アニールボックスの正常使用に影響を与え、もう一方で、嵌め輪36は第1従動軸22または第2従動軸23と直接接触しており、接触面が大きくなると摩擦が大きくなり、調整板37の通常の調整に対する干渉が大きくなるため、バネ38およびボール39の設置を介して、調整板37のヒンジ連結およびバネ38の付勢力により、通常の状態で調整板37が線状溝のいずれかに位置し、嵌め輪36に対するセパレータ29あるいは中間膜28の接線張力が大きい場合、調整板37を回転させ、バネ38を変形させ、調整板37の回転量が大きい場合、隣接する線状溝内に移動し、嵌め輪36と第1従動軸22または第2従動軸23との間の相対的な回転の調整を実現し、かつ調整に対する回転接触面の影響を効果的に軽減させるため、ガイド溝を設け、嵌め輪36がガイド溝内に回転可能に連結され、嵌め輪36とガイド溝の溝底との間にボール39を設けることにより、嵌め輪36と第1従動軸22と第2従動軸23との間を回転可能に連結することを実現し、摩擦力を大幅に低下し、調整の精度も上がる。
【0042】
本発明の実施形態として、前記中間膜28の材料が熱伝導性グラファイトフィルム材料で設計される。動作時、中間膜28として熱伝導性グラファイトフィルム材料を使用し、その熱伝導や放熱の効果が良く、一般的な熱伝導材料と比べ、ボックス本体1内の温度をロール状セパレータ29の巻芯内部に速やかに導入でき、セパレータ29の迅速かつ均一な受熱が実現され、同じロールのセパレータ29の品質の一貫性および安定性を確保できる。
【0043】
本発明の実施形態として、前記主動軸21、第1従動軸22および第2従動軸23の内部には、前後方向に熱伝導孔が穿設され、前記熱伝導孔の内部に高圧熱蒸気を導入する。動作時、熱伝導材料は、伝導過程である程度の熱エネルギー損失および時間周期があり、セパレータ29の巻芯の受熱をさらに促進するため、主動軸21、第1従動軸22および第2従動軸23の内部に熱伝導孔を穿設し、熱伝導孔の内部に高圧熱蒸気を導入することにより、迅速にセパレータ29および中間膜28の内部を加熱でき、巻芯の迅速な受熱を確保できる。
【0044】
本発明の実施形態として、前記ボックス本体1の上表面に2つの温調穴が穿設され、左側の前記温調穴の上方に配管を通じて凝縮器31が接続され、凝縮器31はボックス本体1の左側の側面に固結され、右側の前記温調穴の上方位置に排気風道32が固結され;前記排気風道32の内部に羽根33に回転可能に連結される。動作時、アニール処理の要件により、ボックス本体1の内部温度をゆっくりと下げる必要があり、ボックス本体1内部が密閉で、放熱に不利であるため、排気風道32および羽根33を設け、羽根33の回転数を調整することによりボックス内の温度を要件に従い放熱でき、同時に凝縮器31を設けることにより、一方で温度を迅速に下げることで、急速冷却製品類の要件を満たすことができ、同時に夏季の生産条件下で温度が比較的高く、温度を指定された温度範囲まで下げることを確保でき、アニール処理の要件を満たすことができる。
【0045】
本発明の実施形態として、前記排気風道32の外円弧面に密封蓋3がねじ込まれる。動作時、加熱板11の加熱過程で、ボックス本体1の上方に穿設された温調穴は、開放式であるため、ボックス本体1内の急速な昇温および保温性に不利となり、したがって排気風道32の外円弧面に密封蓋3をねじ込み、密封蓋3によりボックス本体1を効果的に密封できる。
【0046】
本発明の実施形態として、前記排気風道32の上表面に環状シール溝が設けられ、前記シール溝の内部にシールリング34が固結され、前記密封蓋3の内部に断熱キャビティが設けられ、前記断熱キャビティの内部にエアロゲルフェルト35が設けられる。動作時、密封蓋3の気密性および断熱性をさらに確保するため、排気風道32の上表面に環状シール溝を設けると、環状シール溝内のシールリング34を通じて、密封蓋3の有効な気密性を確保し、密封蓋3の断熱キャビティ内にエアロゲルフェルト35を設けることにより、密封蓋3位置の断熱性を確保し、ボックス本体1内部の熱放散を低減する。
【0047】
具体的な動作フローは、次のとおりである。
【0048】
動作時、まず密閉扉12を開き、セパレータ29を第2従動軸23に巻き付けてからセパレータ29の端部を主動軸21に挿入させ、巻き付け済みの中間膜28の上から主動軸21と第1従動軸22との間に巻き付けてセパレータ29と中間膜28との同期巻回を実現し、その後密閉扉12を閉じ、電源を入れ、まず電源で加熱板11を加熱することにより、ボックス本体1の内部温度を上昇させてからモータ2を起動させ、モータ2出力軸の回転により、一方で主動軸21を回転させ、他方で主動回転板を介して伝動ベルト27を運動させることで、従動回転板を回転させ、第1従動軸22が同じ方向に回転されるのを実現し、同時にモータ2出力軸の回転により、駆動歯車25を回転させ、駆動歯車25がさらに従動歯車26を回転させ、従動歯車26がさらに第2従動軸23を逆方向に回転させ、したがってセパレータ29と中間膜28の同期巻き付けと分離を実現でき、中間膜28はセパレータ29より優れた熱伝導性を持つため、セパレータ29の均一な受熱を確保でき、かつモータ2の正逆回転を通じて、主動軸21と第2従動軸23との間の巻回を実現でき、セパレータ29の急速な受熱および均一な冷却を効果的に確保する。
【0049】
嵌め輪36と調整板37を設けることにより、セパレータ29が嵌め輪36の表面に巻き付けられると、セパレータ29の収縮が嵌め輪36に対し接線張力が生じ、第2従動軸23と嵌め輪36との間に調整板37が設けられ、調整板37および対応する嵌め輪36の対向側の側面はいずれも粗い表面構造で設計され;セパレータ29の収縮で生じた接線張力が、調整板37と対応する嵌め輪36との間の摩擦力より大きい場合、嵌め輪36と第1従動軸22または第2従動軸23との間の相対的な回転を発生させ、セパレータ29収縮で生じた接線引張応力の解放を実現し;バネ38およびボール39の設置を介して、調整板37のヒンジ連結およびバネ38の付勢力により、通常の状態で調整板37が線状溝のいずれに位置する。
【0050】
嵌め輪36に対するセパレータ29あるいは中間膜28の接線張力が大きい場合、調整板37を回転させ、バネ38を変形させ、調整板37の回転量が大きい場合、隣接する線状溝内に移動し、嵌め輪36と第1従動軸22または第2従動軸23との間の相対的な回転の調整を実現し、かつ調整に対する回転接触面の影響を効果的に軽減させるため、ガイド溝を設け、嵌め輪36がガイド溝内に回転可能に連結され、嵌め輪36とガイド溝の溝底との間にボール39を設けることにより、嵌め輪36と第1従動軸22と第2従動軸23との間を回転可能に連結することを実現し、摩擦力を大幅に低下し、調整の精度も上がり;中間膜28として熱伝導性グラファイトフィルム材料を使用し、その熱伝導や放熱の効果が良く一般的な熱伝導材料と比べ、ボックス本体1内の温度をロール状セパレータ29の巻芯内部に速やかに導入でき、セパレータ29の迅速かつ均一な受熱が実現される。
【0051】
主動軸21、第1従動軸22および第2従動軸23の内部に熱伝導孔を穿設し、熱伝導孔の内部に高圧熱蒸気を導入することにより、迅速にセパレータ29および中間膜28の内部を加熱でき、巻芯の迅速な受熱を確保でき;排気風道32および羽根33を設け、羽根33の回転数を調整することによりボックス内の温度を要件に従い放熱でき、同時に凝縮器31を設けることにより、一方で温度を迅速に下げることで、急速冷却製品類の要件を満たすことができ、同時に夏季の生産条件下で温度が比較的高く、温度を指定された温度範囲まで下げることを確保でき;排気風道32の上表面に環状シール溝を設けると、環状シール溝内のシールリング34を通じて、密封蓋3の有効な気密性を確保し、密封蓋3の断熱キャビティ内にエアロゲルフェルト35を設けることにより、密封蓋3位置の断熱性を確保する。
【0052】
<実施例1>
2ロールのセパレータを取って本発明のアニールボックスに入れ、そして要件に従ってアニール処理(要件:アニール温度145℃、時間24時間)を行い、前記アニール処理の要件に従って製造された2ロールのセパレータをサンプリングして性能テストを行い、平均値を取り、GB規格の方法で三思社製の引張機、ガーレー式デンソメーター、日力S300走査電子顕微鏡などの機器で性能テストを行った。
【0053】
<実施例2>
上記と同じバッチの他の2ロールのセパレータを取って一般的なアニール装置に入れ、そして要件に従ってアニール処理(要件:アニール温度145℃、時間24時間)を行い、前記アニール処理の要件に従って製造された2ロールのセパレータをサンプリングして性能テストを行い、平均値を取り、GB規格の方法で三思社製の引張機、ガーレー式デンソメーター、日力S300走査電子顕微鏡などの機器で性能テストを行った。
【0054】
<実施例3>
上記と同じバッチの他の2ロールのセパレータを取り、アニール処理せず、製造された2ロールのセパレータをサンプリングして性能テストを行い、平均値を取り、GB規格の方法で三思社製の引張機、ガーレー式デンソメーター、日力S300走査電子顕微鏡などの機器で性能テストを行った。
【0055】
【表1】
【0056】
表1から分かるように、本発明によって製造された3層共押出リチウムイオン電池用セパレータは、優れた延伸性能を持ち、本発明のアニールボックスをアニール処理に使用すると、得られたセパレータ性能は一般的なアニール装置と比較して大幅に向上し、特に、伸度が150Mpa以上に達し、多くの利用者のニーズを満たすことができ;突き破り強度は、500gf以上に達し、バッテリの組み立て時に発生する穿刺現象をよりよく防止でき;熱収縮率は、従来のアニール処理で得られたセパレータ製品よりもはるかに低く、使用中大きな収縮によるセパレータの短絡現象を引き起こさない。透気率および空隙率も適切な範囲にあり、リチウム電子電池の性能をより良く満たすことができ、アニール処理なしで得られたセパレータの製品性能はアニーリング処理後の性能よりもはるかに悪い。したがって、全体的な性能パラメーターから、本発明によって提供されるアニーリングボックスは、3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの生産面において良好な普及価値や応用価値を有する。
【0057】
本発明の基本的な原理、主な特徴および利点は、上記に示して説明さしてきた。本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、上記実施例および明細書での記述は、本発明の原理を説明するためのものに過ぎないことを当業者は、理解されたい。本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更および改善を行うことができ、これらの変更および改善はすべて、特許請求の範囲に含まれる。本発明の特許請求の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物によって定義される。
【符号の説明】
【0058】
1 ボックス本体
11 加熱板
12 密閉扉
13 制御ボックス
2 モータ
21 主動軸
22 第1従動軸
23 第2従動軸
24 パワーボックスカバー
25 駆動歯車
26 従動歯車
27 伝動ベルト
28 中間膜
29 セパレータ
3 密封蓋
31 凝縮器
32 排気風道
33 羽根
34 シールリング
35 エアロゲルフェルト
36 嵌め輪
37 調整板
38 バネ
39 ボール
【要約】
【課題】環境変化の影響を軽減し、品質の安定性を確保する3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法を提供する。
【解決手段】 実施の一形態によれば、3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法はアニールボックスを用いる。該アニールボックスは、ボックス本体と、モータと、密封蓋と、を含み、前記ボックス本体の内表面に均一に配置された加熱板が固結され、前記ボックス本体内部の前後方向に主動軸が水平に設けられ、前記ボックス本体内部の主動軸の左右側に各々第1従動軸および第2従動軸が設けられ、前記主動軸と第2従動軸との間には、ボックス本体の内部位置でセパレータが巻き付けられ、セパレータが斜めに接続される。これにより、アニール温度の制御可能を実現し、外部環境から隔離され、セパレータに対する外部環境の影響を防止し、セパレータの均一な受熱を確保する。
【選択図】 図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7