【課題を解決するための手段】
【0006】
その技術的課題を解決するために本発明の3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法は、以下の構成を有する。すなわち、以下の工程を順次含む電池用セパレータの製造方法である。
【0007】
S1:まず2種類の異なるポリプロピレン樹脂を各々2個の異なる押出機の供給口に加え、溶融し可塑化させる工程(ここで、供給域の温度は、60〜70℃、圧縮域の温度が150〜200℃、計量域の温度が200〜230℃、回転数が100〜250rpmである)、
S2:S1での溶融可塑化後に得られた2種類の異なるポリプロピレン樹脂を、3層共押出鋳造機の3層複合キャストダイから同時に共押出し、高倍率延伸比でフィルムとして延伸し、A/B/A3層共押出構造を有するキャストフィルムを得る工程、
S3:上記A/B/A3層共押出構造を有するキャストフィルムをアニールボックスに入れ、アニール処理(アニール処理の温度:130〜150℃、時間:1〜24時間)を行う工程、および
S4:上記アニール処理後のキャストフィルムを縦方向に冷延伸、熱延伸し、多孔質膜構造を形成させ、微細孔構造およびA/B/A3層共押出構造を有するセパレータを製造し、最後に得られた多孔質膜を熱硬化させた後室温まで冷却する工程。
【0008】
S3内で使用されるアニールボックスは、ボックス本体と、モータと、密封蓋と、を含む。
【0009】
前記ボックス本体は直方体構造の設計であり、前記ボックス本体の内部に空洞が設けられ、前記ボックス本体の内表面に加熱板が均一に配置されて固結される。
【0010】
前記ボックス本体内部の前後方向に主動軸が水平に設けられ、前記ボックス本体内部の主動軸の左側に第1従動軸が設けられ、前記ボックス本体内部の主動軸の右側に第2従動軸が設けられ、前記主動軸、第1従動軸および第2従動軸はいずれも軸受を介してボックス本体と回転可能に連結されており、第1従動軸および第2従動軸の前端面がボックス本体を貫通してボックスの外部に延びる。
【0011】
前記ボックス本体の前端面にパワーボックスカバーが固結され、前記パワーボックスカバーの前端面にモータが固結され、前記モータの出力軸はパワーボックスカバーを挿通してパワーボックスカバーの内部まで延び、かつモータの出力軸と主動軸の前端面とが固結され、モータフランジ面に近い前記モータ出力軸の外円弧面の位置に駆動歯車が固結され、ボックス本体の前方位置にある前記第2従動軸の外円弧面に従動歯車が固結され、駆動歯車と従動歯車とが互いに噛み合うように配置され、ボックス本体の前端面に近い前記モータの出力軸の外円弧面の位置に主動回転板が固結され、従動歯車の前端面に近い前記第1従動軸の外円弧面の位置に従動回転板が固結され、前記主動回転板と従動回転板との間に伝動ベルトが連結される。
【0012】
前記主動軸と第1従動軸との間には、ボックス本体の内部位置で中間膜が巻き付けられ、該中間膜は水平に接続され、前記主動軸と第2従動軸との間には、ボックス本体の内部位置でセパレータが巻き付けられ、該セパレータは斜めに接続される。
【0013】
前記ボックス本体の右上の縁端部に開口部が設けられ、前記ボックス本体の開口部に密閉扉が設けられ;ボックス本体の前端面に近い前記ボックス本体左側の側面に制御ボックスが固結される。
【0014】
動作時に、セパレータのアニール処理する必要がある場合、スペースを節約するために、セパレータが往々にしてロール状構造にされるが、ロール状構造は容易にセパレータの不均一な加熱と冷却を引き起こすことで、品質を低下させ、さらに品質合格基準に満たないという問題が起き、かつアニール処理プロセスは規定された時間範囲内での正確な温度変化が要求され、室温による冷却だけに依存すると加工要求を満たすことが難しく、同時に該セパレータの加工工場が夏季または冬季の時、温度の大きな変化があるため、これら外部環境の変化がセパレータ生産に著しく影響を与える。
【0015】
環境変化がセパレータの生産に与える影響を軽減し、セパレータ品質の安定性を確保するために、アニールボックスを用いる。
【0016】
まず密閉扉を開き、セパレータを第2従動軸に巻き付けてからセパレータの端部を主動軸に挿入させ、巻き付け済みの中間膜
の上から主動軸
と第1従動軸との間に巻き付けてセパレータと中間膜との同期巻回を実現し、その後密閉扉を閉じ、電源を入れ、まず電源で加熱板を加熱することにより、ボックス本体の内部温度を上昇させてからモータを起動させ、モータ出力軸の回転により、一方で主動軸を回転させ、他方で主動回転板を介して伝動ベルトを運動させることで、従動回転板を回転させ、第1従動軸が同じ方向に回転されるのを実現し、同時にモータ出力軸の回転により、駆動歯車を回転させ、駆動歯車がさらに従動歯車を回転させ、従動歯車がさらに第2従動軸を逆方向に回転させ、したがってセパレータと中間膜の同期巻き付けと分離を実現できる。
【0017】
中間膜はセパレータより優れた熱伝導性を持つため、セパレータの均一な受熱を確保でき、かつモータの正逆回転を通じて、主動軸と第2従動軸との間の巻回を実現でき、セパレータの急速な受熱および均一な冷却を効果的に確保し、3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法および前記方法内で使用されるアニールボックスを通じて、従来技術において、ロール状構造のセパレータの巻芯は、アニール処理中、容易に不均一な受熱および冷却を引き起こすことで、セパレータの品質を低下させ、さらに品質合格基準に満たないという現象が起き、かつアニール処理プロセスは規定された時間範囲内での正確な温度変化が要求され、室温による冷却だけに依存すると加工要求を満たすことが難しく、同時に該セパレータの加工工場が夏季または冬季の時、温度の大きな変化があるため、これら外部環境の変化がセパレータ生産に著しく影響を与えるなどの問題を解決し、アニール温度の制御可能を実現し、外部環境から隔離され、セパレータに対する外部環境の影響を防止し、セパレータの均一な受熱を確保するため、生産されたセパレータの品質が安定し、大規模で迅速な生産要求にも応えらえるようになる。
【0018】
好ましくは、前記第1従動軸および第2従動軸の外円弧面に回転可能に連結された嵌め輪が設けられ、前記セパレータおよび中間膜は、いずれも対応する嵌め輪の外円弧面に巻回され、対応する嵌め輪位置の前記第1従動軸および第2従動軸の外円弧面に段付き溝がいずれも設けられ、前記段付き溝の溝底に調整溝が設けられ、前記調整溝の内部に調整板が設けられ、前記調整板および対応する嵌め輪の対向側の側面はいずれも粗い表面構造で設計される。
【0019】
動作時、第1従動軸および第2従動軸が回転すると、中間膜およびセパレータが巻回されることや、表面に巻かれた中間膜およびセパレータを主動軸の表面へ移行しながら巻回したりし、セパレータの主動軸と第2従動軸との間の交互巻回を実現する。
【0020】
アニール処理の原因により、ボックス本体内の高温がセパレータを、ある程度軟化または収縮させ、これはキャストフィルムで縦方向の冷延伸、熱延伸の後工程で処理し、アニール処理や巻き付けプロセス中のセパレータの自然なサイズへの影響、またはセパレータの受熱収縮により、主動軸と第2従動軸との間のセパレータの引張応力が増加する問題を減らすため、嵌め輪と調整板を設けることにより、セパレータが嵌め輪の表面に巻き付けられると、セパレータの収縮が嵌め輪に対し接線張力が生じる。
【0021】
第2従動軸と嵌め輪との間に調整板が設けられ、調整板および対応する嵌め輪の対向側の側面はいずれも粗い表面構造で設計され、セパレータの収縮で生じた接線張力が調整板と対応する嵌め輪との間の摩擦力より大きい場合、嵌め輪と第1従動軸または第2従動軸との間の相対的な回転を発生させ、セパレータ収縮で生じた接線引張応力の解放を実現し、過度の収縮応力がセパレータの品質に影響を与えることを防止できる。
【0022】
好ましくは、前記調整板と対応する調整溝との間はヒンジで連結され;前記調整板と対応する調整溝両側の側面との間にバネが接続され;調整板における前記嵌め輪の内弧面位置に線状溝が設けられ、調整板が線状溝に着接され;前記嵌め輪の小径は、第1従動軸または第2従動軸の外径より大きく;対応する嵌め輪の両端面に近い前記第1従動軸および第2従動軸の位置にガイド溝が設けられ、対応するガイド溝における前記嵌め輪の位置が凸ガイド構造で設計され;前記第1従動軸および第2従動軸の対応するガイド溝の反対側の円弧面に均一に配置された転動溝が設けられ、前記転動溝の内部に転動されるボールがあり、ボールと対応するガイド溝の溝底との間が転動される。
【0023】
動作時、調整板と嵌め輪との間の摩擦力によりセパレータ収縮応力の自動解放の調整を実現する場合、一方では長期使用するため、嵌め輪と調整板の粗い表面が大きく摩耗されることで、摩擦係数が変化し、セパレータおよび中間膜の正常巻回過程で容易に嵌め輪と第1従動軸または第2従動軸との間の相対的な回転を生じさせ、アニールボックスの正常使用に影響を与え、もう一方で、嵌め輪は第1従動軸または第2従動軸と直接接触しており、接触面が大きくなると摩擦が大きくなり、調整板の通常の調整に対する干渉が大きくなるため、バネおよびボールの設置を介して、調整板のヒンジ連結およびバネの付勢力により、通常の状態で調整板は線状溝のいずれかに位置し、嵌め輪に対するセパレータあるいは中間膜の接線張力が大きい場合、調整板を回転させ、バネを変形させ、調整板の回転量が大きい場合、隣接する線状溝内に移動し、嵌め輪と第1従動軸または第2従動軸との間の相対的な回転の調整を実現し、かつ調整に対する回転接触面の影響を効果的に軽減させるため、ガイド溝を設け、嵌め輪がガイド溝内に回転可能に連結され、嵌め輪とガイド溝の溝底との間にボールを設けることにより、嵌め輪と第1従動軸と第2従動軸との間を回転可能に連結することを実現し、摩擦力を大幅に低下し、調整の精度も上がる。
【0024】
好ましくは、前記中間膜の材料が熱伝導性グラファイトフィルム材料で設計され;動作時、中間膜として熱伝導性グラファイトフィルム材料を使用し、その熱伝導や放熱の効果が良く、一般的な熱伝導材料と比べ、ボックス本体内の温度をロール状セパレータの巻芯内部に速やかに導入でき、セパレータの迅速かつ均一な受熱が実現され、同じロールのセパレータの品質の一貫性および安定性を確保できる。
【0025】
好ましくは、前記主動軸、第1従動軸および第2従動軸の内部には、前後方向に熱伝導孔が穿設され、前記熱伝導孔の内部に高圧熱蒸気を導入し;動作時、熱伝導材料は、伝導過程である程度の熱エネルギー損失および時間周期があり、セパレータの巻芯の受熱をさらに促進するため、主動軸、第1従動軸および第2従動軸の内部に熱伝導孔を穿設し、熱伝導孔の内部に高圧熱蒸気を導入することにより、迅速にセパレータおよび中間膜の内部を加熱でき、巻芯の迅速な受熱を確保できる。
【0026】
好ましくは、前記ボックス本体の上表面に2つの温調穴が穿設され、左側の前記温調穴の上方に配管を通じて凝縮器が接続され、凝縮器はボックス本体の左側の側面に固結され、右側の前記温調穴の上方位置に排気風道が固結され;前記排気風道の内部に羽根に回転可能に連結される。動作時、アニール処理の要件により、ボックス本体の内部温度をゆっくりと下げる必要がある。ボックス本体内部が密閉で、放熱に不利であるため、排気風道および羽根を設け、羽根の回転数を調整することによりボックス内の温度を要件に従い放熱でき、同時に凝縮器を設けることにより、一方で温度を迅速に下げることで、急速冷却製品類の要件を満たすことができ、同時に夏季の生産条件下で温度が比較的高く、温度を指定された温度範囲まで下げることを確保でき、アニール処理の要件を満たすことができる。
【0027】
好ましくは、前記排気風道の外円弧面に密封蓋がねじ込まれる。動作時、加熱板の加熱過程で、ボックス本体の上方に穿設された温調穴は、開放式であるため、ボックス本体内の急速な昇温および保温性に不利となり、したがって排気風道の外円弧面に密封蓋をねじ込み、密封蓋によりボックス本体を効果的に密封できる。
【0028】
好ましくは、前記排気風道の上表面に環状シール溝が設けられ、前記シール溝の内部にシールリングが固結され、前記密封蓋の内部に断熱キャビティが設けられ、前記断熱キャビティの内部にエアロゲルフェルトが設けられる。動作時、密封蓋の気密性および断熱性をさらに確保するため、排気風道の上表面に環状シール溝を設けると、環状シール溝内のシールリングを通じて、密封蓋の有効な気密性を確保し、密封蓋の断熱キャビティ内にエアロゲルフェルトを設けることにより、密封蓋位置の断熱性を確保し、ボックス本体内部の熱放散を低減する。
【発明の効果】
【0029】
1.本発明の3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法によれば、前記方法で使用されるアニールボックスは、ボックス本体、モータおよび密封蓋が設けられ、ボックス本体の内表面に均一に配置された加熱板が固結され、ボックス本体内部の前後方向に主動軸が水平に設けられ、ボックス本体内部の主動軸の左側に第1従動軸が設けられ、ボックス本体内部の主動軸の右側に第2従動軸が設けられ、主動軸と第1従動軸との間には、ボックス本体の内部位置で中間膜が巻き付けられ、中間膜が水平に接続され;主動軸と第2従動軸との間には、ボックス本体の内部位置でセパレータが巻き付けられ、セパレータが斜めに接続される。
【0030】
3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法および前記方法内で使用されるアニールボックスを通じて、従来技術において、ロール状構造のセパレータの巻芯は、アニール処理中、容易に不均一な受熱および冷却を引き起こすことで、セパレータの品質を低下させ、さらに品質合格基準に満たないという現象が起き、かつアニール処理プロセスは規定された時間範囲内での正確な温度変化が要求され、室温による冷却だけに依存すると加工要求を満たすことが難しく、同時に該セパレータの加工工場が夏季または冬季の時、温度の大きな変化があるため、これら外部環境の変化がセパレータ生産に著しく影響を与えるなどの問題を解決し、アニール温度の制御可能を実現し、外部環境から隔離され、セパレータに対する外部環境の影響を防止し、セパレータの均一な受熱を確保するため、生産されたセパレータの品質が安定し、大規模で迅速な生産要求にも応えらえるようになる。
【0031】
2.本発明の一実施形態による3層共押出リチウムイオン電池用セパレータの製造方法によれば、前記方法で使用されるアニールボックスは、ボックス本体の上表面に2つの温調穴が穿設され、左側の温調穴の上方に配管を通じて凝縮器が接続され、凝縮器はボックス本体の左側の側面に固結され、右側の温調穴の上方位置に排気風道が固結され;排気風道の内部に羽根に回転可能に連結され、排気風道の外円弧面に密封蓋がねじ込まれ;したがって、排気風道および羽根を設け、羽根の回転数を調整することによりボックス内の温度を要件に従い放熱でき、同時に凝縮器を設けることにより、一方で温度を迅速に下げることで、急速冷却製品類の要件を満たすことができ、同時に夏季の生産条件下で温度が比較的高く、温度を指定された温度範囲まで下げることを確保でき、アニール処理の要件を満たすことができ、同時に排気風道の外円弧面に密封蓋をねじ込み、密封蓋によりボックス本体を効果的に密封し、ボックス本体内部の迅速な昇温および保温性を確保できる。
【0032】
以下、添付図面を参照しつつ本発明をさらに説明する。