(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記化学蓄熱部は、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムの少なくとも一方を含み、前記ケーシングには、一端が前記キャビティに接続されて、前記化学蓄熱部に水を供給する供給流路が形成されている請求項7に記載の回転機械。
前記ケーシングには、一端が前記キャビティに接続されるとともに他端が前記主流路に接続されて、前記化学蓄熱部の前記熱反応によって生じた水蒸気を該主流路に戻す還流路が形成されている請求項7から9のいずれか一項に記載の回転機械。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のように外側ケーシングと内側ケーシングとの間に蒸気の流通する流路を形成する場合であっても、蒸気タービンの運転状況によっては、動翼の先端と内側ケーシングの内周面とのクリアランスや静翼の先端とロータとのクリアランスが不用意に狭まってしまう可能性がある。また当該問題は、蒸気タービンのみならず、ガスタービン等の他の回転機械でも同様に起こり得る。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ロータ側とケーシング側との間のクリアランスを適切な値に設定することができる回転機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様に係る回転機械は、軸線に沿って延び、該軸線回りに回転するロータと、前記ロータを外周側から覆うことで、該ロータとの間に流体が流通する主流路を形成するとともに、内部に中空状の閉空間としてのキャビティが形成されたケーシングと、前記キャビティ内に設けられて、相変化を生じることで前記流体との間で潜熱の授受を行う潜熱蓄熱部と、を備え
、前記潜熱蓄熱部によって前記ケーシングからの熱放出を緩やかにすることで、前記ロータと前記ケーシングとの熱収縮量の差を小さくする。
【0008】
この構成によれば、潜熱蓄熱部は、相変化に伴って、自身に蓄えられた潜熱を放出する。したがって、蒸気タービンを停止するに当たっては、潜熱蓄熱部が設けられていない場合に比べて、ケーシングからの見かけ上の熱放出(温度低下)を緩やかにすることができる。つまり、ロータとケーシングの熱収縮量の差を小さくすることができる。これにより、クリアランスが急速に縮小してしまう虞を低減することができる。
さらに、蒸気タービンを起動する場合(特に、ロータ、ケーシングの温度が常温まで下がり切っていない状態から起動する場合:warm/hot起動時)には、前回停止時からのケーシングの熱収縮が小さく抑えられていることから、起動に伴ってロータが熱伸びを始めても、ロータとケーシングとの間のクリアランスを十分に確保することができる。
【0009】
本発明の第二の態様に係る回転機械は、前記ケーシングを加熱することで、該ケーシングに熱伸びを生じさせる加熱部を有してもよい。
【0010】
この構成によれば、加熱部によってケーシングを加熱することにより、ケーシングの温度を高めて膨張させ、蒸気タービンの停止時や起動時におけるクリアランスの過度な縮小を抑えることができる。
【0011】
本発明の第三の態様に係る回転機械は、前記軸線方向に間隔をあけて設けられた複数の前記潜熱蓄熱部を有し、該軸線の一方側にある前記潜熱蓄熱部になるほど、融点が高くなってもよい。
【0012】
ここで、一般的な蒸気タービンでは、上流側から下流側(軸線方向の一方側から他方側)に向かうにしたがって、車室内を流通する蒸気の温度が次第に低くなる。これに応じて、ロータ及びケーシングの熱伸びの量も、上流側から下流側に向かうにしたがって次第に小さくなる。言い換えると、上流側に向かうほど、クリアランスの変化が大きくなり、下流側に向かうほど、クリアランスの変化が小さくなる。
上記の構成によれば、上流側にある潜熱蓄熱部になるほど、融点が高くなっている。すなわち、上流側にある潜熱蓄熱部になるほど、車室内を流通する蒸気の温度に応じた高い温度で潜熱を放出する。したがって、例えば蒸気タービンの停止時には、相対的に車室内を流通する蒸気の温度が高い上流側の潜熱蓄熱部が、下流側の潜熱蓄熱部に比べてより高い温度で潜熱を放出する。これにより、ケーシング上における軸線方向の位置に応じて、適切な温度で潜熱を放出することができる。つまり、ロータとケーシングの熱収縮量の差を小さくすることができる。これにより、ロータとケーシングとの間のクリアランスが急速に縮小してしまう虞を低減することができる。
【0013】
本発明の第四の態様に係る回転機械は、前記軸線方向に間隔をあけて設けられた複数の前記潜熱蓄熱部を有し、該軸線の一方側にある前記潜熱蓄熱部になるほど、融点が低くなってもよい。
【0014】
ここで、例えば回転機械として圧縮機を用いた場合、上流側から下流側(軸線方向の一方側から他方側)に向かうにしたがって、車室内を流通する流体の温度が次第に高くなる。これに応じて、ロータ及びケーシングの熱伸びの量も、上流側から下流側に向かうにしたがって次第に大きくなる。言い換えると、上流側に向かうほど、クリアランスの変化が小さくなり、下流側に向かうほど、クリアランスの変化が大きくなる。
上記の構成によれば、下流側にある潜熱蓄熱部になるほど、車室内を流通する流体の温度に応じた高い温度で潜熱を放出することができる。したがって、例えば圧縮機の停止時には、相対的に車室内を流通する流体の温度が高い下流側の潜熱蓄熱部が、上流側の潜熱蓄熱部に比べてより高い温度で潜熱を放出する。これにより、ケーシング上における軸線方向の位置に応じて、適切な温度で潜熱を放出することができる。つまり、ロータとケーシングの熱収縮量の差を小さくすることができる。これにより、ロータとケーシングとの間のクリアランスが急速に縮小してしまう虞を低減することができる。
【0015】
本発明の第五の態様に係る回転機械は、前記軸線の周方向に間隔をあけて設けられた複数の前記潜熱蓄熱部を有してもよい。
【0016】
この構成によれば、周方向におけるクリアランスの偏在化を抑制することができる。
【0017】
本発明の第六の態様に係る回転機械は、前記キャビティの内面から該キャビティの内側に向かって突出する複数の突起部が設けられていてもよい。
【0018】
この構成によれば、突起部の表面積の分だけ、潜熱蓄熱部とケーシングとの接触面積を増やすことができる。つまり、ケーシングと潜熱蓄熱部との間における熱の伝達をさらに促進することができる。加えて、潜熱蓄熱部が溶融してキャビティ内で偏ってしまった場合であっても、突起部が設けられていることにより、ケーシングと潜熱蓄熱部との間で十分に熱の授受を行うことができる。
【0019】
本発明の第七の態様に係る回転機械は、軸線に沿って延び、該軸線回りに回転するロータと、前記ロータを外周側から覆うことで、該ロータとの間に流体が流通する主流路を形成するとともに、内部に中空状のキャビティが形成されたケーシングと、前記キャビティ内に設けられて、熱反応を生じることで該流体との間で潜熱の授受を行う化学蓄熱部と、を備え
、前記化学蓄熱部によって前記ケーシングからの熱放出を緩やかにすることで、前記ロータと前記ケーシングとの熱収縮量の差を小さくする。ここで、潜熱とは融解熱、凝固熱、蒸発熱、凝縮熱に限らず、化学反応に伴う反応熱も含めて呼ぶこととする。
【0020】
この構成によれば、化学蓄熱部は熱反応を生じる物質で形成されていることから、当該熱反応に伴って、自身に蓄えられた潜熱を放出する。したがって、蒸気タービンを停止するに当たっては、化学蓄熱部が設けられていない場合に比べて、ケーシングからの見かけ上の熱放出(温度低下)を緩やかにすることができる。つまり、ロータとケーシングの熱収縮量の差を小さくすることができる。これにより、上述のクリアランスが急速に縮小してしまう虞を低減することができる。
さらに、蒸気タービンを起動する場合(特に、ロータ、ケーシングの温度が常温まで下がり切っていない状態から起動する場合:warm/hot起動時)には、前回停止時からのケーシングの熱収縮が小さく抑えられていることから、起動に伴ってロータが熱伸びを始めても、ロータとケーシングとの間のクリアランスを十分に確保することができる。
【0021】
本発明の第八の態様に係る回転機械では、前記化学蓄熱部は、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムの少なくとも一方を含み、前記ケーシングには、一端が前記キャビティに接続されて、前記化学蓄熱部に水を供給する供給流路が形成されていてもよい。
【0022】
この構成によれば、化学蓄熱部が水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムの少なくとも一方を含むことから、水の供給によって発熱/吸熱を伴う熱反応を生じさせることができる。さらに、供給流路を通じて化学蓄熱部に水が供給されることで、当該化学蓄熱部の熱反応を促進することができる。
【0023】
本発明の第九の態様に係る回転機械では、前記供給流路の他端は、前記主流路に接続され、該主流路を流通する前記流体を、前記供給流路を通じて前記化学蓄熱部に供給してもよい。
【0024】
この構成によれば、主流路中の蒸気(水)が化学蓄熱部に導かれることから、水の供給源を他に設けることなく、化学蓄熱部の熱反応を生じさせることができる。加えて、高温高圧の蒸気を主流路中から化学蓄熱部に導くことから、その圧力によって熱反応を促進することができる。
【0025】
本発明の第十の態様に係る回転機械では、前記ケーシングには、一端が前記キャビティに接続されるとともに他端が前記主流路に接続されて、前記化学蓄熱部の前記熱反応によって生じた水蒸気を該主流路に戻す還流路が形成されていてもよい。
【0026】
この構成によれば、化学蓄熱部の熱反応によって生じた水を還流路によって再び主流路中に戻すことができる。これにより、水を外部に排出するための装置を不要とすることができる。
【0027】
本発明の第十一の態様に係る回転機械では、前記化学蓄熱部は炭酸マグネシウムを含み、前記ケーシングには、一端が前記キャビティに接続されて、前記化学蓄熱部に二酸化炭素を供給するCO2供給流路が形成されていてもよい。
【0028】
この構成によれば、CO2供給流路を通じて、キャビティ内の化学蓄熱部に対して二酸化炭素が供給され、当該化学蓄熱部に発熱反応を生じさせることができる。反対に、化学蓄熱部に熱が加えられた場合には、その熱を化学蓄熱部に吸収させることができる。
【0029】
本発明の第十二の態様に係る回転機械は、前記軸線方向に間隔をあけて設けられた複数の前記化学蓄熱部を有してもよい。
【0030】
この構成によれば、化学蓄熱部が軸線方向に間隔をあけて複数設けられていることにより、当該軸線方向におけるケーシングの温度分布の偏りを抑制することができる。
【0031】
本発明の第十三の態様に係る回転機械で、前記軸線の周方向に間隔をあけて設けられた複数の前記化学蓄熱部を有してもよい。
【0032】
この構成によれば、周方向におけるクリアランスの偏在化を抑制することができる。
【0033】
本発明の第十四の態様に係る回転機械では、前記キャビティの内面から該キャビティの内側に向かって突出する複数の突起部が設けられていてもよい。
【0034】
この構成によれば、突起部の表面積の分だけ、化学蓄熱部とケーシングとの接触面積を増やすことができる。つまり、ケーシングと化学蓄熱部との間における熱の伝達をさらに促進することができる。
本発明の第十五の態様にかかる機械は、内部に中空状の閉空間としてのキャビティが形成されたケーシングと、前記キャビティ内に設けられて、相変化を生じることで前記ケーシングの外部の前記流体との間で潜熱の授受を行う潜熱蓄熱部と、を備え
、前記潜熱蓄熱部によって前記ケーシングからの熱放出を緩やかにすることで、前記ケーシングと、該ケーシングと対向する部材との熱収縮量の差を小さくする。
【発明の効果】
【0035】
本発明の回転機械によれば、ロータ側とケーシング側との間のクリアランスを適切な値に設定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態について、
図1から
図3を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る蒸気タービン100(回転機械)は、軸線Aに沿って延びるロータ1と、このロータ1を軸線A回りに回転可能に支持する軸受装置2と、ロータ1を外周側から覆うケーシング3と、を備えている。
【0038】
ロータ1は、軸線A方向に延びる柱状のロータ本体11と、ロータ本体11の外周面上に設けられた複数の動翼段12と、を有している。動翼段12は、ロータ本体11の外周面上で、軸線A方向に間隔をあけて複数設けられている。詳しくは図示しないが、それぞれの動翼段12は、軸線Aの周方向に間隔をあけて配列された複数の動翼を有している。
【0039】
上記のように構成されたロータ1は、軸線A方向の両端部で、軸受装置2によって支持されている。本実施形態では、軸受装置2は、一対のジャーナル軸受21と、1つのスラスト軸受22と、を有している。各ジャーナル軸受21は、荷重を軸線Aの径方向から支持する装置であり、ロータ1の軸線A方向両側に1つずつ設けられている。スラスト軸受22は、荷重を軸線A方向から支持する装置であり、ロータ1の軸線A方向一方側のみに1つ設けられている。
【0040】
ケーシング3は、ロータ1を外周側から覆う略筒状をなしている。ケーシング3の内周面3Sには、複数の静翼段31が軸線A方向に間隔をあけて設けられている。これら静翼段31は、上述の動翼段12と軸線A方向に互い違いになるように配列されている。詳しくは図示しないが、それぞれの静翼段31は、軸線Aの周方向に間隔をあけて配列された複数の静翼を有している。
【0041】
ケーシング3の内側に形成された空間は、不図示の蒸気発生源から吸気口4を通じて導かれた高温高圧の蒸気S(流体)が流通する車室(主流路M)とされている。車室内に導かれた蒸気Sは、軸線A方向の一方側から他方側に向かうにつれて、動翼段12と静翼段31とに交互に衝突することで、ロータ1に回転力を与えた後、排気口5から外部に排出される。ロータ1の回転運動は、例えば軸端に接続された発電機等によって取り出され、利用に供される。なお、ロータ1の円滑な回転を確保するため、ケーシング3の内周面3Sと、動翼の先端部(軸線Aに対する径方向外側の端部:チップ12C)との間には、予め定められたわずかなクリアランス(隙間)が形成されている。
【0042】
さらに
図2に示すように、本実施形態では、ケーシング3のうち、上記した動翼段12が設けられる領域と対応する領域には、中空状のキャビティ6が形成されている。より具体的には、このキャビティ6は、ケーシング3の内部に形成された空間であり、本実施形態では、軸線A方向の一方側から他方側に向かって連続して延びている。つまり、このキャビティ6は、軸線Aを中心とする円筒状をなしている。キャビティ6の内側をなす各面のうち、軸線Aに対する径方向内側に位置する面はキャビティ内周面61とされ、このキャビティ内周面61と径方向に対向する面はキャビティ外周面62とされている。さらに、これらキャビティ内周面61とキャビティ外周面62とを軸線Aの径方向に接続する一対の面はキャビティ端面63とされている。
【0043】
キャビティ6の内部には、蒸気タービン100の起動停止に際してケーシング3の熱容量を調節するための潜熱蓄熱部7が設けられている。ケーシング3は、ロータ1に比べて熱容量が小さいことから、熱しやすく冷めやすい。このため、蒸気タービン100の起動と停止に際しては、ロータ1・ケーシング3両者の間で、熱伸び量に差が生じてしまい、上述した動翼とケーシング3との間のクリアランスに変化が生じる場合がある。潜熱蓄熱部7は、ケーシング3の熱容量を大きく確保するために設けられるものである。
【0044】
本実施形態に係る潜熱蓄熱部7は、相変化を生じることで蒸気Sとの間で潜熱の授受を行う。潜熱蓄熱部7は、より具体的には、潜熱蓄熱部7は、錫を含むはんだや、鉛、亜鉛を含む合金、溶融塩によって一体に形成されている。キャビティ6内には、このような潜熱蓄熱部7が隙間なく充填されている。つまり、潜熱蓄熱部7は、上記のキャビティ外周面62、キャビティ内周面61、及び一対のキャビティ端面63によって囲まれている。車室内を流れる蒸気Sの熱は、これらの面を介してキャビティ6内の潜熱蓄熱部7に達することが可能とされている。言い換えると、潜熱蓄熱部7と、主流路Mとは熱的に接続されている。
【0045】
続いて、本実施形態に係る蒸気タービン100の動作について、特に停止時と起動時におけるロータ1とケーシング3の挙動に着目して説明する。まず、蒸気タービン100の運転中には、ロータ1、ケーシング3ともに、車室内を流通する高温高圧の蒸気Sによって加熱され、高温となっている。この状態では、ロータ1、ケーシング3ともに熱伸びを生じており、かつ上記クリアランスの大きさは予め定められた値となっている。
【0046】
一方で、蒸気タービン100を停止する(すなわち、蒸気Sの供給を停止する)と、ロータ1よりも熱容量の小さなケーシング3では、ロータ1よりも早い温度低下が生じる。つまり、ケーシング3は、ロータ1よりも早く収縮する。この状態が続いた場合、ケーシング3の内周面3Sとロータ1(動翼)とが接触してしまう、ピンチと呼ばれる現象が生じる可能性がある。ピンチが生じた場合、蒸気タービン100の安定的な運転に支障を来す虞がある。
【0047】
しかしながら、本実施形態に係る蒸気タービン100では、ケーシング3の内部(キャビティ6内)に潜熱蓄熱部7が設けられている。潜熱蓄熱部7には、蒸気タービン100の運転中に車室を流通する蒸気Sの熱量が潜熱として蓄えられている。さらに、潜熱蓄熱部7は上述のように相変化する物質で形成されていることから、相変化(凝固・溶解)に伴って、自身に蓄えられた潜熱を放出する。したがって、蒸気タービン100を停止するに当たっては、潜熱蓄熱部7が設けられていない場合に比べて、ケーシング3からの見かけ上の熱放出(温度低下)を緩やかにすることができる。つまり、ロータ1とケーシング3の熱収縮量の差を小さくすることができる。これにより、上述のクリアランスが急速に縮小してしまう虞を低減することができる。すなわち、ピンチ等の現象が発生する可能性を低減することができるため、蒸気タービン100をより安定的に運転することができる。
【0048】
さらに、蒸気タービン100を起動する場合(特に、ロータ1、ケーシング3の温度が常温まで下がり切っていない状態から起動する場合:warm/hot起動時)には、前回停止時からのケーシング3の熱収縮が小さく抑えられていることから、起動に伴ってロータ1が熱伸びを始めても、ロータ1とケーシング3との間のクリアランスを十分に確保することができる。すなわち、ピンチ等の現象が発生する可能性を低減することができるため、蒸気タービン100をより安定的に運転することができる。
【0049】
以上、本発明の第一実施形態について説明した。なお、上記実施形態は一例であり、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更を施すことが可能である。例えば、
図3に示すように、ケーシング3の外周面に、ケーシング3自身を加熱する加熱部8をさらに設けることも可能である。加熱部8としては、電気の供給により発熱する電熱線や、外部から供給される熱媒体を用いたヒータ等が具体的に挙げられる。このような構成によれば、加熱部8によってケーシング3を加熱することにより、上述した潜熱蓄熱部7による熱容量の増大に加えて、さらにケーシングの温度を上昇させることによって、ケーシングを膨張させることができる。すなわち、蒸気タービン100の停止時や起動時におけるクリアランスの過度な縮小を抑えることができる。特に、起動前に予め加熱し、蓄熱体を融点以上まで加熱し、溶融させておくと、起動途中に融解熱を取られることにより、ケーシングの温度上昇が抑制されず、ケーシングを滞りなく膨張させ、クリアランスの過度な縮小をより効果的に抑えることができる。
【0050】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、
図4を参照して説明する。なお、上記第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態における蒸気タービン100では、ケーシング203及び潜熱蓄熱部207の構成が上記第一実施形態におけるケーシング3及び潜熱蓄熱部7と異なっている。より詳細には、本実施形態では、ケーシング203には、軸線A方向に間隔をあけて配列された複数のキャビティ206が形成されている。互いに隣接するキャビティ206同士の間には、軸線Aの径方向に延びる隔壁Wが設けられている。
【0051】
これら複数のキャビティ206には、それぞれ潜熱蓄熱部207が設けられている。各潜熱蓄熱部207は、第一実施形態と同様の材質によって形成されている。一方で、各潜熱蓄熱部207同士では、その組成が互いに異なっており、軸線A方向一方側にある潜熱蓄熱部207になるほど、融点が高くなっている。より具体的には、一例として潜熱蓄熱部207をはんだ合金によって形成した場合であれば、主成分である錫の含有率を各潜熱蓄熱部207同士の間で違えることにより、互いに異なる融点を有する潜熱蓄熱部207を得ることができる。
【0052】
ここで、一般的な蒸気タービンでは、上流側から下流側(軸線A方向の一方側から他方側)に向かうにしたがって、車室内を流通する蒸気Sの温度が次第に低くなる。これに応じて、ロータ201及びケーシング203の熱伸びの量も、上流側から下流側に向かうにしたがって次第に小さくなる。言い換えると、上流側に向かうほど、クリアランスの変化が大きくなり、下流側に向かうほど、クリアランスの変化が小さくなる。
【0053】
本実施形態に係る構成によれば、上流側にある潜熱蓄熱部207になるほど、融点が高くなっている。すなわち、上流側にある潜熱蓄熱部207になるほど、車室内を流通する蒸気の温度に応じた高い温度で潜熱を放出する。したがって、例えば蒸気タービン100の停止時には、相対的に車室内を流通する蒸気の温度が高い上流側の潜熱蓄熱部207が、下流側の潜熱蓄熱部207に比べてより高い温度で潜熱を放出する。これにより、ケーシング203上における軸線A方向の位置に応じて、適切な温度で潜熱を放出することができる。つまり、ロータ201とケーシング203の熱収縮量の差を小さくすることができる。これにより、上述のクリアランスが急速に縮小してしまう虞を低減することができる。すなわち、ピンチ等の現象が発生する可能性を低減することができるため、蒸気タービン100をより安定的に運転することができる。
【0054】
なお、本実施形態に係る蒸気タービン100(特に、ケーシング203)を製造するに当たっては以下のような方法が取られる。まず、
図5に示すように、鋳造等によって一体に形成されたケーシング203の素体Bを得る(素体準備工程)。この素体Bの外周側には、複数の溝部Rが形成されている。それぞれの溝部Rは、キャビティ206を画成するキャビティ端面263、キャビティ内周面261によって画成されている。続いて、
図6に示すように、隔壁Wの外周側端部に、後述する蓋体Lを取り付けるためのざぐり部Cが形成される(切削工程)。ざぐり部Cは、隔壁Wの外周側端部を軸線A方向の両側から切削加工することによって形成される。これにより、外周側端部は、隔壁Wの他の部分に比べて軸線A方向の寸法が小さい尖頭状をなす。
【0055】
次に、
図7に示すように、潜熱蓄熱部207をそれぞれの溝部Rに潜熱蓄熱部207を隙間なく配置する(充填工程)。このとき、潜熱蓄熱部207は固体であることが望ましい。最後に、
図8に示すように、各溝部Rに対して外周側から蓋体Lが取り付けられる(蓋体取付工程)。蓋体Lの内周側の面はキャビティ外周面262をなしている。これにより、ケーシング203が完成する。
【0056】
なお、上記第二実施形態では、複数の潜熱蓄熱部207が軸線A方向に間隔をあけて配列されている例について説明した。しかしながら、潜熱蓄熱部207の構成は上記に限定されず、例えば、軸線Aの周方向に複数に分割されていてもよい。このような構成によれば、周方向におけるクリアランスの偏在化を抑制することができる。
【0057】
[第三実施形態]
続いて、本発明の第三実施形態について、
図9,
図10を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態に係るキャビティ306の内面(キャビティ内周面361)には、複数の突起部309が配列されている。これらの突起部309は、キャビティ内周面361上で、軸線A方向、及び軸線Aの周方向に互いに間隔をあけて格子状に配列されている。
【0058】
各突起部309は、軸線Aの径方向から見て円形の断面を有するとともに、キャビティ内周面361から外周側に向かうにしたがって次第に先細りとなるように突出している。さらに、突起部309の先端部(外周側の端部)と、キャビティ外周面362との間には間隙が設けられている。すなわち、突起部309の先端部はキャビティ外周面362と接していない。なお、突起部309は、ケーシング303に対して一体に設けられている。すなわち、ケーシング303と突起部309とは熱的に接続されている。
【0059】
このような構成によれば、突起部309の表面積の分だけ、潜熱蓄熱部307とケーシング303との接触面積を増やすことができる。つまり、ケーシング303と潜熱蓄熱部307との間における熱の伝達をさらに促進することができる。加えて、潜熱蓄熱部307が溶融してキャビティ306内で偏ってしまった場合であっても、突起部309が設けられていることにより、ケーシング303と潜熱蓄熱部307との間で十分に熱の授受を行うことができる。
【0060】
以上、本発明の第三実施形態について説明した。しかしながら、上記実施形態は一例であり、ケーシング303と潜熱蓄熱部307との接触面積を増やすことができる限りにおいては、突起部309の形状は上記に限定されない。例えば
図10に示すように、突起部310として、キャビティ内周面361上で互いに交差する複数のフィンを設けてもよい。このような構成によっても、突起部310の表面積の分だけ、潜熱蓄熱部307とケーシング303との接触面積を増やすことができる。
【0061】
[第四実施形態]
続いて、本発明の第四実施形態について、
図11を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。同図に示すように、本実施形態に係るケーシング403のキャビティ406内には、上述した潜熱蓄熱部7とは異なる化学蓄熱部407が設けられている。
【0062】
化学蓄熱部407は、熱反応(吸熱・発熱を伴う化学反応)を生じる物質によって形成されている。具体的には、化学蓄熱部407としては、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムの少なくとも一方を含む化学物質が好適に用いられる。これらの化学種は、それぞれ下記の式(1),式(2)に示すような熱反応を生じることが知られている。
Ca(OH)
2 ⇔ CaO + H
2O ・・・(1)
Mg(OH)
2 ⇔ MgO + H
2O ・・・(2)
【0063】
式(1)に示すように、水酸化カルシウム(Ca(OH)
2)は、熱が加えられると、その熱を吸収するとともに、酸化カルシウム(CaO)と水とに分解する。つまり、吸熱反応を生じる。反対に、酸化カルシウムに水を加えると、熱を放出するとともに、水酸化カルシウムとなる。つまり、発熱反応を生じる。
【0064】
上記のような化学特性を利用することで、本実施形態ではケーシング403と車室内を流通する蒸気Sとの間で熱の授受が行われる。より具体的には、ケーシング403には、化学蓄熱部407と水タンク(不図示)との間で水を授受する供給流路411、及び排出流路412が形成されている。供給流路411の一端はキャビティ406に接続されるとともに、他端は水タンクに接続されている。同様に、排出流路412の一端はキャビティ406の他の部分に接続されるとともに、他端は水タンクに接続されている。
【0065】
供給流路411を通じて、キャビティ406内の化学蓄熱部407に対して水が供給され、上記式(1)、及び式(2)に準じた発熱反応が生じる。反対に、化学蓄熱部407に熱が加えられた場合には、その熱を化学蓄熱部407が吸収する(吸熱反応が生じる)。
【0066】
続いて、本実施形態に係る蒸気タービン100の動作について、特に停止時と起動時におけるロータ401とケーシング403の挙動に着目して説明する。まず、蒸気タービン100の運転中には、ロータ401、ケーシング403ともに、車室内を流通する高温高圧の蒸気Sによって加熱され、高温となっている。この状態では、ロータ401、ケーシング403ともに熱伸びを生じており、かつ上記クリアランスの大きさは予め定められた値となっている。
【0067】
一方で、蒸気タービン100を停止する(すなわち、蒸気Sの供給を停止する)と、ロータ401よりも熱容量の小さなケーシング403では、ロータ401よりも早い温度低下が生じる。つまり、ケーシング403は、ロータ401よりも早く収縮する。この状態が続いた場合、ケーシング403の内周面とロータ401(動翼)とが接触してしまう、ピンチと呼ばれる現象が生じる可能性がある。ピンチが生じた場合、蒸気タービン100の安定的な運転に支障を来す虞がある。
【0068】
しかしながら、本実施形態に係る蒸気タービン100では、ケーシング403の内部(キャビティ406内)に化学蓄熱部407が設けられている。化学蓄熱部407には、蒸気タービン100の運転中に車室を流通する蒸気Sの熱量が潜熱として蓄えられている。さらに、化学蓄熱部407は上述のように熱反応を生じる物質で形成されていることから、当該熱反応に伴って、自身に蓄えられた潜熱を放出する。したがって、蒸気タービン100を停止するに当たっては、化学蓄熱部407が設けられていない場合に比べて、ケーシング403からの見かけ上の熱放出(温度低下)を緩やかにすることができる。つまり、ロータ401とケーシング403の熱収縮量の差を小さくすることができる。これにより、上述のクリアランスが急速に縮小してしまう虞を低減することができる。すなわち、ピンチ等の現象が発生する可能性を低減することができるため、蒸気タービン100をより安定的に運転することができる。
【0069】
さらに、蒸気タービン100を起動する場合(特に、ロータ401、ケーシング403の温度が常温まで下がり切っていない状態から起動する場合:warm/hot起動時)には、前回停止時からのケーシング403の熱収縮が小さく抑えられていることから、起動に伴ってロータ401が熱伸びを始めても、ロータ401とケーシング403との間のクリアランスを十分に確保することができる。すなわち、ピンチ等の現象が発生する可能性を低減することができるため、蒸気タービン100をより安定的に運転することができる。
【0070】
以上、本発明の第四実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて上記構成に種々の変更を施すことが可能である。例えば、上記実施形態では、化学蓄熱部407として、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムの少なくとも一方を用いた例について説明した。しかしながら、化学蓄熱部407としてはこれら化学種に限定されず、炭酸マグネシウムを化学蓄熱部407として用いることも可能である。
【0071】
炭酸マグネシウムは、下記の式(3)に示すような熱反応を生じることが知られている。
Mg(CO)
3 ⇔ MgO + CO
2 ・・・(3)
【0072】
式(3)に示すように、炭酸マグネシウム(Mg(CO)
3)は、熱が加えられると、その熱を吸収するとともに、酸化マグネシウム(CaO)と二酸化炭素(CO
2)とに分解する。つまり、吸熱反応を生じる。反対に、酸化マグネシウムに二酸化炭素を加えると、熱を放出するとともに、炭酸マグネシウムとなる。つまり、発熱反応を生じる。
【0073】
上記のような化学特性を利用することで、ケーシング403と車室内を流通する蒸気Sとの間で熱の授受が行われる。より具体的には、ケーシング403には、化学蓄熱部407とCO2タンク(不図示)との間で二酸化炭素を授受するCO2供給流路413、及びCO2排出流路414が形成されている。CO2供給流路413の一端はキャビティ406に接続されるとともに、他端はCO2タンクに接続されている。同様に、CO2排出流路414の一端はキャビティ406の他の部分に接続されるとともに、他端はCO2タンクに接続されている。
【0074】
CO2供給流路413を通じて、キャビティ406内の化学蓄熱部407に対して二酸化炭素が供給され、上記式(3)に準じた発熱反応が生じる。反対に、化学蓄熱部407に熱が加えられた場合には、その熱を化学蓄熱部407が吸収する(吸熱反応が生じる)。このような構成によっても、上記第四実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0075】
なお、上記第四実施形態では、複数の化学蓄熱部407が軸線A方向に間隔をあけて配列されている例について説明した。しかしながら、化学蓄熱部407の構成は上記に限定されず、例えば、軸線Aの周方向に複数に分割されていてもよい。このような構成によれば、周方向におけるクリアランスの偏在化を抑制することができる。
【0076】
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態について、
図12を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。同図に示すように、本実施形態に係る蒸気タービン100では、ケーシング503内部のキャビティ506に化学蓄熱部407が設けられている。キャビティ506には、一端が当該キャビティ506に接続されるとともに、他端が上述の主流路M(車室内)に接続された供給流路515、及び還流路516が1つずつ設けられている。
【0077】
ここで、主流路M中には水を主成分とする高温高圧の蒸気Sが流通している。この蒸気Sは、供給流路515を通じて、化学蓄熱部407に供給される。すなわち、化学蓄熱部407に対して水としての蒸気Sが供給され、上記式(1)、及び式(2)に準じた発熱反応が生じる。反対に、化学蓄熱部407に熱が加えられた場合には、その熱を化学蓄熱部407が吸収し、かつ水が生じる。この水は、還流路516を通じて主流路M中に戻される。このような構成によっても、上記第四実施形態と同様の作用効果を得ることができる。加えて、高温高圧の蒸気S(水)を主流路M中から化学蓄熱部407に導くことから、その圧力によって熱反応を促進することができる。
【0078】
以上、本発明の第五実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて上記構成に種々の変更を施すことが可能である。例えば、
図13に示すように、軸線A方向に間隔をあけて複数のキャビティ206を形成し、各キャビティ206に化学蓄熱部507を設けることも可能である。同図の例では、供給流路515と還流路516とを兼ねる供給流路517が各キャビティ206に形成されている。すなわち、この供給流路517を通じて主流路M中の蒸気Sが化学蓄熱部507に供給されることで発熱反応が生じる。また、吸熱反応によって生じた水(水蒸気S)は、この供給流路517を通じて主流路M中に戻される。このような構成によっても、上記第四実施形態と同様の作用効果を得ることができる。加えて、主流路M中を流れる蒸気Sのバイパス流れが発生しないため、化学蓄熱部507を設けたことによる蒸気タービン100の出力への影響を抑制することができる。
【0079】
なお、上記の例では、複数の化学蓄熱部507を互いに同等の化学組成としてもよいし、互いに異なる化学組成としてもよい。
さらに、上記第三実施形態で説明した突起部309を、第四実施形態及び第五実施形態における化学蓄熱部407に対して適用することも可能である。このような構成によれば、突起部309の表面積の分だけ、化学蓄熱部407とケーシング3との接触面積を増やすことができる。つまり、ケーシング3と化学蓄熱部407との間における熱の伝達をさらに促進することができる。
【0080】
加えて、上記各実施形態で説明した潜熱蓄熱部7、及び化学蓄熱部407は、単車室型の蒸気タービン100のみならず、ガスタービン600や、高中圧車室一体型の蒸気タービン700にも適用することが可能である。
図14に示すガスタービン600は、外部の空気を圧縮して高圧空気を生成する圧縮機601と、高圧空気を燃料とともに燃焼させることで高温高圧の燃焼ガスを生成する燃焼器602と、燃焼ガスによって回転駆動されるタービン603と、を備えている。圧縮機601は、軸線Aに沿って延びる圧縮機ロータ604と、圧縮機ロータ604を外周側から覆う圧縮機ケーシング605と、を有している。燃焼器602は、燃焼ガスが流通する燃焼器本体606と、燃焼器本体606に燃料を供給するノズル607と、を有している。タービン603は、圧縮機ロータ604と軸線A方向に同軸に接続されたタービンロータ608と、タービンロータ608を外周側から覆うタービンケーシング609と、を有している。圧縮機ロータ604には、クリアランスを介して圧縮機ケーシング605と対向する圧縮機動翼610が設けられている。同様に、タービンロータ608には、クリアランスを介してタービンケーシング609と対向するタービン動翼611が設けられている。これらのうち、圧縮機ケーシング605の内部及びタービンケーシング609の内部に、上述した潜熱蓄熱部7、又は化学蓄熱部407を設けることが可能である。
【0081】
さらに、
図15に示すように、蒸気タービン700は、軸線Aに沿って延びる一体型ロータ701と、この一体型ロータ701を外周側から覆う内部ケーシング702と、内部ケーシング702をさらに外周側から覆う外部ケーシング703と、を備えている。外部ケーシング703の内側には、シール部(不図示)によって隔てられた高圧部704と、中圧部705とが設けられている。さらに、一体型ロータ701には、クリアランスを介して内部ケーシング702の内周面と対向する高圧動翼、及び中圧動翼が設けられている。また、外部ケーシング703には、それぞれ高圧吸気口706、高圧排気口707、中圧吸気口708、及び中圧排気口709が形成されている。高圧吸気口706を通じて内部ケーシング702内の高圧部704に導かれた高圧蒸気Sは、一体型ロータ701を回転させた後、高圧排出口から外部に排出される。高圧排出口から排出された蒸気Sは、不図示の再熱器等を経て中圧蒸気S´となって、中圧吸気口708に導入される。中圧吸気口708を通じて内部ケーシング702内の中圧部705に導かれた中圧蒸気S´は、一体型ロータ701を回転させた後、中圧排出口から外部に排出される。このうち、内部ケーシング702の内部に、上述した潜熱蓄熱部7、又は化学蓄熱部407を設けることが可能である。
【0082】
また、実施形態では本発明を蒸気タービンやガスタービンに適用した例について説明したが、他の回転機械に本発明を適用してもよい。