特許第6821391号(P6821391)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6821391電源装置及びこれを用いる車両並びに蓄電装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6821391
(24)【登録日】2021年1月8日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】電源装置及びこれを用いる車両並びに蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/20 20210101AFI20210114BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20210114BHJP
   H01M 50/10 20210101ALI20210114BHJP
【FI】
   H01M2/10 A
   H01M2/10 F
   H01M2/12 101
   H01M2/02 C
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-210086(P2016-210086)
(22)【出願日】2016年10月26日
(65)【公開番号】特開2018-73560(P2018-73560A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(72)【発明者】
【氏名】江頭 拓也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直剛
(72)【発明者】
【氏名】高田 浩志
【審査官】 結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/018286(WO,A1)
【文献】 特開2015−133266(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/024433(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/136193(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0065100(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/02
H01M 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内圧の上昇に応じて開弁可能な安全弁を備える一以上の二次電池セルを含む複数の電池ブロックと、
前記複数の電池ブロックが並べて配置される配置方向に沿った一面と対向する姿勢に配置され、各電池ブロックに含まれる二次電池セルの安全弁の開弁時に排出されるガス及び異物を外部に排出するよう、各電池ブロックに設けられた電池ブロック側開口窓とそれぞれ連通させた排気ダクトとを備える電源装置であって、
前記排気ダクトの経路上であって隣接する電池ブロック同士の間に異物移動阻止片を設けてなる電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記異物移動阻止片が、前記排気ダクト内におけるガスの排出方向に対して交差する姿勢に固定されてなる電源装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電源装置であって、
前記異物移動阻止片が、ガスの前記排気ダクトの経路の断面積を部分的に狭くするように配置されてなる電源装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一に記載の電源装置であって、
前記異物移動阻止片が、ガスの排出方向に対して経路の断面積を徐々に狭くするような傾斜姿勢で前記排気ダクトに固定されてなる電源装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記二次電池セルが、円筒型の外装缶を有しており、その円筒型外装缶の端面の両方に前記安全弁をそれぞれ設けてなる電源装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一に記載の電源装置を備えてなる電動車両であって、
前記電源装置と、該電源装置から電力供給される走行用のモータと、前記電源装置及び前記モータを搭載してなる車両本体と、前記モータで駆動されて前記車両本体を走行させる車輪とを備えることを特徴とする電源装置を備える電動車両。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一に記載の電源装置を備えてなる蓄電装置であって、
前記電源装置への充放電を制御する電源コントローラを備えており、
前記電源コントローラでもって、外部からの電力により前記二次電池セルへの充電を可能とすると共に、前記二次電池セルに対し充電を行うよう制御することを特徴とする蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置及びこれを用いる車両並びに蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の二次電池セルを備える電源装置は、二次電池セルを直列に接続して出力電圧を高くできることから、例えばハイブリッド車の駆動用電源のような、大電流で充放電される用途に使用されている。この電源装置は、車両を加速するときに極めて大きな電流で放電され、また、回生制動等の状態では、相当に大きな電流で充電される。この電源装置は、過充電や過放電などで内圧が上昇する異常な状態での破壊を防止して安全性を確保するために、円筒形電池セルを始めとする二次電池セルにガス排出弁を設けている。ガス排出弁は、電池の内圧が異常に上昇すると開弁してガスを排気する。またこのガス排出弁は、それぞれが共通の排気ダクトに連通されており、非常時にガス排出弁が開弁されると、ガスは排気ダクトを通じて外部に排出される(例えば特許文献1〜4参照)。
【0003】
しかしながら、排気ダクト内に排出されるのは、ガスに限られず、二次電池セルの電極材料や弁の一部、炭化した粉体物といった異物が含まれている。特に、従来の円筒型電池セルにおいては正極側のみに安全弁が設けられていたところ、高出力化に伴い、ガスの排出能力を高めるため、負極側にも安全弁を設ける構成が提案されている(例えば特許文献5参照)。このような二次電池セルの例を図17の断面図に示す。この図に示す二次電池セル171は、正極側蓋板175と負極側蓋板177に、それぞれ安全弁172、172を備える。このような構成のため、安全弁の開弁時には開弁される面積が増えた分だけ、排出される異物の量も多くなっている。これらの異物は導電性を有するものが含まれていることから、排気ダクトに排出された異物が蓄積されて、排気ダクトを通じて他の二次電池セルの端面電極や外装缶に触れるなどすると、短絡(ブリッジ)を生じる可能性があった。これを回避するために、各二次電池セルにそれぞれ個別に排気ダクトを用意することが考えられるが、この方法では構成が複雑になる上、二次電池セルの本数が増えると排気ダクトの専有面積も増えて電源装置が大型化し、重量も重くなってしまう等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−135763号公報
【特許文献2】特開2015−18706号公報
【特許文献3】特開2012−199186号公報
【特許文献4】特開2000−182591号公報
【特許文献5】特開2015−141821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来のこのような背景に鑑みてなされたものであり、その目的の一は共通の排気ダクトを使用しつつも、二次電池セルから排出された異物により排気ダクトを通じた意図しない短絡を回避するようにした電源装置及びこれを用いる車両並びに蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
本発明の第1の側面に係る電源装置によれば、内圧の上昇に応じて開弁可能な安全弁を備える一以上の二次電池セルを含む複数の電池ブロックと、前記複数の電池ブロックが並べて配置される配置方向に沿った一面と対向する姿勢に配置され、各電池ブロックに含まれる二次電池セルの安全弁の開弁時に排出されるガス及び異物を外部に排出するよう、各電池ブロックに設けられた電池ブロック側開口窓とそれぞれ連通させた排気ダクトとを備える電源装置であって、前記排気ダクトの経路上であって隣接する電池ブロック同士の間に異物移動阻止片を設けることができる。上記構成により、一の電池ブロックから排出された異物が排気ダクトを伝って隣接する他の電池ブロックに移動する事態を阻止して、導電性の異物を通じた意図しない短絡を回避して信頼性を高めることができる。
【0007】
また、第2の側面に係る電源装置によれば、上記構成に加え、前記異物移動阻止片を、前記排気ダクト内におけるガスの排出方向に対して交差する姿勢に固定することができる。上記構成により、固体である異物の物理的な移動を異物移動阻止片によって阻止することができる。
【0008】
さらに、第3の側面に係る電源装置によれば、上記いずれかの構成に加え、前記異物移動阻止片を、ガスの前記排気ダクトの経路の断面積を部分的に狭くするように配置することができる。上記構成により、異物移動阻止片でもって排気ダクトの断面積を狭くしたことで、固体状の異物の移動を阻止しつつ、ガスの排出が妨げられないようにして開弁時の高圧ガスのスムーズな排出を維持できる。
【0009】
さらにまた、第4の側面に係る電源装置によれば、上記いずれかの構成に加え、前記異物移動阻止片を、ガスの排出方向に対して経路の断面積を徐々に狭くするような傾斜姿勢で前記排気ダクトに固定することができる。上記構成により、異物移動阻止片をガスの排出方向に対して傾斜姿勢で保持して、固体である異物の移動は阻止しつつも、気体であるガスの排出は維持される。
【0010】
さらにまた、第5の側面に係る電源装置によれば、上記いずれかの構成に加え、前記二次電池セルが、円筒型の外装缶を有しており、その円筒型外装缶の端面の両方に前記安全弁をそれぞれ設けることができる。上記構成により、両方の端面に設けられた安全弁が開弁されると、熱暴走等した二次電池セルから安全弁を通じて放出される異物の量も増えるところ、異物移動阻止片によってこのような異物に起因する短絡を効果的に阻止して安全性を高めることができる。
【0011】
さらにまた、第6の側面に係る車両によれば、上記いずれかの電源装置を備えた電動車両であって、前記電源装置と、該電源装置から電力供給される走行用のモータと、前記電源装置及び前記モータを搭載してなる車両本体と、前記モータで駆動されて前記車両本体を走行させる車輪とを備えることができる。
【0012】
さらにまた、第7の側面に係る蓄電装置によれば、上記いずれかの電源装置を備えた蓄電装置であって、前記電源装置への充放電を制御する電源コントローラを備えており、前記電源コントローラでもって、外部からの電力により前記角形電池への充電を可能とすると共に、前記角形電池に対し充電を行うよう制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1に係る電源装置を示す斜視図である。
図2図1の電源装置のII−II線における水平断面図である。
図3】異物移動阻止片の一例を示す拡大断面図である。
図4】異物移動阻止片の他の例を示す拡大断面図である。
図5】異物移動阻止片の他の例を示す拡大断面図である。
図6】異物移動阻止片の他の例を示す拡大断面図である。
図7】異物移動阻止片の他の例を示す拡大断面図である。
図8】異物移動阻止片の他の例を示す拡大断面図である。
図9】異物移動阻止片の他の例を示す拡大断面図である。
図10】異物移動阻止片の他の例を示す拡大断面図である。
図11】異物移動阻止片の他の例を示す拡大断面図である。
図12】変形例1に係る電源装置を示す斜視図である。
図13】変形例2に係る電源装置を示す斜視図である。
図14】エンジンとモータで走行するハイブリッド自動車にバッテリ装置を搭載する例を示すブロック図である。
図15】モータのみで走行する電気自動車にバッテリ装置を搭載する例を示すブロック図である。
図16】蓄電装置にバッテリ装置を使用する例を示すブロック図である。
図17】正極側と負極側に安全弁を設けた二次電池セルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明は以下のものに特定されない。また、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0015】
以下に示す電源装置は、主として、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車や、モータのみで走行する電気自動車などの電動車両の駆動用電源に適用する例を説明する。なお本発明の電源装置を、ハイブリッド車や電気自動車以外の車両に使用したり、電動車両以外の大出力が要求される用途、例えば家庭用、工場用の蓄電装置等に使用してもよい。
(実施形態1)
【0016】
実施形態1に係る電源装置100の斜視図を図1に、図1のII−II線における水平断面図を図2に、それぞれ示す。これらの図に示す電源装置100は、複数の電池ブロック10と排気ダクト20を備えている。電池ブロック10は、一以上の二次電池セル1を電池ブロックケース12に収納している。ここでは各電池ブロック10は、複数本の円筒形の二次電池セル1を積層して構成される。二次電池セル1は円筒形の外装缶の端面に、それぞれ電極を設けている。また各二次電池セル1の端面を揃えた姿勢に積層して、バスバー等によりこれらを直列や並列に接続している。二次電池セル1には、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池、ニッケルカドミウム二次電池等が利用できる。
(安全弁2)
【0017】
リチウムイオン二次電池等の非水電解液の二次電池セル1は、過充電、過放電したり過大電流が流れた場合、物理的衝撃が加えられた場合、外部短絡が生じた場合、異常高温などの過酷な条件下におかれた場合等に、電池内の電気化学反応が暴走して、電池内圧が上昇して高温になり、発火、破裂することがある。このため、二次電池セル1は電池内圧が上昇する場合に備えて、内圧を解放するための安全弁2を設けている。安全弁2は、外装缶の内圧の上昇に応じて開弁する。このような安全弁2は、例えばスプリングのような弾性体で外装缶を外側から内側に向かって閉塞するよう付勢し、内圧の上昇によって弾性体が押圧されて開弁する構成とできる。あるいは、端面板の金属板を部分的に薄くして、内圧の上昇により金属板を破断させることで、内部のガスが破断部分から排出されるように構成することもできる。
【0018】
安全弁2は、電池セルの外装缶の端面を閉塞する端面板の内、少なくとも一方に設けられる。また安全弁2は、外装缶の端面の両側に設けてもよい。これによって異常な状態となった二次電池セル1の内部から2つの安全弁を通じてガスを速やかに排出して、破裂や発火を回避できる。また、安全弁を複数箇所に設けることで放出されるガスや異物の量も増えるところ、後述の通り異物移動阻止片30を設けることでこのような異物に起因する短絡を効果的に阻止して安全性を高めることができる。
(電池ブロックケース12)
【0019】
図1及び図2の例では、電池ブロック10を2つ並べている。二次電池セル1で構成された各電池ブロック10を収納する電池ブロックケース12は中空の箱形とする。電池ブロックケース12は、樹脂製としたり、表面を絶縁した金属製とする。また二次電池セル1は、例えば樹脂製の電池ホルダ等を用いて、所定の姿勢で一以上の二次電池セル1を電池ブロックケース12内に保持できる。
(排気ダクト20)
【0020】
このように複数の電池ブロックケース12が並べて配置された状態で、配置方向に沿った一面と対向する姿勢に排気ダクト20が配置される。また電池ブロックケース12の一部には、電池ブロック側開口窓14を形成し、排気ダクト20と連通している。一方排気ダクト20側には、電池ブロック側開口窓14と対向する位置にダクト側開口窓24を形成している。電池ブロック側開口窓14とダクト側開口窓24との連結部分では、気密となるようにパッキン等の封止部材が配置され、高温高圧のガスが連結部分から漏れることを防止する。これにより、共通の排気ダクト20に各電池ブロックケース12を連通させて、ガス等の外部への排出経路を容易に構築できる。すなわち、各電池ブロックケース12内に収納されるいずれかの二次電池セル1が安全弁2を開弁した場合に、排出されるガスや異物を排気ダクト20に案内し、この排気ダクト20を通じて電源装置100の外部、例えば車載用の電源装置においては車の外部に放出するよう案内される。特に二次電池セル1の内部が高圧になって開弁された安全弁2から放出されるのは、高圧高温のガスGSのみに限らず、様々な異物OB、例えば電極材料であったり端子の一部のような金属片等も含まれる。これらの中には導電性を示すものがあるところ、一の電池ブロックケース12と他の電池ブロックケース12とは上述の通り電池ブロック側開口窓14とダクト側開口窓24とを通じて連通されているため、このような導電性の異物OBが、排気ダクト20を通じて正常な電池ブロック側に到達し、意図しない短絡等を生じさせることが考えられる。
(異物移動阻止片30)
【0021】
そこで、図2の水平断面図に示すように、排気ダクト20の経路上であって隣接する電池ブロック10同士の間に異物移動阻止片30を設けている。この異物移動阻止片30は、一の電池ブロック10の電池ブロック側開口窓14から前記排気ダクト20に排出される異物OBが、該排気ダクト20を通じて他の電池ブロック10の電池ブロック側開口窓14に移動されることを阻止しつつ、ガスGSの排出を阻害しないように構成されている。これにより、一の電池ブロック10から排出された異物OBが排気ダクト20を伝って隣接する他の電池ブロック10に移動する事態を阻止して、導電性の異物OBを通じた意図しない短絡を回避して信頼性を高めることができる。
【0022】
異物移動阻止片30は、排気ダクト20の経路の断面積を部分的に狭くするように配置することが好ましい。このようにすることで、固体状の異物OBが排気ダクト20を伝って移動することを阻止しつつも、ガスGSの排出は断面積を狭くした部分を通過できるようにしたことで妨げられないようにして、安全弁2の開弁時の高圧ガスGSのスムーズな排出を維持できる。図2の例では、異物移動阻止片30は、ガスGSの排出方向(図2において右から左方向)に対して、経路の断面積を徐々に狭くするような傾斜姿勢で排気ダクト20に固定された異物移動阻止タブとしている。このようにすることで、ガスGSの排出が妨げられない一方、異物OBの移動は異物移動阻止タブでもって効果的に阻止できる。また図2の例では、異物移動阻止片30を平板状として傾斜姿勢に固定している。ただし、異物移動阻止片の形状は、これに限定するものでなく、例えば図3に示す異物移動阻止片30Bのように断面視において曲面状に形成したり、あるいは図4に示す異物移動阻止片30Cのように三角形状としたり、図5に示す異物移動阻止片30Dのように三角形状の斜面を曲面状としたり、あるいはまた図6に示す異物移動阻止片30Eのように階段状としてもよい。特に板状でなく三角形状や階段状とすることで、異物移動阻止片を排気ダクト内に安定的に固定し易くできる。
【0023】
あるいはまた、図7に示すように異物移動阻止片30Fを傾斜を設けずに直立させた壁状としてもよい。このように異物移動阻止片30を、排気ダクト20内におけるガスGSの排出方向に対して交差する姿勢に固定することで、固体である異物OBの物理的な移動を異物移動阻止片30によって効果的に阻止することができる。
【0024】
さらには、異物移動阻止片30を排気ダクト20内の一方の壁面にのみ固定する構成に限られず、図8に示す異物移動阻止片30Gのように、両側の側面から壁状に交互に突出させて設けてもよい。この際、図9に示すように各異物移動阻止片30Hを傾斜姿勢に固定してもよい。さらには図10に示すように、螺旋状のスクリュー形に異物移動阻止片30Iを形成することもできる。あるいは、図11に示すように異物移動阻止片30Jをメッシュ状に構成して、ガスGSはメッシュを通過させつつ、異物OBは堰き止められるようにする構成も採用できる。また、上述した構成を適宜組み合わせてもよい。
【0025】
このような異物移動阻止片30は、排気ダクト20の内面で、電池ブロックケース12同士の間に配置することが好ましい。これによって、排気ダクト20を通じて電池ブロックケース12間を跨いで異物OBが移動する事態を効果的に阻止できる。
(変形例1)
【0026】
電池ブロック側開口窓14は、電池ブロックケース12の排気ダクト20との対向面の内、ガスGSの排出方向に対して下流側に開口させることが好ましい。このようにすることで、ガスGSが排出される方向を一方向に統一して、スムーズなガスGSの排出が図られる。ただ、本発明においては電池ブロック側開口窓14の開口位置や開口させる数は、このような構成に限定されるものでない。例えば、電池ブロック10を構成する各二次電池セル1毎に、電池ブロック側開口窓14を開口させてもよい。この場合において、異物移動阻止片30は、電池ブロック側開口窓14同士の間に設けることができる。このような例を変形例1に係る電源装置200として図12の水平断面図に示す。この例では、二次電池セル1毎に電池ブロック側開口窓14を開口させて、さらにこれら電池ブロック側開口窓14同士の間に異物移動阻止片30Kをそれぞれ設けている。これによって、共通の電池ブロックケース12内に収納された二次電池セル1同士の間で、異物OBによる意図しない短絡等を阻止乃至低減することが期待できる。
(変形例2)
【0027】
また、二次電池セルの円筒形の外装缶の端面の両側に安全弁を設ける構成においては、一方の安全弁が面するように配置された電池ブロックケースの一方側の面にのみ電池ブロック側開口窓を設ける構成とする他、対向する他方の安全弁が配置された面側にも同様に電池ブロック側開口窓を設けてもよい。このような例を変形例2として図13に示す。この図に示す電源装置300では、円筒形の二次電池セル1の上面と下面にそれぞれ安全弁2A、2Bを設けており、電池ブロックケース12において各安全弁2A、2Bと対応する位置に、電池ブロック側開口窓14A、14Bをそれぞれ開口している。さらに各電池ブロック側開口窓14A、14B同士の間に、異物移動阻止片30L、30Mをそれぞれ固定している。また上下の排気ダクト20A、20Bにはそれぞれ、電池ブロック側開口窓14A、14Bと対向する位置にダクト側開口窓24A、24Bをそれぞれ形成している。
【0028】
なお上述した図12図13の例では、隣接するすべての電池ブロック側開口窓14同士の間にそれぞれ異物移動阻止片30を設けた構成を示しているが、必ずしも隣接するラミネート電池セル間のすべてに異物移動阻止片を設ける必要はなく、一つおきとするなど、一部において省略して設けてもよい。
【0029】
このように本実施形態によれば、異物移動阻止片でもって、一の電池ブロックの電池ブロック側開口窓から排気ダクトに排出される異物が、排気ダクトを通じて他の電池ブロックの電池ブロック側開口窓に移動されることを阻止しつつ、ガスの排出を阻害しないように構成できる。
【0030】
以上の例では、二次電池セルを水平姿勢に配置した電源装置の例を説明したが、本発明は二次電池セルの配置方向をこの構成に特定せず、例えば垂直姿勢や斜め方向の姿勢とすることも可能であることはいうまでもない。特に二次電池セルを垂直姿勢に配置し、その上面に排気ダクトを配置する構成の場合は、異物移動阻止片を壁状に形成して上部を開放させることで、異物が異物移動阻止片を超え難くして、異物OB動を効果的に阻止できる。また、異物移動阻止片を直立に固定した壁状とする他、傾斜させること可能であり、この場合も異物が異物移動阻止片を超えるには傾斜面を這い上がらねばならないようにすることで、異物の移動を効果的に阻止できる。
【0031】
また以上の例では円筒形の二次電池セルを用いた例を説明したが、本発明は対象となる二次電池セルを円筒形のものに限定せず、他の形状、例えば外装缶を角型とする二次電池セルやラミネート形の二次電池セルにも適用できる。
【0032】
以上の電源装置は、車載用の電源として利用できる。電源装置を搭載する車両としては、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、あるいはモータのみで走行する電気自動車等の電動車両が利用でき、これらの車両の電源として使用される。なお、車両を駆動する電力を得るために、上述した電源装置を直列や並列に多数接続して、さらに必要な制御回路を付加した大容量、高出力の電源装置1000を構築した例として説明する。
(ハイブリッド車用電源装置)
【0033】
図14に、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両HVは、車両本体90と、車両本体90を走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、モータ93に電力を供給する電源装置1000と、電源装置1000の電池を充電する発電機94と、モータ93とエンジン96で駆動されて車両本体90を走行させる車輪97とを備えている。電源装置1000は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電源装置1000の電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、例えば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電源装置1000から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電源装置1000の電池を充電する。
(電気自動車用電源装置)
【0034】
また図15に、モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両EVは、車両本体90と、車両本体90を走行させる走行用のモータ93と、このモータ93に電力を供給する電源装置1000と、この電源装置1000の電池を充電する発電機94、モータ93で駆動されて車両本体90を走行させる車輪97とを備えている。モータ93は、電源装置1000から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置1000の電池を充電する。
(蓄電用電源装置)
【0035】
さらに、この電源装置は、移動体用の動力源としてのみならず、載置型の蓄電用設備としても利用できる。例えば家庭用、工場用の電源として、太陽光や深夜電力等で充電し、必要時に放電する電源システム、あるいは日中の太陽光を充電して夜間に放電する街路灯用の電源や、停電時に駆動する信号機用のバックアップ電源等にも利用できる。このような例を図16に示す。この図に示す電源装置1000は、複数の電池パック81をユニット状に接続して電池ユニット82を構成している。各電池パック81は、複数の二次電池セルが直列及び/又は並列に接続されている。各電池パック81は、電源コントローラ84により制御される。この電源装置1000は、電池ユニット82を充電用電源CPで充電した後、負荷LDを駆動する。このため電源装置1000は、充電モードと放電モードを備える。負荷LDと充電用電源CPはそれぞれ、放電スイッチDS及び充電スイッチCSを介して電源装置1000と接続されている。放電スイッチDS及び充電スイッチCSのON/OFFは、電源装置1000の電源コントローラ84によって切り替えられる。充電モードにおいては、電源コントローラ84は充電スイッチCSをONに、放電スイッチDSをOFFに切り替えて、充電用電源CPから電源装置1000への充電を許可する。また充電が完了し満充電になると、あるいは所定値以上の容量が充電された状態で負荷LDからの要求に応じて、電源コントローラ84は充電スイッチCSをOFFに、放電スイッチDSをONにして放電モードに切り替え、電源装置1000から負荷LDへの放電を許可する。また、必要に応じて、充電スイッチCSをONに、放電スイッチDSをONにして、負荷LDの電力供給と、電源装置1000への充電を同時に行うこともできる。
【0036】
電源装置1000で駆動される負荷LDは、放電スイッチDSを介して電源装置1000と接続されている。電源装置1000の放電モードにおいては、電源コントローラ84が放電スイッチDSをONに切り替えて、負荷LDに接続し、電源装置1000からの電力で負荷LDを駆動する。放電スイッチDSはFET等のスイッチング素子が利用できる。放電スイッチDSのON/OFFは、電源装置1000の電源コントローラ84によって制御される。また電源コントローラ84は、外部機器と通信するための通信インターフェースを備えている。図16の例では、UARTやRS−232C等の既存の通信プロトコルに従い、ホスト機器HTと接続されている。また必要に応じて、電源システムに対してユーザが操作を行うためのユーザインターフェースを設けることもできる。
【0037】
各電池パック81は、信号端子と電源端子を備える。信号端子は、パック入出力端子DIと、パック異常出力端子DAと、パック接続端子DOとを含む。パック入出力端子DIは、他のパック電池や電源コントローラ84からの信号を入出力するための端子であり、パック接続端子DOは子パックである他のパック電池に対して信号を入出力するための端子である。またパック異常出力端子DAは、パック電池の異常を外部に出力するための端子である。さらに電源端子は、電池パック81同士を直列、並列に接続するための端子である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る電源装置及びこれを備える車両並びに蓄電装置は、EV走行モードとHEV走行モードとを切り替え可能なプラグイン式ハイブリッド電気自動車やハイブリッド式電気自動車、電気自動車等の電源装置として好適に利用できる。またコンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源装置、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源装置、家庭内用、工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機等のバックアップ電源用等の用途にも適宜利用できる。
【符号の説明】
【0039】
1000、100、200、300…電源装置
1…二次電池セル
2、2A、2B…安全弁
10…電池ブロック
12…電池ブロックケース
14、14B…電池ブロック側開口窓
20…排気ダクト
24、24A、24B…ダクト側開口窓
30、30B、30C、30D、30E、30F、30G、30H、30I、30J、30K、30L、30M…異物移動阻止片
81…電池ブロック
82…電池ユニット
84…電源コントローラ
85…並列接続スイッチ
90…車両本体
93…モータ
94…発電機
95…DC/ACインバータ
96…エンジン
97…車輪
171…二次電池セル
172…安全弁
175…正極側蓋板
177…負極側蓋板
GS…ガス
OB…異物
HV…車両
EV…車両
CP…充電用電源
LD…負荷
DS…放電スイッチ
CS…充電スイッチ
OL…出力ライン
HT…ホスト機器
DI…入出力端子
DA…異常出力端子
DO…接続端子
図1
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