【実施例】
【0024】
以下、図面を参照してシール部材及びインテークマニホールドについてより具体的に説明する。
【0025】
(シール部材)
図2は、吸気ポート側(エンジン81側)からシール部材51を斜視した外観を示している。シール部材51は、弾性体からなり開口部55を有する環状の枠体52と、枠体52の内壁53に接続されるとともに枠体52の開口部55を仕切るように配置され、合わせ面42と平行な方向の枠体52の厚みTより薄く形成された仕切板61と、を備えている。仕切板61により2つに仕切られた開口部55は、それぞれ吸気管の出口部(36、37)に対応するように形成されている(
図1参照)。
シール部材51は、その一方の端面51b側がエンジン81に当接するように使用される。シール部材51の他方の端面51a側は、インテークマニホールド1の取付フランジ41に形成された溝(溝部46及び仕切溝47)に装着される。シール部材51の両端面(51a、51b)は、取付フランジ41の合わせ面42と平行な方向となる。枠体52の前記方向の厚みはTである。また、短冊状の仕切板61は、合わせ面42と垂直な方向に設けられている。
【0026】
仕切板61は、金属、硬質の合成樹脂等を用いて形成することができる。本例の仕切板61は、短冊状の仕切板本体62、及び枠体52の内壁53に接続される端部(63、64)から構成されている。仕切板61の端部(63、64)は仕切板本体62から折曲がった形状となるよう、仕切板本体62と一体に形成することができる。仕切板61の端部(63、64)のサイズや形状等は、枠体52の内壁53に接続可能である限り問わない。例えば、金属製の仕切板61と樹脂製の枠体52は、インサート成形等により一体とすることができる。その他、枠体52に仕切板61の端部(63、64)を嵌合させるための溝等を設け、端部(63、64)を嵌合させてもよい。
【0027】
仕切板61は種々の態様で設けることができる。例えば、
図3(a)は、
図2のA−A断面を表している。仕切板61の厚さは、枠体52の厚さTより薄く形成されている。インテークマニホールド1をエンジン81に取付けた状態では、仕切板61の端面61a側が取付フランジ41に形成された仕切溝47に挿入され、端面61b側がエンジン81に当接することになる(
図8参照)。
また、同図に示されているように、吸気ポート側(エンジン81側)となる仕切板61の端面61bは、吸気ポート側となる枠体52の端面52bに対して長さdだけ低くされている。このようにすれば、インテークマニホールド1とエンジン81との間で弾性体からなる枠体52が押圧されて圧縮された状態において、仕切板61の端面61bをエンジン81側に当接させるようにすることができる。
【0028】
また、
図3(b)に示すように、枠体52は、吸気ポート側となる仕切板61の端面61bを覆うように形成された帯部67を有するようにしてもよい。このようにすれば、仕切板61の端面61bが弾性体からなる帯部67を挟んでエンジン側に当たることとなるため、仕切板61の端面61bとエンジン81との間の隙間を抑制することができる。
帯部67は、仕切板61の端面61bに接する位置を中心として所定の幅とすることができる。例えば、帯部67の幅は、仕切壁43の端面44の幅(厚み)未満とすることができる(
図10参照)。また、帯部67の厚さは、適宜設定することができる。
【0029】
(インテークマニホールド)
図4は、シール部材51を装着したインテークマニホールド1の取付フランジ41(合わせ面42側)を表す正面図である。また、
図5は、
図4におけるA−A断面図であり、
図6はB−B断面図である。
図5及び6は、シール部材51が取付フランジ41の合わせ面42に装着されたのみの状態、すなわちシール部材51が押圧により圧縮されていない状態を表している。
インテークマニホールド1は、出口部(36、37)において近接した2つの吸気管(32、33)と、出口部(36、37)に形成され吸気ポート(82、83)との合わせ面42を有する取付フランジ41とを具備しており、前記シール部材51が合わせ面42に装着されている。
シール部材51を装着するため、取付フランジ41には、2つの吸気管(32、33)の出口部(36、37)を囲むように形成されシール部材51の枠体52が取り付けられた溝部46と、2つの吸気管(32、33)の出口部(36、37)の間を仕切るように形成されシール部材51の仕切板61が挿入された仕切溝47、を備えている。
【0030】
図6に示すように、インテークマニホールド1とエンジン81の間で枠体52が圧縮されていない状態において、仕切板61の端面61bは、枠体52の端面52bに対して所定長さdだけ低くされている。長さdは、インテークマニホールド1がエンジン81に締め付けられることによって枠体52が圧縮される長さから、仕切板61の端面61bをエンジン81に押圧するために必要な長さを引いた長さである。
【0031】
図7は、
図4に示した取付フランジ41を、吸気ポート(82、83)を備えるエンジン81に取付けた状態におけるA−A断面図であり、
図8はB−B断面図である。
シール部材51を挟んで、取付フランジ41をエンジン81に取付けると、弾性体からなるシール部材51の枠体52は取付フランジ41に設けられている溝部46内に収容される方向に圧縮される。これによって、インテークマニホールド1の吸気管(32、33)とエンジン81の吸気ポート(82、83)とはそれぞれ連通し、枠体52の端面52bはエンジン81と密着する。
【0032】
また、取付フランジ41とエンジン81との間で枠体52が圧縮されるに伴い、
図8に示すように、シール部材51に設けられている仕切板61は仕切溝47の底部に向かって押される。金属等からなる仕切板61は変形しないため、仕切板61の端面61bは、吸気ポート82と83とを隔てるエンジン81側の仕切壁に圧接される。これによって、吸気管32及び吸気ポート82と、吸気管33及び吸気ポート83との間の通気は抑制される。
【0033】
図8に表されているように、仕切溝47は、枠体52がエンジン81側からの押圧により圧縮されたときの仕切板61の端面61aよりも深く形成しておくことが好ましい。このように構成すれば、仕切板61の端面61bがエンジン81側に当接された後、仕切板61は仕切溝47の底側の隙間に沈むように押し込まれ、仕切板61の端面61bがエンジン81側に圧接される。また、仕切板61や仕切溝47に無理な力が加わり変形されることを防ぐことができる。仕切板61の端面61aが仕切溝47の底部まで到達していなくても、仕切板61が一定の長さ仕切溝47に挿入されていれば、仕切溝47を介した通気を抑制することができる。
【0034】
図9に示すように、シール部材51の枠体52の端面52b側に、仕切板61の端面61bに被さる所定幅の帯部67を設けることができる。
図10は、帯部67を設けたシール部材51を取付フランジ41に装着した状態を表している。シール部材51の仕切板61は、取付フランジ41の仕切壁43の端面44に形成されている仕切溝47に挿入されており、仕切板61の端面61bには帯部67が当接している。
帯部67の材料としては、ゴム等のエラストマー、合成樹脂等の任意の弾性体を用いることができる。帯部67は、枠体52と同じ又は異なる材料により、枠体52と一体に形成することができる。これによって、仕切板61の端面61bが弾性体からなる帯部67を挟んでエンジン81側に当たることとなるため、仕切板61とエンジン81との間隙を抑制すると共に、仕切板61に過度な力が加わることを防ぐことができる。
【0035】
図11は、前図のシール部材51が装着された取付フランジ41をエンジン81に取付けた状態を表している。シール部材51の枠体52は取付フランジ41に設けられている溝部46と嵌合し、溝部46内に収容されるように圧縮されると共に、端面52bがエンジン81と密着する。また、枠体52が圧縮されるに伴い、帯部67はエンジン81に当接し、圧縮される。そして、仕切板61は帯部67を挟んでエンジン81に押され、仕切溝47の中を下方に移動する。これによって、吸気管(32、33)と吸気ポート(82、83)とは連通されると共に、吸気管の間の合わせ面42での通気は抑制される。
【0036】
仕切板61及び仕切溝47を備えるシール構造は、取付フランジ41が合成樹脂製である場合にも容易に適用することができる。取付フランジ41の材料が合成樹脂であっても、幅の狭い仕切壁43の端面44に幅の狭い仕切溝47を形成することが可能である。例えば、仕切壁43の端面44の幅が3〜5mm程度であれば、厚さ1mm程度の仕切板61を挿入可能な幅の仕切溝47を形成することができる。仕切板61の高さ方向(合わせ面42と垂直方向)の寸法は、例えば3〜4mmとすることができる。
【0037】
インテークマニホールド1により、以上のように吸気管毎に吸気のリークが抑制されるため、隣接する2つの吸気管(32、33)は、異なる燃焼室に導入するための吸気を、それぞれ吸気ポート(82、83)に安定に供給することができる。
図12は、隣接する吸気管32及び33に設けられた弁38及び39(閉弁された状態)を模式的に表した図である。別途備えられる制御手段は、弁38及び39により吸気量を制御することができる。従来、吸気管に弁等を設けて燃焼室に導入される吸気量の制御を行う場合に、近接する吸気管の出口部の間に生じる吸気のリークによって、目標の吸気量とするように制御することが困難であるという問題があった。インテークマニホールド1では、各吸気管の出口部が近接していても仕切板61により相互間の吸気のリークが抑制されるため、隣接する吸気管(32、33)内に吸気量を制御する弁(38、39)を設け、弁(38、39)により目標とする吸気量とするための制御を精度よく行うことができる。
弁(38、39)の開度等の制御は特に問わず、例えば、弁(38、39)はエンジンが所定回転数未満のとき閉弁され(
図12)、前記所定回転数以上のとき開弁されるように制御することができる(
図13)。これにより、開弁時に必要とされる量の吸気を燃焼室内に導入することができる。前記所定回転数は、エンジンの特性や必要とする走行特性に応じて適宜設定されればよい。
【0038】
なお、
図1に示したインテークマニホールド1の吸気管31及び34は、他の吸気管とは離れて設けられているため、それぞれ弾性体からなる環状のシール部材59を配設することによってシールすることができる。取付フランジ41の合わせ面42において、吸気管31及び34の出口部の外周部には、それぞれシール部材59を嵌合させる溝部を形成しておくことができる。よって、
図14に示すように、インテークマニホールド1に用いるシール部材として、吸気管32及び33のシールに用いるシール部材51と、吸気管31及び34のシールに用いる2つのシール部材59とを一体に形成することも可能である。
【0039】
尚、本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形又は変更が可能である。