特許第6821573号(P6821573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6821573
(24)【登録日】2021年1月8日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】DC−DC変換器
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20210114BHJP
【FI】
   H02M3/155 H
   H02M3/155 W
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-537994(P2017-537994)
(86)(22)【出願日】2016年1月13日
(65)【公表番号】特表2018-501770(P2018-501770A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】GB2016050073
(87)【国際公開番号】WO2016113559
(87)【国際公開日】20160721
【審査請求日】2018年11月15日
(31)【優先権主張番号】1500549.9
(32)【優先日】2015年1月14日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1512420.9
(32)【優先日】2015年7月16日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516017204
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ プリマス
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF PLYMOUTH
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】アフメッド,モハメッド
(72)【発明者】
【氏名】アル−オマリ,アリ
【審査官】 栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06429629(US,B1)
【文献】 特開2007−068278(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/128533(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0277141(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主インダクタ(110)と、第1回路脚(112)と、第2回路脚(114)とを含み、各回路脚(112,114)は一次スイッチ(120a,120b)と、二次スイッチ(122a,122b)と、一次インダクタ(116a,116b)とを含み、各脚(112,114)の一次スイッチ(120a,120b)および一次インダクタ(116a,116b)は、入力部(126)および出力部(128)間に主インダクタ(110)と直列に接続され、各脚(112,114)の二次スイッチ(122a,122b)は、関連する一次スイッチ(120a,120b)および関連する脚(112,114)の一次インダクタ(116a,116b)の間の点に接続される、スイッチ式接地接続部を提供し、第1回路脚(112)および第2回路脚(114)の一次インダクタ(116a,116b)は磁気的に結合される、DC−DC変換回路において、各回路脚(112,114)の二次スイッチ(122a,122b)は、回路の動作において、両方の二次スイッチ(122a,122b)が同時に開成(オフ)状態になることがなく、主インダクタ(110)を通る電流が連続的に変化し、回路の動作におけるいくつかの段階中、両方の二次スイッチ(120a,120b)が同時に閉成(オン)状態になるように制御され、各脚(112,114)は、二次インダクタ(118a,118b)を含み、二次インダクタ(118a,118b)は、各脚(112,114)の一次インダクタ(116a,116b)に磁気的に結合され、各スイッチ式接地接続部は、各脚(112,114)の一次インダクタ(116a,116b)および関連する脚(112,114)の二次インダクタ(118a,118b)の間の点に接続されることを特徴とするDC−DC変換回路。
【請求項2】
ブースト回路として動作するように構成され、出力部(128)における電圧が入力部(126)における電圧よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の回路。
【請求項3】
各一次スイッチ(120a,120b)は、ダイオードの形態を取り、各二次スイッチ(122a,122b)は、制御可能なスイッチの形態を取ることを特徴とする、請求項2に記載の回路。
【請求項4】
各制御可能なスイッチの動作は、関連する電子制御ユニット(124)によって制御されることを特徴とする、請求項3に記載の回路。
【請求項5】
各制御可能なスイッチは、トランジスタまたはトランジスタと同様の素子を含むことを特徴とする、請求項3または4に記載の回路。
【請求項6】
バック回路として動作するように構成され、出力部(128)における電圧は入力部(126)における電圧よりも低いことを特徴とする、請求項1に記載の回路。
【請求項7】
各一次スイッチ(120a,120b)は、制御可能なスイッチの形態を取り、各二次スイッチ(122a,122b)は、ダイオードの形態を取ることを特徴とする、請求項6に記載の回路。
【請求項8】
各制御可能なスイッチの動作は、関連する電子制御ユニット(124)によって制御されることを特徴とする、請求項7に記載の回路。
【請求項9】
各制御可能なスイッチは、トランジスタまたはトランジスタと同様の素子を含むことを特徴とする請求項7または8に記載の回路。
【請求項10】
スイッチングは、切換えられるスイッチにわたる電位差がゼロであるときに生じるように構成されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の回路。
【請求項11】
検知巻線が、切換えられるスイッチにわたる電位差がゼロであると判定する際に用いるために備えられることを特徴とする、請求項10に記載の回路。
【請求項12】
少なくともいくつかの段階の動作中に、両方の一次スイッチ(120a,120b)または両方の二次スイッチ(122a,122b)が、同時に閉成状態になる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の回路の動作方法において、二次スイッチ(122a,122b)が同時に開成状態になるときがなく、主インダクタ(110)を通る電流が連続的に変化することを特徴とする回路の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば入力DC電圧を所望の出力DC電圧レベルに減少させ、したがって出力電流を増大させるためのDC−DC変換スキームに関する。
方法および装置が、入力DC信号の増大または減少で用いるために記載される。
【背景技術】
【0002】
多数のDC−DC変換スキームが知られている。それらは、典型的には、電源、たとえばコンピュータまたはテレビジョンおよび音響機器、可変速度モータ、電動車両などの他の電子機器に供給される出力電圧を制御することなどに使用される。このようなスキームを提供するように望まれる別の用途は、発電機から、たとえば太陽光発電に基づく発電スキームから、電源または配電網もしくは送電網への供給を制御することである。
【0003】
DC−DC変換スキームの一形態は、リニアレギュレータを含む。代替スキームは、いわゆるバックコンバータの使用を含む。バックコンバータの使用は、より少ないエネルギが熱として失われるという点で、リニアレギュレータの使用と比較して有利である。図1は、バックコンバータの簡単な形態を示す。図1に示されるバックコンバータは、電源3および負荷5間に直列に設けられる、インダクタ1およびスイッチ2を含む。この場合ダイオード4の形態である第2スイッチが負荷5の両端間に接続される。使用時において、スイッチ2が開成している状態から開始して、電流はインダクタ1を通って負荷5に流れていない。スイッチ2がその後閉成すると、インダクタ1を通って負荷5に流れる電流が上昇する。インダクタ1は電流の増加に反対する起電力を生成し、エネルギがインダクタ1内に蓄積される。負荷5にわたる電圧は、対応して電源よりも低くなる。続いてスイッチ2が開成すると、電源3および負荷5間の接続が遮断され、負荷5およびダイオード3を通ってインダクタ1内に蓄積されたエネルギが放電される。スイッチ2の開成および閉成を繰り返すことによって、このサイクルが繰り返される。出力電圧、すなわち負荷5にわたる電圧は、このような構成において、電源3からの入力電圧よりも常に低い。これらのスキームは、負荷5にわたる電圧を入力部または電圧3におけるものと比較して低減させる。しかしながら、入力部と比較して増加した出力を提供するように望まれる状況がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、上述した典型的なバック変換と比較して向上した効率のDC−DC変換スキームを提供することである。
【0005】
本発明の一態様に従えば、第1インダクタと直列に接続される第1スイッチを含むバックコンバータであって、第1スイッチおよび第1インダクタが入力部および出力部間にスイッチ式接続部を提供する、バックコンバータと、出力部の両端間に接続される第2スイッチと、第1スイッチおよび第1インダクタ間に接続されるDCブースト回路であって、磁気的に結合された第2インダクタおよび第3インダクタを含むDCブースト回路とを含み、第2インダクタは第1スイッチおよび第1インダクタ間に直列に接続され、第3インダクタは第1インダクタおよび第2インダクタの間の点に電気的に接続され、第2インダクタおよび第3インダクタの巻線は、第2インダクタを通る電流の変化が、第2インダクタを通る電流を補う第3インダクタのブースト電流を誘導する、DC−DC変換スキームが提供される。
【0006】
第2スイッチは、好都合にはダイオードを含む。第2スイッチは、第1インダクタおよび第2インダクタ間の点に接続されてもよい。あるいは、第2スイッチは、第2インダクタおよび第1スイッチ間の点に接続されてもよい。
【0007】
たとえばダイオードの形態のさらなるスイッチが第3インダクタを通る電流の方向を制御するために接続されてもよい。
【0008】
このような構成によって、第1スイッチが開成し、入力部から第1インダクタおよび第2インダクタに電流が流れていない状態から開始して、第1スイッチが閉成したとき、電流が第1インダクタおよび第2インダクタを通って出力部に流れ始める。第2インダクタを通る電流の変化は、第2インダクタおよび第3インダクタ間の磁気的結合によって、第3インダクタに起電力を誘導する磁束を生成する。第2インダクタおよび第3インダクタの巻線方向は、誘導された起電力が、第3インダクタに誘導される電流をもたらし、それは第2インダクタを通る電流を補うような方向である。
【0009】
スイッチを繰り返し開閉することによって、その結果、第2インダクタを通る電流が実質的に連続的に変化し、第3インダクタに誘導される電流の影響が顕著になることが理解されるであろう。スイッチング周波数は、ある程度、第1、第2および第3インダクタのインダクタンスに依存してもよい。スイッチング周波数は1kHzよりも大きいことが想定されるが、本発明はこれに限定されないことは理解されるであろう。
【0010】
このタイプの構成は、効率的なDC−DC変換スキームを提供し、第1スイッチが閉成するときにバックコンバータの第1インダクタに供給される電流の大きさを効果的に増大させ、第1インダクタのインダクタンスの大きさの低減を可能にする。
【0011】
第2インダクタのインダクタンスは、好ましくは、第3インダクタのインダクタンスよりも大きい。したがって、たとえさらなるスイッチまたはダイオードが第3インダクタを通る電流の方向を制御するために設けられていない場合であっても、第2インダクタおよび第3インダクタの組み合わせは、入力部に対して高いインピーダンスを示してもよい。
【0012】
たとえばダイオードの形態の追加のスイッチが、第2インダクタを通る電流の方向を制御するために設けられてもよい。このようなダイオードの提供は、第1スイッチを保護するように機能する。比較的低い電圧の用途において、このようなスイッチまたはダイオードは常に要求されるものではないと考えられる。
【0013】
出力電圧の追加の制御を提供するために、出力制御回路が出力部に接続されてもよく、出力制御回路は、互いに電気的に接続され磁気的に結合される第4インダクタおよび第5インダクタであって、出力部は第4インダクタおよび第5インダクタの間の点に接続される、第4インダクタおよび第5インダクタと、第4インダクタおよびグランド間に設けられるスイッチ式接続部と、出力部および第5インダクタを出力端子に接続する一対の出力ダイオードとを含む。
【0014】
このような構成において、スイッチ式接続部が閉成すると、電流は第5インダクタに電流を誘導する第4インダクタを通る。
【0015】
DCリンク回路は、バックコンバータおよび出力部間に組み込まれてもよい。DCリンク回路は、好都合には、磁気的に結合された第4インダクタおよび第5インダクタと、第4インダクタおよびグランド間のスイッチ式接続部とを含む。スイッチの動作の適切な制御によって、出力部における電圧の大きさが制御されてもよい。このような構成は、可変速度駆動装置など制御可能な出力が望まれる構成において特に有益であり得ることが理解されるであろう。
【0016】
本発明は、上述のDC−DC変換スキームを用いてDC−DC変換を達成する方法に関し、第1スイッチが閉成すると、第2インダクタを通る変化する電流が、第2インダクタを通る電流を補う電流を第3インダクタに誘導してバックコンバータに供給される電流を増加させるように、第1スイッチを繰り返し開閉する工程を含む。第1スイッチは、好ましくは、1kHzよりも大きいスイッチング周波数においてその開成状態および閉成状態の間で切換えられる。
【0017】
本発明の他の態様に従えば、主インダクタと、第1回路脚と、第2回路脚とを含み、各回路脚は一次スイッチと、二次スイッチと、一次インダクタとを含み、各脚の一次スイッチおよび一次インダクタは、入力部および出力部間に主インダクタと直列に接続され、各脚の二次スイッチは、関連する一次スイッチおよび関連する脚の一次インダクタの間の点に接続される、スイッチ式接地接続を提供し、第1脚および第2脚の一次インダクタは磁気的に結合される、DC−DC変換スキームが提供される。
【0018】
各脚は、二次インダクタを含んでもよく、二次インダクタは、各脚の一次インダクタに磁気的に結合され、各スイッチ式接地接続は、各脚の一次インダクタおよび関連する脚の二次インダクタの間の点に接続される。
【0019】
このタイプの構成は、ブースト回路として動作するように構成されてもよく、出力部における電圧が入力部における電圧よりも大きい。このような構成において、各一次スイッチは、好都合には、ダイオードの形態を取り、各二次スイッチは、好都合には、制御可能なスイッチの形態を取り、その動作は、たとえば、関連する電子制御ユニットによって制御されてもよい。一例として、適切なトランジスタまたはトランジスタと同様の素子が、二次スイッチとして用いられてもよい。
【0020】
あるいは、各一次スイッチは、たとえば関連する電子制御ユニットを用いて制御される適切に制御されたスイッチ素子の形態を取ってもよく、各二次スイッチは、ダイオードの形態を取ってもよい。このような構成は、バック様回路として使用されてもよく、出力電圧は入力部における電圧よりも低い。
【0021】
ダイオードを第1または第2スイッチとして使用することに言及されているけれども、本発明はこれに限定されず、必要に応じて、ダイオードに代えて、他の素子または構成要素が用いられてもよいことは理解されるであろう。
【0022】
本発明は、上述のタイプの回路の動作方法にさらに関し、少なくともいくつかの段階の操作中に、両方の一次スイッチまたは両方の二次スイッチが同時に閉成状態になる。
【0023】
本発明は、一例として、添付の図面を参照して、さらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】上述されたような、典型的なバック変換スキームを示す図である。
図2】太陽光発電パネルエネルギ抽出スキームの出力の変換に使用される、本発明の実施形態に従うDC−DC変換スキームを示す回路図である。
図3】代替実施形態に従うスキームを示す。
図4】変形例を示す。
図5】動作の一態様における他のDC−DC変換回路を示す。
図6】動作の他の態様における図5に示される回路の変形例を示す。
図7】動作の一態様における図5に示す回路の動作を示す図である。
図8】他の回路構成を示す図5および図6に類似の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
まず、図2を参照して、DC−DC変換スキーム10が示され、スキーム10は、太陽光発電パネル14に関連するエネルギ抽出スキーム12からの変化するDC出力を変換して、Hブリッジ回路16を介して、たとえば電源または配電網もしくは送電網(図示せず)に出力するように構成される。
【0026】
スキーム10は、第2インダクタ22に直列に接続される第1インダクタ20を含み、第1および第2インダクタ20,22は、エネルギ抽出スキーム12の出力部に接続される入力部24をHブリッジ回路16の入力部に接続される出力部26に接続する。第1スイッチ28は、入力部24および第2インダクタ22間に配設される。第1および第2インダクタ20,22は、第3インダクタ30も接続される接続点において相互接続される。第2および第3インダクタ22,30は、共通コア32のまわりに巻回され、互いに磁気的に結合される。結果として、第2インダクタ22を通る変化する電流は、使用時に、次々に、電流を誘導する第3インダクタ30に起電力を生成する磁束を生成する。第2および第3インダクタ22,30が巻回される方向は、第3インダクタ30に誘導される電流が、第1スイッチ28が閉成するときに第2インダクタ22を通る電流を補うような方向である。
【0027】
図示されるように、ダイオードの形態の第2スイッチ34は、第1インダクタ20および出力部26の両端間に接続される。ダイオードの形態のさらなるスイッチ36も、第3インダクタ30に接続され、第3インダクタ30を通る電流の方向を制御するように動作可能である。スイッチ34,36は、ダイオードの形態を取るように示されているけれども、必要に応じて、適切に制御された電子スイッチ素子などを含む他の素子で置換可能であることは理解されるであろう。
【0028】
第1インダクタ20ならびに第1および第2スイッチ28,34はともに、バックコンバータ回路を形成し、磁気的に結合された第2および第3インダクタ22,30はともに、使用時に、バックコンバータ回路の第1インダクタ20に供給される電流を増加させるように動作可能な電流ブーストスキームを形成することは理解されるであろう。
【0029】
したがって、使用時に、第1スイッチ28が開成している状態から開始して、入力部24から出力部26に電流は流れていないことは理解されるであろう。次に続く第1スイッチ28の閉成によって、電流が、第2インダクタ22および第2インダクタ20を通って出力部26に流れ始める。第2インダクタ22を通る電流の変化は、変化する磁束を生成する。第2および第3インダクタ22,30の相互の磁気的結合によって、生成された磁束は第3インダクタ30の両端間に起電力を発生させる。第2および第3インダクタ22,30の巻線の方向は、生成された起電力が、この場合ダイオードの形態のさらなるスイッチ36がオンになり、第1インダクタ20に供給される電流が増加するように第2インダクタ22を通って供給される電流を補うように、電流が誘導されるような方向である。生成された起電力のレベルに応じて、スイッチ36を形成するダイオードは、部分的にオンにしかならなくすることができる。
【0030】
上述のように、第1インダクタ20は、バックコンバータの一部を形成し、そこに供給される電流が増大し、その結果、通常の方法でそこにエネルギが蓄積される。
【0031】
次に続く第1スイッチ28の再開成は、第2インダクタ22の入力部24への接続を遮断し、電流は、もはや第2インダクタ22を介して第1インダクタ20に供給されなくなる。最初に、第1スイッチ28が開成すると、さらなるスイッチ36を形成するダイオードは導通し続ける。本スキームの動作におけるこの段階中、バックコンバータの通常のように、第1インダクタ20は放電する。
【0032】
第1インダクタ20に供給される電流は、使用時に増加されるので、出力部26において特定の効果を達成するために、第1インダクタ20のインダクタンスが減少されてもよいことは理解されるであろう。結果として、本スキームの効率を高めることができる。
【0033】
図2に示されるように、第1スイッチ28を損傷または破壊から保護するために、必要に応じて、追加のダイオード38が設けられてもよい。比較的低い電圧の用途においては、これは要求されなくてもよいが、より高い電圧の用途では望ましいと考えられる。
【0034】
図2は、太陽光発電パネルからの出力を電源または配電網もしくは送電網で使用するのに適したレベルに変換する際に本発明を使用することを示しているけれども、本発明が多くの他の用途において使用されてもよいことは理解されるであろう。一例として、コンピュータ機器、テレビジョンおよび音響機器などの広範囲の電気または電子機器に関連する電源において使用されてもよい。さらに、電動車両に使用される電気モータなどの電気モータに関連する電力制御システムに組み込まれてもよい。これらは本発明が利用可能な用途の例に過ぎず、本発明はこれに限定されないことは理解されるであろう。
【0035】
図4は、図2の回路の変形例を示す。図4の変形例において、DCリンク回路40は、第1インダクタ20によって部分的に形成されるバックコンバータと出力部26との間に接続される。DCリンク回路40は第4インダクタ42と、第5インダクタ44とを含み、第4および第5インダクタ42,44は、共通の磁気コア上に巻回され、互いに磁気的に結合される。また、それらは、第1インダクタ20に接続される点46において互いに電気的に接続される。第4インダクタ42は、スイッチ48を介してグランドに接続され、第5インダクタ44は、ダイオード50を介して出力部26に接続される。
【0036】
使用時に、スイッチ48が開成すると、電流は第4インダクタ42を介してグランドに流れなくなる。スイッチ48が次に開成すると、電流が第4インダクタ42を通って流れ始める。第4インダクタ42を通る電流の変化は、第5インダクタ44にわたる電位差を誘導する。スイッチ48の開閉を適切に制御することによって、出力部26における出力電圧を制御することができることは理解されるであろう。
出力部26における電圧と入力部24における電圧との間の関係は、以下のように表される。

V_out/V_in = D_1/(1-D_2/2)
【0037】
ここで、VoutおよびVinは、それぞれ、出力部26における電圧および入力部24における電圧であり、D1およびD2は、スイッチ28,48がそれぞれ閉成している時間の割合を示す。
【0038】
図4に示される変形例は、可変速度駆動用途などの出力電圧の大きさを制御するまたは変化させることが望まれる用途において特に有益であり得ることが理解されるであろう。本構成の他の利点は、回路の動作が、供給に悪影響を及ぼさないように濾波を必要とする有意な高調波または他の影響を生じさせないことである。
【0039】
図3は、第2スイッチ34が、第1および第2インダクタ20,22間の点に接続される代わりに、スイッチ28および第2インダクタ22間の点に接続される、図2に示される構成の変形例を示す。図3の構成の動作は、図2のものと大体同じであり、さらに詳細には説明しない。必要に応じて、図4のDCリンク回路を、この回路に適用することができる。
【0040】
上述の構成は、回路が簡単であり、わずかな構成要素を組み込むという点で有利である。その製造は、したがって経済的に達成され得る。必要に応じて、インダクタはマルチコア形態であってもよい。
【0041】
インダクタは、非常に小さなサイズであることが想定されており、たとえば、それぞれわずかな巻線だけを含む。一例として、各インダクタは約4〜6の巻線を有してもよい。しかしながら、本発明はこれに限定されないことは理解されるであろう。
【0042】
次に図5を参照して、一対の並列腕112,114に直列に接続される主インダクタ110を含み、各腕112,114は、一次インダクタ116a,116bと、二次インダクタ118a,118bと、一次スイッチ120a,120bとを含み、そのすべてが互いに直列に配設され、二次スイッチ122a,122bが、関連する一次インダクタ116a,116bおよび一次スイッチ120a,120bの間の点にスイッチ式接地接続を提供する、DC−DC変換回路が示される。図示された構成において、一次スイッチ120a,120bはダイオードの形態を取り、回路が動作している様式に応じてオンに切換えて導通状態となる。二次スイッチ122a,122bは、単純なスイッチとして図示しているけれども、典型的には、トランジスタまたはトランジスタと同様の素子などの適切に制御された電子スイッチ素子の形態を取る。広範囲の素子が可能であり、本発明はこれに限定されないことは理解されるであろう。図5に示されるように、制御ユニット124が設けられ、二次スイッチ122a,122bの動作を制御する。
【0043】
第1および第2脚112,114の一次および二次インダクタ116a,116b,118a,118bは、すべて共通の磁気コア(図示せず)上に巻回され、互いに磁気的に結合され、巻線方向は、図5に図示されたような方向である。インダクタ116a,116b,18a,118bの個々のインダクタンスは非常に低い。一例として、各インダクタは、わずかな巻線だけから成っていてもよい。しかしながら、より多くの巻線が必要に応じて用いられてもよい。
【0044】
入力部126および出力部128間に接続された回路によって、両方の二次スイッチ122a,122bが閉成(オン)すると、主インダクタ110を通る電流は、量Δiだけ上昇し、主インダクタ110に電流の増加に反対する起電力を誘導する。この状態から、二次スイッチ122a,122bの一方が開成(オフ)し、他方が閉成(オン)すると、主インダクタ110を通る電流は、量Δiだけ降下し、降下した電流は、反対方向に主インダクタ110に起電力を誘導する。
【0045】
二次スイッチ122a,122bを繰り返し開閉することによって、一方または他方の二次スイッチ122a,122bが閉成(オン)することを常に保証し、両方の二次スイッチ122a,122bが両方とも開成(オフ)するときが存在せず、スイッチング周波数の適切な選択によって、主インダクタ110を通る電流が連続的に変化していてもよいことは理解されるであろう。
【0046】
一次および二次インダクタ116a,116b,118a,118bのインダクタンスは、好ましくは、一次インダクタ116a,116bのインダクタンスが互いに等しく、二次インダクタ118a,118bのインダクタンスが互いに等しいという意味で対称である。結果として、電流の変化の大きさ、および結果として誘導される起電力は、任意の時点でどの二次スイッチ122a,122bが動作しているかにかかわらず、同じである。
【0047】
両方の二次スイッチ122a,122bが閉成すると、図5に示されるような点Vnにおける電位はゼロであり、したがって

V_in = L_m Δi/t_on

である。
ここで、tonは両方の二次スイッチ122a,122bが閉成する継続期間であり、図5に示される用語を用いている。図7は、二次スイッチ122a,122bの位置の経時変化を示し、両方の二次スイッチ122a,122bが閉成する全スイッチングサイクルの周期Tの期間tonを特定している。スイッチング周波数はkHzの領域にあることが想定されているが、本発明はこれに限定されない。
【0048】
一方または他方の二次スイッチ122a,122bが開成する(他方は閉成する)と、VnはVαに等しく、脚112,114の一次インダクタ116a,116bにわたる電位に、開成している二次スイッチ122a,122bが関連している。

である。
ここで、Tは、図7に示されるように、スイッチングサイクルの周期である。
【0049】
デューティサイクルDは、以下のように定義される。

D=t_on/T

上式を解いて、伝達関数を求める。

V_out/V_in = (2+η) 1/((1-D))

ここで

η=√(L_b/L_a)=√(L_d/L_c)
【0050】
上式から入力電圧に対する出力電圧の比は、デューティサイクルの制御、すなわち両方の二次スイッチ122a,122bがその閉成(オン)位置を占める時間の割合を変化させることによって、および/または一次インダクタ116a,116bに対する二次インダクタ118a,118bのインダクタンスの選択によって、制御可能であることは理解されるであろう。
【0051】
したがって、図5に示される回路は、出力部128の電圧を入力部126の電圧に対して制御可能な量だけ増加させるブースト回路として機能してもよい。回路は非常に高い効率を有し、使用時には最小の損失しか経験されない。
【0052】
図7は、二次スイッチ122a,122bが制御されてもよい1つの可能性のある態様を示しているけれども、本発明はこれに限定されない。上述のように、デューティサイクルの適切な制御によって、回路を用いて達成されるブーストのレベルが制御されてもよい。両方のスイッチを同時に開成する期間がないように回路を動作させることが特に有利であるけれども、本発明はこれに限定されない。
【0053】
いくつかの構成において好ましいかもしれない、別のスイッチング方式は、二次スイッチ122a,122bが、切換えられるスイッチ122a,122bにわたる電位差がゼロである動作サイクルにおける点において切換えられるようにスイッチングを制御すること含む。多くの技術が可能であり、これによって、このような制御が達成されてもよい。1つの可能性は、一次インダクタ116a,116bとは独立しているが磁気的に関連する追加の検知巻線を組み込むことであり、その結果、検知巻線に誘導される起電力が、関連するインダクタ116a,116b内に流れる電流に関する。検知巻線に誘導された起電力を監視することによって、スイッチ122a,122bにわたる電位差がゼロであるとき、したがってこのようなゼロ電圧スイッチングが生じるときが判定可能である。
【0054】
図5の回路は、ブースト回路よりもむしろバックコンバータとして機能するようにわずかに修正されまたは再構成されてもよい。図6は、このように再構成された場合の回路を示す。図5図6と比較することによって、回路の再構成が、入力部と出力部を入れ替えること、一次スイッチ120a,120bを形成するダイオードを制御可能なスイッチに置換すること、および二次スイッチ122a,122bとして用いられたスイッチをダイオードに置換することを含むことが理解されるであろう。
【0055】
図6の回路は、使用時に、二次スイッチ122a,122bよりもむしろ、一次スイッチ120a,120bが積極的に制御されることを除いて、図5の回路とほぼ同様に動作する。この回路の伝達関数は、以下のとおりに表される。

V_out/V_in = D+((1-D))/((2+η))
【0056】
上述の伝達関数から、図6の回路が、バック要素(デューティサイクルD)と、デューティサイクルおよびインダクタ値の比の両方に関するオフセットとを有することが明らかである。したがって、図5の回路と同様に、出力電圧は、入力電圧に関して、デューティサイクルDを制御することによって、一次スイッチ120a,120bの動作の適切な制御によって、または第1および第2脚112,114に用いられるインダクタンスの相対的な大きさの制御によって制御可能である。
【0057】
図5の回路と同様に、図6の回路は、好ましくは、一次スイッチ120a,120bが両方とも同時に開成状態にならないように動作されるけれども、回路は、必要に応じて、これが生じるように動作されてもよい。
【0058】
一次スイッチ120a,120bおよび二次スイッチ122a,122bの両方が制御可能な形態である場合、ブーストコンバータまたはバックコンバータのいずれかとして使用することができる単一の回路を製造してもよく、それが入力部および出力部間に接続される方法に依存し、それが制御される方法に依存することが理解されるであろう。
【0059】
図5の構成と同様に、図6の回路は、好ましくは、そのゼロ電圧スイッチングを生じるように制御される。
【0060】
図8は、図5のブースト回路に直列に配置された図6のバック回路を組み込んだ構成を示し、ブースト回路およびバック回路は単一の主インダクタ110を共有している。図8の回路のスイッチの動作の適切な制御によって、汎用DC−DC変換器スキームが提供され、出力信号を入力信号よりも高くまたは低くなるように制御することができることが理解されるであろう。このような回路は、変化する入力信号を有しているにもかかわらず出力信号を一定レベルで維持することが望まれる用途を含むが、これに限定されない広範囲の用途で使用されてもよい。
【0061】
上述の回路において、2つの脚112,114のインダクタのインダクタンスは、対称に配置される。これは好ましいけれども、これが当てはまらない構成も可能であることは理解されるであろう。
【0062】
図5および図6のブースト回路およびバックコンバータ回路は、出力信号を、高い効率で入力部におけるものに関して増減させることができる。回路は、比較的簡単であり、したがって部品コストは相対的に低い。
【0063】
必要に応じて、図5図6および図8の回路は、図2および図4に示される一般的形態の回路に組み込まれてもよいことは理解されるであろう。
【0064】
添付の図面は、本発明の範囲内にある特定の回路を図示したものであるけれども、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲から逸脱することなく、多くの修正または変更が可能であることは理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8