特許第6821584号(P6821584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6821584
(24)【登録日】2021年1月8日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】蓄電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20210114BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20210114BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20210114BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   H02J7/02 H
   H02J7/00 P
   H01M10/44 P
   H01M10/48 P
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-547359(P2017-547359)
(86)(22)【出願日】2016年10月5日
(86)【国際出願番号】JP2016004482
(87)【国際公開番号】WO2017073018
(87)【国際公開日】20170504
【審査請求日】2019年8月26日
(31)【優先権主張番号】特願2015-213805(P2015-213805)
(32)【優先日】2015年10月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】矢野 準也
(72)【発明者】
【氏名】松原 智之
(72)【発明者】
【氏名】迎 秀嗣
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 淳
【審査官】 田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/087487(WO,A1)
【文献】 特開2010−029050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00− 7/12
7/34− 7/36
H01M 10/42−10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列または並列に接続された複数の蓄電ユニットと、
前記複数の蓄電ユニットを制御する制御回路と、を備え、
各蓄電ユニットは、
直列接続された複数のセルの電圧を検出し、前記複数のセルの各電圧または各残容量を前記制御回路に通知する電圧検出回路であって、前記複数のセルの両端から電源電圧の供給を受ける電圧検出回路と、
前記複数のセルの電圧または残容量を均等化させるための均等化回路と、
前記複数のセルの両端電圧を別の直流電圧に変換するDC−DCコンバータと、
前記複数のセルの消費電力を調整するための抵抗と放電スイッチを含む調整回路であって、前記DC−DCコンバータにより生成された直流電圧を電源電圧として動作する調整回路と、
を含み、
前記制御回路は、各蓄電ユニットに対して、それぞれの蓄電ユニットに含まれる複数の単セルの中から最低電圧値または最低残容量を特定し、特定された複数の最低電圧値または最低残容量が均一になるように、それぞれの蓄電ユニットの放電スイッチのオン時間を決定することを特徴とする蓄電システム。
【請求項2】
各蓄電ユニットは
記制御回路は、前記複数の蓄電ユニットからそれぞれ複数のセルの各電圧または各残容量を取得し、取得した各電圧または各残容量が均等化されるよう各蓄電ユニットに制御信号を通知し、
各蓄電ユニットの電圧検出回路は、前記制御回路からの制御信号にもとづき前記均等化回路を制御することを特徴とする請求項に記載の蓄電システム。
【請求項3】
前記制御回路は、前記複数の蓄電ユニットのユニット電圧またはユニット残容量を均等化させる制御と、前記複数の蓄電ユニットの各セルの電圧または残容量を均等化させる制御を独立に実行することを特徴とする請求項に記載の蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直列接続された複数のセルを管理する蓄電ユニットを備える蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)が普及してきている。これらの車にはキーデバイスとして二次電池が搭載される。車載用二次電池としては主に、ニッケル水素電池およびリチウムイオン電池が普及している。今後、エネルギー密度が高いリチウムイオン電池の普及が加速すると予想される。
【0003】
リチウムイオン電池は常用領域と使用禁止領域が近接しているため、他の種類の電池より厳格な電圧管理が必要である。複数のリチウムイオンセルが直列に接続された組電池を使用する場合、各セルの電圧を検出するために電圧検出回路が設けられる。電圧検出回路で検出された各セルの電圧は、充放電制御およびセル間の均等化制御などに使用される。
【0004】
高電圧化や高容量化のため、複数の組電池を直列または並列に接続して使用することがあり、その場合、複数の組電池全体においてセルバランスを図る必要がある。ある組電池を管理する電圧検出回路と別の組電池を管理する電圧検出回路との間では通信が発生する。また電圧検出回路と制御回路との間でも通信が発生する。これらの通信負荷は通常、電圧検出回路ごとに異なり、電圧検出回路間の消費電力にバラツキが発生する要因となる。
【0005】
電圧検出回路の電源を、管理している組電池から得ている場合において、電圧検出回路間の消費電力にバラツキが発生すると、組電池間の電圧および残容量にもバラツキが発生することになる。そこで各組電池に消費電力を調整するための放電回路を接続し、組電池の電圧または残容量を均等化させる仕組みを追加する手法が考えられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−50716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、当該放電回路は抵抗とスイッチの直列回路で構成され、組電池の両端に接続されて当該組電池の消費電力を調整する。しかしながら組電池の両端電圧が高い場合、当該抵抗で消費される電力が高くなり、当該抵抗での発熱が大きくなる。従って当該放電回路を耐圧保護、耐熱保護を考慮して設計する必要があり、組電池が搭載される蓄電ユニットの回路規模およびコストが増加していた。
【0008】
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、蓄電ユニット間の電圧または残容量を、回路規模およびコストの増大を抑えつつ均等化する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の蓄電ユニットは、直列接続された複数のセルの電圧を検出する電圧検出回路であって、前記複数のセルの両端から電源電圧の供給を受ける電圧検出回路と、前記複数のセルの両端電圧を別の直流電圧に変換するDC−DCコンバータと、前記複数のセルの消費電力を調整するための調整回路であって、前記DC−DCコンバータにより生成された直流電圧を電源電圧として動作する調整回路と、を備える。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、蓄電ユニット間の電圧または残容量を、回路規模およびコストの増大を抑えつつ均等化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る蓄電ユニットの構成を示す図である。
図2図1の蓄電ユニットを複数直列に接続した蓄電システムの構成を示す図である。
図3】比較例に係る蓄電ユニットの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る蓄電ユニット10の構成を示す図である。図2は、図1の蓄電ユニット10を複数直列に接続した蓄電システム1の構成を示す図である。図1に示すように蓄電ユニット10は、組電池11及びセルコントローラ12を備える。組電池11は、複数の単セルVC1−VC8が直列接続されて形成される。単セルは、1個ないし複数個の単電池を並列に接続して構成される。単セルには、リチウムイオンセル、ニッケル水素セル、電気二重層キャパシタセル等を用いることができ、種類は問わない。以下、本実施の形態ではリチウムイオンセルを使用する例を想定する。リチウムイオンセルの公称電圧は3.6−3.7Vである。図1に示す例では単セルVC1−VC8が8個直列に接続されているため、組電池11の両端電圧は28.8−29.6Vになる。なお直列数は8個に限るものではない。
【0014】
セルコントローラ12は、セルリバランス回路13、電圧検出・リバランス制御回路14、DC−DCコンバータ15及びユニットリバランス回路16を含む。単セルVC1の上側のノード、単セルVC1−VC8間の各ノード、及び単セルVC8の下側のノードは、それぞれ電圧検出線を介して電圧検出・リバランス制御回路14の各端子C1−C9に接続される。各電圧検出線には抵抗RC1−RC8がそれぞれ挿入される。電圧検出・リバランス制御回路14は各端子C1−C9の電位をもとに、各単セルVC1−VC8の電圧を検出することができる。組電池11の両端のノードは、電圧検出・リバランス制御回路14の電源端子C0、グラウンド端子CGにそれぞれ接続される。電圧検出・リバランス制御回路14は、組電池11の両端から電源電圧の供給を受けるとともに、組電池11の両端電圧(以下、組電池電圧という)を検出することができる。
【0015】
セルリバランス回路13は、放電抵抗RB1−RB9と放電スイッチSW1−SW8を含み、放電抵抗RB1−RB9の電力損失を利用して単セルVC1−VC8間のリバランス制御を実施するための回路である。放電抵抗RB1−RB9の一端は、単セルVC1の上側のノード、単セルVC1−VC8間の各ノード、及び単セルVC8の下側のノードにそれぞれ接続され、放電抵抗RB1−RB9の他端は放電スイッチSW1−SW8にそれぞれ接続される。放電スイッチSW1−SW8は直列に接続される。放電スイッチSW1−SW8の制御端子はそれぞれ、電圧検出・リバランス制御回路14の各端子B1−B8に接続される。
【0016】
放電スイッチSW1−SW8には、半導体スイッチ(MOSFETやIGBT等)やリレーを用いることができる。半導体スイッチを用いる場合、各半導体スイッチの各ゲート端子と、電圧検出・リバランス制御回路14の各端子B1−B8がそれぞれ駆動信号線で接続される。電圧検出・リバランス制御回路14は、放電スイッチSW1−SW8の特定の放電スイッチをターンオンすることで、特定の単セルから放電抵抗に電流を流し、当該単セルの残容量を低下させることができる。最もシンプルなリバランス制御では、単セルVC1−VC8の内、最も電圧が低い単セルに、残りの単セルの電圧を合わせるよう残りの単セルを放電させる。
【0017】
なお図1に示す回路構成では、対象となる放電スイッチSWnと、その両隣の放電スイッチSW(n−1)、SW(n+1)が同時にオンしないように制御される。図1に示す回路構成を用いたセルリバランス方式は、電圧または残容量が相対的に高い単セルから、抵抗などのインピーダンス素子に電流を流すことで電力損失を発生させ、単セル間の容量をリバランスするパッシブ方式に分類される。なおセルリバランス方式はパッシブ方式に限定されるものではなく、キャパシタ等を利用するアクティブ方式を用いてもよく、セルリバランスのための方式は問わない。アクティブ方式はパッシブ方式と比較して、電力損失を抑えることができるが回路規模が大きくなる。
【0018】
DC−DCコンバータ15は、組電池電圧を別の直流電圧に変換する安定化電源である。当該安定化電源にはリニアレギュレータを用いてもよいし、スイッチングレギュレータを用いてもよく、その構成や方式は問わない。以下、本実施の形態では、3端子レギュレータICを使用することを想定する。
【0019】
組電池11の正極とDC−DCコンバータ15の入力端子とを繋ぐ給電線にスイッチSW0が挿入される。スイッチSW0をターンオフすることにより、組電池11からDC−DCコンバータ15への電力供給を遮断することができる。なお当該給電線に、突入電流やノイズを抑制させるための抵抗器やEMC(Electro Magnetic Compatibility)フィルタ等を配置してもよい。
【0020】
DC−DCコンバータ15は、組電池電圧を降圧して安定電圧VCC(例えば、5.0V)を生成し、ユニットリバランス回路16に供給する。ユニットリバランス回路16は、放電抵抗RB10、放電スイッチSW9を含み、放電抵抗RB10の電力損失を利用して組電池11の消費電力を調整する回路である。放電抵抗RB10の一端はDC−DCコンバータ15の出力に接続され、放電抵抗RB10の他端は放電スイッチSW9の一端に接続される。放電スイッチSW9の他端は本蓄電ユニット10のグラウンドに接続される。
【0021】
放電スイッチSW9にも、半導体スイッチ(MOSFETやIGBT等)やリレーを用いることができる。半導体スイッチを用いる場合、半導体スイッチのゲート端子と、電圧検出・リバランス制御回路14の端子B9が駆動信号線で接続される。電圧検出・リバランス制御回路14は、放電スイッチSW9をターンオンすることで、組電池11からDC−DCコンバータ15を介して放電抵抗RB10に電流を流し、組電池11の残容量を低下させることができる。なおユニットリバランス回路16は、放電抵抗RB10と放電スイッチSW9を用いる構成に限るものではなく、例えば定電流回路を用いてもよい。いずれの構成であっても、複数の組電池11間のリバランスを行うことができる。
【0022】
またユニットリバランス回路16を複数設けてもよい。ユニットリバランス回路16を有効にする数を変えることにより、組電池11からの放電量を調整することができる。なお、放電抵抗を可変抵抗にすることによっても、組電池11からの放電量を調整することができる。
【0023】
電圧検出・リバランス制御回路14は、単セルVC1−VC8の各電圧を測定する機能、及び組電池11の両端電圧である組電池電圧を測定する機能を備える。また電圧検出・リバランス制御回路14はセルリバランス回路13を用いて、単セルVC1−VC8間の電圧または残容量をリバランスするセルリバランス機能を備える。また電圧検出・リバランス制御回路14はユニットリバランス回路16を用いて、蓄電システム1を構成する複数の組電池11間の電圧または残容量をリバランスするユニットリバランス機能を備える。
【0024】
セルの開回路電圧(OCV)と残容量(SOC)には安定的な関係(OCV−SOC曲線)があり、電圧検出・リバランス制御回路14は、セルの開回路電圧(OCV)から残容量(SOC)を推定することができる。なお両者の関係は、温度やセルの劣化状態に応じて変化するため電圧検出・リバランス制御回路14は、温度やセルの劣化状態を考慮して、セルの検出電圧から残容量を推定する必要がある。なお、セルの開回路電圧(OCV)から残容量(SOC)を推定する処理は制御回路20で行ってもよい。なお、セルの残容量(SOC)はセルに流れる電流を積算することにより推定することもできる。
【0025】
電圧検出・リバランス制御回路14は制御インターフェースIFを備える。電圧検出・リバランス制御回路14は、複数の単セルVC1−VC8の各電圧値または各残容量、及び組電池11の電圧または残容量を制御インターフェースIFから出力する。また電圧検出・リバランス制御回路14は、制御インターフェースIFから入力される制御信号に基づきセルリバランス回路13及びユニットリバランス回路16を制御する。
【0026】
図1では、電圧検出器とリバランス制御回路と制御インターフェースIFを一体化して、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成する例を示している。
なお当該ASICに、セルリバランス回路13、ユニットリバランス回路16及びDC−DCコンバータ15の少なくとも一部も含めることも可能である。反対に電圧検出器とリバランス制御回路を分離して構成することも可能である。
【0027】
図1では、電圧検出・リバランス制御回路14の電源電圧は、電源端子C0から入力される組電池電圧を、内部に設けられる3端子レギュレータ等のDC−DCコンバータ(不図示)で降圧して生成している。なお外部に設けられるDC−DCコンバータ15の出力電圧を内部に取り込んで電圧検出・リバランス制御回路14の電源電圧として使用してもよい。
【0028】
図2に示すように本実施の形態に係る蓄電システム1は、複数の蓄電ユニット10a−10dと、複数の蓄電ユニット10a−10dを管理制御する制御回路20を備える。図2に示す例では、4個の蓄電ユニット10a−10dを直列に接続して高電圧化している。各蓄電ユニット10a−10dの構成は、図1に示した蓄電ユニット10の構成に対応する。
【0029】
複数の蓄電ユニット10a−10dと制御回路20は制御信号線30で接続され、相互通信が可能である。接続形態や通信方式は任意であり、例えば蓄電ユニット10a−10dのセルコントローラ12a−12dと制御回路20をそれぞれ1:1で接続する、制御回路20を中心としたスター型接続を用いてもよい。また通信バスを設置し、複数の蓄電ユニット10a−10dと制御回路20がそれぞれ当該通信バスにアクセスして通信する方式を用いてもよい。またセルコントローラ12a−12dと制御回路20の間で、バケツリレーの要領でデータを順次受け渡すデイジーチェイン方式を用いてもよい。
【0030】
デイジーチェイン方式を用いる場合、終端に近いセルコントローラほど通信量が少なくなり通信負荷が軽くなる。一方、制御回路20に近いセルコントローラほど通信量が多くなり通信負荷が重くなる。従ってデイジーチェイン方式では、セルコントローラ間の消費電力のバラツキが大きくなる。
【0031】
制御回路20は、複数の蓄電ユニット10a−10dに含まれる各単セルをリバランスする機能、及び複数の蓄電ユニット10a−10dに含まれる各組電池11a−11dをリバランスする機能を備える。制御回路20は例えば、MPU(Micro Processing Unit)で構成することができる。
【0032】
制御回路20は、複数の蓄電ユニット10a−10dでそれぞれ検出される各単セルVC1−VC8の電圧値または残容量を制御信号線30を介して取得する。制御回路20は、取得した各単セルの電圧値または残容量が均等化されるよう複数の蓄電ユニット10a−10dに制御信号を通知する。例えば、取得した複数の単セルの電圧値または残容量の内、最も低い電圧値または残容量と、最も高い電圧値または残容量との差が閾値を超えた場合に制御回路20は、セルリバランス制御を開始する。また定期的にセルリバランス制御を行う設定でもよい。
【0033】
制御回路20は、複数の蓄電ユニット10a−10dに含まれる複数の単セルの目標電圧値または目標残容量を決定する。当該目標電圧値または当該目標残容量には例えば、当該複数の単セルの電圧値または残容量の内の、最小の電圧値または残容量を使用することができる。制御回路20は、取得した各単セルの電圧値または残容量と、当該目標電圧値または当該目標残容量との差分に応じて、各単セルの放電時間(即ち、放電スイッチのオン時間)を決定する。当該差分が大きいほど放電時間が長くなる。制御回路20は、複数の蓄電ユニット10a−10dに制御信号線30を介して、各単セルの放電時間を通知する。なお制御回路20から目標電圧値または目標残容量を複数の蓄電ユニット10a−10dに通知し、各セルコントローラ12a−12dで各単セルの放電時間を決定してもよい。
【0034】
また制御回路20は、複数の蓄電ユニット10a−10dでそれぞれ検出される組電池11a−11dの電圧値または残容量を制御信号線30を介して取得する。制御回路20は、取得した各組電池11a−11dの電圧値または残容量が均等化されるよう複数の蓄電ユニット10a−10dに制御信号を通知する。例えば、取得した複数の組電池11a−11dの電圧値または残容量の内、最も低い電圧値または残容量と、最も高い電圧値または残容量との差が閾値を超えた場合に制御回路20は、ユニットリバランス制御を開始する。また定期的にユニットリバランス制御を行う設定でもよい。
【0035】
制御回路20は、複数の蓄電ユニット10a−10dに含まれる複数の組電池11a−11dの目標電圧値または目標残容量を決定する。当該目標電圧値または当該目標残容量には例えば、当該複数の組電池11a−11dの電圧値または残容量の内の、最小の電圧値または残容量を使用することができる。制御回路20は、取得した各組電池11a−11dの電圧値または残容量と、当該目標電圧値または当該目標残容量との差分に応じて、各組電池11a−11dの放電時間(即ち、放電スイッチSW9のオン時間)を決定する。当該差分が大きいほど放電時間が長くなる。制御回路20は、複数の蓄電ユニット10a−10dに制御信号線30を介して、各組電池11a−11dの放電時間を通知する。なお制御回路20から目標電圧値または目標残容量を複数の蓄電ユニット10a−10dに通知し、各セルコントローラ12a−12dで各組電池11a−11dの放電時間を決定してもよい。
【0036】
なお、上述の構成では、制御回路20は、取得した各組電池11a−11dの電圧値または残容量が均等化されるように放電スイッチSW9のオン時間を決定しているが、必ずしもユニットリバランス制御のみで各組電池11a−11dの電圧値または残容量の均等化を実現する必要はない。具体的には、制御回路20は、各組電池11a−11dに対して、それぞれの組電池を構成する複数の単セルVC1−VC8の中から最低電圧値または最低残容量を特定し、特定された複数の最低電圧値または最低残容量が均一になるように、それぞれの組電池の放電スイッチSW9のオン時間を決定してもよい。
【0037】
このようなユニットリバランス制御を行う場合、ユニットリバランス制御のみでは、各組電池11a−11dに対して、特定された複数の最低電圧値または最低残容量が均一になるだけで、各組電池11a−11dの電圧値または残容量の均等化を実現することはできないが、上述のセルリバランス制御を組み合わせることで、各組電池11a−11dの電圧値または残容量の均等化も実現できる。この構成によると、制御回路20は、上述のセルリバランス制御と上述のユニットリバランス制御を独立に実行することができるようになる。
【0038】
例えば、セルリバランス制御やユニットリバランス制御の頻度によっては、セルリバランス制御による各組電池の放電量に比較的大きな差が生じることがある。セルリバランス制御による放電量は、組電池を構成する各単セルの電圧値または残容量の偏差によって決まるが、この偏差と各組電池の電圧値や残容量の大小関係とは直接的な関連性はない。具体的には、各組電池の電圧値が一致している場合(先にユニットリバランス制御を実施した状態)であっても、それぞれの組電池を構成する複数の単セルの電圧値に偏差が生じていることがある。この状態でセルリバランス制御を行うと各組電池の電圧値にずれが生じる。従って、取得した各組電池11a−11dの電圧値または残容量と、当該目標電圧値または当該目標残容量との差分に応じて、各組電池11a−11dの放電時間(即ち、放電スイッチSW9のオン時間)を決定する構成の場合、セルリバランス制御を先に実施し、その後でユニットリバランス制御を行う必要がある。
【0039】
これに対して、各組電池に対して特定された複数の最低電圧値または最低残容量が均一になるようにユニットリバランス制御を行う場合は、セルリバランス制御の影響を受けない。例えば、各組電池に対して特定された複数の最低電圧値または最低残容量が均一になった状態でセルリバランス制御を実施したとしても、各組電池に対して特定された複数の最低電圧値または最低残容量にずれが生じることはない。また、各組電池を構成する単セルの電圧値または残容量が均一で、かつ、組電池の電圧値または残容量に偏差がある場合に、各組電池に対して特定された複数の最低電圧値または最低残容量が均一になるように放電スイッチSW9を制御したとしても、各組電池を構成する単セルの電圧値または残容量に偏差が生じることはない。従って、各組電池に対して特定された複数の最低電圧値または最低残容量が均一になるようにユニットリバランス制御を行う場合は、両制御に前後関係や依存関係はなく、セルリバランス制御とユニットリバランス制御を独立に実行することができる。なお両制御を定期的に実行する場合は、両制御を同時に開始してもよいし、別々に開始してもよい。通常、ユニットリバランス制御で組電池から放電される電流量は、セルリバランス制御で単セルから放電される電流量以上になる。従って両制御を同時に開始した場合、ユニットリバランス制御は、セルリバランス制御が完了すると同時またはそれ以降に完了することになる。
【0040】
制御回路20は、上述のセルリバランス制御と上述のユニットリバランス制御を独立に実行する。両制御に前後関係や依存関係はない。なお両制御を定期的に実行する場合は、両制御を同時に開始してもよいし、別々に開始してもよい。通常、ユニットリバランス制御で組電池から放電される電流量は、セルリバランス制御で単セルから放電される電流量以上になる。従って両制御を同時に開始した場合、ユニットリバランス制御は、セルリバランス制御が完了すると同時またはそれ以降に完了することになる。
【0041】
制御回路20は、セルリバランス制御およびユニットリバランス制御を、蓄電システム1が外部機器(例えば、負荷、充電器)と電気的に切断された状態で実行してもよいし、電気的に接続された状態で実行してもよい。即ち、蓄電システム1の待機動作中に実行してもよいし、充放電動作中に実行してもよく、その動作状態を問わない。
【0042】
蓄電システム1に含まれる複数のセルコントローラ12a−12dの消費電流は必ずしも同一にはならない。例えば、セルコントローラ12a−12d間の部品バラツキにより、部品定数や温度特性にバラツキがある場合、消費電流が不均一となる。また上述のようにセルコントローラ12a−12d間で通信負荷に偏りがある場合も、消費電流が不均一となる。上述のデイジーチェイン方式の場合、制御回路20と直接通信するセルコントローラの負荷が最も重くなり、消費電流が最も大きくなる。
【0043】
これに対して本実施の形態では各セルコントローラ12a−12dにユニットリバランス回路16を設け、セルコントローラ12a−12dの消費電流を個別に調整する機能を有している。これにより、セルコントローラ12a−12d間の消費電流を均一化することが可能である。セルコントローラ12a−12d間の消費電流が均一となることで、セル間のバラツキも抑制することができ、結果としてセルリバランス回路13を小型に設計することが可能となる。即ち、セルコントローラ12a−12d間の消費電流が均一化することで、セル間の残容量のバラツキが拡大する時間が長くなるため、1回のセルリバランスにかける時間を長く、つまり放電電流を小さく設定することができる。これにより、セルリバランス回路13を構成する放電抵抗RB1−RB9などの部品サイズを小さくすることができる。
【0044】
図3は、比較例に係る蓄電ユニット10の構成を示す図である。比較例に係る蓄電ユニット10は、図1に示した実施の形態に係る蓄電ユニット10の構成からDC−DCコンバータ15及びスイッチSW0を省略した構成である。比較例ではユニットリバランス回路16の電源電圧として組電池電圧が直接入力される。この場合、ユニットリバランス回路16を、組電池電圧(直列接続される単セル数)とユニットリバランス回路16での所望の電力損失量(消費電流)に応じて設計する必要がある。従って組電池電圧が高圧の場合(直列接続される単セル数が多い場合)、組電池電圧から進入するノイズへの保護部品を追加したり、部品耐圧および部品発熱を考慮して部品サイズを大きくしたりする必要がある。そのため比較例では、ユニットリバランス回路16を大型化する必要がある。
【0045】
これに対して本実施の形態では、ユニットリバランス回路16の電源電圧として、DC−DCコンバータ15の出力電圧である安定電圧が入力される。この安定電圧を低電圧(例えば5.0V)に設定することにより、ユニットリバランス回路16を小型化することができる。具体的には、ユニットリバランス回路16に含まれる抵抗器やスイッチ(例えば、MOSFET)の許容損失や部品耐圧を下げることができるため、それらの部品サイズを小さくすることができる。またノイズ保護部品を追加する必要もない。従ってユニットリバランス回路16を小型化することができる。これにより、セルコントローラ12も小型化することができ、蓄電システム1全体の小型化にも寄与する。
【0046】
また比較例では、組電池11に放電抵抗RB10が直接接続されているため、組電池電圧が変動すると放電抵抗RB10に流れる電流値も変動する。従って比較例では、組電池電圧の変動を考慮して、ユニットリバランス制御を行う必要があった。これに対して本実施の形態では、組電池11と放電抵抗RB10の間に、安定電圧を出力するDC−DCコンバータ15が介在するため、定電流でユニットリバランス制御を行うことができる。従って、放電抵抗RB10に流れる電流値の変動を考慮する必要がなく、ユニットリバランス制御を簡素化することができる。
【0047】
本実施の形態では上述のようにユニットリバランス回路16を小型化することができるが、DC−DCコンバータ15が追加される。しかしながらDC−DCコンバータ15は放電抵抗RB10と比較して放熱対策が容易である。例えば、DC−DCコンバータ15を基板のGNDプレーンに接続することで高い放熱性が得られる。またDC−DCコンバータ15として、ヒートシンク付きのレギュレータICを使用すれば、より効果的な放熱処理ができる。効率よく放熱することでDC−DCコンバータ15を小型化することができる。
【0048】
これに対して比較例では、放電抵抗RB10と組電池11が直接接続されるため、放電抵抗RB10を基板のGNDプレーンから絶縁する必要があり放熱設計が難しくなる。絶縁と放熱の両方を満足させるには部品サイズを大きくする必要がある。
【0049】
このように小型のDC−DCコンバータ15を追加することで、ユニットリバランス回路16の大型化を回避することができる。従って回路規模およびコストの増大を抑えつつ、蓄電ユニット10a−10dの組電池11a−11d間をリバランスすることができる。また蓄電ユニット10a−10dに含まれる複数のセル間をリバランスすることができる。
【0050】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。こられ実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0051】
上述の実施の形態では複数の蓄電ユニット10a−10dを直列接続する例を挙げたが、複数の蓄電ユニット10a−10dを並列接続してもよい。この場合、蓄電システム1の容量が増大する。
【0052】
また上述の実施の形態ではユニットリバランス制御とセルリバランス制御の両方を実施する蓄電システム1を説明したが、ユニットリバランス制御のみを実施してもよい。例えば、ニッケル水素セルを使用する場合、セルリバランス制御を実施しない場合が多い。
【0053】
また上述の実施の形態では蓄電システム1を車両用電源装置に利用する例を想定したが、車載用途に限らず、航空用電源装置、船舶用電源装置、定置型蓄電システム等、他の用途にも利用可能である。
【0054】
なお、実施の形態は、以下の項目によって特定されてもよい。
【0055】
[項目1]
直列接続された複数のセル(VC1−VC8)の電圧を検出する電圧検出回路(14)であって、前記複数のセル(VC1−VC8)の両端から電源電圧の供給を受ける電圧検出回路(14)と、
前記複数のセル(VC1−VC8)の両端電圧を別の直流電圧(VCC)に変換するDC−DCコンバータ(15)と、
前記複数のセル(VC1−VC8)の消費電力を調整するための調整回路(16)であって、前記DC−DCコンバータ(15)により生成された直流電圧(VCC)を電源電圧として動作する調整回路(16)と、
を備えることを特徴とする蓄電ユニット(10)。
これによれば、調整回路(16)を小型化することができる。
[項目2]
前記DC−DCコンバータ(15)は、前記複数のセル(VC1−VC8)の両端電圧を降圧して、前記調整回路(16)に供給することを特徴とする項目1に記載の蓄電ユニット(10)。
これによれば、調整回路(16)を構成する部品の耐圧を下げることができる。
[項目3]
前記調整回路(16)は、抵抗(RB10)とスイッチ(SW9)を含み、
前記電圧検出回路(14)は、前記スイッチ(SW9)を制御して前記複数のセル(VC1−VC8)の消費電力を調整することを特徴とする項目1または2に記載の蓄電ユニット(10)。
これによれば、調整回路(16)を簡素に構成することができ、調整回路(16)を小型化することができる。
[項目4]
前記電圧検出回路(14)は、前記複数のセル(VC1−VC8)の両端電圧をユニット電圧またはユニット残容量として制御回路(20)に通知し、
前記制御回路(20)は、前記蓄電ユニット(10)、及び前記蓄電ユニット(10a)と直列または並列に接続された少なくとも1つの他の蓄電ユニット(10b−10d)からそれぞれユニット電圧またはユニット残容量を取得し、取得したユニット電圧またはユニット残容量が均等化されるよう各蓄電ユニット(10a−10d)に制御信号を通知し、
前記電圧検出回路(14)は、前記制御回路(20)からの制御信号にもとづき前記調整回路(16)を制御することを特徴とする項目1から3のいずれかに記載の蓄電ユニット(10)。
これによれば、複数の蓄電ユニット(10a−10d)間のユニットリバランス制御が可能となる。
[項目5]
前記複数のセル(VC1−VC8)の電圧または残容量を均等化させるための均等化回路(13)をさらに備え、
前記電圧検出回路(14)は、前記複数のセル(VC1−VC8)の各電圧または各残容量を制御回路(20)に通知し、
前記制御回路(20)は、前記蓄電ユニット(10a)、及び前記蓄電ユニット(10a)と直列または並列に接続された少なくとも1つの他の蓄電ユニット(10b−10d)からそれぞれ複数のセル(VC1−VC8)の各電圧または各残容量を取得し、取得した各電圧または各残容量が均等化されるよう各蓄電ユニット(10a−10d)に制御信号を通知し、
前記電圧検出回路(14)は、前記制御回路(20)からの制御信号にもとづき前記均等化回路(13)を制御することを特徴とする項目4に記載の蓄電ユニット(10)。
これによれば、複数のセル間のセルリバランス制御が可能となる。
[項目6]
直列または並列に接続された複数の蓄電ユニット(10a−10d)と、
前記複数の蓄電ユニット(10a−10d)を制御する制御回路(20)と、を備え、
各蓄電ユニット(10a−10d)は、
直列接続された複数のセル(VC1−VC8)の電圧を検出する電圧検出回路(14)であって、前記複数のセル(VC1−VC8)の両端から電源電圧の供給を受ける電圧検出回路(14)と、
前記複数のセル(10a−10d)の両端電圧を別の直流電圧(VCC)に変換するDC−DCコンバータ(15)と、
前記複数のセル(VC1−VC8)の消費電力を調整するための調整回路(16)であって、前記DC−DCコンバータ(15)により生成された直流電圧(VCC)を電源電圧として動作する調整回路(16)と、
を含むことを特徴とする蓄電システム(1)。
これによれば、調整回路(16)を小型化することができる。
[項目7]
各蓄電ユニット(10a−10d)の電圧検出回路(14)は、前記複数のセル(10a−10d)の両端電圧をユニット電圧またはユニット残容量として前記制御回路(20)に通知し、
前記制御回路(20)は、前記複数の蓄電ユニット(10a−10d)からそれぞれユニット電圧またはユニット残容量を取得し、取得したユニット電圧またはユニット残容量が均等化されるよう各蓄電ユニット(10a−10d)に制御信号を通知し、
各蓄電ユニット(10a−10d)の電圧検出回路(14)は、前記制御回路(20)からの制御信号にもとづき前記調整回路(16)を制御することを特徴とする項目6に記載の蓄電システム(1)。
これによれば、複数の蓄電ユニット(10a−10d)間のユニットリバランス制御が可能となる。
[項目8]
各蓄電ユニット(10a−10d)は、
前記複数のセル(VC1−VC8)の電圧または残容量を均等化させるための均等化回路(13)をさらに含み、
各蓄電ユニット(10a−10d)の電圧検出回路(14)は、前記複数のセル(VC1−VC8)の各電圧または各残容量を前記制御回路(20)に通知し、
前記制御回路は、前記複数の蓄電ユニットからそれぞれ複数のセル(VC1−VC8)の各電圧または各残容量を取得し、取得した各電圧または各残容量が均等化されるよう各蓄電ユニット(10a−10d)に制御信号を通知し、
各蓄電ユニット(10a−10d)の電圧検出回路(14)は、前記制御回路(20)からの制御信号にもとづき前記均等化回路(13)を制御することを特徴とする項目7に記載の蓄電システム(1)。
これによれば、複数のセル間のセルリバランス制御が可能となる。
[項目9]
前記制御回路(20)は、前記複数の蓄電ユニット(10a−10d)のユニット電圧またはユニット残容量を均等化させる制御と、前記複数の蓄電ユニット(10a−10d)の各セルの電圧または残容量を均等化させる制御を独立に実行することを特徴とする項目8に記載の蓄電システム(1)。
これによれば、柔軟なリバランス制御が可能となる。
【符号の説明】
【0056】
1 蓄電システム、 10 蓄電ユニット、 11 組電池、 12 セルコントローラ、 13 セルリバランス回路、 14 電圧検出・リバランス制御回路、 15 DC−DCコンバータ、 16 ユニットリバランス回路、 VC1,VC2,VC3,VC4,VC5,VC6,VC7,VC8 単セル、 RC1,RC2,RC3,RC4,RC5,RC6,RC7,RC8,RC9 抵抗、 RB1,RB2,RB3,RB4,RB5,RB6,RB7,RB8,RB9,RB10 放電抵抗、 SW0 スイッチ、 SW1,SW2,SW3,SW4,SW5,SW6,SW7,SW8,SW9 放電スイッチ、 20 制御回路、 30 制御信号線。
図1
図2
図3