(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6821585
(24)【登録日】2021年1月8日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】オレイン酸およびオレイン酸ナトリウムを含む、局所用香味料組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20210114BHJP
【FI】
A23L27/00 C
【請求項の数】7
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-547480(P2017-547480)
(86)(22)【出願日】2016年3月10日
(65)【公表番号】特表2018-509156(P2018-509156A)
(43)【公表日】2018年4月5日
(86)【国際出願番号】EP2016055115
(87)【国際公開番号】WO2016142462
(87)【国際公開日】20160915
【審査請求日】2019年1月23日
(31)【優先権主張番号】1504045.4
(32)【優先日】2015年3月10日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッテヴェーン,フランス
【審査官】
小金井 悟
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03507665(US,A)
【文献】
特開2005−013058(JP,A)
【文献】
調味料・香辛料の事典,株式会社朝倉書店,1996年,pp.344-345
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/00−27/60
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可食製品の表面に固形香味料を適用する方法であって、オレイン酸およびオレイン酸ナトリウムの存在下での固形香味料の非水溶性連続媒体への分散、および製品への局所適用を含み、オレイン酸のオレイン酸ナトリウムに対する重量比が、80:20〜54:46であり、オレイン酸およびオレイン酸ナトリウムの合計割合が、連続媒体、オレイン酸/オレイン酸ナトリウム、および固形香味料の合計重量の1重量%〜20重量%の範囲である前記方法。
【請求項2】
オレイン酸のオレイン酸ナトリウムに対する重量比が、70:30〜56:44、より特に62:38〜58:42である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
固形香味料および連続媒体の割合が、5重量%〜50重量%の固形香味料であり、50重量%〜95重量%の連続媒体である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
非水溶性連続媒体に分散した固形香味料を含み、オレイン酸およびオレイン酸ナトリウムを80:20〜54:46の相対重量割合で含有し、オレイン酸およびオレイン酸ナトリウムの合計割合が、連続媒体、オレイン酸/オレイン酸ナトリウム、および固形香味料の合計重量の1重量%〜20重量%の範囲である、局所用香味料製品。
【請求項5】
オレイン酸のオレイン酸ナトリウムに対する重量比が、70:30〜56:44、より特に62:38〜58:42である、請求項4に記載の製品。
【請求項6】
固形香味料および連続媒体の割合が、5重量%〜50重量%の固形香味料、および50重量%〜95重量%の連続媒体である、請求項4に記載の製品。
【請求項7】
請求項4に記載の製品へ希釈するためのフレーバー濃縮物であって、20〜60重量%の連続媒体を含み、対応してより高い割合の固形香味料およびオレイン酸/オレイン酸ナトリウムを含み、これらの相対割合が、最終製品において望ましい割合である、前記フレーバー濃縮物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、油中フレーバーの提供に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのフレーバーは、食料品、焼成品などの可食製品に局所的に適用される。多くが溶液として適用される一方、固形物として適用される必要のあるものも多い。これらの固形香味料(solid flavouring)は、塩など本来固形であることができ、または、これらはスプレードライ粉末(澱粉などの食用ポリマー媒体にカプセル化されたフレーバー化合物)などの粉末状香味料であることができる。食用油などの非水性媒体中にこれらを懸濁させ、その後、焼成などのさらなる処理の前にコーティングまたは噴霧によって可食製品に適用することがしばしば望ましい。分散液(dispersion)を新たに調製する場合には問題はない。しかしながら、製造ラインでの使用のための大量調製は、固体が沈降し、分散液が2つの異なる層に分離し、製品への適用を不可能にするという問題をもたらし得る。
【発明の概要】
【0003】
このような固形香味料を長期間にわたり懸濁状態に保つことが可能であり、製品の無駄がなく、メンテナンスのための停止を必要とせずに製造を長時間継続できることが分かった。したがって、オレイン酸およびオレイン酸ナトリウムの存在下での非水溶性連続媒体中の固形香味料への分散、および製品への局所適用を含み、オレイン酸およびオレイン酸ナトリウムが、80:20〜54:46の相対重量割合で存在する、可食製品の表面に固形香味料を提供する方法を提供する。
【0004】
さらに、非水溶性連続媒体に分散した固形香味料を含み、80:20〜54:46の相対重量比で、オレイン酸およびオレイン酸ナトリウムも含有する、局所用香味料製品も提供する。
【0005】
固形香味料は、可食製品の表面において存在が望ましいあらゆる固形香味料であってよい。典型的な例は、塩、噴霧乾燥フレーバー 糖、人工甘味料(粉末)、マルトデキストリン、野菜の、果物の果肉、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルタミン酸ナトリウムおよび味増強剤を含むが、これらに限定されない。かかる固形香味料を1種よりも多く用いてもよい。
【0006】
非水溶性連続媒体は、任意の好都合な手段、例えば噴霧、コーティングまたは浸漬による、可食製品への適用に適したあらゆる食用媒体であり得る。典型的な例は、食用油であり、かかる油の非限定的な例は、ヒマワリ油、パーム油、オリーブ油、ナタネ油、キャノーラ油、ゴマ油、クルミ油、ヘーゼルナッツ油、ピーナッツ油、コーン油、ココナッツオイル、バターオイル、米ぬか油、大豆油、グレープシードオイル、魚油、松の実油、カシュー油、マカダミア油、モンゴンゴ油、アーモンド油、ブナノキ油、ピーカン油、ピスタチオ油、綿実油、ベニバナ油、パンプキンシードオイル、エグシ(egusi)シードオイル、バッファローカボチャ油、ゴーヤ油、ユウガオ油、バターナッツスクワッシュ油、アサイー油、ブラックシードオイル、ブラックカラントシードオイル、ルリジサ種子油、イブニングプライムローズ油、アマニ油、アマランサス油、アプリコット油、アップルシードオイル、アルガン油、アボカド油、ババスオイル、ベン油、ボルネオタローナッツ油、ケープチェストナッツ油、イナゴマメ油、ココア油、オナモミ油、コフネヤシ油、コリアンダー種子油、ナツメヤシ種子油、ディカ(dika)油、アマナズナ油、ヘンプオイル、カポック種子油、ケナフ種子油、ラッレマンチア種子油、マフラ(mafura)油、メドウフォーム種子油、マルラ油、マスタードシードオイル、ニガー種子油、ナツメグバター、オクラシードオイル、パパイヤシードオイル、エゴマ油、カキ種子油、ペキー油、ピリナッツ油、ザクロ種子油、ポピーシードオイル、ラムチル(ramtil)油、米ぬか油、ロイル(royle)油、サチャインチ油、サポテ油、セヘ(seje)油、シアバター、タラミラ(taramira)油、ツバキ油、アザミ油、タイガーナッツ油、タバコ種子油、トマト種子油、小麦胚芽油、中鎖グリセリド(MCT)、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸(両者の混合物)およびすべての食用動物性脂肪酸を含む。
【0007】
オレイン酸およびオレイン酸ナトリウムは、周知の商取引される商品である。オレイン酸のオレイン酸ナトリウムに対する重量割合は、80:20〜54:46であってよい。特定の態様は、70:30〜56:44、より特に62:38〜58:42である。
【0008】
上述の香味料製品におけるオレイン酸およびオレイン酸ナトリウムの全体の割合は、使用および適用方法に依存して様々であるが、典型的には連続媒体、オレイン酸/オレイン酸ナトリウム、および固形香味料の合計重量の、01重量%〜20重量%の範囲であるが、この範囲外での実施により、特定の効果が得られるかもしれない。固形香味料および連続媒体の割合は、広い範囲内で変化させて良い。典型的な非限定的な例は、05重量%〜50重量%の固形香味料、および50重量%〜95重量%の連続媒体である。これは、使用の準備ができた香味料製品に関する範囲である。香味料製品を、十分な連続媒体を添加することにより、希釈して使用の準備ができる、濃縮物として調製することもできる。典型的な濃縮物は、20〜60重量%の連続媒体を含み、対応してより高い割合の固形香味料およびオレイン酸/オレイン酸ナトリウムを有し、これらの相対割合は、最終製品における望ましいものである。
【0009】
連続媒体における固形香味料の分散は、便利な方法、典型的には周囲温度で撹拌することにより実施する。
得られるフレーバー分散液は、可食製品に、噴霧、コーティング、浸漬などの好都合な手段によって、可食製品に提供し得る。
【0010】
フレーバー分散液を適用し得る可食製品は、局所的な香味料を必要とするあらゆる可食製品であり得る。非限定的な例は、ビスケット、クッキー、ケーキおよびパン、等の焼成品、チップおよびクリスプなどのスナック食品、プレッツェルおよびクラッカーを含む。
【0011】
本開示の方法および製品は、香味料混合物が、混合の後も何時間の間安定に保たれ、結果として均質なコーティングが得られるという利点を有する。これには、固体材料が沈殿することによって、噴霧ノズルが塞がれることがないという利点を有する。
本開示は、特定の実施形態を記載する以下の非限定的な実施例を参照してさらに記載される。すべての部は重量による。
【0012】
例1
オレイン酸およびオレイン酸ナトリウムの適切な割合の判断。
ヒマワリ油中でオレイン酸およびオレイン酸ナトリウムの様々な割合を組み合わせ、どの比率が適切であるかを判断した。油中で、透明で、均質なオレイン酸/オレイン酸ナトリウムの混合物の溶液が望ましい。オレイン酸ナトリウムおよびオレイン酸の全ての混合物を、4.8重量%で油に添加し、Brookfield粘度計、スピンドルNo. 62および63@30rpmで撹拌した。
【0014】
80:20および54:46の間のオレイン酸:オレイン酸ナトリウムで均質なブレンドが容易の可能であり、粘度が上昇したが実施可能であった。しかしながら、52:48では塊が形成し、これは、50:50よりも低いとさらにひどくなった。
最良の結果(透明溶液であり、より高いが実施可能な粘度)は、60:40で見出された。
【0015】
例2
クラッカーへの使用
15部のヒマワリ油、4部のチョリソー香味料粉末、および1部の60:40オレイン酸:オレイン酸ナトリウム混合物をブレンドし、フレーバーが付与されたコーティングを調製した。
香味料を80部のクラッカーにディスクスプレーを回転することにより適用した。試験は、香味料組成物を何時間の間放置したとしても、香味料の分布が非常に均質であることを明らかにした。
対照的に、オレイン酸:オレイン酸ナトリウム混合物の不在以外は同一である香料料組成物は、調製の数分以内に層に分離し始め、噴霧は、非常にムラのある香味料分布をもたらした。最終的に組成物は完全に噴霧できなくなった。
【0016】
例3
フレーバー濃縮物の調製
以下の成分をブレンドすることにより、濃縮物を調製した:
40部のチョリソー調味料粉末
54.7部のヒマワリ油
5.3部の60:40 オレイン酸/オレイン酸Naミックス
このような濃縮物は、あらゆる所与の用途のために望ましい組成物を提供するために、さらなる油での希釈に適している。