(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スイッチは、前記コンパレータ内の前記画素からの信号を処理する側、または前記ランプ信号生成部からのランプ信号を処理する側の少なくとも一方の電流経路に設けられている
請求項3に記載の撮像素子。
前記ランプ信号生成部は、第1の画素のリセットレベルの画素信号、第2の画素のリセットレベルの画素信号、前記第1の画素の信号レベルの画素信号、前記第2の画素の信号レベルの画素信号を、それぞれ読み出すためのランプ信号を、この順に繰り返し生成し、
前記制御はスイッチの開閉を制御することで行われ、
前記スイッチは、前記ランプ信号の切り替えのタイミングで開閉状態が切り換えられる
請求項1に記載の撮像素子。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
1.撮像素子の構成
2.画素とカラム処理部の構成
3.画素とカラム処理部の他の構成
4.AD変換の動作について
5.ランプ信号について
6.ランプ信号の供給を制御するスイッチの位置
7.コンパレータとスイッチの構成
8.電子機器への適用例
9.使用例
【0024】
<撮像素子の構成>
図1は、本技術を適用した撮像素子の一実施の形態の構成を示す図である。
【0025】
図1に示すように、撮像素子11は、画素領域12、垂直駆動回路13、カラム信号処理回路14、水平駆動回路15、出力回路16、ランプ信号生成回路17、および制御回路18を備えて構成される。
【0026】
画素領域12は、図示しない光学系により集光される光を受光する受光面である。画素領域12には、複数の画素21が行列状に配置されており、それぞれの画素21は、水平信号線22を介して行毎に垂直駆動回路13に接続されるとともに、垂直信号線23を介して列毎にカラム信号処理回路14に接続される。複数の画素21は、それぞれ受光する光の光量に応じたレベルの画素信号をそれぞれ出力し、それらの画素信号から、画素領域12に結像する被写体の画像が構築される。
【0027】
垂直駆動回路13は、画素領域12に配置される複数の画素21の行毎に順次、それぞれの画素21を駆動(転送や、選択、リセットなど)するための駆動信号を、水平信号線22を介して画素21に供給する。
【0028】
カラム信号処理回路14は、複数の画素21から垂直信号線23を介して出力される画素信号に対してCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)処理を施すことにより、画素信号のAD変換を行うとともにリセットノイズを除去する。例えば、カラム信号処理回路14は、画素21の列数に応じた複数のカラム処理部41(後述の
図2参照)を有して構成され、画素21の列毎に並列的にCDS処理を行うことができる。
【0029】
水平駆動回路15は、画素領域12に配置される複数の画素21の列毎に順次、カラム信号処理回路14から画素信号をデータ出力信号線24に出力させるための駆動信号を、カラム信号処理回路14に供給する。
【0030】
出力回路16は、水平駆動回路15の駆動信号に従ったタイミングでカラム信号処理回路14からデータ出力信号線24を介して供給される画素信号を増幅し、後段の信号処理回路に出力する。
【0031】
ランプ信号生成回路17は、カラム信号処理回路14が画素信号をAD変換する際に参照する参照信号として、一定の勾配で時間の経過に従って降下する電圧(スロープ電圧)のランプ信号を生成し、カラム信号処理回路14に供給する。
【0032】
制御回路18は、撮像素子11の内部の各ブロックの駆動を制御する。例えば、制御回路18は、各ブロックの駆動周期に従ったクロック信号を生成して、それぞれのブロックに供給する。また、例えば、制御回路18は、カラム信号処理回路14において画素信号を高速にAD変換することができるように画素21から画素信号が読み出されるような制御を行う。
【0033】
<画素とカラム処理部の構成>
次に、
図2には、撮像素子11の画素21およびカラム処理部41の構成例が示されている。
【0034】
図2には、
図1の画素領域12に配置される複数の画素21のうち、所定の列(カラム)に並んで配置される2つの画素21aおよび21bが示されている。また、
図2には、カラム信号処理回路14が有する複数のカラム処理部41のうち、この列に対応して配置されるカラム処理部41が示されている。
【0035】
図示するように、撮像素子11では、画素21の1列に対して、第1の垂直信号線23aおよび第2の垂直信号線23bの2本が設けられる。第1の垂直信号線23aには、画素21a(例えば、奇数行目の画素21)が接続され、第2の垂直信号線23bには、画素21b(例えば、偶数行目の画素21)が接続される。また、第1の垂直信号線23aには、ソースフォロワ回路を構成する定電流源42aが接続されており、第2の垂直信号線23bには、ソースフォロワ回路を構成する定電流源42bが接続されている。
【0036】
そして、第1の垂直信号線23aおよび第2の垂直信号線23bは、この列に対応して配置されるそれぞれのカラム処理部41に接続される。
図2に示した例では、第1の垂直信号線23aにカラム処理部41aが接続され、第2の垂直信号線23bにカラム処理部41bが接続されている。
【0037】
画素21aは、PD31a、転送トランジスタ32a、FD部33a、増幅トランジスタ34a、選択トランジスタ35a、およびリセットトランジスタ36aを備えて構成される。
【0038】
PD31aは、入射した光を光電変換により電荷に変換して蓄積する光電変換部であり、アノード端子が接地されているとともに、カソード端子が転送トランジスタ32aに接続されている。
【0039】
転送トランジスタ32aは、垂直駆動回路13から供給される転送信号TRGに従って駆動し、転送トランジスタ32aがオンになると、PD31aに蓄積されている電荷がFD部33aに転送される。
【0040】
FD部33aは、増幅トランジスタ34aのゲート電極に接続された所定の蓄積容量を有する浮遊拡散領域であり、PD31aから転送される電荷を蓄積する。
【0041】
増幅トランジスタ34aは、FD部33aに蓄積されている電荷に応じたレベル(即ち、FD部33aの電位)の画素信号を、選択トランジスタ35aを介して第1の垂直信号線23aに出力する。すなわち、FD部33aが増幅トランジスタ34aのゲート電極に接続される構成により、FD部33aおよび増幅トランジスタ34aは、PD31aにおいて発生した電荷を、その電荷に応じたレベルの画素信号に変換する変換部として機能する。
【0042】
選択トランジスタ35aは、垂直駆動回路13から供給される選択信号SELに従って駆動し、選択トランジスタ35aがオンになると、増幅トランジスタ34aから出力される画素信号が第1の垂直信号線23aに出力可能な状態となる。
【0043】
リセットトランジスタ36aは、垂直駆動回路13から供給されるリセット信号RSTに従って駆動し、リセットトランジスタ36aがオンになると、FD部33aに蓄積されている電荷が電源配線Vddに排出されて、FD部33aがリセットされる。
【0044】
また、画素21bは、画素21aと同様に、PD31b、転送トランジスタ32b、FD部33b、増幅トランジスタ34b、選択トランジスタ35b、およびリセットトランジスタ36bを備えて構成される。従って、画素21bの各部は、上述したような画素21aの各部と同様に動作するため、その詳細な説明は省略する。なお、以下適宜、画素21aと画素21bとを区別する必要がない場合、単に画素21と称し、画素21を構成する各部についても同様に称する。
【0045】
カラム処理部41aは、入力スイッチ51a、コンパレータ52a、カウンタ53a、並びに、出力スイッチ54aを備えて構成される。なおカラム処理部41bもカラム処理部41aと同様の構成を有するため、ここでは、カラム処理部41aを例に挙げて説明する。また、カラム処理部41aとカラム処理部41bを個々に区別する必要がない場合、単にカラム処理部41と記述する。
【0046】
カラム処理部41aのコンパレータ52aのマイナス側の入力端子は、第1の垂直信号線23aに接続される。また、コンパレータ52aのプラス側の入力端子は、入力スイッチ51aを介してランプ信号生成回路17に接続される。コンパレータ52aの出力端子は、カウンタ53aの入力端子に接続されており、カウンタ53aの出力端子は、出力スイッチ54aを介してデータ出力信号線24に接続される。
【0047】
同様に、カラム処理部41bのコンパレータ52bのマイナス側の入力端子は、第2の垂直信号線23bに接続される。また、コンパレータ52bのプラス側の入力端子は、入力スイッチ51bを介してランプ信号生成回路17に接続される。コンパレータ52bの出力端子は、カウンタ53bの入力端子に接続されており、カウンタ53bの出力端子は、出力スイッチ54bを介してデータ出力信号線24に接続される。
【0048】
入力スイッチ51aは、
図1の制御回路18による制御に従って開閉し、コンパレータ52のプラス側の入力端子に対する接続を、ランプ信号生成回路17で生成されたランプ信号を入力する、または入力しないという接続に切り換える。入力スイッチ51aと入力スイッチ51bは、一方が閉じられている状態とされ、他方は開かれた状態とされるように、その開閉が制御される。
【0049】
例えば、入力スイッチ51aが閉じられ、入力スイッチ51bが開かれると、コンパレータ52aのプラス側の入力端子は、ランプ信号生成回路17に接続された状態となり、コンパレータ52bのプラス側の入力端子は、ランプ信号生成回路17に接続されていない状態となる。
【0050】
このときコンパレータ52aには、第1の垂直信号線23aを介して入力される画素21aから出力される画素信号と、ランプ信号生成回路17で生成されたランプ信号が、入力される状態となる。
【0051】
一方、入力スイッチ51bは開かれているため、カラム処理部41bのコンパレータ52bには、ランプ信号生成回路17で生成されたランプ信号は、入力されない状態とされる。このように、カラム処理部41aとカラム処理部41bの一方に、ランプ信号生成回路17で生成されたランプ信号が供給されるように、入力スイッチ51の開閉は制御される。
【0052】
コンパレータ52は、プラス側の入力端子に入力されるランプ信号と、マイナス側の入力端子に入力される画素信号との大小を比較し、その比較結果を示す比較結果信号を出力する。例えば、コンパレータ52は、ランプ信号がアナログの画素信号よりも大きい場合にはハイレベルの比較結果信号を出力し、ランプ信号がアナログの画素信号以下となった場合にはローレベルの比較結果信号を出力する。
【0053】
カウンタ53は、例えば、ランプ信号生成回路17から出力されるランプ信号の電位が一定の勾配で降下を開始したタイミングから、コンパレータ52から出力される比較結果信号がハイレベルからローレベルに切り替わるタイミングまでの所定のクロック数をカウントする。従って、カウンタ53がカウントしたカウント値は、コンパレータ52に入力される画素信号のレベルに応じた値となり、これにより、画素21から出力されるアナログの画素信号がデジタル値に変換される。
【0054】
例えば、撮像素子11では、画素21のFD部33がリセットされた状態のリセットレベルの画素信号と、画素21のFD部33がPD31で光電変換された電荷を保持した状態の信号レベルの画素信号とが、画素21から出力される。そして、カラム処理部41において画素信号をAD変換する際に、それらの信号の差分を求めることによって、リセットノイズが除去された画素信号が出力される。また、カウンタ53は、カウント値を保持する保持部55を有しており、後述するように、カウント値を一時的に保持することができる。
【0055】
出力スイッチ54は、水平駆動回路15から出力される駆動信号に従って開閉する。例えば、所定のカラム処理部41が配置されている列の画素信号を出力するタイミングになると、水平駆動回路15から出力される駆動信号に従って出力スイッチ54が閉鎖され、カウンタ53の出力端子がデータ出力信号線24に接続される。これにより、カラム処理部41においてAD変換された画素信号がデータ出力信号線24に出力される。
【0056】
<画素とカラム処理部の他の構成>
図3に、撮像素子11の画素21およびカラム処理部41の他の構成例を示す。
【0057】
図3に示した撮像素子11も、基本的な構成は、
図2に示した撮像素子11と同様であるが、垂直信号線23が、画素の1列に対して1本の垂直信号線が設けられて構成されている点で異なる。すなわち、
図2に示した撮像素子11においては、画素の1列に対して2本の垂直信号線が設けられて構成されていたが、
図3に示した撮像素子11においては、画素の1列に対して1本の垂直信号線が設けられて構成されている。
【0058】
画素21aと画素21bは、行方向に配置されている。画素21aには、第1の垂直信号線23aが接続されている。図示はしていないが、画素21aの図中下側(列方向)にも画素21は配置されており、それら列方向に配置されている画素21に対して、1本の第1の垂直信号線23aが接続されている。
【0059】
同様に、画素21bには、第2の垂直信号線23bが接続されている。図示はしていないが、画素21bの図中下側(列方向)にも画素21は配置されており、それら列方向に配置されている画素21に対して、1本の第2の垂直信号線23bが接続されている。
【0060】
第1の垂直信号線23aは、カラム処理部41aのコンパレータ52aのマイナス側に接続されている。また、コンパレータ52aのプラス側には、入力スイッチ51aを介してランプ信号生成回路17が接続されている。コンパレータ52aの出力端子は、カウンタ53aの入力端子に接続されており、カウンタ53aの出力端子は、出力スイッチ54aを介してデータ出力信号線24に接続される。
【0061】
同様に、カラム処理部41bのコンパレータ52bのマイナス側の入力端子は、第2の垂直信号線23bに接続される。また、コンパレータ52bのプラス側の入力端子は、入力スイッチ51bを介してランプ信号生成回路17に接続される。コンパレータ52bの出力端子は、カウンタ53bの入力端子に接続されており、カウンタ53bの出力端子は、出力スイッチ54bを介してデータ出力信号線24に接続される。
【0062】
図2に示した場合と同じく、入力スイッチ51aは、
図1の制御回路18による制御に従って開閉し、コンパレータ52のプラス側の入力端子に対する接続を、ランプ信号生成回路17で生成されたランプ信号を入力する、または入力しないという接続に切り換える。入力スイッチ51aと入力スイッチ51bは、一方が閉じられた状態とされ、他方は開かれた状態とされるように、その開閉が制御される。
【0063】
このように、
図3に示した構成においては、画素の1列に対して1本の垂直信号線が設けられ、1個のカラム処理部41が配置されている。
【0064】
このように撮像素子11は構成されており、カラム処理部41aとカラム処理部41bは、画素21aから出力される画素信号と、画素21bから出力される画素信号とを交互にAD変換することができる。従って、撮像素子11では、画素21aおよび画素21bのうちの、一方がリセット動作または信号転送動作を行って画素信号のセトリング(Settling)を行うのと並行的に、他方から出力されて保持(Hold)される画素信号をカラム処理部41がAD変換する処理を、交互に繰り返して行うことができるように、画素信号の読み出しを制御することができる。
【0065】
このように、撮像素子11では、画素21aおよび画素21bで、画素信号のAD変換とセトリングとを同時並行的に行い、それらが交互に切り替わるような動作をすることで、カラム処理部41におけるAD変換を高速化することができる。
【0066】
<AD変換の動作について>
次に、
図4には、撮像素子11におけるAD変換の動作を説明するタイミングチャートが示されている。
図4に示したタイミングチャートは、
図2に示した構成であっても、
図3に示した構成であっても適用できる。
【0067】
図4では、上側から順に、第1の垂直信号線23aに接続される画素21aの動作、カラム処理部41aの動作、第2の垂直信号線23bに接続される画素21bの動作、およびカラム処理部41aの動作が示されている。
【0068】
まず、第1の動作期間において、第1の垂直信号線23aに接続される画素21aは、FD部33aをリセットし、リセットレベルの画素信号の出力が十分にセトリングされるまで待機する(リセット期間)。この動作と並行して、第1の動作期間において、第2の垂直信号線23bに接続される画素21bは、その前の動作期間でセトリングされたPD31bの受光量に応じた信号レベルの画素信号の出力を保持し続ける。
【0069】
第1の動作期間において、カラム処理部41aは処理を行わないが、カラム処理部41bは、画素21bから出力される信号レベルの画素信号をAD変換する(AD変換期間)。このとき、カラム処理部41bにおいて、カウンタ53bは、画素21bの信号レベルの画素信号に対応するカウント値を保持部55bに保持する。
【0070】
次に、第2の動作期間において、第1の垂直信号線23aに接続される画素21aは、第1の動作期間でセトリングされたリセットレベルの画素信号の出力を保持し続け、カラム処理部41aは、画素21aから出力されるリセットレベルの画素信号をAD変換する。
【0071】
この動作と並行して、第2の動作期間において、第2の垂直信号線23bに接続される画素21bは、FD部33bをリセットし、リセットレベルの画素信号の出力が十分にセトリングされるまで待機し、カラム処理部41bは、処理を行わない。
【0072】
その後、第3の動作期間において、第1の垂直信号線23aに接続される画素21aは、PD31aにおいて光電変換された電荷をFD部33aに転送し、PD31aの受光量に応じた信号レベルの画素信号の出力が十分にセトリングされるまで待機する(信号転送期間)。第3の動作期間においては、カラム処理部41aは、処理を行わない。
【0073】
この動作と並行して、第3の動作期間において、第2の垂直信号線23bに接続される画素21bは、第2の動作期間でセトリングされたリセットレベルの画素信号の出力を保持し続け、カラム処理部41bは、画素21bから出力されるリセットレベルの画素信号をAD変換する。
【0074】
そして、カラム処理部41bでは、このリセットレベルの画素信号に対応するカウント値と、保持部55bに保持している画素21bの信号レベルの画素信号に対応するカウント値との差分を求め、リセットノイズを除去した画素信号を出力する。
【0075】
そして、第4の動作期間において、第1の垂直信号線23aに接続される画素21aは、第3の動作期間でセトリングされた信号レベルの画素信号の出力を保持し続け、カラム処理部41aは、画素21aから出力される信号レベルの画素信号をAD変換する。
【0076】
そして、カラム処理部41aでは、この信号の画素信号に対応するカウント値と、保持部55aに保持している画素21aのリセットレベルの画素信号に対応するカウント値との差分を求め、リセットノイズを除去した画素信号を出力する。
【0077】
この動作と並行して、第4の動作期間において、第2の垂直信号線23bに接続される画素21bは、PD31bにおいて光電変換された電荷をFD部33bに転送し、PD31bの受光量に応じた信号レベルの画素信号の出力が十分にセトリングされるまで待機する。また第4の動作期間においては、カラム処理部41bは、処理を行わない。
【0078】
第4の動作期間が終了した後、第1の動作期間に戻り、以下同様に、次の行の画素21aおよび画素21bを動作対象として順次、第1の動作期間から第4の動作期間までの動作が繰り返して行われる。なお、画素21aと画素21bとで、半周期ずつずれて各動作期間が行われるようにしてもよい。
【0079】
以上のように、撮像素子11では、画素21aおよび画素21bの一方の画素信号をAD変換するのと並行して、他方の画素信号のセトリングが行われる。これにより、撮像素子11では、例えば、第1の動作期間で画素21bの信号レベルの画素信号のAD変換が完了した直後から、第2の動作期間で画素21aのリセットレベルの画素信号のAD変換を実行することができる。
【0080】
同様に、第2の動作期間で画素21aのリセットレベルの画素信号のAD変換が完了した直後から、第3の動作期間で画素21bのリセットレベルの画素信号のAD変換を実行することができる。さらに、第3の動作期間で画素21bのリセットレベルの画素信号のAD変換が完了した直後から、第4の動作期間で画素21aの信号レベルの画素信号のAD変換を実行することができる。
【0081】
従って、例えば、画素信号のセトリングが完了するまで、カラム処理部41がAD変換を待機するような構成と比較して、撮像素子11は、より高速にAD変換を行うことができる。
【0082】
<ランプ信号について>
次にランプ信号生成回路17で生成されるランプ信号、換言すれば、カラム処理部41に供給されるランプ信号について説明する。
【0083】
図5は、ランプ信号生成回路17で生成されるランプ信号の波形を示す図である。ここで、先に画素信号が読み出される画素21をプライマリ(Primary)画素と称し、後に画素信号が読み出される画素21をセカンダリ(Secondary)画素と称する。
【0084】
ランプ信号は、プライマリ画素のリセットレベルの画素信号(P相)と信号レベルの画素信号(D相)を読み出すための信号と、セカンダリ画素のP相とD相を読み出す信号とから構成されている。プライマリ画素用の信号を適宜、プライマリランプ信号と記述し、セカンダリ画素用の信号を適宜、セカンダリランプ信号と記述する。
【0085】
図5において、プライマリランプ信号は、太線で示し、セカンダリランプ信号は、細線で示している。まず、ランプ信号生成回路17は、期間T1において、プライマリ画素のリセットレベルの画素信号(P相)を読み出すためのプライマリランプ信号を生成する。その後、ランプ信号生成回路17は、期間T2において、セカンダリ画素のリセットレベルの画素信号(P相)を読み出すためのセカンダリランプ信号を生成する。
【0086】
期間T2後の期間T3において、ランプ信号生成回路17は、プライマリ画素の信号レベルの画素信号(D相)を読み出すためのプライマリランプ信号を生成する。その後、ランプ信号生成回路17は、期間T4において、セカンダリ画素の信号レベルの画素信号(D相)を読み出すためのセカンダリランプ信号を生成する。
【0087】
このように、ランプ信号は、プライマリランプ信号とセカンダリランプ信号が交互に現れるような信号とされている。ここで、
図2または
図3を再度参照する。ここでは、画素21aをプライマリ画素とし、カラム処理部41aをプライマリ画素からの画素信号を処理するカラム処理部41であるとする。また、画素21bをセカンダリ画素とし、カラム処理部41bをセカンダリ画素からの画素信号を処理するカラム処理部41であるとする。
【0088】
入力スイッチ51aと入力スイッチ51bの開閉は、ランプ信号に応じて切り換えられる。具体的には、プライマリランプ信号がランプ信号生成回路17から供給されるときには、入力スイッチ51aは接続された状態とされ、入力スイッチ51bは切断された状態とされる。またセカンダリランプ信号がランプ信号生成回路17から供給されるときには、入力スイッチ51bは接続された状態とされ、入力スイッチ51aは切断された状態とされる。
【0089】
図5に示したように、期間T1において、プライマリランプ信号が生成されているときには、入力スイッチ51aは接続された状態(ON)とされ、入力スイッチ51bは切断された状態(OFF)とされる。期間T2において、セカンダリランプ信号が生成されているときには、入力スイッチ51aは切断された状態(OFF)とされ、入力スイッチ51bは接続された状態(ON)とされる。
【0090】
期間T3において、プライマリランプ信号が生成されているときには、入力スイッチ51aは接続された状態(ON)とされ、入力スイッチ51bは切断された状態(OFF)とされる。期間T4において、セカンダリランプ信号が生成されているときには、入力スイッチ51aは切断された状態(OFF)とされ、入力スイッチ51bは接続された状態(ON)とされる。
【0091】
このように、入力スイッチ51は、ランプ信号に応じて、その開閉が制御される。
【0092】
<ランプ信号の供給を制御するスイッチの位置>
上記したように、ランプ信号に応じて開閉が制御される入力スイッチ51が、撮像素子11内で設けられる位置について、
図6、
図7を参照して説明する。
図6、
図7においては、ランプ信号生成回路17、カラム処理部41、および入力スイッチ51のみを図示し、それぞれ簡略化して図示する。
【0093】
図6に示したように、入力スイッチ51は、ランプ信号生成回路17とカラム処理部41との間に設けられる。入力スイッチ51aは、ランプ信号生成回路17とカラム処理部41aとの間に設けられ、入力スイッチ51bは、ランプ信号生成回路17とカラム処理部41bとの間に設けられている。入力スイッチ51aと入力スイッチ51bの開閉を制御する制御信号は、
図6では図示していない制御回路18(
図1)から供給される。
【0094】
上述したように、入力スイッチ51aと入力スイッチ51bの開閉は、一方が接続されているときには、他方は切断されているように制御される。
【0095】
入力スイッチ51は、
図6に示したように、カラム処理部41の外部に設けられていても良いし、
図2(または
図3)に示したように、カラム処理部41内に含まれていても良い。
【0096】
図7に、入力スイッチ51の他の配置位置を示す。
図7に示した配置例では、カラム処理部41内のコンパレータ52内に入力スイッチ51が設けられている。
【0097】
カラム処理部41a内のコンパレータ52a内に、入力スイッチ51aを設ける。入力スイッチ51aが接続された状態のときには、コンパレータ52a内に、ランプ信号生成回路17からのランプ信号が供給され、コンパレータ52aにおける電圧比較が行われるが、入力スイッチ51aが切断された状態のときには、コンパレータ52a内に断線された箇所が存在する状態となり、コンパレータ52aにおける電圧比較は行われない状態とされる。
【0098】
同様に、カラム処理部41b内のコンパレータ52b内に、入力スイッチ51bを設ける。入力スイッチ51bが接続された状態のときには、コンパレータ52b内に、ランプ信号生成回路17からのランプ信号が供給され、コンパレータ52bにおける電圧比較が行われるが、入力スイッチ51bが切断された状態のときには、コンパレータ52b内に断線された箇所が存在する状態となり、コンパレータ52bにおける電圧比較は行われない状態とされる。
【0099】
このように、入力スイッチ51の撮像素子11内における配置位置は、ランプ信号生成回路17からのランプ信号が供給される状態と供給されない状態を切り替え、そのような切り替えが制御できる位置であればよい。
【0100】
<コンパレータとスイッチの構成>
図6、
図7に示したスイッチの配置例についてさらに説明を加える。ここでは、コンパレータ52は、差動アンプで構成されている場合を例に挙げて説明を続ける。
【0101】
まず
図8を参照し、コンパレータ52を差動アンプで構成したときの構成について説明する。コンパレータ52の基本構成は、一般に良く知られている差動アンプ構成を採用しており、NMOS型のトランジスタ105,106を有する差動トランジスタ対部と、差動トランジスタ対部の出力負荷となるPMOS型のトランジスタ101,102を有する電源側に配された負荷トランジスタ対部と、各部に一定の動作電流を供給する接地(GND)側に配されたNMOS型の定電流源トランジスタ109を有する電流源部とを備えている。
【0102】
トランジスタ105,106の各ソースが共通に定電流源トランジスタ109のドレインと接続され、トランジスタ105,106の各ドレイン(出力端子)に負荷トランジスタ対部の対応するトランジスタ101,102のドレインが接続されている。定電流源トランジスタ109のゲートには、DCゲート電圧が入力される。
【0103】
差動トランジスタ対部の出力(図示した例ではトランジスタ106のドレイン)は、図示しないアンプに接続され、さらに図示しないバッファを経て、十分な増幅がなされた後、カウンタ53(
図2)に出力されるようになっている。
【0104】
また、コンパレータ52の動作点をリセットする動作点リセット部が設けられている。動作点リセット部は、オフセット除去部として機能するものである。つまり、コンパレータ52は、オフセット除去機能付きの電圧コンパレータとして構成されている。動作点リセット部は、スイッチトランジスタ103,104と信号結合用の容量素子107,108とを有している。
【0105】
ここで、スイッチトランジスタ103は、トランジスタ105のゲート(入力端子)−ドレイン(出力端子)間に接続され、またスイッチトランジスタ104は、トランジスタ106のゲート(入力端子)−ドレイン(出力端子)間に接続され、各ゲートには共通に比較器リセットパルスPSETが供給されるようになっている。
【0106】
また、トランジスタ105のゲート(入力端子)には、容量素子107を介して図示していないランプ信号生成回路17からランプ信号が供給され、トランジスタ106のゲート(入力端子)には、画素21からの画素信号が容量素子108を介して供給されるようになっている。
【0107】
このような構成において、動作点リセット部は、容量素子107,108を介して入力される信号に対してサンプル/ホールド機能を発揮する。すなわち、画素信号とランプ信号との比較を開始する直前だけ比較器リセットパルスをアクティブにし、差動トランジスタ対部の動作点をドレイン電圧(読出電位;基準成分や信号成分を読み出す動作基準値)にリセットする。その後、容量素子108を介して画素信号をトランジスタ106へ、また容量素子107を介してランプ信号を入力し、画素信号とランプ信号とが同電位となるまで比較を行う。画素信号とランプ信号とが同電位となると出力が反転する。
【0108】
コンパレータ52が、
図8に示した構成であるときに、入力スイッチ51を、
図6または
図7に示した位置に配置した場合について説明する。以下の説明においては、コンパレータ52は、
図8に示した構成であるとし、コンパレータ52に関する説明は省略する。
【0109】
(スイッチの配置例1)
図9は、
図6に示したように、ランプ信号生成回路17とカラム処理部41との間に入力スイッチ51を設けた場合の一例を示す図である。
【0110】
入力スイッチ51aは、ランプ信号生成回路17とカラム処理部41aのコンパレータ52aとの間に設けられ、コンパレータ52aの容量素子107aに接続されている。同様に、入力スイッチ51bは、ランプ信号生成回路17とカラム処理部41bのコンパレータ52bとの間に設けられ、コンパレータ52bの容量素子107bに接続されている。
【0111】
図9では、入力スイッチ51aは接続され、入力スイッチ51bは切断されている例を示している。
図9に示したように、複数並列に配置されるカラム処理部41のコンパレータ52のランプ信号(参照信号)が伝送される経路に、遮断回路(入力スイッチ51)を配置し、AD変換のタイミングに同期させて、時分割で、遮断回路のON、OFFが制御される構成とすることができる。
【0112】
このような構成とし、さらに
図2に示した、画素の1列に対して2本の垂直信号線23が設けられ、それぞれの垂直信号線23にカラム処理部41が接続されている構成とした場合であっても、所定のタイミングにおいて、ランプ信号生成回路17と接続されているのは、カラム処理部41aまたはカラム処理部41bのどちらか一方である。
【0113】
また、
図3に示したように、画素の1列に対して1本の垂直信号線23が設けられて構成され、それぞれの垂直信号線23にカラム処理部41が接続されている構成とした場合であっても、所定のタイミングにおいて、ランプ信号生成回路17と接続されているのは、カラム処理部41aまたはカラム処理部41bのどちらか一方である。
【0114】
よって、本技術によれば、所定のタイミングにおいて、ランプ信号生成回路17に接続されているカラム処理部41は、撮像素子11に備えられているカラム処理部41数の半分であるようにすることができる。このことにより、CDS値に誤差を生じてしまうようことを抑制することが可能となる。
【0115】
図9などを参照するに、カラム処理部41には、容量素子107などの容量が含まれる。よって、カラム処理部41を並列に配置し、ランプ信号生成回路17に接続されるカラム処理部41が増えると、ランプ信号生成回路17に対して負荷となる容量値が増大することになる。
【0116】
リセットレベルの判定タイミングは、全てのカラム処理部41でほぼ同一のタイミングで集中して行われるのに対して、信号レベルの判定タイミングは、それぞれのカラム処理部41に入力される信号レベルに相関がないため、その判定タイミングはバラついてしまう可能性がある。このばらつきのために、CDS値に誤差が生じてしまう可能性がある。
【0117】
本技術によれば、上記したように、所定のタイミングにおいて、ランプ信号生成回路17に接続されているカラム処理部41は、撮像素子11に備えられているカラム処理部41数の半分であるようにすることができるため、ランプ信号生成回路17に対する負荷が小さくなり、カラム処理部41における信号レベルの判定タイミングのばらつきによるCDS値の誤差(ノイズ)を低減させることが可能となる。
【0118】
また、本技術においては、ランプ信号生成回路17の負荷容量となる列並列で配置されたAD変換器の接続数を時分割で減少させることでき、AD変換器を構成するカラム処理部41(カラム処理部41内のコンパレータ52)の状態による入力容量変動によるランプ信号(参照信号)の遅延変調を軽減でき、CDS値の誤差を抑制することができる。
【0119】
また、本技術によれば、上記したように、プライマリ画素とセカンダリ画素の2つの画素に対するランプ信号を生成する構成とした場合であっても、単一のランプ信号生成回路17でランプ信号を生成することが可能であるため、複数のランプ信号生成回路17を備える必要がなく、消費電力が増加してしまうようなことを防ぎ、撮像素子11の面積が大きくなるようなことを防ぐことが可能となる。
【0120】
また、複数のランプ信号生成回路17を備える場合、それぞれのランプ信号生成回路17の精度にばらつきがあると、CDS値の誤差が発生するなどの悪影響が発生する可能性があるが、本技術によれば、単一のランプ信号生成回路17で処理が行われるため、そのような悪影響が発生するようなことはない。
【0121】
(スイッチの配置例2)
図10は、
図7に示したように、ランプ信号生成回路17とカラム処理部41との間に入力スイッチ51を設けた場合の一例を示す図である。
【0122】
入力スイッチ51aは、カラム処理部41aのコンパレータ52a内に設けられ、入力スイッチ51aが開放されているときには、コンパレータ52aでの比較、判定が行われないようにし、入力スイッチ51aが接続されているときには、コンパレータ52aでの比較、判定が行われるようにするための位置に配置されている。
【0123】
同様に、入力スイッチ51bは、カラム処理部41bのコンパレータ52b内に設けられ、入力スイッチ51bが開放されているときには、コンパレータ52bでの比較、判定が行われないようにし、入力スイッチ51bが接続されているときには、コンパレータ52bでの比較、判定が行われるようにするための位置に配置されている。
【0124】
図10に示したコンパレータ52aを参照するに、入力スイッチ51a−1は、トランジスタ101aとトランジスタ105aとの間に設けられ、入力スイッチ51a−2は、トランジスタ102aとトランジスタ106aとの間に設けられている。
【0125】
入力スイッチ51a−1と入力スイッチ51a−2は、同一の開閉制御とされ、入力スイッチ51a−1が接続されているときには入力スイッチ51a−2も接続された状態とされ、入力スイッチ51a−1が切断されているときには入力スイッチ51a−2も切断された状態とされる。
【0126】
入力スイッチ51a−1が接続されることで、ランプ信号生成回路17で生成されたランプ信号がコンパレータ52a内に供給される状態となり、入力スイッチ51a−2が接続されることで、画素21a(
図2)からの画素信号がコンパレータ52a内に供給される状態となる。
【0127】
このように、ランプ信号と画素信号が入力されると、コンパレータ52aは、ランプ信号と画素信号との比較を行うことができる状態となるため、比較を行い、その比較結果を出力する。
【0128】
同様に、コンパレータ52bにおいては、入力スイッチ51b−1が接続されることで、ランプ信号生成回路17で生成されたランプ信号がコンパレータ52b内に供給される状態となり、入力スイッチ51b−2が接続されることで、画素21b(
図2)からの画素信号がコンパレータ52b内に供給される状態となる。
【0129】
このように、コンパレータ52bに、ランプ信号と画素信号が入力されることで、コンパレータ52bは、ランプ信号と画素信号との比較を行うことができる状態となるため、比較を行い、その比較結果を出力する。
【0130】
図10に示した状態は、コンパレータ52a内の入力スイッチ51aは接続されている状態とされ、コンパレータ52b内の入力スイッチ51bは、切断されている状態とされている。よって、
図10に示した状態のときには、コンパレータ52aでの比較、判定処理は実行されるが、コンパレータ52bでの比較、判定処理は実行されない。
【0131】
図10に示したように、複数並列に配置されるカラム処理部41のコンパレータ52(差動入力トランジスタ)の電流経路に、遮断回路(入力スイッチ51)を配置し、AD変換のタイミングに同期させて、時分割で、遮断回路のON、OFFが制御される構成とすることができる。
【0132】
このような構成とし、さらに
図2に示したように、画素の1列に対して2本の垂直信号線23が設けられ、それぞれの垂直信号線23にカラム処理部41が接続されている構成とした場合であっても、所定のタイミングにおいて、ランプ信号生成回路17と接続されているのは、カラム処理部41aまたはカラム処理部41bのどちらか一方である。
【0133】
また、
図3に示したように、画素の1列に対して1本の垂直信号線23が設けられ、それぞれの垂直信号線23にカラム処理部41が接続されている構成とした場合であっても、所定のタイミングにおいて、ランプ信号生成回路17と接続されているのは、カラム処理部41aまたはカラム処理部41bのどちらか一方である。
【0134】
よって、
図9を参照して説明した場合と同様に、本技術によれば、所定のタイミングにおいて、ランプ信号生成回路17に接続されているカラム処理部41は、撮像素子11に備えられているカラム処理部41数の半分であるようにすることができる。このことにより、CDS値に誤差を生じてしまうようことを抑制し、消費電力が増加してしまうようなことを防ぎ、撮像素子11の面積が大きくなるようなことを防ぐことが可能となる。
【0135】
(スイッチの配置例3)
図11は、
図7に示したように、カラム処理部41内のコンパレータ52内に入力スイッチ51が設けられている場合の一例を示す図である。
図10に示した例では、カラム処理部41に2つの入力スイッチ51が設けられている例を示したが、2つの入力スイッチ51を設けるのではなく、1つの入力スイッチ51が設けられている構成とすることもできる。
【0136】
入力スイッチ51aは、カラム処理部41aのコンパレータ52a内に設けられ、入力スイッチ51aが開放されているときには、コンパレータ52aでの比較、判定が行われないようにし、入力スイッチ51aが接続されているときには、コンパレータ52aでの比較、判定が行われるようにするための位置に配置されている。
【0137】
同様に、入力スイッチ51bは、カラム処理部41bのコンパレータ52b内に設けられ、入力スイッチ51bが開放されているときには、コンパレータ52bでの比較、判定が行われないようにし、入力スイッチ51bが接続されているときには、コンパレータ52bでの比較、判定が行われるようにするための位置に配置されている。
【0138】
具体的には、
図11に示したコンパレータ52aを参照するに、入力スイッチ51aは、トランジスタ102aとトランジスタ106aとの間に設けられている。入力スイッチ51aが接続されることで、画素21a(
図2)からの画素信号がコンパレータ52a内に供給される状態となる。
【0139】
このように、入力スイッチ51aが接続され、画素信号が入力される状態となることで、ランプ信号と画素信号が入力され、コンパレータ52aは、ランプ信号と画素信号との比較を行うことができる状態となり、比較を行い、その比較結果を出力する。
【0140】
同様に、
図11に示したコンパレータ52bを参照するに、入力スイッチ51bは、トランジスタ102bとトランジスタ106bとの間に設けられている。入力スイッチ51bが接続されることで、画素21b(
図2)からの画素信号がコンパレータ52b内に供給される状態となる。
【0141】
このように、入力スイッチ51bが接続され、画素信号が入力される状態となることで、ランプ信号と画素信号が入力され、コンパレータ52bは、ランプ信号と画素信号との比較を行うことができる状態となり、比較を行い、その比較結果を出力する。
【0142】
なおここでは、画素信号が入力される側に入力スイッチ51が設けられる場合を例に挙げて説明したが、ランプ信号が入力される側、すなわち、トランジスタ101とトランジスタ105との間に、入力スイッチ51が設けられる構成とされても良い。
【0143】
図11に示した状態は、コンパレータ52a内の入力スイッチ51aは接続されている状態とされ、コンパレータ52b内の入力スイッチ51bは、切断されている状態とされている。よって、
図11に示した状態のときには、コンパレータ52aでの比較、判定処理は実行されるが、コンパレータ52bでの比較、判定処理は実行されない。
【0144】
図11に示したように、複数並列に配置されるカラム処理部41のコンパレータ52(差動入力トランジスタ)内の一方の電流経路に、遮断回路(入力スイッチ51)を配置し、AD変換のタイミングに同期させて、時分割で、遮断回路のON、OFFが制御される構成とすることができる。
【0145】
このような構成とし、さらに
図2に示したように、画素の1列に対して2本の垂直信号線23が設けられ、それぞれの垂直信号線23にカラム処理部41が接続されている構成とした場合であっても、所定のタイミングにおいて、画素信号が入力されるのは、カラム処理部41aまたはカラム処理部41bのどちらか一方である。
【0146】
また、
図3に示したように、画素の1列に対して1本の垂直信号線23が設けられ、それぞれの垂直信号線23にカラム処理部41が接続されている構成とした場合であっても、所定のタイミングにおいて、画素信号が入力されるのは、カラム処理部41aまたはカラム処理部41bのどちらか一方である。
【0147】
よって、本技術によれば、所定のタイミングにおいて、ランプ信号生成回路17に接続されているカラム処理部41のうち比較、判定処理を実行するカラム処理部41は、撮像素子11に備えられているカラム処理部41数の半分であるようにすることができる。このことにより、CDS値に誤差を生じてしまうようことを抑制し、消費電力が増加してしまうようなことを防ぎ、撮像素子11の面積が大きくなるようなことを防ぐことが可能となる。
【0148】
なお、本実施の形態では、画素領域12に行列状に配置される画素21の1列に対して、2本の第1の垂直信号線23aおよび第2の垂直信号線23bが設けられる構成例(
図2)、または画素領域12に行列状に配置される画素21の2列に対して、2本の第1の垂直信号線23aおよび第2の垂直信号線23bが設けられる構成例(
図3)について説明したが、2本以上の複数本の垂直信号線23が設けられる構成としてもよい。
【0149】
例えば、
図2の例では、画素信号のセトリングとホールドとにほぼ同じ時間を要していたが、例えば、AD変換処理自体を高速化し、画素信号の出力をホールドする時間を短縮することができれば、複数の画素が画素信号のセトリングを行っている間に、他の複数の画素から出力される画素信号のAD変換を順次行うことができる。これにより、全体としてAD変換処理をより高速化することができる。
【0150】
また、撮像素子11は、画素21が形成される半導体基板に配線層が積層される表面に対して光が照射される表面照射型のCMOSイメージセンサ、または、その表面の反対側となる裏面に対して光が照射される裏面照射型のCMOSイメージセンサのどちらにも適用することができる。また、撮像素子11は、画素21が形成されるセンサ基板と、制御回路18(
図1)などが形成される回路基板とが積層されて構成される積層型のCMOSイメージセンサに適用することができる。また、上述したように画素信号を読み出してAD変換する処理は、制御回路18がプログラムを実行することにより、実現することができる。
【0151】
<電子機器への適用例>
なお、上述したような各実施の形態の撮像素子11は、例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像システム、撮像機能を備えた携帯電話機、または、撮像機能を備えた他の機器といった各種の電子機器に適用することができる。
【0152】
図12は、電子機器に搭載される撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【0153】
図12に示すように、撮像装置201は、光学系202、撮像素子203、信号処理回路204、モニタ205、およびメモリ206を備えて構成され、静止画像および動画像を撮像可能である。
【0154】
光学系202は、1枚または複数枚のレンズを有して構成され、被写体からの像光(入射光)を撮像素子203に導き、撮像素子203の受光面(センサ部)に結像させる。
【0155】
撮像素子203としては、上述した各実施の形態の撮像素子11が適用される。撮像素子203には、光学系202を介して受光面に結像される像に応じて、一定期間、電子が蓄積される。そして、撮像素子203に蓄積された電子に応じた信号が信号処理回路204に供給される。
【0156】
信号処理回路204は、撮像素子203から出力された画素信号に対して各種の信号処理を施す。信号処理回路204が信号処理を施すことにより得られた画像(画像データ)は、モニタ205に供給されて表示されたり、メモリ206に供給されて記憶(記録)されたりする。
【0157】
このように構成されている撮像装置201では、上述した各実施の形態の撮像素子11を適用することでAD変換処理を高速化することにより、例えば、より高フレームレートで画像を撮像することができる。
【0158】
<使用例>
図13は、上述のイメージセンサを使用する使用例を示す図である。
【0159】
上述したイメージセンサは、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
【0160】
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0161】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
複数の画素が行列状に配置された画素領域と、
前記画素から出力される画素信号をAD(Analog to Digital)変換するAD変換部が前記画素の列ごとに設けられ、同一の列に配置される複数の前記画素が、垂直信号線を介して前記AD変換部に接続されたカラムAD信号処理部と、
ランプ信号を生成するランプ信号生成部と
を備え、
所定数の前記垂直信号線のうちの、一部の前記垂直信号線を介して接続される前記画素がリセット動作または信号転送動作を行うのと並行的に、他の前記垂直信号線を介して接続される前記画素から出力される画素信号を前記AD変換部がAD変換する動作を行い、それらの動作が交互に繰り返して行われ、
前記ランプ信号は、前記画素から出力される画素信号をAD変換する前記AD変換部に供給され、AD変換しない前記AD変換部には供給されないように制御される
撮像素子。
(2)
前記制御はスイッチの開閉を制御することで行われ、
前記スイッチは、前記ランプ信号生成部と前記AD変換部と経路上に設けられている
前記(1)に記載の撮像素子。
(3)
前記制御はスイッチの開閉を制御することで行われ、
前記スイッチは、前記AD変換部に含まれるコンパレータ内に設けられている
前記(1)に記載の撮像素子。
(4)
前記スイッチは、前記コンパレータ内の電流経路に設けられている
前記(3)に記載の撮像素子。
(5)
前記スイッチは、前記コンパレータ内の前記画素からの信号を処理する側、または前記ランプ信号生成部からのランプ信号を処理する側の少なくとも一方の電流経路に設けられている
前記(3)に記載の撮像素子。
(6)
前記ランプ信号生成部は、第1の画素のリセットレベルの画素信号、第2の画素のリセットレベルの画素信号、前記第1の画素の信号レベルの画素信号、前記第2の画素の信号レベルの画素信号を、それぞれ読み出すためのランプ信号を、この順に繰り返し生成し、
前記制御はスイッチの開閉を制御することで行われ、
前記スイッチは、前記ランプ信号の切り替えのタイミングで開閉状態が切り換えられる
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の撮像素子。
(7)
複数の画素が行列状に配置された画素領域と、
前記画素から出力される画素信号をAD(Analog to Digital)変換するAD変換部が前記画素の列ごとに設けられ、同一の列に配置される複数の前記画素が、垂直信号線を介して前記AD変換部に接続されたカラムAD信号処理部と、
ランプ信号を生成するランプ信号生成部と
を備える撮像素子の撮像方法において、
所定数の前記垂直信号線のうちの、一部の前記垂直信号線を介して接続される前記画素がリセット動作または信号転送動作を行うのと並行的に、他の前記垂直信号線を介して接続される前記画素から出力される画素信号を前記AD変換部がAD変換する動作を行い、それらの動作が交互に繰り返して行われ、
前記ランプ信号は、前記画素から出力される画素信号をAD変換する前記AD変換部に供給され、AD変換しない前記AD変換部には供給されないように制御される
ステップを含む撮像方法。
(8)
複数の画素が行列状に配置された画素領域と、
前記画素から出力される画素信号をAD(Analog to Digital)変換するAD変換部が前記画素の列ごとに設けられ、同一の列に配置される複数の前記画素が、垂直信号線を介して前記AD変換部に接続されたカラムAD信号処理部と、
ランプ信号を生成するランプ信号生成部と
を備え、
所定数の前記垂直信号線のうちの、一部の前記垂直信号線を介して接続される前記画素がリセット動作または信号転送動作を行うのと並行的に、他の前記垂直信号線を介して接続される前記画素から出力される画素信号を前記AD変換部がAD変換する動作を行い、それらの動作が交互に繰り返して行われ、
前記ランプ信号は、前記画素から出力される画素信号をAD変換する前記AD変換部に供給され、AD変換しない前記AD変換部には供給されないように制御される
撮像素子を備える電子機器。