特許第6821706号(P6821706)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6821706歯科交換部品または歯科補助要素のコンピュータ支援製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6821706
(24)【登録日】2021年1月8日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】歯科交換部品または歯科補助要素のコンピュータ支援製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 13/00 20060101AFI20210114BHJP
   A61C 5/70 20170101ALI20210114BHJP
   A61C 13/003 20060101ALI20210114BHJP
   A61C 13/007 20060101ALI20210114BHJP
   A61C 13/08 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   A61C13/00 Z
   A61C5/70
   A61C13/00 A
   A61C13/003
   A61C13/007
   A61C13/08
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-559918(P2018-559918)
(86)(22)【出願日】2017年5月19日
(65)【公表番号】特表2019-516471(P2019-516471A)
(43)【公表日】2019年6月20日
(86)【国際出願番号】EP2017062062
(87)【国際公開番号】WO2017198803
(87)【国際公開日】20171123
【審査請求日】2020年3月11日
(31)【優先権主張番号】102016208794.0
(32)【優先日】2016年5月20日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500058187
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シェイファー,アンドレアス
【審査官】 寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−053632(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0087757(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 13/00
A61C 5/70
A61C 13/003
A61C 13/007
A61C 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マシニングツールによる歯科交換部品または歯科補助要素のコンピュータ支援製造の方法であって、
前記歯科交換部品または前記歯科補助要素が、前記マシニングツールの少なくとも一つの工具(11)によってブランクから機械加工され、
前記ブランクが前記少なくとも一つの工具の供給軸(12)に垂直に延びる回転軸(10)の周りを回転できるように、前記ブランクが前記マシニングツール内に固定され、
前記ブランクに対応し、前記回転軸(10)を含む、三次元ブランクデータレコード(8)が保存され、
製造される前記歯科交換部品または製造される前記歯科補助要素の三次元モデルデータレコード(1)が保存され、
前記モデルデータレコードが、第一の挿入軸(5)を有する第一の領域(4)と、第二の挿入軸(7)を有する第二の領域(6)とを備え、
前記第一の挿入軸(5)および前記第二の挿入軸(7)が、相互に対して斜交して並べられ、
前記モデルデータレコード(1)が、前記ブランクデータレコード(8)内に少なくとも二つの位置決め工程(S1、S2)で配置されて、結果が前記マシニングツールの位置データレコード(14)として提供され、
前記歯科交換部品または前記歯科補助要素が、前記位置データレコード(14)に従い前記マシニングツールによって前記ブランクから機械加工され、
さらに、
前記第一の位置決め工程(S1)において、前記モデルデータレコード(1)の前記第一の挿入軸(5)が、前記ブランクデータレコード(8)の前記回転軸(10)に垂直に並べられ、
前記第一の位置決め工程(S1)に続く前記第二の位置決め工程(S2)において、前記モデルデータレコード(1)の前記第二の挿入軸(7)が、前記モデルデータレコード(1)を前記第一の挿入軸(5)の周りで回転することによって、前記ブランクデータレコード(8)の前記回転軸(10)に垂直に並べられることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第二の位置決め工程(S2)に続く第三の位置決め工程(S3)において、前記モデルデータレコード(1)が前記ブランクデータレコード(8)内で前記ブランクデータレコード(10)に対して移動される、および/または前記モデルデータレコード(1)が完全に前記ブランクデータレコード(10)内に配置されるまで前記回転軸(10)の周りを回転されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第三の位置決め工程(S3)の後で、前記モデルデータレコード(1)が前記ブランクデータレコード(8)から突き出しているかどうかが確認され、前記モデルデータレコード(1)が突き出している時に、エラーメッセージが生成されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
それぞれの位置決め工程(S1、S2)で、前記モデルデータレコード(1)が完全に前記ブランクデータレコード(8)内に配置されることを確実にすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マシニングツールによる歯科交換部品または歯科補助要素のコンピュータ支援製造の方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
歯科交換部品または歯科補助要素、例えばドリルテンプレートまたはアライナーなどは通常、マシニングツールの工具によってブランク本体から機械加工される。この目的で、ブランクは、例えば製造される部品について保存されたモデルデータレコードに従い、機械工具内に固定され機械加工される。
【0003】
製造される歯科交換部品または歯科補助要素が、複数部材構造、例えば中間部材を備えた複数部材ブリッジを含み、ここで個別の部材が、相互に対して傾いた挿入軸またはドリル軸のさまざまな軸を備える場合、歯科交換部品または歯科補助要素は、機械加工運転中にブランクを再固定する必要なく、5本の軸または5自由度を有する機械工具によって製造されうる。4自由度のみを有する機械工具が使用される時、単一の機械加工運転の状況において、相互に斜交するように並べられた陥凹部を製造することは一般に不可能である。よって、製造される構成要素は、例えば複数の個別に製造された構成要素から組み立てられるか、または製造プロセスを中断して、機械工具内または、より具体的には機械工具のブランクホルダー内でブランクを並べ直すことが可能である。
【0004】
本発明の目的は、周知の製造方法をさらに発展させること、および4自由度のみを有するマシニングツールでも、相互に対して傾いた挿入軸またはドリル軸のある複数部材の構成要素を特に簡単かつ迅速に製造するのを可能にする製造方法を提供することである。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、マシニングツールによる歯科交換部品または歯科補助要素のコンピュータ支援製造の方法である。歯科交換部品または歯科補助要素は、マシニングツールの工具によってブランクから機械加工される。この目的でブランクは、前記ブランクが工具の供給軸に垂直に延びる回転軸の周りを回転できるような方法でマシニングツール内に固定される。
【0006】
ブランクに対応し、回転軸を含む三次元ブランクデータレコードと、製造される歯科交換部品または製造される歯科補助要素の三次元モデルデータレコードとが保存される。モデルデータレコードは、第一の挿入軸を有する第一の領域と、第二の挿入軸を有する第二の領域を備え、第一の挿入軸および第二の挿入軸は相互に斜交するように並べられている。
【0007】
モデルデータレコードは、ブランクデータレコード内に少なくとも二つの位置決め工程で配置される。第一の位置決め工程において、モデルデータレコードの第一の挿入軸は、ブランクデータレコードの回転軸に垂直に並べられている。第一の位置決め工程に続く第二の位置決め工程において、モデルデータレコードの第二の挿入軸は、モデルデータレコードを第一の挿入軸の周りで回転させることによって、ブランクデータレコードの回転軸に垂直に並べられている。配置の結果はマシニングツールの位置データレコードとして提供され、それによってマシニングツールは位置データレコードに従いブランクから歯科交換部品または歯科補助要素を機械加工する。
【0008】
歯茎に面する、すなわち準備表面と接触する歯科交換部品の部分は陥凹部を備え、これは内腔とも呼ばれる。複数部材の歯科交換部品は一般に、複数の異なって並べられた陥凹部を備え、それぞれの陥凹部は、部分区域のそれぞれの挿入方向を決定する。これに対応して、周知の挿入軸は方向を示し、この方向に沿って陥凹部がアンダーカットなしに作製されうる。
【0009】
歯科補助具は、例えばドリルテンプレートまたはアライナーである。
【0010】
ドリルテンプレートは、インプラントをセットするために穿孔の方向を指定するために使用され、この目的でドリルテンプレートは対応して並べられた貫通路を備える。複数部材のドリルテンプレートは、相互に対して斜交するように延びうる複数の貫通路を備える。貫通路によって予め規定され、かつドリル軸(すなわち貫通路の縦軸)とも呼ばれるドリル方向は、ここで挿入軸とも呼ばれる。
【0011】
相互に対して斜交している二つの挿入軸のそれぞれがブランクの回転軸またはマシニングツールのブランクホルダーに垂直になるように並べられた、相互に対して斜交している二つの挿入軸の結果、両方の挿入軸またはドリル軸が同時に、工具の供給軸に平行に延びることが達成される。このように4自由度は、二つの挿入軸に続く、歯科交換部品(またはドリルテンプレートの貫通路)の陥凹部をアンダーカットなしで製造するのに十分である。
【0012】
有利なことに、第二の位置決め工程に続く第三の位置決め工程において、モデルデータレコードは、ブランクデータレコード内でブランクデータレコードに対して変位され、および/またはモデルデータレコードが完全にブランクデータレコード内に配置されるまで回転軸の周りを回転される。モデルデータレコードは、回転軸に対する挿入軸の整列の後で、回転軸に対する挿入軸の整列が変化しない限り、ブランクデータレコード内で希望に応じて移動または回転されうる。これに対応して、当然ながら、ブランクデータレコードはまた、モデルデータレコードが固定位置にある時に、移動または回転されうる。例えば、平行または垂直の変位または回転軸の周りの回転によって、それ故に歯科交換部品または歯科補助要素がブランクから完全に機械加工できることを確実にできる。
【0013】
有利なことに、第三の位置決め工程の後、モデルデータレコードがブランクデータレコードから突き出すかどうか、またモデルデータレコードが突き出す時に、欠陥のある製造プロセスを避けるためにエラーメッセージが生成されるかどうかが確認される。
【0014】
有利なことに、それぞれの位置決め工程で、モデルデータレコードが完全にブランクデータレコード内に配置されていることを確実にする。モデルデータレコードの位置の確認、すなわちモデルデータレコードが完全にブランクデータレコード内にあるかどうかの確認はまた、それぞれの個別の位置決め工程後に実施されうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の例示的実施形態を図面で示す。図面は次に示される。
【0016】
図1】相互に対して斜交した挿入軸を有する複数部材の歯科交換部品のモデルデータレコードである。
図2】ブランクデータレコードである。
図3】処理工程の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、製造される歯科交換部品のモデルデータレコード1を概略的に示す。モデルデータレコード1は、第一の挿入軸5を有する第一の領域4と、第二の挿入軸7を有する第二の領域6を備え、この場合において、第一の挿入軸5および第二の挿入軸7は相互に対して斜交するように延びる。
【0018】
モデルデータレコード1はまた、製造されるアライナーに対応する。製造されるドリルテンプレート(図示せず)のモデルデータレコード1は、第一の挿入軸5に沿って延びる第一の通路開口部と、第二の挿入軸7に沿って延びる第二の通路開口部とを備える。
【0019】
歯科交換部品に関する以下の説明はまた、歯科補助要素(例えばアライナーまたはドリルテンプレート)に対応して適用される。
【0020】
図2は、歯科交換部品または歯科補助具の製造に使用されるブランクのブランクデータレコード8を示し、前記ブランクデータレコードは回転軸10を備える。機械工具(図示せず)内のブランクの配置を図示するために、工具11は、ブランクデータレコード8の横にある回転軸10に垂直に延びる供給軸12とともに示されている。
【0021】
図3は、二つの位置決め工程を概略的に示す。第一の位置決め工程において、モデルデータレコード1は、第一の挿入軸5が回転軸10に対して直角13に並べられるように、ブランクデータレコード8内に配置される。
【0022】
第二の位置決め工程において、モデルデータレコード1は、第二の挿入軸7も回転軸10に垂直に並べられるまで、第一の挿入軸5の周りを回転される。
【0023】
二つの位置決め工程の結果は、歯科交換部品または歯科補助要素をブランクから製造するために、位置データレコード14として提供される。
図1
図2
図3