特許第6821787号(P6821787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6821787
(24)【登録日】2021年1月8日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】ダクトパネル
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/02 20060101AFI20210114BHJP
   F24F 13/24 20060101ALN20210114BHJP
【FI】
   F24F13/02 A
   F24F13/02 H
   !F24F13/24
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-504081(P2019-504081)
(86)(22)【出願日】2017年7月25日
(65)【公表番号】特表2019-527334(P2019-527334A)
(43)【公表日】2019年9月26日
(86)【国際出願番号】SG2017050377
(87)【国際公開番号】WO2018021969
(87)【国際公開日】20180201
【審査請求日】2019年3月14日
(31)【優先権主張番号】10201606130V
(32)【優先日】2016年7月25日
(33)【優先権主張国】SG
(73)【特許権者】
【識別番号】517027516
【氏名又は名称】インスタッド プリ ファブリケーション ピーティーイー エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】INSTAD PRE FABRICATION PTE LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】チャン クワン ヘン
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−025585(JP,A)
【文献】 実開昭53−023141(JP,U)
【文献】 米国特許第05352000(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第02051216(GB,A)
【文献】 英国特許出願公開第02517476(GB,A)
【文献】 中国特許出願公開第102330855(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104534207(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/02
F24F 13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の支持層と第2の支持層との間に配された断熱層を備え、末端幅部を有するラミネート構造体と、
前記末端幅部に装着され、ダクトパネルを搭載可能に構成された取付フランジに結合される構成とされた終端キャップと、
を備えるダクトパネルであって、
前記終端キャップと前記取付フランジとが異なる材料から成り、
前記取付フランジと前記第2の支持層とが一体構造とされている、ダクトパネル。
【請求項2】
前記断熱層がポリイソシアヌレート(PIR)から成る、請求項1に記載のダクトパネル。
【請求項3】
前記終端キャップがプラスチック材料から成り、前記取付フランジが金属から成る、請求項1又は2に記載のダクトパネル。
【請求項4】
前記プラスチック材料がポリ塩化ビニル(PVC)である、請求項3に記載のダクトパネル。
【請求項5】
前記第1の支持層がダクトの内表面を形成する構成とされ、該第1の支持層が亜鉛めっき鋼、アルミニウム及びステンレス鋼から成る群より選択される1種の材料から成る、請求項1から4のいずれか1項に記載のダクトパネル。
【請求項6】
前記第2の支持層が前記ダクトの外表面を形成する構成とされ、該第2の支持層が亜鉛めっき鋼、アルミニウム及びステンレス鋼から成る群より選択される1種の材料から成る、請求項5に記載のダクトパネル。
【請求項7】
前記取付フランジが前記第2の支持層から外方向に延在する、請求項6に記載のダクトパネル。
【請求項8】
前記終端キャップはロック部材を含み、該ロック部材は前記取付フランジ側の対応するロック部材と係合する構成とされている、請求項1から7のいずれか1項に記載のダクトパネル。
【請求項9】
請求項1からのいずれか1項に記載のダクトパネルの複数枚により構成されるダクトセクションであり、これらのダクトパネルが1つの閉断面を形成している、ダクトセクション。
【請求項10】
隣接するダクトパネル同士が各パネルの長さ方向に沿いロック機構を用いて装着されている、請求項に記載のダクトセクション。
【請求項11】
第1の支持層と第2の支持層との間に断熱層を配し、末端幅部を有するラミネート構造体を形成する工程と、
前記末端幅部に終端キャップを取り付ける工程と、
前記終端キャップに取付フランジを結合する工程と
を備えるダクトパネルの製造方法であって、
前記終端キャップと前記取付フランジとが異なる材料から成り、
前記取付フランジと前記第2の支持層とが一体構造を形成している、方法。
【請求項12】
前記断熱層がポリイソシアヌレート(PIR)から成る、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記終端キャップがプラスチック材料から成り、前記取付フランジが金属から成る、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記プラスチック材料がポリ塩化ビニル(PVC)である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の支持層が亜鉛めっき鋼、アルミニウム及びステンレス鋼から成る群より選択される1種の材料から成る、請求項11から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の支持層が亜鉛めっき鋼、アルミニウム及びステンレス鋼から成る群より選択される1種の材料から成る、請求項11から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1からのいずれか1項に記載されたダクトパネルの複数枚を組み立ててダクトセクションを形成する工程と、
前記ダクトセクションを少なくとも1つの隣接するダクトセクションに各々の取付フランジを用いて装着する工程と、
を含む、ダクトの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広義にはダクトパネル、その製造方法、ダクトセクション及びダクトの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エアダクトは、給気及び排気を目的として建物の暖房、換気及び空調(HVAC)システムと併用される。1本のエアダクトは通常、複数の短いセクションを組み立てて構成される。建物内にはその要求性能や建築規制に応じて、様々な寸法や種類のエアダクトが設置されている。
【0003】
従来、エアダクトは建設現場作業の1つとして現場で設置されている。例えば、複数の金属板を折り曲げて金属ダクトを形成した後、その金属ダクトの周囲に断熱層を施工する。この施工作業は通常、手作業により行われる。エアダクトの品質は、施工の熟練度によって変化し得る。断熱材の無駄が増え、また断熱性能が中途半端となりかねない。
【0004】
さらに、エアダクトの多くは天井高さにあり、その設置作業は高所作業となる。これは作業者らにとって危険であり、設置作業効率も低下する可能性がある。現状の解決策として、エアダクトを建設現場以外の製作所で製作し、これを現場へ搬入することが考えられる。しかし、エアダクトの多くは嵩高く、これを現場へ搬入することは困難かつ非常に手間がかかる。更に、エアダクトは取り扱いにくく、大きな保管場所を要する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、これら問題の少なくとも一部に対処し得るダクトパネルか、又は使いやすい代替品が求められている。
【0006】
本発明の第1の側面によれば、第1の支持層と第2の支持層との間に配された断熱層を備え、末端幅部を有するラミネート構造体と、上記末端幅部に装着され、ダクトパネルを搭載可能に構成された取付フランジに結合される構成とされた終端キャップと、を備えるダクトパネルであって、上記終端キャップと上記取付フランジとが異なる材料から成り、上記取付フランジと上記第2の支持層とが一体構造とされている、ダクトパネルが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記断熱層はポリイソシアヌレート(PIR)から成るものであってよい。
【0008】
上記終端キャップはプラスチック材料から、また上記取付フランジは金属から成るものであってよい。
【0009】
上記プラスチック材料はポリ塩化ビニル(PVC)であってよい。
【0010】
上記第1の支持層はダクトの内表面を形成する構成とされ、該第1の支持層は亜鉛めっき鋼、アルミニウム及びステンレス鋼から成る群より選択される1種の材料から成るものであってよい。
【0011】
上記第2の支持層は上記ダクトの外表面を形成する構成とされ、該第2の支持層は亜鉛めっき鋼、アルミニウム及びステンレス鋼から成る群より選択される1種の材料から成るものであってよい。
【0012】
上記取付フランジは上記第2の支持層から外方向に延在してよい。
【0014】
上記終端キャップはロック部材を含み、該ロック部材は上記取付フランジ側の対応するロック部材と係合する構成とされていてよい。
【0015】
本発明の第2の側面によれば、第1の側面で定義されたダクトパネルの複数枚により構成されるダクトセクションであり、これらのダクトパネルが1つの閉断面を形成しているダクトセクションが提供される。
【0016】
隣接するダクトパネル同士は、各パネルの長さ方向に沿いロック機構を用いて係着されていてよい。
【0017】
本発明の第3の側面によれば、第1の支持層と第2の支持層との間に断熱層を配し、末端幅部を有するラミネート構造体を形成する工程と、上記末端幅部に終端キャップを取り付ける工程と、上記終端キャップに取付フランジを結合する工程とを備えるダクトパネルの製造方法であって、上記終端キャップと上記取付フランジとが異なる材料から成り、上記取付フランジと上記第2の支持層とが一体構造を形成する様な、方法が提供される。
【0018】
上記断熱層はポリイソシアヌレート(PIR)から成るものであってよい。
【0019】
上記終端キャップはプラスチック材料から、また上記取付フランジは金属から成るものであってよい。
【0020】
上記プラスチック材料はポリ塩化ビニル(PVC)であってよい。
【0021】
上記第1の支持層は亜鉛めっき鋼、アルミニウム及びステンレス鋼から成る群より選択される1種の材料から成るものであってよい。
【0022】
上記第2の支持層は亜鉛めっき鋼、アルミニウム及びステンレス鋼から成る群より選択される1種の材料から成るものであってよい。
【0023】
本発明の第4の側面によれば、第1の側面で定義されたダクトパネルの複数枚を組み立ててダクトセクションを形成する工程と、上記ダクトセクションを少なくとも1つの隣接するダクトセクションに各々の取付フランジを用いて装着する工程と、を含むダクトの設置方法が提供される。
【0024】
本発明の実施態様は、以下の明細書の記載から、専ら実施例を通じ、又は、以下に挙げる図面を併用して、当業者にとってより良く理解され明白なものとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】例示的な一実施態様にかかるダクトパネルをある視点で見た様子を示す模式図である。
図1B図1Aのダクトパネルを別視点で見た様子を示す模式図である。
図2図1A及び1Bのダクトパネルを4枚備えた4面ダクトセクションを示す模式図である。
図3】2個の隣接する4面ダクトセクションを組み立てて例示的な一実施態様にかかるダクトを形成する様子を示す模式図である。
図4】例示的な一実施態様にかかる、2個の隣接する取付フランジの組立体を拡大して示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1A及び1Bは、例示的な一実施態様にかかるダクトパネル100を示す模式図である。このダクトパネル100は、第1の金属層105として表される第1の支持層105と第2の金属層106として表される第2の支持層106との間に配される断熱層104を有するラミネート構造体102を備える。このラミネート構造体102は少なくとも1つの末端幅部を備え、図1A及び1Bでは第1の末端幅部108、及び第2の末端幅部110として表されている。第1の終端キャップ112が第1の末端幅部108に装着されており、第2の終端キャップ114が第2の末端幅部110に装着されている。第1の終端キャップ112と第2の終端キャップ114は、それぞれ第1の取付フランジ116と第2の取付フランジ118に結合する構成とされている。第1及び第2の終端キャップ112,114は、第1及び第2の取付フランジ116,118と異なる材料から成る。第1の取付フランジ116及び第2の取付フランジ118は、ダクトパネル100を外部構造体(図示せず)、例えば隣接するダクトセクションの取付フランジに装着する構成とされる。
【0027】
上記例示的な実施態様における断熱層104は薄い矩形の層であり、第1の表面120と第2の表面122とを有する。第1の表面120は第1の金属層105に当接され、第2の表面122は第2の金属層106に当接されて、ラミネート構造体102が形成されている。断熱層104は、実質的に平行な2本の長辺を有する。長辺の各々は、2枚のダクトパネルが組み立てられる際に、隣接する断熱層(図示せず)の対応する長辺と衝合される。これら長辺は断熱層104の厚さ方向に沿って変化する表面構造、例えば鋸歯や傾斜を有していてよく、この構造は上記の対応する長辺の表面構造に符合する。かかる表面構造は、上記の衝合する長辺同士の接触面積を増大させ、衝合を強固なものとする。各ダクトパネルの長辺同士のかかる衝合は、例えば糊等の接着手段を用いて更に強化してもよい。当業者であれば、断熱層104が他の形状、例えば3角形状であってもよく、これを用いて、末端幅部を互いに垂直に配した状態で2枚の隣接するダクトパネルを接合し得ることが理解できるであろう。
【0028】
本発明の一実施態様において、断熱層104はポリイソシアヌレート(PIR)から成る。PIRは耐熱性が比較的高く、R値が高く(1インチ当たりR6)、K値が低い(0.023W/m・K)ため、好適な材料であり得る。当業者であれば、断熱層104が他の材料から成るものでもよく、PIRはその一例であることが理解できるであろう。
【0029】
断熱層104がPIRから成る場合、その厚さは通常20〜40mmである。一般に、断熱層104の厚さはダクトパネル100の幅が広くなるほど厚くなる。それは、ダクトパネルが幅広であるほど流速のより早い給気に用いられるのが普通であり、その分良好な断熱性が要求されるからである。一実施態様において、PIR断熱層104の密度は約50kg/m3±2kg/m3である。断熱層104は通常、標準的な長さ、例えば2m未満に製作される。これにより、ダクトパネル100の製造工程を簡便化し得る。当業者であれば、断熱層104の厚さや密度並びに長さは、要求される断熱性能、輸送や保管の容易性、及びダクトパネルの設置場所等に応じて、実施態様が異なれば変更し得るものである。
【0030】
典型的には、第1の金属層105は亜鉛めっき鋼、アルミニウム又はステンレス鋼から成る。同様に、第2の金属層106も亜鉛めっき鋼、アルミニウム又はステンレス鋼から成り得る。これらの材料は概ね耐久性が良好で、これら金属層105,106の厚さは妥当な範囲で薄い、例えば1mm未満であるのが普通である。これら金属層105,106は、アルミ箔を用いている従来のダクトに比べてより剛性の高い断熱層104の支持構造を提供し得る。更に、これら金属層105,106の表面に耐食性を持たせてもよい。また、上記表面に装等の処理を施して、更にダクトの耐食性や美観を向上させてもよい。使用時には、第1の金属層105がダクトの内表面を形成し、第2の金属層106とがダクトの外表面を形成する。当業者であれば、コストや建築規則に応じて第1の金属層105及び第2の金属層106が異なる材料で製作され得ることが理解できるであろう。更にまた、第1の支持層及び第2の支持層を同等の熱特性及び構造特性を有する非金属材料、例えばコンポジットやプラスチックで製作し得ること、及び上述したこれら材料はほんの一例であることも、理解できるであろう。
【0031】
図1A及び1Bには又、第2の金属層106がロック機構としてスナップロック部材124を備えている様子も図示されている。このスナップロック部材124は、隣接する2枚のダクトパネルを組み立てる際に、他方のダクトパネルの対応するスナップロック部材と相互に噛み合う構成とされている。これら隣接するダクトパネルのスナップロック部材同士の噛み合いにより、組立作業が簡便となり、隣接するダクトパネル間の組立てがより強固となり得る。他の実施態様では、スナップロック部材124が第1の金属層105に配されていてもよく、或いは第1の金属層105と第2の金属層106の双方に配されていてもよい。
【0032】
図1A及び1Bに示す例では、第1の終端キャップ112及び第2の終端キャップ114がそれぞれ、ラミネート構造体102の第1の末端幅部108及び第2の末端幅部110に装着されている。具体的には、終端キャップ112,114が、第1の金属層105と第2の金属層106の部分でラミネート構造体102を把持している。
【0033】
終端キャップ112,114の各側面は、典型的には断熱層の各長辺と面一に構成される。例えば図1Bでは、終端キャップ112,114の双方の側面が傾斜し、傾斜構造を有する長辺側の表面構造に対応している。一実施態様において、終端キャップ112,114は例えば鋸歯状表面の様なテクスチャ構造を有していてもよい。かかるテクスチャ表面を第1の末端幅部108に装着する前に、該テクスチャ表面に糊を塗布してもよい。テクスチャ表面をより強固に装着することができる。
【0034】
図1A及び1Bに示す様に、第1の取付フランジ116と第2の取付フランジ118は、第2の金属層106と共に一体構造を形成する。例えば、取付フランジ116,118と第2の金属層106とは、1枚の金属板を折り曲げたものであってよい。当業者であれば上記の一体構造の形成に他の製造方法、例えばアルミニウムの押出成形も用い得ることが理解できるであろう。他の実施態様において、第1の取付フランジ11及び第2の取付フランジ11は、第2の金属層106に着脱可能な構成とされる。換言すれば、取付フランジ116,118と第2の金属層106とは全て独立の構造体である。いずれの場合も、ダクトパネル100を装着するための穴がフランジを貫通して設けられるのが普通である。取付フランジ116,118は通常、十分な延性を有する材料、例えば金属から成る。
【0035】
図1A及び1Bにおいて、第1の終端キャップ112は、第1の取付フランジ116の対応するロック部材128と係合するロック部材126を有し、これらロック部材126,128は第2の金属層106の隣りで互いに噛み合う。第2の終端キャップ114もまた、同様の構造で第2の取付フランジ118と係合する。この結果、第1の取付フランジ116と第2の取付フランジ118とは第2の金属層106に対して外側方向に延在する。当業者であれば、終端キャップ112,114が他の構造により取付フランジ116,118とそれぞれ係合し得ることが理解できるであろう。例えば、取付フランジ116,118はネジ等の締結手段を用いて終端キャップ112,114と締結することができる。
【0036】
使用時には、終端キャップ112,114の中で第1の金属層105に隣接する部分は、ダクト内を流れる気流に曝される。このダクト内を流れる空気の温度は、該ダクト外の空気の温度と異なる場合も多い。終端キャップ112,114を介した熱 伝導を低減し、ダクトパネル100内で生じ得る熱橋を防止するため、終端キャップ112,114は典型的には熱抵抗の大きい材料、例えばポリ塩化ビニル(PVC)等のプラスチック材料から成る。これにより、ダクト内を流れる空気の不必要な熱利得や熱損失を首尾良く低減させることができる。当業者であれば、終端キャップ112,114を適切な熱抵抗を有する他の材料で製作することができ、PVCはその一例であることが理解できるであろう。
【0037】
図2は、図1A及び1Bに示した4枚のダクトパネル202a,202b,202c,202dを有する4面ダクトセクション200を示す模式図である。ここでは、第1のダクトパネル202a、第2のダクトパネル202b及び第3のダクトパネル202cが既に組み立てられ、「C」字形の構造体でダクトセクション200の3面を構成している様子を示している。第4のダクトパネル202dは、「C」字形の構造体に組み入れられる。図1A及び1Bを参照しながら上述した様に、2個の隣接するダクトパネルを組み立てると、該ダクトパネルの断熱層の対応する長辺同士が衝合される。本例では、第4のダクトパネル202dの断熱層の上記各長辺が、第1のダクトパネル202a及び第3のダクトパネル202cの各断熱層の対応する各長辺と衝合される。
【0038】
第4のダクトパネル202dは、第1の取付フランジ204aと第2の取付フランジ204bとを備える。第1の隅部ピース206a、第2の隅部ピース206b、第3の隅部ピース206c及び第4の隅部ピース206dが、第1及び第2の取付フランジ204a,204bの各辺に挿入される。これら隅部ピース206a,206b,206c,206dは別の構成を有していてもよく、例えば単一のL字形ピースであってもよいし、2個のI字形ピースを組み合わせたものであってもよい。隅部ピース206a,206b,206c,206dは、例えばネジやボルト等の締結手段(図示せず)を挿入する貫通孔208を備えていてもよい。これら隅部ピース206a,206b,206c,206dはその後、第1のダクトパネル202a及び第3のダクトパネル202cの対応する各取付フランジへ挿入される。締結手段を貫通孔208に挿入し、隅部ピース206a,206b,206c,206dを各取付フランジ204a,204bへ固定するか、又は、図4を参照しながら後述する様に、ダクトセクション200を隣接する外部構造体(図示せず)、例えば隣りのダクトセクションに固定する。ダクトパネル202a,202c,202dの各々の金属層のスナップロック部材、例えば210a,210bは、隣接するダクトパネル202a,202c,202dの対応するスナップロック部材と噛み合うことができる。
【0039】
図3は2個の隣接する4面ダクトセクション302a,302bを組み立てて1本のダクトを形成した状態を示す模式図である。ここでは、第1のダクトセクション302aが第2のダクトセクション302bに装着されている。これらダクトセクション302a,302bの各々は外向きに延在する4つの取付フランジを有する。典型的には、第1のダクトセクション302aの取付フランジ304a,304b,304c,304dと第2のダクトセクション302bの取付フランジ306a,306b,306c,306dとの間に適度な熱抵抗を有するシール材を配し、該第1のダクトセクション302aの該取付フランジ304a,304b,304c,304dと該第2のダクトセクション302bの該取付フランジ306a,306b,306c,306dとの間の接続を実質的に液密としてもよい。
【0040】
図4は2つの隣接する取付フランジ402a,402bの例示的な組立体を拡大して示す模式図である。ここでは、第1の取付フランジ402aと第2の取付フランジ402bとが、それぞれ第1のダクトパネル404aと第2のダクトパネル404bとに搭載されている。本実施態様では、第1の取付フランジ402a及び第2の取付フランジ402bが、それぞれ第1の金属層406a及び第2の金属層406bと共に一体構造を形成している。更に、各ダクトパネル404a,404bは各終端キャップ408a,408bを備えており、これらは該ダクトパネル404a,404bの末端幅部に装着されている。各終端キャップ408a,408bは、取付フランジ402a,402bの対応するロック部材412a,412bと係合するロック部材410a,410bを備えている。
【0041】
第1及び第2のダクトパネル404a,404bの間には、シール414が見える。第1の取付フランジ402aは、ネジ416とナット418を用いて第2の取付フランジ402bに装着されている。スナップフィット部材420を用いて取付フランジ402a,402bを押圧し、この装着状態を更に強化したり、ダクトが屋外に設置される場合の水や汚れの蓄積を防止してもよい。当業者であれば、隣接する取付フランジ402a,402bを装着するのに他の締結手段を用い得ること、ネジとナットの使用は一例に過ぎないことが理解できるであろう。更に、これら隣接する取付フランジ402a,402bの組立体には他の構造要素、例えば取付フランジ402a,402bの破損を防止するためのフランジ内補強部材が含まれてよいことも、理解できるであろう。
【0042】
例示的な実施態様に係る上記ダクトパネル100を従来のダクトパネルと比較すると、該例示的な実施態様に係るダクトパネル100は上記HVACシステムにおいてより効率的なエネルギー利用を可能とする。具体的には、ダクト内における断熱性能が向上した結果として、エネルギー損失又は利得を減少できる。例えば、ダクトパネル100はPVC製の終端キャップ112,114を有し、これらは該終端キャップを通じた熱伝導を減少させることができる。このことにより、ダクトパネル内、ひいてはダクト内における熱橋を防止することができる。
【0043】
上記の例示的な実施態様に係るダクトパネルは、現場外で製造され、比較的コンパクトなパネルの形状で現場へ搬入される。これらダクトパネルを、スナップフィット式の係合により現場で組み立て、ダクトセクションを形成することができる。例えば、終端キャップ112,114はロック部材を用いて取付フランジ116,118と結合される。ダクトに追加の断熱材は不要である。これにより、ダクトの断熱施工を実質的に削減することができ、また現場で発生する騒音レベルを下げることができる。また、ダクトは従来のダクトに比べてより軽量で高強度とすることができる。ダクトパネルの更なる利点として、手作業による断熱施工が削減できることによる廃棄物の削減、現場における生産性の向上、使用材料がホルムアルデヒドを含まないので環境に優しい製品であることが挙げられる。
【0044】
当業者であれば、広義に記載された本発明の趣旨及び範囲を逸脱しない限りにおいて、上記の具体的な各実施態様で示した本発明に対して種々の変更及び/又は改良を加え得ることが理解できるであろう。したがって上述した本実施態様はあらゆる点で例示的なものであり、決して限定的ではないものと理解すべきである。
図1A
図1B
図2
図3
図4