(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6821812
(24)【登録日】2021年1月8日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】カテーテルハブ
(51)【国際特許分類】
A61M 25/18 20060101AFI20210114BHJP
A61M 39/10 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
A61M25/18
A61M39/10 100
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-535218(P2019-535218)
(86)(22)【出願日】2017年9月14日
(65)【公表番号】特表2019-526425(P2019-526425A)
(43)【公表日】2019年9月19日
(86)【国際出願番号】US2017051613
(87)【国際公開番号】WO2018053164
(87)【国際公開日】20180322
【審査請求日】2019年3月28日
(31)【優先権主張番号】62/394,506
(32)【優先日】2016年9月14日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】グプタ、アジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ラーブ、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】スミス、マーク エス.
(72)【発明者】
【氏名】フレドリクソン、ケン
【審査官】
中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−510744(JP,A)
【文献】
米国特許第06068622(US,A)
【文献】
特開2013−022255(JP,A)
【文献】
米国特許第04068660(US,A)
【文献】
特開2014−128341(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0209581(US,A1)
【文献】
特表2014−530742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/18
A61M 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルであって、
近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延びるルーメンとを有する長尺状シャフトを備え、
近位端と遠位端とを有する管状のハブ本体を備え、当該管状のハブ本体は、前記近位端から前記遠位端に向かって増加する直径を備え、
前記ハブ本体の前記近位端から前記遠位端に延びるルーメンを備え、前記ハブ本体のルーメンが、近位領域と、中間領域と、近位部から遠位部にかけて直径が裾広がりの遠位領域とを含み、
前記ハブ本体の前記遠位端の全体は、丸みの付いた面を有し、前記長尺状シャフトの近位端は、前記ハブ本体のルーメンの内部に配置され、前記丸みの付いた面は、前記長尺状シャフトの曲げ半径を制限するように構成され、かつ、1mmよりも大きい曲率半径を有するとともに、前記ハブ本体のルーメンの遠位領域は、前記長尺状シャフトの近位端に固定される、カテーテル。
【請求項2】
前記ハブ本体の側面に形成された少なくとも1つのグリップ部をさらに備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記少なくとも1つのグリップ部は、概ね平らな領域を備える、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記遠位端の前記丸みの付いた面は、前記概ね平らな領域に漸進的に移行する、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記少なくとも1つのグリップ部は、2つのグリップ部であり、該2つのグリップ部は、それぞれが前記ハブ本体において対向する側面に配置される、請求項2から4のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記裾広がりの遠位領域は、少なくとも前記ハブ本体の前記近位端に近い第1の位置から、少なくとも前記ハブ本体の前記遠位端に近い第2の位置にかけて直径が大きくなる、請求項1から5のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記ハブ本体のルーメンは、前記第1の位置において、直径が段階的に変化する、請求項6に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記丸みの付いた面は、前記ハブ本体のルーメン内に延びる、請求項1から7のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記ハブ本体のルーメンの近位領域は、直径のより大きい領域から直径のより小さい領域に流体を遠位方向に向けるように構成された先細り領域を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記ハブ本体の前記近位端は、ルアー連結部である、請求項1から9のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記丸みの付いた面の曲率半径は、2mmよりも大きい、請求項1から10のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記丸みの付いた面の曲率半径は、3mmよりも大きい、請求項1から11のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記長尺状シャフトは、マイクロカテーテルである、請求項1から12のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記ハブ本体は、ポリカーボネートである、請求項1から13のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記ハブ本体は、透明である、請求項1から14のいずれか一項に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概略的にはハブに関し、特に、マイクロカテーテルハブに関する。
【背景技術】
【0002】
多様な体内医療装置が、医療用、例えば、血管内用に開発されてきた。これらの装置の一部は、ガイドワイヤ、カテーテルなどを含む。これらの装置は、様々な異なる製造方法のいずれか1つによって製造され、様々な方法のいずれか1つに従って使用し得る。各公知の医療装置及び方法は、何らかの利点及び欠点を有する。代替の医療装置の提供、さらには、医療装置を製造及び使用するための代替の方法を提供することが引き続き必要である。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、医療装置用の設計、材料、製造方法、及び使用法の代替案を提供する。
第1の例において、医療装置への連結用のハブアセンブリは、近位端と遠位端とを有するハブ本体と、ハブ本体の近位端から遠位端に延びるルーメンとを備え得る。ハブ本体の遠位端は、1mmよりも大きい曲率半径を有する丸みの付いた面を有し得る。
【0004】
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、ハブアセンブリは、ハブ本体の側面に形成された少なくとも1つのグリップ部をさらに備え得る。
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、少なくとも1つのグリップ部は、概ね平らな領域を備え得る。
【0005】
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、遠位端の丸みの付いた面は、概ね平らな領域に漸進的に移行し得る。
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、少なくとも1つのグリップ部は、2つのグリップ部であり得、該2つのグリップ部は、それぞれがハブ本体において対向する側面に配置される。
【0006】
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、ルーメンの遠位領域は、少なくともハブ本体の近位端に近い第1の位置から、少なくともハブ本体の遠位端に近い第2の位置にかけて直径が大きくなる裾広がり領域であり得る。
【0007】
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、ルーメンは、第1の位置において、直径が段階的に変化し得る。
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、丸みの付いた面は、ルーメン内に延びることができる。
【0008】
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、ルーメンの遠位領域は、直径のより大きい領域から直径のより小さい領域に流体を遠位方向に向けるように構成された先細り領域を備え得る。
【0009】
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、ハブ本体の
近位端は、ルアー連結部であり得る。
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、丸みの付いた面の曲率半径は、2mmよりも大きくすることができる。
【0010】
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、丸みの付いた面の曲率半径は、3mmよりも大きくすることができる。
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、ハブアセンブリは、マイクロカテーテルの近位端に取り付けられるように構成し得る。
【0011】
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、ハブ本体は、ポリカーボネートであり得る。
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、ハブ本体は透明であり得る。
【0012】
別の例において、医療装置への連結用のハブアセンブリは、近位端と遠位端とを有するハブ本体と、ハブ本体の近位端から遠位端に延びるルーメンとを備え得る。ハブ本体の遠位端は、丸みの付いた面を有することができ、丸みの付いた面は、3mmよりも大きい曲率半径を有する。
【0013】
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、ハブアセンブリは、ハブ本体の側面に形成された少なくとも1つのグリップ部をさらに備え得る。
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、少なくとも1つのグリップ部は、概ね平らな領域を備え得る。
【0014】
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、遠位端の丸みの付いた面は、概ね平らな領域に漸進的に移行し得る。
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、少なくとも1つのグリップ部は、2つのグリップ部であり得、該2つのグリップ部は、それぞれがハブ本体において対向する側面に配置される。
【0015】
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、ルーメンの遠位領域は、少なくともハブ本体の近位端に近い第1の位置から、少なくともハブ本体の遠位端に近い第2の位置にかけて直径が大きくなる裾広がり領域であり得る。
【0016】
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、ルーメンは、第1の位置において、直径が段階的に変化し得る。
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、丸みの付いた面は、ルーメン内に延びることができる。
【0017】
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、ルーメンの遠位領域は、直径のより大きい領域から直径のより小さい領域に流体を遠位方向に向けるように構成された先細り領域を備え得る。
【0018】
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、ハブ本体は、ポリカーボネートであり得る。
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、ハブ本体は、透明であり得る。
【0019】
別の例において、医療装置への連結用のハブアセンブリは、近位端から遠位端に直径が大きくなる略管状のハブ本体と、ハブ本体の近位端から遠位端に延びるルーメンと、略管状のハブ本体の第1の側面に形成された少なくとも1つのグリップ部とを備え得る。ハブ本体の遠位端は、1mmよりも大きい曲率半径を有する丸みの付いた面を有し得る。
【0020】
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、少なくとも1つのグリップ部は、概ね平らな領域を備え得る。
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、遠位端の丸みの付いた面は、概ね平らな領域に漸進的に移行し得る。
【0021】
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、ルーメンの遠位領域は、少なくともハブ本体の近位端に近い第1の位置から、少なくともハブ本体の遠位端に近い第2の位置にかけて直径が大きくなる裾広がり領域であり得る。
【0022】
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、丸みの付いた面は、ルーメン内に延び得る。
別の例において、マイクロカテーテルは、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に延びるルーメンとを有する長尺状シャフトと、長尺状シャフトの近位端に取り付けられたハブアセンブリとを備え得る。ハブアセンブリは、近位端から遠位端に直径が大きくなる略管状のハブ本体と、ハブ本体の近位端から遠位端に延びるルーメンと、略管状のハブ本体の第1の側面に形成された少なくとも1つのグリップ部とを備え得る。ハブ本体の遠位端は、1mmよりも大きい曲率半径を有する丸みの付いた面を有し得る。
【0023】
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、ハブアセンブリは、長尺状シャフトの近位端を覆ってモールド成形することが可能である。
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、長尺状シャフトの近位端は、ハブアセンブリのルーメンに圧入することが可能である。
【0024】
上記の例のいずれかに代えて、又はいずれかに加えて、別の例において、長尺状シャフトの近位端は、ハブアセンブリのルーメン内に接着剤で固定することが可能である。
いくつかの例示的な実施形態に関する上記の概要は、本発明の各開示した実施形態又はすべての実施例について説明することを意図されていない。
【0025】
本発明は、様々な実施形態についての以下の詳細な説明を添付図面と併せて検討した場合に、より完全に理解し得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】例示的なカテーテル及びハブアセンブリの平面図。
【
図6】
図1の例示的なカテーテルの第1の構成の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、様々な修正形態及び代替形態を適用できるが、本発明の特定のものが、図面に例として示され、詳細に説明される。しかし、当然のことながら、本発明の態様を、説明する特定の実施形態に限定することを意図するものではない。それどころか、本発明の趣旨及び範囲内に入るすべての修正形態、等価物、及び代替案を包含することを意図するものである。
【0028】
本明細書において、すべての数値は、明示的に示されていようとなかろうと、「約」という用語によって修飾されると想定される。「約」という用語は、通常、記載した値と同等である(すなわち、同じ機能又は結果を有する)と当業者が考える数値の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸めた数値を含むものとして示すことができる。
【0029】
端点による数値範囲の記載は、その範囲内のすべての数値を含む(例えば、1−5は、1,1.5,2,2.75,3,3.80,4、及び5を含む)。
様々な構成要素、機構、及び/又は仕様に関係するいくつかの適切な寸法、範囲、及び/又は値が開示されるが、本開示によって教示された当業者は、望ましい寸法、範囲、及び/又は値が、明示的に開示されたものから外れることがあると分かるであろう。
【0030】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、単数形「1つの」及び「その」とは、内容により別途明瞭に規定されない限り、複数形の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲において、「又は」という用語は、通常、内容により別途明瞭に規定されない限り、その意味において、「及び/又は」を包含した形で使用される。
【0031】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、図面において、様々な図面の同様の要素には同じ番号が付いている。詳細な説明、及び必ずしも一定の縮尺でない図面は例示的な実施形態を示し、本発明の範囲を限定することを意図されていない。示した例示的な実施形態は、単に例示を目的とする。任意の例示的実施形態の選択された特徴は、そうではないと明瞭に記載されない限り、別の実施形態に組み込むことができる。
【0032】
図1は、本発明の実施形態によるカテーテル10の平面図である。カテーテル10は、様々な異なるカテーテルの1つにすることが可能である。場合によっては、カテーテル10は、血管内カテーテルにすることが可能である。いくつかの血管内カテーテルの例として、マイクロカテーテル、薬物送達用カテーテル、診断用カテーテル、及びガイドカテーテルがある。
図1は、マイクロカテーテルを示しているが、本発明はそうしたものに限定されない。血管内カテーテル10は、従来の技術を使用して製造し得る。
【0033】
カテーテル10は、意図された用途に応じて大きさを決め得る。例えば、カテーテル10は、約50cmから200cmまでの範囲の長さを有することができ、約0.57mm(1.7フレンチ(F))程度であるが、特定の用途に対して約4mm(12F)の大きさにすることが可能である直径を有し得る。
【0034】
例示的な実施形態では、カテーテル10は、近位端14及び遠位端16を有する長尺状シャフト12を含み得る。ハブアセンブリ18は、長尺状シャフト12の近位端14に連結し得る、又は近位端14のまわりに配置し得る。ハブアセンブリ18は、本体部分20及びグリップ部22を含み得る。ハブ本体20は、近位端42から遠位端44まで延び得る。近位端42は、別の医療装置への連結を容易にするために、ルアー取付部46又は他の構造を含み得る。
【0035】
ハブアセンブリによっては、硬いハブからより柔らかいシャフトに剛性が漸進的に移行するように、ハブに結合されたシャフトの近位端に歪み緩和部を組み込んでいる。剛性の急激な変化は、キンクを来すことがあるが、歪み緩和部の肉厚の漸進的な変化は、アセンブリの剛性を漸進的に変化させ得る。しかし、シャフトが耐キンク性である場合に、エラストマー歪み緩和部は、必要とされないことがある。いくつかの例示的な耐キンク性シャフトは、強化シャフト(例えば、編組のもの、コイル状のもの、微細加工されたものなど)を含み得る。さらに、強化がハブ位置に耐キンク性をもたらし、付加的な歪み緩和部を用なしにする、及び/又は無関係なものにする場合に、歪み緩和部は、必要とされないことがある、と想定される。さらに、シャフトが、歪み緩和材料よりもはるかに高い剛性のものである場合に、歪み緩和部は、アセンブリの特性にほとんど影響を及ぼさないことがある。さらに、高圧マイクロカテーテルの場合には、歪み緩和部は、歪み緩和部の下の潜在的な漏れ、及び/又はキンクを見えなくし、及び/又は(ハブの遠位端が歪み緩和部と結合するように設計されたときに)ハブの遠位端の設計上の選択肢を制限することがある。場合によっては、別の歪み緩和部分を必要としないように、カテーテル10のハブアセンブリ18は、歪み緩和機能を提供し得る。
【0036】
ハブアセンブリ18は、長尺状シャフト12の近位端14に連結し得る。ハブアセンブリ18は、任意の適切な技術を使用して、例えば、接着剤、摩擦嵌合、機械嵌合、化学結合、熱結合、熱収縮材料、モールディング、キャスティング、溶接(例えば、抵抗溶接又はレーザ溶接)、はんだ付け、ろう付け、又は構成要素を結合若しくは連結するための外側スリーブ若しくはポリマー層の使用など、あるいはそれらの組み合わせによって、シャフト12の近位端14でカテーテルシャフト12に固定し得る。一部の実施形態では、ハブアセンブリ18の遠位端は、シャフト12の近位端14に連結されるように、当該シャフト12の近位端14上でキャスト成形、モールド成形、又は成形し得る。他の実施形態では、ハブアセンブリ18は、別の構成要素として形成され、その後、カテーテルシャフト12の近位端14に取り付ける(例えば、接着する、圧入するなど)ことができる。
【0037】
ハブ本体20は、第1の位置といった近位端42の隣接、すなわち近傍に第1の直径D1を有し、第2の位置といった遠位端44の隣接、すなわち近傍に第2の直径D2を有する、概ね裾広がりの管状構成にすることが可能である。第2の直径D2は、第1の直径D1よりも大きくし得る。ハブ本体20は、第1の直径D1から、途中領域すなわち移行領域48を経て、第2の直径D2に移行し得る。第1の直径D1から第2の直径D2への変化は、漸進的な、又は勾配を持たせたものにすることが可能である。場合によっては、移行は、唐突な、すなわち段階的なものにすることが可能である。
【0038】
グリップ部22は、使用者が、任意の補機又は注射器をルアー46にロック、又はロック解除しながら、ハブアセンブリ18を把持する領域を形成し得る。グリップ部22は、丸まった、すなわち湾曲した本体において、原則として概ね滑らかな平らな領域であり得る。ハブアセンブリ18は、本体20における対向部分に第2のグリップ部22を含み得る。グリップ部22を形成するのに加えて、平らな領域は、医師に向きの基準点をも提供し得る。さらに、グリップ部22は、「羽根」を有する従来のハブよりも人間工学的であり得ると想定される。注射器注入を使用して、粒状物、化学治療薬、コントラストなどを、ハブアセンブリ18を介してカテーテルシャフト12に注入し得る。マイクロカテーテルの内径が小さくなればなるほど、より高い注入圧力を得られ得る。(例えば、羽根を含む)典型的なハブのデザインは、遠位端(例えば、羽根)が、使用者の手に食い込み得る圧力点を形成するので、使用者の手を傷つける恐れがある。平滑で平らなグリップ部22は、圧力点を少なくし得る、より人間工学的なハブアセンブリ18を提供し得る。
【0039】
図2は、
図1の長尺状シャフト12の線2−2断面図である。ルーメン30は、長尺状シャフト12の近位端14から遠位端16まで長尺状シャフト12を貫通し得る。一部の実施形態では、長尺状シャフト12は、単一のポリマー層28で形成することができ、このポリマー層28は、それに限定されるものではないが、熱可塑性ポリマー材料などのあらゆる適切なポリマー材料にすることが可能である。単一のポリマー層28は、単一のポリマーから、又はポリマーの混合物から押出成形するか、又は別の方法で形成し得る。長尺状シャフト12は、付加的なポリマー層を含み得る。
【0040】
例えば、
図3は、別の例示的な長尺状シャフト32の一部分の断面図を示しており、該長尺状シャフト32は、単一層のシャフト(例えば、シャフト12など)の代わりに、又は単一層のシャフトと組み合わせて使用し得る。長尺状シャフト32は、外側ポリマー層34、内側ポリマー36、及び中間強化層38を含み得る。一部の実施形態では、内側層36は、摩擦係数が適切に低い材料からなる被覆で形成する、又は被覆を含み得る。適切な材料の例として、テフロン(TEFLON)(登録商標)としてよく知られたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)がある。内側層36は、その意図された用途に合わせた適切な内径を有するルーメン41を画定する大きさにすることが可能である。一部の実施形態では、内側層36は、0.406mm(0.0160インチ)から約0.432mm(0.0170インチ)まで、又は約0.419mm(0.0165インチ)の範囲内の直径を有するルーメン41を画定することができ、0.0127mm(0.0005インチ)から約0.0381mm(0.0015インチ)まで、又は約0.0254mm(0.001インチ)の範囲内の肉厚を有し得る。ルーメン41は、長尺状シャフト32の近位端から遠位端に延び得る。
【0041】
外側ポリマー層34は、所望の強度、可撓性、又は他の所望の特性をもたらすなんらかの適切なポリマーから形成し得る。デュロメータ硬さ、又は硬度が低いポリマーは、可撓性を高めることができ、一方、デュロメータ硬さ、又は硬度が高いポリマーは、剛性を高め得る。一部の実施形態では、使用されるポリマー材料は、熱可塑性ポリマー材料である。いくつかの適切な材料のいくつかの例として、ポリウレタン、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル(ペバックス(PEBAX)など)、シリコーン、及びコポリマーがある。外側層34は、単一ポリマー、複数の縦セクション又は縦層、あるいはポリマーの混合物にすることが可能である。材料及び処理技術を入念に選択することで、これらの材料の熱可塑性、溶剤可溶性、及び熱硬化性の変形型を使用して、所望の結果を得ることができ得る。
【0042】
一部の実施形態では、例えば、アルニテル(ARNITEL)(登録商標)という名称で市販されているコポリエステル熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性ポリマーを使用し得る。外側層34は、内側層36の外径にほぼ等しい内径を有し得る。外側層34は、強化層38の厚さに合わせて、内側層36の外径よりも若干大きい内径を有し得る。
【0043】
一部の実施形態では、シャフトの外側層34は、約0.4191mm(0.0165インチ)から約3.886mm(0.153インチ)の範囲内の内径と、約0.584mm(0.023インチ)から約4.039mm(0.159インチ)の範囲内の外径とを有し得る。外側層34の一部又はすべては、外側層34の放射線不透過性を高めるために加えられた、50%次炭酸ビスマスなどの材料を含み得る。
【0044】
一部の実施形態では、強化層38は、内側層36と外側層34との間に配置することが可能である。強化編組層38は、スリー−オーバ−スリー(three−over−three)、フォー−オーバ−フォー(four−over−four)などの様々な異なる織りパターンを使用して形成し得る。一部の実施形態では、カテーテル直径部に作用する衝撃を最小限にするために、強化層38は、編組ワイヤ又は内側層36のまわりに螺旋に巻かれた単一のリボン40若しくは複数のリボンから形成し得る。
【0045】
編組ワイヤ又はリボン40は、長方形、円形、長円形、又は他の断面形状を有し得る。一部の実施形態では、編組ワイヤ又はリボン40は、高さの少なくとも約2倍の幅を有するような扁平断面を有し得る。編組ワイヤ又はリボン40は、ステンレス鋼、タングステン、金、チタン、銀、銅、プラチナ、又はイリジウムなどのなんらかの適切な材料で形成し得る。編組ワイヤ又はリボン40は、ケブラー(KEVLAR)(登録商標)(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)繊維、LCP(液晶ポリマー)繊維、又はガラス繊維、並びに、それらの組み合わせなどの非金属材料から形成することもできる。
【0046】
図4は、ハブアセンブリ18の側面図である。ハブ本体20は、それに限定されるものではないが、モールド成形又はキャスト成形し得るポリカーボネート材料などのポリマー材料で作製し得る。場合によっては、ハブ本体20は、透明とすることができ、これは、(必要とされる場合に)結合プロセスを助けることができ、かつ/又は内部障害モードの検出を容易にすることが可能である。ハブ本体20の遠位端44は、丸みの付いた、すなわち半径を有する面50を含み得る。丸みの付いた面50は、本明細書で説明したように、長尺状シャフトが曲がり得る半径を限定し得る。
【0047】
図5は、
図4のハブアセンブリ18の5−5線断面図である。ハブ本体20は、近位端42から遠位端44まで延びるルーメン52を含み得る。ルーメン52は、長手方向に沿って直径が変化し得る。1つの例示的な実施形態では、ルーメン52は、近位端42に隣接した第1の領域すなわち近位領域54を有し得る。第1の領域54は、それに限定されるものではないが、注射器などの医療装置を受け入れる大きさにすることが可能である。先細りし得る、又は勾配を持ち得る第1の中間領域56は、第1の領域54に遠位側で隣接し得る。勾配の付いた第1の中間領域56は、その近位端から遠位端にかけて直径を縮小し得る。勾配の付いた第1の中間領域56は、注入した流体を直径のより小さい第2の中間領域58に向けるように構成され得る。直径のより小さい中間領域58は、本明細書で説明したカテーテルシャフト12のルーメン30、41などのカテーテルシャフトのルーメンと大きさ及び形状を同様に設定し得る。ルーメン52は、直径のより小さい中間領域58に隣接した、裾広がりの遠位領域60をさらに含み得る。裾広がりの遠位領域60は、その近位端から遠位端62に直径を拡大し得る。ルーメン52の遠位端部62は、ハブ本体20の丸みの付いた面50の一部分を形成し得る。
【0048】
裾広がり領域60は、カテーテルシャフトの近位端分を受け入れるように構成することが可能である。場合によっては、漸進的な裾広がりは、カテーテルシャフトをハブ本体20に、より結合し易くすることで組立を容易にするだけでなく、歪み緩和部として機能し得る。場合によっては、裾広がり領域60は、圧入組立プロセスをも容易にすることが可能である。ルーメン52は、それに限定されるものではないが、カテーテルシャフトの近位の挿入を制限するように構成された、ルーメン52の直径の段差などのストップ機構64を含み得るが、これは必須ではない。ルーメン52について説明した構成は、限定することを意図されていない。ルーメン52は、要望通りの様々な構成を有し得る。例えば、裾広がり、又は先細りとして示したいくつかの領域は、直径が一定の領域とすることができ、直径が一定であるとして示したいくつかの領域は、裾広がり、又は先細りにすることが可能である。さらに、領域間の移行は、要望通りに、ルーメン52の長手方向に沿って任意の地点で行うことができる。
【0049】
図6は、図
4の長尺状シャフト12を含むハブアセンブリ18の5−5線断面図である。見て分かるように、長尺状シャフト12の近位端14は、ハブ本体20のルーメン52内に配置することが可能である。
図7は、図
4の5−5線で切り取った、ハブの遠位端44のまわりに曲げられた長尺状シャフト12を含むハブアセンブリ18の断面図である。ルーメン52の遠位端部62及び丸みの付いた面50は、長尺状シャフト12の曲げ半径を制限する大きさ及び形状にすることが可能である。一部のマイクロカテーテルは、近位端に隣接した長尺状シャフト12の中心線(例えば、長手軸)でキンクすることなく、3mmの湾曲(例えば、曲率半径)に耐えるように設計することが可能である。場合によっては、遠位端16は、長尺状シャフト12の中心線(例えば、長手軸)でキンクすることなく、2mmの湾曲(例えば、曲率半径)に耐えるように設計することが可能である。
図7に示すように、長尺状シャフト12の(湾曲部の方向に向いた)外側面は、長尺状シャフト12が湾曲した場合に、中心線での曲率半径よりも小さい曲率半径Rを有し得る。したがって、ルーメン52の遠位端部及び丸みの付いた部分は、長尺状シャフト12の湾曲を1mm以下、1mm超、2mm超、3mm超、4mm超、5mm超などに制限する曲率半径Rを有し得る。曲率半径Rは、長尺状シャフト12の構造に基づいて変化し得ることが想定される。曲率半径Rは、概ね一定として示されているが、曲率半径Rは、丸みの付いた面50にわたって変化し得る。場合によっては、ルーメン52の遠位端部62及び丸みの付いた面50は、複数の半径及び/又は、湾曲(半径を有する)部分、並びにキンクの起きない支持体として機能するように構成された直線部分を有し得る。他の実施形態は、略楕円状の丸みの付いた面50を含み得る。ルーメン52の遠位端部62及び丸みの付いた面50は、長尺状シャフト12のキンクを低減し又はなくす、湾曲が漸進的に変化する支持体を形成し得る。ハブ本体20の遠位端44全体は、長尺状シャフト12がどの方向に移動するかに関係なく、耐キンク性を得るために、丸みを付け得ると想定される。ハブ本体20は、丸みの付いた面50から平らな把持領域22まで漸進的に移行し得る。
【0050】
医療装置及び/又はシステム10、12、18(及び/又は本明細書で開示した他のシステム)の様々な構成要素、並びに本明細書で開示したそれらの様々な要素に使用できる材料は、一般に医療装置で使用されるものを含み得る。分かりやすくするために、以下の説明は、カテーテル10について言及する。しかし、これは、本明細書で説明した装置及び方法を限定することを意図するものではなく、その理由は、説明が、それらに限定するものではないが、長尺状シャフト12及びハブアセンブリ18、並びに/又はそれらの要素若しくは構成要素などの、本明細書で開示した他の要素、部材、構成要素、又は装置に適用できるからである。
【0051】
一部の実施形態では、カテーテル10及び/又はその構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(ポリマーのいくつかの例が下記に開示される)、金属−ポリマー複合材、セラミック、それらの組み合わせなど、又は他の適切な材料で作製し得る。
【0052】
適切なポリマーのいくつかの例として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、デュポン(DuPont)から入手可能なデルリン(DELRIN)(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル−エステル(例えば、DSMエンジニアリングプラスチックス(DSM Engineering Plastics)から入手可能なアルニテル(ARNITEL)(登録商標))、コポリマー系エーテル又はエステル(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又はデュポン(DuPont)から入手可能なハイトレル(HYTREL)(登録商標)などの他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、バイヤ(Bayer)から入手可能なデュレタン(DURETHAN)(登録商標)又はエルフアトケム(Elf Atochem)から入手可能なクリスタミド(CRISTAMID)(登録商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、商品名ペバックス(PEBAX)(登録商標)で入手可能)、エチレンビニルアセテートコポリマ(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス(Marlex)高密度ポリエチレン、マーレックス(Marlex)低密度ポリエチレン、鎖状低密度ポリエチレン(例えば、レクセル(REXELL)(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、ケブラー(KEVLAR)(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン−12(EMSアメリカングリロン(EMS American Grilon)から入手可能なグリラミド(GRILAMID)(登録商標)など)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ(スチレン−b−イソブチレン−b−スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS 50A)、ポリカーボネート、イオノマー、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、又はそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、ポリマー/金属複合材などが含まれ得る。
【0053】
適切な金属及び金属合金のいくつかの例として、304V、304L、及び316LVステンレス鋼などのステンレス鋼、軟鋼、線形弾性及び/又は超弾性ニチノールなどのニッケル−チタン合金、ニッケル−クロム−モリブデン合金(例えば、インコネル(INCONEL)(登録商標)625などのUNS:N06625、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C−22(登録商標)などのUNS:N06022、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C276(登録商標)などのUNS:N10276、他のハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)合金など)、ニッケル−銅合金(例えば、モネル(MONEL)(登録商標)400、ニッケルバック(NICKELVAC)(登録商標)400、ニコロス(NICORROS)(登録商標)400などのUNS:N04400)、ニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、MP35−N(登録商標)などのUNS:R30035)、ニッケル−モリブデン合金(例えば、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)合金B2(ALLOY B2)(登録商標)などのUNS:N10665)、他のニッケル−クロム合金、他のニッケル−モリブデン合金、他のニッケル−コバルト合金、他のニッケル−鉄合金、他のニッケル−銅合金、他のニッケル−タングステン又はタングステン合金など;コバルト−クロム合金;コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、エルジロイ(ELGILOY)(登録商標)、フィノックス(PHYNOX)(登録商標)などのUNS:R30003);プラチナ強化ステンレス鋼;チタン:それらの組み合わせなど、又は他の適切な材料が含まれる。
【0054】
本明細書に示唆したように、市販のニッケル−チタン、すなわちニチノール合金は、「線形弾性」又は「非超弾性」で示される範疇の系列であるところ、該「線形弾性」又は「非超弾性」は、従来の形状記憶及び超弾性型と化学的に同様であり得るが、峻別可能で有益な機械特性を示し得る。線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、その応力/歪み曲線において、超弾性ニチノールのような十分な「超弾性プラトー」又は「フラグ領域」を示さないという点で、超弾性ニチノールとは区別することが可能である。その代わりに、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールにおいては、復元可能な歪みが増大するについて、応力は、塑性変形が始まるまでは概ね線形に増大し続け、或いは、必ずしも完全な線形関係ではないにせよ、ある程度は線形に増大し続け、或いは、少なくとも超弾性ニチノールで見受け得る超弾性プラトー及び/又はフラグ領域よりも高い線形関係で増大し続ける。したがって、本開示において、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、「実質的な」線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールと称することもできる。
【0055】
場合によっては、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、実質的に弾性のままである間(例えば、塑性変形する前に)約2−5%の歪みまで許容でき、それに対して、超弾性ニチノールは、塑性変形する前に約8%の歪みまで許容できるという点で超弾性ニチノールと区別することもできる。これらの材料は共に、塑性変形する前に約0.2−0.44%の歪みしか許容できない(やはり組成に基づいて分類できる)ステンレス鋼などの他の線形弾性材料と区別し得る。
【0056】
一部の実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル−チタン合金は、広い温度範囲にわたって、示差走査熱量測定(DSC)及び動的金属熱解析(DMTA)によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化を全く見せない合金である。例えば、一部の実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル−チタン合金において、約摂氏60度(℃)−約120℃の範囲内で、DSC及びDMTA解析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化はあり得ない。したがって、そのような材料の機械曲げ特性は、このきわめて広い温度範囲にわたって、温度の作用に対して概ね不活性であり得る。一部の実施形態では、周囲温度又は室温における線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル−チタン合金の機械曲げ特性は、例えば、超弾性プラトー及び/又はフラグ領域を示さないという点で、身体温度での機械特性と実質的に同じである。言い換えると、広い温度範囲にわたって、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル−チタン合金は、その線形弾性及び/又は非超弾性特質及び/又は特性を維持する。
【0057】
一部の実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル−チタン合金では、ニッケルが約50−約60重量%の範囲内で存在でき、残りは基本的にチタンである。一部の実施形態では、組成として、ニッケルが約54−約57重量%の範囲内で存在する。適切なニッケルチタン合金の一例として、日本国、神奈川県に所在の株式会社古河テクノマテリアルから市販されているFHP−NT合金がある。他の適切な材料として、ウルタニウム(ULTANIUM)(商標)(ネオ−メトリクス(Neo−Metrics)から入手可能)及びゴムメタル(GUM METAL)(商標)(豊田(Toyota)から入手可能)があり得る。一部の他の実施形態では、超弾性合金、例えば、超弾性ニチノールを使用して、所望の特性を得られ得る。
【0058】
少なくとも一部の実施形態では、カテーテル10及び/又はカテーテルの構成要素の一部分又はすべては、放射線不透過性材料を添加する、放射線不透過性材料で作製する、又は放射線不透過性材料を含むこともできる。放射線不透過性材料は、医療処置中に、X線透視スクリーン又は他の画像形成手段に比較的明るい画像を形成できる材料と解釈される。この比較的明るい画像は、医療装置システム10の位置を特定する際に、医療装置システム10の使用者の助けとなる。放射線不透過性材料のいくつかの例として、それらに限定するものではないが、金、プラチナ、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性フィラを充填されたポリマー材料などがあり得る。さらに、他の放射線不透過性マーカバンド及び/又はコイルも、同じ結果を得るために、医療装置システム10の設計に組み入れ得る。
【0059】
一部の実施形態では、ある程度の磁気共鳴映像法(MRI)適合性が、医療装置システム10に付与される。例えば、カテーテル10及び/又はカテーテル10の構成要素若しくは一部分は、画像を実質的に歪めない、かつ大きなアーチファクト(例えば、画像の欠落)を生じさせない材料で作製し得る。例えば、特定の強磁性材料は、MRI画像にアーチファクトを生じさせることがあるので、適切ではないことがある。カテーテル10又はカテーテル10の一部分は、MRI機械が画像形成できる材料から作製することもできる。これらの特徴を示すいくつかの材料として、例えば、タングステン、コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、エルジロイ(ELGILOY)(登録商標)、フィノックス(PHYNOX)(登録商標)などのUNS:R30003)、ニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、MP35−N(登録商標)などのUNS:R30035)、ニチノールなど、及びその他のものがある。
【0060】
一部の実施形態では、(例えば、配達システムの外面を含む)医療装置システム10の外面は、サンドブラスト処理、ビードブラスト処理、重炭酸ナトリウムブラスト処理、電解研磨処理などを行うことができる。これら、及び一部の他の実施形態では、外装の一部分又はすべてを覆って、あるいは、外装のない実施形態では、配達システムの一部分又は医療装置システム10の他の部分を覆って、被覆、例えば、潤滑性被覆、親水性被覆、保護被覆、又は他のタイプの被覆を施すことができる。フッ素ポリマーなどの疎水性被覆は、装置の取扱い、及び装置の交換を改善する乾式潤滑性をもたらす。潤滑性被覆は操縦性を改善し、病巣通過能力を改善する。適切な潤滑性ポリマーは、当技術分野において公知であり、シリコーン等、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアリーレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース、アルギン、サッカライド、カプロラクトンなどの親水性ポリマー、並びにそれらの混合物及び組み合わせを含み得る。親水性ポリマーは、適切な潤滑性、結合性、及び可溶性を有する被覆をもたらすために、それら自体の間で、又は(いくつかのポリマーを含む)配合した適量の水不溶性化合物と混合し得る。
【0061】
被覆及び/又は外装は、例えば、コーティング加工、押出成形、共押出成形、又は断続層共押出成形(ILC)によって、あるいはいくつかのセグメントを終端間で融着することで形成し得る。層は、その近位端から遠位端に均一な剛性、又は漸進的に低くなる剛性を有し得る。剛性の漸進的な低下は、ILCによる場合に連続的にすることが可能であるし、又は別個の押出管状セグメント同士の融着による場合に階段状にすることが可能である。外側層は、放射線撮影の視覚化を容易にするために、放射線不透過性のフィラ材料を含浸させ得る。これらの材料は、本発明の範囲から逸脱することなく、広範に変化し得ると、当業者には分かるであろう。
【0062】
当然のことながら、本開示は、多くの点で単なる例示である。細部において、特に、形状、大きさ、及びステップの配置に関して、本発明の範囲を超えることなく、変更を行うことができる。これは、適切である限り、1つの例示的な実施形態の特徴のいずれかが、他の実施形態で使用されるという使用法を含み得る。本発明の範囲は、当然のことながら、添付の特許請求の範囲が記載される言葉において規定される。