【文献】
小林 直樹,有人受付からiPadに切り替えたサイバードデジタルな“おもてなし”で業務効率アップ,日経デジタルマーケティング,日本,日経BP社,2018年 3月25日,第126号,p.19
【文献】
”受付をもっと気軽に、スマートに。”受け付けクラウドシステム「ラクネコ」リリース,[online],2020年 2月17日,pp.1-4,URL,https://www.protosolution.co.jp/news/press_release/20200217.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に関し、図面を参照して説明する。
【0014】
(受付システムの全体構成)
まず、
図1を用いて、本実施形態の受付システムの概略構成について説明する。
図1は、受付システム10のブロック図である。
【0015】
受付システム10は、来客用受付端末100、サーバ(受付システムサーバ)200、および、ユーザ端末300から構成される。来客用受付端末100は、例えばタブレット端末で構成することができるが、これに限定されるものではなく、例えば、タッチパネル式のディスプレイや、パソコン等であっても良い。サーバ200は、受付システムのサービス(及び、受付システムを実現するためのプログラム)を提供する主体となる受付システムサーバであり、サービス提供者(受付システムの管理者)により所有又は管理されている。サーバ200は、サービス提供者とは物理的に離れた場所に配置されたクラウドサーバであっても良い。この場合、サービス提供者は、インターネット(WANのみならず、LAN等のその他のネットワークを含むが、これに限られない)400を介して、受付システムの管理及び運用を行うことができる。ユーザ端末300は、例えばスマートフォン等の携帯端末であるが、これに限定されるものではなく、パソコンや、通信機能を有する他の電子機器であっても良い。
【0016】
来客用受付端末100とサーバ200とユーザ端末300は、互いにインターネット400を介して、互いに有線または無線通信が可能である。なお本実施形態は、インターネットに接続されていないLAN、またはルーターを介してインターネットに接続されているLANを介した通信にも適用可能である。本実施形態において、来客の訪問先である会社の担当者(ユーザ)として、ユーザA、B、C、…Xが存在するものとする。このため
図1には、ユーザ端末300として、ユーザA、B、C、…Xが有するユーザ端末300a、300b、300c、…300xが示されている。
【0017】
来客用受付端末100は、操作手段(第1の操作手段)101、処理手段102、記憶手段103、及び、通信手段(第1の通信手段)104を備えている。操作手段101は、来客が操作するために設けられており、表示手段の一部を備えて構成されたタッチパネル、QRコード(登録商標)読み取り装置、名刺スキャン装置、手書き入力装置等で構成されるが、これらに限定されるものではなく、顔認証装置や声テキスト変換装置等を備えていても良い。なお、声を録音する装置を更に設けても良い。また操作手段101は、操作ボタン、キーボード、マウス等を備えていてもよい。処理手段102は、来客による操作手段101の操作に応じて、訪問先への通知を実行するために必要な各種処理を行うプロセッサ(CPU)である。また処理手段102は、必要に応じて、サーバ200のデータベース205を参照する。記憶手段103は、受付システム10の一部を構成する来客用受付端末100の各機能を実行するために必要なプログラムを記憶するメモリである。通信手段104は、インターネット400を介して、サーバ200との通信を行い、サーバ200との間で必要な情報をやり取りする。
【0018】
サーバ200は、通信手段(第2の通信手段)201、処理手段202、及び、記憶手段203を備えている。通信手段201は、インターネット400を介して、来客用受付端末100や各ユーザ端末300との間で通信が可能である。通信手段201は、例えば、来客用受付端末100から来客情報(訪問者の会社名や氏名等を示すテキスト情報)を受信するとともに、訪問先(担当者のユーザ端末300)への通知を行う。
【0019】
処理手段202は、来客用受付端末100から送信された来客情報に基づいて、訪問先への通知を実行するために必要な各種処理を行うプロセッサ(CPU)である。本実施形態において、処理手段202は、来客により来客用受付端末100を介して入力された来客情報及び訪問先情報(訪問先の会社の担当者の氏名や部署等を示すテキスト情報)を取得する取得手段202a、および、来客情報と予め登録された音声情報(例えば、予め記憶手段203に記憶された音声情報)とに基づいて音声データを生成する生成手段202bを有する。また必要に応じて、生成手段202bは、来客情報と予め登録された表示情報(記憶手段203に記憶された表示情報)とに基づいて表示データを生成しても良い。
【0020】
記憶手段203は、受付システムの全体の動作を統括して各動作を管理するためのプログラム(受付システムプログラム)204を記憶するメモリである。また記憶手段203には、来客情報や各担当者の端末情報(各ユーザ端末300の情報)に関するデータベース205が記憶されている。各担当者の端末情報は、各ユーザ端末に電話番号が付与されている場合には、担当者や管理者がユーザ端末の電話番号(携帯電話番号)を逐一設定する必要がある。一方、各ユーザ端末300にアプリをインストールしてアプリへの発信が可能である場合、アプリのログイン設定(例えば、メールアドレスとパスワード)のときに、ログイン設定を行った担当者の氏名とユーザ端末固有のID(ピアID)をサーバ200へ送信することにより、自動的な紐づけが可能となる。
【0021】
処理手段202は、プログラム204を実行し、インターネット400を介して来客用受付端末100から送信された来客情報に基づいて、必要に応じてデータベース205を参照しつつ、訪問先(担当者のユーザ端末300)を特定するとともに、担当者のユーザ端末300への通知方法(アプリへの通知、電話番号への通知、又は、チャットツールへの通知等)を特定する。なお訪問先は、来客用受付端末100を介して来客が特定する場合や、サーバ200に予め登録されている場合のいずれでも良い。担当者のユーザ端末300への通知方法は、データベース205に登録されている。通信手段201は、処理手段202により特定された通知方法で、担当者のユーザ端末300への通知を行う。なお、サーバ200の少なくとも一部の機能をサービス提供者が所有及び管理するサーバにより実現し、サーバ200の他の一部の機能をサービス提供者が所有及び管理するサーバとは異なるクラウドサーバにより実現するように構成してもよい。
【0022】
ユーザ端末300は、通信手段(第3の通信手段)301、処理手段302、表示手段303、操作手段(第2の操作手段)304、及び、記憶手段305を備えている。通信手段301は、サーバ200からの通知を受信する。処理手段302は、ユーザ毎にサーバ200により特定された通知方法に従って、サーバ200から受信した来客情報を通知するために必要な各種処理を行う。表示手段303は、液晶パネルや有機EL等のディスプレイであり、サーバ200から受信した来客情報を、前述の通知方法に従って表示する。操作手段304は、操作ボタン等で構成することができ、表示手段303の一部を備えて構成されたタッチパネル等であっても良い。
【0023】
記憶手段305は、本実施形態の受付システム10を実行するためのプログラムのうち、ユーザ端末300において実行される機能を実現するためのプログラム(アプリケーションソフト、以下、「アプリ」という)を記憶するメモリである。このプログラム(アプリ)は、インターネットを介してユーザ端末300にダウンロードして記憶手段305にインストールすることができる。本実施形態の受付システム10の全体の機能は、来客用受付装置100にインストールされるプログラム(来客用受付装置用プログラム)と、サーバ200に格納されるプログラム(サーバ用プログラム)と、ユーザ端末300のそれぞれにインストールされるプログラム(ユーザ端末用プログラム、すなわちユーザ端末にインストールされたアプリ)とを動作させて実現することが可能である。
【0024】
(受付システム10の全体処理)
次に、
図2を用いて、受付システム10の全体処理について説明する。
図2は、受付システム10の全体処理を示すフローチャートである。まずステップS101において、受付システム10は、来客の操作に応じて、来客用受付端末100による処理を行う。本実施形態において、来客は、受付システム10により、主に、氏名や所属等の来客情報、及び訪問先の担当者の氏名や所属等の訪問先情報を入力する。続いてステップS102において、受付システム10は、来客用受付端末100から送信された情報に基づいて、サーバ200による処理を行う。サーバ200は、主に、指定された担当者のユーザ端末300に対して、登録された通知方法に従って来客通知を行うための処理を行う(例えば、来客により入力された情報に基づいて音声合成技術を用いて音声データを生成し、その音声データを用いて特定のユーザ端末300へ来客通知を行う)。続いてステップS103において、受付システム10は、サーバ200からの指示に従って、来客の訪問先である担当者のユーザ端末300による処理を行う。担当者は、ユーザ端末300において来客通知を受信すると、それに応答することができる。
【0025】
(来客用受付端末100の処理)
次に、
図3を用いて、受付システム10の来客用受付端末100の処理(ステップS101)について詳述する。
図3は、来客用受付端末100の処理を示すフローチャートである。
【0026】
本実施形態において、受付システム10は、担当者からの指示(アポイント)に従って、来客予定者のメールアドレス等の連絡先に、事前にQRコード(登録商標)を送付することができる。このため、まずステップS201において、来客に事前にQRコード(登録商標)を送付済みであるか否かに応じて、来客用受付端末100の処理が分岐する。来客に事前にQRコード(登録商標)を送付済みである場合、ステップS202へ進む。ステップS202において、来客用受付端末100の操作手段101の一部を構成するQRコード(登録商標)読み取り装置は、来客によりQRコード(登録商標)が提示されたか否かを判定する。QRコード(登録商標)が提示されない場合、ステップS202を繰り返す。一方、QRコード(登録商標)が提示された場合、ステップS205へ進む。ステップS205において、処理手段102は、QRコード(登録商標)を読み取る。そして通信手段104は、入力情報(QRコード(登録商標)のコード情報)をサーバ200へ送信する。なお本実施形態において、QRコード(登録商標)以外の二次元コードを用いても良い。
【0027】
一方、ステップS201にて来客に事前にQRコード(登録商標)を送付していない場合、ステップS203へ進む。ステップS203において、来客は、操作手段101を介して、訪問先の担当者を選択する。本実施形態において、訪問先の担当者となりうる全ユーザのデータは、記憶手段103又はサーバ200のデータベース205に格納されている。来客は、来客用受付端末100に提示されるユーザの中から、訪問先の担当者の氏名や、担当部署、総合受付、又は荷受担当等を、操作手段101を介して選択することができる。なお本実施形態において、来客は、操作手段101を介して、訪問先の複数の担当者を選択することもできる。この場合、複数の担当者に対して、来客の訪問があったことを同時に通知することができる。
【0028】
続いてステップS204において、来客は、操作手段101を介して、来客に関する情報(来客情報)を入力する。本実施形態において、操作手段101は、名刺スキャン装置、手書き入力装置、及び、(タッチパネル式の)キーボードを備えている。名刺スキャン装置は、来客により提示された名刺をスキャンして、OCR技術により来客に関する情報を取得することができる。手書き入力装置は、来客が自身の氏名を手書きで入力するためのタッチペンを備えている。
【0029】
続いてステップS205において、処理手段102は、ステップS203にて選択された訪問先の担当者(担当者のユーザ端末300)に関する情報(訪問先情報)と、ステップS204にて入力された来客情報とを結び付ける。そして通信手段104は、サーバ200へ入力情報として、来客情報(及び訪問先情報)をテキスト変換してテキスト情報として送信する。なお、入力情報がQRコード(登録商標)のコード情報である場合、コード情報がサーバ200へ送信され、サーバ200において来客用受付端末100から送信されたQRコード(登録商標)のコード情報に基づいて、事前に登録されている来客情報を照会し、QRコード(登録商標)をテキスト変換してテキスト情報としての来客情報(及び訪問先情報)を生成する。
【0030】
(サーバ200の処理)
次に、
図4を用いて、受付システム10のサーバ200の処理(ステップS102)について詳述する。
図4は、サーバ200の処理を示すフローチャートである。
【0031】
まずステップS301において、サーバ200は、通信手段201を介して、来客用受付端末100から入力情報(来客情報、又はQRコード(登録商標)のコード情報)を受信する。受信した入力情報が来客情報である場合、来客情報がデータベース205に記憶される。ここで、入力情報がQRコード(登録商標)のコード情報である場合、処理手段202がコード情報に基づいて、事前に登録されている来客情報を照会して、来客情報を生成する。生成された来客情報は、データベース205に記憶される。続いてステップS302において、処理手段202は、例えば記憶手段203に格納されたデータベース205を参照して、QRコード(登録商標)のコード情報に基づいて、来客の訪問を受ける担当者(訪問先情報)を特定する。続いてステップS303において、例えば記憶手段203に格納されたデータベース205を参照して、訪問先の担当者(担当者のユーザ端末300)への通知方法を特定する。
【0032】
続いてステップS304において、処理手段202は、ステップS303にて特定された通知方法がユーザ端末300にインストールされたアプリへの通知であるか否かを判定する。ユーザ端末300への通知方法がアプリへの通知である場合、ステップS305へ進む。ステップS305において、処理手段202は、ステップS301にて受信した来客情報を音声ファイル(音声データ)へ変換する。音声ファイルは、事前に登録された音声情報(固定の音声内容)としての音声ファイル(例えば、「××会社の**様がお見えになりました」等)と、来客情報に応じて異なる音声ファイル(「××会社の**様」のうち「××」及び「**」)とを結合して生成される。これらの音声ファイルは、記憶手段203に記憶して予め登録しておくことができる。またこのとき、処理手段202は、来客情報と予め登録された表示情報(固定の表示内容)とに基づいて表示データを生成してもよい。ここで生成された音声データ及び表示データは、記憶手段203に記憶される。
【0033】
このとき取得手段202aは、来客用受付端末100からの受信信号に基づいて、来客がアポイント有りであることを示す発行済みQRコード(登録商標)を来客用受付端末100に読み込ませたか否かを判定するように構成しても良い。発行済みQRコード(登録商標)を来客用受付端末100に読み込ませたと判定された場合、生成手段202bは、更に、アポイント有りの来客であることを通知するための音声データ又は表示データを生成しても良い。一方、来客用受付端末100が発行済みQRコード(登録商標)以外の方法で来客情報及び訪問先情報を取得した場合、生成手段202bは、更に、アポイント無しの来客であることを通知するための音声データ又は表示データを生成しても良い。
【0034】
続いてステップS306において、処理手段202は、WebRTC(Web Real−Time Communication)によりユーザ端末300にインストールされたアプリへ発信する。ここで、WebRTCは、ウェブブラウザやモバイルアプリケーションにAPI(Application Programming Interface)経由でリアルタイム通信を提供するプロジェクトである。ウェブページ内で直接のピア・ツー・ピア(P2P)通信によって、プラグインのインストールやネイティブアプリのダウンロードを必要とせずに、ウェブブラウザ間の電話やチャット等が可能になる。なお本実施形態において、WebRTCは一例に過ぎず、ピア・ツー・ピア(P2P)通信を行う他の規格を用いても良い。続いてステップS315において、通信手段201は、担当者のユーザ端末300へ、アプリへの発信により来客の通知を行う。このように通信手段201は、WebRTC等のピア・ツー・ピア通信により、記憶手段203に記憶された音声データをユーザ端末300へ送信することにより、ユーザ端末300への来客通知を行う。本実施形態において、通信手段201は、ステップS305にて生成された音声データを、VoIP(Voice over Internet Protocol)により、音声を符号化および圧縮しパケットに変換したものをIPネットワークを介してリアルタイムで伝送する。また、ステップS305にて音声データに加えて表示データが生成されている場合、通信手段201は、音声データに加えて、記憶手段203に記憶された表示データをユーザ端末へ送信することにより、ユーザ端末への来客通知を行う。なお、表示データは、ピア・ツー・ピア通信に限定されるものではなく、HTTP通信などの他の通信方法により送信しても良い。
【0035】
一方、ステップS304にてユーザ端末300への通知方法がアプリへの通知ではない場合、ステップS307へ進む。ステップS307において、処理手段202は、ステップS303にて特定された通知方法が電話番号への通知であるか否かを判定する。通知方法が電話番号への通知である場合、ステップS308へ進む。ステップS308において、処理手段202は、ステップS301にて受信した来客情報を音声ファイルへ変換する。続いてステップS309において、通信手段201は、担当者のユーザ端末300の電話番号へ発信する。これによりステップS315において、通信手段201は、担当者のユーザ端末300へ、電話番号への通知により来客の通知を行う。
【0036】
一方、ステップS307にてユーザ端末300への通知方法が電話番号への通知ではない場合、ステップS310へ進む。ステップS310において、処理手段202は、ステップS303にて特定された通知方法がチャットツールへの通知であるか否かを判定する。通知方法がチャットツールへの通知である場合、ステップS311へ進む。ステップS311において、処理手段202は、ステップS301にて受信した来客情報をチャット形式へ変換する。続いてステップS312において、通信手段201は、担当者のユーザ端末300へ、担当者が利用しているチャットツールへの通知を行う。これによりステップS315において、通信手段201は、担当者のユーザ端末300へ、チャットツールへの通知により来客の通知を行う。
【0037】
一方、ステップS310にてユーザ端末300への通知方法がチャットツールへの通知ではない場合、ステップS313へ進む。ステップS313において、処理手段202は、ステップS301にて受信した来客情報をメール形式へ変換する。続いてステップS314において、通信手段201は、担当者のユーザ端末300へ、担当者のメールアドレスへ来客通知を送信する。これによりステップS315において、通信手段201は、担当者のユーザ端末300へ、メールへの通知により来客の通知を行う。
【0038】
(ユーザ端末300の処理)
次に、
図5及び
図6を用いて、受付システム10のユーザ端末300の処理(ステップS103)について詳述する。
図5は、ユーザ端末300の処理を示すフローチャートである。
図6は、ユーザ端末300(例えばユーザ端末300a)が音声電話で来客通知を受信した場合の画面の一例である。
図6(a)は、ユーザ端末300aの来客通知の着信画面を示す。
図6(b)は、ユーザ端末300aの通話画面(音声案内画面)を示す。
図6(c)は、ユーザ端末300a(担当者)が対応できない場合にチャットルーム上で来客情報を通知するための表示画面を示す。
図6(d)は、ユーザ端末300aの通話が終了したときのチャットルーム上の表示画面(来訪情報詳細画面)を示す。本実施形態において、複数のユーザ(複数のユーザ端末300a〜300x)が特定のルーム(グループ)に登録されているものとする。また本実施形態において、このグループに登録されたユーザ同士で、ユーザ端末を用いてチャット(チャットルーム上)でのやり取り(通信)が可能である。なお、担当者のユーザ端末300aを第1のユーザ端末、グループに登録されている他のユーザ端末(グループに登録されている他の一つ又は全てのユーザ端末)300b〜300xを第2のユーザ端末という。なお、
図6(c)および
図6(d)は、ユーザ端末300a〜300xで確認及び操作可能な画面である。
【0039】
まずステップS401において、来客の訪問先である担当者のユーザ端末(第1のユーザ端末)300は、通信手段301を介して、サーバ200から来客の通知を受信する。ここで、担当者のユーザ端末300への通知方法がアプリへの通知であって、かつ生成手段202bが来客情報(氏名や会社名や、アポイントの有無等)に基づいて表示データを生成する場合、担当者のユーザ端末300は、自身のユーザ端末の電話帳に来客情報が登録されていなくても、来客の氏名や会社名等の来客情報を担当者のユーザ端末300の着信画面に表示させることができる。
【0040】
続いてステップS402において、処理手段302は、担当者がサーバ200からの通知に応答したか否かを判定する。担当者がサーバ200からの通知に応答した場合、ステップS403へ進む。ステップS403において、担当者のユーザ端末(第1のユーザ端末)300は、第2のユーザ端末のチャットで対応済みメッセージを表示させる。ここで、サーバ200からの来客通知がWebRTC等のピア・ツー・ピア通信で音声データがユーザ端末300へ送信された場合、担当者がユーザ端末でその来客通知(音声電話)に応答したことをもって、すなわち応答ボタンを押したことをもって、担当者のユーザ端末の処理手段302は、チャットで対応済みメッセージを表示させる。これにより、グループに登録されている他のユーザは、担当者が来客通知に対応したことを知ることができる。なお、担当者のユーザ端末300aでは、担当者が通話中は
図6(b)が表示される(ステップ符号の記載省略)。
【0041】
本実施形態において、担当者は、来客通知(音声電話)に対して通話を終了する終了ボタン605を押すことにより、チャットへの通知がなされる。すなわち、音声電話を受けた際に、担当者のユーザ端末300aの画面(表示手段303a)には、他のユーザに対して担当者が対応したか否かを通知するための対応ボタンが表示されない。なお、終了ボタン605を押すタイミングではなく、担当者Aが通話を開始する応答ボタン601を押すタイミングで、チャットへの通知がなされるようにしても良い。
図7は、比較例としてのユーザ端末が音声電話を受けた場合に表示される画面である。
【0042】
図6(a)に示されるように、担当者Aのユーザ端末300aが来客通知を受けた場合、表示手段(第1の表示手段)303aに来客通知が表示されるとともに、表示内容と同様の音声が流れる。これに対して、担当者Aは、通話を開始する応答ボタン601を押すことにより来客との通話が可能となる。また担当者Aは、
図6(b)に示されるように、通話を終了する終了ボタン605を押すことで来客との通話が終了する。また本実施形態において、担当者Aが応答ボタン601又は終了ボタン605を押すと、グループに登録されている他のユーザ端末300b〜300xに、チャットで担当者Aが対応済み(対応完了)であることを通知し、
図6(d)に示されるように、ユーザ端末300b〜300xの表示手段(第2の表示手段)303b〜303x上に、チャットで担当者Aが対応済み(対応完了)であることを表示することができる。なおこのとき、対応ボタン603及びHELPボタン604の選択を不可にしてもよく、また対応ボタン603及びHELPボタン604の文字をグレー等にして選択不可のボタンの文字がユーザに分かるようにしてもよい。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、電話を受けた担当者Aは、
図6(a)または
図6(b)に示されるように応答ボタン601又は終了ボタン605を押すだけで他のユーザへ対応した旨の通知を行うことができるため、
図7に示されるように応答ボタンや終了ボタンの他に更に対応完了ボタン702(他のユーザへ対応済みである旨の通知を行うためのボタン)を画面上に表示させる工程、及び、担当者が対応完了ボタン702を押す手間を省くことができる。
【0044】
続いて、
図5のステップS409において、処理手段302は、対応完了として、受付システム10による処理を終了する。
【0045】
一方、ステップS402にて担当者が拒否ボタン602を押下した場合、ステップS404へ進む。なおこのとき、
図6(c)のように、担当者のユーザ端末300a及び他のユーザ端末300b〜300xに対応ボタン603及びHELPボタン604を表示させて、いずれかを選択できるようにしても良い。ステップS404において、処理手段302は、チャットへ通知する。すなわち、グループに登録されている担当者が拒否ボタン602を押下した場合、担当者のユーザ端末の処理手段302は、グループに登録されている他のユーザ端末でも見ることができるチャットルーム用のサーバ200へ担当者のユーザ端末が応答しないことを通知する。サーバ200上のチャットルームに担当者のユーザ端末300から拒否ボタン602押下による通知を受けたことをもって、担当者のユーザ端末300aだけではなく、他のユーザ端末300b〜300xにも
図6(c)を表示させる。これにより、グループに登録されている他のユーザは、担当者が応答していないことをチャットで知ることができる。
【0046】
続いてステップS405において、処理手段302は、担当者が操作手段304の一部を構成する対応ボタン603を押下したか否か(すなわち、担当者が来客に対応する旨の意思表示を行ったか否か)を判定する。担当者が対応ボタンを押下した場合、ステップS403へ進む。
【0047】
一方、ステップS405にて担当者が対応ボタン603を押下しない場合、ステップS406へ進む(なお、ステップS405、S406は同じステップで処理してもよい。また、ステップS405、S406は、他のユーザ端末でも同じ処理を行えるようにしてもよい)。つまり、ステップS406において、担当者は、操作手段304の一部を構成するHELPボタン604を押下する(すなわち担当者は、例えば外出中のため来客に対応することができない旨の意思表示を行う)。担当者によるHELPボタン604の押下により、処理手段302は、担当者が来客に対応できないと判定する。なお、担当者が通知に気付かない場合(第1のユーザ端末が操作されない場合等)、他のユーザが、所持する第2のユーザ端末のチャット上の通知を確認し、さらに担当者が対応していないこと(例えば、対応ボタンやHELPボタンが押下されていないこと)を確認して、担当者に代わって自発的に対応するように構成しても良い。
【0048】
続いてステップS407において、処理手段302は、担当者が来客に対応することができないため、対応要請情報を生成する。そして通信手段301は、対応要請情報をグループに登録されている他のユーザ端末(第2のユーザ端末)に送信する。これにより、グループに登録されている他のユーザ端末には、チャットで、担当者からの対応要請が表示される(図示省略)。
【0049】
続いてステップS408において、処理手段302は、再通知上限(再通知の上限回数)に達したか否かを判定する。再通知上限に達していない場合、ステップS404へ戻り、処理手段302は、チャットへ再通知する。一方、再通知上限に達した場合、ステップS410へ進む。ステップS410において、処理手段302は、通知終了として、受付システム10による処理を終了する。本実施形態において、例えば、第1のユーザ端末の第3の通信手段は、第2のユーザ端末の応答があった場合には第2のユーザ端末への対応要請情報の送信を終了し、第2のユーザ端末の応答がない場合には第2のユーザ端末の応答があるまで第2のユーザ端末への対応要請情報の送信を所定の回数(再通知の上限回数)だけ繰り返す。
【0050】
第1のユーザ端末は、通知終了の場合、すなわちサーバ200から来客通知を受信してもユーザが応答しない場合、表示手段303に所定の表示データを履歴として表示する。ここで履歴表示のための表示データは、サーバ200の生成手段202bにより、来客情報と記憶手段203に記憶された表示情報とに基づいて生成され、通信手段201を介してHTTP通信により第1のユーザ端末へ送信される。また表示手段303は、第1のユーザ端末から第2のユーザ端末への対応要請情報が送信されても第2のユーザ端末の応答がない場合、第2のユーザ端末が応答しなかったことを示す情報を表示する。
【0051】
なお本実施形態の受付システム10において、来客が訪問先情報として一人の担当者を入力した場合や、ある担当者から発行されたQRコード(登録商標)を提示した場合において、その来客に対応する関係者が複数存在する場合や、担当者がまだ決まっていない場合も考えられる。このような場合、予め、来客に対する複数の関係者をグループ化して事前にデータベース205に登録しておくことにより、グループ化された複数の関係者の全員のユーザ端末300に対して、来客の訪問を同時に通知することができる。すなわち、サーバ200の判定手段(処理手段202の一部の機能)は、来客情報、及び一人の関係者に対応する訪問先情報に基づいて、データベース205を参照し、来客の訪問に対応すべき複数の関係者を含むグループに関する情報が存在するか否かを判定する。判定手段がグループが存在しないと判定した場合、通信手段201は、ピア・ツー・ピア通信により音声データを訪問先情報に基づく一人の関係者のユーザ端末300へのみ発信することにより、一人の関係者のユーザ端末への来客通知を行う。一方、判定手段がグループが存在すると判定した場合、通信手段201は、ピア・ツー・ピア通信により音声データを訪問先情報に基づくグループに含まれる複数の関係者のユーザ端末へ発信することにより、複数の関係者のユーザ端末への来客通知を同時に行う。
【0052】
従来の電話回線を利用した受付システムでは、電話帳に登録していない来客の訪問を受けた場合、その来客の氏名や会社名を通知することや表示することはできない。一方、本実施形態の受付システム10は、WebRTCによりアプリへ音声データを発信することに加えて、HTTP通信により来客者のテキスト情報(表示データ)を発信することにより、電話帳に未登録の来客に関する表示データを、着信データ又は着信履歴としてユーザ端末の表示手段に表示することができる。
【0053】
また、本実施形態の受付システム10において、来客用受付端末100において来客により入力された来客情報は、通信手段104を介して、サーバ200に送信される。サーバ200の処理手段202は、来客用受付端末100から受信した来客情報をデータベース205に登録する。すなわち来客情報は記憶手段203に蓄積して記憶され、通信手段201は、ユーザ端末300からの要求に従って、記憶手段203から読み出された来客情報(必要な来客情報)をユーザ端末300へ送信する。このように本実施形態の受付システム10は、来客情報を自動的に収集して管理することができるため、従来のように来客名簿等を作成して管理する必要はない。また、来客の名刺を受領して記帳する工数もかからない。
【0054】
また、来客が定期的に訪問するような場合、訪問の都度、担当者が出迎えにいく必要がない状況も考えられる。このような場合、本実施形態の受付システム10は、来客が来客用受付端末100において来客情報及び訪問先情報を入力した際に、サーバ200は、通信手段201を介して、担当者により予め登録されたウェルカムメッセージ等のメッセージ情報を来客用受付端末101へ送信して表示させることができる。このメッセージ情報として、例えば、打ち合わせ場所を来客用受付端末101に表示させた場合、来客は、担当者が出迎えることなく、打ち合わせ場所を知ることができる。すなわちサーバ200の通信手段201は、来客情報及び訪問先情報に基づいて、記憶手段203に予め記憶されたメッセージ情報を来客用受付端末100へ送信する。メッセージ情報は、来客用受付端末100の画面(表示手段)に表示される情報であって、来客を打ち合わせ場所へ直接誘導するための情報を含む。このため本実施形態の受付システム10によれば、担当者が来客を出迎えることなく、来客を打ち合わせ場所へ直接誘導することが可能である。
【0055】
本実施形態によれば、電話回線を利用することなく音声データを被訪問者の携帯端末等に着信させることができる。
【0056】
また、本実施形態の付随的な効果として、従来技術と比較して、以下の少なくとも一つの効果が得られる場合もある。
【0057】
第一に、本実施形態によれば、従来技術のような電話番号や電話回線が不要であるため、通信コストや管理コストを低減することができる。
【0058】
第二に、本実施形態によれば、音声データ通信の汎用性を高めることができる。例えば、従来技術のように電話回線を利用した音声データ通信の場合にはHTTP通信を併用することができないが、本実施形態のようにWebRTC等のピア・ツー・ピア通信を利用することでHTTP通信との併用が可能となる。
【0059】
第三に、本実施形態によれば、従来技術よりも利便性を高めることができる。例えば、従来技術のように事前に来客用受付端末等に登録することや電話回線を準備することなく、訪問先の担当者のスマートフォン等のユーザ端末のそれぞれにアプリをダウンロードしてログインすることだけで、受付端末からの音声データの受信が可能となる(事前登録の手間を省くことができる)。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
【解決手段】来客用受付端末(100)と、サーバ(200)と、アプリケーションソフトがインストールされた複数のユーザ端末(300)とがインターネットを介して接続された受付システム(10)であって、サーバは、来客用受付端末からインターネットを介して取得した情報に基づいて来客情報及び訪問先情報を取得する取得手段(202a)と、来客情報と事前に登録された音声情報とに基づいて、自動音声合成により来客の訪問を通知するための音声データを生成する生成手段(202b)と、ピア・ツー・ピア通信により音声データを複数のユーザ端末のうち訪問先情報に基づく第1のユーザ端末へ発信する第2の通信手段(201)とを有し、第1のユーザ端末は、ピア・ツー・ピア通信により音声データを来客通知として受信する第3の通信手段(301)を有する。