特許第6821955号(P6821955)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6821955非接触ICタグ付き織布、非接触ICタグおよびそれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6821955
(24)【登録日】2021年1月12日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】非接触ICタグ付き織布、非接触ICタグおよびそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/00 20060101AFI20210114BHJP
【FI】
   A61F13/00 301Z
   A61F13/00 301A
   A61F13/00 T
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-112576(P2016-112576)
(22)【出願日】2016年6月6日
(65)【公開番号】特開2017-217133(P2017-217133A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 麻衣子
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−095679(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0148086(US,A1)
【文献】 特開2009−122783(JP,A)
【文献】 特開2013−212219(JP,A)
【文献】 特開2004−121412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
織布に非接触ICタグを備えた非接触ICタグ付き織布であって、
織布の一方の面には、織布側から、融着用シートと、非接触ICタグのインレットと、インレットを保護する第一保護シートとがこの順に備えられており、
織布のもう一方の面には、第二保護シートが備えられており、
第一保護シートと第二保護シートと融着用シートとは、相互に融着可能で、室温で柔軟性を備えた材料からなり、
インレットの周囲には、融着用シートと第一保護シートが融着した第一融着部が形成されており、
第一融着部の外側には、織布を介して、融着用シートと第二保護シートとが融着した第二融着部が形成されていることを特徴とする非接触ICタグ付き織布。
【請求項2】
織布に非接触ICタグを備えた非接触ICタグ付き織布であって、
織布の一方の面には、織布側から、融着用シートと、非接触ICタグのインレットと、インレットを保護する第一保護シートとがこの順に備えられており、
織布のもう一方の面には、第二保護シートが備えられており、
第一保護シートと第二保護シートと融着用シートとは、相互に融着可能で、室温で柔軟性を備えた材料からなり、
インレットの周囲には、融着用シートと第一保護シートが融着した第一融着部が形成されており、
第一融着部の外側には、融着用シートと第二保護シートとが融着した第三融着部と、織布を介して融着用シートと第二保護シートが融着した第二融着部が形成されていることを特徴とする非接触ICタグ付き織布。
【請求項3】
支持体である基材の表面に備えられたアンテナとそのアンテナに接続されたICチップからなるインレットの一方の面にはインレットを保護する第一保護シートが備えられており、
インレットのもう一方の面には、インレット側から融着用シートと第二保護シートが備えられており、
インレットの周囲には、第一保護シートと融着用シートを融着した第一融着部が備えられており、
第一融着部の外側のインレットの一方の端部には、融着用シートと第二保護シートを融着した第三融着部が備えられており、
第一融着部の外側の第三融着部以外の領域は、織布を介して融着用シートと第二保護シートが融着可能な領域であることを特徴とする非接触ICタグ。
【請求項4】
請求項に記載の非接触ICタグの製造方法であって、
前記融着用シートの一部に、融着用シートより小さい前記第一保護シートと前記インレットと融着用シートとがこの順に積層された積層体を作製する工程と、
その積層体のインレットの周囲を融着して、第一保護シートと融着用シートとが融着された領域の内部にインレットが内包された積層体を作製する工程と、
インレットが内包された積層体の融着用シートの端部と前記第二保護シートの端部を、融着シートと第二保護シートとが開閉可能に融着する工程と、を備えていることを特徴とする非接触ICタグの製造方法。
【請求項5】
請求項に記載の非接触ICタグを用いた非接触ICタグ付き織布の製造方法であって、
前記非接触ICタグの前記インレットを内包した前記融着用シートと前記第二保護シートを前記第三融着部を支点として開き、そこに織布を挿入して挟み込む第一工程と、
第一工程にて形成された、前記インレットが内包された積層体と織布と第二保護シートからなる積層構造の、第三融着部以外の部位を融着する工程と、を備えていることを特徴とする非接触ICタグ付き織布の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科手術を行った際などにおいて、体内への織布(ガーゼなど)の残留を防止する技術に関する。更には、織布を生体適合の熱可塑性樹脂等で挟み込むことにより、織布からの脱離の危険性を回避したICタグおよびICタグを備えた織布に関する。
【背景技術】
【0002】
外科手術を行った際に、手術に使用したガーゼなどの織布やその他の物品を置き忘れる事故が報じられている。このような置忘れが起こらないように、使用した織布の員数管理を行って来たが、事故を防ぐことができていない。その原因としては、目視に頼った員数管理では、血液で汚れた織布を視認することが困難なためと考えられる。
【0003】
そのような事態に対応して、織布にX線造影糸を備えた製品が開発されたが、織布の置き忘れを防ぐことができなかった。
【0004】
そのため、非接触ICタグを1つ1つの織布に取り付けることにより、織布の存在を確認する技術が提案されている。例えば、織布本体の一方の面の端部に、非接触ICタグをカバー用織布により挟んで、織布本体と共に縫い合わせることによって、織布本体に取り付けられているので、織布本体が折り畳まれたり、丸められたりすることにより、非接触ICタグが織布本体から剥離することがあった。このような剥離を防止するため、非接触ICタグを織布本体に接着剤により貼り付けることが考えられたが、接着剤のカスが体内に残留する虞があった。また、剥離しないまでも、織布本体が折り畳まれたり、丸められることによって、非接触ICタグがダメージを受け、外部通信装置による読取りができない虞があった。
【0005】
そのような問題を解決する技術として、例えば、特許文献1には、非接触ICタグの少なくとも一方の面に、非接触ICタグより大きい面積を有する不織布が貼り付けられ、不織布が非接触ICタグを介して織布などの衛生材料本体に溶着により一体化されている非接触ICタグ付き手術用衛生材料が提案されている。
【0006】
この技術においては、非接触ICタグは熱可塑性樹脂からなる一方の不織布と他方の不織布との間に挟み込まれ、これらの不織布を織布本体の一方の面に溶着することにより、織布本体と一体化している。また、この技術において、非接触ICタグは、一方の不織布と織布本体の間に挟み込まれて織布と一体化していても良い。
【0007】
この技術によって、織布本体から非接触ICタグが剥離する事故を低減できると見込まれる。しかしながら、この技術においては、非接触ICタグを挟み込んでいるカバー用織布が、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂からなるのに対し、織布本体はセルロース繊維でできている。
【0008】
そのため、熱可塑性樹脂からなるカバー用織布をセルロース繊維でできている織布本体に溶着する場合、カバー用織布は溶融し、セルロース繊維からできている織布本体は、溶融しない。
【0009】
そのため、加熱によりカバー用織布が織布本体の片面側で溶融し、織布本体のセルロース繊維と混合した後、冷却固化することにより、アンカー効果が発現し、カバー用織布が織布本体に溶着する。
【0010】
この技術においては、溶融したカバー用織布の樹脂が、織布本体の片面からどの程度の深さまで入り込むのか、によってカバー用織布と織布本体とが溶着した際のアンカー効果の程度が変化する。カバー用織布の樹脂が入り込む深さが浅い場合は、アンカー効果による接着力が弱く、織布本体を折り曲げたり、丸めたりすると、剥離してしまう虞を拭い去ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2013−212219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の事情に鑑み、本発明は、非接触ICタグを織布本体に強固に一体化することが可能な構造体、その構造体を使用して作製した非接触ICタグ付き織布、およびそれらの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載の発明は、織布に非接触ICタグを備えた非接触ICタグ付き織
布であって、
織布の一方の面には、織布側から、融着用シートと、非接触ICタグのインレットと、
インレットを保護する第一保護シートとがこの順に備えられており、
織布のもう一方の面には、第二保護シートが備えられており、
第一保護シートと第二保護シートと融着用シートとは、相互に融着可能で、室温で柔軟性を備えた材料からなり、
インレットの周囲には、融着用シートと第一保護シートが融着した第一融着部が備えられており、
第一融着部の外側には、織布を介して、融着用シートと第二保護シートとが融着した第二融着部が備えられていることを特徴とする非接触ICタグ付き織布である。
【0016】
また、請求項に記載の発明は、織布に非接触ICタグを備えた非接触ICタグ付き織布であって、
織布の一方の面には、織布側から、融着用シートと、非接触ICタグのインレットと、
インレットを保護する第一保護シートとがこの順に備えられており、
織布のもう一方の面には、第二保護シートが備えられており、
第一保護シートと第二保護シートと融着用シートとは、相互に融着可能で、室温で柔軟性を備えた材料からなり、
インレットの周囲には、融着用シートと第一保護シートが融着した第一融着部が形成されており、
第一融着部の外側には、融着用シートと第二保護シートとが融着した第三融着部と、織布を介して融着用シートと第二保護シートが融着した第二融着部が形成されていることを特徴とする非接触ICタグ付き織布である。
【0017】
また、請求項に記載の発明は、支持体である基材の表面に備えられたアンテナとそのアンテナに接続されたICチップからなるインレットの一方の面にはインレットを保護する第一保護シートが備えられており、
インレットのもう一方の面には、インレット側から融着用シートと第二保護シートが備えられており、
インレットの周囲には、第一保護シートと融着用シートを融着した第一融着部が備えられており、
第一融着部の外側のインレットの一方の端部には、融着用シートと第二保護シートを融着した第三融着部が備えられており、
第一融着部の外側の第三融着部以外の領域は、織布を介して融着用シートと第二保護シートが融着可能な領域であることを特徴とする非接触ICタグである。
【0018】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の非接触ICタグの製造方法であって、
前記融着用シートの一部に、融着用シートより小さい前記第一保護シートと前記インレットと融着用シートとがこの順に積層された積層体を作製する工程と、
その積層体のインレットの周囲を融着して、第一保護シートと融着用シートとが融着された領域の内部にインレットが内包された積層体を作製する工程と、
インレットが内包された積層体の融着用シートの端部と前記第二保護シートの端部を、
融着シートと第二保護シートを開閉可能に融着する工程と、を備えていることを特徴とする非接触ICタグの製造方法である。
【0019】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の非接触ICタグを用いた非接触ICタグ付き織布の製造方法であって、
前記非接触ICタグの前記インレットを内包した前記融着用シートと前記第二保護シートを前記第三融着部を支点として開き、そこに織布を挿入して挟み込む第一工程と、
第一工程にて形成された、前記インレットが内包された積層体と織布と第二保護シートからなる積層構造の、第三融着部以外の部位を融着する工程と、を備えていることを特徴とする非接触ICタグ付き織布の製造方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の非接触ICタグ付き織布によれば、非接触ICタグのインレットが、室温で柔軟性を持ち、相互に融着可能な保護シートによって、保護シート/インレット/織布/保護シートなる積層構造を持つ積層体のインレットの周囲を、織布を介して保護シート同士を融着した構造を持った織布であるため、織布を畳んだり、折り曲げてもインレットが織布から剥離することはなく、またインレットが保護シートに挟み込まれているため、インレットが損傷を受けることはなく、正常な機能を保持し続けることが可能である。
【0021】
また、本発明の非接触ICタグ付き織布によれば、非接触ICタグのインレットが、室温で柔軟性を持ち、相互に融着可能な保護シートによって、保護シート/インレット/融着用シート/織布/保護シートなる積層構造を持つ積層体のインレットの周囲を、融着用シートと織布を介して保護シート同士を融着した構造を持った織布であるため、織布を畳んだり、折り曲げてもインレットが織布から剥離することはなく、またインレットが保護シートに挟み込まれているため、インレットが損傷を受けることはなく、正常な機能を保持し続けることが可能である。
【0022】
また、本発明の非接触ICタグ付き織布によれば、非接触ICタグのインレットが、室温で柔軟性を持ち、相互に融着可能な保護シートによって、保護シート/インレットなる積層構造を持つ積層体のインレットの周囲の保護シートと融着用シートを融着した構造を持った構造を作製し、さらにその構造の融着した部位の外側にある融着用シート/織布/保護シートなる積層構造の部位を融着する構成であるため、織布を畳んだり、折り曲げてもインレットが織布から剥離することはなく、またインレットが保護シートに挟み込まれているため、インレットが損傷を受けることはなく、正常な機能を保持し続けることが可能である。
【0023】
また、本発明の非接触ICタグ付き織布によれば、非接触ICタグのインレットが、室温で柔軟性を持ち、相互に融着可能な保護シートによって、保護シート/インレットなる積層構造を持つ積層体のインレットの周囲の保護シートと融着用シートを融着した構造を持った積層構造を作製し、さらにその積層構造の融着した部位の外側の融着用シートともう一枚の保護シートとを融着用シートの端部で融着した構造作製し、融着した部分を支点として、融着した積層構造と保護シートを開き、そこに織布を挟み込んでから、融着用シートと保護シートを、織布を介して融着した構成であるため、織布を畳んだり、折り曲げてもインレットが織布から剥離することはなく、またインレットが保護シートに挟み込まれているため、インレットが損傷を受けることはなく、正常な機能を保持し続けることが可能である。
【0024】
また、本発明の非接触ICタグによれば、本発明の非接触ICタグ付き織布の製造を可能とする。
【0025】
また、本発明の非接触ICタグ付き織布の製造方法によれば、本発明の非接触ICタグ付き織布の提供を可能とする。
【0026】
また、本発明の非接触ICタグの製造方法によれば、本発明の非接触ICタグの提供を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の非接触ICタグの層構成を例示する説明図である。
図2】本発明の非接触ICタグの層構成を例示する説明図である。
図3】本発明の非接触ICタグの層構成を例示する説明図である。
図4】本発明の非接触ICタグの層構成を例示する説明図である。
図5】本発明の非接触ICタグに形成された融着用孔を例示する説明図であって、(a)は円形のアンテナの内部に融着用孔が形成されている例、(b)は(a)の融着用孔に加えて、アンテナの外側にも複数の融着用孔が形成されている例、を示している。
図6】本発明の非接触ICタグ付き織布の構成を例示する説明図である。
図7】本発明の非接触ICタグを織布などの織布に取り付ける方法を例示した説明図であって、(a)は非接触ICタグの初期状態、(b)は保護シートとその保護シートに隣接する融着用シートを、融着部を支点として、融着部と対向する端部を開いた状態、(c)は(b)の開いた状態の非接触ICタグに、織布の端部を挿入した状態、(d)は開いた保護シートを元に戻して閉じた状態、をそれぞれ例示している。(d)の状態で、閉じた非接触ICタグの端部の融着用シートと保護シートを融着することにより、非接触ICタグの織布への融着が完了する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<非接触ICタグおよび非接触ICタグ付き織布>
(第一の実施形態)
本発明の非接触ICタグ付き織布の第一の実施形態について説明する。
図1は、本発明の非接触ICタグ付き織布20−1の構成要素である本発明の非接触ICタグ10−1の第一の実施形態を例示する説明図である。
本発明の非接触ICタグ付き織布20−1は、織布6に本発明の非接触ICタグ10−1を備えた非接触ICタグ付き織布である。
【0029】
織布6の一方の面には、織布6側から、非接触ICタグ10−1のインレット5と、インレット5を保護する第一保護シート1がこの順に備えられている。織布6のもう一方の面には、第二保護シート1´が備えられており、インレット5が第一保護シート1と第二保護シート1´に挟み込まれている。
【0030】
第一保護シート1と第二保護シート1´は、相互に融着可能で、室温で柔軟性を備えた材料からなり、インレット5の周囲には、織布6を介して第一保護シート1と第二保護シート1´が融着した融着部11が形成されている。
【0031】
このように、インレット5が第一保護シート1と第二保護シート1´により挟み込まれ、織布6と一体に融着されているため、室温で柔軟性を備えた構造の中に挟み込まれている。そのため、織布6を折り畳んでも、本発明の非接触ICタグ10−1が、織附から剥離する虞は無い。また、第一保護シート1と第二保護シート1´に挟み込まれていることによって、インレット5のICチップ3やアンテナ4が機械的なダメージを受ける虞もない。
【0032】
ここで、相互に融着可能で、室温で柔軟性を備えた材料としては、例えばエラストマーを好適に使用することができる。以下の説明に於いても同様である。
【0033】
(第二の実施形態)
図2は、本発明の非接触ICタグ付き織布20−2の構成要素である本発明の非接触ICタグ10−1の第二の実施形態を例示する説明図である。
本発明の非接触ICタグ付き織布20−2は、織布6に非接触ICタグ10−2を備えた非接触ICタグ付き織布である。
織布6の一方の面には、織布6側から、融着用シート7と、非接触ICタグ10−2のインレット5と、インレット5を保護する第一保護シート1とがこの順に備えられている。
織布6のもう一方の面には、第二保護シート1´が備えられている。
第一保護シート1と第二保護シート1´と融着用シート7とは、相互に融着可能で、室温で柔軟性を備えた材料からなり、インレット5の周囲には、織布6と融着用シート7を介して第一保護シート1と第二保護シート1´が融着した融着部11が形成されている。
【0034】
(第三の実施形態)
図3は、本発明の非接触ICタグ付き織布20−3の構成要素である本発明の非接触ICタグ10−3の第三の実施形態を例示する説明図である。
本発明の非接触ICタグ付き織布20−3は、織布6に非接触ICタグ10−3を備えた非接触ICタグ付き織布である。
織布6の一方の面には、織布6側から、融着用シート7と、非接触ICタグ10−3のインレット5と、インレット5を保護する第一保護シート1とがこの順に備えられている。
織布6のもう一方の面には、第二保護シート1´が備えられている。
第一保護シート1と第二保護シート1´と融着用シート7とは、相互に融着可能で、室温で柔軟性を備えた材料からなり、インレット5の周囲には、融着用シート7と第一保護シート1が融着した第一融着部12が形成されている。
第一融着部の外側には、織布を介して、融着用シートと第二保護シートとが融着した第二融着部がされている。
【0035】
(第四の実施形態)
図4は、本発明の非接触ICタグ付き織布20−4の構成要素である本発明の非接触ICタグ10−4の第三の実施形態を例示する説明図である。
本発明の非接触ICタグ付き織布20−4は、織布6に非接触ICタグ10−4を備えた非接触ICタグ付き織布である。
織布6の一方の面には、織布6側から、融着用シート7と、非接触ICタグ10−4のインレット5と、インレット5を保護する第一保護シート1とがこの順に備えられている。
織布6のもう一方の面には、第二保護シート1´が備えられている。
第一保護シート1と第二保護シート1´と融着用シート7とは、相互に融着可能で、室温で柔軟性を備えた材料からなる。
インレット5の周囲には、融着用シート7と第一保護シート1が融着した第一融着部12が形成されている。
第一融着部12の外側には、融着用シート7と第二保護シート1´とが融着した第三融着部14と、織布6を介して融着用シート7と第二保護シート1´が融着した第二融着部13が形成されている。
【0036】
図6は、本発明の非接触ICタグ付き織布20の全体構成を例示する説明図である。矩形の織布6の四隅の一端に、本発明の非接触ICタグ10が織布6に融着されて備えられている。このように、非接触ICタグ10を織布6の端部に備えることにより、織布を折り畳んだ時に、非接触ICタグ10が折り曲げられる機会が少なくなるためである。しかしながら、本発明の非接触ICタグ10は、保護シートにより内部のインレットが保護されているため、非接触ICタグ10を融着する織布の中に於ける位置を限定する必要はない。
【0037】
また、図6には従来から使用されて来たX線造影糸9を備えた例を示したが、必ずしも必要不可欠ではない。X線造影糸9が備えられた非接触ICタグ付き織布20とすることにより、X線撮影により体内などに残留しているかどうかを確認することが可能となる。
【0038】
<非接触ICタグ>
次に、本発明の非接触ICタグ付き織布に使用される非接触ICタグの第四の実施形態における非接触ICタグについて説明する。
本発明の非接触ICタグは、図4に例示するように、支持体である基材2の表面に備えられたアンテナ4とそのアンテナ4に接続されたICチップ3からなるインレット5の一方の面にインレット5を保護する第一保護シート1が備えられている。
インレット5のもう一方の面には、インレット5側から融着用シート7と第二保護シート1´が備えられている。
インレット5の周囲には、第一保護シート1と融着用シート7を融着した第一融着部12が形成されている。
第一融着部12の外側のインレット5の一方の端部には、融着用シート7と第二保護シ
ート1´を融着した第三融着部14が形成されている。
第一融着部12の外側の第三融着部14以外の領域は、織布6を介して融着用シート7と第二保護シート1´が融着可能な領域となっている。
【0039】
図5(a)に、本発明の非接触ICタグ5の実施形態の例を示した。これは、コイルアンテナや円形などのアンテナ4に囲まれた領域の基材2に、融着用孔8を備えている例である。この融着用孔8は、基材2を貫通しているため、織布に非接触ICタグ5を融着する場合に、表裏面のシート(保護シートや融着用シート)が織布を介して融着する際、より強固に表裏のシートが融着可能となる。そのため、更に非接触ICタグ5が織布から剥離し難い構成となる。
図5(b)は、図5(a)の構成に加えて、アンテナ4の外側にも融着用孔8が形成された例を示したものであり、図5(a)の場合より、更に織布に強固に融着させることが可能である。
【0040】
<非接触ICタグの製造方法>
次に、本発明の非接触ICタグの製造方法について説明する。
本発明の非接触ICタグの製造方法は、図4に示した非接触ICタグ10−4の製造方法であって、融着用シート7の一部に、融着用シート7より小さい第一保護シート1とインレット5と融着用シート7とがこの順に積層された積層体を作製する工程と、その積層体のインレット5の周囲を融着して、第一保護シート1と融着用シート7とが融着された融着部第一融着部12が取り囲む領域の内部にインレット5が内包された積層体を作製する工程と、インレット5が内包された積層体の融着用シート7の端部と第二保護シート1´の端部を、融着シート7と第二保護シート1´とが開閉可能に融着する工程と、を備えている。
【0041】
<非接触ICタグ付き織布の製造方法>
次に、本発明の非接触ICタグ付き織布の製造方法の一例を説明する。
図7は、図4に示した本発明の非接触ICタグ付き織布20−4の製造方法の一例を示す説明図である。
【0042】
図7(a)は、本発明の非接触ICタグ10−4の初期状態を示している。
図7(b)は、融着用シート7と融着用シートより小さい第一保護シート1との間にインレット5が積層された積層体のインレットの周囲に形成された融着部12により、インレット5が封入された積層体を形成している。その積層体の端部において、第二保護シート1´の端と中着され、第三融着部14を形成している。その第三融着部14を支点として、インレット5が封入された積層体側の融着用シート7と第二保護シート1´を開閉可能であることを示している。
【0043】
図7(c)は、インレット5が封入された積層体側の融着用シート7と第二保護シート1´を開いた状態で、織布6を装填した状態を示している。本発明の非接触ICタグ10−4を開いて、織布6を挟み込んだ状態である。
【0044】
図7(d)は、図7(c)の状態から、インレット5が封入された積層体側の融着用シート7と第二保護シート1´を閉じた状態を示している。このようにして、本発明の非接触ICタグ10−4に、織布6を挟み込むことができる。
【0045】
図7(e)は、図7(d)の状態で、第三融着部14の対向する非接触ICタグ10−4の端部において、第一保護シート1と第二保護シート1´を、織布6を介して融着して、第二融着部12を形成した状態を示している。第二融着部12は、第三融着部14以外のインレット5の周囲を全て融着しても良いし、一部を融着しても良い。
【符号の説明】
【0046】
1・・・第一保護シート
1´・・・第二保護シート
2・・・基材
3・・・ICチップ
4・・・アンテナ
5・・・インレット
6・・・織布
7・・・融着用シート
8・・・融着用孔
9・・・X線造影糸
10・・・非接触ICタグ
11・・・融着部
12・・・第一融着部
13・・・第二融着部
14・・・第三融着部
10、10−1、10−2、10−3、10−4・・・非接触ICタグ
20、20−1、20−2、20−3、20−4・・・非接触ICタグ付き織布
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7