特許第6821968号(P6821968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6821968
(24)【登録日】2021年1月12日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】電池パック及び電動工具
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/20 20210101AFI20210114BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20210114BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20210114BHJP
   B25F 5/00 20060101ALN20210114BHJP
【FI】
   H01M2/10 G
   H01M2/10 E
   H01M2/10 U
   H01M10/48 301
   H01M2/10 M
   H02J7/00 A
   !B25F5/00 H
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-126891(P2016-126891)
(22)【出願日】2016年6月27日
(65)【公開番号】特開2018-5995(P2018-5995A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】菅野 翔太
【審査官】 馳平 憲一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−203004(JP,A)
【文献】 特開2010−262878(JP,A)
【文献】 特開平06−150979(JP,A)
【文献】 特開2014−164990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
B25F 1/00 − 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルをケースに収容した電池パックであって、前記ケース内に、
前記電池セルの外周面を支持する第1支持部材と、
前記電池セルの長手方向の一方側で前記電池セルの一部を支持する第2支持部材と、
前記電池セルの長手方向の他方側に設けられ、対象機器との接続用の端子を保持するターミナルホルダと、を備え、
前記ケース内において前記電池セルの長手方向の前記一方側に設けられ、前記電池セルの充電及び放電を制御する制御基板を備え、
前記第2支持部材は、前記制御基板を非接触で覆うことを特徴とする、電池パック。
【請求項2】
上方に開口部を有し、前記制御基板を収容する容器状の基板ホルダを備えることを特徴とする、請求項に記載の電池パック。
【請求項3】
前記第2支持部材は、下方に開口部が形成されたベース部と、前記ベース部の前記開口部から前記基板ホルダを収容するための空間となる基板収容部と、を備えることを特徴とする、請求項に記載の電池パック。
【請求項4】
前記制御基板は、前記電池セルの長手方向延長上において前記長手方向と略垂直に設けられる、又は、前記電池セルの長手方向と略平行に設けられ、前記長手方向における位置が前記電池セルと少なくとも部分的に重複することを特徴とする、請求項又はに記載の電池パック。
【請求項5】
前記第1支持部材は、前記電池セルの外周面のうち前記ケースの内面と対向する部分を覆い、
前記第1支持部材と前記第2支持部材との合わせ部が、前記電池セルの外周面と前記ケース内面との間にあることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項6】
前記合わせ部が凹凸形状であることを特徴とする請求項5に記載の電池パック。
【請求項7】
前記凹凸形状は、前記第1支持部材と前記第2支持部材が所定の相対回転位置にある場合に嵌り合い、他の相対回転位置にある場合には嵌り合わないことを特徴とする、請求項6に記載の電池パック。
【請求項8】
前記合わせ部の、前記電池セルの外周面に臨む部分が、面取り形状とされていることを特徴とする、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項9】
前記合わせ部の一部に隙間が設けられることを特徴とする、請求項5乃至8のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項10】
前記電池セルの端子と接続された端子部材が、前記隙間を通って側方に延出することを特徴とする、請求項9に記載の電池パック。
【請求項11】
前記電池セルの温度を検出する温度検出部材を備え、
前記第1支持部材は、前記温度検出部材を前記電池セルの外周面と近接あるいは接触するように支持する支持部を有することを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項12】
前記電池セルを少なくとも2つ備え、
前記支持部は、隣り合う電池セルの側面間に前記温度検出部材を支持することを特徴とする、請求項11に記載の電池パック。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の電池パックを着脱可能に装着した電動工具であって、
前記電池パックの前記電池セルから電力供給を受けるモータと、
前記モータの起動及び停止を指示するスイッチと、を備えることを特徴とする、電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具等の対象機器に装着する電池パック、及び電池パックを装着する電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コードレス電動工具を駆動する電池パックには、高容量化及び軽量化が可能なリチウムイオン二次電池が広く使用されている。電池パックは、外郭を成すケース内に、充放電可能な電池セル、電池セルを支持する支持部材(セパレータ)、電動工具と電池セルを接続させる接続端子、及び充放電の制御等を行う制御基板を備える。支持部材は、電池セルを正しい配置に固定する役割を持つ。詳細には、支持部材は、例えば絶縁樹脂成形体であり、各電池セルを覆い、電池セル同士が接触しないよう電池セル間の距離を一定に保つと共に、制御基板及び電池セルから配線されたリードワイヤーや組立作業時に使用する工具類等の他部品が電池セルと接触するのを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−050833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池パックの高機能化に伴い、電池パック内に設けられるリードワイヤーの本数は増える傾向にある。また、電池セルの温度を高精度で検出するためには、サーミスタ等の温度検出部材を電池セルに近接あるいは接触させて支持する必要がある。これらの観点から、支持部材には、電池セルを支持するだけでなく、リードワイヤーのガイド構造や、温度検出部材の支持構造等、様々な追加構造が求められている。しかし、外郭を成すケースと支持部材との間の距離は近く、従来の構成では限られたスペースに追加構造を設けることが難しいという問題があった。また、電池パックの高出力化により電池セルからの発熱が大きくなっており、電池セルから制御基板に伝わる熱による悪影響が問題となっていた。
【0005】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その第1の目的は、電池セルを支持する支持部材の設計の自由度を高めることの可能な電池パック及びそれを装着した電動工具を提供することにある。
【0006】
本発明の第2の目的は、電池セルから制御基板に伝わる熱を抑制することの可能な電池パック及びそれを装着した電動工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第態様は、電池パックである。この電池パックは、
電池セルをケースに収容した電池パックであって、前記ケース内に、
前記電池セルの外周面を支持する第1支持部材と、
前記電池セルの長手方向の一方側で前記電池セルの一部を支持する第2支持部材と、
前記電池セルの長手方向の他方側に設けられ、対象機器との接続用の端子を保持するターミナルホルダと、を備え、
前記ケース内において前記電池セルの長手方向の前記一方側に設けられ、前記電池セルの充電及び放電を制御する制御基板を備え、
前記第2支持部材は、前記制御基板を非接触で覆うことを特徴とする。
【0014】
上方に開口部を有し、前記制御基板を収容する容器状の基板ホルダを備えてもよい。
【0015】
前記第2支持部材は、下方に開口部が形成されたベース部と、前記ベース部の前記開口部から前記基板ホルダを収容するための空間となる基板収容部と、を備えてもよい。
【0016】
前記制御基板は、前記電池セルの長手方向延長上において前記長手方向と略垂直に設けられる、又は、前記電池セルの長手方向と略平行に設けられ、前記長手方向における位置が前記電池セルと少なくとも部分的に重複してもよい。
前記第1支持部材は、前記電池セルの外周面のうち前記ケースの内面と対向する部分を覆い、
前記第1支持部材と前記第2支持部材との合わせ部が、前記電池セルの外周面と前記ケース内面との間にあってもよい。
前記合わせ部が凹凸形状であってもよい。
前記凹凸形状は、前記第1支持部材と前記第2支持部材が所定の相対回転位置にある場合に嵌り合い、他の相対回転位置にある場合には嵌り合わなくてもよい。
前記合わせ部の、前記電池セルの外周面に臨む部分が、面取り形状とされてもよい。
前記合わせ部の一部に隙間が設けられてもよい。
前記電池セルの端子と接続された端子部材が、前記隙間を通って側方に延出してもよい。
【0017】
前記電池セルの温度を検出する温度検出部材を備え、
前記第1支持部材は、前記温度検出部材を前記電池セルの外周面と近接あるいは接触するように支持する支持部を有してもよい。
【0018】
前記電池セルを少なくとも2つ備え、
前記支持部は、隣り合う電池セルの側面間に前記温度検出部材を支持してもよい。
【0021】
本発明の第の態様は、前記電池パックを着脱可能に装着した電動工具であって、
前記電池パックの前記電池セルから電力供給を受けるモータと、
前記モータの起動及び停止を指示するスイッチと、を備えることを特徴とする。
【0022】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、電池セルから制御基板に伝わる熱を抑制することの可能な電池パック及びそれを着脱可能に装着した電動工具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態1に係る電池パック10の斜視図。
図2】電池パック10の分解斜視図。
図3】電池パック10の背断面図。
図4】電池パック10のケース内(上ケース11及び下ケース12の内部)の斜視図。
図5】電池パック10のケース内の正面図。
図6図5のA−A断面図。
図7】電池パック10のケース内の背面図。
図8】電池パック10のケース内における第1セパレータ20及び第2セパレータ30の合わせ部の拡大断面図。
図9】電池パック10を装着した電動工具1の側面図。
図10図10(A)は、本発明の実施の形態2に係る電池パックのケース内の正面図。図10(B)は、図10(A)のB−B断面図。
図11図11(A)は、本発明の実施の形態3に係る電池パックのケース内の正面図。図11(B)は、図11(A)のC−C断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0027】
実施の形態1
図1図9を参照し、本発明の実施の形態1の電池パック10及びそれを装着した電動工具1について説明する。図9に示すように、電動工具1のハウジング2は、T型ハウジングであって、モータを収容する胴体部(筒状部)2a、胴体部2aから下方に延びるハンドル部2b、及びハンドル部2bの下端部に設けられた電池パック装着部2cを含む。胴体部2aの前方には、図示しないドライバビット等の先端工具を装着するための先端工具保持部8が設けられる。ハンドル部2bには、胴体部2a内のモータの起動及び停止を指示するスイッチ(トリガ)7が設けられる。電池パック装着部2cには、電池パック10が着脱可能に装着される。使用者がスイッチ7を操作すると、電池パック10から胴体部2a内のモータに電力が供給され、前記モータが回転する。前記モータの回転により、先端工具保持部8に保持された先端工具が回転する。
【0028】
電池パック10は、差込式であって、電池パック装着部2cに下方から差し込んで装着される。ラッチ部材(係止部材)13により、電池パック10が電池パック装着部2cに係止(固定)される。詳細には、図3に示すように、ラッチ部材13は、ラッチ操作部13a、ラッチ爪部13b、軸部13c、及びスプリング13dを含み、軸部13cによって電池パック10の下ケース12に回動可能に支持される。スプリング13dは、ラッチ爪部13bに、外側に回動する付勢力(電動工具1の電池パック装着部2cの図示しない係止部との係合する方向の付勢力)を与える。使用者は、ラッチ操作部13aを押すことで、スプリング13dの付勢に抗してラッチ爪部13bを内側に回動させ、ラッチ爪部13bと電池パック装着部2cの図示しない係止部との係合を解除し、電池パック10を電動工具1から外すことができる。
【0029】
電池パック10は、外装ケース(外郭)を構成する上ケース11及び下ケース12の内部に、リチウムイオン二次電池等の電池セル15、第1支持部材としての第1セパレータ20、第2支持部材としての第2セパレータ30、ターミナルホルダ40、制御基板50、及び基板ホルダ51を備える。上ケース11及び下ケース12は、例えば絶縁樹脂成形体であって、相互に組み合わされることで電池セル15等を収容する内部空間を形成する。電池セル15は、ここでは2本であり、互いに平行になるように並べて配置される。
【0030】
第1セパレータ20及び第2セパレータ30は、例えば絶縁樹脂成形体であり、上ケース11及び下ケース12の内部において電池セル15を所定位置に支持する。詳細には、第1セパレータ20及び第2セパレータ30は、各電池セル15を覆い、電池セル15同士が接触しないよう電池セル15間の距離を一定に保つと共に、制御基板50及び電池セル15から配線された所定数のリードワイヤー17(図3及び図4)や組立作業時に使用する図示しない工具類等の他部品が電池セル15と接触するのを防止する。
【0031】
第1セパレータ20は、カバー部21、支持部22、リブ23、回り止め凸部24,25(図5図7)を有する。カバー部21は、各電池セル15の側面(外周面)を支持する(覆う)。支持部22は、図5及び図6に示すようにサーミスタ等の温度検出部材16を電池セル15の側面と近接あるいは接触するように支持(保持)する。詳細には、支持部22は、例えば上端が塞がった半円筒状等のトンネル形状であり、温度検出部材16の少なくとも一部を収容し、隣り合う電池セル15の側面間に温度検出部材16を支持する。支持部22は、温度検出部材16を電池セル15の側面に密着させてもよい。温度検出部材16は、電池セル15の温度を検出する。リブ23は、支持部22の外側面から立ち上がる部分を有し、図4に示すようにリードワイヤー17をガイドする。図5及び図7に示すように、回り止め凸部24,25は、カバー部21の下端部(第2セパレータ30との合わせ部)に設けられ、第2セパレータ30の回り止め凹部34,35と嵌合し、第1セパレータ20が第2セパレータ30に対して回転するのを防止する。
【0032】
第2セパレータ30は、ベース部30a、カバー部31、貫通穴32,33(図4)、回り止め凹部34,35(図5図7)、リブ36,37(図2)、基板収容部39(図3)を有する。ベース部30aは、上面が電池セル15の下端面を支持する支持面であると共に、後述の制御基板50及び基板ホルダ51を収容するための空間である基板収容部39(図3)を電池セル15の下方に有する。カバー部31は、ベース部30aの上面から立ち上がり、各電池セル15の側面(外周面)のうち、第1セパレータ20のカバー部21が支持していない部分を支持する(覆う)。貫通穴32,33は、ベース部30aの上面に開口し、図4に示すように、リードワイヤー17を通すために設けられる。図5及び図7に示すように、回り止め凹部34,35は、カバー部31の上端部(第1セパレータ20との合わせ部)に設けられ、第1セパレータ20の回り止め凸部24,25と嵌合し、第2セパレータ30が第1セパレータ20に対して回転するのを防止する。なお、第1セパレータ20の回り止め凸部24,25と、第2セパレータ30の回り止め凹部34,35は、図5及び図7に示す相対回転位置では互いに嵌り合う一方、他の相対回転位置(例えば図5及び図7に対して180度回転させた位置)では嵌り合わない。このため、第1セパレータ20及び第2セパレータ30の逆組が防止される。図2のリブ36,37は、ベース部30aの上面に形成され、後述のタブ(端子部材)46,47をベース部30aの上面から浮かせるために設けられる。
【0033】
図8に示すように、第1セパレータ20と第2セパレータ30との合わせ部(カバー部21の下端部とカバー部31の上端部)の、電池セル15の側面に臨む部分(内径エッジ部)は、面取り形状部21a,31aとされている。面取り形状部21a,31aは、第1セパレータ20及び第2セパレータ30に曲げの力が加わった際に、カバー部21,31の角部が電池セル15の側面を傷付けることを抑制するために設けられる。面取り形状部21a,31aは、直線的な斜面であってもよいし、曲面(R)であってもよい。
【0034】
図4図5、及び図7に示すように、第1セパレータ20及び第2セパレータ30の合わせ部の一部には、隙間28,29が設けられる。詳細には、第2セパレータ30のカバー部31は、ベース部30aの上面における電池セル15の周方向の一部からは立ち上がらず、当該一部と第1セパレータ20のカバー部21との間に隙間28,29が存在する。タブ46,47はそれぞれ、第2セパレータ30のベース部30a上に設けられた板状金属であって、電池セル15の下端側の端子に接続され、隙間28,29を通ってカバー部31の側方に延出する。タブ46,47には、それぞれリードワイヤー17の一端が半田付け等により接続される。
【0035】
ターミナルホルダ40は、電池セル15の上端側に設けられ、対象機器(例えば図9の電動工具1)との接続用の端子41〜44を保持する。端子41〜44にはそれぞれ、板状金属であって、リードワイヤー17の一端が接続される。電池セル15の上端側の端子とターミナルホルダ40との間には、タブ(端子部材)45が設けられる。タブ45は、板状金属であり、隣り合う電池セル15の上端側の端子同士を接続すると共に、その接続点の電圧を取り出すために設けられる。タブ45にはリードワイヤー17の一端が接続される。端子41〜44は、上ケース11の上端に設けられた端子穴11aからそれぞれ露出している。
【0036】
制御基板50は、第2セパレータ30の基板収容部39内かつ電池セル15の長手方向延長上において、前記長手方向と略垂直に設けられる。制御基板50は、電池セル15の充電及び放電を制御する。制御基板50は、ネジ50aによって基板ホルダ51に固定され、基板ホルダ51内に収容され、第2セパレータ30とは非接触である(離間している)。すなわち、第2セパレータ30は、制御基板50を非接触で覆う。すなわち、第2セパレータ30の基板収容部39内には、制御基板50がネジ止めされた基板ホルダ51が収容されている。制御基板50には、各リードワイヤー17の他端が接続されると共に、温度検出部材16も接続される。基板ホルダ51内は、ウレタンが充填される。図3に示す基板ホルダ51内のハッチングは、ウレタンが充填されていることを示している。
【0037】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0038】
(1) セパレータ(支持部材)が、第1セパレータ20及び第2セパレータ30からなる分割構造であるため、成形の自由度が高められ、限られたスペースに様々な追加構造を設けることができる。具体的には、温度検出部材16を支持する支持部22や、リードワイヤー17をガイドするリブ23等、単一セパレータでは形成が困難であった構造を追加することができる。ここで、支持部22は、トンネル形状であり、温度検出部材16を電池セル15の側面から離れないように保持(固定)することができる。
【0039】
(2) 第1セパレータ20及び第2セパレータ30は、上下方向において互いに分割されているため、曲げの力が加わった場合にも、折れるリスクが抑制される。また、第1セパレータ20のカバー部21及び第2セパレータ30のカバー部31の内径エッジ部が面取り形状部21a,31aとされているため、曲げの力が加わった場合に内径エッジ部が電池セル15の側面に食い込んで当該側面を傷つけることを抑制できる。
【0040】
(3) 第1セパレータ20及び第2セパレータ30を分割構造としたことで形成できた隙間28,29を利用して、電池セル15の下端側の端子に接続されたタブ46,47をカバー部31の側方に延出させることができるため、セパレータにより電池セル15を保護しつつタブ46,47を配置することができる。
【0041】
(4) 制御基板50が第2セパレータ30と非接触であるため、電池セル15の熱が制御基板50に伝わりにくく、制御基板50の温度上昇を抑制できる。
【0042】
(5) 制御基板50(基板ホルダ51)が第2セパレータ30に覆われるため、防水効果が得られる。雨水等が端子穴11a等からケース内に浸入しても、第2セパレータ30が雨樋となって基板ホルダ51内への浸入を抑制することができる。基板ホルダ51にはウレタンが充填されているため、制御基板50は第2セパレータ30とウレタンによって、雨水等の浸入を確実に防止することができる。
【0043】
(6) 第1セパレータ20と第2セパレータ30の合わせ部を凹凸形状(回り止め凸部24,25及び回り止め凹部34,35)としており、第1セパレータ20と第2セパレータ30の相互回転位置を固定できるとともに、前記凹凸形状の非対称性により第1セパレータ20と第2セパレータ30の逆組も防止できる。
【0044】
実施の形態2
図10(A)は、本発明の実施の形態2に係る電池パックのケース内の正面図である。図10(B)は、図10(A)のB−B断面図である。本実施の形態の電池パックでは、実施の形態1のものと異なり、基板ホルダ51が無く、制御基板50が2つの制御基板50bに分割され、各制御基板50bが電池セル15の長手方向と略平行に設けられ、前記長手方向における各制御基板50bの位置と電池セル15の位置が少なくとも部分的に重複する。各制御基板50bは、第2セパレータ30に直接取り付けられ、第2セパレータ30のカバー部31の前後にそれぞれ設けられた基板収容部39に収容保持される。基板収容部39には、ウレタンが充填される。図10(B)に示す基板収容部39内のハッチングは、ウレタンが充填されていることを示している。第2セパレータ30の配線用穴38は、図示しないリードワイヤーを引き出すために設けられる。本実施の形態のその他の点は、実施の形態1と同様である。本実施の形態では、各制御基板50bが第2セパレータ30と接触する関係で電池セル15からの熱が各制御基板50bに伝わりやすくなるが、その他の点においては実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0045】
実施の形態3
図11(A)は、本発明の実施の形態3に係る電池パックのケース内の正面図である。図11(B)は、図11(A)のC−C断面図である。本実施の形態の電池パックでは、実施の形態1のものと異なり、基板ホルダ51が無く、制御基板50が第2セパレータ30に直接取り付けられる。図11(B)に示す基板収容部39内のハッチングは、ウレタンが充填されていることを示している。第2セパレータ30の配線用穴38は、図示しないリードワイヤーを引き出すために設けられる。本実施の形態のその他の点は、実施の形態1と同様である。本実施の形態では、各制御基板50bが第2セパレータ30と接触する関係で電池セル15からの熱が各制御基板50bに伝わりやすくなるが、その他の点においては実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0046】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0047】
実施の形態1の構成において、セパレータは分割構造に限定されない。この場合、分割構造にしたことによるメリットは無くなるが、制御基板50がセパレータ30と非接触であることによる電池セル15から制御基板50への熱伝導抑制効果は得られる。
【符号の説明】
【0048】
1 電動工具(対象機器)、2 ハウジング、2a 胴体部(筒状部)、2b ハンドル部、2c 電池パック装着部、7 スイッチ(トリガ)、8 先端工具保持部、
10 電池パック、11 上ケース、11a 端子穴、12 下ケース、13 ラッチ部材(係止部材)、13a ラッチ操作部、13b ラッチ爪部、13c 軸部、13d スプリング、15 電池セル、16 温度検出部材、17 リードワイヤー、
20 第1セパレータ(第1支持部材)、21 カバー部、21a 面取り形状部、22 支持部、23 リブ、24,25 回り止め凸部、28,29 隙間、
30 第2セパレータ(第2支持部材)、30a ベース部、31 カバー部、31a 面取り形状部、32,33 貫通穴、34,35 回り止め凹部、36,37 リブ、38 配線用穴、39 基板収容部、
40 ターミナルホルダ、41〜44 工具接続用端子、45〜47 タブ(端子部材)、50 制御基板、50a ネジ、51 基板ホルダ
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