特許第6822014号(P6822014)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6822014-虚像表示装置 図000002
  • 特許6822014-虚像表示装置 図000003
  • 特許6822014-虚像表示装置 図000004
  • 特許6822014-虚像表示装置 図000005
  • 特許6822014-虚像表示装置 図000006
  • 特許6822014-虚像表示装置 図000007
  • 特許6822014-虚像表示装置 図000008
  • 特許6822014-虚像表示装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6822014
(24)【登録日】2021年1月12日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】虚像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20210114BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   G02B27/01
   B60K35/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-169497(P2016-169497)
(22)【出願日】2016年8月31日
(65)【公開番号】特開2018-36499(P2018-36499A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100134599
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】坂口 慶治
【審査官】 河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−152732(JP,A)
【文献】 特開2016−122041(JP,A)
【文献】 特開2011−180541(JP,A)
【文献】 特開2016−136222(JP,A)
【文献】 特開2008−195194(JP,A)
【文献】 特開2016−022873(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0008412(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される虚像表示装置であって、
第1偏光方向に偏光された画像光を射出する光源と、
前記光源からの画像光が入射して中間像を形成するスクリーンと、
前記中間像の光を反射して虚像として視認させる反射面を有する光学素子と前記スクリーンとの間に配置され、前記第1偏光方向の光成分を選択的に透過する偏光透過部と、を備え、
前記偏光透過部は、前記スクリーンに入射する前記画像光の光路範囲外に配置され、且つ前記中間像の光の光軸に一致して入射する外光を前記反射面外に反射する方向に傾けられ、
前記中間像の光の光軸に一致して入射する外光は前記偏光透過部に反射されて前記車両の天井に入射する虚像表示装置。
【請求項2】
前記光源は、前記第1偏光方向に偏光された画像光として、水平方向に対して垂直な方向に偏光された画像光を射出することを特徴とする請求項1に記載の虚像表示装置。
【請求項3】
前記第1偏光方向の光成分を選択的に反射する反射膜が前記外光の入射面側に配置された前記光学素子を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の虚像表示装置。
【請求項4】
前記中間像の光の光軸に一致して入射する外光が入射する前記天井に可視光を吸収する吸収部を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
【請求項5】
前記スクリーンは、透過型スクリーンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
【請求項6】
前記スクリーンから前記中間像の光が入射し、当該中間像の光を前記偏光透過部に向けて反射する反射部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虚像を視認させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、太陽光に起因した虚像の視認性低下を抑制する技術が知られている。例えば、特許文献1には、偏光した画像光を射出して投影させるプロジェクタと、プロジェクタからの画像表示光によって中間像が形成されるスクリーンと、中間像を虚像として表示させるコンバイナと、プロジェクタとスクリーンとの間の光路中に配置される偏光板と、を備え、偏光板で反射した太陽光の光路の一部が、虚像を構成する光の光路と一致しないように、偏光板が配置されているヘッドアップディスプレイが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−10321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のヘッドアップディスプレイでは、光源から射出された画像光が偏光板を2回透過するため、そこで発生する光量減により、表示する画像の輝度が低下するという課題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は上記のようなものが例として挙げられる。本発明は、外光の影響を低減しつつ、虚像を明確に視認させることが可能な虚像表示装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、車両に搭載される虚像表示装置であって、第1偏光方向に偏光された画像光を射出する光源と、前記光源からの画像光が入射して中間像を形成するスクリーンと、前記第1偏光方向の光成分を選択的に反射する反射膜を有し、前記反射膜により前記中間像の光を反射して虚像として視認させる光学素子と、前記光学素子と前記スクリーンとの間に配置され、前記第1偏光方向の光成分を選択的に透過する偏光透過部と、を備え、前記中間像の光の光軸に一致して入射する外光は前記偏光透過部に反射されて前記車両の天井に入射することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施例に係るヘッドアップディスプレイの構成例である。
図2】コンバイナから入射した太陽光の光路を示した図である。
図3】(A)変形例1に係る偏光板の断面図を示す。(B)S偏光及びP偏光のそれぞれに対する入射角度に応じたガラスの反射率を示す。
図4】変形例2に係るヘッドアップディスプレイの構成例である。
図5】変形例3に係るヘッドアップディスプレイの構成例である。
図6】変形例4に係るヘッドアップディスプレイの構成例である。
図7】変形例5に係るヘッドアップディスプレイの構成例である。
図8】第2実施例に係るヘッドアップディスプレイの構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の1つの好適な実施形態では、虚像表示装置は、第1偏光方向に偏光された画像光を射出する光源と、前記光源からの画像光が入射して中間像を形成するスクリーンと、前記中間像の光を反射して虚像として視認させる反射面を有する光学素子と前記スクリーンとの間に配置され、前記第1偏光方向の光成分を選択的に透過する偏光透過部と、を備え、前記偏光透過部は、前記スクリーンに入射する前記画像光の光路範囲外に配置され、且つ前記中間像の光の光軸に一致して入射する外光を前記反射面外に向けて反射する方向に傾けられている。
【0009】
上記虚像表示装置は、光源と、スクリーンと、偏光透過部とを備える。光源は、第1偏光方向に偏光された画像光を射出する。スクリーンは、光源からの画像光が入射して中間像を形成する。偏光透過部は、中間像の光を反射して虚像として視認させる反射面を有する光学素子とスクリーンとの間に配置され、第1偏光方向の光成分を選択的に透過する。ここで、偏光透過部は、スクリーンに入射する画像光の光路範囲外に配置され、且つ中間像の光の光軸に一致して入射する外光を光学素子の反射面外に向けて反射する方向に傾けられている。この態様では、偏光透過部は、光学素子へ向かう画像光を透過しつつ、画像光の光軸と一致して入射する外光の一部を、光学素子で再び反射しないように光学素子外へ反射する。また、この構成では、画像光は偏光透過部を1回のみ透過する。従って、虚像表示装置は、画像光の光量減を好適に低減しつつ、外光に起因した虚像の視認性悪化を好適に低減することができる。
【0010】
上記虚像表示装置の一態様では、前記光源は、前記第1偏光方向に偏光された画像光として、水平方向に対して垂直な方向に偏光された画像光を射出する。この態様により、水平方向の偏光成分をカットする偏光サングラスを観察者が着用していた場合であっても、観察者に好適に虚像を視認させることができる。
【0011】
上記虚像表示装置の他の一態様では、第1偏光方向の光成分を選択的に反射する反射膜が前記外光の入射面側に配置された前記光学素子を備える。この態様により、虚像表示装置は、偏光透過部で反射されない外光の第1偏光方向の光成分を好適に反射膜により反射し、外光がスクリーン等に入射するのを抑制することができる。
【0012】
上記虚像表示装置の他の一態様では、虚像表示装置は、可視光を吸収する吸収部を備え、前記偏光透過部は、前記中間像の光の光軸に一致して入射する外光を前記吸収部に向けて反射する。この態様により、虚像表示装置は、偏光透過部が反射した外光が反射を繰り返して虚像の視認性に影響を与えるのを好適に抑制することができる。
【0013】
上記虚像表示装置の好適な例では、前記スクリーンは、透過型スクリーンである。上記虚像表示装置の他の好適な例では、虚像表示装置は、前記スクリーンから前記中間像の光が入射し、当該中間像の光を前記偏光透過部に向けて反射する反射部をさらに備える。
【実施例】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好適な第1及び第2実施例について説明する。
【0015】
<第1実施例>
[概略構成]
図1は、第1実施例に係るヘッドアップディスプレイの概略構成図である。ヘッドアップディスプレイは、車両などに搭載され、観察者に虚像を視認させる。ヘッドアップディスプレイは、主に、光源部1と、スクリーン2と、反射ミラー3と、偏光板4と、コンバイナ5とを備える。図1において、「A1」〜「A3」は、光源部1が射出する光(「画像光」とも呼ぶ。)の光軸に相当する光線を示し、「R1」〜「R4」は、画像光のコンバイナ5までの光路範囲を示す境界線である。
【0016】
光源部1は、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色のレーザ素子を有し、画像信号に基づいて変調されたレーザの合成光である画像光を、MEMSミラーでスクリーン2上に走査する。本実施例では、光源部1は、水平方向に対して垂直な方向に偏光された光(「垂直偏光」とも呼ぶ。)を画像光として射出する。この場合、画像光は、後述する偏光板4に対してP偏光として入射する。
【0017】
スクリーン2は、中間像を生成する透過型の光学部材であって、光源部1から照射された画像光の発散角を広げることで射出瞳を拡大する射出瞳拡大器(EPE)として機能する。例えば、スクリーン2は、複数のマイクロレンズが配列されたマイクロレンズアレイである。スクリーン2を透過した画像光は、反射ミラー3に入射する。反射ミラー3は、スクリーン2から出射された画像光を、コンバイナ5へ向けて反射する。
【0018】
偏光板(偏光透過部)4は、反射ミラー3で反射した画像光が入射する位置に設けられており、P偏光を選択的に透過し、S偏光を選択的に反射する性質を有する。ここで、図1に示すように、画像光は、垂直偏光として光源部1から射出されており、反射ミラー3で反射後に偏光板4に対してP偏光として入射する。よって、偏光板4は、反射ミラー3で反射した画像光を透過してコンバイナ5へ到達させる。また、偏光板4は、後述するように、偏光板4に入射する太陽光がコンバイナ5へ反射する光量を低減するように、傾きが調整されている。偏光板4の傾き調整については後述する。
【0019】
また、偏光板4は、境界線R3、R4に挟まれた画像光の光路範囲と重なる位置に配置され、かつ、境界線R1、R2に挟まれた画像光の光路範囲(即ち、光源部1からスクリーン2までの光路範囲とスクリーン2から反射ミラー3までの光路範囲)に重ならない位置に設置される。このように、図1に示すヘッドアップディスプレイは、偏光板4に画像光が1回のみ通過する構成となっている。
【0020】
コンバイナ(光学素子)5は、スクリーン2で生成された中間像を構成する光が投影されると共に、その投影光を観察者の目の位置へ一部反射することで虚像を観察者に視認させる。好適には、コンバイナ5の画像光の反射面は、略凹面形状を有する。これにより、コンバイナ5は、虚像を拡大表示させる。
【0021】
[偏光板の傾き]
次に、偏光板4の傾きについて説明する。第1実施例では、偏光板4は、少なくとも画像光の光軸と一致して入射する太陽光を、コンバイナ5の外に向けて反射するように傾けられている。これについて、図2を参照して具体的に説明する。図2は、コンバイナ5から入射した太陽光の光路を示した図である。図2において、「B1」〜「B4」は、画像光の光軸(矢印A2参照)と一致してコンバイナ5から偏光板4へ入射した太陽光線を示す。
【0022】
太陽光線B1は、水平方向に偏光された光(「水平偏光」とも呼ぶ。)と垂直偏光との両方を含んだ状態でコンバイナ5に入射し、それらの少なくとも一部がコンバイナ5を透過して偏光板4に入射する。そして、この場合、偏光板4に入射する太陽光線B1のうちS偏光(即ち水平偏光)成分は、太陽光線B2として偏光板4により反射され、コンバイナ5に入射することなくコンバイナ5の外へ向かう。このように、偏光板4は、太陽光線B2をコンバイナ5に当たらない方向へ反射する。言い換えると、偏光板4は、画像光の光軸と一致して入射した太陽光をコンバイナ5の外に向けて反射する方向に傾けられている。これにより、偏光板4は、偏光板4で反射された太陽光がコンバイナ5に反射されるのを抑制し、ヘッドアップディスプレイの光学系内での太陽光の多重反射に基づく虚像の視認性低下を好適に低減させることができる。
【0023】
一方、太陽光線B1のうち垂直偏光成分は、太陽光線B3として偏光板4を透過して反射ミラー3に入射する。そして、反射ミラー3に入射した太陽光線B3は、反射ミラー3で反射されて太陽光線B4としてスクリーン2へ到達する。なお、後述する変形例2及び第2実施例等では、このような太陽光線B3、B4の発生を好適に抑制する構成を有する。
【0024】
ここで、画像光を垂直偏光とすることの効果について補足説明する。図1に示すように、観察者の目に到達する画像光線A3は、垂直方向に偏光されている。また、偏光サングラスは一般的に水平方向の偏光成分(即ちS偏光)をカットするという性質を有する。以上のことから、第1実施例の構成では、観察者が偏光サングラスを着用していた場合であっても、画像光は、偏光サングラスを透過して好適に観察者の目に到達する。よって、観察者は、偏光サングラスを着用した場合であっても、好適に虚像を視認することができる。
【0025】
以上説明したように、第1実施例に係るヘッドアップディスプレイは、垂直方向に偏光された垂直偏光成分の画像光を射出する光源部1と、光源部1からの画像光が入射して中間像を形成するスクリーン2と、中間像を構成する画像光を反射して虚像として視認させる反射面を有するコンバイナ5と、スクリーン2とコンバイナ5との間に配置され、垂直偏光成分を選択的に透過する偏光板4とを備える。そして、偏光板4は、スクリーン2に入射する画像光の光路範囲外に配置され、且つ中間像を構成する画像光の光軸に一致して入射する外光をコンバイナ5の反射面外に向けて反射する方向に傾けられている。これにより、ヘッドアップディスプレイは、画像光を観察者の目に好適に到達させつつ、太陽光による虚像の視認性低下を好適に低減させることができる。
【0026】
[変形例]
次に、第1実施例に好適な変形例について説明する。これらの変形例は、任意に組み合わせて上述の第1実施例に適用してもよい。
【0027】
(変形例1)
偏光板4が偏光素子と基材との重ね合わせにより構成される場合には、偏光板4は、P偏光として入射する画像光の透過率が高くなるように傾けられるとよい。
【0028】
図3(A)は、本変形例に係る偏光板4の断面図を示す。図3(A)の例では、偏光板4は、P偏光を選択的に透過する偏光素子41と、ガラス基材42との二層構造を有する。このような構成では、偏光素子41においてP偏光の画像光を透過した場合であっても、偏光素子41を透過したP偏光の画像光をガラス機材42が反射してしまうと虚像の視認性が低下することになる。また、一般に、入射角度によってP偏光に対するガラス基材42の透過率は異なる。よって、好適には、偏光板4は、P偏光に対するガラス基材42の透過率が高い角度で画像光が入射するように設置される。
【0029】
図3(B)は、S偏光及びP偏光のそれぞれに対する入射角度に応じたガラスの反射率を示す。図3(B)に示すように、ガラスへの入射角度によってP偏光の反射率が異なり、40度から70度付近においてP偏光の反射率が低く(即ちP偏光の透過率が高く)なっている。
【0030】
以上を勘案し、本変形例では、偏光板4は、画像光の光軸と一致する太陽光をコンバイナ5の外へ反射するような角度範囲のうち、P偏光の透過率が高くなる入射角度(例えば40度から70度)により画像光が入射する角度となるように、傾きが調整される。これにより、太陽光の偏光板4からの反射光がコンバイナ5に照射されるのを好適に防ぎつつ、偏光板4での画像光の反射率を低減して十分な光量の画像光を観察者の目に到達させることができる。
【0031】
(変形例2)
ヘッドアップディスプレイは、偏光板4を透過する太陽光のP偏光成分をカットする構成をさらに有しても良い。
【0032】
図4は、変形例2に係るヘッドアップディスプレイの構成例である。図4の例では、太陽光が入射するコンバイナ5の面に、太陽光のP偏光成分(即ち垂直偏光成分)をカットする偏光フィルタ(反射膜)51が設けられている。この場合、画像光の光軸と一致する太陽光線B11は、偏光フィルタ51で反射する垂直偏光成分の太陽光線B12と、偏光フィルタ51及びコンバイナ5を透過する水平偏光成分の太陽光線B13とに分かれる。その後、水平偏光成分の太陽光線B13は、S偏光として偏光板4に入射し、偏光板4により反射される(太陽光線B14参照)。この場合、太陽光線B14は、コンバイナ5から外れた方向に射出される。
【0033】
従って、図4の構成によれば、偏光フィルタ51により太陽光の垂直偏光成分がカットされ、偏光板4により太陽光の水平偏光成分がカットされ、太陽光が偏光板4を透過してスクリーン2に入射するのを好適に抑制することができる。
【0034】
(変形例3)
ヘッドアップディスプレイは、偏光板4が反射した太陽光を吸収する光吸収体(ライトトラップ)をさらに備えても良い。
【0035】
図5は、変形例3に係るヘッドアップディスプレイの構成例である。図5の例では、ヘッドアップディスプレイは、変形例2で説明した偏光フィルタ51に加えて、偏光板4が太陽光を反射する方向に光吸収体(吸収部)6が設けられている。光吸収体6は、可視光の反射率が低くなるように構成された黒色の部材であって、たとえばダッシュボードであってもよい。この場合、偏光フィルタ51及びコンバイナ5を透過する水平偏光成分(即ちS偏光成分)の太陽光線B21は、偏光板4に入射し、太陽光線B22として偏光板4により反射される。この場合、太陽光線B22は、光吸収体6に入射して吸収される。従って、図5の構成によれば、偏光板4の反射光によるヘッドアップディスプレイの光学系内での多重反射を防ぎ、虚像の視認性悪化を好適に抑制することができる。
【0036】
なお、図5の例では、偏光板4は、下方に向けられていたが、これに代えて、図1図3図4等に示す他の構成例と同様に上方に向けられていてもよい。この場合、例えば、車両の天井などに光吸収体6が設けられる。
【0037】
(変形例4)
ヘッドアップディスプレイは、反射ミラー3を有しなくとも良い。
【0038】
図6は、変形例4に係るヘッドアップディスプレイの構成例である。図6の例では、光源部1とスクリーン2と偏光板4とコンバイナ5とが同一方向に並んで設けられており、光源部1から射出された画像光の光軸を示す光線A31は、スクリーン2及び偏光板4を透過してコンバイナ5に入射し、光線A32としてコンバイナ5により反射されて観察者の目に到達する。また、画像光の光軸と一致する方向からコンバイナ5に入射した太陽光線B31は、コンバイナ5を透過し、水平偏光成分(即ちS偏光成分)については太陽光線B32としてコンバイナ5から外れた方向に反射され、垂直偏光成分については太陽光線B33として偏光板4を透過する。
【0039】
このように、図6の構成においても、実施例と同様に、画像光を観察者の目に好適に到達させつつ、太陽光による虚像の視認性低下を好適に低減させることができる。
【0040】
(変形例5)
スクリーン2は、透過型のスクリーンであったが、これに代えて、反射型のスクリーンであってもよい。
【0041】
図7は、変形例5に係るヘッドアップディスプレイの構成例である。図7の例では、ヘッドアップディスプレイは、反射型のスクリーン2Aを有する。スクリーン2Aは、中間像を生成する反射型の光学部材であり、射出瞳拡大器(EPE)として機能する。スクリーン2Aは、例えば、光源部1からの画像光が入射される面には複数のマイクロレンズが配列されたマイクロレンズアレイが形成され、かつ、マイクロレンズアレイと反対側の面に反射面が形成される。この構成では、光源部1から射出された画像光は、スクリーン2Aによりコンバイナ5に向けて反射される。そして、偏光板4は、スクリーン2Aとコンバイナ5との間に設けられ、実施例と同様に傾きが調整される。
【0042】
この構成によっても、第1実施例の構成と同様に、太陽光の偏光板4からの反射光がコンバイナ5に照射されるのを好適に防ぎつつ、偏光板4での画像光の反射率を低減して十分な光量の画像光を観察者の目に到達させることができる。
【0043】
(変形例6)
ヘッドアップディスプレイは、車両のフロントガラスの一部を、コンバイナ5と同様に画像光の一部を反射して観察者の目に到達させる光学素子として機能させてもよい。この場合、画像光が照射されるフロントガラスの照射領域は、本発明における「反射面」の一例である。
【0044】
<第2実施例>
図8は、第2実施例に係るヘッドアップディスプレイの構成例である。図8に示すヘッドアップディスプレイは、画像光を反射するコンバイナ5の面に垂直偏光反射膜52が設けられている点で、第1実施例に係るヘッドアップディスプレイと異なる。
【0045】
垂直偏光反射膜52は、P偏光を反射し、S偏光を透過するように構成された反射膜である。図8の例では、P偏光として入射した太陽光の垂直偏光成分を反射すると共に、偏光板4からの反射光である水平偏光成分の太陽光を透過する。また、垂直偏光反射膜52は、偏光板4を透過した画像光を反射して観察者の目に到達させる。
【0046】
また、第2実施例では、偏光板4は、第1実施例と異なり、太陽光の反射方向を考慮した傾きの調整がなされておらず、図8の例では、偏光板4は、画像光の光軸と重なる太陽光をコンバイナ5へ向けて反射するように配置されている。この場合、好適には、偏光板4は、第1実施例の(変形例1)で説明したように、画像光の入射角度がP偏光に対する偏光板4の透過率が高くなる角度となるように、傾きが調整されるとよい。
【0047】
ここで、図8の例における画像光の光路について説明する。まず、光源部1から射出された画像光の光軸を示す光線A51は、スクリーン2を透過して反射ミラー3に入射して光線A52として反射される。そして、光線A52は、P偏光として偏光板4に入射するため、偏光板4を透過して垂直偏光反射膜52に入射する。この場合、偏光板4を透過して垂直偏光反射膜52に入射した光線A52は、垂直偏光であるため、垂直偏光反射膜52により光線A53として反射されて観察者の目に到達する。
【0048】
次に、画像光の光軸と一致する太陽光の光路について説明する。画像光の光軸と一致する太陽光線B51は、コンバイナ5を透過した後、垂直偏光成分については太陽光線B52として垂直偏光反射膜52により反射され、水平偏光成分については太陽光線B53として垂直偏光反射膜52を透過する。垂直偏光反射膜52を透過した水平偏光成分の太陽光線B53は、偏光板4に入射し、偏光板4により太陽光線B54として反射される。ここで、太陽光線B54は、S偏光として垂直偏光反射膜52に入射するため、垂直偏光反射膜52を透過する。このように、第2実施例では、太陽光が垂直偏光反射膜52又は偏光板4のいずれかにおいて反射し、ヘッドアップディスプレイの光学系外へ導かれるため、太陽光に起因した虚像の視認性悪化を好適に抑制することができる。
【0049】
以上説明したように、第2実施例に係るヘッドアップディスプレイは、垂直方向に偏光された垂直偏光成分の画像光を射出する光源部1と、光源部1からの画像光が入射して中間像を形成するスクリーン2と、中間像を構成する画像光を反射して虚像として視認させる反射面を有するコンバイナ5と、スクリーン2とコンバイナ5との間に配置され、垂直偏光成分を選択的に透過する偏光板4とを備える。コンバイナ5は、垂直偏光成分の画像光を選択的に反射する垂直偏光反射膜52を有する。これにより、ヘッドアップディスプレイは、画像光を観察者の目に好適に到達させつつ、太陽光による虚像の視認性低下を好適に低減させることができる。
【0050】
なお、第1実施例の各(変形例1)〜(変形例6)は、それぞれ第2実施例にも第1実施例と同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 光源部
2、2A スクリーン
3 反射ミラー
4 偏光板
5 コンバイナ
6 光吸収体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8