特許第6822066号(P6822066)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6822066
(24)【登録日】2021年1月12日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】金属異物検出装置
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/3296 20160101AFI20210114BHJP
   F16J 15/00 20060101ALI20210114BHJP
   G01V 3/10 20060101ALI20210114BHJP
   G01V 3/08 20060101ALI20210114BHJP
   G01V 11/00 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   F16J15/3296
   F16J15/00 E
   G01V3/10 E
   G01V3/08 D
   G01V11/00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-212939(P2016-212939)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2018-71681(P2018-71681A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(74)【代理人】
【識別番号】100119356
【弁理士】
【氏名又は名称】柱山 啓之
(72)【発明者】
【氏名】石原 信吾
(72)【発明者】
【氏名】岩下 奨
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−217817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/3296
F16J 15/00
G01V 3/08−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルシールに挿入される回転軸と、
前記回転軸の外周部に設けられ、前記オイルシールの内周面に付着した金属異物を検出するための近接センサと、を備え
前記近接センサは、鉄金属異物を検出する第1近接センサと、非鉄金属異物を検出する第2近接センサと、を含む
ことを特徴とする金属異物検出装置。
【請求項2】
前記第1近接センサ及び前記第2近接センサは、交互に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の金属異物検出装置。
【請求項3】
オイルシールに挿入される回転軸と、
前記回転軸の外周部に設けられ、前記オイルシールの内周面に付着した金属異物を検出するための近接センサと、
前記回転軸を回転させる回転装置と、を備えた
ことを特徴とする金属異物検出装置。
【請求項4】
オイルシールに挿入される回転軸と、
前記回転軸の外周部に設けられ、前記オイルシールの内周面に付着した金属異物を検出するための近接センサと、
前記回転軸を軸方向に移動させる軸方向移動装置と、を備えた
ことを特徴とする金属異物検出装置。
【請求項5】
前記近接センサは、前記回転軸の周方向に複数配置される
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属異物検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属異物検出装置に係り、特に、オイルシールの内周面に付着した金属を検出する金属異物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両用変速機においては、ハウジングに形成された挿通孔に予めオイルシールが取り付けられ、そのオイルシールにインプットシャフト等のシャフトが挿通される。これにより、シャフト挿通部におけるオイルの漏れが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−070728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、オイルシールの内周面に金属異物が付着した状態でシャフトが挿通されると、オイルシールの内周面とシャフトの外周面との間に金属異物が入り込んで、オイルシールに隙間が生じる場合がある。その結果、この隙間からオイルが漏れる虞がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、オイルシールの内周面に付着した金属異物を検出することができる金属異物検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、オイルシールに挿入される回転軸と、前記回転軸の外周部に設けられ、前記オイルシールの内周面に付着した金属異物を検出するための近接センサと、を備えたことを特徴とする金属異物検出装置である。
【0007】
また、前記近接センサは、前記回転軸の周方向に複数配置される。
【0008】
また、前記近接センサは、鉄金属異物を検出する第1近接センサと、非鉄金属異物を検出する第2近接センサと、を含む。
【0009】
また、前記第1近接センサ及び前記第2近接センサは、交互に配置される。
【0010】
また、前記金属異物検出装置は、前記回転軸を回転させる回転装置を更に備える。
【0011】
また、前記金属異物検出装置は、前記回転軸を軸方向に移動させる軸方向移動装置を更に備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る金属異物検出装置によれば、オイルシールの内周面に付着した金属異物を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る金属異物検出装置の適用例を示す概略斜視図である。
図2図1のA部縦断面図である。
図3図1に示す近接センサの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態に係る金属異物検出装置を説明する。なお、後述する実施形態において、図中に示す各方向は、説明の便宜上定められたものに過ぎないものとする。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る金属異物検出装置100の適用例を示す概略斜視図であり、図2は、図1の破線Aで示す部分の縦断面図である。
【0016】
図1に示すように、金属異物検出装置100は、オイルシール1に挿入される回転軸2と、回転軸2の外周部に設けられ、オイルシール1の内周面に付着した金属異物(不図示)を検出するための近接センサ3と、を備える。また、金属異物検出装置100は、回転軸2を回転させる回転装置4と、回転軸2を軸方向に移動させる軸方向移動装置5と、を備える。符号Hは、車両用変速機のクラッチ(不図示)を収容するためのクラッチハウジングを示す。但し、図1では、金属異物検出装置100の形状を理解できるように、オイルシール1及びクラッチハウジングHの図示奥側半分のみを表すものとする。
【0017】
クラッチハウジングHは、鋳鉄やアルミニウム合金等の金属材料からなり、ボウル状に形成される。本実施形態のクラッチハウジングHは、開口部h1が鉛直下方に向くように配置される。また、図示しないが、クラッチハウジングHは、例えば、ホイールコンベヤ等の搬送装置に載置されているものとする。
【0018】
クラッチハウジングHの上端縁部には、車両用変速機のギアハウジング(不図示)を取り付けるための取付部h2が形成される。また、クラッチハウジングHの上端中心部の位置には、鉛直方向に貫通して挿通孔h3が形成される。挿通孔h3は、本来的には、変速機のインプットシャフト(不図示)を回転可能に挿通させるための挿通孔である。
【0019】
オイルシール1は、挿通孔h3に取り付けられる。即ち、本実施形態のオイルシール1は、インプットシャフトと挿通孔h3との間のオイル漏れを防止するためのシール部材である。但し、オイルシール1は、これ以外のシャフトとその挿通孔との間のオイル漏れを防止するものであっても良い。
【0020】
図2に示すように、オイルシール1は、環状に形成され、挿通孔h3の途中に形成された段部sに嵌合されて固定される。具体的には、オイルシール1は、断面コ字状に形成され、内周面にリップ部10aを有するゴム製のシール本体10と、シール本体10に被着された金属製の補強環11と、を有する。リップ部10aの内周面部には、楔状のリップ先端部10bが形成される。なお、符号12は、リップ先端部10bをインプットシャフトの外周面に押し付けるための環状のコイルバネを示す。
【0021】
回転軸2は、円柱状または円筒状の部材からなり、鉛直方向に配置される。具体的には、回転軸2は、後述する回転装置4及び軸方向移動装置5(図1を参照)に接続されており、これら各装置4,5から鉛直上方に向かって延びるように配置される。
【0022】
また、詳細は後述するが、回転軸2の外周部には、近接センサ3が周方向に複数配置される。回転軸2及び各近接センサ3は、各近接センサ3の外周面とオイルシール1のリップ先端部10bとの間に一定距離(例えば、1mm〜2mm)の隙間が形成されるように設けられる。
【0023】
図3は、図1に示した近接センサ3の部分の拡大図である。図3に示すように、近接センサ3は、回転軸2の周方向に複数配置される。具体的には、近接センサ3は、鉄金属異物(不図示)を検出する第1近接センサ3aと、非鉄金属異物(不図示)を検出する第2近接センサ3bと、を含み、回転軸2の外周部に交互に配置される。
【0024】
本実施形態において、鉄金属異物は鋳鉄からなり、非鉄金属異物はアルミニウム合金からなる。但し、鉄金属異物は、鋳鉄以外の鉄金属異物であっても良く、非鉄金属異物は、アルミニウム合金以外の非鉄金属異物であっても良い。
【0025】
また、金属異物は、主に、変速機の構成部品の機械加工工程で生じた微細な金属片、例えば、線状の削り屑である。但し、金属異物は、これ以外のものであっても良いものとする。
【0026】
本実施形態では、第1近接センサ3a及び第2近接センサ3bは、それぞれ9個ずつ設けられる。また、これら各近接センサ3a及び3bは、回転軸2の上端外周面に周方向等間隔で交互に配置される。但し、これら各近接センサ3a及び3bの配置及び個数は、任意とする。
【0027】
上記の各近接センサ3a及び3bは、誘導型の角型センサからなる。より詳しくは、近接センサ3a及び3bは、回転軸2の上端外周面に接続されたケース30と、ケース30内に収容された検出部(不図示)及び回路基板(不図示)と、回路基板に接続されたコード31と、を有する。
【0028】
ケース30は、金属材料または樹脂材料からなる直方体形状のケースであり、鉛直方向に延びて配置される。また、図示しないが、ケース30は、回転軸2の外周面にネジ止めされて固定される。但し、ケース30は、直方体形状に限られず、例えば円筒形状であっても良い。また、ケース30は、ネジ止めではなく、溶接等の方法で回転軸2に固定されても良い。
【0029】
検出部は、ケース30内の上端部に配置された電磁コイルを有する。回路基板は、発信回路等を構成する電子部品を搭載して成り、電磁コイルに電気的に接続される。コード31は、各ケース30の下端位置から下方に延びると共に、一つに結束され、電子制御装置としてのコントローラ(不図示)に接続される。
【0030】
図1に示すように、回転装置4は、回転軸2を回転させる手段として、第1ロータリーエアシリンダ(不図示)を有する。第1ロータリーエアシリンダは、図示しないが、例えば、一対のエアシリンダ即ち正転用エアシリンダ及び逆転用エアシリンダと、これらエアシリンダ及び圧縮エア供給源(例えば、コンプレッサ)の間に設けられた第1電磁弁と、を備える。第1電磁弁は、コントローラに電気的に接続され、コントローラにより自動制御される。コントローラにより第1電磁弁が正転位置に切り替えられると、正転用エアシリンダに圧縮エアが供給され、逆転用エアシリンダから圧縮エアが排出され、回転軸2は矢印B1で示す正転方向(時計回り)に所定角度(本実施形態では90°)回転させられる。逆に、コントローラにより第1電磁弁が逆転位置に切り替えられると、逆転用エアシリンダに圧縮エアが供給され、正転用エアシリンダから圧縮エアが排出され、回転軸2は矢印B2で示す逆転方向(反時計回り)に所定角度(本実施形態では90°)回転させられる。コントローラにより第1電磁弁が停止位置に切り替えられると、正転用エアシリンダ及び逆転用エアシリンダのいずれにも圧縮エアが供給されず、回転軸2は駆動停止状態となる。なお、回転軸2の回転角度は任意であり、90°以外の角度であってもよい。
【0031】
一方、軸方向移動装置5は、回転軸2を軸方向に移動させる手段として、第2ロータリーエアシリンダ(不図示)を有する。第2ロータリーエアシリンダは、図示しないが、例えば、一対のエアシリンダ即ち上昇用エアシリンダ及び下降用エアシリンダと、これらエアシリンダ及び圧縮エア供給源(例えば、コンプレッサ)の間に設けられた第2電磁弁と、を備える。第2電磁弁は、コントローラに電気的に接続され、コントローラにより自動制御される。コントローラにより第2電磁弁が上昇位置に切り替えられると、上昇用エアシリンダに圧縮エアが供給され、下降用エアシリンダから圧縮エアが排出され、回転軸2が最上端位置まで上昇させられる。逆に、コントローラにより第2電磁弁が下降位置に切り替えられると、下降用エアシリンダに圧縮エアが供給され、上昇用エアシリンダから圧縮エアが排出され、回転軸2が最下端位置まで下降させられる。コントローラにより第2電磁弁が停止位置に切り替えられると、上昇用エアシリンダ及び下降用エアシリンダのいずれにも圧縮エアが供給されず、回転軸2は駆動停止状態となる。
【0032】
軸方向移動装置5においては、回転軸2が最上端に位置するとき、近接センサ3の検出部がオイルシール1と同じ高さ位置となるように配置される。また、図示しないが、回転軸2が最下端に位置するとき、回転軸2の上端部が挿通孔h3から抜け出て、その直下に配置される。
【0033】
なお、回転装置4及び軸方向移動装置5は、回転軸2を回転及び昇降させる手段として、ロータリーエアシリンダではなく、他の手段、例えば、サーボモータを用いても良い。サーボモータは、コントローラに電気的に接続され、コントローラにより自動制御される。
【0034】
次に、本実施形態に係る金属異物検出装置100の作用効果について説明する。先ず、金属異物検出装置100により金属異物を検出する手順について説明する。なお、オイルシール1は、クラッチハウジングHの挿通孔h3に既に取り付けられているものとする。また、第1近接センサ3a及び第2近接センサ3bの検出部においては、回路基板から電磁コイルに電流が流れて、磁界が生じているものとする。
【0035】
先ず、クラッチハウジングHは、搬送装置(不図示)に載置された状態で搬送され、オイルシール1と回転軸2とが同軸となる位置で停止される。
【0036】
次に、コントローラは、軸方向移動装置5の第2電磁弁を上昇位置に切り替える制御を実行することで、回転軸2を上昇させる。これにより、回転軸2は、挿通孔h3にその下端から挿入され、近接センサ3の検出部がオイルシール1と同じ高さ位置となったとき停止する。
【0037】
この状態において、コントローラは、回転装置4の第1電磁弁を正転位置に切り替える制御を実行することで、回転軸2を矢印B1で示す正転方向に90°回転させる。続いて、コントローラは、回転装置4の第1電磁弁を逆転位置に切り替える制御を実行することで、回転軸2を矢印B2で示す逆転方向に90°回転させて、元の位置に戻す。なお、この往復回転動作は、繰り返し行われても良い。
【0038】
この往復回転動作中、オイルシール1のリップ部10a表面に、鉄金属または非鉄金属異物が付着していなければ、第1近接センサ3a及び第2近接センサ3bは、これらの金属異物を検出しない。
【0039】
一方、例えば、リップ部10a表面に鉄金属異物が付着していれば、その付着した部分に対向する位置の第1近接センサ3aが、鉄金属異物を検出できる。また、リップ部10a表面に非鉄金属異物が付着していれば、その付着した部分に対向する位置の第2近接センサ3bが、非鉄金属異物を検出できる。検出の結果は、例えば、コントローラがディスプレイに表示する等して、現場の作業者に伝えられる。
【0040】
そして、この検出が完了すると、コントローラは、軸方向移動装置5の第2電磁弁を下降位置に切り替える制御を実行することで、回転軸2を下降させて元の位置に戻す。
【0041】
ここで、比較例として、仮に、金属異物検出装置100を使用しないで、インプットシャフトをオイルシール1に挿通させて取り付けた場合を検討する。ここでは、例えば、リップ部10aにおけるリップ先端部10bに、鋳鉄からなる線状の鉄金属異物、または、アルミニウム合金からなる線状の非鉄金属異物が付着していた場合を想定する。
【0042】
この場合、オイルシール1にインプットシャフトが鉛直下方に挿入される際に、上記の金属異物がリップ先端部10bとインプットシャフトとの間に挟まれて残ってしまい、インプットシャフトとリップ先端部10bとの間に隙間が生じる可能性がある。この隙間は、金属異物が微小な大きさのもの(例えば、直径0.2mm程度の線状異物)であっても生じ得る。
【0043】
しかしながら、このような金属異物の付着を目視で確認することは、非常に困難である。そのため、この付着した状態でインプットシャフトがオイルシール1に挿入されてしまい、その後、クラッチハウジングHにギアハウジングが取り付けられ、ギアハウジング内にオイルが充填されると、この隙間を通じてギアハウジング内のオイルが漏れ出す虞がある。
【0044】
本実施形態に係る金属異物検出装置100であれば、第1近接センサ3aまたは第2近接センサ3bにより、リップ部10aに付着した金属異物を容易かつ確実に検出することが可能である。そして、リップ部10aから、検出した金属異物を除去することで、上記のようなオイル漏れを防止することができる。
【0045】
特に、本実施形態では、第1近接センサ3a及び第2近接センサ3bの2種類の近接センサ3を設けたことで、上記2種類のいずれの金属異物も検出することができる。
【0046】
また、本実施形態では、第1近接センサ3a及び第2近接センサ3bが、回転軸2の外周部にそれぞれ複数配置される。そのため、例えば、1つの第1近接センサ3aで鉄金属異物を検出できなかったとしても、他の第1近接センサ3aでその鉄金属異物を検出できる可能性がある。従って、仮に、第1近接センサ3a及び第2近接センサ3bをそれぞれ一つずつ配置した場合よりも、金属異物の検出精度を向上させることができる。
【0047】
また特に、本実施形態では、複数(例えば、9個)の第1近接センサ3aと、複数(例えば、9個)の第2近接センサ3bとが、回転軸2の周方向等間隔で交互に配置される。この構成によれば、例えば回転軸を90°回転させることで、2〜3個の異なる第1近接センサ3aと、2〜3個の異なる第2近接センサ3bとが、リップ部10aの同じ位置を通過するようになる。そのため、例えば、回転軸2を1/4回転させるだけで、精度良く上記2種類の金属異物を検出することが可能となる。また、回転軸2の回転角度を減少できるので、回転装置4を小型化することが可能となる。もっとも、第1近接センサ3aと第2近接センサ3bは、回転角度中に少なくとも1つずつ存在するように設置すれば良い。
【0048】
更に、本実施形態では、軸方向移動装置5により、近接センサ3をオイルシール1の高さ位置に移動させ、また、回転装置4により、回転軸2を回転させることができる。そのため、これらの動作を自動化できるため、作業者の負担を軽減させることができる。
【0049】
特に、回転装置4によれば、回転軸2を一定の速度でゆっくりと回転させることが可能となるため、手動で回転軸2を回転させるよりも検出精度を向上させることができる。
【0050】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0051】
例えば、図示しないが、上述の実施形態は、以下のように変形することができる。なお、下記の説明において、上述の基本実施形態と同一の構成要素については詳細な説明は省略する。
【0052】
(第1変形例)
図示しないが、近接センサ3は、第1近接センサ3aまたは第2近接センサ3bのいずれか一方のみであっても良い。また、近接センサ3は、鋳鉄以外の鉄金属異物を検出する近接センサ(例えば、第3近接センサ)や、アルミニウム合金以外の非鉄金属異物を検出する近接センサ(例えば、第4近接センサ)を含んでいても良い。更に、各近接センサ3は、コイルを有する誘導型センサに限られず、金属異物の種類に応じて、静電容量型センサまたは磁気センサであっても良い。
【0053】
このように、第1変形例においては、オイルシール1の用途や付着する金属異物の種類に応じて、近接センサ3の種類を削除、追加、変更することが可能である。
【0054】
(第2変形例)
上記の実施形態では、近接センサ3のコード31は、各ケース30の下端位置から下方に延びると共に、一つに結束されてコントローラに接続される。図示しないが、第2変形例では、各コード31は、例えば回転軸2の内部を通るように構成されていても良い。具体的には、各コード31は、円筒状に形成された回転軸2の内部に挿入され、回転軸2内部を通って、コントローラに接続されても良い。これにより、コード31の露出を抑制することができるため、作業の効率や安全性を向上させることができる。
【0055】
(第3変形例)
図示しないが、回転軸2は、鉛直方向ではなく、オイルシール1の向きに合わせて、任意の方向に配置されても良い。例えば、金属異物検出装置100により金属異物を検出するとき、オイルシール1が水平方向に向いている場合には、回転軸2も水平方向に配置される。
【0056】
また、この第3変形例では、回転軸2の方向に合わせて、軸方向移動装置5の移動方向が変更される。
【0057】
(第4変形例)
金属異物検出装置100は、回転装置4及び軸方向移動装置5の少なくとも一方を備えていなくても良い。即ち、作業者が回転軸2を把持して、回転軸2をオイルシール1に挿通させることも可能である。また、作業者が回転軸2を把持して、回転軸2を回転させることも可能である。このように、回転装置4及び軸方向移動装置5の少なくとも一方を省略することで、製造コストを削減することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 オイルシール
2 回転軸
3 近接センサ
4 回転装置
5 軸方向移動装置
100 金属異物検出装置
図1
図2
図3