(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガラス母材上部の支持棒に軸方向と直交する方向にピン挿入孔が設けられており、前記ピン挿入孔に支持ピンが挿通されると共に前記支持ピンの両端部が支持部に支持されることにより、前記ガラス母材を吊り下げて支持するガラス母材の支持構造であって、
前記支持ピンは、複数本の線材同士が断面視が円形状に束ねられて構成されている、ガラス母材の支持構造。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本発明の実施形態の説明)
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明の一態様に係るガラス母材の支持構造は、
(1)ガラス母材上部の支持棒に軸方向と直交する方向にピン挿入孔が設けられており、前記ピン挿入孔に支持ピンが挿通されると共に前記支持ピンの両端部が支持部に支持されることにより、前記ガラス母材を吊り下げて支持するガラス母材の支持構造であって、
前記支持ピンは、複数本の線材が束ねられて構成されている。
この構成によれば、当該ガラス母材の支持構造は、支持ピンが複数本の線材が束ねられて構成されているので、支持ピンとピン挿入孔内壁とが当接する部分において、線材が移動して複数の線材がピン挿入孔内壁と当接して支持することになる。そのため、ピン挿入孔内壁と支持ピンとが当接する箇所の面積が大きくなり、ガラス母材の荷重が支持ピンに分散されて加わることにより応力が緩和され、支持棒のクラック発生や支持ピンの破断を抑制することができる。
【0011】
(2)前記支持ピンは、前記支持ピンの端部以外の部分において前記線材同士が変位可能に構成されていることが好ましい。
支持ピンの端部以外の部分において線材同士が変位可能に構成されているので、支持ピンとピン挿入孔内壁とが当接する部分で線材が移動しやすい。そのため、さらに応力が緩和される。
【0012】
(3)前記支持ピンは、前記線材同士が撚って束ねられていることが好ましい。
線材同士を撚って束ねることでさらに線材がばらばらになりにくくなり、支持ピンの強度を上げることができる。
【0013】
(4)前記支持ピンは、前記線材同士が平行に配列されていることが好ましい。
線材同士が平行に配列されているので、支持ピンの作製が容易である。
【0014】
(5)前記線材は、降伏点が80MPa以上の金属であることが好ましい。
降伏点が80MPa以上の金属を用いると、線材は柔軟な金属線となる。よって、支持ピンにおける線材がより移動しやすくなる。
【0015】
また、本発明の一態様に係るガラス母材の製造方法は、
(6)上記(1)から(5)のいずれか一に記載のガラス母材の支持構造を用いて、
前記ピン挿入孔へ前記支持ピンを挿入すると共に前記支持ピンの両端部を前記支持部で支持し、前記支持棒を鉛直軸回りに回転させながらガラス母材を製造する。
この方法によれば、支持棒を鉛直軸回りに回転させながらガラス母材を製造する製造時に、ガラス母材の荷重が支持ピンに分散されて加わることにより応力が緩和され、支持棒のクラック発生や支持ピンの破断を抑制することができる。
【0016】
(本発明の実施形態の詳細)
本発明の実施形態に係るガラス母材の支持構造およびガラス母材の製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。
なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0017】
先ず、ガラス母材の支持構造およびガラス母材の製造方法の一例として、VAD(Vapor Phase Axial Deposition)法により、ガラス微粒子を堆積させてガラス微粒子堆積体(ガラス母材)を作製する堆積工程について説明する。ガラス微粒子堆積体は、例えば
図1に示す、ガラス微粒子堆積装置100によって作製される。
【0018】
VAD法の堆積工程では、
図1に示すように、支持棒1の上端部を吊り下げ棒2の下端部に支持ピン10を介して連結し反応容器3内に吊り下げる。吊り下げ棒2を例えば矢印Bに示す鉛直の軸Dの回りに回転させつつ矢印Cに示す上下方向に移動させることで、支持棒1を同様に回転させつつ移動させる。そして、この支持棒1へ向けて、バーナ4により生成したガラス微粒子を吹き付けることで、ガラス微粒子堆積体(ガラス母材)Aを作製する。バーナ4は、ガラス原料ガスと可燃性ガスおよび助燃性ガスとから火炎加水分解反応によってガラス微粒子を生成する。
【0019】
このようにして作製されたガラス微粒子堆積体Aは、その後の工程で脱水処理や焼結処理が施されることにより透明化される。
【0020】
続いて、ガラス母材の支持構造およびガラス母材の製造方法の一例として、上記VAD法により作製されたガラス微粒子堆積体Aの表面を研磨する火炎研磨工程について説明する。ガラス微粒子堆積体Aの表面を研磨する処理は、例えば
図2に示す、火炎研磨装置200を使用して行われる。
【0021】
火炎研磨工程では、
図2に示すように、支持棒1に堆積されたガラス微粒子堆積体を透明化したガラス母材Aが、支持棒1の上端部を吊り下げ棒2の下端部に支持ピン10を介して連結することにより吊り下げられる。そして、吊り下げ棒2を矢印Eに示す上下方向へ移動させることにより、支持棒1のガラス母材Aを複数のバーナ21が円形状に配置されている固定板22内で上下に移動させる。また、吊り下げ棒2を例えば矢印Fに示す鉛直の軸Dの回りに回転させることにより、支持棒1のガラス母材Aを同様に回転させる。
【0022】
バーナ21は、ガラス母材Aの外周を向くように配置された例えば二重管構造の酸水素バーナである。バーナ21は、石英等で形成された固定板22に固定されている。酸素供給管23から供給されるO
2と、水素供給管24から供給されるH
2とが酸化反応して燃焼することで、バーナ21の先端から酸水素火炎25が噴出される。このように酸水素火炎25が噴出されて加熱されることで、ガラス母材Aの表面に付着した不純物が除去されるとともに、表面が研削される。
【0023】
なお、支持棒1へガラス微粒子を堆積させてガラス微粒子堆積体Aを作製する方式としては、VAD法に限らず、OVD(Outside Vapor Phase Deposition)法などの他の製法であってもよい。
【0024】
次に、支持棒1を吊り下げ棒2に支持させることで、ガラス微粒子堆積体Aを支持する支持構造について説明する。
【0025】
図3に示すように、支持棒1は、吊り下げ棒2に連結される連結部1aと、ガラス微粒子の堆積ターゲットになる種棒部1bとを備えている。連結部1aおよび種棒部1bは、石英ガラスで形成されており、円柱状の種棒部1bが連結部1aの下側に一体に設けられている。
【0026】
連結部1aには、軸D方向と直交する水平方向にピン挿入孔1cが形成されている。ピン挿入孔1cは、支持棒1を吊り下げ棒2に支持させるための孔であり、ピン挿入孔1cには支持ピン10が挿通される。ピン挿入孔1cの端部1dの内径は、欠け防止などを目的として面取りされるため、外部に向かってテーパ状に広がっている。なお、ピン挿入孔1cの端部1dは、面取りされていない形状であってもよい。
【0027】
図4に示すように、吊り下げ棒2の下端部には、吊り下げ棒2と一体に構成される連結部2aが設けられている。また、
図4,
図5に示すように、連結部2a内には、支持棒1の連結部1aが挿入される凹部2bが形成されている。連結部2aの側壁には、対向する位置に、支持ピン10が挿通される挿通孔2cが形成されている。連結部2aの外周部には、凹部2bに挿入された連結部1aを補助的に支持する押さえ板6が設けられている。
【0028】
支持棒1の連結部1aが、吊り下げ棒2の凹部2bに、吊り下げ棒2の挿通孔2cと支持棒1のピン挿入孔1cとの位置が揃うように挿入される。そして、吊り下げ棒2に一方の挿通孔2cから支持ピン10が挿通される。支持ピン10は、ピン挿入孔1cと他方の挿通孔2cにも挿通されて、その両端が両挿通孔2cからそれぞれ僅かに突出される。これにより、支持棒1は、支持ピン10の両端部10aがそれぞれ吊り下げ棒2の挿通孔2c(支持部の一例)に支持されて、吊り下げ棒2に吊り下げられる。また、押さえ板6をボルト7で締め付けることにより、支持棒1の連結部1aが、押さえ板6と凹部2bの内壁とで締め付けられて固定される。
【0029】
(支持ピン10の一例)
支持ピン10は、一例として
図6に示す支持ピン10Aのように、平行に配列されている複数の線材51同士を例えば断面視がほぼ円形状に束ねて構成されうる。
支持ピン10Aは、束ねられた線材51の両端部分11が、各線材51がバラバラにならないように例えば溶接などにより接着されている。また、両端部分11以外の中央部12は、各線材51が接着されていないため、線材51同士が変位可能に構成されている。すなわち、両端部分11以外の中央部12は、各線材51がばらけて移動可能に構成されている。
【0030】
支持ピン10Aは、例えば10〜300本の線材51によって構成されている。各線材51は、外径が例えば0.1〜0.3mmのものが用いられている。また、線材51には、例えば降伏点が80MPa以上の金属線が使用されている。なお、「降伏点」とは、金属線に加える荷重を徐々に増加させたときに金属線が塑性変形し始める際の応力のことをいう。
【0031】
(支持ピン10の他の一例)
支持ピン10は、他の一例として
図7に示す支持ピン10Bのように、線材51同士を撚って例えば断面視がほぼ円形状に束ねて構成されうる。
支持ピン10Bを構成する線材51の本数、線材51の外径、金属線の降伏点については、上記支持ピン10Aと同様である。また、束ねられた線材51の両端部分は、支持ピン10Aと同様に溶接などにより接着されていることが好ましい。
なお、線材51同士が撚られている場合であっても、両端部分以外の中央部では各線材51間は接着されていないため、各線材51は、上記支持ピン10Aにおける各線材51の変位幅に比べると小さいが、変位可能に構成されている。各線材51の変位幅を大きくするためには線材51同士は、ゆるく撚られている方が好ましい。
【0032】
(支持ピンの実施例と比較例)
次に、本実施形態のガラス母材の支持構造において、その実施例として、上記支持ピン10A,10Bを使用した場合と、比較例の支持ピンを使用した場合との差異について、
図8〜
図14および表1を参照しつつ説明する。
【0033】
(比較例の支持ピンを使用した場合)
本実施形態のガラス母材の支持構造において、比較例の支持ピンを使用した場合について説明する。比較例の支持ピン30は、
図8に示すような、外径が一定の一本からなる丸棒を使用した。また、支持ピン30の材質は、表1の例1に示すように、C/Cコンポジット(Carbon Fiber Reinforced Carbon Composite)を用いた。
【0034】
図9に、吊り下げ棒2の連結部2aにおいて、比較例の支持ピン30を吊り下げ棒2の挿通孔2cおよび支持棒1のピン挿入孔1cに通した縦断面を示す。鎖線円G1で示した部分では、ピン挿入孔1cの端部1dのテーパ状に広がった部分と比較例の支持ピン30との間に空隙ができ、鎖線円G2で示した部分では、ピン挿入孔1cと支持ピン30との間に空隙ができていることがわかる。
【0035】
図10は、支持棒1にガラス微粒子堆積体Aが堆積され、その重量によって支持構造部に荷重Mがかかった状態の縦断面を示す。
上記鎖線円G1,G2内のような空隙があるため、
図10に示すように、荷重Mがかかると、支持ピン30は端部側が上側に反るように曲がってしまう。このように曲がった支持ピン30は、鎖線円H1内に示される支持ピン30の上面でピン挿入孔1cの例えば角の部分と点接触あるいは線接触する。また、鎖線円H2内に示される支持ピン30の下面では、支持ピン30は、連結部2aの例えば角の部分と点接触あるいは線接触する。
【0036】
このため、例えば鎖線円H1内に示される支持ピン30の上面では、
図11に示すように、ピン挿入孔1cと支持ピン30との接触部分Jに応力が集中する。また、図示は省略するが、支持ピン30の下面では連結部2aと支持ピン30との接触部分に応力が集中する。
【0037】
このように、支持ピン30の上面の特定箇所に応力が集中した場合、
図12に示すように、その集中箇所を起点として、支持ピン30に破断31が生じ易くなるとともに、ピン挿入孔1cの内壁にクラック1eが生じ易くなる。また、支持ピン30の下面では支持ピン30が破断し易くなるとともに、連結部2aにクラックが生じ易くなる。
【0038】
この結果、表1の例1に示されるように、ガラス微粒子堆積装置100における支持ピン30の使用限度は、ガラス微粒子堆積体Aの製造本数50本が限度であった。
【0040】
(実施例の支持ピンを使用した場合)
本実施形態のガラス母材の支持構造において、実施例の支持ピンを使用した場合について説明する。実施例の支持ピンは、
図6に示すような、平行に配列された複数の線材51同士を束ねた支持ピン10Aを使用した。また、支持ピン10Aの材質は、表1の例3に示すように、純チタンで形成し、線材51の本数は30本とした。支持ピン10Aの外径は、例1の支持ピン30の外径と略同じ大きさとした。
【0041】
図13は、支持棒1にガラス微粒子堆積体Aが堆積され、その重量によって支持構造部に荷重Mがかかった状態の縦断面を示す。
支持ピン10Aの場合にも、ピン挿入孔1cと支持ピン10Aとの間などに空隙ができる(
図9参照)ため、
図13に示すように、荷重Mがかかると、支持ピン10Aは端部側が上側に反るように曲がる。
【0042】
しかし、支持ピン10Aでは各線材51が変位可能に構成されているため、各線材51が移動してばらけ、鎖線円H3内に示される支持ピン10Aの上面では、ピン挿入孔1cと支持ピン10Aとが面接触に近い状態で接触する。また、同様に、鎖線円H4内に示される支持ピン10Aの下面では、連結部2aと支持ピン10Aとが面接触に近い状態で接触する。
【0043】
具体的には、例えば鎖線円H3内に示される支持ピン10Aの上面では、
図14に示すように、各線材51が移動してばらけ、支持ピン10Aが破線Kで示す範囲内のk1,k2,k3・・・kn部分でピン挿入孔1cと接触する。また、図示は省略するが、支持ピン10Aの下面では支持ピン10Aが同様に複数部分で連結部2aと接触する。このため、支持ピン10A、ピン挿入孔1c、連結部2aに生じる応力は特定の箇所に集中せずに複数の接触部分に分散される。これにより、ピン挿入孔1cと支持ピン10Aおよび連結部2aと支持ピン10Aとは、それぞれ面接触に近い状態で接触することになる。
【0044】
この結果、表1の例3に示されるように、ピン挿入孔1cと支持ピン10Aとの接触面積は、上記例1におけるピン挿入孔1cの角の部分と支持ピン30との接触面積の10倍に上昇した。このため、支持ピン10A、ピン挿入孔1cに生じる応力は、例1の応力の1/10倍に減少した。また、複数の線材(純チタン)51を束ねたことで支持ピン10A単体の強度は、上記例1の支持ピン30の6倍に上昇した。これにより、支持ピン10Aは例1の支持ピン30に比べて破断しにくくなり、ガラス微粒子堆積装置100における支持ピン10Aの使用限度は、ガラス微粒子堆積体Aの製造本数100本以上になった。
【0045】
なお、
図7に示すような、複数の線材51同士を撚って束ねた支持ピン10Bを使用した場合にも例1の支持ピン30に比べて破断しにくくすることができた。
具体的には、表1の例4に示されるように、ピン挿入孔1cと支持ピン10Bとの接触面積は例1の接触面積の8倍に上昇し、支持ピン10B、ピン挿入孔1cに生じる応力は例1の応力の1/8倍に減少した。撚って束ねたことで支持ピン10B単体の強度は例1の8倍に上昇した。これにより、ガラス微粒子堆積装置100における支持ピン10Bの使用限度は、ガラス微粒子堆積体Aの製造本数100本以上になった。
【0046】
上記のようなガラス母材の支持構造によれば、支持ピン10は各線材51同士が変位可能に束ねて構成されているため、支持ピン10とピン挿入孔1c内壁とが接触する部分において各線材51が移動し、複数の線材51がピン挿入孔1c内壁と接触してガラス母材Aを支持する。このため、支持ピン10とピン挿入孔1c内壁とが接触する面積が大きくなり、ガラス母材Aの荷重が支持ピン10およびピン挿入孔1c内壁にそれぞれ分散されて加わることになる。これにより、支持ピン10およびピン挿入孔1cに生じる応力が緩和され、支持棒1のクラック発生や支持ピン10の破断を抑制することができる。
【0047】
また、線材51同士が平行に配列されている構成の支持ピン10Aでは、各線材51の変位可能な範囲が大きいため支持ピン10Aとピン挿入孔1c内壁との接触面積をより大きくすることができる。また、支持ピン10Aの作製が容易である。
【0048】
また、線材51同士が撚って束ねられている構成の支持ピン10Bでは、線材51がばらばらになりにくくなり、支持ピン10Bの強度を上げることができる。また、線材51同士は撚られている状態であって接着はされていないため、各々の線材51は変位可能であり、支持ピン10Aとピン挿入孔1c内壁との接触面積は大きくすることができる。
【0049】
また、線材51には降伏点が80MPa以上の金属が用いられているため、各線材51は柔軟な金属線となる。このため、支持ピン10における線材51が移動しやすくなり、支持ピン10とピン挿入孔1c内壁との接触面積を大きくすることができる。
【0050】
また、支持ピン10の外径は従来の支持ピンの外径と略同じ大きさに構成することができる。このため、支持棒1におけるピン挿入孔1cの形状を変更することなく、支持棒1のクラック発生や支持ピン10の破断を抑制することができる。したがって、従来の設備や部材の多くをそのまま使用することができるので、設備コストの上昇を抑えることができる。
【0051】
また、上記のようなガラス母材の製造方法によれば、上記のようなガラス母材の支持構造で支持棒1を支持することで、ガラス微粒子の堆積時等のガラス母材Aの製造時に、ガラス母材Aの荷重が支持ピン10に分散されて加わることにより応力が緩和される。これにより、支持棒1のクラック発生や支持ピン10の破断を抑制することができ、ガラス母材Aが落下してしまうことを防ぐことができる。また、支持ピン10が劣化しにくくなるので、繰り返し使用できる回数が多くなり、支持ピン10を頻繁に新品に交換する必要がなくなるので材料コストを抑制できる。
【0052】
(応用例)
前述の支持構造に用いられる支持ピン10(10A,10B)を適用した応用例として、ガラス母材の保管具の例を、
図15,
図16を参照しつつ説明する。
本応用例は、ガラス母材を保管する施設等で使用される保管具に、支持ピン10および支持棒1を用いた例である。なお、上記実施形態と共通する部分は、同じ符号を付けてその詳細な説明は省略する。
【0053】
図15,
図16に示すように、保管具40は、支持部41と、支持ピン10とを備えている。支持部41は、施設等の壁面42から略水平方向に突設された2本の棒で構成されている。さらに、この2本の棒にはそれぞれ凹部41aが設けられている。
【0054】
次に、保管具40に支持棒1およびガラス母材Aを吊り下げる方法について説明する。
前述の
図3で示した支持棒1のピン挿入孔1cに、前述の
図6,
図7で示した支持ピン10(10A,10B)を挿入する。続いて、ピン挿入孔1cから孔外に突出している支持ピン10の両端部をそれぞれ保管具40の支持部41(2本の棒)における凹部41aに載置する。これにより、
図15,
図16に示すように、支持部41で支持されるようにして、支持棒1と一体のガラス母材Aが吊り下げられて保管される。
【0055】
本応用例においても、前述の実施形態による効果と同様に、ガラス母材Aの荷重による支持棒1のクラック発生や支持ピン10の破断を抑制することができる。これにより、保管中における支持棒1およびガラス母材Aの落下を防止することができる。
【0056】
以上、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。