(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押し子及び前記作動部材において互いに当接している各々の部分は、前記押し子の近位側端面を識別できるようにすべく異なる色を有している、請求項1 に記載の留置針組立体。
前記作動部材の外表面は、前記押し子の近位側端面を識別できるようにすべく、前記押し子と当接する部分において表面処理加工が施されている、請求項1乃至3の何れか1つに記載の留置針組立体。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態の留置針組立体1について上述する図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、留置針組立体1を使用する使用者(即ち、施術者)に対して留置針組立体1の先端側を遠位側とし、留置針組立体1の基端側を近位側と称している。また、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。更に、以下に説明する留置針組立体1は、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0012】
[留置針組立体]
図1に示す第1実施形態の留置針組立体1は、主に人工透析等の血液浄化療法で用いられる。留置針組立体1は、予め定められる軸線L1に沿って延在するように構成されており、内針ユニット2と、外針ユニット3と、ルアーキャップ4と、プロテクタ5とを備えている。
【0013】
<内針ユニット>
内針ユニット2は、内針11と、内針ハブ12と、内針キャップ13とを有している。内針11は、例えば金属材料又は硬質の合成樹脂から成る大略円筒状の中空針であり、軸線L1に沿って真直ぐに延在している。内針11は、その遠位側端部に鋭利な針先11aを有しており、針先11aは、血管に穿刺できるように鋭利に形成されている。また、内針11の近位側端部には、内針ハブ12が設けられている。
【0014】
内針ハブ12は、大略円筒状に形成されており、その中間部分が近位側部分及び遠位側部分に比べて絞られている。また、中間部分の内孔には、内針11の遠位端側部分が嵌挿されて接着剤等によって固定され、内針ハブ12の近位端には、近位側開口が形成されている。内針ハブ12の近位側開口には、内針キャップ13が嵌め込まれている。また、内針ハブ12の遠位側部分は、残余の部分(即ち、中間部分及び近位側部分)に比べて大径に形成されており、内針ハブ12の遠位側部分内には、後で詳述するルアーキャップ4及びプロテクタ5の各々の近位側部分が収容されている。このように構成されている内針ユニット2の内針11は、外針ユニット3に挿通されている。
【0015】
<外針ユニット>
外針ユニット3は、外針15と、外針ハブ16と、封止部材17と、押し子18と、外針キャップ19とを有している。外針15は、可撓性を有する軟質の合成樹脂、例えばエチレン−テトラフルオロエチレン共重合、ポリウレタン、ポリエーテルナイロン、又はポリプロピレン等から成る大略円筒状の細管であり、外針ユニット3の最も遠位側に配置されている。より詳細に説明すると、外針15は、テーパ状に形成されており、遠位端に向かって縮径している。また、外針15の遠位端付近には、その外周面に複数の孔(図示せず)が形成されており、血液及び透析液等の輸液を効率よく流すことができるようになっている。このような形状を有する外針15の近位端部は、外針ハブ16の遠位側開口に挿通されて固定されている。
【0016】
外針ハブ16は、合成樹脂から成る大略円筒状の部材であり、無色で且つ透明性を有している。即ち、外針ハブ16は、その中を流れる血液を施術者等が視認できるようになっている。このように構成されている外針ハブ16の内孔は、外針15の内孔と繋がっており、外針ハブ16内には内針11が挿通されている。更に詳細に説明すると、外針ハブ16は、筒状体21と、外針チューブ22と、外針コネクタ23とを有している。筒状体21は、大略円筒状に形成されており、その遠位側部分の外周面が円錐台状に形成されており、近位側部分の外周面が大略円柱状に形成されている。このような形状を有する筒状体21は、その遠位側開口に外針15の近位端部が固定され、筒状体21の近位側部分には、外針チューブ22が挿通されて筒状体21の内周面に固定されている。
【0017】
外針チューブ22は、合成樹脂から成るチューブ状の部材であり、可撓性を有している。外針チューブ22は、その遠位側端部を筒状体21に挿通させて固定されている。他方、外針チューブ22の近位側端部は、外針コネクタ23に挿通させて固定されている。外針コネクタ23は、合成樹脂から成る大略円筒状の部材であり、2つ部材24,25を嵌め合わせることによって構成されている。即ち、外針コネクタ23は、
図2にも示すように円筒部材24と、コネクタ部材25とを有している。
【0018】
円筒部材24は、合成樹脂から成る大略円筒状の部材であり、その遠位端部の外周面が遠位側に向かって先細りのテーパ状に形成されている。また、円筒部材24の内周面には、内向きフランジ24aが形成されている。内向きフランジ24aは、円筒部材24の中間部分において周方向全周にわたって形成されており、円筒部材24の内周面から半径方向内方に突出している。外針チューブ22は、遠位側から円筒部材24内に挿入され、その近位端を内向きフランジ24aに突き当てた状態で円筒部材24に固定されている。また、円筒部材24内には、封止部材17が配置されている。
【0019】
封止部材17は、弾性変形可能であって且つ内針11が貫通可能な材料、例えばポリイソプレン等の合成ゴム又は熱可塑性エラストマから成り、大略円板状に形成されている。また、封止部材17の外径は、円筒部材24の内径と略一致している。このような形状を有する封止部材17は、円筒部材24内に嵌め込まれ、その主面(即ち、遠位側端面)の外周縁部が内向きフランジ24aに当たる位置まで押し込まれている。また、円筒部材24の内孔には、内針11が挿通されており、この内針11が封止部材17を貫通している。このように配置されている封止部材17は、外針ハブ16内を封止部材17より遠位側の領域(即ち、遠位側領域)16aと近位側の領域(即ち、近位側領域)16bとに隔て、それらの間を封止している。また、円筒部材24の内孔には、封止部材17を内向きフランジ24aに押さえ付けるべくコネクタ部材25が挿通されている。
【0020】
コネクタ部材25は、合成樹脂から成る大略円筒状の部材であり、その外径が円筒部材24の内径と略同一になっている。また、コネクタ部材25は、近位側から円筒部材24に挿通され、またその中に内針11を挿通させている。更に、コネクタ部材25は、その遠位端が封止部材17に当たるまで押し込まれており、コネクタ部材25の先端と内向きフランジ24aとによって封止部材17が挟持されている。また、コネクタ部材25の外周面には、その中間部分に複数の係止部25aが周方向に間隔をあけて形成され、また円筒部材24には、各係止部25aに夫々対応する位置に窓部24bが形成されている。係止部25aは、近位端が封止部材17に当たるまでコネクタ部材25を円筒部材24に差し込むと窓部24bに入るようになっている。これにより、コネクタ部材25が円筒部材24に係止され、封止部材17が円筒部材24内で保持される。また、コネクタ部材25内には、押し子18が収容されている。
【0021】
押し子18は、合成樹脂から成る大略円筒状の部材であり、無色で且つ透明性を有している。即ち、押し子18は、その中を流れる血液を施術者等が視認できるようになっている。また、押し子18の外周面は、遠位側部分(即ち、封止部材17側の部分)が遠位側に向かって先細りのテーパ状に形成され、中間部分及び近位側部分が円筒状に形成されている。更に、押し子18の外周面には、遠位側部分と中間部分との繋がる部分に段差18aが形成されており、押し子18は、段差18a付近において遠位側部分に対して中間部分及び近位側部分が小径になっている。また、コネクタ部材25には、この段差18aに対応するように内向きフランジ25bが形成されており、内向きフランジ25bと封止部材17との間に押し子18の遠位側部分が嵌まり込んでいる。これにより段差18aが内向きフランジ25bに当接し、押し子18の近位側への移動が規制されている。
【0022】
このように構成されている押し子18は、内針11が挿通されている状態でコネクタ部材25内に収容されており、内針11と略同一軸線上に配置されている。また、押し子18の遠位端は、内針11が貫通する封止部材17の貫通孔17aを外囲するようにして封止部材17に当接している。このように押し子18は、コネクタ部材25内において封止部材17より近位側で且つ封止部材17に当接する閉位置に配置されている。また、封止部材17は、内針11を引き抜くと弾性復帰して貫通孔17aを塞ぐようになっており、2つの領域16a,16bを連通すべく押し子18が以下のように構成されている。即ち、押し子18は、前述する閉位置から遠位側への移動できるようになっており、押し子18を押すことによって押し子18が閉位置から遠位側に移動する。また、押し子18は、遠位側に移動させる(即ち、開位置まで移動させる)ことによって封止部材17の貫通孔17aを押し開け、遠位側領域16aと近位側領域16bを連通するようになっている。
【0023】
このような機能を有する押し子18は、コネクタ部材25の遠位側部分及び中間部分に収容されており、コネクタ部材25の近位端部分には、シリンジや透析機器のアダプタ等に備わる雄コネクタ(図示せず)を取付け可能に構成されている。更に詳細に説明すると、コネクタ部材25の遠位端部には、一対の凸部25c(
図1及び
図2では一方の凸部25cだけを示す)が形成されている。一対の凸部25cは、コネクタ部材25の外周面において半径方向外方であって互いに反対する方向に突出している。一対の凸部25cは、透析治療等を行う際に雄コネクタに形成される雌ねじ部(図示せず)に螺合できるように構成されており、一対の凸部25cを雌ねじ部に螺合させることでコネクタ部材25に雄コネクタを着脱可能に取り付けることができる。他方、血管に穿刺する際には、コネクタ部材25の一対の凸部25cに外針キャップ19が螺合されている。
【0024】
外針キャップ19は、合成樹脂等から成る大略円筒状の部材であり、無色で且つ透明性を有している。即ち、外針キャップ19は、その中を施術者等が視認できるように構成されている。外針キャップ19は、その中間部分に段差19aを有しており、その段差19aより遠位側部分19bが近位側部分19cに比べて小径に形成されている。また、遠位側部分19bは、コネクタ部材25の近位端部分に外装されて螺合されており、外針キャップ19がコネクタ部材25の近位端部分に着脱可能になっている。更に、外針キャップ19の遠位側部分19bは、コネクタ部材25に取り付けられている状態で、閉位置にある押し子18の近位端より遠位側まで延在しており、押し子18の近位側の一部分を半径方向外側から覆っている。他方、外針キャップ19は、前述の通り無色で且つ透明性を有しており、遠位側部分19bもまた例外なく無色且つ透明性を有している。更に、遠位側部分19bは、その外表面にローレットのような凹凸がないように形成されている。これにより、留置針組立体1では、外針キャップ19の遠位側部分19越しであっても押し子18を通る血液を施術者等が視認できるようになっている。また、外針キャップ19の遠位側部分19bは、後述する挿入円筒部19eと共に二重筒構造を構成している。
【0025】
詳細に説明すると、外針キャップ19の内周面には、その中間部分(即ち、段差19aに対応する位置)に内向きフランジ19dが形成されている。内向きフランジ19dは、外針キャップ19の内周面において周方向全周にわたって形成され、また内周面から半径方向内方に突出している。内向きフランジ19dの内周縁部には、挿入円筒部19eが形成されている。挿入円筒部19eは、大略円筒状に形成されており、内向きフランジ19dの内周縁部から遠位側に突出している。このようにして形成される挿入円筒部19eは、遠位側部分19bの内側に形成され、前述の通り遠位側部分19bと共に二重筒構造を構成している。また、挿入円筒部19eの外径は、コネクタ部材25の内径と略同一となっており、外針キャップ19をコネクタ部材25に螺合させた状態で挿入円筒部19eがコネクタ部材25の近位側部分の中に挿通されるようになっている。また、外針キャップ19の内孔は、内向きフランジ19dによって遠位側領域19fと近位側領域19gとに分かれており、遠位側領域19fには、前述の通りコネクタ部材25の近位端部が挿入されている。他方、近位側領域19gには、ルアーキャップ4の一部が収容されている。
【0026】
<ルアーキャップ>
作動部材の一例であるルアーキャップ4は、合成樹脂から成る大略円筒状部材であり、有色(即ち、無色と異なる色)で且つ透明性を有している。即ち、ルアーキャップ4は、色によって押し子18との差異を明確にしつつ、その中を流れる血液を施術者等が視認できるようになっている。ルアーキャップ4の色としては、特定の色に限定されることはないが、例えば黄色、緑、及び紫等であることが好ましく、本実施形態では黄色である。このように構成されているルアーキャップ4は、
図1に示すように押込み部27と、収容部28とを有している。押込み部27は、収容部28より小径に形成されており、押込み部27の外径は、外針キャップ19の挿入円筒部19eの内径と略同一となっている。このように形成されている押込み部27は、挿入円筒部19eに挿通され、押込み部27の遠位端は、押し子18の近位端と当接している。また、押込み部27の内孔(即ち、ルアーキャップ4の内孔)は、当接する状態において押し子18の内孔と連通している。このように配置される押込み部27は、針軸方向(即ち、軸線L1が延在する方向)において挿入円筒部19eより長尺に形成されており、押込み部27の近位側部分には、収容部28が一体的に設けられている。
【0027】
操作部の一例である収容部28は、大略有底筒状に形成されており、その外径は、外針キャップ19の近位側領域19gの孔径と略同一になっている。このような形状を有する収容部28は、近位側領域19gに収容されており、外針ユニット3から近位側に部分的に突出している。更に詳細に説明すると、収容部28は、押込み部27が挿入円筒部19eより長尺に形成されているので、内向きフランジ19dから近位側に離れた位置(即ち、基準位置)にて外針キャップ19内に収容されている。このように離して収容することによって、ルアーキャップ4を基準位置から遠位側に押し込むことができ、また押し込むことによって押し子18を閉位置から開位置に移動させることができる。また、ルアーキャップ4は、外針キャップ19に収まることによって針軸方向に沿って案内されるようになり、ルアーキャップ4の押込み部27が押し子18に片当たりすることを抑制することができる。
【0028】
このような機能を有する収容部28の近位端部は、前述の通り外針キャップ19から近位側へと突出しており、この近位端部を押すことによってルアーキャップ4を遠位側に押し込める。また、ルアーキャップ4の近位端を遠位側に押すことによってルアーキャップ4を介して押し子18を封止部材17に押し付け、また封止部材17を押し開くことができる。そして、押し開かれることによって、ルアーキャップ4内が押し子18の内孔を介して外針ハブ16の遠位側領域16aと連通する。このように構成されているルアーキャップ4の近位端部には、内針ハブ12の遠位側部分が被せられており、ルアーキャップ4の近位端部が内針ハブ12内に収容されている。また、ルアーキャップ4の収容部28には、プロテクタ5が収容されている。
【0029】
<プロテクタ>
プロテクタ5は、内針11を外針ハブから抜去させる際に針先11aを収納して保護するためのものであり、その中間部分にテーパ部分5a(
図3も参照)を有している。テーパ部分5aは、遠位側に進むにつれて拡径するようにテーパ状に形成されている。これにより、プロテクタ5では、前記テーパ部分5aを含む大径部5bが遠位側に形成され、近位側に小径部5cが形成されている。また、プロテクタ5には、針軸方向に相対移動可能に内針11が貫通されている。また、プロテクタ5は、内針11を引き抜く方向に相対移動させていくと、針先11aがプロテクタ5内に収まったところで内針11の針軸方向一方及び他方動き(即ち、近位側及び遠位側への移動)を規制するようになっている。即ち、プロテクタ5は、その中から針先11aが抜けないように針先11aを収容し、針先11aを保護するようになっている。
【0030】
このように構成されるプロテクタ5は、その大径部5bをルアーキャップ4の収容部28に収納させている。他方、小径部5cは、ルアーキャップ4から近位側に突出しており、内針ハブ12の遠位側部分に収納されている。また、収容部28の内周面には、複数の係合部分32が形成されている。大径部5bは、複数の係合部分32と係合した状態でルアーキャップ4内に収納されており、プロテクタ5がルアーキャップ4内に保持されている。これにより、プロテクタ5をルアーキャップ4に収容させたままの状態で内針11を外針ユニット3から内針11を引き抜いくことができ、また、引き抜いていくことで内針11の針先11aを外針ハブ16から露出させることなくプロテクタ5内まで移動させることができる。また、係合部分32は、強く引き抜くことによってプロテクタ5との係合を解除するようになっており、針先11aがプロテクタ5内に収容された状態で更に内針11を引き抜くことでプロテクタ5が収容部28から抜けるようになっている。
【0031】
<留置針組立体の使用形態>
このように構成されている留置針組立体1では、
図1に示すように針先11aが外針15から突出している状態で人工透析等の血液浄化療法で使用される。更に詳細にすると、留置針組立体1は、針先11aの刃面を上側に向けた状態で患者の血管に穿刺され、外針15の遠位側部分が患者の血管に入るまで押し込まれる。その後、血管から血液を採取したりまた透析液等の輸液を血管に流し込んだりするべく、
図3に示すように内針ユニット2が外針ユニット3から抜かれる。即ち、使用者は、内針ハブ12を把持し、それを外針ユニット3に対して近位側に相対移動させる。そうすると、針先11aは、やがて外針15の中に収まり、更に外針15、外針ハブ16、封止部材17、押し子18、及びルアーキャップ4を通ってプロテクタ5に達する。そうすることで、針先11aがプロテクタ5によって保護され、更に内針ハブ12を近位側に移動させることで、プロテクタ5がルアーキャップ4から外れ、外針ユニット3と内針ユニット2とを分離することができる。このように外針ユニット3から内針ユニット2を抜くことによって、外針15の遠位端付近にある複数の孔から外針15内に血液が流入して外針ハブ16の遠位側領域16aが血液によって満たされる。
【0032】
次にコネクタ部材25から外針キャップ19を外してコネクタ部材25に雄コネクタを螺合するのだが、外針キャップ19を取り付ける前に空気抜き作業が行われる。というのも、近位側領域16bは、内針11が引き抜かれる際に封止部材17が弾性復帰して貫通孔17aを塞ぐので、遠位側領域16aから隔離されている。それ故、押し子18内に空気が入っており、その状態のまま雄コネクタをコネクタ部材25に取り付けると、遠位側領域16aから押し子18を介して雄コネクタに流れる血液に多くの空気が含まれることになる。血液の中にあまり多くの血液が含まれること(特に、透析等において血液を動脈に戻す際等)は好ましくないので、留置針組立体1では、外針キャップ19をコネクタ部材25から外す前において以下のような方法にて空気抜きを行われる。
【0033】
即ち、外針キャップ19内に設けられたルアーキャップ4の近位端を遠位側に押す。これにより、押し子18がルアーキャップ4の押込み部27によって封止部材17に押し付けられ、押し子18が閉位置から開位置に移動することによって封止部材17が押し開かれる。これにより、
図4(a)に示すように遠位側領域16aから押し子18内に血液30(
図4(a)〜(b)のドット柄の部分)が流れ込み、押し子18内において血液の液面30aが近位側へと移動していく。また、封止部材17は、弾性復帰すべく押し子18の押付力に抗して押し子18を閉位置の方に付勢しており、施術者は、ルアーキャップ4の押付力を小さくしたり離したりすることによって押し開かれた封止部材17が閉じるようになっている。それ故、施術者は、ルアーキャップ4によって押し子18の押付力を調整することで液面30aの位置を調整することができる。また、留置針組立体1では、押し子18、並びにそれを覆うコネクタ部材25及び外針キャップ19の遠位側部分19bが無色で且つ透明性を有しているので、施術者が押し子18内を流れる血液を見ることができる。それ故、施術者は、液面30aの位置を確認しながらルアーキャップ4によって押し子18の押付力を調整することができ、液面30aの位置の調整が容易である。
【0034】
このように構成される留置針組立体1では、
図4(b)のように血液を押し子18の近位端まで導いて押し子18内全体を血液30で満たすことで、雄コネクタを取り付けた後に血液内に空気が残ることを抑制することができる。他方、封止部材17を押し開き続けると、
図4(c)のように患者の血圧により血液30が押し子18からルアーキャップ4に流れ出ることになる。それ故、ルアーキャップ4を離すタイミング等を見計らないながら液面30aを押し子18の近位端(即ち、押し子18とルアーキャップ4との境界)で止めることが好ましい。これに関して、留置針組立体1では、無色である押し子18に対してルアーキャップ4の押込み部27が有色となっている(
図4(a)〜(c)の灰色の部分を参照)。それ故、押し子18とルアーキャップ4との境界31(即ち、押し子18の近位側端面)を施術者が識別しやすくなり、ルアーキャップ4を離すタイミング(即ち、押し子18を閉位置に戻すタイミング)を分かりやすくすることができる。これにより、押し子18内の空気を除去すべく押し子18内を血液で満たす際に、ルアーキャップ4側に流れ出ること、及びその血液の量を抑えることができる。
【0035】
このようにして押し子18内全体を血液で満たした後、留置針組立体1では、コネクタ部材25からルアーキャップ4と共に外針キャップ19が外される。その後、コネクタ部材25に雄コネクタを取り付けるべく、雄コネクタの先端部をコネクタ部材25に挿入し、雄コネクタの雌ねじ部をコネクタ部材25の一対の凸部25cに螺合させる。そうすると、雄コネクタの先端部によって押し子18が押されて開位置の方に移動し、封止部材17が押し開かれる。これにより、雄コネクタ内と遠位側領域16aとが押し子18を介して連通され、血管内の血液30が雄コネクタ内に導かれる。このようにして留置針組立体1では、穿刺作業及びコネクタ交換作業が行われる前に空気抜き作業が行われる。
【0036】
<その他の実施形態>
本実施形態の留置針組立体1では、外針ハブ16、押し子18、及び外針キャップ19が無色且つ透明性を有するようになっているが、押し子18内を流れる血液30の液面30aの位置を施術者が押し子18を介して視認できる程度の透明性を有していればよく必ずしも無色である必要はない。例えば、押し子18は、少なくともルアーキャップ4の押込み部27、より詳しくは押込み部27の先端付近の外周面の色(緑、黄色、紫等)と異なる色を有していればよい。また、外針ハブ16、及び外針キャップ19は、ルアーキャップ4と同系の色であってもよい。また、外針ハブ16は、全体が透明性を有している必要はなく、少なくともコネクタ部材25が透明性を有していればよい。なお、本実施形態における透明性は、必ずしも光を完全に透過するもの限定されず、前述の通りその中を流れる血液を施術者が視認できる程度の性能を示している。即ち、透明性を有するものには、透明のものと半透明のものが含まれ、より詳細にはヘイズ1.0%以上のものを含む。
【0037】
更に、ルアーキャップ4もまた有色且つ透明性を有するものに限定されず、無色且つ透明性を有するものであってもよい。この場合、押し子18は、有色且つ透明性を有することが好ましい。なお、留置針組立体1が透析治療に用いられる場合、静脈及び動脈に夫々接続される部材を見分けやすくするべく各部材に対して赤色及び青色等が配色されているので、ルアーキャップ4、外針ハブ16、押し子18、及び外針キャップ19の色が赤色及び青色以外の色であることが好ましい。
【0038】
また、ルアーキャップ4及び押し子18は、何れも透明性を有している必要はなく、何れか一方だけが透明性を有していればよい。なお、押し子18の方が透明性を有している場合、押し子18の近位端(即ち、境界)に液面30aが達していく過程を視認でき、ルアーキャップ4の方が透明性を有している場合、液面30aが押し子18内からルアーキャップ4内へと移った過程を視認することができる。何れの場合にも、液面30aが境界31に到達したことを認識することが可能である。
【0039】
更に、留置針組立体1では、押し子18及びルアーキャップ4の色を異ならせることによって、押し子18とルアーキャップ4との境界31を認識しやすいようにしているが、境界31を認識させる方法としては必ずしも着色に限定されない。例えば、
図5に示すように留置針組立体1Aのルアーキャップ4の先端部分(即ち、押込み部27の遠位端部)の外周面に表面処理加工(例えば、リブ加工及びしぼ加工等であって、本実施形態ではローレット加工33)を施すことによって、押し子18とルアーキャップ4との境界31(即ち、押し子18の近位側端面)を識別しやすいようにしてもよい。この場合、押し子18とルアーキャップ4とが同系色であってもよい。また、ルアーキャップ4の先端部分の外表面に表面処理加工を施すのではなく、部分印刷を行ったり、シール等を貼ったりすることによって境界31を識別できるようにしてもよい。また、ルアーキャップ4の押込み部27の形状によって境界31を識別できるようにしてもよい。
【0040】
更に、留置針組立体1では、外針キャップ19の遠位側部分19bの外周面において凹凸がないように形成されているが、必ずしもこのような形状である必要はない。例えば、
図6に示す留置針組立体1Bのように、外針キャップ19の遠位側部分19bの外周面に針軸方向に延在する複数の凸条部34が形成されていてもよい。なお、複数の凸条部34を形成する場合、外周面において隙間なく形成してもよいが、隣接する凸条部34同士の間隔をあけて配置する(例えば、周方向において角度45度〜75度毎に配置する)ことが好ましい。この場合、隣接する凸条部34の間から液面の動きを視認しやすく且つ外針キャップ19を取外す際に複数の凸条部34が滑り止めの役割を果たす。