(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6822206
(24)【登録日】2021年1月12日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】シュリンク台紙
(51)【国際特許分類】
B65D 73/00 20060101AFI20210114BHJP
【FI】
B65D73/00 L
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-30893(P2017-30893)
(22)【出願日】2017年2月22日
(65)【公開番号】特開2018-135127(P2018-135127A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2020年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】浅井 弘史
【審査官】
植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭41−004531(JP,Y1)
【文献】
実開昭51−039719(JP,U)
【文献】
特表2009−523661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00−79/02
B65D 5/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部と胴部よりも細い首部を有するボトル状の物品を2つ固定するためのシュリンク台紙であって、物品を挿入して固定するための筒状のシュリンクフィルムを備えた2枚の台紙を背中合わせに貼り合わせた台紙本体部と、前記2枚の台紙を本体部より上に延設して逆三角形状に成形し、天面部を形成した持ち手部分とを有し、前記持ち手部分には、前記ボトル状の物品の首部を収納する切り欠き窓を有することを特徴とするシュリンク台紙。
【請求項2】
前記シュリンク台紙は、1枚のブランクから構成されており、台紙本体部の垂直な1辺を折罫線として、これを介して前記2枚の台紙が連設されていることを特徴とする請求項1に記載のシュリンク台紙。
【請求項3】
前記シュリンク台紙は、1枚のブランクから構成されており、前記2枚の台紙は、前記持ち手部分を中心にして折罫線を介して連設されていることを特徴とする請求項1に記載のシュリンク台紙。
【請求項4】
前記持ち手部分には、天面部の左右両側に折罫線を介してフラップが延設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシュリンク台紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱によって収縮するシュリンクフィルムによって、物品を固定して販売するためのシュリンク台紙に関し、特に2本のボトル状の物品を固定して、展示することができ、さらに持ち運びにも便利なシュリンク台紙に関する。
【背景技術】
【0002】
シュリンク台紙は、厚紙の台紙に円筒状のシュリンクフィルムを固定し、筒の中に物品を挿入してフィルムを加熱収縮させることにより、台紙に物品を固定して販売の用に供するものであり、さまざまな形態のものが用いられている。
【0003】
通常は、1枚の台紙に1つの製品を固定するものが一般的であるが、2以上の物品を固定するものの例として、特許文献1に記載された包装体がある。
【0004】
特許文献1に記載された包装体は、台材と、台材に接合された収縮性を有する筒状フィルムと、前記筒状フィルムによって少なくとも一部が覆われた被包装物とを備える包装体であって、2つの被包装物および2つの筒状フィルムを備えており、前記台材は、2つの筒状フィルムが各別に接合され、かつ2つの被包装物が位置する側においてなす角が180°より大である2つの保持面を有することを特徴とする包装体である。
【0005】
特許文献1に記載された包装体は、台材をアングル状に曲げることにより、2つの物品を極めて小さい台材で無駄なく固定することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−140208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されたシュリンク台紙は、2つの物品を効率よく固定できるものではあるが、運搬性や展示効果については、考慮されておらず、特にある程度重量のある物品の場合の安定性や運搬性において問題があった。本発明の解決しようとする課題は、2つの物品を保持して、高い安定性と運搬性を発揮し、さらに展示効果にも優れたシュリンク台紙を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、胴部と胴部よりも細い首部を有するボトル状の物品を2つ固定するためのシュリンク台紙であって、物品を挿入して固定するための筒状のシュリンクフィルムを備えた2枚の台紙を背中合わせに貼り合わせた台紙本体部と、前記2枚の台紙を本体部より上に延設して逆三角形状に成形し、天面部を形成した持ち手部分とを有し、前記持ち手部分には、前記ボトル状の物品の首部を収納する切り欠き窓を有することを特徴とするシュリンク台紙である。
【0009】
本発明に係るシュリンク台紙は、2枚の台紙を背中合わせに貼り合わせた台紙本体部を有するため、強度が高く、重量のある物品にも対応することができる一方、2枚の台紙を本体部より上に延設して逆三角形状に成形し、天面部を形成した持ち手部分を有するので、この持ち手部分を持って運搬することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記シュリンク台紙が、1枚のブランクから構成されており、台紙本体部の垂直な1辺を折罫線として、これを介して前記2枚の台紙が連設されていることを特徴とする請求項1に記載のシュリンク台紙である。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、前記シュリンク台紙が、1枚のブランクから構成されており、前記2枚の台紙は、前記持ち手部分を中心にして折罫線を介して連設されていることを特徴とする請求項1に記載のシュリンク台紙である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、前記持ち手部分に、天面部の左右両側に折罫線を介してフラップが延設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシュリンク台紙である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るシュリンク台紙は、2枚の台紙を背中合わせに貼り合わせた台紙本体部を有するので、強度が高く、重量のある物品にも対応することができる。
【0014】
また、2枚の台紙を本体部より上に延設して逆三角形状に成形し、天面部を形成した持ち手部分とを有し、持ち手部分には、前記ボトル状の物品の首部を収納する切り欠き窓を有するので、持ち運びの際にはこの切り欠き窓に指を入れて安全にまた確実に持ち運ぶことができる。
【0015】
請求項2に記載の構成によれば、1枚のブランクから成形することができるため、印刷、打抜き、成形の工程が円滑にできる。
【0016】
また、請求項3に記載の構成によれば、同様に1枚のブランクから成形することができる事に加えて、持ち手部分における接着工程を省略することができる。
【0017】
また、請求項4に記載の構成によれば、天面部に設けたフラップを折り曲げることにより、展示効果を高めることができるばかりでなく、天面部の形状維持性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明に係るシュリンク台紙の一実施態様を示した斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明に係るシュリンク台紙に2本のボトルを固定した状態を示した斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2の状態から、シュリンク台紙の持ち手部分を引き上げて、運搬できるようにした状態を示した斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示したシュリンク台紙のブランクを表面側から見た状態を示した平面説明図であり、図中、点線は山折罫線を、一点鎖線は谷折罫線を示す。
【
図5】
図5は、本発明に係るシュリンク台紙の他の実施態様におけるブランクを表面側から見た状態を示した平面説明図であり、図中、点線は山折罫線を、一点鎖線は谷折罫線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るシュリンク台紙について詳細に説明する。
図1は、本発明に係るシュリンク台紙1の一実施態様を示した斜視図である。
図2は、本発
明に係るシュリンク台紙1に2本のボトル30を固定した状態を示した斜視図である。また、
図3は、
図2の状態から、シュリンク台紙1の持ち手部分3を引き上げて、運搬できるようにした状態を示した斜視図である。また、
図4は、
図1に示したシュリンク台紙1のブランク20を表面側から見た状態を示した平面説明図であり、図中、点線は山折罫線を、一点鎖線は谷折罫線を示している。
【0020】
本発明に係るシュリンク台紙1は、
図2に示したように、胴部31と胴部31よりも細い首部32を有するボトル状の物品30を2つ固定するためのシュリンク台紙である。シュリンク台紙1は、物品を挿入して固定するための筒状のシュリンクフィルム16を備えた2枚の台紙(A面台紙4、B面台紙5)を背中合わせに貼り合わせた台紙本体部2と、前記2枚の台紙を本体部より上に延設して逆三角形状に成形し、天面部6を形成した持ち手部分3とを有する。持ち手部分3には、前記ボトル状の物品30の首部32を収納する切り欠き窓8を有することを特徴とする。
【0021】
本発明に係るシュリンク台紙1は、2枚の台紙を背中合わせに貼り合わせた構造を有するため、十分な強度を有し、重量のある物品にも対応することができる。
【0022】
また、2枚の台紙を本体部より上に延設して逆三角形状に成形した天面部6を有するため、この天面部に印刷を施すことにより外観的にも優位性を発揮することができ、店頭における展示効果が期待できる。
【0023】
また本発明に係るシュリンク台紙1は、
図3に示したように、持ち手部分3の天面部6の中心に設けた折罫線13を山折にして上に引き上げることにより、切り欠き窓8に指を挿入して持つことができる。持ち手部分3は、台紙本体部2から折罫線11を介して延設された一つながりのブランクから形成されているので、強度的にも十分であり、ある程度重量のあるボトルでも保持することができる。
【0024】
また、持ち手部分3を上に引き上げると、ボトル30の首部32を収納するための切り欠き窓8が、そのまま指を入れる持ち手となるので、手で持ち易く、運搬に便利である。
【0025】
図1〜4に示した実施態様においては、天面部6に折罫線12を介して、フラップ10が連設されている。フラップ10が設けられていることにより、店頭における展示効果が高まるばかりでなく、天面部6の平面性を保持する効果も発揮する。
【0026】
図4は、
図1に示したシュリンク台紙1のブランク20を表面側から見た状態を示した平面説明図である。図中、点線は山折罫線を、一点鎖線は谷折罫線を示している。A面台紙4とB面台紙5の2枚の台紙は、台紙本体部の垂直な一辺を折罫線15とし、これを介して連設されており、この折罫線15を180°山折りして背中合わせにし、接着することにより台紙本体部2が形成される。
【0027】
A面台紙4とB面台紙5は、折罫線11、11´を介してそれぞれ斜面部7、7´を連設しており、斜面部7は、折罫線14を介して天面部6を連設し、斜面部7´は、折罫線14´を介して糊代9を連設している。
【0028】
A面台紙4とB面台紙5には、加熱によって収縮する熱収縮性のプラスチックフィルムの筒であるシュリンクフィルム16がそれぞれ接着部17によって接着されている。
【0029】
ブランク20の状態から、折罫線14、14´を山折りして、折罫線11、11´を谷折りし、折罫線15を180°山折りして糊代9を天面部6の裏面に接着し、A面台紙4とB面台紙5を背中合わせに接着し、さらに折罫線12を山折すると
図1に示したような
状態のシュリンク台紙1が完成する。
【0030】
この例では、A面台紙4とB面台紙5が折罫線15を介して連設されているが、折罫線15に相当する部分が切断された2枚のブランクであっても、同様に組み立てることができる。
【0031】
図5は、本発明に係るシュリンク台紙1の他の実施態様におけるブランク20を表面側から見た状態を示した平面説明図である。
図4と同様に、点線は山折罫線を、一点鎖線は谷折罫線を示している。この例では、A面台紙4から折罫線11を介して斜面部7が連設されており、折罫線14を介して天面部6が連設され、さらに折罫線14´を介して斜面部7´、さらに折罫線11´を介してB面台紙5が連設されている。
【0032】
この例では、一つながりの1枚の細長いブランクの台紙部分のみを背中合わせに接着するだけで良く、天面部には接着部分が存在しない。このように、本発明に係るシュリンク台紙は、ブランク形状には限定されず、台紙本体部と、台紙本体部から上部に延設された逆三角形状の持ち手部分を有することを特徴としている。
【0033】
本発明に係るシュリンク台紙は、目的とするボトルの形状や大きさに応じて台紙本体部や斜面部、天面部の寸法を最適に設計することにより、さまざまなボトルに応用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1・・・シュリンク台紙
2・・・台紙本体部
3・・・持ち手部分
4・・・A面台紙
5・・・B面台紙
6・・・天面部
7、7´・・・斜面部
8・・・切り欠き部
9・・・糊代
10・・・フラップ
11、11´・・・折罫線
12・・・折罫線
13・・・折罫線
14、14´・・・折罫線
15・・・折罫線
16・・・シュリンクフィルム
17・・・接着部
20・・・ブランク
30・・・ボトル状の物品
31・・・胴部
32・・・首部