特許第6822359号(P6822359)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6822359-画像形成装置 図000002
  • 特許6822359-画像形成装置 図000003
  • 特許6822359-画像形成装置 図000004
  • 特許6822359-画像形成装置 図000005
  • 特許6822359-画像形成装置 図000006
  • 特許6822359-画像形成装置 図000007
  • 特許6822359-画像形成装置 図000008
  • 特許6822359-画像形成装置 図000009
  • 特許6822359-画像形成装置 図000010
  • 特許6822359-画像形成装置 図000011
  • 特許6822359-画像形成装置 図000012
  • 特許6822359-画像形成装置 図000013
  • 特許6822359-画像形成装置 図000014
  • 特許6822359-画像形成装置 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6822359
(24)【登録日】2021年1月12日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20210114BHJP
【FI】
   H04N1/387
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-179967(P2017-179967)
(22)【出願日】2017年9月20日
(65)【公開番号】特開2019-57779(P2019-57779A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2019年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラモン・マイコ・ジェルー ペドローザ三世
(72)【発明者】
【氏名】デックシー ジェイ アッルハス
(72)【発明者】
【氏名】ルイー カート・バサイ
【審査官】 橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−131309(JP,A)
【文献】 特開2014−030080(JP,A)
【文献】 特開2001−061061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトガラスに載置された原稿を読み取り画像データを生成する画像読取部と、
前記コンタクトガラスの所定位置に原稿が有るか否かを判断し、前記所定位置に原稿が有ると判断した場合、前記画像読取部が読み取った原稿の画像データから手書き画像を消去する手書き画像消去処理を行う制御部と、
画像データに基づく画像を用紙に印刷する印刷ジョブを実行する印刷部と、
画像データを保存する保存ジョブを実行する記憶部と、を備え
前記制御部は、前記手書き画像消去処理を行った場合、前記手書き画像消去処理を行った画像データの長手方向および短手方向のいずれかを対象方向と認識し、前記対象方向が主走査方向に沿った方向であれば、前記印刷ジョブおよび前記保存ジョブの一方を実行するための処理を行い、前記対象方向が副走査方向に沿った方向であれば、前記印刷ジョブおよび前記保存ジョブの他方を実行するための処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記所定位置に原稿が無いと判断した場合、前記手書き画像消去処理を行わないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記所定位置における原稿の有無に応じて出力値を変化させる原稿検知部を備え、
前記制御部は、前記原稿検知部の出力値に基づき前記所定位置に原稿が有るか否かを判断することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記コンタクトガラスの原稿載置面の4つの隅位置のうち副走査方向の一方端側に存在する隅位置の1つが前記手書き画像消去処理を伴わない読み取り時に原稿の隅を合わせるべき通常の合わせ位置として設定されており、
前記4つの隅位置のうち前記通常の合わせ位置と前記副走査方向に対向する隅位置が前記所定位置に設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記画像読取部による原稿の読み取り前に、前記コンタクトガラスの前記副走査方向の前記一方端側の領域を読み取るプレスキャンを前記画像読取部に行わせ、前記プレスキャンで得られた画像データに基づき前記通常の合わせ位置に原稿が有るか否かを判断し、前記所定位置に原稿が有ると判断したことに加え、前記通常の合わせ位置に原稿が無いと判断した場合に、前記手書き画像消去処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記画像読取部が読み取った原稿の画像データに存在する文字の向きを認識し、当該認識した文字の向きを前記コンタクトガラスに載置された原稿の向きとして判別する向き判別処理を行い、前記所定位置に原稿が有っても、前記向き判別処理で判別した原稿の向きが所定向きでなければ、前記手書き画像消去処理を行わないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像読取部は、原稿を搬送する原稿搬送ユニットを含み、前記原稿搬送ユニットにより搬送される原稿を読み取る搬送読取の実行が可能であり、
前記制御部は、前記手書き画像消去処理を行って以降、予め定められたリセット条件が満たされるまでは、前記搬送読取で得られた原稿の画像データについても前記手書き画像消去処理を行うことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読み取り画像データを生成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿の画像データから手書き画像を消去する技術が知られている。このような技術は、たとえば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の画像形成装置は、原稿の読み取りを伴うジョブ(たとえば、原稿の画像データに基づく画像を用紙に印刷する印刷ジョブ)の実行に際し、操作パネルを介して、手書き画像を消去するか否かをユーザーから受け付ける。そして、特許文献1の画像形成装置は、手書き画像を消去する旨を操作パネルが受け付けた場合、原稿の読み取りによって得られた原稿の画像データから手書き画像を消去する手書き画像消去処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−30080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、原稿の読み取りを伴うジョブの実行前に、印刷部数の設定などジョブに関する基本設定をユーザーから受け付けるための印刷画面が操作パネルに表示される。そして、このとき、基本設定に加え、手書き画像を消去するか否かの設定(手書き画像消去処理に関する設定)の受け付けが行われる。
【0006】
しかし、ジョブ実行前に、基本設定に加えて、手書き画像消去処理に関する設定を行わなければならないのは、ユーザーにとっては煩わしく利便性が悪い。また、ユーザーによっては、原稿の画像データから手書き画像を消去した画像データを取得したいにもかかわらず、手書き画像消去処理に関する設定をし忘れる場合がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、手書き画像消去処理に関する設定を行わなくても、原稿の画像データから手書き画像を消去した画像データを取得することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一局面による画像形成装置は、コンタクトガラスに載置された原稿を読み取り画像データを生成する画像読取部と、コンタクトガラスの所定位置に原稿が有るか否かを判断し、所定位置に原稿が有ると判断した場合、画像読取部が読み取った原稿の画像データから手書き画像を消去する手書き画像消去処理を行う制御部と、を備える。
【0009】
本発明の構成では、原稿の画像データから手書き画像を消去した画像データを取得したい場合、所定位置を覆うように原稿をコンタクトガラスに載置すれば、所定位置に原稿が有ると判断される。そして、原稿の画像データから手書き画像を消去する手書き画像消去処理が行われる。したがって、ユーザーからすると、手書き画像消去処理に関する設定を行わなくても(所定位置を覆うように原稿をコンタクトガラスに載置するだけで)、原稿の画像データから手書き画像を消去した画像データを取得することができるので、利便性がよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の構成では、手書き画像消去処理に関する設定を行わなくても、原稿の画像データから手書き画像を消去した画像データを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による複合機の構成を示す概略図
図2】本発明の一実施形態による複合機の画像読取部の構成を示す図
図3】本発明の一実施形態による複合機の原稿搬送ユニットが開閉された場合の図
図4】本発明の一実施形態による複合機の載置読取用コンタクトガラスの平面図
図5】本発明の一実施形態による複合機の構成を示すブロック図
図6】本発明の一実施形態による複合機に搭載される手書き画像消去機能について説明するための図
図7】本発明の一実施形態による複合機の制御部が行う処理(条件判断処理および手書き画像消去処理)の流れを示すフローチャート
図8】本発明の一実施形態による複合機の原稿載置面上に載置された原稿の隅が第1合わせ位置に有る場合の条件判断処理の結果を示す図
図9】本発明の一実施形態による複合機の原稿載置面上に載置された原稿の隅が第2合わせ位置に有る場合の条件判断処理の結果を示す図
図10】本発明の一実施形態による複合機が生成する画像データ(処理実行条件が満たされている場合および満たされていない場合の各生成画像データ)を示す図
図11】本発明の一実施形態による複合機の原稿載置面上に載置された原稿の向きが所定向きでない場合の条件判断処理の結果を示す図
図12】本発明の一実施形態による複合機の原稿載置面上に載置された原稿の向きが所定向きである場合の条件判断処理の結果を示す図
図13】本発明の一実施形態による複合機の原稿載置面上に載置された原稿の短手方向(対象方向)が主走査方向に沿っている場合に実行されるジョブについて説明するための図
図14】本発明の一実施形態による複合機の原稿載置面上に載置された原稿の短手方向(対象方向)が副走査方向に沿っている場合に実行されるジョブについて説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態による画像形成装置について、スキャン機能やプリント機能など複数種の機能が搭載された複合機を例にとって説明する。
【0013】
<複合機の構成>
図1に示すように、本実施形態の複合機100は、画像読取部1、印刷部2および操作パネル3を備える。複合機100は「画像形成装置」に相当する。
【0014】
画像読取部1は、図2に示すように、光源11、イメージセンサー12、ミラー13およびレンズ14を含み、原稿Dを読み取って原稿Dの画像データを生成する。光源11、イメージセンサー12、ミラー13およびレンズ14は、画像読取部1の筐体10の内部に収容される。筐体10の上部には、載置読取用コンタクトガラスG1および搬送読取用コンタクトガラスG2が設置される。
【0015】
載置読取では、載置読取用コンタクトガラスG1の原稿載置面PS上に原稿Dが載置される。画像読取部1は、原稿載置面PS上に載置された原稿Dを読み取る。なお、載置読取用コンタクトガラスG1は「コンタクトガラス」に相当する。
【0016】
搬送読取では、原稿搬送ユニット101に原稿Dがセットされる(図1参照)。原稿搬送ユニット101は、搬送読取用コンタクトガラスG2に向けて原稿Dを搬送する。画像読取部1は、搬送読取用コンタクトガラスG2上を原稿Dが通過するとき、搬送読取用コンタクトガラスG2上の原稿Dを読み取る。
【0017】
原稿搬送ユニット101は、図3に示すように、画像読取部1の筐体10に開閉可能に取り付けられる。具体的には、筐体10の本体背面側に回転軸10aが設けられる。原稿搬送ユニット101は、筐体10の回転軸10aに回動可能(開閉可能)に支持され、筐体10の回転軸10aを支点として回動する。すなわち、原稿搬送ユニット101は、本体正面側の部分を自由端とし、本体正面側の部分を上下方向に振るように回動する。
【0018】
原稿搬送ユニット101が閉じられると、載置読取用コンタクトガラスG1が原稿搬送ユニット101により覆われる。これにより、載置読取用コンタクトガラスG1上に載置された原稿D(載置読取の読取対象)を原稿搬送ユニット101で押えることができる。
【0019】
原稿搬送ユニット101の開閉を検知するため、画像読取部1の筐体10には開閉検知部111が設けられる。たとえば、開閉検知部111は、発光部および受光部を有する光センサーである。開閉検知部111は、発光部と受光部との間を上下方向に移動可能なアクチュエーター111aを検知対象とする。
【0020】
原稿搬送ユニット101を完全に開けているとき(図3の上図に示す状態のとき)、アクチュエーター111aは筐体10の上面(載置読取用コンタクトガラスG1の原稿載置面PS)よりも上方に突出する。このとき、アクチュエーター111aは開閉検知部111の光路を遮らない(開閉検知部111がオンする)。この状態で、原稿搬送ユニット101を閉じていくと、アクチュエーター111aが原稿搬送ユニット101に当接することにより下方に押し込まれる。そして、原稿搬送ユニット101の傾斜角度(筐体10の上面との角度)が所定角度になるまで原稿搬送ユニット101を閉じたとき(図3の下図に示す状態のとき)、アクチュエーター111aが開閉検知部111の光路を遮る(開閉検知部111がオフする)。その後、原稿搬送ユニット101を完全に閉じると(図1参照)、アクチュエーター111aは原稿搬送ユニット101によってさらに下方に押し込まれるが、開閉検知部111の光路はアクチュエーター111aによって遮られたままである。
【0021】
図2に戻り、光源11は、LED素子(図示せず)を複数含む。複数のLED素子は、主走査方向(図2の紙面に対して垂直な方向)にライン状に配列される。載置読取では、光源11は載置読取用コンタクトガラスG1に向けて光を照射する(載置読取用コンタクトガラスG1を透過した光が原稿Dを照射する)。搬送読取では、光源11は搬送読取用コンタクトガラスG2に向けて光を照射する(搬送読取用コンタクトガラスG2を透過した光が原稿Dを照射する)。原稿Dで反射された反射光は、ミラー13で反射され、レンズ14に導かれる。レンズ14は、反射光を集光する。
【0022】
イメージセンサー12は、RGB各色に対応するラインセンサーを含む。各色のラインセンサーは、主走査方向にライン状に並ぶ複数の光電変換素子を有するCCDからなる。イメージセンサー12は、原稿Dからの反射光(レンズ14で集光された光)を受光すると、ライン単位で画素ごとに光電変換して電荷を蓄積する。そして、イメージセンサー12は、蓄積電荷に応じたアナログ信号(RGB信号)を出力する。
【0023】
光源11およびミラー13は、主走査方向と直交する副走査方向に移動可能な移動枠15に装着される。移動枠15は、ワイヤー16に連結される。ワイヤー16は、巻取ドラム17に巻回される。巻取ドラム17は、巻取モーターMTの駆動力を受けて回転する。巻取モーターMTが駆動すると、巻取ドラム17が回転するので、移動枠15が副走査方向に移動する。すなわち、光源11およびミラー13が副走査方向に移動する。
【0024】
載置読取を行うとき、光源11を含む移動枠15が副走査方向(正面から見て左から右に向かう方向)に移動する。光源11は、移動枠15が副走査方向に移動しているとき、載置読取用コンタクトガラスG1に向けて光を照射する。イメージセンサー12は、載置読取用コンタクトガラスG1上の原稿Dで反射された反射光の光電変換を連続して繰り返し行う。これにより、原稿Dの読み取りがライン単位で行われる。
【0025】
搬送読取を行うとき、光源11を含む移動枠15が搬送読取用コンタクトガラスG2の下方に移動する。光源11は、搬送読取用コンタクトガラスG2の下方において、搬送読取用コンタクトガラスG2に向けて光を照射する。イメージセンサー12は、搬送読取用コンタクトガラスG2上を通過する原稿Dで反射された反射光の光電変換を連続して繰り返し行う。これにより、原稿Dの読み取りがライン単位で行われる。
【0026】
ここで、図4に示すように、載置読取用コンタクトガラスG1の原稿載置面PSは、平面視において四角形状(正面から見て左右方向に長い矩形状)である。すなわち、原稿載置面PSには4つの隅部が存在する。図4では、原稿載置面PSの4つの隅部をそれぞれ破線で囲む。また、原稿載置面PSは、複合機100で読み取り可能な仕様上の最大原稿サイズよりも大きいサイズを有する。したがって、原稿載置面PS上に最大サイズの原稿Dが載置されても、原稿載置面PSの全面が原稿Dで覆われることはない。
【0027】
原稿Dに記録された画像(文字画像や図形画像など)をそのまま複写するジョブを複合機100に実行させる場合には、原稿Dの4隅のうち1つを通常の合わせ位置P1(原稿Dの画像データから手書き画像を消去したくない場合に原稿Dの隅を合わせるべき位置)に合わせるよう予め定められている。複合機100のメーカーにおいて、原稿載置面PSの4つの隅位置(隅部の位置)のうち1つが通常の合わせ位置P1に設定される。たとえば、通常の合わせ位置P1は、主走査方向の一方端側(背面側)であって副走査方向の一方端側(左側)に存在する隅位置である。
【0028】
さらに、複合機100のメーカーにおいて、原稿載置面PSの4つの隅位置のうち、通常の合わせ位置P1と副走査方向に対向する隅位置が手書き画像消去機能用の合わせ位置P2(原稿Dの画像データから手書き画像を消去したい場合に原稿Dの隅を合わせるべき位置)に設定される。なお、手書き画像消去機能用の合わせ位置P2は「所定位置」に相当する。
【0029】
以下の説明では、通常の合わせ位置P1を第1合わせ位置P1と称し、手書き画像消去機能用の合わせ位置P2を第2合わせ位置P2と称する。なお、手書き画像消去機能については後に詳細に説明する。
【0030】
載置読取用コンタクトガラスG1の第2合わせ位置P2の下方(載置読取用コンタクトガラスG1の原稿載置面PS側とは反対の裏面側)には、第2合わせ位置P2における原稿Dの有無を検知するための原稿検知部112(図5参照、図4では図示せず)が設けられる。原稿検知部112は、たとえば、反射型光センサーであり、第2合わせ位置P2における原稿Dの有無に応じて出力値を変化させる。
【0031】
図1に戻り、印刷部2は、用紙搬送路(図1では破線で示す)に沿って用紙Pを搬送する。また、印刷部2は、印刷すべき画像の画像データに基づきトナー像を形成する。そして、印刷部2は、搬送中の用紙Pにトナー像を印刷する。すなわち、印刷部2は、印刷ジョブを実行する。たとえば、印刷部2は、画像読取部1による載置読取や搬送読取で得られた原稿Dの画像データに基づき印刷を行う。
【0032】
印刷部2は、給紙部21、画像形成部22および定着部23を含む。給紙部21は、カセットCAに収容された用紙Pを用紙搬送路に給紙する。用紙搬送路に給紙された用紙Pは用紙搬送路に沿って搬送される。
【0033】
画像形成部22は、ブラック(K)、イエロー(Y)、シアン(C)およびマゼンタ(M)の各色にそれぞれ対応する機構部22K、22Y、22Cおよび22Mを含む。機構部22K、22Y、22Cおよび22Mは、それぞれ、対応する色のトナー像(画像)を形成し、中間ベルトに1次転写する。中間ベルトに転写されたトナー像は、搬送中の用紙Pに2次転写(印刷)される。
【0034】
定着部23は、トナー像が転写された用紙Pを加圧および加熱する。これにより、用紙Pにトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙Pは、用紙搬送路に沿ってそのまま搬送され、排出される。
【0035】
操作パネル3は、タッチパネルディスプレイ31およびハードウェアキー32を含む。タッチパネルディスプレイ31は、ソフトウェアキーを配した設定画面を表示し、ユーザーから各種設定や指示を受け付ける。ハードウェアキー32は、操作パネル3に複数設けられる。たとえば、ハードウェアキー32としては、原稿Dの読み取りを伴うジョブの実行指示をユーザーから受け付けるためのスタートキーなどがある。
【0036】
また、図5に示すように、複合機100は、制御部4を備える。制御部4は、CPUおよびメモリーを備える。CPUは、制御用のプログラムおよびデータに基づき動作し、複合機100の各部を制御するための処理を行う。メモリーは、不揮発性メモリー(ROM)および揮発性メモリー(RAM)を含む。制御用のプログラムおよびデータは、ROMに記憶され、RAMに展開される。
【0037】
制御部4は、画像読取部1に接続される。そして、制御部4は、画像読取部1を制御する処理を行う。また、制御部4は、画像読取部1による載置読取や搬送読取で得られた原稿Dの画像データに対して、所定の画像処理を行う。たとえば、制御部4は、画像処理を行うため、画像処理用の回路(画像処理部)を搭載する。さらに、制御部4は、原稿Dの画像データに対して文字認識処理を行う。文字認識処理を行うための文字認識プログラムは制御部4のメモリーに記憶される。制御部4による文字認識処理では、OCR(Optical Character Recognition)技術が用いられる。
【0038】
制御部4は、光源11およびイメージセンサー12に接続され、光源11の点消灯動作およびイメージセンサー12の読取動作を制御する。また、制御部4は、巻取モーターMTに接続される。制御部4は、巻取モーターMTの駆動を制御し、巻取ドラム17の回転と回転停止とを切り替えるとともに、巻取ドラム17の回転方向を切り替える。制御部4は、巻取モーターMTの駆動を制御することにより、光源11を含む移動枠15を副走査方向に適切に移動させる。また、制御部4は、原稿搬送ユニット101に接続され、原稿搬送ユニット101の搬送動作を制御する。
【0039】
また、制御部4は、イメージセンサー12のアナログ出力を増幅する処理や、アナログ出力をデジタルデータに変換する処理などを行う。なお、これら処理を行うデータ処理部が制御部4とは別に設けられてもよい。また、制御部4は、画像データに対して、色変換処理(画像データをRGB形式からCMYK形式に変換する処理)や拡大縮小処理などを行う。さらに、制御部4は、後述する手書き画像消去処理を行う。
【0040】
開閉検知部111は制御部4に接続される。制御部4は、開閉検知部111の出力値に基づき、原稿搬送ユニット101の開閉を検知する。制御部4は、開閉検知部111の出力値が第1レベル(たとえば、Lレベル)から第2レベル(たとえば、Hレベル)に変化したことを検知すると、すなわち、開閉検知部111の光路が遮光状態から非遮光状態に変化すると、原稿搬送ユニット101が閉状態から開状態になったと判断する。一方で、制御部4は、開閉検知部111の出力値が第2レベルから第1レベルに変化したことを検知すると、すなわち、開閉検知部111の光路が非遮光状態から遮光状態に変化すると、原稿搬送ユニット101が開状態から閉状態になったと判断する。
【0041】
原稿検知部112は制御部4に接続される。制御部4は、原稿検知部112の出力値に基づき、載置読取用コンタクトガラスG1の原稿載置面PSの第2合わせ位置P2における原稿Dの有無を検知する(第2合わせ位置2に原稿Dが有るか否かを判断する)。たとえば、制御部4は、開閉検知部111の出力値が第2レベルから第1レベルに変化したとき、原稿検知部112の出力値を確認する。そして、確認時点での原稿検知部112の出力値が原稿Dの有りを示す値になっていれば、制御部4は、第2合わせ位置P2に原稿Dが有ると判断する。一方で、確認時点での原稿検知部112の出力値が原稿Dの無しを示す値になっていれば、制御部4は、第2合わせ位置P2に原稿Dが無いと判断する。
【0042】
また、制御部4は、画像読取部1による原稿Dの読み取りで得られた原稿Dの画像データ(後述する消去処理済み画像データを含む)を用いるジョブを実行するためのジョブ処理を行う。当該ジョブとしては、印刷ジョブおよび保存ジョブがある。印刷ジョブは印刷部2により実行される。また、ROM(たとえば、EEPROM)やHDDなど不揮発性の記憶デバイスを含む記憶部5が複合機100に設けられ、保存ジョブは記憶部5により実行される。印刷部2および記憶部5は、制御部4に接続される。
【0043】
印刷ジョブでは、画像読取部1が読み取った原稿Dの画像データ(後述する消去処理済み画像データを含む)を用いる印刷ジョブの実行指示が制御部4から印刷部2に与えられる(制御部4が印刷ジョブを実行するための処理を行う)。印刷部2は、印刷ジョブの実行指示を受けると、画像読取部1が読み取った原稿Dの画像データに基づきトナー像を形成し、用紙Pにトナー像を転写する。
【0044】
保存ジョブでは、画像読取部1が読み取った原稿Dの画像データ(後述する消去処理済み画像データを含む)を用いる保存ジョブの実行指示が制御部4から記憶部5に与えられる(制御部4が保存ジョブを実行するための処理を行う)。記憶部5は、保存ジョブの実行指示を受けると、画像読取部1が読み取った原稿Dの画像データを保存する。保存対象の画像データは制御部4により画像処理が行われ、制御部4から記憶部5に送信される。そして、記憶部5の予め定められた記憶領域に保存対象の画像データが記憶される。記憶部5に画像データを保存した場合、後から、当該保存した保存画像データに基づく印刷を行うことができる。また、複合機100に外部機器が通信可能に接続されていれば、保存画像データを外部機器に送信することもできる。
【0045】
<手書き画像消去機能>
複合機100は、原稿Dの読み取りによって得られた原稿Dの画像データから手書き画像を消去した画像データ(以下、消去処理済み画像データと称する)を生成し、消去処理済み画像データに基づく画像の用紙Pへの印刷や、消去処理済み画像データの保存などを行う手書き画像消去機能を搭載する。手書き画像消去機能を利用すると、たとえば、図6に示すように、申請書や契約書のような原稿Dの記入欄EFに文字(手書き画像HI)などを手書きで記入しても、記入欄EFから手書き画像HIが消去された原稿Dの画像を用紙Pに印刷することができる。
【0046】
画像読取部1が読み取った原稿Dの画像データから手書き画像を消去する手書き画像消去処理(消去処理済み画像データを生成する処理)は制御部4が行う。制御部4は、手書き画像消去処理を行うと、手書き画像消去処理を行った画像データ(消去処理済み画像データ)を用いるジョブを印刷部2や記憶部5に実行させる。
【0047】
たとえば、操作パネル3は、ジョブ実行に際し、実行ジョブの選択をユーザーから受け付ける。ユーザー選択のジョブが印刷ジョブである場合、制御部4は、手書き画像消去処理を行った画像データに基づく画像を用紙Pに印刷するジョブを印刷部2に実行させる。ユーザー選択のジョブが保存ジョブである場合、制御部4は、手書き画像消去処理を行った画像データを予め定められた記憶領域に保存するジョブを記憶部5に実行させる。
【0048】
ここで、制御部4は、画像読取部1による載置読取で得られた原稿Dの画像データを手書き画像消去処理の処理対象とする。ただし、手書き画像消去処理を実行する条件として予め定められた処理実行条件が満たされていなければ、制御部4は手書き画像消去処理を行わない。
【0049】
制御部4は、画像読取部1による載置読取の実行に際し、処理実行条件を満たしているか否かを判断する条件判断処理を行う。制御部4による条件判断処理は、載置読取用コンタクトガラスG1上に載置された原稿Dの載置位置に基づき行われる。
【0050】
条件判断処理の結果、処理実行条件が満たされていれば、制御部4は、画像読取部1が読み取った原稿Dの画像データに対して手書き画像消去処理を行う。一方で、処理実行条件が満たされていなければ、制御部4は、画像読取部1が読み取った原稿Dの画像データに対する手書き画像消去処理は行わない。
【0051】
以下に、図7に示すフローチャートを参照し、制御部4により行われる処理(条件判断処理および手書き画像消去処理)の流れを説明する。
【0052】
図7に示すフローチャートのスタート時点では、原稿搬送ユニット101が開けられているとする。なお、原稿搬送ユニット101が開けられているということは、ユーザーが原稿載置面PS上に原稿Dを載置する作業を行っているということである。すなわち、原稿搬送ユニット101は、画像読取部1による載置読取の実行前に開けられる。原稿載置面PS上に原稿Dを載置した後、ユーザーは原稿搬送ユニット101を閉じる作業を開始する。そして、原稿搬送ユニット101が閉じられたこと(開閉検知部111の出力値が第2レベルから第1レベルに変化したこと)を制御部4が検知したとき、図7に示すフローチャートがスタートする。
【0053】
ステップS1において、制御部4は、原稿載置面PSの第1合わせ位置P1に原稿Dが有るか否かの第1判断を行う。ここで、制御部4は、原稿搬送ユニット101が閉じられたことを検知したとき、画像読取部1にプレスキャンを行わせる。プレスキャンを行うとき、画像読取部1は、載置読取用コンタクトガラスG1の副走査方向の一方端側(正面から見て左側であり、第1合わせ位置P1が存在する側)の領域を読み取る。たとえば、載置読取用コンタクトガラスG1の副走査方向の一方端側から所定ライン数分の読み取りが画像読取部1により行われる。そして、制御部4は、画像読取部1によるプレスキャンで得られた画像データに基づき、原稿載置面PSの第1合わせ位置P1に原稿Dが有るか否かを判断する。
【0054】
また、ステップS2において、制御部4は、原稿検知部112の出力値に基づき、原稿載置面PSの第2合わせ位置P2に原稿Dが有るか否かの第2判断を行う。なお、この時点では、原稿搬送ユニット101は完全に閉じられていない。したがって、原稿検知部112の出力値は、第2合わせ位置P2に原稿Dが有るときと無いときとで異なる。すなわち、第2合わせ位置P2に原稿Dが有るときには、原稿検知部112から発せられ載置読取用コンタクトガラスG1を透過した光は原稿Dで反射されるが、第2合わせ位置P2に原稿Dが無いときには、原稿検知部112から発せられた光が載置読取用コンタクトガラスG1を透過して外部に抜ける。
【0055】
原稿搬送ユニット101を閉じる作業を開始して以降、原稿搬送ユニット101を完全に閉じると、ユーザーは複合機100にジョブの実行指示を与えるため、操作パネル3のスタートキーに対する押下操作を行う。操作パネル3のスタートキーに対する押下操作を制御部4が検知すると、ステップS3に移行する。
【0056】
ステップS3において、制御部4は、画像読取部1に載置読取を行わせる。画像読取部1は、原稿載置面PS上の原稿Dを読み取り、原稿Dの画像データを生成する。なお、制御部4は、画像読取部1による載置読取で得られた画像データに対し、種々の画像処理を行う。
【0057】
ステップS4において、制御部4は、手書き画像消去処理を実行する条件(処理実行条件)が満たされているか否かを判断する。制御部4は、第1判断において第1合わせ位置P1に原稿Dが有ると判断した場合や、第2判断において第2合わせ位置P2に原稿Dが無いと判断した場合、処理実行条件が満たされていないと判断する。すなわち、制御部4は、第1合わせ位置P1に原稿Dが無いと判断し、かつ、第2合わせ位置P2に原稿Dが有ると判断した場合に、処理実行条件が満たされていると判断する。
【0058】
たとえば、図8に示すように、原稿載置面PSの第1合わせ位置P1に原稿Dの隅が合わされている場合、処理実行条件が満たされていないと制御部4が判断する。一方で、図9に示すように、原稿載置面PSの第2合わせ位置P2に原稿Dの隅が合わされている場合には、処理実行条件が満たされていると制御部4が判断する。
【0059】
図7に戻り、ステップS4において、処理実行条件が満たされていると制御部4が判断した場合には、ステップS5に移行する。ステップS5に移行すると、制御部4は、画像読取部1が読み取った原稿Dの画像データから手書き画像を消去する手書き画像消去処理を行う(消去処理済み画像データを生成する)。
【0060】
このとき、制御部4は、原稿Dの画像データに対して文字認識処理を行う。制御部4に文字認識処理を行わせるため、たとえば、パターンマッチング用の文字パターン(標準パターン)を格納する文字データベースが制御部4のメモリーに予め記憶される。
【0061】
制御部4は、文字認識処理を行うとき、原稿Dの画像データに対してレイアウト解析などを行って文字領域を特定し、文字領域から文字画像を抽出する。そして、制御部4は、文字領域から抽出した抽出文字画像と標準パターンと比較する処理(マッチング処理)を行い、その比較結果に基づき文字を認識する。ここで、抽出文字画像が手書き画像であれば、抽出文字画像と標準パターンとの類似度が低くなる。このため、たとえば、制御部4は、標準パターンとの類似度が予め定められた閾値以下の抽出文字画像を認識し、当該認識した抽出文字画像を手書き画像として消去する。
【0062】
ステップS6において、制御部4は、手書き画像消去処理を行った画像データ(消去処理済み画像データ)を用いるジョブを実行するためのジョブ処理を行う。これにより、消去処理済み画像データに基づく画像を用紙Pに印刷する印刷ジョブが印刷部2により行われる。あるいは、消去処理済み画像データを予め定められた記憶領域に保存する保存ジョブが記憶部5により行われる。
【0063】
ステップS4において、処理実行条件が満たされていないと制御部4が判断した場合には、ステップS7に移行する。ステップS7に移行すると、制御部4は、手書き画像消去処理を行わない。この場合、制御部4は、手書き画像消去処理を行っていない画像データを用いるジョブを実行するためのジョブ処理を行う。すなわち、印刷部2は、手書き画像消去処理を行っていない画像データに基づく画像を用紙Pに印刷する。あるいは、記憶部5は、手書き画像消去処理を行っていない画像データを予め定められた記憶領域に保存する。
【0064】
たとえば、図10の上図に示すような原稿Dを画像読取部1が読み取ったとする。この場合、処理実行条件を満たしていると制御部4が判断すれば、図10の左下図に示すような消去処理済み画像データ(記入欄EFから手書き画像HIが消去された画像データ)が生成され、消去処理済み画像データを用いるジョブが実行される。一方で、処理実行条件を満たしていないと制御部4が判断すれば、図10の右下図に示すような画像データ(記入欄EFから手書き画像HIが消去されていない画像データ)を用いるジョブが実行される。
【0065】
本実施形態の複合機100(画像形成装置)は、上記のように、載置読取用コンタクトガラスG1(コンタクトガラス)の原稿載置面PS上に載置された原稿Dを読み取り原稿Dの画像データを生成する画像読取部1と、原稿載置面PSの第2合わせ位置P2(所定位置)に原稿Dが有るか否かを判断し、第2合わせ位置P2に原稿Dが有ると判断した場合、画像読取部1が読み取った原稿Dの画像データから手書き画像を消去する手書き画像消去処理を行う制御部4と、を備える。
【0066】
本実施形態の構成では、原稿Dの画像データから手書き画像を消去した消去処理済み画像データを取得したい場合、第2合わせ位置P2を覆うように原稿Dを載置読取用コンタクトガラスG1の原稿載置面PS上に載置することにより、第2合わせ位置P2に原稿Dが有ると判断される。そして、原稿Dの画像データから手書き画像を消去する手書き画像消去処理が行われる。したがって、ユーザーからすると、手書き画像消去処理に関する設定を行わなくても(第2合わせ位置P2を覆うように原稿Dを原稿載置面PS上に載置するだけで)、原稿Dの画像データから手書き画像を消去した消去処理済み画像データを取得することができるので、利便性がよい。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、制御部4は、第2合わせ位置P2に原稿Dが無いと判断した場合、手書き画像消去処理を行わない。これにより、操作パネル3に対して何らかの操作(設定)を行わなくても、制御部4による手書き画像消去処理が行われないようにすることができる。すなわち、原稿Dの画像データから手書き画像を消去したくない場合には、原稿Dの隅が第1合わせ位置P1に合うよう原稿載置面PS上に原稿Dを載置するだけでよい。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、原稿載置面PSの第2合わせ位置P2における原稿Dの有無に応じて出力値を変化させる原稿検知部112が載置読取用コンタクトガラスG1の裏面側に設けられる。これにより、容易に、第2合わせ位置P2に原稿Dが有るか否かを制御部4に判断させることができる。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、制御部4は、画像読取部1による原稿Dの読み取り前に、載置読取用コンタクトガラスG1の副走査方向の一方端側の領域を読み取るプレスキャンを画像読取部1に行わせ、プレスキャンで得られた画像データに基づき第1合わせ位置P1に原稿Dが有るか否かを判断し、第2合わせ位置P2に原稿Dが有ると判断したことに加え、第1合わせ位置P1に原稿Dが無いと判断した場合に、手書き画像消去処理を行う(処理実行条件が満たされていると判断する)。
【0070】
たとえば、原稿Dを第1合わせ位置P1に載置したにもかかわらず、原稿搬送ユニット101を閉じるときに(プレスキャンが行われているときに)、原稿Dが第2合わせ位置P2にずれたとする。このように原稿Dが第2合わせ位置P2にずれると、原稿検知部112の出力値に基づく第2判断では、第2合わせ位置P2に原稿Dが有ると判断される。しかし、プレスキャンで得られた画像データに基づく第1判断でも、第1合わせ位置P1に原稿Dが有ると判断される。したがって、この例では、制御部4は、処理実行条件が満たされていないと判断し、手書き画像消去処理を行わない。すなわち、原稿Dを第1合わせ位置P1に載置したにもかかわらず、原稿Dの画像データから手書き画像が消去されるという不都合が生じるのを抑制することができる。
【0071】
ここで、変形例として、図7に示すフローチャートのステップS4において、第2判断の結果だけに基づき、手書き画像消去処理を行うか否かを制御部4が判断するよう構成してもよい。すなわち、ステップS1の処理(制御部4による第1判断)が省略されてもよい。このように構成する場合、制御部4は、原稿載置面PSの第2合わせ位置P2に原稿Dが有ると判断すれば、手書き画像消去処理を行う(処理実行条件が満たされていると判断する)。
【0072】
また、図7に示すフローチャートのステップS4において、原稿載置面PS上における原稿Dの載置位置に加え、原稿載置面PS上における原稿Dの向きに基づき、手書き画像消去処理を行うか否かを制御部4が判断するよう構成してもよい。このように構成する場合、制御部4は、画像読取部1が読み取った原稿Dの画像データに存在する文字(文字認識処理で認識した文字)の向きを認識し、当該認識した文字の向きを原稿載置面PS上に載置された原稿Dの向きとして判別する向き判別処理を行う。そして、制御部4は、原稿載置面PS上の原稿Dの載置位置にかかわらず(第1合わせ位置P1に原稿Dが無く、かかつ、第2合わせ位置P2に原稿Dが有っても)、向き判別処理で判別した原稿Dの向きが所定向きでなければ、処理実行条件が満たされていないと判断し、手書き画像消去処理を行わない。
【0073】
たとえば、主走査方向の一方端側(背面側)から他方端側(正面側)に向かう方向が所定向きとされる。この場合、図11に示すように、原稿Dの向き(図11では白抜き矢印で示す)が正面から見て上下反転していなければ、原稿Dの向きが所定向きとは異なるので、制御部4による手書き画像消去処理は行われない(処理実行条件が満たされていないと判断される)。なお、図示しないが、原稿Dが右向きになっている場合や左向きになっている場合にも、制御部4による手書き画像消去処理は行われない。一方で、図12に示すように、原稿Dの向き(図12では白抜き矢印で示す)が正面から見て上下反転するよう原稿Dを原稿載置面PS上に載置すれば、原稿Dの向きが所定向きと同じになるので、制御部4による手書き画像消去処理が行われる(処理実行条件が満たされていると判断される)。
【0074】
この構成では、原稿Dに記録された画像をそのまま複写するジョブを複合機100に実行させるとき、原稿Dの隅が第2合わせ位置P2に合うようユーザーが誤って原稿Dを原稿載置面PS上に載置しても、原稿Dの向きが上下反転していなければ、制御部4による手書き画像消去処理は行われない。すなわち、制御部4による手書き画像消去処理が不必要に行われるのを抑制することができる。
【0075】
別の変形例として、制御部4は、処理実行条件が満たされていると判断した場合(画像読取部1が読み取った原稿Dの画像データに対して手書き画像消去処理を行った場合)、手書き画像消去処理を行った画像データの長手方向および短手方向のいずれかの方向を対象方向(たとえば、短手方向)として認識する。そして、制御部4は、対象方向が主走査方向に沿った方向であれば、印刷ジョブおよび保存ジョブの一方を実行するためのジョブ処理を行う(たとえば、印刷ジョブを実行するためのジョブ処理を行う)。一方で、制御部4は、対象方向が副走査方向に沿った方向であれば、印刷ジョブおよび保存ジョブの他方を実行するためのジョブ処理を行う(たとえば、保存ジョブを実行するためのジョブ処理を行う)。
【0076】
たとえば、図13に示すように、原稿Dの短手方向が主走査方向に沿うよう原稿載置面PS上に原稿Dが載置され、その状態で、画像読取部1による原稿Dの読み取りが行われたとする。なお、原稿Dの隅は第2合わせ位置P2に合わされているとする。この場合、対象方向が主走査方向に沿った方向であると制御部4が判断する。したがって、印刷ジョブが実行される。
【0077】
一方で、図14に示すように、原稿Dの短手方向が副走査方向に沿うよう原稿載置面PS上に原稿Dが載置され、その状態で、画像読取部1による原稿Dの読み取りが行われたとする。なお、原稿Dの隅は第2合わせ位置P2に合わされているとする。この場合、対象方向が副走査方向に沿った方向であると制御部4が判断する。したがって、保存ジョブが実行される。
【0078】
この構成では、原稿載置面PS上に載置する原稿Dの向きを変えるだけで、実行ジョブを選択することができるので、ユーザーの利便性が向上する。
【0079】
また、別の変形例として、制御部4は、載置読取で得られた原稿Dの画像データに対する手書き画像消去処理を行って以降、予め定められたリセット条件が満たされたか否か判断する。たとえば、制御部4は、操作パネル3に対して予め定められたリセット操作が行われると、リセット条件が満たされたと判断する。そして、制御部4は、載置読取で得られた原稿Dの画像データに対する手書き画像消去処理を行って以降、リセット条件が満たされるまでは、搬送読取で得られた原稿Dの画像データについても手書き画像消去処理を行う。
【0080】
この構成では、複数枚の原稿Dにそれぞれ対応する複数の消去処理済み画像データを取得したい場合、1枚目の原稿Dについては原稿搬送ユニット101を開閉して原稿載置面PS上に原稿Dを載置する必要があるが、2枚目以降の原稿Dについては原稿搬送ユニット101に原稿Dをセットするだけでよくなる。これにより、ユーザーの利便性が向上する。
【0081】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1 画像読取部
2 印刷部
4 制御部
5 記憶部
100 複合機(画像形成装置)
101 原稿搬送ユニット
112 原稿検知部
G1 載置読取用コンタクトガラス(コンタクトガラス)
P1 第1合わせ位置(合わせ位置)
P2 第2合わせ位置(所定位置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14