特許第6822367号(P6822367)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6822367-画像形成装置 図000002
  • 特許6822367-画像形成装置 図000003
  • 特許6822367-画像形成装置 図000004
  • 特許6822367-画像形成装置 図000005
  • 特許6822367-画像形成装置 図000006
  • 特許6822367-画像形成装置 図000007
  • 特許6822367-画像形成装置 図000008
  • 特許6822367-画像形成装置 図000009
  • 特許6822367-画像形成装置 図000010
  • 特許6822367-画像形成装置 図000011
  • 特許6822367-画像形成装置 図000012
  • 特許6822367-画像形成装置 図000013
  • 特許6822367-画像形成装置 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6822367
(24)【登録日】2021年1月12日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20210114BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20210114BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20210114BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20210114BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20210114BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   H04N1/387
   H04N1/00 C
   H04N1/00 567K
   G03G21/00 384
   G03G21/00 386
   B41J21/00 Z
   B41J29/38
   B41J29/42 F
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-188583(P2017-188583)
(22)【出願日】2017年9月28日
(65)【公開番号】特開2019-68127(P2019-68127A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2019年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】杉山 司
【審査官】 橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−105181(JP,A)
【文献】 特開2008−173937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/387
B41J 21/00
B41J 29/38
B41J 29/42
G03G 21/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送機構と、
前記シートにおけるシート搬送方向の上流端および下流端の一方を指定する綴じ位置情報を含む条件情報を取得する条件取得装置と、
前記条件情報に基づいて入力画像データが表す原画像の長手方向における分割位置および分割順序を設定する分割条件設定装置と、
前記原画像を設定された前記分割位置で複数の分割画像に分割する画像処理装置と、
前記複数の分割画像を前記分割順序に従って前記搬送機構によって順次搬送される複数枚のシートに電子写真方式で形成する印刷処理装置と、
同一サイズの前記複数のシートをそれぞれ異なる向きで収容する2つのシート収容部と、を備え、
前記条件情報は、前記原画像における長手方向の両端のいずれが始端であるかを指定する画像方向情報および前記綴じ位置情報よりも前記複数の分割画像の連続性を優先するか否かを指定する優先指定情報をさらに含み、
前記分割条件設定装置は、少なくとも前記画像方向情報および前記綴じ位置情報の組み合わせに応じて前記分割位置および前記分割順序を導出する予め定められた画像編成規則に従って、前記分割位置および前記分割順序を特定し、
前記画像処理装置は、少なくとも前記画像方向情報、前記綴じ位置情報および前記優先指定情報の組み合わせから、前記分割位置、前記分割順序および前記シートの向きを導出する前記画像編成規則に従って、前記分割位置、前記分割順序および前記シートの向きを特定し、
前記搬送機構は、前記2つのシート収容部のうち、前記画像編成規則に従って特定される前記シートの向きに対応する一方から前記シートを送り出して搬送する、画像形成装置。
【請求項2】
前記搬送機構によって順次搬送される画像形成後の前記複数枚のシートにおける前記綴じ位置情報に対応する部分に加工を施す後処理装置をさらに備え、
前記条件情報が、印刷物に前記後処理装置による加工を施すか否かを指定する後処理情報をさらに含み、
前記画像処理装置は、少なくとも前記画像方向情報、前記綴じ位置情報および前記後処理情報の組み合わせから前記分割位置および前記分割順序を導出する前記画像編成規則に従って、前記分割位置および前記分割順序を特定し、
前記印刷処理装置は、前記後処理情報が前記加工を施すことを指定する場合に、前記複数のシート各々における前記綴じ位置情報に対応する一部を除く範囲に前記複数の分割画像各々を形成し、
前記後処理装置は、前記後処理情報が前記加工を施すことを指定する場合に画像形成後の前記複数枚のシートに前記加工を施す、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記条件取得装置は、
情報を表示する表示装置と、
ユーザーの操作を受け付ける操作装置と、
前記条件情報の項目および選択肢の情報を含む選択画面を前記表示装置に表示させ、前記操作装置に対する選択操作に従って前記条件情報を設定するユーザーインターフェイス制御装置と、を含む、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺画像を複数に分割して印刷する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷対象の画像が、その長さが1枚のシートの長さに収まらない長尺画像である場合に、画像形成装置が分割印刷処理を実行する場合がある。前記分割印刷処理は、前記長尺画像を複数の分割画像に分割し、前記複数の分割画像をそれぞれ複数のシートに形成する処理である。
【0003】
例えば、前記画像形成層位置が、前記長尺画像の後端を基準として前記長尺画像を複数の定型サイズ画像に分割し、前記複数の定型サイズ画像を複数のシートに形成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−268454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記長尺画像が、その長手方向の向きについて有意性を持つ場合がある。換言すれば、前記長尺画像の長手方向の両端のうちの一方が始端を意味し、他方が終端を意味する場合がある。前記長尺画像の長手方向の両端のいずれが始端であるかは、前記長尺画像の内容によって異なる。
【0006】
一方、前記複数の分割画像がそれぞれ形成された複数枚のシートが、それらの4辺のうちの1つに沿う部分において綴じられる場合がある。これにより、前記複数の分割画像が複数のページに亘って連続する冊子状の印刷物が得られる。
【0007】
前記長尺画像がその長手方向の向きについて有意性を持つ場合、前記印刷物の綴じ位置および前記長尺画像における有意な向きの組み合わせに応じて、その前記長尺画像に適した分割および印刷の手順が異なる。
【0008】
例えば、横長に配置された前記長尺画像の左端が始端である前記長尺画像について、前記印刷物の綴じ位置が左辺に設定される場合がある。この場合、前記長尺画像が左端側から順に1ページ分の幅ずつ順次分割され、分割順序に従って前記複数のシートへの印刷処理が行われることが好適である。これにより、前記印刷物において、前記複数の分割画像が、前記長尺画像における有意な向きに対応したページ順序で並ぶ。
【0009】
しかしながら、横長に配置された前記長尺画像の左端が始端である前記長尺画像について、前記印刷物の綴じ位置が右辺に設定される場合もある。この場合、上記の例と同じ手順で前記長尺画像の分割および印刷処理が行われると、前記印刷物において、前記複数の分割画像が、前記長尺画像における有意な向きと逆のページ順序で並んでしまう。そのため、見る人にとって違和感のある前記印刷物が出来上がってしまう。
【0010】
本発明の目的は、長尺画像における有意な向きと印刷物の綴じ位置とに応じて適切な手順で前記長尺画像の分割および印刷処理を行うことができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、搬送機構と、条件取得装置と、分割条件設定装置と、画像処理装置と、印刷処理装置と、を備える。前記搬送機構は、シートを搬送する。前記条件取得装置は、前記シートにおけるシート搬送方向の上流端および下流端の一方を指定する綴じ位置情報を含む条件情報を取得する。前記分割条件設定装置は、前記条件情報に基づいて入力画像データが表す原画像の長手方向における分割位置および分割順序を設定する。前記画像処理装置は、前記原画像を設定された前記分割位置で複数の分割画像に分割する。前記印刷処理装置は、前記複数の分割画像を前記分割順序に従って前記搬送機構によって順次搬送される複数枚のシートに形成する。前記条件情報は、前記原画像における長手方向の両端のいずれが始端であるかを指定する画像方向情報をさらに含む。前記分割条件設定装置は、少なくとも前記画像方向情報および前記綴じ位置情報の組み合わせに応じて前記分割位置および前記分割順序を導出する予め定められた画像編成規則に従って、前記分割位置および前記分割順序を特定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、長尺画像における有意な向きと印刷物の綴じ位置とに応じて適切な手順で前記長尺画像の分割および印刷処理を行うことができる画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態に係る画像形成装置のブロック図である。
図2図2は、長尺画像を模式的に表した図であり、図2(A)は左辺を始点とする長尺画像を模式的に表した図であり、図2(B)は右辺を始点とする長尺画像を模式的に表した図である。
図3図3は、実施形態に係る画像形成装置における条件入力画面の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る画像形成装置における第1画像編成規則を表す図である。
図5図5は、実施形態に係る画像形成装置における第2画像編成規則を表す図である。
図6図6は、実施形態に係る画像形成装置における第3画像編成規則を表す図である。
図7図7は、実施形態に係る画像形成装置における第4画像編成規則を表す図である。
図8図8は、右端を始点とする長尺画像と右辺を綴じ位置とする印刷物とを模式的に表す図である。
図9図9は、右端を始点とする長尺画像と左辺を綴じ位置とする印刷物とを模式的に表す図である。
図10図10は、右端を始点とする長尺画像と優先指定ありの場合における左辺を綴じ位置とする印刷物とを模式的に表す図である。
図11図11は、左端を始点とする長尺画像と右辺を綴じ位置とする印刷物とを模式的に表す図である。
図12図12は、左端を始点とする長尺画像と左辺を綴じ位置とする印刷物とを模式的に表す図である。
図13図13は、左端を始点とする長尺画像と優先指定ありの場合における左辺を綴じ位置とする印刷物とを模式的に表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0015】
実施形態に係る画像形成装置10は、シート92に画像を形成する印刷処理を実行可能なプリンター、複写機または複合機などである。
【0016】
[画像形成装置10の構成]
図1に示されるように、画像形成装置10は、画像読取装置1、印刷処理装置2,ユーザーインターフェイスデバイス3、後処理装置4、制御ユニット5および通信装置6などを備える。
【0017】
ユーザーインターフェイスデバイス3は、操作装置3aおよび表示装置3bを含む。制御ユニット5は、CPU(Central Processing Unit)51、RAM(Random Access Memory)52、二次記憶装置53および画像処理装置54を含む。
【0018】
操作装置3aは、ユーザーの操作を受け付ける装置であり、例えばタッチパネルを含む。表示装置3bは、情報を表示可能な装置であり、液晶パネルなどの表示パネルを含む。
【0019】
通信装置6は、ネットワーク80を通じてパーソナルコンピューターなどの他装置との間で通信を行う通信インターフェイスデバイスである。CPU51は、前記他装置との間のデータの送信および受信の全てを、通信装置6を通じて行う。
【0020】
画像読取装置1は、原稿91の画像を読み取る読取処理を実行する。画像読取装置1は、光源1a、走査機構1b、イメージセンサー1cおよびAFE(Analog Front End)1dなどを備える。
【0021】
光源1aは、原稿91に対して光を出射する。走査機構1bは、光源1aの光を原稿91に対して走査させる。イメージセンサー1cは、原稿91からの反射光を受光し、受光量の検出信号を画像信号として出力する。AFE(1d)は、前記画像信号をデジタルの画像データへ変換する。
【0022】
画像読取装置1によって得られる画像データである読取画像データD1は、原稿91から読み取られた画像を表すデータである。読取画像データD1は、画像処理装置54に入力される入力画像データの一例である。
【0023】
印刷処理装置2は、電子写真方式またはインクジェット方式などの予め定められた方式でシート92に画像を形成する印刷処理を実行する。本実施形態において、画像読取装置1および印刷処理装置2は、前記読取処理および前記読取処理により得られる画像データに基づく前記印刷処理を含むコピー処理を実行可能である。
【0024】
例えば、印刷処理装置2が電子写真方式で前記印刷処理を実行する装置であることが考えられる。この場合、印刷処理装置2は、少なくとも1つのシート収容部2a、搬送機構2b、感光体2c、帯電装置2d、レーザースキャニングユニット2e、現像装置2f、転写装置2gおよび定着装置2hなどを備える。
【0025】
シート収容部2aは、複数のシート92を収容する容器またはトレイである。本実施形態において、画像形成装置10は、同一サイズの複数のシート92をそれぞれ異なる向きで収容する2つのシート収容部2aを備える。
【0026】
例えば、2つのシート収容部2aの一方は、A4サイズの複数のシート92を横向きで収容し、他方は、A4サイズの複数のシート92を縦向きで収容する。
【0027】
搬送機構2bは、CPU51によって選択される一方のシート収容部2aからシート92を送り出す。さらに、搬送機構2bは、シート収容部2aから送り出されたシート92を画像形成装置10の本体内のシート搬送路に沿って搬送する。
【0028】
帯電装置2dは、感光体2cの表面を帯電させる。レーザースキャニングユニット2eは、帯電した感光体2cの表面に静電潜像を書き込む。
【0029】
現像装置2fは、感光体2c上の前記静電潜像をトナー像へ現像する。転写装置2gは、感光体2c上の前記トナー像をシート92に転写する。定着装置2hは、シート92上の前記トナー像を加熱することにより、前記トナー像をシート92に定着させる。
【0030】
転写装置2gおよび定着装置2hの処理により、搬送機構2bによって搬送される1枚または複数枚のシート92に画像が形成される。
【0031】
後処理装置4は、搬送機構2bによって順次搬送される画像形成後の1枚または複数枚のシート92における予め指定された部分に加工を施す。以下の説明において、画像形成後の1枚または複数枚のシート92のことを印刷物92xと称する。
【0032】
本実施形態において、後処理装置4は、印刷物92xにステイプル処理を施すステイプル装置4aと、印刷物92xにパンチ孔を開けるパンチ処理を施す穿孔装置4bとを含む。
【0033】
CPU51は、予め二次記憶装置53に記憶されたプログラムを実行するプロセッサーである。CPU51は、各種の演算、データ処理および画像形成装置10が備える各種の電気機器の制御を実行する。CPU51は制御装置の一例である。
【0034】
CPU51は、画像読取装置1、印刷処理装置2、ユーザーインターフェイスデバイス3、後処理装置4および通信装置6との間でデータまたは制御信号の受け渡しが可能である。
【0035】
例えば、CPU51は、二次記憶装置53に記憶されたプロセス制御プログラムを実行することにより、プロセス制御装置51aとして動作する。
【0036】
プロセス制御装置51aは、画像読取装置1および印刷処理装置2を制御する。これにより、プロセス制御装置51aは、画像読取装置1および印刷処理装置2に前記コピー処理を実行させる。
【0037】
前記コピー処理の実行において、プロセス制御装置51aは、画像読取装置1に前記読取処理を実行させ、さらに、前記読取処理により得られる画像データに基づく前記印刷処理を印刷処理装置2に実行させる。
【0038】
さらに、プロセス制御装置51aは、通信装置6を通じて前記他装置から印刷データD2を受信し、その印刷データD2に含まれる画像データに基づく前記印刷処理を印刷処理装置2に実行させる。印刷データD2に含まれる画像データは、画像処理装置54に入力される前記入力画像データの一例である。
【0039】
また、CPU51は、二次記憶装置53に記憶されたユーザーインターフェイス制御プログラムを実行することにより、ユーザーインターフェイス制御装置51bとして動作する。
【0040】
ユーザーインターフェイス制御装置51bは、操作装置3aに対する操作に従って情報を入力する。さらに、ユーザーインターフェイス制御装置51bは、各種の情報を含む通知画面または選択メニュー画面などを表示装置3bに表示させる。
【0041】
RAM52は、CPU51が実行する前記プログラムおよびCPU51が前記プログラムを実行する過程で出力および参照するデータを一次記憶する主記憶装置である。
【0042】
二次記憶装置53は、コンピューター読み取り可能な不揮発性のデータ記憶装置である。二次記憶装置53は、プログラムおよび各種のデータを記憶可能である。例えば、SSD(Solid State Drive)およびハードディスクドライブの一方または両方の組合せが、二次記憶装置53として採用されることが考えられる。
【0043】
画像処理装置54は、画像読取装置1または通信装置6によって得られる画像データに対して加工処理、データ変換処理および画像分割処理などの各種の画像処理を実行するプロセッサーまたは回路である。例えば、画像処理装置54が、MPU(Micro Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサーによって実現されることが考えられる。また、画像処理装置54が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの回路によって実現されることも考えられる。
【0044】
画像形成装置10において、画像読取装置1によって原稿91から読み取られた画像、または、通信装置6を通じて前記他装置から受信された印刷データが表す画像が、印刷対象の画像となり得る。
【0045】
図2に示されるように、前記印刷対象の画像が、その長さが1枚のシート92の長さに収まらない長尺画像g0である場合がある。本実施形態において、読取画像データD1または印刷データD2に含まれる画像データが、長尺画像g0を表す場合がある。この場合に、画像形成装置10は、分割印刷処理を実行する機能を備える。
【0046】
前記分割印刷処理は、長尺画像g0を、その長手方向において複数の分割画像g1に分割し、複数の分割画像g1をそれぞれ複数のシート92に形成する処理である。なお、長尺画像g0は、前記分割印刷処理の対象となる原画像である。
【0047】
ところで、長尺画像g0が、その長手方向の向きについて有意性を持つ場合がある。換言すれば、長尺画像g0の長手方向の両端のうちの一方が始端を意味し、他方が終端を意味する場合がある(図2参照)。
【0048】
図2(A)は、短手方向が縦方向であり、長手方向が横方向であり、左端が長手方向の始端である長尺画像g0を模式的に示す。図2(B)は、短手方向が縦方向であり、長手方向が横方向であり、右端が長手方向の始端である長尺画像g0を模式的に示す。長尺画像g0の長手方向の両端のいずれが始端であるかは、長尺画像g0の内容によって異なる。
【0049】
一方、複数の分割画像g1がそれぞれ形成された複数枚のシート92が、それらの4辺のうちの1つに沿う部分において綴じられる場合がある。これにより、複数の分割画像g1が複数のページに亘って連続する冊子状の印刷物92xが得られる。
【0050】
長尺画像g0がその長手方向の向きについて有意性を持つ場合、印刷物92xの綴じ位置および長尺画像g0における有意な向きの組み合わせに応じて、その長尺画像g0に適した分割および印刷の手順が異なる。
【0051】
図2(A)は、長尺画像g0が、その左端から右端へ向けて順番に分割幅W0ずつ隔てた分割位置Ps1で分割される例を示す。図2(B)は、長尺画像g0が、その右端から左端へ向けて順番に分割幅W0ずつ隔てた分割位置Ps1で分割される例を示す。
【0052】
例えば、横長に配置された長尺画像g0の左端が始端である場合に、印刷物92xの綴じ位置が左辺に設定されることが考えられる。この場合、図2(A)に示されるように、長尺画像g0が左端側から順に1ページ分の分割幅W0ずつ順次分割され、分割順序に従って複数のシート92への前記印刷処理が行われることが考えられる。これにより、印刷物92xにおいて、複数の分割画像g1が、長尺画像g0における有意な向きに対応したページ順序で並ぶ。
【0053】
また、横長に配置された長尺画像g0の右端が始端である場合に、印刷物92xの綴じ位置が右辺に設定されることが考えられる。この場合、図2(B)に示されるように、長尺画像g0が右端側から順に1ページ分の分割幅W0ずつ順次分割され、分割順序に従って複数のシート92への前記印刷処理が行われることが考えられる。これにより、印刷物92xにおいて、複数の分割画像g1が、長尺画像g0における有意な向きに対応したページ順序で並ぶ。
【0054】
しかしながら、横長に配置された長尺画像g0の左端が始端である場合に、印刷物92xの綴じ位置が右辺に設定されることもある。この場合、上記の例と同じ手順で前記分割印刷処理が行われると、印刷物92xにおいて、複数の分割画像g1が、長尺画像g0における有意な向きと逆のページ順序で並んでしまう。そのため、見る人にとって違和感のある印刷物92xが出来上がってしまう。
【0055】
画像形成装置10は、長尺画像g0における有意な向きと印刷物92xの綴じ位置とに応じて適切な手順で前記分割印刷処理を行う機能を備える。以下、その機能について説明する。
【0056】
[条件情報の設定]
ユーザーインターフェイス制御装置51bは、選択画面f0を表示装置3bに表示させた上で、操作装置3aに対する操作に従って、前記分割印刷処理の条件に関する条件情報を設定する。なお、操作装置3a、表示装置3bおよびユーザーインターフェイス制御装置51bは、前記条件情報を取得する条件取得装置の一例である。
【0057】
ユーザーインターフェイス制御装置51bは、例えば図3に示されるような選択画面f0を表示装置3bに表示させる。選択画面f0は、前記条件情報の項目f1および選択肢f2の情報を含む。
【0058】
さらに、ユーザーインターフェイス制御装置51bは、選択画面f0が表示装置3bに表示された状態において、操作装置3aに対する選択操作に従って前記条件情報を設定する。
【0059】
図3に示される例において、前記条件情報は、短辺長情報f21、画像方向情報f22、綴じ位置情報f23、優先指定情報f24および後処理情報f25を含む。なお、前記条件情報は、少なくとも画像方向情報f22および綴じ位置情報f23を含む。即ち、前記条件情報が、短辺長情報f21、優先指定情報f24および後処理情報f25のうちの1つまたは複数を含まないことも考えられる。
【0060】
短辺長情報f21は、長尺画像g0の短手方向の長さを指定する情報である。例えば、短辺長情報f21の選択肢f2が、297mm(定型A4サイズの長辺の長さ)および210mm(定型A4サイズの短辺の長さ)などであることが考えられる。
【0061】
画像方向情報f22は、長尺画像g0における長手方向の両端のいずれが始端であるかを指定する情報である。本実施形態において、画像方向情報f22は、横長に配置された長尺画像g0の左端および右端のいずれが始端であるかを指定する情報である。この場合、画像方向情報f22の選択肢f2は、“左端”および“右端”である。
【0062】
画像方向情報f22が“左端”である場合、その画像方向情報f22に対応する長尺画像g0は、短手方向を縦方向とし、左端から右端へ向かう方向を順方向とする画像である。一方、画像方向情報f22が“右端”である場合、その画像方向情報f22に対応する長尺画像g0は、短手方向を縦方向とし、右端から左端へ向かう方向を順方向とする画像である。
【0063】
綴じ位置情報f23は、シート92におけるシート搬送方向の上流端および下流端の一方を指定する情報である。前記シート搬送方向は、前記印刷処理における副走査方向であり、前記シート搬送方向に直交する方向が、前記印刷処理における主走査方向である。
【0064】
例えば、綴じ位置情報f23の選択肢f2が、“左辺”および“右辺”であることが考えられる。綴じ位置情報f23が“左辺”である場合、シート92における前記シート搬送方向の上流端に沿う部分が綴じ位置であることを表す。同様に、綴じ位置情報f23が“右辺”である場合、シート92における前記シート搬送方向の下流端に沿う部分が綴じ位置であることを表す。
【0065】
綴じ位置情報f23は、ステイプル装置4aによる前記ステイプル処理および穿孔装置4bによる前記パンチ処理のいずれも行われない場合でも指定される。
【0066】
優先指定情報f24は、綴じ位置情報f23よりも複数の分割画像g1の連続性を優先するか否かを指定する情報である。本実施形態において、優先指定情報f24の選択肢f2は、"ON"および"OFF"である。
【0067】
優先指定情報f24が"ON"であることは、綴じ位置情報f23よりも複数の分割画像g1の連続性を優先することを意味する。一方、優先指定情報f24が"OFF"であることは、複数の分割画像g1の連続性よりも綴じ位置情報f23を優先することを意味する。
【0068】
後処理情報f25は、印刷物92xに後処理装置4による加工を施すか否かを指定する情報である。本実施形態において、後処理情報f25の選択肢f2は、“なし”、“ステイプル”および“パンチ”である。
【0069】
後処理情報f25が“なし”であることは、印刷物92xに後処理装置4による加工を施さないことを意味する。後処理情報f25が“ステイプル”であることは、印刷物92xにステイプル装置4aによる前記ステイプル処理を施すことを意味する。後処理情報f25が“パンチ”であることは、印刷物92xに穿孔装置4bによる前記パンチ処理を施すことを意味する。
【0070】
後処理情報f25が“ステイプル”である場合、プロセス制御装置51aは、ステイプル装置4aに対して前記ステイプル処理を実行させる。前記ステイプル処理において、ステイプル装置4aは、搬送機構2bによって順次搬送される画像形成後の複数枚のシート92における綴じ位置情報f23に対応する部分にステイプル加工を施す。
【0071】
また、後処理情報f25が“パンチ”である場合、プロセス制御装置51aは、穿孔装置4bに対して前記パンチ処理を実行させる。前記パンチ処理において、穿孔装置4bは、搬送機構2bによって順次搬送される画像形成後の複数枚のシート92における綴じ位置情報f23に対応する部分にパンチ加工を施す。
【0072】
図3に示される例において、選択画面f0は、確定アイコンf3および中止アイコンf4も含む。ユーザーインターフェイス制御装置51bは、操作装置3aに対する選択操作に従って、項目f1ごとに複数の選択肢f2から1つを選択し、選択した選択肢f2を項目f1に対応する前記条件情報として設定する。さらに、ユーザーインターフェイス制御装置51bは、確定アイコンf3が操作されたときに、前記条件情報の設定を確定する。
【0073】
なお、ユーザーインターフェイス制御装置51bは、中止アイコンf4が操作されたときに、前記条件情報を設定する処理を中止する。
【0074】
なお、通信装置6が、前記印刷データとともに前記条件情報を前記他装置から受信することも考えられる。この場合、通信装置6が、前記条件情報を取得する条件取得装置の一例である。
【0075】
[分割条件設定装置51c]
CPU51は、二次記憶装置53に記憶された分割条件設定プログラムを実行することにより分割条件設定装置51cとして動作する。
【0076】
分割条件設定装置51cは、前記条件情報に基づいて長尺画像g0の長手方向における分割位置Ps1および分割順序を設定する分割条件設定処理を実行する。長尺画像g0は、前記読取画像データまたは前記印刷データに含まれる画像データが表す画像である。
【0077】
分割条件設定装置51cは、予め定められた画像編成規則に従って、分割位置Ps1および前記分割順序を特定する。前記画像編成規則は、少なくとも画像方向情報f22および綴じ位置情報f23の組み合わせに応じて分割位置Ps1および前記分割順序を導出する規則である。
【0078】
例えば、前記画像編成規則が、図4〜7に示される第1画像編成規則R1、第2画像編成規則R2、第3画像編成規則R3および第4画像編成規則R4を含むことが考えられる。
【0079】
第1画像編成規則R1は、短辺長情報f21から基準分割幅W1を導出する規則の一例である。図4に示される例では、短辺長情報f21が定型サイズのシート92の長辺および短辺の一方の長さを指定する場合に、同じサイズのシート92の長辺および短辺の他方の長さを基準分割幅W1として導出する規則である。
【0080】
第2画像編成規則R2は、後処理情報f25および優先指定情報f24の組み合わせから補正値W2および縦カット値H0を導出する規則の一例である。分割条件設定装置51cは、補正値W2から基準分割幅W1を減算した値を分割幅W0として設定する。
【0081】
縦カット値H0は、長尺画像g0における短手方向の両端からの印刷除外範囲の幅を特定する値である。画像処理装置54は、長尺画像g0における短手方向の両端から縦カット値H0に相当する幅の範囲を、分割画像g1から除外する。
【0082】
例えば、画像処理装置54は、長尺画像g0における短手方向の両端各々から縦カット値H0の2分の1ずつの範囲を、分割画像g1から除外する。これにより、長尺画像g0の短手方向における印刷範囲から除外される合計幅が、縦カット値H0が示す幅となる。
【0083】
図5に示される例において、第2画像編成規則R2は、優先指定情報f24が"OFF"である場合に、後処理情報f25の設定値に対応した予め定められた値を補正値W2として設定し、ゼロを縦カット値H0として導出する規則である。
【0084】
図5は、後処理情報f25の設定値が"なし"、"ステイプル"および"パンチ"である場合のそれぞれに対応した補正値W2が0mm、15mmおよび25mmである例を示す。
【0085】
さらに、第2画像編成規則R2は、優先指定情報f24が"ON"である場合に、後処理情報f25の設定値に対応した予め定められた値を縦カット値H0として設定し、ゼロを補正値W2として導出する規則である。
【0086】
図5は、後処理情報f25の設定値が"なし"、"ステイプル"および"パンチ"である場合のそれぞれに対応した縦カット値H0が8mm、15mmおよび25mmである例を示す。
【0087】
前述したように、補正値W2から基準分割幅W1を減算した値が、分割幅W0として設定される。そして、画像処理装置54は、長尺画像g0を分割幅W0に対応する分割位置Ps1で複数の分割画像g1に分割する。
【0088】
印刷処理装置2は、後処理情報f25が前記ステイプル加工または前記パンチ加工を施すことを指定する場合に、複数のシート92各々における綴じ位置情報f23に対応する縁部を除く範囲に分割画像g1各々を形成する。補正値W2は、シート92各々における分割画像g1各々が形成されない縁部の幅を特定する情報である。
【0089】
さらに、後処理装置4は、後処理情報f25が前記ステイプル加工または前記パンチ加工を施すことを指定する場合に、画像形成後の複数のシート92に対し、後処理情報f25に対応する加工を施す。
【0090】
第3画像編成規則R3は、画像方向情報f22、綴じ位置情報f23および優先指定情報f24の組み合わせから分割始点St0を導出する規則の一例である。分割始点St0は、横長に配置された長尺画像g0を左端および右端のいずれから順番に分割するかを特定するパラメーターである。
【0091】
本実施形態において、分割始点St0および分割幅W0が、分割位置Ps1および前記分割順序を特定するパラメーターの一例である。画像処理装置54は、長尺画像g0を設定された分割位置Ps1で複数の分割画像g1に分割する。
【0092】
分割始点St0が“右端”である場合、画像処理装置54は、長尺画像g0をその右端から左端へ向けて順番に分割幅W0ずつ隔てた分割位置Ps1で分割する。同様に、分割始点St0が“左端”である場合、画像処理装置54は、長尺画像g0をその左端から右端へ向けて順番に分割幅W0ずつ隔てた分割位置Ps1で分割する。
【0093】
図6に示されるように、第3画像編成規則R3は、優先指定情報f24が"OFF"である場合に、綴じ位置情報f23が同じであっても画像方向情報f22が異なれば、異なる分割始点St0を導出する規則である。
【0094】
さらに、図6に示される第3画像編成規則R3は、優先指定情報f24が"ON"である場合に、綴じ位置情報f23の設定値に関わらず、画像方向情報f22の設定値に対応した分割始点St0を導出する規則である。
【0095】
第1画像編成規則R1、第2画像編成規則R2および第3画像編成規則R3は、短辺長情報f21、画像方向情報f22、綴じ位置情報f23、優先指定情報f24および後処理情報f25の組み合わせに応じて、分割位置Ps1および前記分割順序を特定する規則の一例である。
【0096】
第4画像編成規則R4は、短辺長情報f21および優先指定情報f24の組み合わせからシート向きSf0を導出する規則である。シート向きSf0は、搬送機構2bにより搬送されるシート92の向きを表す。
【0097】
図7に示される例において、“A4横向き”は、A4サイズのシート92の短手方向がシート搬送方向に沿う向きを表す。一方、“A4縦向き”は、A4サイズのシート92の長手方向が前記シート搬送方向に沿う向きを表す。
【0098】
プロセス制御装置51aは、2つのシート収容部2aから2つのシート向きSf0に対応する1つを選択する。
【0099】
図7に示されるように、第4画像編成規則R4は、短辺長情報f21が同じであっても、優先指定情報f24が異なれば、異なるシート向きSf0を導出する規則である。搬送機構2bは、2つのシート収容部2aのうち、第4画像編成規則R4に従って特定されるシート向きSf0に対応する一方からシート92を送り出して搬送する。
【0100】
第1画像編成規則R1、第2画像編成規則R2、第3画像編成規則R3および第4画像編成規則R4は、短辺長情報f21、画像方向情報f22、綴じ位置情報f23、優先指定情報f24および後処理情報f25の組み合わせに応じて、分割位置Ps1、前記分割順序およびシート向きSf0を特定する規則の一例である。
【0101】
図8〜13は、長尺画像g0と、図4〜7に示される前記編成規則に基づく前記分割印刷処理によって得られる印刷物92xとを模式的に表す。図8〜13に示される例は、全て短辺長情報f21が297mm(定型A4サイズの長辺の長さ)であり、かつ、後処理情報f25が"ステイプル"である場合を示す。
【0102】
また、図8〜13は、長尺画像g0がその長手方向において4分割される例を示す。また、図8〜13において、便宜上、複数の分割画像g1が、長尺画像g0の前記始端に近い方から順にA,B,C,Dで表されている。さらに、図8〜13において、A,B,C,Dの向きが分割画像g1の向きを表す。
【0103】
図8は、右端を始点とする長尺画像g0について、綴じ位置情報f23が“右辺”に設定され、かつ、優先指定情報f24が“OFF”に設定された例を示す。この場合、分割始点St0が、第3画像編成規則R3に基づいて“右端”に設定される。さらに、シート向きSf0が、第4画像編成規則R4に基づいて“A4横向き”に設定される。
【0104】
従って、画像処理装置54が、長尺画像g0を右端側から順に分割幅W0ずつ順次分割し、印刷処理装置2が、その分割順序に従って複数のシート92へ複数の分割画像g1をそれぞれ形成する。これにより、右辺で綴じられた印刷物92xにおいて、複数の分割画像g1が、長尺画像g0における有意な向きに対応したページ順序で並ぶ。
【0105】
図9は、右端を始点とする長尺画像g0について、綴じ位置情報f23が“左辺”に設定され、かつ、優先指定情報f24が“OFF”に設定された例を示す。この場合、分割始点St0が、第3画像編成規則R3に基づいて“左端”に設定される。さらに、シート向きSf0が、第4画像編成規則R4に基づいて“A4横向き”に設定される。
【0106】
従って、画像処理装置54が、長尺画像g0を左端側から順に分割幅W0ずつ順次分割し、印刷処理装置2が、その分割順序に従って複数のシート92へ複数の分割画像g1をそれぞれ形成する。これにより、左辺で綴じられた印刷物92xにおいて、複数の分割画像g1が、長尺画像g0における有意な向きに対応したページ順序で並ぶ。
【0107】
図10は、右端を始点とする長尺画像g0について、綴じ位置情報f23が“左辺”に設定され、かつ、優先指定情報f24が“ON”に設定された例を示す。この場合、分割始点St0が、第3画像編成規則R3に基づいて“右端”に設定される。さらに、シート向きSf0が、第4画像編成規則R4に基づいて“A4縦向き”に設定される。
【0108】
従って、画像処理装置54が、長尺画像g0を右端側から順に分割幅W0ずつ順次分割し、印刷処理装置2が、その分割順序に従って複数のシート92へ複数の分割画像g1をそれぞれ形成する。さらに、画像処理装置54は、複数の分割画像g1各々をシート向きSf0に対応させて90度回転させる。
【0109】
印刷処理装置2が電子写真方式で複数のシート92にそれぞれ複数の分割画像g1を形成する場合、シート92における前記副走査方向の両端部において、連続性が悪化しやすい。前述したように、前記副走査方向は、前記シート搬送方向である。
【0110】
電子写真方式の印刷処理装置2において、トナー像が、シート92における前記シート搬送方向の先端部に形成されると、シート92の前記先端部が定着装置2hの加熱ローラーに付着する現象が生じやすい。シート92の先端部が前記加熱ローラーに付着すると、シート92が定着装置2hの加熱ローラーに巻き込まれ、画質が悪化するという印刷不良が生じやすい。
【0111】
さらに、電子写真方式の印刷処理装置2において、シート92における前記シート搬送方向の後端部は、搬送機構2bにより搬送されているときにシート搬送路の壁に比較的激しく衝突しやすい。そのため、前記トナー像が、シート92の前記後端部の画像が悪化するという印刷不良が生じやすい。
【0112】
前記印刷不良が生じると、複数枚のシート92が前記副走査方向に沿って並べられたときに、複数の分割画像g1の境界部分の再現性、即ち、複数の分割画像g1の連続性が損なわれる。
【0113】
また、シート92における前記副走査方向の両端部に余白が設定されると、複数枚のシート92が前記副走査方向に沿って並べられたときに、複数の分割画像g1が前記余白によって分断される。そのため、印刷物92xにおける複数の分割画像g1の連続性が損なわれる。
【0114】
図10に示される例は、優先指定情報f24が“ON”に設定された例である。そのため、印刷物92xにおいて、複数の分割画像g1の境界部分が、シート92における前記主走査方向の端に沿って形成される。シート92における前記主走査方向の端では、前記印刷不良が生じにくい。
【0115】
従って、画像方向情報f22、綴じ位置情報f23および優先指定情報f24の組み合わせから、分割位置Ps1、前記分割順序およびシート向きSf0が特定されれば、複数の分割画像g1の連続性が良好な印刷物92xを得ることができる。
【0116】
なお、図10は、印刷物92xが左辺で綴じられる例を示すが、印刷物92xが右辺で綴じられる場合も同様の効果が得られる。
【0117】
図11は、左端を始点とする長尺画像g0について、綴じ位置情報f23が“右辺”に設定され、かつ、優先指定情報f24が“OFF”に設定された例を示す。この場合、分割始点St0が、第3画像編成規則R3に基づいて“左端”に設定される。さらに、シート向きSf0が、第4画像編成規則R4に基づいて“A4横向き”に設定される。
【0118】
従って、画像処理装置54が、長尺画像g0を左端側から順に分割幅W0ずつ順次分割し、印刷処理装置2が、その分割順序に従って複数のシート92へ複数の分割画像g1をそれぞれ形成する。これにより、右辺で綴じられた印刷物92xにおいて、複数の分割画像g1が、長尺画像g0における有意な向きに対応したページ順序で並ぶ。
【0119】
図12は、左端を始点とする長尺画像g0について、綴じ位置情報f23が“左辺”に設定され、かつ、優先指定情報f24が“OFF”に設定された例を示す。この場合、分割始点St0が、第3画像編成規則R3に基づいて“左端”に設定される。さらに、シート向きSf0が、第4画像編成規則R4に基づいて“A4横向き”に設定される。
【0120】
従って、画像処理装置54が、長尺画像g0を左端側から順に分割幅W0ずつ順次分割し、印刷処理装置2が、その分割順序に従って複数のシート92へ複数の分割画像g1をそれぞれ形成する。これにより、左辺で綴じられた印刷物92xにおいて、複数の分割画像g1が、長尺画像g0における有意な向きに対応したページ順序で並ぶ。
【0121】
図13は、左端を始点とする長尺画像g0について、綴じ位置情報f23が“左辺”に設定され、かつ、優先指定情報f24が“ON”に設定された例を示す。この場合、分割始点St0が、第3画像編成規則R3に基づいて“左端”に設定される。さらに、シート向きSf0が、第4画像編成規則R4に基づいて“A4縦向き”に設定される。
【0122】
従って、画像処理装置54が、長尺画像g0を左端側から順に分割幅W0ずつ順次分割し、印刷処理装置2が、その分割順序に従って複数のシート92へ複数の分割画像g1をそれぞれ形成する。さらに、画像処理装置54は、複数の分割画像g1各々をシート向きSf0に対応させて90度回転させる。
【0123】
図13に示される例においても、図10に示される例と同様の効果が得られる。
【0124】
[応用例]
前記条件情報において、短辺長情報f21、優先指定情報f24および後処理情報f25のうちの一部または全部が省略されることも考えられる。
【0125】
例えば、長尺画像g0の短手方向の長さが予め定められていれば、短辺長情報f21の省略が可能である。また、前記条件情報において、優先指定情報f24が省略された状態は、優先指定情報f24が常に"OFF"に設定されている状態と同じである。
【0126】
前記条件情報の後処理情報f25が省略される場合、第1画像編成規則R1および第2画像編成規則R2が、長尺画像g0の短手方向の長さに応じて、分割幅W0が一意に定まる規則に置き換えられることが考えられる。
【0127】
また、画像形成装置10が後処理装置4を備えていない場合、前記条件情報の後処理情報f25は省略される。
【符号の説明】
【0128】
1 :画像読取装置
1a :光源
1b :走査機構
1c :イメージセンサー
2 :印刷処理装置
2a :シート収容部
2b :搬送機構
2c :感光体
2d :帯電装置
2e :レーザースキャニングユニット
2f :現像装置
2g :転写装置
2h :定着装置
3 :ユーザーインターフェイスデバイス
3a :操作装置
3b :表示装置
4 :後処理装置
4a :ステイプル装置
4b :穿孔装置
5 :制御ユニット
6 :通信装置
10 :画像形成装置
51 :CPU
51a :プロセス制御装置
51b :ユーザーインターフェイス制御装置
51c :分割条件設定装置
52 :RAM
53 :二次記憶装置
54 :画像処理装置
80 :ネットワーク
91 :原稿
92 :シート
92x :印刷物
A4 :定型
D1 :読取画像データ
D2 :印刷データ
H0 :縦カット値
Ps1 :分割位置
R1 :第1画像編成規則
R2 :第2画像編成規則
R3 :第3画像編成規則
R4 :第4画像編成規則
Sf0 :シート向き
St0 :分割始点
W0 :分割幅
W1 :基準分割幅
W2 :補正値
f0 :選択画面
f1 :項目
f2 :選択肢
f21 :短辺長情報
f22 :画像方向情報
f23 :位置情報
f24 :優先指定情報
f25 :後処理情報
f3 :確定アイコン
f4 :中止アイコン
g0 :長尺画像
g1 :分割画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13