(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記配線部材の前記第一領域は、前記第一主面における、前記第一主面に直交する方向から見て前記複数の外部電極の間に位置している第二領域と接合されている、請求項1に記載の振動デバイス。
前記圧電素体は、前記第一主面に直交する方向から見て前記複数の外部電極の間に位置している領域に、圧電的に活性な領域を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の振動デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0019】
図1〜
図6を参照して、本実施形態に係る振動デバイス1の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る振動デバイスの平面図である。
図2は、本実施形態に係る振動デバイスの分解斜視図である。
図3、
図4、及び
図5は、本実施形態に係る振動デバイスの断面構成を示す図である。
図6は、圧電素子の構成を示す分解斜視図である。
【0020】
振動デバイス1は、
図1及び
図2に示されているように、圧電素子10、配線部材50、及び振動部材60を備えている。圧電素子10は、圧電素体11と、複数の外部電極13,15と、を有している。本実施形態では、圧電素子10は、二つの外部電極13,15を有している。
【0021】
圧電素体11は、直方体形状を呈している。圧電素体11は、互いに対向している一対の主面11a,11b、互いに対向している一対の側面11c、互いに対向している一対の側面11eを有している。直方体形状には、たとえば、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。一対の主面11a,11bが対向している方向が第一方向D1である。第一方向D1は、各主面11a,11bに直交する方向でもある。一対の側面3cが対向している方向が、第二方向D2である。第二方向D2は、各側面11cに直交する方向でもある。一対の側面11eが対向している方向が、第三方向D3である。第三方向D3は、各側面11eに直交する方向でもある。
【0022】
各主面11a,11bは、一対の長辺と一対の短辺とを有している。各主面11a,11bは、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。すなわち、圧電素子10(圧電素体11)は、平面視で、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。長方形状には、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状が含まれる。本実施形態では、主面11a,11bの長辺方向は、第三方向D3と一致する。主面11a,11bの短辺方向は、第二方向D2方向と一致する。
【0023】
一対の側面11cは、一対の主面11a,11bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面3cは、第三方向D3にも延在している。一対の側面11eは、一対の主面11a,11bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面11eは、第二方向D2にも延在している。圧電素体11の第二方向D2での長さは、たとえば、10mmである。圧電素体11の第三方向D3での長さは、たとえば、20mmである。圧電素体11の第一方向D1での長さは、たとえば、200μmである。各主面11a,11bと各側面11c,11eとは、間接的に隣り合っていてもよい。この場合、各主面11a,11bと各側面11c,11eとの間には、稜線部が位置する。
【0024】
圧電素体11は、
図3〜
図6に示されるように、複数の圧電体層17a,17b,17c,17dが第一方向D1に積層されて構成されている。圧電素体11は、積層されている複数の圧電体層17a,17b,17c,17dを有している。本実施形態では、圧電素体11は、四つの圧電体層17a,17b,17c,17dを有している。圧電素体11では、複数の圧電体層17a,17b,17c,17dが積層されている方向が第一方向D1と一致する。圧電体層17aは、主面11aを有している。圧電体層17dは、主面11bを有している。圧電体層17b,17cは、圧電体層17aと圧電体層17dとの間に位置している。
【0025】
各圧電体層17a,17b,17c,17dは、圧電材料からなる。本実施形態では、各圧電体層17a,17b,17c,17dは、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料には、たとえば、PZT[Pb(Zr、Ti)O
3]、PT(PbTiO
3)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O
3]、又はチタン酸バリウム(BaTiO
3)が用いられる。各圧電体層17a,17b,17c,17dは、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の圧電素体11では、各圧電体層17a,17b,17c,17dは、各圧電体層17a,17b,17c,17dの間の境界が認識できない程度に一体化されている。
【0026】
圧電素子10は、
図3〜
図6に示されるように、圧電素体11内に配置されている複数の内部電極19,21,23を備えている。本実施形態では、圧電素子10は、三つの内部電極19,21,23を備えている。各内部電極19,21,23は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金が用いられる。各内部電極19,21,23は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。本実施形態では、各内部電極19,21,23の外形形状は、長方形状である。
【0027】
各内部電極19,21,23は、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。内部電極19と内部電極21とは、第一方向D1に間隔を有して対向している。内部電極21と内部電極23とは、第一方向D1に間隔を有して対向している。内部電極19は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。内部電極21は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。内部電極23は、圧電体層17cと圧電体層17dとの間に位置している。各内部電極19,21,23は、圧電素体11の表面には露出していない。すなわち、各内部電極19,21,23は、各側面11c,11eには露出していない。各内部電極19,21,23は、第一方向D1から見て、主面11a,11bの全ての縁(四辺)から離間している。
【0028】
各外部電極13,15は、主面11a上に配置されている。外部電極13と外部電極15とは、第三方向D3に並んでいる。外部電極13と外部電極15とは、第三方向D3で隣り合っている。各外部電極13,15は、第一方向D1から見て、主面11aの全ての縁(四辺)から離間している。各外部電極13,15は、第一方向D1から見て、矩形状を呈している。矩形状も、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状が含まれる。各外部電極13,15は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金が用いられる。各外部電極13,15は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
【0029】
外部電極13は、ビア導体31を通して接続導体25と電気的に接続されている。接続導体25は、内部電極19と同じ層に位置している。接続導体25は、内部電極19の内側に位置している。内部電極19には、第一方向D1から見て、外部電極13に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体25は、内部電極19に形成されている開口内に位置している。第一方向D1から見て、接続導体25の全縁が、内部電極19で囲まれている。
【0030】
接続導体25は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。内部電極19と接続導体25とは、離間している。接続導体25は、第一方向D1で、外部電極13と対向している。ビア導体31は、外部電極13と接続されていると共に、接続導体25と接続されている。接続導体25は、ビア導体33を通して内部電極21と電気的に接続されている。接続導体25は、第一方向D1で、内部電極21と対向している。ビア導体33は、接続導体25と接続されていると共に、内部電極21と接続されている。
【0031】
内部電極21は、ビア導体35を通して接続導体27と電気的に接続されている。接続導体27は、内部電極23と同じ層に位置している。接続導体27は、内部電極23の内側に位置している。内部電極23には、第一方向D1から見て、外部電極13(接続導体25)に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体27は、内部電極23に形成されている開口内に位置している。第一方向D1から見て、接続導体27の全縁が、内部電極23で囲まれている。
【0032】
外部電極15は、ビア導体37を通して内部電極19と電気的に接続されている。内部電極19は、第一方向D1で、外部電極15と対向している。ビア導体37は、外部電極15と接続されていると共に、内部電極19と接続されている。
【0033】
内部電極19は、ビア導体39を通して接続導体29と電気的に接続されている。接続導体29は、内部電極21と同じ層に位置している。接続導体29は、内部電極21の内側に位置している。内部電極21には、第一方向D1から見て、外部電極15に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体29は、内部電極21に形成されている開口内に位置している。第一方向D1から見て、接続導体29の全縁が、内部電極21で囲まれている。
【0034】
接続導体29は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。内部電極21と接続導体29とは、離間している。接続導体29は、第一方向D1で、内部電極19と対向している。ビア導体39は、内部電極19と接続されていると共に、接続導体29と接続されている。接続導体29は、ビア導体41を通して内部電極23と電気的に接続されている。接続導体29は、第一方向D1で、内部電極23と対向している。ビア導体41は、接続導体29と接続されていると共に、内部電極23と接続されている。
【0035】
外部電極13は、ビア導体31、接続導体25、及び、ビア導体33を通して、内部電極21と電気的に接続されている。外部電極15は、ビア導体37を通して、内部電極19と電気的に接続されている。外部電極15は、ビア導体37、内部電極19、ビア導体39、接続導体29、及び、ビア導体41を通して、内部電極23と電気的に接続されている。
【0036】
接続導体25,27,29及びビア導体31,33,35,37,39,41は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金が用いられる。接続導体25,27,29及びビア導体31,33,35,37,39,41は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。接続導体25,27,29は、矩形状を呈している。ビア導体31,33,35,37,39,41は、対応する圧電体層17a,17b,17cを形成するためのセラミックグリーンシートに形成された貫通孔に充填された導電性ペーストが焼結することにより形成される。
【0037】
圧電素体11の主面11bには、内部電極19,23と電気的に接続されている導体と、内部電極21と電気的に接続されている導体とは配置されていない。本実施形態では、主面11bを第一方向D1から見たとき、主面11bの全体が露出している。主面11a,11bは、自然面である。自然面とは、焼成により成長した結晶粒の表面により構成される面である。
【0038】
圧電素体11の各側面11c,11eにも、内部電極19,23と電気的に接続されている導体と、内部電極21と電気的に接続されている導体とは配置されていない。本実施形態では、各側面11cを第二方向D2から見たとき、各側面11cの全体が露出している。各側面11eを第三方向D3から見たとき、各側面11eの全体が露出している。本実施形態では、各側面11c,11eも、自然面である。
【0039】
圧電体層17bにおける内部電極19と内部電極21とで挟まれた領域と、圧電体層17cにおける内部電極21と内部電極23とで挟まれた領域とは、圧電的に活性な領域を構成する。本実施形態では、圧電的に活性な領域は、第一方向D1から見て、複数の外部電極13,15を囲むように位置している。第一方向D1から見て、圧電素体11は、外部電極13と外部電極15との間に位置している領域に、圧電的に活性な領域を含んでいる。第一方向D1から見て、圧電素体11は、外部電極13と外部電極15とが位置している領域の外側にも、圧電的に活性な領域を含んでいる。
【0040】
配線部材50は、
図3〜
図5も示されているように、ベース51、複数の導体53,55、カバー57、及び補強部材59を有している。本実施形態では、配線部材50は、一対の導体53,55を備えている。配線部材50は、たとえば、フレキシブルプリント基板(FPC)である。配線部材50は、主面11a,11bの長辺と交差するように配置されている。配線部材50が延在している方向は、第二方向D2と交差している。本実施形態では、配線部材50は、主面11a,11bの長辺と直交するように配置されている。配線部材50が延在している方向は、第二方向D2と直交している。配線部材50は、第二方向D2に延在している。配線部材50は、圧電素子10と電気的かつ物理的に接続されている一端部と、振動デバイス1が搭載される電子機器(不図示)と電気的かつ物理的に接続される他端部とを有している。
【0041】
ベース51は、互いに対向している一対の主面51a,51bを有している。ベース51は、電気絶縁性を有している。ベース51は、樹脂からなる。ベース51は、たとえばポリイミド樹脂からなる。
【0042】
一対の導体53,55は、ベース51(主面51a)上に配置されている。一対の導体53,55は、接着層52によって、ベース51に接合されている。接着層52は、各導体53,55とベース51との間に位置している。導体53と導体55とは、配線部材50が延在している方向に延在している。導体53と導体55とは、導体53,55が延在している方向と交差する方向で離間している。各導体53,55は、たとえば、銅からなる。
【0043】
カバー57は、各導体53,55の一部を覆うように、各導体53,55上に配置されている。各導体53,55は、配線部材50の一端部及び他端部で、カバー57から露出している。カバー57は、ベース51における各導体53,55から露出している領域を覆うように、主面51a上にも配置されている。カバー57は、接着層56によって、各導体53,55に接合されている。
【0044】
ベース51は、配線部材50の一端部及び他端部で、カバー57から露出している。ベース51とカバー57とは、各導体53,55から露出している領域で互いに接合されている。カバー57は、樹脂からなる。カバー57は、たとえば、ポリイミド樹脂からなる。各導体53,55の、カバー57から露出している領域には、たとえば、ニッケルめっき及び金フラッシュめっきが施されている。
【0045】
補強部材59は、配線部材50の他端部に配置されている。補強部材59は、ベース51(主面51b)上に配置されている。補強部材59は、接着層58によって、ベース51に接合されている。接着層58は、補強部材59とベース51との間に位置している。補強部材59は、電気絶縁性を有する板状の部材である。補強部材59は、たとえば、ポリイミド樹脂からなる。
【0046】
振動部材60は、
図3〜
図5に示されるように、互いに対向している主面60a,60bを有している。本実施形態では、振動部材60は、板状の部材である。振動部材60は、たとえば、金属からなる。振動部材60は、たとえば、Ni−Fe合金、Ni、黄銅、又はステンレス鋼からなる。各主面60a,60bは、一対の長辺と一対の短辺とを有している。各主面60a,60bは、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。すなわち、振動部材60は、平面視で、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。本実施形態では、主面60a,60bの長辺方向は、第三方向D3と一致する。主面60a,60bの短辺方向は、第二方向D2方向と一致する。振動部材60の第二方向D2での長さは、たとえば、15mmである。振動部材60の第三方向D3での長さは、たとえば、30mmである。振動部材60の第一方向D1での長さは、たとえば、100μmである。
【0047】
圧電素子10は、樹脂層61によって振動部材60に接合されている。圧電素体11の主面11bと振動部材60の主面60aとが互いに対向している。樹脂層61は、主面11bと主面60aとの間に位置している。主面11bと主面60aとが、樹脂層61によって接合されている。樹脂層61は、樹脂(たとえば、エポキシ樹脂又はアクリル系樹脂)からなる。樹脂層61は、導電性のフィラーを含んでおらず、電気絶縁性を有している。圧電素子10が振動部材60に接合された状態では、第一方向D1と、主面60aと主面60bとが対向している方向とは略同じである。第一方向D1から見て、圧電素子10は、振動部材60(主面60a)の略中央に配置されている。
【0048】
配線部材50は、振動部材60の主面60a,60bの長辺と交差するようにも配置されている。本実施形態では、配線部材50は、主面60a,60bの長辺と直交するように配置されている。配線部材50は、
図3、
図4、及び
図7に示されるように、三つの領域50A,50B,50Cを有している。
【0049】
領域50Aは、外部電極13,15上に位置している。領域50Aは、配線部材50の一端部に含まれる。領域50Aは、ベース51と導体53,55とを含んでいる。領域50Aは、第一方向D1から見て、外部電極13と外部電極15とを一体的に覆っている。領域50Aは、主面11aにおける、第一方向D1から見て外部電極13と外部電極15との間に位置している領域も覆っている。領域50Aは、外部電極13,15及び主面11a(外部電極13と外部電極15との間に位置している上記領域)と対向している。領域50Aでは、各導体53,55が露出している。領域50Aでは、ベース51と主面11aとが対向している。
【0050】
領域50Aは、接続部材70によって、圧電素子10と接合されている。領域50Aは、接続部材70によって、外部電極13,15と接合されている。接続部材70は、第一方向D1から見て外部電極13と外部電極15とを一体的に覆うように、領域50Aと圧電素子10との間に設けられている。接続部材70は、樹脂層71と、複数の金属粒子73とを有している。本実施形態では、樹脂層71は、領域50Aと、外部電極13,15及び主面11aとの間に存在している。互いに対応する外部電極13,15と導体53,55との間には、樹脂層71が存在している。複数の金属粒子73は、樹脂層71内に配置されている。樹脂層71は、たとえば、熱硬化性エラストマーからなる。金属粒子73は、たとえば、金めっき粒子からなる。接続部材70は、たとえば、異方性導電ペースト又は異方性導電膜が硬化することにより形成される。
【0051】
互いに対応する外部電極13,15と導体53,55とは、金属粒子73によって接続されている。互いに対応する外部電極13,15と導体53,55とは、金属粒子73を通して電気的に接続されている。導体53は、金属粒子73及び外部電極13を通して、内部電極21と電気的に接続されている。導体55は、金属粒子73及び外部電極15を通して、内部電極19,23と電気的に接続されている。
【0052】
本実施形態では、領域50Aは、樹脂層71によって、主面11aにおける、第一方向D1から見て外部電極13と外部電極15との間に位置している上記領域と接合されている。領域50Aでは、ベース51(接着層52)は、樹脂層71によって、主面11aと接合されている。領域50Aと、主面11a(外部電極13と外部電極15との間に位置している上記領域)との間には、少なくとも一つのスペーサ75が配置されている。スペーサ75は、樹脂層71内に配置されている。スペーサ75の第一方向D1での長さは、領域50Aと、主面11a(外部電極13と外部電極15との間に位置している上記領域)との間隔と同等である。スペーサ75は、たとえば、金めっき粒子からなる。
【0053】
領域50Bは、振動部材60の主面60a上に位置している。領域50Bは、ベース51、導体53,55、及びカバー57を含んでいる。領域50Bでは、導体53,55は露出していない。領域50Bは、主面60aと接合されている。本実施形態では、領域50Bは、樹脂層63によって主面60aと接合されている。領域50Bに含まれるカバー57は、樹脂層63によって主面60aと接合されている。振動部材60(主面60a)と領域50B(カバー57)との接合面積は、外部電極13の面積と外部電極15の面積の合計値より大きい。
【0054】
樹脂層63は、樹脂層61と接している。樹脂層63は、樹脂層61と離間していてもよい。樹脂層63は、振動部材60の側面と接していてもよい。樹脂層63は、振動部材60の主面60bとは接していない。すなわち、樹脂層63は、主面60b上には設けられていない。樹脂層63は、たとえば、ニトリルゴムからなる。樹脂層63は、樹脂層61と同じ材料であってもよい。樹脂層63は、樹脂層61と異なる材料であってもよい。
【0055】
領域50Cは、領域50Aと領域50Bとの間で、圧電素体11の主面11a上に位置している。本実施形態では、領域50Cと領域50Aとは連続していると共に、領域50Cと領域50Bとは連続している。領域50Cは、領域50Aと領域50Bとの間に位置している。領域50Cは、領域50A寄りの第一端50C
1と領域50B寄りの第二端50C
2とを有している。領域50Cは、ベース51、導体53,55、及びカバー57を含んでいる。領域50Cは、第二方向D2から見て、主面11aから離れる方向に凸状に湾曲した形状を呈している。
【0056】
図7にも示されるように、領域50Cと主面11aとの間隔Gが最大である位置P1は、第一端50C
1と第二端50C
2との間に位置している。間隔Gは、位置P1から第一端50C
1に向かうにしたがって徐々に小さくなっていると共に、位置P1から第二端50C
2に向かうにしたがって徐々に小さくなっている。間隔Gは、第一方向D1での主面11aから領域50Cまで距離である。間隔Gは、第一方向D1での主面11aからカバー57(
図7では、不図示)まで距離である。領域50Cでは、配線部材50は、圧電素体11の主面11aと交差する方向に延在している。間隔Gの最大値(位置P1での間隔G)は、たとえば、50〜200μmである。本実施形態では、間隔Gの最大値は、80μmである。
【0057】
位置P1から第一端50C
1までの距離L1は、位置P1から第二端50C
2までの距離L2より大きい。距離L1は、第二方向D2に沿った位置P1と第一端50C
1との間隔である。距離L2は、第二方向D2に沿った位置P1と第二端50C
2との間隔である。領域50Cの第二端50C
2は、圧電素体11の縁、すなわち、主面11aの一辺と接している。本実施形態では、領域50Cは、第二端50C
2を除いて、圧電素体11(主面11a)から離間している。距離L1は、たとえば、2.0〜3.0mmである。本実施形態では、距離L1は、2.5mmである。距離L2は、たとえば、0.3〜1.5mmである。本実施形態では、距離L2は、1.0mmである。
【0058】
極性が異なる電圧が、導体53,55を通して、外部電極13と外部電極15とに印加されると、内部電極21と内部電極19,23との間で電界が発生する。圧電体層17bにおける内部電極19と内部電極21とで挟まれた領域と、圧電体層17cにおける内部電極21と内部電極23とで挟まれた領域とが、圧電的に活性な領域となり、これらの圧電的に活性な領域に変位が発生する。圧電素子10は、外部電極13,15に交流電圧が印加されると、印加された交流電圧の周波数に応じて伸縮を繰り返す。圧電素子10と振動部材60とは接合されている。したがって、振動部材60は、圧電素子10における伸縮の繰り返しに応じて、圧電素子10と一体に撓み振動を繰り返す。
【0059】
以上のように、本実施形態では、配線部材50は、領域50Bで、振動部材60と接合されている。したがって、振動デバイス1が振動した場合でも、領域50Aと外部電極13,15との接合箇所に機械的負荷が作用し難い。
【0060】
領域50Bが振動部材60と接合されている場合でも、振動デバイス1の振動に伴い、領域50Aと外部電極13,15との接合箇所に対し、領域50Aが外部電極13,15から剥離する方向に力が領域50Cから作用するおそれがある。領域50Cから作用する力は、領域50Cが圧電素体11の主面11aと平行である場合、すなわち、領域50Cと主面11aとの間隔Gが一定である場合に大きく、間隔Gが以下のように変化する場合に小さい。間隔Gが、位置P1から第一端50C
1に向かうにしたがって徐々に小さくなると共に、位置P1から第二端50C
2に向かうにしたがって徐々に小さくなる。
【0061】
振動デバイス1では、領域50Cと主面11aとの間隔Gが上述したように変化しているので、振動デバイス1が振動した場合でも、領域50Cから領域50Aと外部電極13,15との接合箇所に作用する力が小さい。したがって、領域50Aと外部電極13,15との接合箇所に機械的負荷がより一層作用し難く、領域50Aと外部電極13,15との剥離が生じ難い。この結果、振動デバイス1では、外部電極13,15と配線部材50との電気的な接続が確保され、振動デバイス1の電気的な信頼性が低下し難い。
【0062】
振動デバイス1では、領域50Cの第二端50C
2は、圧電素体11の縁と接している。この場合、領域50Cから領域50Aと外部電極13,15との接合箇所に作用する力の方向が変化し難い。したがって、領域50Aと外部電極13,15との接合箇所に、意図しない方向から力が作用することが抑制され、領域50Aと外部電極13,15との接合箇所に機械的負荷がより一層作用し難い。この結果、振動デバイス1の電気的な信頼性がより一層低下し難い。
【0063】
振動デバイス1では、位置P1から第一端50C
1までの距離L1は、位置P1から第二端50C
2までの距離L2より大きい。この場合、領域50Cから領域50Aと外部電極13,15との接合箇所に作用する力がより一層小さくなる。したがって、振動デバイス1の電気的な信頼性がより一層低下し難い。
【0064】
振動デバイス1では、振動部材60と領域50Bとの接合面積は、複数の外部電極13,15の合計面積より大きい。振動デバイス1では、振動部材60と領域50Bとの接合面積が、複数の外部電極13,15の合計面積以下である振動デバイスに比して、領域50Cから領域50Aと外部電極13,15との接合箇所に作用する力が小さい。したがって、振動デバイス1の電気的な信頼性がより一層低下し難い。
【0065】
振動デバイス1では、樹脂層61と樹脂層63とが同じ材料からなる場合、振動デバイス1が製造される際に、圧電素子10と配線部材50とが、一つの過程で振動部材60に接合されることが可能である。この場合、振動デバイス1の製造過程の簡素化が図られる。
【0066】
振動デバイス1では、配線部材50は、ベース51、複数の導体53,55、及びカバー57を有していてもよい。カバー57が、振動部材60に接合されている。各導体53,55は、ベース51上に配置されており、対応する外部電極13,15に接続されている。カバー57は、各導体53,55を覆うようにベース51上に設けられている。振動デバイス1では、振動部材60が導電性の部材(たとえば、金属)からなる場合でも、振動部材60と各導体53,55とが確実に電気的に絶縁される。
【0067】
振動デバイス1では、領域50Aにおいて、ベース51が圧電素体11の主面11aと対向していると共に、ベース51と主面11aとが樹脂層71によって接合されている。したがって、振動デバイス1では、配線部材50(領域50A)と圧電素子10との接合面積が大きく、配線部材50(領域50A)と圧電素子10との接合強度が向上する。振動デバイス1では、各外部電極13,15は、樹脂層71で覆われている。したがって、外部電極13と外部電極15とが、主面11a上において、確実に互いに電気的に絶縁される。
【0068】
振動デバイス1では、圧電素子10及び振動部材60は、平面視で、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。配線部材50は、上記長辺と交差するように配置されている。振動デバイス1では、配線部材50が上記短辺と交差するように配置されている振動デバイスに比して、振動部材60と領域50Bとの接合面積が容易に確保される。したがって、振動部材60と配線部材50との接合強度が確保され、振動部材60と配線部材50との剥離が抑制される。振動デバイス1では、配線部材50が上記短辺と交差するように配置されている振動デバイスに比して、領域50Aと圧電素子10との接合面積も容易に確保される。したがって、領域50Aと圧電素子10との接合強度が確保され、領域50Aと圧電素子10との剥離が抑制される。
【0069】
振動デバイス1では、互いに対応する外部電極13,15と導体53,55との間に樹脂層71が存在している。互いに対応する外部電極13,15と導体53,55とは、樹脂層71内に配置されている金属粒子73によって接続されている。したがって、振動デバイス1では、配線部材50(領域50A)と圧電素子10との接合強度を阻害することなく、外部電極13,15と導体53,55との電気的な接続が確立される。
【0070】
振動デバイス1では、複数の外部電極13,15は、圧電素体11の主面11a上に配置されている。圧電素体11の主面11bは、外部電極13,15で覆われていない。複数の外部電極13,15と接合される領域50Aは、複数の外部電極13,15上に位置している。互いに接合される圧電素体11の主面11bと振動部材60の主面60aとの間には、外部電極13,15及び配線部材50が位置していない。したがって、振動デバイス1では、圧電素子10の変位を振動部材60に伝達する効率が高く、圧電素子10の変位が、振動部材60に適切に伝達される。この結果、振動デバイス1の変位量が向上する。
【0071】
振動デバイス1では、駆動状態から非駆動状態に遷移した直後に、振動部材60の振動が直ちに減衰せず、残留振動が生じるおそれがある。たとえば、振動デバイス1が、触覚を付与するためのアクチュエータに適用される場合、振動デバイス1に残留振動が生じると、適切な触覚が付与され難い。
【0072】
振動デバイス1では、配線部材50の領域50Aは、第一方向D1から見て、複数の外部電極13,15を一体的に覆っている。配線部材50は、残留振動を減衰させる機能する。したがって、振動デバイス1では、配線部材50(領域50A)が、第一方向D1から見て、複数の外部電極13,15をそれぞれ独立して覆っている振動デバイスに比して、第一方向D1から見たときの配線部材50(領域50A)の面積が大きく、残留振動を減衰する機能が高い。この結果、振動デバイス1では、残留振動が抑制される。
【0073】
振動デバイス1では、配線部材50の領域50Aは、主面11aにおける、第一方向D1から見て外部電極13と外部電極15との間に位置している領域と接合されている。したがって、領域50Aが圧電素子10から剥離し難い。この結果、振動デバイス1では、残留振動が確実に抑制される。
【0074】
振動デバイス1では、配線部材50の領域50Aと、主面11aにおける、第一方向D1から見て外部電極13と外部電極15との間に位置している領域との間には、スペーサ75が配置されている。したがって、領域50Aと、主面11aにおける、第一方向D1から見て外部電極13と外部電極15との間に位置している領域との間隔にばらつきが生じ難い。この結果、領域50Aと圧電素子10との接合状態が安定し、領域50Aが圧電素子10からより一層剥離し難い。
【0075】
振動デバイス1では、圧電素体11は、第一方向D1から見て外部電極13と外部電極15との間に位置している領域に、圧電的に活性な領域を有している。したがって、圧電素子10の変位が向上する。この結果、振動デバイス1の変位量がより一層向上する。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0077】
接続部材70は、第一方向D1から見て外部電極13と外部電極15とを個々に覆うように、領域50Aと圧電素子10との間に設けられていてもよい。この場合、
図8及び
図9に示されるように、接続部材70は、複数の接続部材70a,70bを有している。本変形例では、接続部材70は、二つの接続部材70a,70bを有している。各接続部材70a,70bは、樹脂層71と、複数の金属粒子73とを有している。
図8は、本変形例に係る振動デバイスの分解斜視図である。
図9は、本変形例に係る振動デバイスの断面構成を示す図である。
図8及び
図9に示された変形例では、上述された実施形態と、接続部材70の構成で相違している。
【0078】
接続部材70aは、第一方向D1から見て外部電極13を覆うように、領域50A(導体53)と外部電極13との間に設けられている。接続部材70aの樹脂層71は、導体53と外部電極13との間に存在している。接続部材70aの金属粒子73は、導体53と外部電極13とを接続している。接続部材70bは、第一方向D1から見て外部電極15を覆うように、領域50A(導体55)と外部電極15との間に設けられている。接続部材70bの樹脂層71は、導体55と外部電極15との間に存在している。接続部材70bの金属粒子73は、導体55と外部電極15とを接続している。本変形例では、領域50Aにおいて、ベース51と主面11aとが樹脂層71によって接合されていない。
【0079】
圧電素体11は、
図10〜
図12に示されるように、第一方向D1から見て外部電極13と外部電極15との間に位置している領域に、圧電的に活性な領域を含んでいなくてもよい。
図10は、本変形例に係る振動デバイスの断面構成を示す図である。
図11は、圧電素子の構成を示す分解斜視図である。
図12は、別の変形例に係る振動デバイスの断面構成を示す図である。
図10及び
図11に示された変形例では、上述された実施形態と、各内部電極19,21,23の形状で相違している。
図12に示された変形例では、
図8及び
図9に示された変形例と、各内部電極19,21,23の形状で相違している。
【0080】
間隔Gは、たとえば、一定であってもよい。ただし、間隔Gが、位置P1から第一端50C
1に向かうにしたがって徐々に小さくなると共に、位置P1から第二端50C
2に向かうにしたがって徐々に小さくなる場合、上述したように、振動デバイス1の電気的な信頼性が低下し難い。第二端50C
2は、圧電素体11の縁から離間していてもよい。ただし、第二端50C
2が圧電素体11の縁に接している場合、上述したように、振動デバイス1の電気的な信頼性がより一層低下し難い。距離L1は、距離L2以下であってもよい。ただし、距離L1が距離L2より大きい場合、上述したように、振動デバイス1の電気的な信頼性がより一層低下し難い。振動部材60と領域50Bとの接合面積は、複数の外部電極13,15の合計面積以下であってもよい。ただし、振動部材60と領域50Bとの接合面積が複数の外部電極13,15の合計面積より大きい場合、上述したように、振動デバイス1の電気的な信頼性がより一層低下し難い。領域50Cの第一端50C
1は、圧電素体11(主面11a)と接していてもよい。
【0081】
領域50Aと主面11aとの間に、スペーサ75は配置されていなくてもよい。ただし、スペーサ75が領域50Aと主面11aとの間に配置されている場合、上述したように、領域50Aが圧電素子10からより一層剥離し難い。互いに対応する導体53,55と外部電極13,15とは、はんだ又は導電性樹脂により接合されていてもよい。
【0082】
圧電素子10が備える内部電極19,21,23の数、圧電体層17a,17b,17c,17dの数、外部電極13,15の数は、上述された実施形態及び変形例で開示した数に限られない。圧電素子10及び振動部材60は、平面視で、正方形状であってもよい。
【0083】
振動部材60は、電子機器などの筐体であってもよい。振動部材60は、電子機器などの筐体とは別の部材であってもよい。この場合、振動部材60は、面接着によって筐体に装着されてもよい。