特許第6822393号(P6822393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6822393
(24)【登録日】2021年1月12日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20210114BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20210114BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   H04N1/00 C
   B41J29/38 501
   G03G21/00 390
【請求項の数】15
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-251428(P2017-251428)
(22)【出願日】2017年12月27日
(65)【公開番号】特開2019-118034(P2019-118034A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2019年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内海 大祐
【審査官】 橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−191893(JP,A)
【文献】 特開2006−042196(JP,A)
【文献】 特開2009−284472(JP,A)
【文献】 特開2008−206196(JP,A)
【文献】 特開2007−114619(JP,A)
【文献】 特開2007−166342(JP,A)
【文献】 特開2007−306494(JP,A)
【文献】 特開2008−085820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 5/30
B41J29/38
G03G21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1データおよび前記第1データに対応付けられた第2データを記憶するとともに、前記第1データの出力を許可する許可条件を満たしているか否かを判断するための許可情報を記憶する記憶部と、
画像を読み取る画像読取部と、
画像を印刷する印刷部と、
前記第2データに基づく印刷で得られる印刷物である第1データ出力用印刷物を前記画像読取部が読み取ったか否かを判断し、前記画像読取部が前記第1データ出力用印刷物を読み取ったと判断したとき、前記許可条件を満たしていれば、前記第2データに対応する前記第1データに基づく印刷を前記印刷部に行わせる一方、前記許可条件を満たしていなければ、前記第2データに対応する前記第1データに基づく印刷を前記印刷部に行わせない制御部と、を備え
前記許可情報は、読取順を示す情報を含み、
前記制御部は、前記画像読取部による前記第1データ出力用印刷物の読み取り時に、前記第1データ出力用印刷物を含む複数枚の原稿を連続して読み取る連続読取が行われていなければ、前記許可条件を満たしていないと判断するとともに、前記連続読取が行われていたとしても、前記連続読取での前記第1データ出力用印刷物の前記読取順が前記許可情報で示される前記読取順と異なっていれば、前記許可条件を満たしていないと判断し、
前記許可情報は、判断用画像データを含み、
前記制御部は、前記連続読取で読み取られた前記第1データ出力用印刷物以外の原稿の画像データと前記判断用画像データとの類似度が予め定められた閾値を下回っていれば、前記許可条件を満たしていないと判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
第1データおよび前記第1データに対応付けられた第2データを記憶するとともに、前記第1データの出力を許可する許可条件を満たしているか否かを判断するための許可情報を記憶する記憶部と、
画像を読み取る画像読取部と、
画像を印刷する印刷部と、
前記第2データに基づく印刷で得られる印刷物である第1データ出力用印刷物を前記画像読取部が読み取ったか否かを判断し、前記画像読取部が前記第1データ出力用印刷物を読み取ったと判断したとき、前記許可条件を満たしていれば、前記第2データに対応する前記第1データに基づく印刷を前記印刷部に行わせる一方、前記許可条件を満たしていなければ、前記第2データに対応する前記第1データに基づく印刷を前記印刷部に行わせない制御部と、を備え、
前記制御部は、前記許可条件を満たしていないと判断したとき、前記第2データを消去する処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
第1データおよび前記第1データに対応付けられた第2データを記憶するとともに、前記第1データの出力を許可する許可条件を満たしているか否かを判断するための許可情報を記憶する記憶部と、
画像を読み取る画像読取部と、
画像を印刷する印刷部と、
前記第2データに基づく印刷で得られる印刷物である第1データ出力用印刷物を前記画像読取部が読み取ったか否かを判断し、前記画像読取部が前記第1データ出力用印刷物を読み取ったと判断したとき、前記許可条件を満たしていれば、前記第2データに対応する前記第1データに基づく印刷を前記印刷部に行わせる一方、前記許可条件を満たしていなければ、前記第2データに対応する前記第1データに基づく印刷を前記印刷部に行わせない制御部と、を備え、
第1データ出力モードをオンに設定する指示を受け付ける操作パネルを備え、
前記制御部は、前記操作パネルが前記第1データ出力モードをオンに設定する指示を受け付けてから前記画像読取部が原稿を読み取ると、前記画像読取部が前記第1データ出力用印刷物を読み取ったか否かを判断し、前記画像読取部が前記第1データ出力用印刷物を読み取ったと判断したとき、前記操作パネルが前記第1データ出力モードをオンに設定する指示を受け付けてから前記画像読取部による前記第1データ出力用印刷物の読み取りの開始までの待ち時間が予め定められた閾値時間を超えていれば、前記第2データを消去する処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
第1データおよび前記第1データに対応付けられた第2データを記憶するとともに、前記第1データの出力を許可する許可条件を満たしているか否かを判断するための許可情報を記憶する記憶部と、
画像を読み取る画像読取部と、
画像を印刷する印刷部と、
前記第2データに基づく印刷で得られる印刷物である第1データ出力用印刷物を前記画像読取部が読み取ったか否かを判断し、前記画像読取部が前記第1データ出力用印刷物を読み取ったと判断したとき、前記許可条件を満たしていれば、前記第2データに対応する前記第1データに基づく印刷を前記印刷部に行わせる一方、前記許可条件を満たしていなければ、前記第2データに対応する前記第1データに基づく印刷を前記印刷部に行わせない制御部と、を備え、
前記記憶部は、前記第1データに対応付けられた通知先を記憶し、
前記通知先と通信可能に接続される通信部を備え、
前記制御部は、前記許可条件を満たしていないと判断したとき、前記通知先に対し、前記通信部を介して、前記第1データ出力用印刷物の読み取りが行われた旨の報知情報を送信することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1データ出力用印刷物の読み取りを伴うジョブの内容を前記報知情報に含めることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
第1データおよび前記第1データに対応付けられた第2データを記憶するとともに、前記第1データの出力を許可する許可条件を満たしているか否かを判断するための許可情報を記憶する記憶部と、
画像を読み取る画像読取部と、
画像を印刷する印刷部と、
前記第2データに基づく印刷で得られる印刷物である第1データ出力用印刷物を前記画像読取部が読み取ったか否かを判断し、前記画像読取部が前記第1データ出力用印刷物を読み取ったと判断したとき、前記許可条件を満たしていれば、前記第2データに対応する前記第1データに基づく印刷を前記印刷部に行わせる一方、前記許可条件を満たしていなければ、前記第2データに対応する前記第1データに基づく印刷を前記印刷部に行わせない制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1データ出力用印刷物の画像を用紙に複写するコピージョブを実行するとき、前記画像読取部の読み取りで得られた前記第1データ出力用印刷物の画像データの一部に変更を加え、当該変更を加えた画像データに基づく印刷を前記印刷部に行わせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
第1データおよび前記第1データに対応付けられた第2データを記憶するとともに、前記第1データの出力を許可する許可条件を満たしているか否かを判断するための許可情報を記憶する記憶部と、
画像を読み取る画像読取部と、
画像を印刷する印刷部と、
前記第2データに基づく印刷で得られる印刷物である第1データ出力用印刷物を前記画像読取部が読み取ったか否かを判断し、前記画像読取部が前記第1データ出力用印刷物を読み取ったと判断したとき、前記許可条件を満たしていれば、前記第2データに対応する前記第1データに基づく印刷を前記印刷部に行わせる一方、前記許可条件を満たしていなければ、前記第2データに対応する前記第1データに基づく印刷を前記印刷部に行わせない制御部と、を備え、
第1データ保存モードをオンに設定する指示を受け付けるとともに、操作を受け付ける操作パネルを備え、
前記制御部は、前記第1データ保存モードがオンに設定された状態での前記画像読取部の原稿の読み取りで得られた画像データを前記第1データとして取得し、前記第1データを取得すると、前記第2データを作成する作成操作および前記許可情報を設定する設定操作の受け付けを前記操作パネルに行わせ、前記第1データおよび前記第2データを互いに対応付けて前記記憶部に記憶させるとともに、前記許可情報を前記第1データに対応付けて前記記憶部に記憶させ、前記第2データに基づく印刷を前記印刷部に行わせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
サーバーと通信可能に接続される通信部を備え、
前記制御部は、前記第1データおよび前記第2データを互いに対応付けて前記サーバーに記憶させるとともに、前記許可情報を前記第1データに対応付けて前記サーバーに記憶させることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記許可情報は、設定項目の設定値を示す情報を含み、
前記画像読取部による読み取りに際し前記設定項目の設定値の設定を受け付ける操作パネルを備え、
前記制御部は、前記画像読取部による前記第1データ出力用印刷物の読み取りに際し設定された前記設定項目の設定値と前記許可情報で示される前記設定項目の設定値とが異なっていれば、前記許可条件を満たしていないと判断することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像読取部は、搬送読取用コンタクトガラスおよび載置読取用コンタクトガラスを含み、搬送読取モードでは前記搬送読取用コンタクトガラスに自動搬送される原稿を読み取るとともに、載置読取モードでは前記載置読取用コンタクトガラスに載置された原稿を読み取り、
前記許可情報は、前記搬送読取モードおよび前記載置読取モードのうち許可読取モードを示す情報を含み、
前記制御部は、前記許可読取モードとは異なるモードで前記画像読取部が前記第1データ出力用印刷物を読み取ったとき、前記許可条件を満たしていないと判断することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
ユーザー認証の実行指示を受け付ける操作パネルを備え、
前記許可情報は、許可ユーザーを示す情報を含み、
前記制御部は、前記画像読取部が前記第1データ出力用印刷物を読み取った後、前記操作パネルが前記ユーザー認証の実行指示を受け付けると、前記ユーザー認証を行い、前記ユーザー認証の実行を指示したユーザーが前記許可ユーザーでなければ、前記許可条件を満たしていないと判断することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記画像読取部が前記第1データ出力用印刷物を読み取った後、所定時間内に、前記操作パネルが前記ユーザー認証の実行指示を受け付けなければ、前記許可条件を満たしていないと判断することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記許可情報は、使用期限を示す情報を含み、
前記制御部は、前記画像読取部が前記第1データ出力用印刷物を読み取ったとき、現在日時が前記使用期限を過ぎていれば、前記許可条件を満たしていないと判断することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記許可情報は、上限回数を示す情報を含み、
前記制御部は、前記第1データ出力用印刷物の読み取りを伴うジョブの実行回数が前記上限回数に達したとき、前記許可条件を満たしていないと判断することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記許可情報は、チェック領域の位置を示す情報を含み、
前記制御部は、前記画像読取部が前記第1データ出力用印刷物を読み取ったとき、当該読み取りで得られた前記第1データ出力用印刷物の画像データの前記チェック領域から所定画像を検出する処理を行い、前記所定画像を検出できなかった場合、前記許可条件を満たしていないと判断することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を印刷する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機密情報データをセキュアに管理する技術が種々提案されている。このような技術は、たとえば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1では、画像形成装置に機密情報データが記憶される。機密情報データを出力するには、画像形成装置に対し、ユーザーがパスワードを入力する必要がある。画像形成装置は、ユーザーにより入力されたパスワードが正しければ、画像形成装置に記憶された機密情報データに基づく印刷を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−132482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザーによっては、機密情報データを自身で管理したり、機密情報データを持ち運んだりしたい場合がある。この場合には、たとえば、ユーザー所有の携帯型記憶デバイス(USBメモリーなど)に機密情報データを保存することにより、機密情報データをユーザー自身で管理することができ、機密情報データを持ち運ぶこともできる。また、機密情報を印刷した印刷物が必要になったときには、機密情報データが保存された携帯型記憶デバイスを画像形成装置に接続することにより、容易に、機密情報が印刷された印刷物を得ることができる。
【0006】
ここで、携帯型記憶デバイスに機密情報データを保存した場合、機密情報データを保存した携帯型記憶デバイスが故障などすると、機密情報が印刷された印刷物を得ることができなくなる。したがって、ユーザーによっては、機密情報の印刷を行い、当該印刷によって得られた印刷物(紙媒体)を管理したり持ち運んだりする場合がある。
【0007】
しかし、この場合には、印刷物に印刷された機密情報の内容が第3者に漏洩する恐れがある。したがって、セキュリティ的に問題がある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、紙媒体での機密情報の管理や持ち運びをセキュアに行うことが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、第1データおよび第1データに対応付けられた第2データを記憶するとともに、第1データの出力を許可する許可条件を満たしているか否かを判断するための許可情報を記憶する記憶部と、画像を読み取る画像読取部と、画像を印刷する印刷部と、第2データに基づく印刷で得られる印刷物である第1データ出力用印刷物を画像読取部が読み取ったか否かを判断し、画像読取部が第1データ出力用印刷物を読み取ったと判断したとき、許可条件を満たしていれば、第2データに対応する第1データに基づく印刷を印刷部に行わせる一方、許可条件を満たしていなければ、第2データに対応する第1データに基づく印刷を印刷部に行わせない制御部と、を備える。
【0010】
本発明の構成では、第1データ(機密情報データ)に対応付けた第2データに基づく印刷で得られる第1データ出力用印刷物を画像形成装置で読み取ることによって、第1データに基づく印刷物を出力することができる。すなわち、USBメモリーなどの携帯型記憶デバイスに第1データを保存する必要はない。ここで、機密情報とは内容的に関連性の無い第2データを第1データに対応付けておけば、たとえば、第1データ出力用印刷物の持ち運び中に、第1データ出力用印刷物の印刷内容を第3者に見られても、第3者は第1データ出力用印刷物の印刷内容からは第1データの内容を把握することができない。また、第1データ出力用印刷物を第3者が不正に取得し画像形成装置で読み取っても、第1データに基づく印刷は許可条件を満たしている場合にのみ行われるので、第3者は第1データの内容を把握することはできない。これにより、紙媒体での機密情報の管理や持ち運びをセキュアに行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構成では、紙媒体での機密情報の管理や持ち運びをセキュアに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による複合機の構成を示すブロック図
図2】本発明の一実施形態による複合機の構成を示す概略図
図3】本発明の一実施形態による複合機が行うセキュリティ保存処理の流れを示すフローチャート
図4】本発明の一実施形態による複合機のセキュリティ保存モードがオフに設定されている場合の印刷の流れを示す図
図5】本発明の一実施形態による複合機のセキュリティ保存モードがオンに設定されている場合の印刷の流れを示す図
図6】本発明の一実施形態による複合機が行うセキュリティ出力処理の流れを示すフローチャート
図7】本発明の一実施形態による複合機が許可条件を満たしていないと判断した場合の印刷の流れを示す図
図8】本発明の一実施形態による複合機が許可条件を満たしていると判断した場合の印刷の流れを示す図
図9】本発明の一実施形態による複合機が行う第6判断処理の流れを示す図
図10】本発明の一実施形態による複合機が行う第6判断処理の流れを示す図
図11】本発明の一実施形態による複合機が行うデータ変更処理の流れを示す図
図12】本発明の一実施形態による複合機がサーバーに複数接続された状態の図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態による画像形成装置について、スキャンジョブやプリントジョブなど複数種のジョブの実行が可能な複合機を例にとって説明する。
【0014】
<複合機の構成>
図1および図2に示すように、本実施形態の複合機100は、制御部1を備える。制御部1は、CPU11、メモリー12および画像処理モジュール13を含む。CPU11、メモリー12および画像処理モジュール13は、互いに接続される。CPU11は、制御用のプログラムおよびデータに基づき動作し、複合機100の各部を制御するための処理を行う。メモリー12は、CPU11を動作させるための制御用のプログラムおよびデータを記憶する。
【0015】
画像処理モジュール13は、画像データに対して種々の画像処理を行うための回路やメモリーを含む。制御部1は、画像処理モジュール13を用いて、画像データに対して画像処理を行う。
【0016】
また、複合機100は、画像読取部2を備える。画像読取部2は、制御部1に接続される。制御部1は、画像読取部2の読取動作を制御する。画像読取部2は、原稿Dを読み取り、原稿Dの画像データを生成する。
【0017】
画像読取部2は、ランプ21やイメージセンサー22などの光学系部材を含み、原稿Dを光学的に読み取る。ランプ21やイメージセンサー22などの光学系部材は、画像読取部2の筐体内部に収容される。画像読取部2の筐体上面には、搬送読取用コンタクトガラスG1および載置読取用コンタクトガラスG2が嵌め込まれる。搬送読取用コンタクトガラスG1は搬送読取モードでの読取時に用いるコンタクトガラスであり、載置読取用コンタクトガラスG2は載置読取モードでの読取時に用いるコンタクトガラスである。
【0018】
また、画像読取部2は、原稿搬送ユニット23を含む。原稿搬送ユニット23は、画像読取部2の筐体上面に対して開閉可能に取り付けられる。原稿搬送ユニット23には、原稿搬送路20、原稿セットトレイ231および原稿排出トレイ232が設けられる。
【0019】
原稿搬送路20は、原稿セットトレイ231の設置位置から、搬送読取用コンタクトガラスG1上の所定位置(搬送読取モードでの読取時の読取位置RP)を経由し、原稿排出トレイ232の設置位置に至る。原稿搬送ユニット23は、原稿セットトレイ231にセットされた読取前の原稿Dを原稿搬送路20に給紙するとともに、原稿搬送路20に沿って原稿Dを搬送し、読取後の原稿Dを原稿排出トレイ232に排出する。
【0020】
搬送読取モードでは、ユーザーによって原稿セットトレイ231に原稿Dがセットされる。原稿搬送ユニット23は、原稿セットトレイ231にセットされた原稿Dを原稿搬送路20に給紙し、原稿搬送路20に沿って原稿Dを搬送する。これにより、搬送読取用コンタクトガラスG1上の読取位置RPを原稿Dが通過する。画像読取部2は、読取位置RPを通過する原稿Dを読み取って原稿Dの画像データを生成する。
【0021】
原稿セットトレイ231に複数枚の原稿Dをセットした場合には、原稿搬送ユニット23による複数枚の原稿Dの読取位置RPへの搬送が1枚ずつ自動的に行われる。画像読取部2は、原稿Dを1枚ずつ連続して読み取って複数枚の原稿Dの画像データを生成する連続読取を行う。
【0022】
載置読取モードでは、ユーザーによって載置読取用コンタクトガラスG2上に原稿Dがセット(載置)される。画像読取部2は、載置読取用コンタクトガラスG2上にセットされた原稿Dを読み取って原稿Dの画像データを生成する。このとき、載置読取用コンタクトガラスG2上にセットした原稿Dを原稿搬送ユニット23によって押え付けることができる。
【0023】
また、複合機100は、印刷部3を備える。印刷部3は、制御部1に接続される。制御部1は、印刷部3の印刷動作を制御する。印刷部3は、用紙Pに画像を印刷する。
【0024】
印刷部3は、給紙部31、画像形成部32および定着部33を含む。給紙部31は、カセットに収容された用紙Pを用紙搬送路30に給紙する。用紙搬送路30に給紙された用紙Pは用紙搬送路30に沿って搬送される。
【0025】
画像形成部32は、ブラック(K)、イエロー(Y)、シアン(C)およびマゼンタ(M)の各色にそれぞれ対応する画像形成ユニット32K、32Y、32Cおよび32Mを含む。画像形成ユニット32K、32Y、32Cおよび32Mは、それぞれ、対応する色のトナー像を形成し、中間ベルトに1次転写する。中間ベルトに転写されたトナー像は、搬送中の用紙Pに2次転写される。
【0026】
定着部33は、トナー像が転写された用紙Pを加圧および加熱する。これにより、用紙Pにトナー像が定着される。トナー像が定着された印刷済み用紙Pは、用紙搬送路30に沿ってそのまま搬送され、排出される。
【0027】
また、複合機100は、操作パネル4を備える。操作パネル4は、制御部1に接続される。制御部1は、操作パネル4の表示動作を制御するとともに、操作パネル4に対して行われた操作を検知する。
【0028】
操作パネル4は、タッチスクリーン41およびハードウェアボタン42を含む。タッチスクリーン41は、ソフトウェアボタンを配した画面を表示し、ユーザーからタッチ操作を受け付ける。ハードウェアボタン42は、操作パネル4に複数設けられる。たとえば、ハードウェアボタン42としては、ジョブの実行を指示するスタート操作をユーザーから受け付けるためのスタートボタンSTなどがある。
【0029】
また、複合機100は、通信部5を備える。通信部5は、制御部1に接続される。制御部1は、通信部5が行う通信を制御する。
【0030】
通信部5は、複合機100をLANなどのネットワークNTに接続するためのインターフェースであり、通信用回路、通信用メモリーおよび通信用コネクターなどを含む。ネットワークNTには、外部機器200が接続される。外部機器200は、ファクシミリやサーバー、複合機100のユーザーにより使用されるユーザー端末(パーソナルコンピューターやスマートフォン)などである。通信部5は、外部機器200との間でデータの送受信を行う。
【0031】
また、複合機100は、記憶部6を備える。記憶部6は、制御部1に接続される。制御部1は、記憶部6からのデータの読み出しや記憶部6へのデータの書き込みを行う。特に限定されないが、記憶部6は、ROM(EEPROMなど)のような不揮発性の記憶デバイスを含む。
【0032】
<セキュリティ機能>
(概要)
複合機100には、セキュリティ機能が搭載される。セキュリティ機能を利用すれば、紙媒体での機密情報の管理や持ち運びをセキュアに行うことができる。セキュリティ機能では、複合機100で読み取った原稿Dの画像データが対象となる。
【0033】
セキュリティ機能の有効無効の設定は操作パネル4がユーザーから受け付ける。セキュリティ機能を有効に設定すると、セキュリティ保存モード(「第1データ保存モード」に相当)をオンに設定する指示の受け付けが操作パネル4にて行われる。また、セキュリティ機能を有効に設定すると、セキュリティ出力モード(「第1データ出力モード」に相当)をオンに設定する指示の受け付けが操作パネル4にて行われる。
【0034】
セキュリティ保存モードをオンに設定してから、画像読取部2に原稿Dがセットされた状態でスタートボタンSTを操作することにより、制御部1にてセキュリティ保存処理が行われる。また、セキュリティ出力モードをオンに設定してから、画像読取部2に原稿Dがセットされた状態でスタートボタンSTを操作することにより、制御部1にてセキュリティ出力処理が行われる。
【0035】
(セキュリティ保存処理)
以下に、図3に示すフローチャートを参照し、制御部1により行われるセキュリティ保存処理の流れを説明する。
【0036】
図3に示すフローチャートのスタート時点では、セキュリティ保存処理で保存すべきデータの元原稿D(たとえば、機密情報が記載された原稿D)が画像読取部2にセットされているとする。そして、セキュリティ保存モードをオンに設定する指示を操作パネル4が受け付けてから、スタートボタンSTが操作されたことを制御部1が検知したとき、図3に示すフローチャートがスタートする。
【0037】
ステップS1において、制御部1は、画像読取部2に原稿Dの読み取りを開始させる。そして、ステップS2において、制御部1は、画像読取部2による原稿Dの読み取りによって得られた原稿Dの画像データをセキュリティ保存処理で保存すべきデータ(以下、第1データと称する)として取得する。すなわち、セキュリティ保存モードがオンに設定された状態での画像読取部2による原稿Dの読み取りによって得られた原稿Dの画像データが第1データとなる。
【0038】
ステップS3において、制御部1は、第1データに対応付ける画像データ(以下、第2データと称する)の作成受付を操作パネル4に行わせる。特に限定されないが、操作パネル4は、ページ作成画面(図示せず)を表示し、第2データを作成する作成操作をユーザーから受け付ける。
【0039】
たとえば、ページ作成画面には、白紙のページが配される。そして、ユーザーは作成操作を行うことにより、写真画像や図形画像、テキスト画像などを白紙のページに任意に貼り付けることができる。ページ作成画面内のページに貼付可能な画像はユーザーにより予め登録され、記憶部6に記憶される。
【0040】
また、ページ作成画面には、確定ボタンが配される。操作パネル4は、確定ボタンに対する操作を確定指示として受け付ける。操作パネル4が確定指示を受け付けたことを制御部1が検知すると、ステップS4に移行する。
【0041】
ステップS4において、制御部1は、ページ作成画面で作成されたページの画像データを生成する。ここで生成された画像データが第2データとなる。
【0042】
ステップS5において、制御部1は、第1データの出力を許可する許可条件を満たしているか否かを判断するための許可情報の設定受付を操作パネル4に行わせる。たとえば、操作パネル4は、確定指示を受け付けると、条件設定画面(図示せず)を表示し、許可情報を設定する条件設定操作をユーザーから受け付ける。許可情報については、後に詳細に説明する。
【0043】
ステップS6において、制御部1は、第1データ情報7を記憶部6に記憶させる(図1参照)。このとき、制御部1は、第1データおよび第2データを互いに対応付けて第1データ情報7に含める(第1データおよび第2データが記憶部6に記憶される)。また、制御部1は、許可情報を第1データに対応付けて第1データ情報7に含める(許可情報が記憶部6に記憶される)。
【0044】
ステップS7において、制御部1は、印刷部3に出力指示を与える。印刷部3は、制御部1から出力指示を受けると、第2データ(ページ作成画面で作成されたページの画像データ)に基づく印刷を行う。以下、第2データに基づく印刷により得られる印刷物を第1データ出力用印刷物と称する。
【0045】
たとえば、図4に示すように、セキュリティ保存モードをオンに設定していなかった場合(オフに設定していた場合)、画像読取部2が読み取った原稿Dの画像データ(図4の左図参照)が生成され、原稿Dの画像データに基づく印刷が行われる。これにより、図4の右図に示すような印刷物(原稿Dの画像データに基づく画像が印刷された用紙P)が出力される。すなわち、通常のコピージョブが実行される。
【0046】
一方で、図5に示すように、セキュリティ保存モードをオンに設定していた場合、画像読取部2が読み取った原稿Dの画像データ(図5の左上図参照)は第1データとして生成されるが、第1データに基づく印刷は行われない。代わりに、ユーザーが作成したページの画像データ(図5の左下図参照)であって第1データに対応付けられた画像データである第2データに基づく印刷が行われる。これにより、図5の右下図に示すような印刷物、すなわち、第1データ出力用印刷物(第2データに基づく画像が印刷された用紙P)が出力される。
【0047】
(セキュリティ出力処理)
以下に、図6に示すフローチャートを参照し、制御部1により行われるセキュリティ出力処理の流れを説明する。
【0048】
図6に示すフローチャートのスタート時点では、画像読取部2に原稿Dがセットされているとする。なお、原稿搬送ユニット23に原稿Dがセットされる場合もあれば、載置読取用コンタクトガラスG2に原稿Dがセットされる場合もある。そして、セキュリティ出力モードをオンに設定する指示を操作パネル4が受け付けてから、スタートボタンSTが操作されたことを制御部1が検知したとき、図6に示すフローチャートがスタートする。
【0049】
ステップS11において、制御部1は、原稿搬送ユニット23に原稿Dがセットされているか否かの検知を行い、原稿搬送ユニット23に原稿Dがセットされていれば、搬送読取モードでの原稿Dの読み取りを画像読取部2に開始させる。一方で、原稿搬送ユニット23に原稿Dがセットされていなければ、載置読取モードでの原稿Dの読み取りを画像読取部2に開始させる。
【0050】
ステップS12において、制御部1は、画像読取部2による原稿Dの読み取りによって得られた原稿Dの画像データ(ここでは、読取画像データと称する)に基づき、画像読取部2が読み取った原稿Dが第1データ出力用印刷物であるか否かを判断する。このとき、制御部1は、記憶部6に記憶された画像データであり第1データ出力用印刷物の印刷で使用された画像データである第2データと読取画像データとを比較し、画像読取部2が読み取った原稿Dが第1データ出力用印刷物であるか否かを判断する。たとえば、第2データと読取画像データとの間の類似度に基づき、画像読取部2が読み取った原稿Dが第1データ出力用印刷物であるか否かの判断が行われてもよい。
【0051】
ステップS12において、画像読取部2が読み取った原稿Dが第1データ出力用印刷物であると制御部1が判断した場合には、ステップS13に移行する。ステップS13に移行すると、制御部1は、画像読取部2が今回読み取った第1データ出力用印刷物の印刷で使用された第2データを対象第2データと認識し、対象第2データに対応付けられた第1データを対象第1データと認識する。そして、制御部1は、対象第1データに対応付けられた許可情報に基づき、対象第1データの出力を許可する許可条件を満たしているか否かを判断する。詳細については後述する。その結果、許可条件を満たしていると制御部1が判断した場合には、ステップS14に移行する。
【0052】
ステップS14に移行すると、制御部1は、対象第1データを出力する処理を行う。このとき、制御部1は、印刷部3に出力指示を与える。印刷部3は、出力指示を受けると、対象第1データに基づき画像を形成し、当該形成した画像を用紙Pに印刷する。
【0053】
ステップS13において、許可条件を満たしていないと制御部1が判断した場合には、ステップS15に移行する。ステップS12において、画像読取部2が今回読み取った原稿Dが第1データ出力用印刷物でないと制御部1が判断した場合にも、ステップS15に移行する。ステップS15に移行すると、制御部1は、画像読取部2の今回の読み取りで得られた読取画像データに基づく印刷を印刷部3に行わせる。すなわち、画像読取部2が今回読み取った原稿Dが第1データ出力用印刷物であっても許可条件を満たしていないと制御部1が判断した場合や、画像読取部2が今回読み取った原稿Dが第1データ出力用印刷物でないと制御部1が判断した場合には、通常のコピージョブが行われる。
【0054】
たとえば、セキュリティ出力モードがオンに設定された状態での画像読取部2による原稿Dの読み取りによって、図7および図8の各上図に示すような読取画像データが得られたとする。
【0055】
この例において、許可条件を満たしていないと制御部1が判断した場合、図7に示すように、読取画像データに基づく印刷(通常のコピージョブ)が行われる。その結果、図7の下図に示すような印刷物、すなわち、読取画像データに基づく画像が印刷された用紙Pが出力される。
【0056】
なお、読取画像データが第1データに対応付けられた第2データではない(画像読取部2が読み取った原稿Dが第1データ出力用印刷物ではない)と制御部1が判断した場合にも、同様に、読取画像データに基づく印刷(通常のコピージョブ)が行われる。さらに、セキュリティ出力モードがオンに設定されていなかった場合にも、同様に、読取画像データに基づく印刷(通常のコピージョブ)が行われる。
【0057】
一方で、許可条件を満たしていると制御部1が判断した場合には、図8に示すように、第2データ(読取画像データ)に対応付けられた第1データに基づく印刷が行われる。その結果、図8の下図に示すような印刷物、すなわち、第1データに基づく画像が印刷された用紙Pが出力される。
【0058】
本実施形態の複合機100(画像形成装置)は、上記のように、第1データおよび第1データに対応付けられた第2データを記憶するとともに、第1データの出力を許可する許可条件を満たしているか否かを判断するための許可情報を記憶する記憶部6と、画像を読み取る画像読取部2と、画像を印刷する印刷部3と、第2データに基づく印刷で得られる印刷物である第1データ出力用印刷物を画像読取部2が読み取ったか否かを判断し、画像読取部2が第1データ出力用印刷物を読み取ったと判断したとき、許可条件を満たしていれば、第2データに対応する第1データに基づく印刷を印刷部3に行わせる一方、許可条件を満たしていなければ、第2データに対応する第1データに基づく印刷を印刷部3に行わせない制御部1と、を備える。
【0059】
本実施形態の構成では、第1データ(機密情報データ)に対応付けた第2データに基づく印刷で得られる第1データ出力用印刷物を複合機100で読み取ることによって、第1データに基づく印刷物を出力することができる。すなわち、USBメモリーなどの携帯型記憶デバイスに第1データを保存する必要はない。ここで、機密情報とは内容的に関連性の無い第2データを第1データに対応付けておけば、たとえば、第1データ出力用印刷物の持ち運び中に、第1データ出力用印刷物の印刷内容を第3者に見られても、第3者は第1データ出力用印刷物の印刷内容からは第1データの内容を把握することができない。また、第1データ出力用印刷物を第3者が不正に取得し複合機100で読み取っても、第1データに基づく印刷は許可条件を満たしている場合にのみ行われるので、第3者は第1データの内容を把握することはできない。これにより、紙媒体での機密情報の管理や持ち運びをセキュアに行うことができる。
【0060】
<許可情報に基づく判断>
許可情報に含める情報(許可条件を満たしているか否かの判断に必要な判断用の情報)の設定は第1データを作成したユーザーが任意に行うことができる。なお、当該ユーザーはセキュリティ保存モードをオンに設定した状態でスタートボタンSTを操作したユーザーである。
【0061】
ここで、許可情報に含まれている判断用の情報に応じて、制御部1により行われる判断処理は異なる。制御部1は、第1〜第7判断処理のいずれかを行う。以下に、具体的に説明する。
【0062】
(第1判断処理)
許可情報には、スキャンジョブやプリントジョブに関する設定項目の設定値を示す情報を含めることができる。すなわち、操作パネル4は、図3のステップS5において、条件設定画面を表示し、許可情報を設定する条件設定操作として、設定項目の設定値を設定する操作を受け付ける。なお、設定項目の設定値を示す情報を許可情報に含めないようにすることもできる。
【0063】
許可情報に含めることが可能な設定項目の設定値は種々存在する。一例を挙げると、印刷部数に関する設定項目の設定値、原稿/用紙/仕上げに関する設定項目(たとえば、原稿サイズ、用紙選択および排紙先など)の設定値、カラー/画質に関する設定項目(たとえば、濃度、カラー選択、色相調整および彩度など)の設定値、および、レイアウト/編集に関する設定項目(たとえば、拡大/縮小、ページ集約および両面/分割など)の設定値である。
【0064】
制御部1は、画像読取部2が第1データ出力用印刷物を読み取ったと判断したとき、画像読取部2が今回読み取った第1データ出力用印刷物の印刷で使用された第2データ(対象第2データ)を認識するとともに、対象第2データに対応付けられた第1データ(対象第1データ)を認識し、対象第1データに対応付けられた許可情報に設定項目の設定値を示す情報が含まれているか否かを判断する。その結果、設定項目の設定値を示す情報が許可情報に含まれていると判断した場合、制御部1は、図6のステップS13において、第1判断処理を行うことにより、許可条件を満たしているか否かを判断する。
【0065】
具体的には、制御部1は、対象第1データに対応付けられた許可情報で示される設定項目の設定値を確認用設定値と認識する。また、制御部1は、複数の設定項目の現在の設定値(画像読取部2が第1データ出力用印刷物を読み取ったときの設定値)のうち、確認用設定値の設定項目に対応する設定項目の設定値を確認対象設定値と認識する。
【0066】
そして、制御部1は、確認用設定値と確認対象設定値とが異なっている場合、許可条件を満たしていないと判断する。この場合、制御部1は、画像読取部2が読み取った原稿Dが第1データ出力用印刷物であっても、対象第1データに基づく印刷を印刷部3に行わせない。一方で、制御部1は、確認用設定値と確認対象設定値とが一致する場合、第1判断処理では許可条件を満たしていると判断する。
【0067】
なお、確認用設定値が2つ以上存在していた場合、すなわち、2つ以上の設定項目の設定値を示す情報が許可情報に含まれていた場合、制御部1は、2つ以上の確認用設定値のそれぞれについて、確認用設定値と確認対象設定値とが異なっているか否かを判断する。そして、制御部1は、2つ以上の確認用設定値のうち少なくとも1つの確認用設定値が対応する確認対象設定値と異なっていれば、許可条件を満たしていないと判断する。
【0068】
たとえば、印刷部数に関する設定項目の設定値(ここでは、「3部」に設定されていたとする)が許可情報に含まれていたとする。また、画像読取部2による第1データ出力用印刷物の読み取り時の印刷部数に関する設定項目の設定値が「1部」に設定されていたとする。
【0069】
この場合、制御部1は、印刷部数「3部」を確認用設定値と認識し、印刷部数「1部」を確認対象設定値と認識する。この例では、確認用設定値と確認対象設定値とが異なる。したがって、制御部1は、許可条件を満たしていないと判断する。
【0070】
制御部1が第1判断処理を行う場合(許可情報に設定項目の設定値を示す情報を含めた場合)、複合機100での第1データ出力用印刷物の読み取りに際し、ジョブに関する複数の設定項目の設定値が許可情報で示される設定内容と同じになるよう設定を行わなければ、第1データに基づく印刷物を出力することはできない。したがって、第1データ出力用印刷物が第3者に不正に取得されても、第1データに基づく印刷物が出力されるのを抑制することができる。
【0071】
(第2判断処理)
許可情報には、搬送読取モードおよび載置読取モードのうち許可読取モードを示す情報を含めることができる。すなわち、操作パネル4は、図3のステップS5において、条件設定画面を表示し、許可情報を設定する条件設定操作として、搬送読取モードおよび載置読取モードのうち許可読取モードを選択する操作を受け付ける。なお、許可読取モードを示す情報を許可情報に含めないようにすることもできる。
【0072】
制御部1は、画像読取部2が第1データ出力用印刷物を読み取ったと判断したとき、対象第1データに対応付けられた許可情報に許可読取モードを示す情報が含まれているか否かを判断する。その結果、許可読取モードを示す情報が許可情報に含まれていると判断した場合、制御部1は、図6のステップS13において、第2判断処理を行うことにより、許可条件を満たしているか否かを判断する。
【0073】
具体的には、制御部1は、画像読取部2による第1データ出力用印刷物の読み取りが許可読取モードで行われたか否かを判断する。その結果、許可読取モードとは異なるモードで画像読取部2が第1データ出力用印刷物を読み取っていた場合、制御部1は、許可条件を満たしていないと判断する。一方で、許可読取モードで画像読取部2が第1データ出力用印刷物を読み取っていた場合、制御部1は、第2判断処理では許可条件を満たしていると判断する。
【0074】
制御部1が第2判断処理を行う場合(許可情報に許可読取モードを示す情報を含めた場合)、複合機100での第1データ出力用印刷物の読み取りに際し、許可読取モードで読み取りが行われるよう第1データ出力用印刷物をセットしなければ、第1データに基づく印刷物を出力することはできない。したがって、第1データ出力用印刷物が第3者に不正に取得されても、第1データに基づく印刷物が出力されるのを抑制することができる。
【0075】
(第3判断処理)
許可情報には、第1データに基づく印刷物の提供を許可する許可ユーザーを示す情報を含めることができる。すなわち、操作パネル4は、図3のステップS5において、条件設定画面を表示し、許可情報を設定する条件設定操作として、許可ユーザーのユーザーIDやパスワードを入力する操作を受け付ける。なお、許可ユーザーを示す情報を許可情報に含めないようにすることもできる。
【0076】
制御部1は、画像読取部2が第1データ出力用印刷物を読み取ったと判断したとき、対象第1データに対応付けられた許可情報に許可ユーザーを示す情報が含まれているか否かを判断する。その結果、許可ユーザーを示す情報が許可情報に含まれていると判断した場合、制御部1は、図6のステップS13において、第3判断処理を行うことにより、許可条件を満たしているか否かを判断する。
【0077】
具体的には、制御部1は、画像読取部2による第1データ出力用印刷物の読み取りが終わってから、所定時間(たとえば、数秒〜数十秒)内に操作パネル4がユーザー認証の実行指示を受け付けたか否かを判断する。その結果、操作パネル4が所定時間内にユーザー認証の実行指示を受け付けていなければ、制御部1は、許可条件を満たしていないと判断する。
【0078】
なお、操作パネル4は、画像読取部2による第1データ出力用印刷物の読み取りが終わっても、ユーザー認証の実行指示を受け付けるための認証受付画面(図示せず)の表示は自動的に行わず、認証受付画面の表示指示をユーザーから受け付けた場合のみ、認証受付画面の表示を行う。また、操作パネル4は、画像読取部2による第1データ出力用印刷物の読み取りが終わっても、ユーザー認証の実行を指示するよう促す報知を行わない。したがって、第1データに基づく印刷物を出力したい場合には、ユーザーは自主的に、操作パネル4に対してユーザー認証の実行指示を行わなければならない。
【0079】
また、制御部1は,画像読取部2による第1データ出力用印刷物の読み取りが終わってから、操作パネル4が所定時間内にユーザー認証の実行指示を受け付けると、対象第1データに対応付けられた許可情報で示される許可ユーザー(ここでは、単に許可ユーザーと称する)を示す情報を認識し、当該認識した情報に基づき、ユーザー認証を行う。ここでは、ユーザー認証の実行を指示したユーザー(ここでは、認証対象ユーザーと称する)が許可ユーザーであるか異か否かの判断が制御部1により行われる。
【0080】
ユーザー認証の結果、認証対象ユーザーが許可ユーザーでなかった場合、制御部1は、許可条件を満たしていないと判断する。一方で、認証対象ユーザーが許可ユーザーであった場合、制御部1は、第3判断処理では許可条件を満たしていると判断する。
【0081】
たとえば、制御部1は、ユーザー認証の実行指示を受け付けると、ユーザーIDやパスワードの入力受付を操作パネルに行わせる。そして、制御部1は、認証対象ユーザーが入力したユーザーIDおよびパスワードがそれぞれ許可ユーザーのユーザーIDおよびパスワードと一致しなければ、許可条件を満たしていないと判断する。なお、ユーザー認証で使用する技術は特に限定されず、顔認証技術や指紋認証技術などを使用してもよい。
【0082】
制御部1が第3判断処理を行う場合(許可情報に許可ユーザーを示す情報を含めた場合)、複合機100での第1データ出力用印刷物の読み取りが終わってから、所定時間内にユーザー認証の実行を指示しなければ、第1データに基づく印刷物を出力することはできない。また、所定時間内にユーザー認証の実行を指示しても、許可ユーザーと判断されなければ、第1データに基づく印刷物を出力することはできない。したがって、第1データ出力用印刷物が第3者に不正に取得されても、第1データに基づく印刷物が出力されるのを抑制することができる。
【0083】
(第4判断処理)
許可情報には、第1データ出力用印刷物の使用期限を示す情報を含めることができる。すなわち、操作パネル4は、図3のステップS5において、条件設定画面を表示し、許可情報を設定する条件設定操作として、使用期限を入力する操作を受け付ける。なお、使用期限を示す情報を許可情報に含めないようにすることもできる。
【0084】
制御部1は、画像読取部2が第1データ出力用印刷物を読み取ったと判断したとき、対象第1データに対応付けられた許可情報に使用期限を示す情報が含まれているか否かを判断する。その結果、使用期限を示す情報が許可情報に含まれていると判断した場合、制御部1は、図6のステップS13において、第4判断処理を行うことにより、許可条件を満たしているか否かを判断する。
【0085】
具体的には、制御部1は、画像読取部2が第1データ出力用印刷物を読み取ったと判断したときの日時を認識し、当該認識した日時(ここでは、現在日時と称する)が対象第1データに対応付けられた許可情報で示される使用期限(ここでは、単に使用期限と称する)を過ぎているか否かを判断する。その結果、現在日時が使用期限を過ぎていれば、制御部1は、許可条件を満たしていないと判断する。一方で、現在日時が使用期限を過ぎていなければ、制御部1は、第4判断処理では許可条件を満たしていると判断する。
【0086】
制御部1が第4判断処理を行う場合(許可情報に使用期限を示す情報を含めた場合)、複合機100で第1データ出力用印刷物を読み取っても、現在日時が許可情報で示される使用期限を過ぎていれば、第1データに基づく印刷物を出力することはできない。したがって、第1データ出力用印刷物が第3者に不正に取得されても、第1データに基づく印刷物が出力されるのを抑制することができる。
【0087】
(第5判断処理)
許可情報には、第1データ出力用印刷物の読み取りを伴うジョブの実行回数の上限回数を示す情報を含めることができる。すなわち、操作パネル4は、図3のステップS5において、条件設定画面を表示し、許可情報を設定する条件設定操作として、上限回数を入力する操作を受け付ける。なお、上限回数を示す情報を許可情報に含めないようにすることもできる。
【0088】
制御部1は、画像読取部2が第1データ出力用印刷物を読み取ったと判断したとき、対象第1データに対応付けられた許可情報に上限回数を示す情報が含まれているか否かを判断する。その結果、上限回数を示す情報が許可情報に含まれていると判断した場合、制御部1は、図6のステップS13において、第5判断処理を行うことにより、許可条件を満たしているか否かを判断する。
【0089】
具体的には、許可情報(上限回数を示す情報を含む許可情報)にはカウント値が含められる。許可情報で示されるカウント値は制御部1が更新する。制御部1は、画像読取部2による第1データ出力用印刷物の読み取りを伴うジョブを実行すると、対象第1データ(画像読取部2が今回読み取った第1データ出力用印刷物の印刷で使用された第2データである対象第2データに対応付けられた第1データ)に対応付けられた許可情報のカウント値を1カウントアップする。
【0090】
そして、制御部1は、対象第1データに対応付けられた許可情報のカウント値を更新した後、更新後のカウント値、すなわち、第1データ出力用印刷物(対象第2データに基づく印刷物)の読み取りを伴うジョブの実行回数(累積値)を認識する。
【0091】
その結果、認識したジョブの実行回数が対象第1データに対応付けられた許可情報で示される上限回数に達していれば、制御部1は、許可条件を満たしていないと判断する。一方で、認識したジョブの実行回数が対象第1データに対応付けられた許可情報で示される上限回数に達していなければ、制御部1は、第5判断処理では許可条件を満たしていると判断する。
【0092】
制御部1が第5判断処理を行う場合(許可情報に上限回数を示す情報を含めた場合)、複合機100で第1データ出力用印刷物を読み取っても、当該第1データ出力用印刷物の読み取りを伴うジョブの実行回数が許可情報で示される上限回数に達していれば、第1データに基づく印刷物を出力することはできない。したがって、第1データ出力用印刷物が第3者に不正に取得されても、第1データに基づく印刷物が出力されるのを抑制することができる。
【0093】
(第6判断処理)
許可情報には、後述する検出処理の対象領域であるチェック領域の位置を示す情報を含めることができる。すなわち、操作パネル4は、図3のステップS5において、条件設定画面を表示し、許可情報を設定する条件設定操作として、チェック領域の位置を設定する操作を受け付ける。なお、チェック領域の位置を示す情報を許可情報に含めないようにすることもできる。
【0094】
たとえば、操作パネル4は、図3のステップS5において、チェック領域の位置を設定するか否かをユーザーから受け付ける。チェック領域の位置を設定する旨を受け付けた場合、操作パネル4は、図3のステップS3で作成されたページを条件設定画面に表示し、条件設定画面に表示したページ内からチェック領域を指定する操作をユーザーから受け付ける。
【0095】
制御部1は、画像読取部2が第1データ出力用印刷物を読み取ったと判断したとき、対象第1データに対応付けられた許可情報にチェック領域の位置を示す情報が含まれているか否かを判断する。その結果、チェック領域の位置を示す情報が許可情報に含まれていると判断した場合、制御部1は、図6のステップS13において、第6判断処理を行うことにより、許可条件を満たしているか否かを判断する。
【0096】
具体的には、制御部1は、画像読取部2が第1データ出力用印刷物を読み取ると、当該読み取りによって得られた第1データ出力用印刷物の画像データのチェック領域から所定画像(たとえば、手書きのチェックマークの画像など)を検出する検出処理を行う。その結果、所定画像を検出できなかった場合、制御部1は、許可条件を満たしていないと判断する。一方で、所定画像を検出できた場合、制御部1は、第6判断処理では許可条件を満たしていると判断する。
【0097】
たとえば、図9および図10の各上図に示すようなページの画像データが第1データに対応付ける第2データとして作成されたとする。また、破線で囲まれた領域がチェック領域CAとして指定されたとする。
【0098】
この場合、図9に示すように、第2データに基づき印刷された第1データ出力用印刷物のうち「YES」が付されたチェックボックスに手書きでチャックマークを記入し、当該第1データ出力用印刷物を読み取ると、制御部1による第6判断処理の結果は条件不充足となる。図示しないが、「YES」が付されたチェックボックスおよび「NO」が付されたチェックボックスのいずれにもチェックマークを記入しなかった場合も同様である。
【0099】
一方で、図10に示すように、第2データに基づき印刷された第1データ出力用印刷物のうち「NO」が付されたチェックボックスに手書きでチャックマークを記入し、当該第1データ出力用印刷物を読み取ると、制御部1による第6判断処理の結果は条件充足となる。
【0100】
制御部1が第6判断処理を行う場合(許可情報にチェック領域CAの位置を示す情報を含めた場合)、複合機100で第1データ出力用印刷物を読み取っても、当該第1データ出力用印刷物のチェック領域CAに対応する位置にチャックマークを記入しておかなければ、第1データに基づく印刷物を出力することはできない。したがって、第1データ出力用印刷物が第3者に不正に取得されても、第1データに基づく印刷物が出力されるのを抑制することができる。
【0101】
(第7判断処理)
許可情報には、第1データ出力用印刷物の読取順を示す情報を含めることができる。すなわち、操作パネル4は、図3のステップS5において、条件設定画面を表示し、許可情報を設定する条件設定操作として、読取順を設定する操作を受け付ける。なお、読取順を示す情報を許可情報に含めないようにすることもできる。ここで、許可情報に読取順を含める場合には、さらに、判断用画像データ(第7判断処理で使用される画像データ)を許可情報に含めることができる。
【0102】
制御部1は、画像読取部2が第1データ出力用印刷物を読み取ったと判断したとき、対象第1データに対応付けられた許可情報に読取順を示す情報が含まれているか否かを判断する。その結果、読取順を示す情報が許可情報に含まれていると判断した場合、制御部1は、図6のステップS13において、第7判断処理を行うことにより、許可条件を満たしているか否かを判断する。
【0103】
具体的には、制御部1は、画像読取部2による第1データ出力用印刷物の読取時に、第1データ出力用印刷物を含む複数枚の原稿Dを連続して読み取る連続読取が行われていたか否かを判断する。その結果、連続読取が行われていなければ、制御部1は、許可条件を満たしていないと判断する。
【0104】
また、連続読取が行われていた場合、制御部1は、対象第1データに対応付けられた許可情報で示される読取順(ここでは、許可読取順と称する)を認識する。そして、制御部1は、連続読取での第1データ出力用印刷物の読取順が許可読取順と異なっていれば、連続読取が行われていたとしても、許可条件を満たしていないと判断する。
【0105】
さらに、制御部1は、連続読取で読み取られた第1データ出力用印刷物以外の原稿D(ここでは、他原稿Dと称する)の画像データを抽出する。そして、制御部1は、対象第1データに対応付けられた許可情報に含まれる判断用画像データと他原稿Dの画像データとの間の類似度を求め、当該求めた類似度が予め定められた閾値を下回っていれば、第1データ出力用印刷物の読取順にかかわらず、許可条件を満たしていないと判断する。
【0106】
一方で、連続読取での第1データ出力用印刷物の読取順が許可読取順と同じであり、かつ、他原稿Dの類似度が閾値以上であった場合、制御部1は、第7判断処理では許可条件を満たしていると判断する。
【0107】
たとえば、第1データ出力用印刷物の許可読取順が2番目に設定され、判断用画像データが白紙ページの画像データであったとする。この場合、第1データ出力用印刷物だけの読み取りを行うと、制御部1による第7判断処理の結果は条件不充足となる。また、第1データ出力用印刷物および他原稿Dの順番で連続読取を行った場合にも、制御部1による第7判断処理の結果は条件不充足となる。さらに、他原稿Dおよび第1データ出力用印刷物の順番で連続読取を行っても、他原稿Dが白紙原稿Dでなければ、制御部1による第7判断処理の結果は条件不充足となる。この例では、白紙原稿Dおよび第1データ出力用印刷物の順番で連続読取を行った場合にのみ、制御部1による第7判断処理の結果が条件充足となる。
【0108】
制御部1が第7判断処理を行う場合(許可情報に読取順を示す情報を含めた場合)、複合機100で第1データ出力用印刷物を読み取っても、連続読取を行っていなければ、第1データに基づく印刷物を出力することはできず、連続読取を行っていても第1データ出力用印刷物の読取順が許可情報で示される読取順と異なっていれば、第1データに基づく印刷物を出力することはできない。したがって、第1データ出力用印刷物が第3者に不正に取得されても、第1データに基づく印刷物が出力されるのを抑制することができる。
【0109】
(複数の判断処理)
対象第1データに対応付けられた許可情報に含まれる判断用の情報が1種類だけしか存在しない場合、制御部1は、当該1種類の判断用の情報に対応する判断処理だけを行い、許可条件を満たしているか否かを判断する。
【0110】
たとえば、設定項目の設定値を示す情報(第1判断処理に対応する情報)だけが対象第1データに対応付けられた許可情報に含まれているとする。この場合、制御部1は、第1判断処理だけを行う。そして、制御部1は、確認用設定値と確認対象設定値とが異なっていれば、許可条件を満たしていないと判断し、対象第1データに基づく印刷を印刷部3に行わせない。一方で、制御部1は、確認用設定値と確認対象設定値とが同じであれば、許可条件を満たしていると判断し、対象第1データに基づく印刷を印刷部3に行わせる。
【0111】
また、たとえば、許可読取モードを示す情報(第2判断処理に対応する情報)だけが対象第1データに対応付けられた許可情報に含まれているとする。この場合、制御部1は、第2判断処理だけを行う。そして、制御部1は、許可読取モードとは異なるモードで第1データ出力用印刷物の読み取りが行われていれば、許可条件を満たしていないと判断し、対象第1データに基づく印刷を印刷部3に行わせない。一方で、制御部1は、許可読取モードで第1データ出力用印刷物の読み取りが行われていれば、許可条件を満たしていると判断し、対象第1データに基づく印刷を印刷部3に行わせる。
【0112】
対象第1データに対応付けられた許可情報に含まれる判断用の情報が複数種存在する場合、制御部1は、当該複数種の判断用の情報にそれぞれ対応する複数の判断処理を行う。そして、制御部1は、複数の判断処理の各結果に基づき、許可条件を満たしているか否かを判断する。
【0113】
たとえば、設定項目の設定値を示す情報(第1判断処理に対応する情報)および許可読取モードを示す情報(第2判断処理に対応する情報)が対象第1データに対応付けられた許可情報に含まれているとする。この場合、制御部1は、第1判断処理と第2判断処理とを行う。
【0114】
そして、この例において、確認用設定値と確認対象設定値とが同じであるが、第1データ出力用印刷物の読み取りが許可読取モードとは異なるモードで行われていたとする。この場合、制御部1は、許可条件を満たしていないと判断し、対象第1データに基づく印刷を印刷部3に行わせない。一方で、確認用設定値と確認対象設定値とが同じであり、第1データ出力用印刷物の読み取りが許可読取モードで行われていた場合、制御部1は、許可条件を満たしていると判断し、対象第1データに基づく印刷を印刷部3に行わせる。
【0115】
このように、第1〜第7判断処理のうち複数の判断処理を制御部1が行う場合(対象第1データに対応付けられた許可情報に複数種の判断用の情報が含まれている場合)には、複数の判断処理の全てで許可条件を満たしているという結果が得られたときに、対象第1データに基づく印刷が行われる。言い換えると、複数の判断処理のいずれかで許可条件を満たしていないという結果が得られたときには、対象第1データに基づく印刷は行われない。
【0116】
<第2データの消去>
制御部1は、対象第1データに対応付けられた許可情報に基づく判断処理(第1〜第7判断処理のいずれか)を行った結果、許可条件を満たしていないと判断した場合、対象第1データに対応付けられた対象第2データを記憶部6から消去する第2データ消去処理を行う。なお、第1〜第7判断処理のうち複数の判断処理を行った結果、いずれかの判断処理で許可条件を満たしていないと判断した場合にも、制御部1は、第2データ消去処理を行う。
【0117】
一例として、対象第1データに対応付けられた許可情報に上限回数を示す情報(判断用の情報)が含まれているとき、制御部1により第5判断処理が行われる。この場合、第1データ出力用印刷物(対象第2データに基づく印刷物)の読み取りを伴うジョブの実行回数が上限回数に達していれば、制御部1は、許可条件を満たしていないと判断する。したがって、制御部1は、第2データ消去処理を行う。
【0118】
別の例として、対象第1データに対応付けられた許可情報に設定項目の設定値を示す情報(判断用の情報)が含まれているとき、制御部1により第1判断処理が行われる。この場合、確認用設定値と確認対象設定値とが異なっていれば、制御部1は、許可条件を満たしていないと判断する。したがって、制御部1は、第2データ消去処理を行う。
【0119】
ここで、判断用の情報として許可情報に含めることが可能な複数の設定項目のいずれかの設定値を対象外設定値に指定することができてもよい。制御部1は、対象外に指定された確認用設定値と確認対象設定値とが異なっていれば、許可条件を満たしていないと判断するが、第2データ消去処理は行わない。
【0120】
また、制御部1は、画像読取部2が第1データ出力用印刷物を読み取ったと判断したとき、操作パネル4がセキュリティ出力モード(第1データ出力モード)をオンに設定する指示を受け付けてから、画像読取部2による第1データ出力用印刷物の今回の読み取りの開始までの待ち時間を認識する。また、制御部1は、待ち時間が予め定められた閾値時間を超えているか否かを判断する。そして、待ち時間が閾値時間を超えている場合、制御部1は、第2データ消去処理を行う。
【0121】
ここで、制御部1が許可条件を満たしていないと判断したということは、第1データ出力用印刷物を第3者が不正に取得した可能性があるということである。また、待ち時間が閾値時間を超えている場合には、第1データ出力用印刷物を不正に取得した第3者が第1データに基づく印刷物を出力しようとして、色々な操作を試している可能性がある。このため、許可条件を満たしていない場合や、待ち時間が閾値時間を超えている場合には、第2データを消去し、第1データに基づく印刷物を出力できないようにするのが好ましい。
【0122】
<通知先への通知>
第1データ情報7は、第1データの作成者(当該第1データに対応付けられた第2データの作成者)により登録された通知先(アドレス)を示す情報を含む。すなわち、記憶部6には、第1データに対応付けられた通知先が記憶される。たとえば、ネットワークNTに接続可能な外部機器200(パーソナルコンピューターやスマートフォン)を通知先として登録することができる。一例として、複合機100の管理者が使用する外部機器200や第1データの作成者が使用する外部機器200が通知先とされる。
【0123】
制御部1は、許可条件を満たしていないと判断したとき、対象第1データに対応付けられた通知先に対し、通信部5を介して、第1データ出力用印刷物の読み取りが行われた旨の報知情報を通知する通知処理を行う。このとき、制御部1は、第1データ出力用印刷物の読み取りを伴うジョブ(今回実行したジョブであり、ここでは対象ジョブと称する)の内容を示すジョブ情報を報知情報に含める。
【0124】
報知情報に含めるジョブ情報の内容は特に限定されない。たとえば、対象ジョブの設定内容を示す情報が報知情報に含まれる。対象ジョブの設定内容を示す情報としては、対象ジョブの種類や、対象ジョブの実行時の複数の設定項目の設定値(たとえば、デフォルト値から変更された設定値)などがある。
【0125】
このような報知情報を通知することにより、報知情報の通知を受けたユーザーは第1データ出力用印刷物が不正使用されているか否か(第1データ出力用印刷物を第3者が不正に取得したか否か)を判断することができる。
【0126】
なお、許可条件を満たしていないと制御部1が判断したとき、制御部1に第2データ消去処理を行わせず、制御部1に通知処理だけを行わせてもよい。これにより、報知情報の通知を受けてから、第2データを消去した方が良いか否かを判断することができるので、ユーザーの利便性が向上する。
【0127】
<第1データ出力用印刷物のコピー>
制御部1は、セキュリティ出力モードがオンに設定された状態でスタートボタンSTが操作されたとき、画像読取部2に原稿Dがセットされていれば、画像読取部2に原稿Dを読み取らせ、画像読取部2が今回読み取った原稿Dが第1データ出力用印刷物であるか否かを判断するとともに、当該原稿Dが第1データ出力用印刷物であれば許可条件を満たしているか否かを判断する。その結果、許可条件を満たしていなければ、制御部1は、操作パネル4がコピージョブの実行指示を受け付けたと判断し、コピージョブを実行する。
【0128】
また、制御部1は、セキュリティ出力モードがオフに設定された状態でスタートボタンSTが操作されたとき、画像読取部2に原稿Dがセットされていれば、操作パネル4がコピージョブの実行指示を受け付けたと判断する。この場合にも、制御部1は、画像読取部2が今回読み取った原稿Dが第1データ出力用印刷物であるか否かを判断し、コピージョブを実行する。
【0129】
制御部1は、第1データ出力用印刷物の画像を用紙Pに複写するコピージョブを実行するとき、画像読取部2の読み取りにより得られた第1データ出力用印刷物の画像データの一部に変更を加えるデータ変更処理を行う。言い換えると、制御部1は、第1データ出力用印刷物の画像データに対してデータ変更処理を行うことにより、コピージョブで使用する画像データを新たに生成する。そして、制御部1は、変更を加えた画像データ(新たに生成した画像データ)に基づく印刷を印刷部3に行わせる。これにより、第1データ出力用印刷物の画像の一部が変更された印刷物(変更済み印刷物)が出力される。
【0130】
制御部1は、データ変更処理として、第1データ出力用印刷物の画像データの一部の色を変更する処理を行う。あるいは、制御部1は、データ変更処理として、第1データ出力用印刷物の画像データの一部に予め定められたマーク画像を付加する処理を行う。
【0131】
一例として、図11の上図に示すような第1データ出力用印刷物の画像データがデータ変更処理の処理対象になっているとする。当該画像データに対するデータ変更処理が制御部1によって行われると、たとえば、図11の下図に示すように、領域A1の色が変更され、領域A2に黒丸画像(マーク画像)が付加された画像データが新たに生成される。
【0132】
なお、制御部1は、変更済み印刷物を出力して以降、画像読取部2が変更済み印刷物を読み取ったか否かを判断する。そして、画像読取部2が変更済み印刷物を読み取ったと判断したとき、画像読取部2が第1データ出力用印刷物を読み取ったときと同様、通知処理を行う。
【0133】
制御部1がデータ変更処理を行う構成では、第1データ出力用印刷物が不正に複写されても、第1データ出力用印刷物の複写物からは第1データに基づく印刷物を出力できないようにすることができる。
【0134】
なお、複合機100にて第1データ出力用印刷物の複写物の読み取りが行われたとき、その旨を第1データに対応付けられた通知先に通知してもよい。
【0135】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0136】
たとえば、図12に示すように、外部機器200としてのサーバー201をネットワークNTに接続し、複数の複合機100をネットワークNTに接続してもよい。
【0137】
この構成において、或る複合機100(ここでは、複合機100Aと称する)がセキュリティ保存処理を行ったとき、複合機100Aからサーバー200に第1データ情報7を送信し、サーバー201に第1データ情報7を記憶させれば、複数の複合機100が第1データ情報7を共有した状態となる。したがって、複合機100Aとは異なる複合機100(ここでは、複合機100B)からでも、第1データに基づく印刷物を出力することができるようになる。
【符号の説明】
【0138】
1 制御部
2 画像読取部
3 印刷部
4 操作パネル
5 通信部
6 記憶部
100 複合機(画像形成装置)
図1
図2
図3
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図5
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図12