(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図1〜
図16を用いて、実施形態に係る画像読取装置を説明する。画像読取装置として複合機100を例に挙げて説明する。複合機100は、原稿読取の他、印刷、送信が可能である。複合機100は画像形成装置でもある。本実施形態の説明に記載されている構成、配置等の各要素は発明の範囲を限定せず単なる説明例にすぎない。
【0013】
(複合機100)
図1を用いて、実施形態に係る複合機100の一例を説明する。
図1は、実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
【0014】
図1に示すように、複合機100は、制御部1、画像読取部2、記憶部3、操作パネル4、印刷部5、通信部10、を含む。制御部1は、複合機100を制御する。制御部1は、CPU11と画像処理回路12を含む。記憶部3は、ROM、フラッシュROM、ストレージ(HDD)のような不揮発性の記憶装置を含む。記憶部3はRAMのような揮発性の記憶装置も含む。制御部1は、記憶部3に記憶されたプログラムやデータを利用して各部を制御する。コピーや送信のようなジョブにおいて、制御部1は原稿読取を制御する。また、制御部1は印刷、送信、画像データの記憶を制御する。画像処理回路12は画像データに画像処理を行う。
【0015】
操作パネル4は、表示パネル41、タッチパネル42、ハードキー43を含む。制御部1は、設定用画面や操作用画像を表示パネル41に表示させる。制御部1は表示パネル41の表示を制御する。操作用画像は、例えば、ボタン、キー、タブである。タッチパネル42の出力に基づき、制御部1は、操作された操作用画像を認識する。ハードキー43はスタートキーやテンキーを含む。タッチパネル42、ハードキー43は使用者の設定操作(ジョブに関する操作)を受け付ける。制御部1は操作パネル4と通信する。制御部1は設定内容を認識する。
【0016】
印刷部5は、給紙部5a、用紙搬送部5b、画像形成部5c、定着部5dを含む。印刷ジョブのとき、制御部1は用紙を給紙部5aに供給させる。制御部1は用紙を用紙搬送部5bに搬送させる。用紙搬送部5bは印刷済み用紙を機外に排出する。制御部1は画像データに基づくトナー像を画像形成部5cに形成させる。制御部1は搬送用紙へのトナー像の転写を画像形成部5cに行わせる。制御部1は転写されたトナー像の用紙への定着を定着部5dに行わせる。
【0017】
通信部10はコンピューター200と通信可能に接続される。通信部10とコンピューター200は、ネットワークを介して通信する。通信部10は、通信用回路、通信用ソフトウェアを含む。通信部10はコンピューター200から送信された印刷用データを受信する。印刷用データはページ記述言語で記述されたデータや印刷の設定データを含む。制御部1は受信した印刷用データに基づき、印刷部5に印刷させる(プリントジョブ)。
【0018】
(画像読取部2)
次に、
図2、3を用いて、実施形態に係る画像読取部2を説明する。
図2、
図3は、実施形態に係る画像読取部2の一例を示す図である。
図2は、画像読取部2を正面方向から見た図である。画像読取部2の上面右側にコンタクトガラス21(原稿台)が配される。コンタクトガラス21は光を透過する。原稿はコンタクトガラス21にセットされる。画像読取部2は、コンタクトガラス21にセットされた原稿に光を照射する。画像読取部2は、原稿の下側の面を読み取って画像データを生成する。制御部1は生成された画像データを記憶部3に記憶させる。
【0019】
図2に示すように、原稿押さえ部22が画像読取部2の上方に設けられる。原稿押さえ部22は開閉できる。複合機100の手前側を上下に振るように、原稿押さえ部22を開閉することができる。
図2は、原稿押さえ部22が閉じられた状態を示す。原稿押さえ部22の下面には、原稿押さえ板22aが取り付けられる。原稿押さえ板22aは、例えば、白色の板である。原稿押さえ部22を閉じたとき、原稿押さえ板22aはコンタクトガラス21を上から覆う。原稿押さえ板22aは、コンタクトガラス21にセットされた原稿を上から押さえる。
【0020】
図3に示すように、画像読取部2は読取制御部20を含む。読取制御部20は画像読取部2の動作を制御する基板である。読取制御部20は、制御回路、メモリー、その他の回路を含む。読取制御部20は制御部1からの指示、信号を受け、原稿読取を制御する。
【0021】
図2に示すように、画像読取部2は、筐体内に、キャリッジ6、白基準板23、移動機構24を含む。移動機構24は、ベルト24a、プーリー24b、プーリー24c、走査用モーター24dを含む。キャリッジ6はCIS方式のスキャンユニットである。画像読取部2は、CCD方式のスキャンユニットを有してもよい。
【0022】
ベルト24aは無端状である。ベルト24aは各プーリー24bにかけ回される。ベルト24aとキャリッジ6は接続される。走査用モーター24dが画像読取部2に設けられる(
図3参照)。走査用モーター24dはプーリー24b又はプーリー24cを回転させる。走査用モーター24dは正逆回転可能である。キャリッジ6を移動させるとき、読取制御部20は走査用モーター24dを回転させる。これにより、ベルト24aが周回する。ベルト24aの周回にあわせ、キャリッジ6は水平方向(副走査方向、
図2の左右方向)で移動する。原稿を読み取るとき、読取制御部20は、キャリッジ6を副走査方向に移動させる。走査用モーター24dは、例えば、ステッピングモーターである。例えば、1ステップで、1ドット(1ライン)分、キャリッジ6が移動する。
【0023】
また、白基準板23はコンタクトガラス21の近傍(
図2の左側)に設けられる。また、白基準板23は、キャリッジ6のホームポジション上に設けられる。白基準板23は、キャリッジ6がホームポジションにあるときに読取可能な位置に設けられる。キャリッジ6がホームポジションにあるとき、キャリッジ6は白基準板23を読み取る位置となる。複合機100はホームポジションセンサー25を含む。ホームポジションセンサー25は、キャリッジ6がホームポジションにあるときと無いときとで出力レベルが変化する。ホームポジションセンサー25の出力は、読取制御部20に入力される。読取制御部20は、ホームポジションの出力レベルに基づき、キャリッジ6がホームポジションにあるか否かを認識できる。
【0024】
キャリッジ6はランプ61とイメージセンサー62を含む。キャリッジ6はコンタクトガラス21にセットされた原稿を読み取る。ランプ61は原稿に光を照射する。イメージセンサー62は複数の受光素子(画素)を含む。受光素子は主走査方向(副走査方向と垂直な方向)に並べられる。イメージセンサー62は、例えば、ラインセンサーである。原稿又は原稿押さえ板22aで反射された光は、受光素子に入射する。各受光素子は、受光量(反射光量)に応じたアナログ画像信号を出力する。画像読取部2は画像データ生成部7を含む。イメージセンサー62から出力されたアナログ画像信号に基づき、画像データ生成部7は画像データを生成する。
【0025】
画像データ生成部7は、例えば、A/D変換回路71、補正回路72を含む。なお、画像データ生成部7は増幅回路、オフセット回路を含んでもよい。増幅回路は、アナログ画像信号を増幅する。オフセット回路は、アナログ画像信号のレベルを補正する。増幅やオフセット補正がなされたアナログ画像信号は、A/D変換回路71に入力される。A/D変換回路71は、入力されたアナログ画像信号をディジタルの画像信号に変換する。つまり、A/D変換回路71は、画像データを生成する。
【0026】
生成された画像データは補正回路72に入力される。ランプ61、イメージセンサー62、画像データ生成部7の特性に起因して、画像データに歪みが生ずることがある。補正回路72は、特性に起因する歪みを補正する回路である。例えば、補正回路72は、シェーディング補正回路73、白基準値保持部74、黒基準値保持部75を含む。補正回路72は他種の補正用回路を含んでもよい。
【0027】
受光素子ごとに、白基準値と黒基準値が定められる。シェーディング補正回路73は、白基準値と黒基準値に基づき、シェーディング補正を行う。白基準値保持部74は、各受光素子の白基準値を保持する。黒基準値保持部75は、各受光素子の黒基準値を保持する。シェーディング補正回路73は、黒基準値と白基準値に基づきシェーディング補正の演算を行う。シェーディング補正の演算式の一例は、以下のとおりである。補正画素値=(補正前画素値−黒基準値)×{最大画素値/(白基準値−黒基準値)}。なお、シェーディング補正回路73は他の演算式でシェーディング補正を行ってもよい。
【0028】
白基準値は白基準板23を読み取ることで得られる。ランプ61を点灯させ、白基準値保持部74は、白基準板23を読み取って得られたラインの画像データを保持する。白基準板23を読み取ったときの受光素子ごとの画素値(デジタル値)が白基準値となる。黒基準値は、ランプ消灯時のイメージセンサー62の出力に基づき得られる。黒基準値保持部75は、ランプ消灯時のラインの画像データを保持する。受光素子ごとのランプ消灯時の画素値(デジタル値)が黒基準値となる。
【0029】
(原稿のセット)
次に、
図4を用いて、実施形態に係るコンタクトガラス21への原稿のセットの一例を説明する。
図4は、実施形態に係るコンタクトガラス21への原稿のセットの一例を示す図である。
【0030】
図4は、コンタクトガラス21を上側から見た図である。
図4では、便宜状、原稿押さえ部22の図示を省略している。
図4に示すように、原稿セットの基準位置P0が設けられる。基準位置P0は、コンタクトガラス21の背面側(奥側)、かつ、左側の隅とされる。原稿は読み取る面を下側に向けられ、かつ、基準位置P0に原稿の左上隅をあわせてセットされる。コンタクトガラス21の左端部(副走査方向において、ホームポジションに近い方の端辺)の左側に白基準板23が設けられる。なお、原稿の副走査方向の先端側の端辺の位置は、副走査方向においてホームポジションに近い方のコンタクトガラス21の端辺と重なる。なお、白基準板23の下方がホームポジションとなる。
【0031】
(読取モード)
次に、
図5〜
図7を用いて、実施形態に係る複合機100での読取モードを説明する。
図5は実施形態に係る複合機100の通常読取モードでの読取の一例を示す図である。
図6は実施形態に係る複合機100の速度優先モードでの読取の一例を示す図である。
図7は実施形態に係る複合機100の画質速度優先モードでの読取の一例を示す図である。
【0032】
複合機100は連続読取モードを有する。操作パネル4は、連続読取モードを利用する設定を受け付ける。連続読取モードは、操作パネル4が読取完了を受け付けるまで(読取完了ボタンB1が操作されるまで)、コンタクトガラス21にセットされた原稿の読取を繰り返すモードである(
図14参照)。連続読取モードは、読取完了後にジョブを開始するモードである。例えば、コピージョブや送信ジョブで連続読取モードを利用することができる。連続読取モードの設定がなされたとき、表示パネル41に表示される読取開始ボタンB2(
図14参照)、又は、スタートキー(ハードキー43)が操作されるたびに、読取制御部20は、原稿の読取を行う。1枚の原稿の読取がなされるごとに、使用者は、新たな原稿をセットし、原稿を入れ替える。
【0033】
必要な原稿の読取が終わったとき、使用者は読取完了の操作を操作パネル4に行う。例えば、連続読取モードの間、制御部1は読取完了ボタンB1を表示パネル41に表示させる。操作パネル4は、読取完了ボタンB1の操作を読取完了指示として受け付ける。読取完了指示がなされた場合、コピージョブのとき、連続読取モードの読取で得られた複数枚の画像データに基づき制御部1は印刷部5に印刷を行わせる。送信ジョブのとき、制御部1は連続読取モードの読取に基づく複数枚の画像データを、通信部10に送信させる。
【0034】
連続読取モードに関し、複数の読取モードが設けられる。具体的に、通常読取モード、速度優先モード、画質優先モードが設けられる。操作パネル4は、連続読取モードで使用するモードの選択を受け付ける。
【0035】
〈通常読取モードでの読取動作〉
図5を用いて、通常読取モードでの読取動作の一例を説明する。なお、連続読取モードを利用しない場合(原稿を1枚だけ読み取ってジョブを実行する場合)、通常読取モードでの読取がなされる。
【0036】
図5のHPは、ホームポジションを示す。
図5のAは、セットされた原稿の先頭側の辺の位置を示す。原稿の先頭側の辺は、副走査方向において、ホームポジションに近い方の原稿の端部である。また、原稿の先頭側の辺は、副走査方向において、基準位置P0と一致する。原稿の先頭側の辺は、副走査方向において、コンタクトガラス21のホームポジションに近い方のエッジと一致する。
【0037】
図5のBは、セットされた原稿の後端側の辺の位置を示す。原稿の後端側の辺は、副走査方向において、ホームポジションからに遠い方の原稿のエッジである。なお、セットする原稿のサイズは、操作パネル4で設定できる。操作パネル4の設定に基づき、制御部1と読取制御部20は、セットされた原稿のサイズを認識できる。言い換えると、制御部1と読取制御部20は、AとBの距離を認識できる。
【0038】
通常読取モードの場合、読取制御部20は黒基準値を取得する。次に、読取制御部20はランプ61を点灯させる。読取制御部20は、ホームポジションで白基準板23を読み取る。読取制御部20は白基準値を取得する。読取制御部20は、ホームポジションからコンタクトガラス21及び原稿(に向けてキャリッジ6の移動を開始させる。読取制御部20は、走査用モーター24dの回転を開始させる。読取制御部20は、原稿の先端(A)からキャリッジ6に読取を開始させる。言い換えると、読取制御部20は、副走査方向において、ホームポジションに近い方の原稿の端辺からキャリッジ6に読取を開始させる。なお、ホームポジションとコンタクトガラス21の左側の端部までの距離(読取開始距離)は決まっている。移動開始から、キャリッジ6が読取開始距離だけ移動してから、読取制御部20は、キャリッジ6に読取を開始させる。
【0039】
読取制御部20は、原稿の後端(B)までキャリッジ6に読取を行わせる。言い換えると、読取制御部20は、副走査方向において、ホームポジションに遠い方の原稿の端辺まで、キャリッジ6に読取させる。これにより、セットされた1枚の原稿の読取がなされる。原稿の読取後、
図5に示すように、読取制御部20は、キャリッジ6をホームポジションまで戻す。ホームポジションセンサー25の出力に基づき、読取制御部20は、キャリッジ6のホームポジションへの帰還を認識する。そして、読取制御部20は、走査用モーター24dを停止させる。
【0040】
〈速度優先モードでの読取動作〉
次に、
図6を用いて、速度優先モードでの読取動作の一例を説明する。なお、速度優先モードでは、操作パネル4は読取範囲8の設定を受け付ける。使用者は、読取範囲8の開始位置81と終了位置82を設定する。なお、読取範囲8の設定の詳細は後述する。
【0041】
図6のHPは、ホームポジションを示す。
図6のAは、セットされた原稿の先頭側の辺の位置を示す(
図5と同様)。
図6のBは、セットされた原稿の後端側の辺の位置を示す(
図5と同様)。
図6のCは、設定された読取範囲8の開始位置81を示す。
図6のDは、設定された読取範囲8の終了位置82を示す。
【0042】
速度優先モードの場合、1枚目の原稿と2枚目以降の原稿では、キャリッジ6の移動手法が異なる。まず、
図6の上側の図を用いて、設定された読取範囲8での1枚目の原稿読取を説明する。
【0043】
まず、設定された読取範囲8で1枚目の原稿の読取を開始するとき、読取制御部20は、キャリッジ6をホームポジションにセットする。そして、読取制御部20は黒基準値を取得する。次に、読取制御部20はランプ61を点灯させる。読取制御部20は、ホームポジションで白基準板23を読み取る。読取制御部20は、白基準値を取得する。読取制御部20は、ホームポジションから原稿(コンタクトガラス21)に向けてキャリッジ6の移動を開始させる。読取制御部20は、走査用モーター24dの回転を開始させる。読取制御部20は、原稿の先端(A)からキャリッジ6に読取を開始させる。言い換えると、読取制御部20は、副走査方向において、ホームポジションに近い方の原稿の端辺からキャリッジ6に読取を開始させる。
【0044】
読取制御部20は、原稿の後端(B)までキャリッジ6に読取を行わせる。言い換えると、読取制御部20は、副走査方向において、ホームポジションに遠い方の原稿の端辺まで、キャリッジ6に読取させる。これにより、セットされた1枚の原稿の読取がなされる。原稿の読取後、
図6の上側の図に示すように、読取制御部20は、キャリッジ6の読取ラインの位置が設定された開始位置81となる位置に、キャリッジ6を戻す。読取ラインの位置がキャリッジ6の副走査方向の中心の場合、読取制御部20は、キャリッジ6の副走査方向の中心を開始位置81(C)とする。読取制御部20は、走査用モーター24dを停止させる。読取制御部20は、キャリッジ6をホームポジションまで戻さない。
【0045】
設定された読取範囲8での2枚目以降の原稿の読取を開始するとき、読取制御部20は、走査用モーター24dの回転を開始させる。そして、読取制御部20は、読取ラインの位置を開始位置81(C)から終了位置82(D)まで移動させる。読取制御部20は、設定された読取範囲8のみの読取を行わせる。
【0046】
次の原稿の読取範囲8も同じ場合、原稿の読取後、読取制御部20は、キャリッジ6の読取ラインの位置が設定された開始位置81(C)となる位置に、キャリッジ6を戻す(
図6の下側の図)。そして、読取制御部20は、走査用モーター24dを停止させる。読取制御部20は、キャリッジ6をホームポジションまで戻さない。同じ読取範囲8で複数枚の原稿を読み取る場合、2枚目以降の原稿では、読取制御部20は、読取ラインの位置を開始位置81(C)と終了位置82(D)の間で往復させる。読取制御部20は、読取範囲8のみの読取を行わせる。
【0047】
〈画質優先モードでの読取動作〉
次に、
図7を用いて、画質優先モードでの読取動作の一例を説明する。なお、画質優先モードでも、操作パネル4は読取範囲8の設定を受け付ける。使用者は、読取範囲8の開始位置81と終了位置82を設定する。
【0048】
図7のHPは、ホームポジションを示す。
図7のAは、セットされた原稿の先頭側の辺の位置を示す(
図5、
図6と同様)。
図6のBは、セットされた原稿の後端側の辺の位置を示す(
図5、
図6と同様)。
図7のCは、設定された読取範囲8の開始位置81を示す。
図7のDは、設定された読取範囲8の終了位置82を示す。
【0049】
画質優先モードの場合、1枚目の原稿と2枚目以降の原稿では、キャリッジ6の移動手法が異なる。まず、
図7の上側の図を用いて、設定された読取範囲8での1枚目の原稿読取を説明する。
【0050】
まず、設定された読取範囲8で1枚目の原稿の読取を開始するとき、読取制御部20は、キャリッジ6をホームポジションにセットする。そして、読取制御部20は黒基準値を取得する。次に、読取制御部20はランプ61を点灯させる。読取制御部20は、ホームポジションで白基準板23を読み取る。読取制御部20は、白基準値を取得する。読取制御部20は、走査用モーター24dの回転を開始させる。読取制御部20は、ホームポジションから原稿(コンタクトガラス21)に向けてキャリッジ6の移動を開始させる。読取制御部20は、原稿の先端(A)からキャリッジ6に読取を開始させる。
【0051】
読取制御部20は、原稿の後端(B)まで読み取るようにキャリッジ6を移動させる。読取制御部20は原稿の後端(B)までキャリッジ6に読取を行わせる。読取制御部20は、副走査方向において、ホームポジションに遠い方の原稿の端辺まで、キャリッジ6に読取させる。これにより、セットされた1枚の原稿の読取がなされる。原稿の読取後、
図7の上側の図に示すように、読取制御部20は、キャリッジ6をホームポジションまで戻す。ホームポジションセンサー25の出力に基づき、読取制御部20は、キャリッジ6のホームポジションへの帰還を認識する。そして、読取制御部20は、走査用モーター24dを停止させる。
【0052】
設定された読取範囲8での2枚目以降の原稿の読取を開始するとき、読取制御部20は黒基準値を取得する。次に、読取制御部20はランプ61を点灯させる。読取制御部20は、ホームポジションで白基準板23を読み取る。読取制御部20は、白基準値を取得する。画質優先モードでは、1回原稿を読み取るごとに、読取制御部20は、黒基準値と白基準値を更新する。そして、読取制御部20は、走査用モーター24dの回転を開始させる。読取制御部20は、ホームポジションから原稿(コンタクトガラス21)に向けてキャリッジ6の移動を開始させる。
【0053】
そして、読取制御部20は、ホームポジションから、読取ラインの位置が設定された終了位置82(D)となる位置まで移動させる。また、読取制御部20は、設定された読取範囲8のみの読取を行わせる。次の原稿の読取範囲8も同じ場合、原稿の読取後、
図7の下側の図に示すように、読取制御部20は、キャリッジ6をホームポジションに戻す。そして、読取制御部20は、走査用モーター24dを停止させる。同じ読取範囲8で複数枚の原稿を読み取る場合、2枚目以降の原稿では、読取制御部20は、ホームポジションと読取ラインの位置が終了位置82(D)となる位置の間でキャリッジ6を往復させる。読取制御部20は、読取範囲8のみの読取を行わせる。
【0054】
(読取範囲8の設定)
次に、
図8〜
図12を用いて、実施形態に係る速度優先モードと画質優先モードでの読取範囲8の設定の一例を説明する。
図8は、実施形態に係る読取範囲8の設定の流れの一例を示す図である。
図9は、実施形態に係る読取範囲設定画面91の一例を示す図である。
図10は、実施形態に係るテストスキャン結果画面92の一例を示す図である。
図11は、実施形態に係るメッセージ表示画面93の一例を示す図である。
図12は、実施形態に係る順番設定画面94の一例を示す図である。
【0055】
図8のスタートは、操作パネル4が連続読取モードのうち、速度優先モード又は画質優先モードを用いる操作を受け付けた時点である。
【0056】
操作パネル4は、読取範囲8の設定を受け付ける(ステップ♯11)。読取範囲8の設定を受け付けるため、制御部1は、読取範囲設定画面91を表示パネル41に表示させる。
図9は、読取範囲設定画面91の一例を示す。読取範囲設定画面91は、原稿サイズ設定欄C1、開始位置入力欄C2、終了位置入力欄C3、テストスキャンボタンB3、読取範囲追加ボタンB4、範囲設定完了ボタンB5を含む。
【0057】
原稿サイズ設定欄C1は、読み取る原稿のサイズと方向を設定するための欄である。原稿サイズ設定欄C1が操作されたとき、制御部1は、プルダウンメニューを表示パネル41に表示させる。プルダウンメニューには、選択可能な原稿サイズと原稿のセット方向の組み合わせが含まれる。例えば、A4サイズ(縦)、A4サイズ(横)、レターサイズ(縦)、レターサイズ(横)のようなメニューが表示される。操作パネル4は、メニューからセットする原稿のサイズとそのセット方向の選択を受け付ける。
【0058】
開始位置入力欄C2、終了位置入力欄C3は開始位置81と終了位置82を数値入力するための欄である。開始位置入力欄C2と終了位置入力欄C3が操作されたとき、制御部1は、ソフトウェアキーボードを表示させる。使用者はソフトウェアキーボードを用いて、開始位置81と終了位置82を設定できる。開始位置81の設定のため、使用者は、基準位置P0(コンタクトガラス21の左端、原稿の副走査方向の先端)から開始位置81までの副走査方向の長さ(距離)を入力する。終了位置82を設定するため、使用者は、基準位置P0(コンタクトガラス21の左端、原稿の副走査方向の先端)から終了位置82までの副走査方向の長さ(距離)を入力する。例えば、使用者は、定規で原稿を測った結果に基づき、値を入力する。読取制御部20は、入力された値に基づき、読取範囲8の開始位置81と終了位置82を認識する。
【0059】
テスト的に原稿を読み取って、読取範囲8が正しいか否かを確認することができる。使用者は、設定した読取範囲8で読み取る原稿を一部、コンタクトガラス21にセットする。テストスキャンボタンB3が操作されたとき、読取制御部20は、キャリッジ6を移動させ、設定された読取範囲8のみ、原稿を読み取らせる。そして、制御部1は、テストスキャン結果画面92を表示させる。
図10はテストスキャン結果画面92の一例を示す。
【0060】
テストスキャン結果画面92は、プレビュー表示領域F1とプレビュー終了ボタンB6を含む。プレビュー表示領域F1には、設定された読取範囲8のみの読取結果を示すプレビュー画像i1が表示される。読取制御部20はプレビュー画像i1を生成する。プレビュー画像i1は、原稿全体を示す枠線を含む。プレビュー画像i1は、枠線内に設定された読取範囲8のみの読取結果を埋め込む。プレビュー画像i1により、読取範囲8の設定が正しいか否かを確認できる。不適切な場合、使用者は、開始位置81と終了位置82の値を調整する。プレビュー終了ボタンB6が操作されたとき、読取制御部20は、テストスキャンボタンB3操作時の読取範囲設定画面91を再表示させる(戻る)。
【0061】
ここで、ホームポジション(原稿の先端)からみて、原稿の副走査方向の中心よりも外側に読取範囲8が設定されることがある。この場合、原稿のセット向きを180度回転させれば、ホームポジション(基準位置P0、コンタクトガラス21の左端、副走査方向においてホームポジションに近い方のコンタクトガラス21の端部、原稿の副走査方向の先端)から開始位置81までの距離が近くなる。つまり、原稿のセット向きを180度回転させれば、読取中のキャリッジ6の移動距離を少なくすることができる。
【0062】
そこで、制御部1は、設定された読取範囲8の開始位置81が、ホームポジションからみて、原稿の副走査方向の中心よりも外側にあるか否かを判定する。設定された開始位置81が、ホームポジションからみて、原稿の副走査方向の中心よりも外側にあるとき、制御部1は、原稿を180度回転すべきメッセージを表示パネル41に表示させてもよい。これにより、キャリッジ6の移動距離を短くすることを使用者に伝えることができる。
図11は、メッセージ表示画面93の一例を示す。この場合、使用者は、読取範囲8を修正できる。
【0063】
また、読取範囲追加ボタンB4を操作することにより、別の読取範囲8を設定することができる。読取範囲追加ボタンB4が操作されたとき、制御部1は、設定されている読取範囲8を記憶部3に記憶させる。また、制御部1は、原稿サイズ設定欄C1、開始位置入力欄C2、終了位置入力欄C3に値が入力されていない読取範囲設定画面91を表示パネル41に表示させる。言い換えると、新たな読取範囲設定画面91が表示される。このように、操作パネル4は、複数種類の読取範囲8の設定を受け付ける。
【0064】
読取範囲8の設定を終了するとき、使用者は範囲設定完了ボタンB5を操作する。操作パネル4は、読取範囲8の設定完了を受け付ける。範囲設定完了ボタンB5を操作するまで、使用者は、複数の読取範囲8を設定できる。これにより、読取範囲8の設定が完了する(ステップ♯12)。範囲設定完了ボタンB5が操作されたとき、制御部1は、順番設定画面94を表示パネル41に表示させる。
【0065】
次に、操作パネル4は、読取範囲8の使用順と、各読取範囲8で読み取る原稿の枚数の設定を受け付ける(ステップ♯13)。読取範囲8の使用順と、各読取範囲8で読み取る原稿の枚数の設定を受け付けるため、制御部1は、読取範囲設定画面91を表示パネル41に表示させる。
図12は順番設定画面94の一例を示す。
【0066】
順番設定画面94は、読取範囲ボタンB7と設定完了ボタンB8を含む。複数の読取範囲8が設定されたとき、制御部1は、複数の読取範囲ボタンB7を表示パネル41に表示させる。
図12では、4つの読取範囲8が設定された場合を示す。4つ以上、読取範囲8を設定できてもよい。「第1読取範囲」の語を含む読取範囲ボタンB7は、最初に設定された読取範囲8と対応する。「第2読取範囲」の語を含む読取範囲ボタンB7は、2番目に設定された読取範囲8と対応する。「第3読取範囲」の語を含む読取範囲ボタンB7は、3番目に設定された読取範囲8と対応する。「第4読取範囲」の語を含む読取範囲ボタンB7は、4番目に設定された読取範囲8と対応する。
【0067】
各読取範囲ボタンB7は、範囲表示画像i2を含む。範囲表示画像i2は、設定された読取範囲8を模式的に示す図である。制御部1は、範囲表示画像i2を生成する。制御部1は、読取範囲8(開始位置81と終了位置82の間)を塗りつぶす。例えば、制御部1は、読取範囲8に対応する原稿サイズの空白の画像データを生成する。さらに、制御部1は、空白の画像データのうち、開始位置81に対応する画素を通る主走査方向のラインと終了位置82に対応する画素を通る主走査方向のラインを認識する。制御部1は、各主走査方向のラインの間の画素を黒画素にする。そして、制御部1は、画像データを縮小し、範囲表示画像i2を生成する。範囲表示画像i2により、どの読取範囲ボタンB7が、どの読取範囲8と対応しているかがわかりやすくなる。
【0068】
読取範囲ボタンB7を操作することにより、適用する読取範囲8の順番を定めることができる。
図12の下側の図は、7回、読取範囲ボタンB7を操作することにより、1番目から7番目まで、読取範囲8の使用順を定めた状態を示す。例えば、使用順の上限値は、十数〜数十とできる。このように、複数の読取範囲8が設定されたとき、操作パネル4は、読取範囲8の使用順の設定を受け付ける。さらに、使用する読取範囲8ごとに、読み取る原稿の枚数を設定することができる。選択した読取範囲8ごとに読取枚数83の入力欄が設けられる。読取枚数83の入力欄が操作されたとき、制御部1は、ソフトウェアキーボードを表示パネル41に表示させる。操作パネル4は、読取範囲8ごとの読取枚数83(原稿枚数)の設定を受け付ける。
【0069】
例えば、複数のアンケート用紙の束を、連続で読み取りたい場合がある。束ごとにアンケート用紙の種類が異なるため、アンケート用紙の束ごとに読み取りたい範囲が異なる場合がある。このような場合、読取範囲8を複数設定する。そして、各束の枚数を設定する。これにより、1回の連続読取モードで、読取範囲8を自由に切り替え、複数の原稿束を読み取ることができる。
【0070】
また、1つの原稿束が複数種類のアンケート用紙を含む場合がある。種類ごとに読み取りたい範囲が異なる場合がある。このような場合でも、連続読取モード中、設定した読取範囲8を柔軟に変更することができる。また、それぞれの読取範囲8で読み取る枚数を設定することができる。
【0071】
予め適用する読取範囲8と、各読取範囲8での読取枚数83をプログラムしておくことができる。連続読取モードでの読取作業中、読取範囲8を変更するための複雑な作業をしなくて済む。連続読取モード中、使用者は、原稿を入れ替える作業に集中すればよい。なお、設定した読取範囲8が1つの場合、制御部1は、読取枚数83の入力欄のみを表示パネル41に表示させてもよい。操作パネル4は、読取枚数83の入力を受け付ける。
【0072】
読取範囲8の使用順と各読取範囲8の読取枚数83の設定を終了するとき、使用者は設定完了ボタンB8を操作する。操作パネル4は設定完了を受け付ける。読取範囲8の使用順と、各読取範囲8での読取枚数83の設定が完了する(ステップ♯14)。速度優先モード又は画質優先モードの設定が完了したので、本フローは終了する(エンド)。
【0073】
(速度優先モード又は画質優先モードでの連続読取)
次に、
図13〜
図15を用いて、実施形態に係る複合機100での速度優先モード又は画質優先モードでの読取の一例を説明する。
図13は実施形態に係る複合機100での速度優先モード又は画質優先モードでの読取の流れの一例を示す図である。
図14は、実施形態に係る連続読取画面95の一例を示す図である。
図15は実施形態に係る複合機100での速度優先モード又は画質優先モードでの読取の流れの一例を示す図である。
図16は、実施形態に係る確認メッセージ画面96の一例を示す図である。
【0074】
まず、
図13を用いて、設定された読取範囲8が1つの場合の読取の流れの一例を説明する。
図13のスタートは、速度優先モード又は画質優先モードの設定に関する設定が完了した時点である(
図8のフローチャートが終了した時点)。
【0075】
まず、制御部1は、連続読取画面95を表示パネル41に表示させる(ステップ♯21)。
図14は、連続読取画面95の一例を示す。
図14に示すように、連続読取画面95は、読取開始ボタンB2と読取完了ボタンB1を含む。原稿のセットが完了したとき、使用者は読取開始ボタンB2を操作する。読取を終了するとき(連続読取モードを終了するとき)、使用者は、読取完了ボタンB1を操作する。また、制御部1は、読取開始ボタンB2の下方に、読取済の原稿の枚数を表示パネル41に表示させる。
図14は、原稿を5枚読み取ったときの連続読取画面95の一例を示す。制御部1は、連続読取モードで原稿を読み取る間、連続読取画面95を表示パネル41に表示させる。
【0076】
操作パネル4は1枚目の原稿の読取開始を受け付ける(ステップ♯22)。言い換えると、操作パネル4は、読取開始ボタンB2の操作を受け付ける。読取制御部20は、1枚目の原稿全体の読取を行わせる(ステップ♯23)。このとき、読取制御部20は、黒基準値と白基準値をイメージセンサー62に取得させる。そして、読取制御部20は、走査用モーター24dを動作させる。読取制御部20は、ホームポジションから原稿の後端まで読取ラインの位置を移動させる。読取制御部20は、原稿の先端から後端まで、キャリッジ6に原稿を読み取らせる。読取に基づき、読取制御部20は1枚目の原稿全体の画像データを画像データ生成部7に生成させる。そして、記憶部3は、1枚目の原稿全体の画像データを記憶する。
【0077】
そして、読取制御部20はキャリッジ6を移動させる(ステップ♯24)。速度優先モードの場合、読取制御部20は、原稿の読取完了後、読取ラインの位置が設定された読取範囲8の開始位置81となるように、キャリッジ6を移動させる。画質優先モードの場合、読取制御部20は、キャリッジ6をホームポジションに戻す。
【0078】
制御部1は、読取完了か否かを判断する(ステップ♯25)。具体的に、操作パネル4が読取完了ボタンB1の操作を受け付けたか否かを確認する。操作パネル4が読取完了ボタンB1の操作を受け付けたとき、制御部1は読取完了と判断する。読取完了と判断したとき(ステップ♯25のYes)、本フローは終了する(エンド)。本フローの終了後、制御部1は、読取で得られた画像データに基づき、印刷又は送信ジョブを実行する。なお、速度優先モードのとき、読取制御部20は、走査用モーター24dを動作させ、キャリッジ6をホームポジションに戻す。
【0079】
読取完了と判断できないとき(ステップ♯25のNo)、制御部1は、2枚目以降の原稿の読取を開始するか否かを判断する(ステップ♯26)。具体的に、操作パネル4が読取開始ボタンB2の操作を受け付けたか否かを確認する。読取開始と判断できないとき(ステップ♯26のNo)、フローはステップ♯25に戻る。読取開始と判断できたとき(ステップ♯25のNo)、読取制御部20は、2枚目以降の原稿については、設定された読取範囲8のみ読取を行わせる(ステップ♯27)。
【0080】
速度優先モードのとき、読取制御部20は、読取ラインの位置を、開始位置81から終了位置82まで移動させることにより、読取範囲8のみの読取を前記イメージセンサー62に行わせる。画質優先モードのとき、読取制御部20は、黒基準値と白基準値をイメージセンサー62に取得させる。そして、読取制御部20は、走査用モーター24dを動作させる。読取制御部20は、読取ラインの位置を、白基準板23を読み取る位置(ホームポジション)から、終了位置82まで移動させることにより、読取範囲8のみの読取をイメージセンサー62に行わせる。
【0081】
そして、制御部1(画像処理回路12)は、読取結果に基づき、2枚目の原稿の画像データを生成する(ステップ♯28)。具体的に、制御部1は、1枚目の原稿全体の画像データを利用して、2枚目以降の原稿の画像データを生成させる。まず、制御部1(画像処理回路12)は、1枚目の原稿の読取で得られた画像データ全体をコピーする。そして、制御部1(画像処理回路12)は、コピーした画像データに、読取範囲8のみの読取で得られた画像データを嵌め込む。制御部1(画像処理回路12)は、コピーした画像データのうち、開始位置81から終了位置82までの帯状の画像データの部分に、読取範囲8のみの読取で得られた画像データを上書きする。これにより、読取範囲8のみを読み取っても、2枚目以降の原稿について、1ページ全体の画像データを得ることができる。そして、フローはステップ♯24に戻る。
【0082】
次に、
図15を用いて、設定された読取範囲8が複数の場合の読取の流れの一例を説明する。
図15のスタートは、速度優先モード又は画質優先モードの設定に関する設定が完了した時点である(
図8のフローチャートが終了した時点)。
【0083】
まず、制御部1は、連続読取画面95を表示パネル41に表示させる(ステップ♯31、
図14)。次に、操作パネル4は、1枚目の原稿の読取開始を受け付ける(ステップ♯32)。言い換えると、操作パネル4は、読取開始ボタンB2の操作を受け付ける。読取制御部20は、1枚目の原稿全体の読取を行わせる(ステップ♯33)。このとき、読取制御部20は、黒基準値と白基準値をイメージセンサー62に取得させる。そして、読取制御部20は、走査用モーター24dを動作させる。読取制御部20は、ホームポジションから原稿の後端まで読取ラインの位置を移動させる。読取制御部20は、キャリッジ6に原稿の先端から後端まで原稿を読み取らせる。読取に基づき、読取制御部20は、1枚目の原稿全体の画像データを画像データ生成部7に生成させる。そして、記憶部3は、1枚目の原稿全体の画像データを記憶する。
【0084】
次に、読取制御部20は、読取範囲8を切り替えるか否かを確認する(ステップ♯34)。例えば、読取制御部20は、現在の読取範囲8について、設定された読取枚数83の読取を行ったとき、読取範囲8を次の順番に切り替えると判定してもよい。この場合、自動的に、読取範囲8が次の順番の読取範囲8に切り替えられる。例えば、1番目の読取範囲8について、読取枚数83が5枚に設定されている場合、1番目の読取範囲8で5枚を読み取ったとき、読取制御部20は、2番目の読取範囲8に切り替えると判定する。一方、現在の読取範囲8について、設定された読取枚数83の読取を行っていないとき、読取制御部20は、読取範囲8を次の順番に切り替えないと判定してもよい。
【0085】
なお、制御部1は、設定された読取枚数83の読取完了後、読取範囲8の変更を行うか否かの確認メッセージを表示パネル41に表示させてもよい。
図16は、確認メッセージ画面96の一例を示す。確認メッセージ画面96には、YesボタンB9とNoボタンB10が配される。次の順番の読取範囲8に切り替えたい場合、使用者は、YesボタンB9を操作する。一方、読取枚数83を誤って設定してしまう場合がある。読取範囲8を変更したくない場合、使用者はNoボタンB10を操作する。これにより、読取枚数83を少なく設定しても、読取範囲8を変えずに次の原稿の読取を続けることができる。確認メッセージを表示する場合、操作パネル4がYesボタンB9の操作を受け付けたとき、読取制御部20は、読取範囲8を切り替えると判定する。つまり、確認メッセージの表示後、操作パネル4が読取範囲8の変更指示を受け付けたとき、読取制御部20は、読取範囲8を変更する。操作パネル4がNoボタンB10の操作を受け付けたとき、読取制御部20は、読取範囲8を切り替えないと判定する。
【0086】
読取範囲8を切り替えないと判定した場合(ステップ♯34のNo)、読取制御部20は、キャリッジ6を移動させる(ステップ♯35)。速度優先モードの場合、読取制御部20は、原稿の読取完了後、読取ラインの位置が現在の読取範囲8の開始位置81となるように、キャリッジ6を移動させる。画質優先モードの場合、読取制御部20は、キャリッジ6をホームポジションに戻す。
【0087】
次に、制御部1は、読取完了か否かを判断する(ステップ♯36)。具体的に、操作パネル4が読取完了ボタンB1の操作を受け付けたか否かを確認する。操作パネル4が読取完了ボタンB1の操作を受け付けたとき、制御部1は読取完了と判断する。読取完了と判断したとき(ステップ♯36のYes)、本フローは終了する(エンド)。本フローの終了後、制御部1は、読取で得られた画像データに基づき、印刷又は送信ジョブを実行する。なお、速度優先モードのとき、読取制御部20は、走査用モーター24dを動作させ、キャリッジ6をホームポジションに戻す。
【0088】
読取完了ボタンB1ではなく、読取開始ボタンB2が操作されたとき(ステップ♯36のNo)、読取制御部20は、同じ読取範囲8での読取において、2枚目以降の原稿については、設定された読取範囲8のみ読取を行わせる(ステップ♯37)。速度優先モードのとき、読取制御部20は、読取ラインの位置を、開始位置81から終了位置82まで移動させることにより、読取範囲8のみの読取をイメージセンサー62に行わせる。画質優先モードのとき、読取制御部20は、黒基準値と白基準値をイメージセンサー62に取得させる。そして、読取制御部20は、走査用モーター24dを動作させる。読取制御部20は、読取ラインの位置を、白基準板23を読み取る位置(ホームポジション)から、終了位置82まで移動させることにより、読取範囲8のみの読取をイメージセンサー62に行わせる。
【0089】
そして、制御部1(画像処理回路12)は、読取結果に基づき、現在の読取範囲8での2枚目以降の原稿の画像データを生成する(ステップ♯38)。制御部1は、現在の読取範囲8と同じ読取範囲8での1枚目の原稿全体の画像データを利用する。まず、制御部1(画像処理回路12)は、1枚目の原稿の読取で得られた画像データ全体をコピーする。そして、制御部1(画像処理回路12)は、コピーした画像データに、現在の読取範囲8のみの読取で得られた画像データを嵌め込む。制御部1(画像処理回路12)は、コピーした画像データのうち、開始位置81から終了位置82までの帯状の画像データの部分に、読取範囲8のみの読取で得られた画像データを上書きする。これにより、読取範囲8のみを読み取っても、現在の読取範囲8の2枚目以降の原稿について、1ページ全体の画像データを得ることができる。そして、フローはステップ♯34に戻る。
【0090】
一方、読取範囲8を切り替えると判定した場合(ステップ♯34のYes)、制御部1は読取完了か否かを判断する(ステップ♯39)。操作パネル4が読取完了ボタンB1の操作を受け付けたか否かを確認する。操作パネル4が読取完了ボタンB1の操作を受け付けたとき、制御部1は読取完了と判断する。読取完了と判断したとき(ステップ♯39のYes)、本フローは終了する(エンド)。なお、速度優先モードのとき、読取制御部20は、走査用モーター24dを動作させ、キャリッジ6をホームポジションに戻す。
【0091】
読取完了ボタンB1ではなく、読取開始ボタンB2が操作されたとき(ステップ♯39のNo)、読取制御部20は、次の順番の読取範囲8での読取が1枚目か否かを確認する(ステップ♯310)。1枚目の場合(ステップ♯310のYes)、原稿の全体を読み取るため、読取制御部20は、キャリッジ6をホームポジションに移動させる(ステップ♯311)。ステップ♯311の後、フローは、ステップ♯33に戻る。
【0092】
順番設定画面94で順番を隔てて、同じ読取範囲8が設定される場合がある。読取範囲8が一度切り替えられた後、同じ読取範囲8を再度使用する設定がなされた場合、ステップ♯310がNoとなる場合がある。次の順番の読取範囲8での読取が1枚目ではない場合(ステップ♯310のNo)、読取制御部20は、キャリッジ6をモードにあわせて移動させる(ステップ♯312)。速度優先モードの場合、読取制御部20は読取ラインの位置が切替後の読取範囲8の開始位置81となるように、キャリッジ6を移動させる。画質優先モードの場合、読取制御部20はキャリッジ6をホームポジションに戻す。
【0093】
そして、読取制御部20は、同じ読取範囲8についての2枚目以降の原稿を、設定された読取範囲8のみ読み取らせる(ステップ♯313)。速度優先モードのとき、読取制御部20は、読取ラインの位置を、開始位置81から終了位置82まで移動させることにより、読取範囲8のみの読取をイメージセンサー62に行わせる。画質優先モードのとき、読取制御部20は、黒基準値と白基準値をイメージセンサー62に取得させる。そして、読取制御部20は、走査用モーター24dを動作させる。読取制御部20は、前記読取ラインの位置を、白基準板23を読み取る位置(ホームポジション)から、終了位置82まで移動させることにより、読取範囲8のみの読取をイメージセンサー62に行わせる。
【0094】
そして、制御部1(画像処理回路12)は、読取結果に基づき、原稿の画像データを生成する(ステップ♯314)。制御部1は、現在(切替後)の読取範囲8の設定で読み取った1枚目の原稿全体の画像データを利用する。まず、制御部1(画像処理回路12)は、現在の読取範囲8の設定で以前に読み取った1枚目の原稿の画像データ全体をコピーする。そして、制御部1(画像処理回路12)は、コピーした画像データに、現在の読取範囲8のみの読取で得られた画像データを嵌め込む。制御部1(画像処理回路12)は、コピーした画像データのうち、開始位置81から終了位置82までの帯状の画像データの部分に、読取範囲8のみの読取で得られた画像データを上書きする。これにより、読取範囲8のみを読み取っても、現在の読取範囲8の2枚目以降の原稿について、1ページ全体の画像データを得ることができる。そして、フローはステップ♯34に戻る。
【0095】
このようにして、実施形態に係る画像読取装置は、コンタクトガラス21、キャリッジ6、イメージセンサー62、画像データ生成部7、移動機構24、操作パネル4、読取制御部20と、を含む。コンタクトガラス21には原稿がセットされる。キャリッジ6は、ホームポジションが設定され、原稿に光を照射するランプ61を含む。イメージセンサー62は、原稿の反射光を受光して原稿を読み取る。画像データ生成部7はイメージセンサー62の出力に基づき画像データを生成する。移動機構24は、コンタクトガラス21の一方側で、キャリッジ6を副走査方向で移動させる。操作パネル4は、連続読取モードを利用する設定と、読取範囲8の開始位置81と終了位置82の設定を受け付ける。読取制御部20は、移動機構24を制御する。連続読取モードは、操作パネル4が読取完了を受け付けるまでコンタクトガラス21にセットされた原稿の読取を続け、読取完了後にジョブを開始するモードである。ホームポジションは、副走査方向においてコンタクトガラス21の外側に設けられる。連続読取モードが設定され、かつ、読取範囲8が設定された場合、読取制御部20は、設定された読取範囲8で複数枚の原稿を読み取るとき、設定された読取範囲8での2枚目以降の原稿の読取では、イメージセンサー62の読取ラインの位置を、ホームポジションからみて、終了位置82よりも外側に移動させない。
【0096】
ホームポジションからみて原稿の遠い方の端まで、キャリッジ6(読取ラインの位置)を常に移動させない。同じ読取範囲8で複数枚の原稿を読み取るとき、キャリッジ6の移動距離を短くすることができる。これにより、1枚の原稿読取に要するキャリッジ6の移動時間を従来よりも短くすることができる。次の原稿の読取を開始できる状態になるまでの時間を減らすことができる。従って、原稿読取に要する時間を短くすることができる。
【0097】
操作パネル4は連続読取モードの1つとして速度優先モードの選択を受け付ける。速度優先モードが設定された場合、設定された読取範囲8で複数枚の原稿を読み取るとき、読取制御部20は、設定された読取範囲8の2枚目以降の原稿の読取では、前の原稿の読取後に読取ラインの位置を開始位置81にあわせる。読取制御部20は、開始位置81から終了位置82まで読取ラインの位置を移動させることにより、読取範囲8のみの読取をイメージセンサー62に行わせる。速度優先モードが設定された場合、原稿読取時、キャリッジ6(読取ラインの位置)は、開始位置81と終了位置82の間でのみ往復する。これにより、1枚の原稿読取に要するキャリッジ6の移動距離を従来よりもずっと短くすることができる。次の原稿の読取を開始できる状態になるまでの時間を減らすことができる。従って、原稿の読取に要する時間を短くすることができる。
【0098】
複合機100(画像読取装置)は、副走査方向においてコンタクトガラス21の外側に設けられ、白基準値を取得するための白基準板23を含む。画像データ生成部7は、黒基準値と、白基準板23の読取で得られた白基準値に基づき、シェーディング補正を行う。操作パネル4は連続読取モードの1つとして画質優先モードの選択を受け付ける。画質優先モードが設定された場合、読取制御部20は、前の原稿の読取後に読取ラインの位置を、白基準板23を読み取る位置に戻す。読取制御部20は、原稿を読み取るごとに、黒基準値を更新する。読取制御部20は、原稿を読み取るごとに、白基準板23をイメージセンサー62に読み取らせて、白基準値を更新する。設定された読取範囲8の2枚目以降の原稿の読取では、読取制御部20は、白基準板23を読み取る位置から終了位置82まで読取ラインの位置を移動させることにより、読取範囲8のみの読取をイメージセンサー62に行わせる。画質優先モードが設定された場合、原稿読取時、キャリッジ6(読取ラインの位置)は、白基準板23を読み取る位置と終了位置82の間でのみ往復する。これにより、1枚の原稿読取に要するキャリッジ6の移動距離を従来よりも短くすることができる。しかも、原稿を読み取るごとに黒基準値と白基準値を更新するので、画質を維持することができる。従来よりも、次の原稿読取を開始できる状態になるまでの時間を減らすことができる。画質を維持しつつ、原稿読取に要する時間を短くすることができる。
【0099】
設定された読取範囲8で複数枚の原稿を読み取る場合、読取制御部20は、設定された読取範囲8の1枚目の原稿の読取では、読取ラインの位置を、ホームポジションから1枚目の原稿の後端まで移動させることにより、原稿の全体の読取をイメージセンサー62に行わせる。制御部1(画像処理回路12)は、設定された読取範囲8の2枚目以降の原稿の読取では、1枚目の原稿の読取で得られた画像データをコピーする。制御部1(画像処理回路12)は、コピーした画像データに、読取範囲8のみの読取で得られた画像データを嵌め込むことにより、2枚目以降のそれぞれの原稿の画像データを生成する。読取範囲8のみの読取を行っても、1ページの画像データを得ることができる。アンケートの回答用紙のように、原稿の一部のみが異なっている用紙を連続して読み取った場合、原稿と同内容の画像データを得ることができる。
【0100】
制御部1は、表示パネル41の表示を制御する。制御部1は、設定された読取範囲8の開始位置81が、ホームポジションからみて、原稿の副走査方向の中心よりも外側にあるか否かを判定する。設定された読取範囲8の開始位置81が、ホームポジションからみて、原稿の副走査方向の中心よりも外側にあるとき、制御部1は、原稿を180度回転すべきメッセージを表示パネル41に表示させる。キャリッジ6のホームポジションに近くなるように、読取範囲8を設定させることができる。キャリッジ6の移動距離が短くなるように、読取範囲8が設定される。原稿読取に要する時間が短くなるように、読取範囲8を設定させることができる。
【0101】
操作パネル4は、複数種類の読取範囲8の設定を受け付ける。操作パネル4は、それぞれの読取範囲8ごとの読取枚数83の設定を受け付ける。読取制御部20は、設定された読取枚数83の読取がなされるごとに、読取範囲8を変更する。変更後の読取範囲8での原稿の読取が1枚目の原稿の読取のとき、読取制御部20は、キャリッジ6をホームポジションに戻す。読取範囲8のパターンを変えつつ、原稿を連続して、迅速に読み取ることができる。原稿によって読取範囲8が異なっていても、連続読取モードでの読取を続けることができる。各読取範囲8で読み取る読取枚数83を予め設定することができる。
【0102】
制御部1は、表示パネル41の表示を制御する。設定された読取枚数83の読取がなされたとき、制御部1は、読取範囲8の変更を行うか否かの確認メッセージを表示パネル41に表示させる。読取制御部20は、確認メッセージの表示後、操作パネル4が読取範囲8の変更指示を受け付けたとき、読取範囲8を変更する。使用者の確認を得てから読取範囲8が変更される。使用者が希望しない読取範囲8の変更を防ぐことができる。
【0103】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0104】
上記の実施形態の説明では、速度優先モードの場合、読取制御部20は、原稿の読取完了後、読取ラインの位置が設定された読取範囲8の開始位置81となるように、キャリッジ6を移動させる例を説明した。しかし、速度優先モードの場合、読取制御部20は、原稿の読取完了後、読取ラインの位置が設定された読取範囲8の開始位置81よりも加速必要距離だけ、ホームポジション寄りとなる位置に、キャリッジ6を移動させてもよい。加速必要距離は、キャリッジ6を停止状態(速度ゼロ)から定常移動速度まで加速するのに必要なキャリッジ6の移動距離である。定常移動速度は、予め定められた速度である。定常移動速度は、1ラインの読み取り周期の間に、キャリッジ6が1ライン分移動する速度である。