特許第6822568号(P6822568)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6822568
(24)【登録日】2021年1月12日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/02 20060101AFI20210114BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20210114BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20210114BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   H01F27/02 N
   H01F38/14
   H02J50/10
   H02J7/00 P
   H02J7/00 301D
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-527694(P2019-527694)
(86)(22)【出願日】2018年7月2日
(86)【国際出願番号】JP2018025053
(87)【国際公開番号】WO2019009241
(87)【国際公開日】20190110
【審査請求日】2019年8月15日
(31)【優先権主張番号】特願2017-132036(P2017-132036)
(32)【優先日】2017年7月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】西村 賢二
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0367739(US,A1)
【文献】 特開2017−188662(JP,A)
【文献】 特開2014−233107(JP,A)
【文献】 特開2014−193026(JP,A)
【文献】 特開2008−017562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/02
H01F 38/14
H02J 7/00
H02J 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに対向し、前記ベースとの間に収容空間を形成するカバーと、
前記収容空間内に配置され、内部にコイルを収容する筐体と、
前記収容空間内に配置され、前記ベースと前記カバーとの対向方向に沿って貫通する貫通孔を有する基板と、
前記貫通孔内に配置された支柱部と、
を備え、
前記支柱部は、前記基板よりも強度が高く、
前記支柱部の高さは、前記基板の厚さよりも高く、
前記基板は、
前記カバーと前記筐体との間に配置された第1基板と、
前記筐体と前記ベースとの間に配置された第2基板と、
を備え、
前記第1基板の前記貫通孔内に配置された前記支柱部は、前記カバーに設けられると共に前記筐体側に向けて突出する第1凸部、及び前記筐体に設けられると共に前記カバー側に向けて突出する第2凸部のうち、少なくともいずれかによって構成され、
前記第2基板の前記貫通孔内に配置された前記支柱部は、前記筐体に設けられると共に前記ベース側に向けて突出する第3凸部、及び前記ベースに設けられると共に前記筐体側に向けて突出する第4凸部のうち、少なくともいずれかによって構成される、コイル装置。
【請求項2】
前記基板には、環状のループアンテナが設けられ、
前記貫通孔は、前記ベースと前記カバーとの対向方向に沿って見たときに前記ループアンテナの内側に設けられている、請求項に記載のコイル装置。
【請求項3】
ベースと、
前記ベースに対向し、前記ベースとの間に収容空間を形成するカバーと、
前記収容空間内に配置され、内部にコイルを収容する筐体と、
前記収容空間内に配置され、前記ベースと前記カバーとの対向方向に沿って貫通する貫通孔を有する基板と、
前記貫通孔内に配置された支柱部と、
を備え、
前記支柱部は、前記基板よりも強度が高く、
前記支柱部の高さは、前記基板の厚さよりも高く、
前記基板は、前記筐体と前記ベースとの間に配置され、
前記支柱部は、前記筐体に設けられると共に前記ベース側に向けて突出する第3凸部、及び前記ベースに設けられると共に前記筐体側に向けて突出する第4凸部のうち、少なくともいずれかによって構成され、
前記基板には、環状のループアンテナが設けられ、
前記貫通孔は、前記ベースと前記カバーとの対向方向に沿って見たときに前記ループアンテナの内側に設けられている、コイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両の走行路面に設置され、車両に対して非接触で送電するコイル装置がある。このようなコイル装置が、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2013/061616号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、走行路面に設置されたコイル装置上に車両のタイヤが乗り上げた場合など、コイル装置に大きな荷重が加わることがある。コイル装置内には電子部品が搭載された基板が設けられているが、車両の乗り上げ等が発生した場合であっても、基板に大きな荷重が加わることを抑制することが望まれている。
【0005】
そこで、本開示は、基板に荷重が加わることを抑制可能なコイル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るこのコイル装置は、ベースと、ベースに対向し、ベースとの間に収容空間を形成するカバーと、収容空間内に配置され、内部にコイルを収容する筐体と、収容空間内に配置され、ベースとカバーとの対向方向に沿って貫通する貫通孔を有する基板と、貫通孔内に配置された支柱部と、を備え、支柱部は、基板よりも強度が高く、支柱部の高さは、基板の厚さよりも高い。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、基板に荷重が加わることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る非接触給電システムの概略構成を示す図である。
図2図1の第1コイル装置の構成を示す分解図である。
図3図2のコイル部の内部構成を示す上面図である。
図4図2の第1回路部を拡大して示す斜視図である。
図5図1の第1コイル装置における支柱部周りの断面図である。
図6】第1変形例の第1コイル装置における支柱部周りの断面図である。
図7】第2変形例の第1コイル装置における支柱部周りの断面図である。
図8】第3変形例の第1コイル装置における支柱部周りの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一態様に係るこのコイル装置は、ベースと、ベースに対向し、ベースとの間に収容空間を形成するカバーと、収容空間内に配置され、内部にコイルを収容する筐体と、収容空間内に配置され、ベースとカバーとの対向方向に沿って貫通する貫通孔を有する基板と、貫通孔内に配置された支柱部と、を備え、支柱部は、基板よりも強度が高く、支柱部の高さは、基板の厚さよりも高い。
【0010】
このコイル装置において、支柱部は、基板よりも強度が高く、基板の厚さよりも高さが高い。例えばカバーからベースに向けて大きな荷重が加わった場合、基板に向かう荷重は支柱部によって支えられる。これにより、コイル装置は、基板に加わる荷重を抑制できる。
【0011】
コイル装置において、基板は、カバーと筐体との間に配置され、支柱部は、カバーに設けられると共に筐体側に向けて突出する第1凸部、及び筐体に設けられると共にカバー側に向けて突出する第2凸部のうち、少なくともいずれかによって構成されてもよい。この場合、支柱部を別部品として備えることが不要となり、部品点数の削減が可能となる。また、一般に、外部から衝撃を受けるカバー、及びコイルを収容する筐体は、基板よりも強度が高い材料によって形成されている。このため、コイル装置は、別の部材を備えることなく、カバー及び筐体の少なくともいずれかを支柱部としても機能させることができる。
【0012】
コイル装置において、基板は、筐体とベースとの間に配置され、支柱部は、筐体に設けられると共にベース側に向けて突出する第3凸部、及びベースに設けられると共に筐体側に向けて突出する第4凸部のうち、少なくともいずれかによって構成されてもよい。この場合、支柱部を別部品として備えることが不要となり、部品点数の削減が可能となる。また、一般に、コイルを収容する筐体、及び外部から衝撃を受けるベースは、基板よりも強度が高い材料によって形成されている。このため、コイル装置は、別の部材を備えることなく、筐体及びベースの少なくともいずれかを支柱部としても機能させることができる。
【0013】
コイル装置において、基板は、カバーと筐体との間に配置された第1基板と、筐体とベースとの間に配置された第2基板と、を備え、第1基板の貫通孔内に配置された支柱部は、カバーに設けられると共に筐体側に向けて突出する第1凸部、及び筐体に設けられると共にカバー側に向けて突出する第2凸部のうち、少なくともいずれかによって構成され、第2基板の貫通孔内に配置された支柱部は、筐体に設けられると共にベース側に向けて突出する第3凸部、及びベースに設けられると共に筐体側に向けて突出する第4凸部のうち、少なくともいずれかによって構成されてもよい。この場合、支柱部を別部品として備えることが不要となり、部品点数の削減が可能となる。
【0014】
コイル装置において、基板には、環状のループアンテナが設けられ、貫通孔は、ベースとカバーとの対向方向に沿って見たときにループアンテナの内側に設けられている。コイル装置においては、カバー上の金属等、種々の異物を検出することが求められている。このため、コイル装置においては、基板にループアンテナが設置される。このように、ループアンテナが設置されている場合であってもループアンテナの内側に貫通孔が設けられることによって、支柱部がループアンテナと干渉することが防止される。
【0015】
以下、本開示に係るコイル装置を、非接触給電システムにおいて電力を送る第1コイル装置に適用した実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1に示されるように、非接触給電システム100は、第1コイル装置(コイル装置)1と、第2コイル装置2とを備えている。第1コイル装置1は、車両Vが走行する路面W上に設置される。なお、第1コイル装置1は、路面W下に設置(埋設)されてもよい。第1コイル装置1は、図示しない回路から供給された交流電力によって磁場を発生させる。第2コイル装置2は、例えば電気自動車である車両Vに搭載されている。第1コイル装置1は、電力供給位置(第1コイル装置1と第2コイル装置2とが対向する位置)に到着した車両Vの第2コイル装置2に対し、例えば、磁界共鳴方式又は電磁誘導方式等のコイル間の磁気結合を利用して、非接触で送電する。これにより、第2コイル装置2は、電力を受ける。なお、非接触給電方式は、磁気結合を利用したものに限らず、例えば、電界共鳴方式であってもよい。
【0017】
図2に示されるように、第1コイル装置1は、カバー10、第1回路部20、コイル部30、第2回路部40、及びベース50を備えている。ベース50は、例えば、アルミニウム等で形成されている。ベース50は、路面Wに設けられた設置面に設置される。カバー10は、ベース50の上面に対向するように配置され、ベース50との間に収容空間R(図5参照)を形成する。収容空間Rは、カバー10とベース50とによって閉じられた空間となっている。カバー10は、収容空間R内に収容されたコイル部30等を保護する。カバー10は、例えば、熱硬化性樹脂等で形成されている。
【0018】
コイル部30は、収容空間R内に配置されている。コイル部30は、図2及び図3に示されるように、コイル31、フェライトコア32、及び筐体33を備えている。コイル31は、図示しない回路から供給された交流電力によって磁場を発生させる。コイル31は、渦巻き状に巻かれたリッツ線によって構成されている。フェライトコア32は、磁性体であり、コイル31から発生した磁力線の方向付け及び集約を行っている。フェライトコア32は、コイル31よりもベース50側に配置されている。筐体33は、コイル31及びフェライトコア32を内部に収容する。筐体33は、例えば、PPS樹脂によって形成されている。
【0019】
第1回路部20は、収容空間R内において、カバー10とコイル部30との間に配置されている。第1回路部20は、種々の電子部品を備えている。本実施形態において第1回路部20は、電子部品としてループアンテナ22を備えている。具体的には、第1回路部20は、図4に示されるように、第1基板(基板)21、及び複数のループアンテナ22を備えている。第1基板21は、電子部品(ループアンテナ22)が実装される部材である。ループアンテナ22は、環状に形成されたアンテナ線によって構成されている。ループアンテナ22は、第1基板21の表面に設けられている。ループアンテナ22は、第1コイル装置1上に入り込んだ金属製の異物を検出する。ループアンテナ22は図示しない検出回路に接続され、検出回路において異物の有無が判定される。
【0020】
第1基板21には、複数の貫通孔21aが設けられている。貫通孔21aは、ベース50とカバー10との対向方向(ベース50とカバー10との並び方向)に沿って第1基板21を貫通している。貫通孔21aは、円形の孔である。複数の貫通孔21aは、互いに所定の間隔を空けて並んでいる。また、貫通孔21aは、第1基板21に設けられた電子部品を避けた位置に設けられている。本実施形態において、貫通孔21aは、ベース50とカバー10との対向方向に沿って見たときに、環状のループアンテナ22の内側に設けられている。本実施形態のループアンテナ22は、四角枠状の環状部を有している。貫通孔21aは、ループアンテナ22における四角枠状の環状部の内側に設けられている。
【0021】
図4等では、ループアンテナ22が格子状の線として描かれているが、各ループアンテナ22の環状部が各貫通孔21aをそれぞれ囲んでいる。なお、ループアンテナ22は、環状部を1つのみ有するアンテナであってもよく、環状部を2つ有する8の字状のアンテナであってもよい。第1基板21は、例えば、ガラスエポキシ樹脂によって形成されている。
【0022】
図2に示されるように、第2回路部40は、収容空間R内において、コイル部30とベース50との間に配置されている。第2回路部40は、種々の電子部品を備えている。本実施形態において、第2回路部40は、第1回路部20と同様の構成を備えている。すなわち、第2回路部40は、第2基板(基板)41、及び複数のループアンテナ42を備えている。第2基板41には、第1基板21と同様に、複数の貫通孔41aが設けられている。
【0023】
貫通孔41aは、ベース50とカバー10との対向方向に沿って第2基板41を貫通している。貫通孔41aは、円形の孔である。複数の貫通孔41aは、互いに所定の間隔を空けて並んでいる。また、貫通孔41aは、第2基板41に設けられた電子部品を避けた位置に設けられている。本実施形態において、貫通孔41aは、ベース50とカバー10との対向方向に沿って見たときに、ループアンテナ42の内側に設けられている。ループアンテナ42は、ループアンテナ22と同様の構成を有している。第2基板41は、例えば、ガラスエポキシ樹脂によって形成されている。
【0024】
図5に示されるように、第1回路部20の貫通孔21a内には、支柱部Aが配置されている。第2回路部40の貫通孔41a内には、支柱部Bが配置されている。本実施形態において、支柱部A及びBは、それぞれ筐体33の一部によって構成されている。具体的には、図5に示されるように、筐体33は、筐体本体部330、複数の第1筐体凸部331、及び、複数の第2筐体凸部332を備えている。筐体本体部330は、コイル31及びフェライトコア32を収容する。
【0025】
第1筐体凸部331は、筐体本体部330におけるカバー10側の面に設けられ、カバー10側に向けて筐体本体部330から突出している。複数の第1筐体凸部331は、第1基板21に設けられた複数の貫通孔21aに対応する位置に設けられている。すなわち、第1筐体凸部331は、第1回路部20と筐体33とが重ねられたときに、貫通孔21a内に入り込む。第1筐体凸部331は、円柱状に形成されている。第1筐体凸部331における筐体本体部330からの突出高さは、第1基板21の厚さよりも高い。また、第1筐体凸部331は、第1基板21よりも強度が高い。第1筐体凸部331における突出方向の先端部は、カバー10に当接している。
【0026】
本実施形態において、支柱部Aは、第1筐体凸部331によって構成されている。すなわち、支柱部Aは、筐体33に設けられると共にカバー10側に向けて突出する第1筐体凸部(第2凸部)331によって構成される。
【0027】
第2筐体凸部332は、筐体本体部330におけるベース50側の面に設けられ、ベース50側に向けて筐体本体部330から突出している。複数の第2筐体凸部332は、第2基板41に設けられた複数の貫通孔41aに対応する位置に設けられている。すなわち、第2筐体凸部332は、筐体33と第2回路部40とが重ねられたときに、貫通孔41a内に入り込む。第2筐体凸部332は、円柱状に形成されている。第2筐体凸部332における筐体本体部330からの突出高さは、第2基板41の厚さよりも高い。また、第2筐体凸部332は、第2基板41よりも強度が高い。第2筐体凸部332における突出方向の先端部は、ベース50に当接している。
【0028】
本実施形態において、支柱部Bは、第2筐体凸部332によって構成されている。すなわち、支柱部Bは、筐体33に設けられると共にベース50側に向けて突出する第2筐体凸部(第3凸部)332によって構成される。
【0029】
以上のように、第1コイル装置1において、第1基板21の貫通孔21a内に配置される支柱部Aは、第1基板21よりも強度が高く、第1基板21の厚さよりも高さが高い。同様に、第2基板41の貫通孔41a内に配置される支柱部Bは、第2基板41よりも強度が高く、第2基板41の厚さよりも高さが高い。このため、例えば、車両Vのタイヤが第1コイル装置1に乗り上げた場合等、カバー10からベース50に向けて大きな荷重が加わった場合、第1回路部20及び第2回路部40に向かう荷重は支柱部A及びBによってそれぞれ支えられる。これにより、第1コイル装置1は、第1基板21及び第2基板41に加わる荷重を抑制できる。
【0030】
一般に、コイル31及びフェライトコア32を収容する筐体33は、第1基板21及び第2基板41よりも強度が高い材料によって形成されている。このため、第1コイル装置1は、別の部材を備えることなく、筐体33の一部を支柱部A及びBとしても機能させることができる。
【0031】
第1コイル装置1においては、カバー10上の金属等、種々の異物を検出することが求められている。このため、第1コイル装置1においては、第1基板21にループアンテナ22が設置される。このように、ループアンテナ22が設置されている場合であってもループアンテナ22の内側に貫通孔21aが設けられることによって、支柱部Aがループアンテナ22と干渉することが防止される。第2基板41側においても同様に、ループアンテナ42の内側に貫通孔41aが設けられることによって、支柱部Bがループアンテナ42と干渉することが防止される。
【0032】
(第1変形例)
次に、支柱部の第1変形例について説明する。なお、以下の説明において、実施形態と同様の構成要素については同一符号を付して詳細な説明を省略する。図6に示されるように、第1変形例に係る第1コイル装置1Aは、カバー10A、第1回路部20、コイル部30A、第2回路部40、及びベース50Aを備えている。
【0033】
コイル部30Aは、実施形態と同様に、コイル、フェライトコア、及び筐体33Aを備えている。筐体33Aは、コイル及びフェライトコアを収容する筐体本体部330を有している。なお、筐体33Aは、実施形態における第1筐体凸部331及び第2筐体凸部332を有していない。
【0034】
カバー10Aは、カバー本体部11、及び複数の第1カバー凸部12を備えている。カバー本体部11は、ベース50Aと対向し、ベース50Aとの間に収容空間Rを形成する。第1カバー凸部12は、カバー本体部11におけるベース50A側の面に設けられ、ベース50A側に向けてカバー本体部11から突出している。複数の第1カバー凸部12は、第1基板21に設けられた複数の貫通孔21aに対応する位置に設けられている。すなわち、第1カバー凸部12は、カバー10Aと第1回路部20とが重ねられたときに、貫通孔21a内に入り込む。第1カバー凸部12は、円柱状に形成されている。第1カバー凸部12におけるカバー本体部11からの突出高さは、第1基板21の厚さよりも高い。また、第1カバー凸部12は、第1基板21よりも強度が高い。第1カバー凸部12における突出方向の先端部は、筐体33Aに当接している。
【0035】
本実施形態においては、第1カバー凸部12によって支柱部A1が構成されている。すなわち、支柱部A1は、カバー10Aに設けられると共に筐体33A側に向けて突出する第1カバー凸部(第1凸部)12によって構成される。カバー10Aは、例えば、熱硬化性樹脂等で形成されている。
【0036】
ベース50Aは、ベース本体部51、及び複数の第1ベース凸部52を備えている。ベース本体部51は、カバー10Aと対向し、カバー10Aとの間に収容空間Rを形成する。第1ベース凸部52は、ベース本体部51におけるカバー10A側の面に設けられ、カバー10A側に向けてベース本体部51から突出している。複数の第1ベース凸部52は、第2基板41に設けられた複数の貫通孔41aに対応する位置に設けられている。すなわち、第1ベース凸部52は、第2回路部40とベース50Aとが重ねられたときに、貫通孔41a内に入り込む。第1ベース凸部52は、円柱状に形成されている。第1ベース凸部52におけるベース本体部51からの突出高さは、第2基板41の厚さよりも高い。また、第1ベース凸部52は、第2基板41よりも強度が高い。第1ベース凸部52における突出方向の先端部は、筐体33Aに当接している。
【0037】
本実施形態においては、第1ベース凸部52によって支柱部B1が構成されている。すなわち、支柱部B1は、ベース50Aに設けられると共に筐体33A側に向けて突出する第1ベース凸部(第4凸部)52によって構成される。ベース50Aは、例えば、アルミニウム等で形成されている。
【0038】
以上のように、第1基板21の貫通孔21a内に配置される支柱部A1は、カバー10Aの第1カバー凸部12によって構成されている。すなわち、第1コイル装置1Aは、カバー10Aの一部を支柱部A1として機能させることができる。同様に、第2基板41の貫通孔41a内に配置される支柱部B1は、ベース50Aの第1ベース凸部52によって構成されている。すなわち、第1コイル装置1Aは、ベース50Aの一部を支柱部B1として機能させることができる。この場合であっても、第1コイル装置1Aは、実施形態と同様に、第1基板21及び第2基板41に加わる荷重を抑制できる。
【0039】
(第2変形例)
次に、支柱部の第2変形例について説明する。なお、以下の説明において、実施形態及び上記変形例と同様の構成要素については同一符号を付して詳細な説明を省略する。図7に示されるように、第2変形例に係る第1コイル装置1Bは、カバー10B、第1回路部20、コイル部30B、第2回路部40、及びベース50Bを備えている。
【0040】
コイル部30Bは、実施形態と同様に、コイル、フェライトコア、及び筐体33Bを備えている。筐体33Bは、コイル及びフェライトコアを内部に収容する。筐体33Bは、例えば、PPS樹脂によって形成されている。具体的には、筐体33Bは、筐体本体部330、複数の第3筐体凸部333、及び、複数の第4筐体凸部334を備えている。筐体本体部330は、コイル及びフェライトコアを収容する。
【0041】
第3筐体凸部333は、筐体本体部330におけるカバー10B側の面に設けられ、カバー10B側に向けて筐体本体部330から突出している。複数の第3筐体凸部333は、第1基板21に設けられた複数の貫通孔21aに対応する位置に設けられている。すなわち、第3筐体凸部333は、第1回路部20と筐体33Bとが重ねられたときに、貫通孔21a内に入り込む。第3筐体凸部333は、円柱状に形成されている。第3筐体凸部333は、第1基板21よりも強度が高い。
【0042】
第4筐体凸部334は、筐体本体部330におけるベース50B側の面に設けられ、ベース50B側に向けて筐体本体部330から突出している。複数の第4筐体凸部334は、第2基板41に設けられた複数の貫通孔41aに対応する位置に設けられている。すなわち、第4筐体凸部334は、コイル部30Bと第2回路部40とが重ねられたときに、貫通孔21a内に入り込む。第4筐体凸部334は、円柱状に形成されている。第4筐体凸部334は、第2基板41よりも強度が高い。
【0043】
カバー10Bは、カバー本体部11、及び複数の第2カバー凸部13を備えている。第2カバー凸部13は、カバー本体部11におけるベース50B側の面に設けられ、ベース50B側に向けてカバー本体部11から突出している。複数の第2カバー凸部13は、第1基板21に設けられた複数の貫通孔21aに対応する位置に設けられている。すなわち、第2カバー凸部13は、カバー10Bと第1回路部20とが重ねられたときに、貫通孔21a内に入り込む。第2カバー凸部13は、円柱状に形成されている。第2カバー凸部13は、第1基板21よりも強度が高い。カバー10Bは、例えば、熱硬化性樹脂等で形成されている。
【0044】
第2カバー凸部13の先端部と、第3筐体凸部333の先端部とは互いに当接している。本実施形態においては、第2カバー凸部13及び第3筐体凸部333によって支柱部A2が構成されている。すなわち、支柱部A2は、カバー10Bに設けられると共に筐体33B側に向けて突出する第2カバー凸部(第1凸部)13と、筐体33Bに設けられると共にカバー10B側に向けて突出する第3筐体凸部(第2凸部)333とによって構成される。支柱部A2の高さ(カバー10Bとベース50Bとの対向方向の長さ)は、第1基板21の厚さよりも高い。
【0045】
ベース50Bは、ベース本体部51、及び複数の第2ベース凸部53を備えている。第2ベース凸部53は、ベース本体部51におけるカバー10B側の面に設けられ、カバー10B側に向けてベース本体部51から突出している。複数の第2ベース凸部53は、第2基板41に設けられた複数の貫通孔41aに対応する位置に設けられている。すなわち、第2ベース凸部53は、第2回路部40とベース50Bとが重ねられたときに、貫通孔41a内に入り込む。第2ベース凸部53は、円柱状に形成されている。第2ベース凸部53は、第2基板41よりも強度が高い。ベース50Bは、例えば、アルミニウム等で形成されている。
【0046】
第2ベース凸部53の先端部と、第4筐体凸部334の先端部とは互いに当接している。本実施形態においては、第4筐体凸部334及び第2ベース凸部53によって支柱部B2が構成されている。すなわち、支柱部B2は、筐体33Bに設けられると共にベース50B側に向けて突出する第4筐体凸部(第3凸部)334と、ベース50Bに設けられると共に筐体33B側に向けて突出する第2ベース凸部(第4凸部)53とによって構成される。支柱部B2の高さ(カバー10Bとベース50Bとの対向方向の長さ)は、第2基板41の厚さよりも高い。
【0047】
以上のように、第1基板21の貫通孔21a内に配置される支柱部A2は、カバー10Bの第2カバー凸部13及び筐体33Bの第3筐体凸部333によって構成されている。すなわち、第1コイル装置1Bは、カバー10Bの一部及び筐体33Bの一部を支柱部A2として機能させることができる。同様に、第2基板41の貫通孔41a内に配置される支柱部B2は、筐体33Bの第4筐体凸部334及びベース50Bの第2ベース凸部53によって構成されている。すなわち、第1コイル装置1Bは、筐体33Bの一部及びベース50Bの一部を支柱部B1として機能させることができる。この場合であっても、第1コイル装置1Bは、実施形態と同様に、第1基板21及び第2基板41に加わる荷重を抑制できる。
【0048】
(第3変形例)
次に、支柱部の第3変形例について説明する。なお、以下の説明において、実施形態及び上記変形例と同様の構成要素については同一符号を付して詳細な説明を省略する。図8に示されるように、第3変形例に係る第1コイル装置1Cは、カバー10、第1回路部20、コイル部30A、第2回路部40、ベース50、複数の支柱部A3、及び複数の支柱部B3を備えている。
【0049】
支柱部A3は、第1基板21の貫通孔21a内に配置されている。支柱部A3は、円柱状に形成されている。支柱部A3は、第1基板21よりも強度が高い。支柱部A3は、例えば、PC樹脂等の強度を有する絶縁材によって形成されている。支柱部A3の高さ(カバー10及びベース50の対向方向の長さ)は、第1基板21の厚さよりも高い。
【0050】
支柱部B3は、第2基板41の貫通孔41a内に配置されている。支柱部B3は、円柱状に形成されている。支柱部B3は、第2基板41よりも強度が高い。支柱部B3は、例えば、PC樹脂等の強度を有する絶縁材によって形成されている。支柱部B3の高さ(カバー10及びベース50の対向方向の長さ)は、第2基板41の厚さよりも高い。
【0051】
以上のように、支柱部A3及びB3は、カバー10等とは別の部材として構成されている。この場合であっても、第1コイル装置1Cは、実施形態と同様に、第1基板21及び第2基板41に加わる荷重を抑制できる。
【0052】
以上、本開示の実施形態及び種々の変形例について説明したが、本開示は、上記実施形態及び種々の変形例に限定されるものではない。
【0053】
第1回路部20及び第2回路部40は、金属製の異物を検出するアンテナとして機能することに限定されず、生体を検出するアンテナ、又は第1コイル装置1に対向する第2コイル装置2の位置を検出するアンテナ等として機能してもよい。また、第1回路部20は、電子部品としてループアンテナ22を備えていたが、ループアンテナ22以外の電子部品として集積回路等の素子が第1基板21に実装されていてもよい。第2回路部40も同様に、電子部品として集積回路等の素子が第2基板41に実装されていてもよい。
【0054】
支柱部A,A1〜A3及びB,B1〜B3は、円柱状に形成されていたが、四角柱等、円柱以外の他の形状に形成されていてもよい。また、支柱部A等は、高さ方向(カバー10とベース50との対向方向)において一様な断面を有していなくてもよい。例えば、支柱部A等は、カバー10側又はベース50側に向かって断面の大きさが小さくなるテーパ状に形成されていてもよい。
【0055】
第1コイル装置1,1A〜1Cは、第1回路部20及び第2回路部40を有していたが、第1回路部20及び第2回路部40のいずれか一方のみを有する構成であってもよい。
【0056】
本開示に係るコイル装置は、水中航走体といった車両以外の移動体のバッテリを充電するための非接触給電システムに適用されてもよい。また、本開示に係るコイル装置は、移動体以外にも、家電製品等のバッテリを充電するための非接触給電システムに適用されてもよい。本開示に係るコイル装置は、誘導加熱システムや渦流探傷システムに適用されてもよい。
【0057】
本開示に係るコイル装置は、非接触給電システムにおいて電力を受ける第2コイル装置に適用されてもよい。また、上述された第1コイル装置は、路面Wに設置されることに限定されるものではなく、車両Vに搭載されてもよい。この場合、第2コイル装置は、路面W側に設置されうる。さらに、第1コイル装置及び第2コイル装置は、送電又は受電の一方のみを行うことに限定されるものではなく、送電及び受電の双方を行ってもよい。
【0058】
本開示に係るコイルは、螺旋状(3次元的)にフェライトコアに巻かれたリッツ線によって構成されてもよい。つまり、コイルは、ソレノイド型コイルであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本開示のコイル装置によれば、基板に荷重が加わることを抑制できる。
【符号の説明】
【0060】
1,1A〜1C 第1コイル装置
2 第2コイル装置
10,10A,10B カバー
12 第1カバー凸部(第1凸部)
13 第2カバー凸部(第1凸部)
21 第1基板(基板)
21a,41a 貫通孔
22,42 ループアンテナ
31 コイル
33,33A,33B 筐体
331 第1筐体凸部(第2凸部)
332 第2筐体凸部(第3凸部)
333 第3筐体凸部(第2凸部)
334 第4筐体凸部(第3凸部)
41 第2基板(基板)
50,50A,50B ベース
52 第1ベース凸部(第4凸部)
53 第2ベース凸部(第4凸部)
A,A1〜A3,B,B1〜B3 支柱部
R 収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8