(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
特許文献1にみられるように、従来使用されているフレキシブル管カッターは、
図1に示すようなものであった。本体1の下部に、2本の軸2、3を介して軸支された2組の下部ローラ(中央)4、下部ローラ(左右1組)5が設けられている。本体1の上部には、ノブ6を回転させることにより、ネジ機構で矢印A、A′方向にスライドするスライダー7が設けられている。スライダー7には、軸8を介して軸支された1組の上部ローラ9、9と、回転刃10とが設けられている。
【0003】
このようなフレキシブル管カッターによりフレキシブル管を切断するには、まず、フレキシブル管11を2組の下部ローラ4、5とスライダー7の回転刃10とにより3点で支持する。ノブ6を回転してスライダー7を矢印A方向にスライドさせることにより、回転刃10をフレキシブル管11の環状溝の溝底に食い込ませながら、溝底に回転刃10を周回して切断する。切断が進行するに従って、回転刃10と同軸の上部ローラ9、9が、管11に接触して下部ローラ4,5と共にフレキシブル管11を支持する。
【0004】
フレキシブル管の一端を支持し、管の回りをフレキシブル管カッターが回転しながら切断する時に、フレキシブル管カッターの上部、下部ローラを回転することで、管の被覆部に捩れが発生することがある。この捩れにより塩化ビニルの被覆が変形して、カッター回転の抵抗となり、カッター本体を回転しづらくするとともに、カッター本体が管から外れてしまったりするという問題があった。
【0005】
また、フレキシブル管カッターを回転させながら切断すると、切れ残り部が発生することがある。作業者は切れ残り部を切るため、フレキシブル管カッターの刃を管に深く送り込ませる。このため、難切断材であるステンレス鋼フレキシブル管の管厚が薄いことから、切れ残り部は切断されず管の中心に向かって変形してしまう。
図2に示すような、バリ(めくれ)、へこみ、扁平等の変形が生じてしまう問題が発生することがあった。このような管端の切断面の変形異常は、接続部の挿入不良を生じさせ、また、気密性能が保持できないため、再度の切り直しが必要となり、配管作業工数と施工時間が大幅に増加してしまうことになる。特に、バリは施工上最も問題となる。パイプ径が大きくなるほど、切れ残り部の変形やバリが発生しやすい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。各実施態様について、同一構成の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
図3は、本発明の第1実施形態の斜視図である。
図4は、本発明の第1実施形態の
図3のB方向から見た平面図である。
図5は、本発明の第1実施形態の
図4のC−C線に関する断面図である。
図6は、本発明の第1実施形態の
図3のB’方向から見た平面図である。
図7(a)は、本発明の回転刃10の正面図である。
図7(b)は、(a)のD−D線に関する断面図である。
図7(c)は、(b)の刃先部Eの拡大断面図である。
図8(a)〜(i)は、本発明の回転刃外周に設けた凹部又は凸部13を例示する説明図である。
【0014】
フレキシブル管は、蛇腹状に加工された薄肉のステンレス溶接管(SUS304、SUS316L等)であり、容易に曲げられるようにしたパイプのことである。通常、原管に軟質のポリ塩化ビニル等が被覆されているが、フレキシブル管と称する場合、原管に塩化ビニルが被覆されたものと、被覆の無い原管そのものの両方を含めるものとする。
【0015】
以下、
図3を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。第1実施形態と後述する第2実施形態では、回転刃10に対するノブ6の取付け位置が異なっている。
【0016】
本体1は、フレキシブル管11の周囲の一部を取り囲むように、弓形形状に形成されている。本体1の一端部(
図5の右手側)には、軸2、3を介してそれぞれ設けられた、樹脂製の2組の受けローラ5、4、5’、4’が設けられている。本体1の他端部(
図5の左手側)には、アーム25が、本体1に対して摺動可能に取付けられている。アーム25には、ホイールローラ9及び円形状の回転刃10が、ホイールローラ9、回転刃10、ホイールローラ9の順に並んで、軸8を共有して取付けられている。ホイールローラ9はゴム製である。
【0017】
フレキシブル管11は、受けローラ5、4、5’、4’と、回転刃10の間に挿入される。本体1の他端部側に回転刃10が位置するように、アーム25が本体1に取り付けられている。
図3に示すように、アーム25を摺動させるためのノブ6も他端部側に存在している。本体の一端側(他端側にも設けても良い)には、把持突起39が取り付けられており、フレキシブル管カッターをフレキシブル管の回りに周回させるときに指で押圧し易くしている。
【0018】
図5に示すように、アーム25には、アームナット27が、小ネジ31によってワッシャー29を介して固定されている。アームナット27には、ネジ穴33が設けられており、ノブ6に一体化して固定されたスクリューボルト41がネジ穴33に螺合する。ノブ6を回転すると、スクリューボルト41が回転して、それに螺合するアームナット27が、両側のガイド部23、23にガイドされて、スクリューボルト41の軸心方向に摺動する。すなわち、ノブ6を回転することにより、2組の受けローラ5、4、5’、4’と、回転刃10の間隔が調整されるので、2組の受けローラ5、4、5’、4’に支持されたフレキシブル管11に、回転刃10を食い込ませることができる(
図5の想像線参照)。なお、スクリューボルト41の軸心方向は、アームの摺動方向である。
【0019】
ノブ6を回転してフレキシブル管11を切断すると、回転刃10を介してスクリューボルト41に反力を受けるので、スクリューボルト41に設けられた止め輪35と本体との間にボールベアリング37が介在している。これにより、フレキシブル管11に回転刃10が食い込んでも、ノブ6の回転がスムーズに行われる。切断が進行するに従って、回転刃10と同軸のホイールローラ9、9が、管11に接触して、2組の受けローラ5、4、5’、4’と共にフレキシブル管11を支持する。
【0020】
フレキシブル管11を切断する場合には、2組の受けローラと、回転刃10の間にフレキシブル管11を挟んで、ノブ6を回転して、回転刃10をフレキシブル管11の環状溝の溝底に食い込ませながら、溝底に回転刃10を周回して切断する。この時、回転刃10の刃先が周回するにつれて位置ズレを起こすと、フレキシブル管11の切断面に変形を起こす原因となる。本実施形態では、アームナット27をガイドするガイド部23、23は、適正間隔でしかも平行になっているので、アーム25が摺動してもガタが発生しない。
【0021】
通常、本体1はダイカスト金型鋳造で製造されることが多い。特許文献1の従来技術では、回転刃10の摺動方向に鋳抜きピンを立てるため、回転刃10の摺動ガイド面にはテーパが発生して、ガイドにガタが発生していた。これに対して、本実施形態では、本体1には、アーム25の摺動方向とほぼ垂直に、鋳抜き勾配を有する貫通穴21(
図3)が設けられている。ガイド部23、23の摺動方向は、鋳抜きピンの引き抜き方向とは垂直であるので、鋳抜き勾配の影響を受けることがない。ただし、ガイド部(符号23は角の端部)を構成するガイド面は、アーム25の摺動方向と垂直方向には、外側に拡がるように若干傾斜している。
【0022】
貫通穴21は、エンドミルなどで機械加工することも可能であるが、機械加工を行うことは製造工程が多くなり加工コストが嵩み好ましくない。本実施形態では、貫通穴21をダイカスト金型鋳造で直接製造して、機械加工なく平行なガイド部23、23を作製できるので、製造工程及びコスト削減に大きく寄与する。
【0023】
次に、
図7を参照して、本発明の回転刃10を説明する。本発明の回転刃10は、第1実施形態のみならず、各実施形態において使用されるものである。
【0024】
図7(a)にみられるように、回転刃10の外周には、凹部又は凸部13を所定ピッチで設け、回転刃10がフレキシブル管11の回りを相対的に複数回周回して、フレキシブル管11の谷部を切断する。
図7(a)の場合、回転刃10の外周に30°ピッチで12個のV溝からなる凹部13が設けられている。凹部の代わりに凸部であっても良く、凹部又は凸部13の例示としては、
図8(a)〜(i)のような形状にしても良い。回転刃10の外周に設けられる凹部又は凸部13のピッチは、等ピッチが好ましいが、不等ピッチの場合や、等ピッチの一部に不等ピッチがある場合も所定ピッチとして本実施形態に含まれる。
図8(a)〜(i)のいずれの凹部又は凸部13であっても、刃先断面は
図7(c)に示すように、台形状の扁平断面15にするとフレキシブル管11への食い込みが効果的である。もちろん、刃先断面は従来からの半円形断面であっても良い。
【0025】
図7(b)にみられるように、回転刃10のボス部には、軸が貫通する穴が設けられており、両側のホイールローラ9、9の軸と共有した軸8が貫通する。
図4にみられるように、アーム25にはスリット25’が設けられて、回転刃10は受けローラ5、4、5’、4’に向けて、アーム25から突出している。回転刃10と、受けローラ5、4、5’、4’間に、フレキシブル管11が挿入されると、ノブ6の回転により回転刃10の切り込み送りが行われる。ガイド部23、23が平行に設けられているので、回転刃10のフレキシブル管11に対する切り込み位置は、回転刃10の切り込み送りにより、ぶれることがない。
【0026】
凹部又は凸部13の例示としては、
図8(a)〜(i)に示したとおりである。
図8(a)は、V溝である。V溝の角度は鈍角や鋭角など任意であって良いが、本実施形態では一例として90度にしている。
図8(b)では台形状の凹部であり、
図8(c)、(d)は円弧上の凹部であり、
図8(e)では四角の凹部である。一方、凹部の代わりに凸部にしても回転刃10の切り込みを行うことができる。
図8(f)は、三角状の凸部であり、
図8(g)のように、三角状の凸部を連続的に設置しても良い。また、
図8(h)のように、円弧状の凸部を連続的に設置しても良い。
図8(i)は四角状の凸部を設けた場合である。これ以外にも凹部又は凸部13の例示としては様々なバリエーションが存在し、本発明の実施形態に含まれる。
【0027】
本実施形態における回転刃10は、回転刃10の外周に凹部又は凸部13を所定ピッチで設けたものであるが、あくまでフレキシブル管カッターに適用されるものであるので、従来のミシン目カッターの回転刃とはその機能が全く異なるものである。ミシン目カッターは引き裂くために使用されるものであるのに対して、本発明では、回転刃10がフレキシブル管11の回りを相対的に複数回周回して、フレキシブル管11の谷部を切断する。1周目は、
図11に示すようにミシン目で、回転刃10が、フレキシブル管11の環状溝の溝底に食い込みをいれる。しかしながら、本発明は、パイプにミシン目を入れることが目的ではなく、複数回フレキシブル管11を周回することにより、周回毎にミシン目が少しずつずれる。パイプの直径と回転刃の直径に違いがあるため、フレキシブル管への回転刃の食い込み位置にずれが生じる。食い込み位置のずれによりパイプの溝底につけたミシン目がつながり、フレキシブル管11を切断することができる。このようにして、最終的に
図13に示すような良好な切断面が得られるのである。
【0028】
本発明は、上記回転刃10の特徴により、フレキシブル管カッターとして優れた作用効果を奏するものであって、フレキシブル管11にミシン目状に切断線を入れてそれを複数回周回して切り口をずらして最終的に全体的にカットすることはこれまでだれも思いつかなかったものである。回転刃10を従来の形状から刃先に凹部13を設けた場合には、刃の凹部13の両側にある角が、フレキシブル管11を突き刺しながら切断する(
図11参照)。フレキシブル管カッター本体1を回転させながら切断するので、回転刃10の凹部13の角はパイプの同じ箇所に刺さらないので、フレキシブル管11の外周全体を切断することができる。凸部13の場合においても同様である。
【0029】
回転刃10の凹部13の形状、深さ、数は、切断面にバリがでるかどうかに影響するので、適宜最適な形状、深さ、数に決定すると良い。凸部13の場合においても同様である。一般的に、数が多く、深い溝になると、溝面が厚くなるので切断面が汚くなるが、溝の数が少なく、浅い溝にすると突き刺しながら切断するという効果が減るので、試行錯誤により決定すると良い。
【0030】
従来、フレキシブル管の一端を支持し、管の回りをフレキシブル管カッターが回転しながら切断する時に、管の被覆部に捩れが発生することがあった。この捩れにより塩化ビニルの被覆が変形して、カッター回転の抵抗となり、カッター本体を回転しづらくするとともに、カッター本体が管から外れてしまったりするという問題があった。しかしながら、本実施形態では、回転刃10に凹部、凸部13を設けて、また、刃先の回転軸方向の断面も従来の丸みを帯びた形状ではなく、
図7(c)に示すような台形状の扁平断面15に変更している。被覆を通過してフレキシブル管11を突き刺しながら切断する(
図11参照)のでカッター本体から管がはずれにくく、このような問題が発生しにくい。
図12は、従来技術によりフレキシブル管を切断した場合に、フレキシブル管が変形した一例を示す写真である。これに対して、
図13に示すように、本発明によりフレキシブル管を切断した場合は、フレキシブル管の切断面は極めて良好に切断できる。以上述べたように、本実施形態によれば、フレキシブル管カッターを回転させながら切断する際に、切断面にバリなどの施工上の問題を生じさせることがなく、配管作業工数と施工時間が大幅に削減できる。
【0031】
さらに、本実施形態では、ノブ6と回転刃10が本体1の同一端部側(上記説明では他端部側と称している)の設けられており、本体1の反対端部側(上記説明では一端部側と称している)には2組の受けローラが設けられている。一例として作業手順を示すと、
図5の把持突起39に左手の指をかけて本体1を左手で保持し、右手でフレキシブル管11を2組の受けローラに当接させ、左手の親指でフレキシブル管をおさえる。その後、右手でノブ6を回転させて回転刃10をフレキシブル管11に食い込ませる。ノブ6と回転刃10が本体1の同一端部側に設置され、反対端部側に2組の受けローラと把持突起39が設置されているので、作業性に優れている。
【0032】
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態の正面図である。以下、
図9を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態は、第1実施形態とは回転刃10に対するノブ6の取付け位置が異なっており、本体1の一端部側(
図9の右手側)に、凹部又は凸部13を有する回転刃10を軸支するアーム25が、摺動可能に設置されている。本体1の他端部側(
図9の左手側)には、ノブ6と受けローラ5、4、5’、4’が設けられている。本体1の一端外側と他端外側には、把持突起39が取り付けられており、フレキシブル管カッターをフレキシブル管11の回りに周回させるときに指で押圧し易くしている。第1実施形態と同様にノブ6を回転させて、本体1の一端部側の回転刃10をフレキシブル管11に近接させて切断する。その他の構成、作用効果は第1実施形態と同じである。
【0033】
(第3実施形態)
図10は、本発明の第3実施形態の正面図である。以下、
図10を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態は、スライダーとして機能する棒状のアーム25であり、第1実施形態とは回転刃10を摺動させる構成が異なっている。ノブ6はネジでスクリューボルト41を固定している。ノブを回転させると、スクリューボルト41が回転してそれと螺合している棒状のアーム25を前進、後退させる。スクリューボルト41の先端には、回転刃10とその両側にホイールローラ9、9が軸を共有して軸支されている。回転刃10には他の実施形態と同様に凹部又は凸部13を有する。丸ナット43は本体1に螺合しており、ノブ6とスクリューボルト41を回転自在に保持する。符号10’は予備の回転刃である。その他の構成、作用効果は第1実施形態と同じである。
【0034】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的構成はほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。