特許第6822654号(P6822654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6822654-ポット式石油燃焼器の消火制御装置 図000002
  • 特許6822654-ポット式石油燃焼器の消火制御装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6822654
(24)【登録日】2021年1月12日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】ポット式石油燃焼器の消火制御装置
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/24 20060101AFI20210114BHJP
   F23Q 25/00 20060101ALI20210114BHJP
   F23K 5/04 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   F23N5/24 111A
   F23Q25/00 360
   F23K5/04 C
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-199049(P2016-199049)
(22)【出願日】2016年10月7日
(65)【公開番号】特開2018-59689(P2018-59689A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003229
【氏名又は名称】株式会社トヨトミ
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 浩二
(72)【発明者】
【氏名】三島 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岡本 亘史
【審査官】 古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−097808(JP,A)
【文献】 特開平09−159279(JP,A)
【文献】 特開平09−049629(JP,A)
【文献】 特開2001−147014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/00−5/26
F23K 5/04
F23Q 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機によって燃焼空気が送られる風胴内に多数の空気孔を側壁に設けた有底筒形のポットを装着し、
前記ポットに燃料を供給する燃料ポンプには燃料パイプを配置し、
前記燃料パイプの先端で構成する送油ノズルを前記ポット内に位置させ、前記燃料ポンプによって前記送油ノズルから供給される燃料が前記ポット内で気化して、前記ポットに続く燃焼室内で燃焼すると共に、
消火操作手段と感震検出器の信号で作動する自動消火手段を備え、
前記自動消火手段には振動時のための消火システムと転倒時のための消火システムを備えた石油燃焼器において、
前記感震検出器の開閉信号に基づいて振動か転倒かを判断する判定手段を設け、
前記燃料ポンプには前記燃料パイプ内の燃料を吸引する燃料吸引手段を備え、
前記自動消火手段は、前記感震検出器の開閉信号が検出されたときは、前記燃料ポンプの通電を停止して閉止すると共に、前記送風機の回転数を所定の回転数に変更し、
前記判定手段が振動と判断して振動時の消火システムを起動するときは、前記燃料吸引手段を作動させて前記燃料パイプ内の燃料を前記燃料ポンプ側に吸引するように制御し、
前記判定手段が転倒と判断し転倒時の消火システムを起動するときは前記燃料吸引手段を作動させることなく、前記送風機を減速するブレーキ手段を所定時間作動し、所定時間が経過後に前記送風機への通電を停止することを特徴とするポット式石油燃焼器の消火制御装置。
【請求項2】
前記感震検出器の開閉信号が検出されたときの前記送風機の所定の回転数を、最大燃焼時の回転数よりも高い最高回転数に設定することを特徴とする請求項1に記載のポット式石油燃焼器の消火制御装置。
【請求項3】
前記自動消火手段は、前記消火操作手段の信号で作動する通常時の消火システムを起動するときは、前記燃料ポンプを停止後に前記燃料吸引手段を作動させて前記燃料パイプ内の燃料を前記燃料ポンプ側に吸引するように制御することを特徴とする請求項1または2に記載のポット式石油燃焼器の消火制御装置。
【請求項4】
前記燃料ポンプには、前記燃料ポンプ内を上下するプランジャと、前記プランジャによって開閉する吐出弁と、前記プランジャから吐出弁に向けて形成した押上ピンとを備え、
前記燃料吸引手段は、通常時の消火システムと振動時の消火システムを起動したときは、前記燃料ポンプの停止後に前記プランジャをあらかじめ定めた周波数の駆動電流で駆動し、前記押上ピンが前記吐出弁を開放して前記燃料パイプの燃料を吸引し、
前記転倒時の消火システムを起動したときは、前記燃料ポンプの停止後に前記プランジャに駆動電流の供給を行なわず、前記吐出弁を閉止したまま保持することを特徴とする請求項3に記載のポット式石油燃焼器の消火制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はポット式石油燃焼器の転倒時の安全性を高めるための消火装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポット式石油燃焼器は燃料ポンプによってポット内に供給された燃料が燃焼熱で高温となっているポットの底面で気化し、ポット側壁の空気孔から供給される空気によって気化ガスの一部が燃焼し、発生した燃焼ガスと残りの気化ガスはポット上部の燃焼室で完全燃焼するものである。また、消火操作によって燃料ポンプを停止すると、ポット内に残っていた燃料が直ちに燃焼してすぐに消火するが、消火後に燃料パイプ内に残っていた燃料がポットに滴下すると、この燃料が着火・燃焼を開始して、しばらく燃焼を続けることがあり、臭気の発生や、消火操作から完全に消火するまでの時間に大きなばらつきが生じる。
【0003】
そこで、消火操作と連動して燃料の吸引システムを作動して、ポットにつながる燃料パイプから燃料を吸引することで、消火後のポット内に燃料が滴下しないようにする構造を提案し、消火後に再着火が起きないようにしている。
【0004】
即ち、燃料パイプに送風機の送風圧がかかる空気パイプを接続し、燃料パイプと空気パイプとの連結部からポットに至る燃料パイプの途中に高所を設けて、燃焼中は高所を越えて燃料が供給され、空気パイプの油面が送風機の送風圧とバランスして燃料パイプの高所よりも低い油面を形成している。
【0005】
そして、消火操作によって燃料ポンプと送風機を停止すると、送風圧が低下して空気パイプの油面が上昇し、燃料パイプ内の燃料がサイフォン効果で高所を越えて空気パイプ内に吸引されるので、消火後にポット内に燃料が滴下することがなく安定した消火性能を得ることができる。また、転倒時は燃料パイプの高所が横を向いて高所でなくなって、送風機の送風圧によって押し出される燃料がポット底面の気化部から離れた場所へ滴下するから、燃焼のバランスが壊れて燃焼継続できなくなり、転倒時も短時間で消火することができるものである。(特許文献1参照)。
【0006】
また、この消火操作と連動する燃料の吸引システムとして、燃料ポンプの吐出弁とプランジャとの間に押上ピンを取り付けて、燃料ポンプ自体に燃料吸引機能を備えたものもある。消火操作によって燃料ポンプを停止した後、燃料吸引機能が作動して押上ピンが吐出弁を開放すると、燃料ポンプと送油ノズルとの高低差によって燃料パイプの燃料が燃料ポンプ側に流れるので、燃料パイプ内の燃料を燃料ポンプに吸引することができるものとなっている。(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−213741号公報
【特許文献2】特開平6−294377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の構成は、燃料パイプに高所を設けて空気パイプを接続する必要があるため、部品点数が多く形状が複雑であり、また、燃料ポンプの取り付け位置が限定されるなど設計上の制約が多く、コスト低減の妨げとなっていた。特許文献2のような燃料吸引機能を備えた燃料ポンプを用いれば、燃料パイプに接続する空気パイプが不要となり、部品点数や加工費の削減が期待できる。
【0009】
しかし、石油燃焼器が転倒したときには、転倒の方向によっては燃料ポンプが送油ノズルよりも高い位置になることがあり、燃料パイプ内の燃料が燃料ポンプ側に流れなくなり、燃料パイプ内に残ってしまうことがある。燃料の気化部と気化した燃焼ガスの燃焼を行なう燃焼部とを独立させた気化式バーナは、転倒時に燃料パイプに燃料が残っていても引火の恐れはなく、消火時間が長くなるといった問題は起こらなかった。
【0010】
これに対して、ポット式石油燃焼器は燃料の気化部と燃焼部とを一体化したポット内にノズルが位置し、燃料を直接ポットに供給する構造であるため、燃料パイプ内に燃料が残っていると、この残った燃料に着火してノズルの先端に小さな炎が付着した状態となることがあり、いつまでも炎が消えないという現象が起こってしまう。このため、ポット式石油燃焼器に燃料吸引機能を備えた燃料ポンプを装着するためには、転倒時の対策が新たに必要となったものである。この発明は、簡略な構造で、転倒の方向に関わらず安定した消火を実現できる消火装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は上記の課題を解決するもので、送風機1によって燃焼空気が送られる風胴2内に多数の空気孔3aを側壁に設けた有底筒形のポット3を装着し、前記ポット3に燃料を供給する燃料ポンプ5には燃料パイプ4を配置し、前記燃料パイプ4の先端で構成する送油ノズル4aを前記ポット3内に位置させ、前記燃料ポンプ5によって前記送油ノズル4aから供給される燃料が前記ポット3内で気化して、前記ポット3に続く燃焼室6内で燃焼すると共に、消火操作手段7と感震検出器8の信号で作動する自動消火手段9を備え、前記自動消火手段9には振動時のための消火システムと転倒時のための消火システムを備えた石油燃焼器において、前記感震検出器8の開閉信号に基づいて振動か転倒かを判断する判定手段10を設け、前記燃料ポンプ5には前記燃料パイプ4内の燃料を吸引する燃料吸引手段12を備え、前記自動消火手段9は、前記感震検出器8の開閉信号が検出されたときは、前記燃料ポンプ5の通電を停止して閉止すると共に、前記送風機1の回転数を所定の回転数に変更し、前記判定手段10が振動と判断して振動時の消火システムを起動するときは、前記燃料吸引手段12を作動させて前記燃料パイプ4内の燃料を前記燃料ポンプ5側に吸引するように制御し、前記判定手段10が転倒と判断し転倒時の消火システムを起動するときは前記燃料吸引手段12を作動させることなく、前記送風機1を減速するブレーキ手段11を所定時間作動し、所定時間が経過後に前記送風機1への通電を停止するものである。
【0012】
また、前記感震検出器8の開閉信号が検出されたときの前記送風機1の所定の回転数を、最大燃焼時の回転数よりも高い最高回転数に設定することにより、ポット3内に多量の空気を供給して燃焼を促進し、ポット3内に残る炎を吹き消して短時間で消火することができる。
【0013】
また、前記自動消火手段9は、前記消火操作手段7の信号で作動する通常時の消火システムを起動するときは、前記燃料ポンプ5を停止後に前記燃料吸引手段12を作動させて前記燃料パイプ4内の燃料を前記燃料ポンプ5側に吸引するように制御することにより、通常消火と振動消火時には燃料パイプ4内に燃料が残らないようにして臭気を防止し、転倒消火時には燃料ポンプ5からの燃料の流出を防止して、燃料パイプ4に燃料が残っていても短時間で確実に消火することができる。
【0014】
また、前記燃料ポンプ5には、前記燃料ポンプ5内を上下するプランジャ51と、前記プランジャ51によって開閉する吐出弁56と、前記プランジャ51から吐出弁56に向けて形成した押上ピン58とを備え、前記燃料吸引手段12は、通常時の消火システムと振動時の消火システムを起動したときは、前記燃料ポンプ5の停止後に前記プランジャ51をあらかじめ定めた周波数の駆動電流で駆動し、前記押上ピン58が前記吐出弁56を開放して前記燃料パイプ4の燃料を吸引し、前記転倒時の消火システムを起動したときは、前記燃料ポンプ5の停止後に前記プランジャ51に駆動電流の供給を行なわず、前記吐出弁56を閉止したまま保持することにより、燃料ポンプ5自体に燃料吸引手段12の機能を備えることができ、燃料ポンプ5とポット3との距離を近づけて燃料パイプ4の寸法を短くできる。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、石油燃焼器が転倒して感震検出器8の開閉信号が検出されると、燃料ポンプ5への通電が停止してポット3内への燃料の供給が停止するから、ポット3内に残っている燃料が燃焼すれば消火するものである。その後判定手段10が転倒と判断して転倒時の消火システムを起動すると、ブレーキ手段11によって送風機1の回転数を急速に低下させて停止するので、ポット3内への空気の供給が停止し、ポット3内が空気不足の状態になる。
【0016】
消火後のポット3内には燃料の燃焼に必要な空気が全く供給されないから、送油ノズル4aや燃料パイプ4に燃料が残っていたとしても再着火の恐れはなく、送油ノズル4aの先端に小さな炎が付着してしまうという問題は起こらなくなる。更に、燃料パイプ4の燃料を押し出したり吸引したりする必要がないので、石油燃焼器の転倒の方向に関係なく確実に消火できるものとなり、転倒消火時も安定した消火性能を実現できたものである。
【0017】
また、感震検出器8の開閉信号を検出したときに、送風機1の回転数を燃焼時の最大回転数よりも高い最高回転数に設定するから、ポット3内に多量の空気を供給して燃焼を促進し、ポット3内の燃料が短時間で消費され、ポット3内に残る炎を強制的に吹き消すことができる。このため、判定手段10が転倒と判断して自動消火手段9が転倒時の消火システムを起動するときにはポット3内には炎が残っていないから、ブレーキ手段11によって送風機1の回転数を強制的に低下させてポット3内が空気不足の状態になったときでも、立炎や発煙を起こすことはなく、確実に消火することができる。
【0018】
また、燃料パイプ4内の燃料を燃料ポンプ5に吸引する燃料吸引手段12を備え、通常消火時と振動消火時は燃料吸引手段12を作動して燃料パイプ4内の燃料を燃料ポンプ5内に吸引することで、臭気の防止と安定した消火時間を得ることができる。一方、転倒消火時はブレーキ手段11によって送風機1の回転数を強制的に低下させてポット3内を空気不足の状態にすることで、燃料パイプ4内に燃料が残っていても再着火の恐れはなくなった。このため、燃料吸引手段12を作動せず、燃料ポンプ5を閉止したままにすることで、燃料ポンプ5から燃料の流出が起こらず、石油燃焼器の転倒の方向に関係なく確実に消火することができるものとなった。
【0019】
また、燃料ポンプ5自体に燃料吸引手段12を備えた構成とし、燃料ポンプ5のプランジャ51と吐出弁56との間に押上ピン58を設け、通常消火時と振動消火時は燃料ポンプ5の停止後に押上ピン58が吐出弁56を開放することで、燃料パイプ4の燃料が燃料ポンプ5側に流れ、燃料パイプ4内に燃料が残ることがなく、臭気の防止と安定した消火を実現できる。一方、転倒消火時は燃料パイプ4に燃料が残っていても確実に消火できるので、燃料ポンプ5の吐出弁56を閉止したまま保持することで、転倒の方向に関係なく燃料を流出させることがなくなるから、燃料パイプ4の形状や燃料ポンプ5の取り付け位置の自由度が高くなり、燃料ポンプ5の取り付け位置をポット3にできるだけ近づけることで、燃料パイプ4の寸法が短く簡単な形状とすることができ、部品点数が少なく、材料費や加工費が削減でき、製造コストの低減が実現できるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の実施例を示す石油燃焼器の構成を示すブロック図である。
図2】この発明の実施例を示す石油燃焼器の縦断面図である。
図3】この発明の実施例を示す燃料ポンプの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図に示す実施例によってこの発明を説明すると、2は燃焼用空気が供給される風胴、3は風胴2内に配置した有底筒形のポット、1はポット2に燃焼用空気を供給する送風機、3aは風胴2に送られた燃焼用空気が供給できるようにポット3の側壁に設けた多数の空気孔である。
【0022】
13はポット3に供給する燃料を貯える燃料タンク、4は燃料タンク13からポット3に燃料を供給する燃料パイプ、4aはポット3内に位置する燃料パイプ4の先端で構成する送油ノズル、5は燃料パイプ4の途中に取り付けた電磁ポンプで構成する燃料ポンプ、14はポット3の側壁からポット3の底面と間隔をあけて配置した加熱ヒータ、6はポット3の上部に連続して配置した燃焼室である。
【0023】
15は操作スイッチで構成された石油燃焼器の点火操作を行なう点火操作手段、1aは送風機1の回転数を可変するための送風機制御手段、5aは燃料ポンプ5の燃料流量を可変するためのポンプ制御手段であり、点火操作手段15を操作して石油燃焼器の運転を開始すると、加熱ヒータ14によってポット3が加熱され、ポット3底面が燃焼に適した温度になるとポンプ制御手段5aと送風機制御手段1aが燃料ポンプ5と送風機1を駆動してポット3に燃料と燃焼用空気が供給され、高温のポット3の底面で燃料が気化し、加熱ヒータ14の熱によって着火して燃焼を開始する。
【0024】
燃焼を開始するとポット3の底面が燃焼熱で加熱されて高温となっており、送油ノズル4aから滴下する燃料が高温となったポット3の底面で気化するから、加熱ヒータ14の通電を停止しても燃焼を継続することができる。ポット3の底面で気化した燃料は、ポット3の側壁の空気孔3aから供給される燃焼用空気と混合して気化ガスの一部が燃焼し、発生した燃焼ガスと残りの気化ガスはポット3の上部の燃焼室6で完全燃焼する。
【0025】
7は操作スイッチで構成された石油燃焼器の消火操作を行なう消火操作手段、8は石油燃焼器の置台に取り付けた感震検出器、9は消火操作手段7の操作信号もしくは、感震検出器8の出力信号によって作動して燃焼中のポット3を消火させる自動消火手段である。自動消火手段9は消火操作手段7の信号によって作動する通常消火の消火システムと、感震検出器8の信号によって作動する緊急消火の消火システムを備えている。
【0026】
消火操作手段7が操作されて自動消火手段9に消火信号が送られると、自動消火手段9は通常消火の消火システムを作動し、自動消火手段9の信号を受けてポンプ制御手段5aが燃料ポンプ5の運転を停止すると共に、送風機制御手段1aが送風機1を予め設定された回転数に変更する。ポット3への燃料供給が遮断されるから、ポット3内に残っている燃料が燃焼し尽して自然消火するものである。16はポット3内の炎を検出する炎検知手段であり、炎検知手段16から炎検知信号が出力されている間は送風機1が駆動を続け、炎検知信号がなくなると送風機制御手段1aは送風機1を予め設定された回転数まで下げて設定された時間駆動し、ポット3内を冷却してから停止する。
【0027】
12は石油燃焼器の消火動作時に燃料パイプ4内の燃料を燃料ポンプ5内に吸引する燃料吸引手段であり、消火動作時に燃料ポンプ5の停止によって燃料の供給が停止した後、燃料吸引手段12を作動して燃料パイプ4に残る燃料を燃料ポンプ5に吸引することで、送油ノズル4aからポット3内に燃料が滴下することがなく、臭気の防止と消火時間の安定を図っている。
【0028】
この発明では、燃料ポンプ5自体に燃料吸引手段12を備えたものを選択しており、図3は燃料ポンプ5の断面図であり、50は燃料ポンプ5内に燃料流通経路を形成しているパイプ、51はパイプ50内に摺動自在に設けたプランジャ、51a・51bはプランジャ51を初期位置に保持する上・下バネ、52はパイプ50の周囲に配置したソレノイドであり、ソレノイド52に予め定めた周波数の駆動電流を供給すると、プランジャ51は上バネ51aを圧縮するように移動して駆動位置で停止し、上・下バネ51a・51bの力で初期位置に復帰するから、プランジャ51は駆動周波数に同期して往復運動をする。
【0029】
53はプランジャ51の中心を貫通するように形成した燃料流路、54はプランジャ51内の流路53に設けた吸入弁、54aは吸入弁54を閉止方向に付勢する吸入弁バネ、54bは吸入弁54の弁座であり、吸入弁54と吸入弁バネ54aと弁座54bはプランジャ51と一体となって往復運動を行なっている。
【0030】
55は燃料パイプ4との接続部に設けた吐出口、56は吐出口55とプランジャ51との間に配置した吐出弁、56aは吐出弁56を閉止方向に付勢する吐出弁バネ、56bは吐出弁56の弁座である。
【0031】
57はパイプ50の下方に伸ばされた吸入口であり、吸入口57は燃料タンク13内の燃料に届いており、燃料パイプ4の先端の送油ノズル4aよりも低位置に設けてある。
【0032】
58はプランジャ51の上部から吐出弁56側に向けて形成した押上ピンであり、プランジャ51が初期位置のときは押上ピン58が吐出弁56から離れている。
【0033】
ソレノイド52に予め定めた周波数の駆動電流が供給され、プランジャ51が上バネ51aを圧縮しながら駆動位置まで移動するときは、パイプ50内の圧力により吐出口55が開いて燃料ポンプ5内の燃料が燃料パイプ4に送り出される。プランジャ51が駆動位置まで移動したときでも押上ピン58は吐出弁56と接触しない。プランジャ51が初期位置に復帰するときは、パイプ50内が負圧となり、吸入弁54が吸入弁バネ54aを圧縮しながら開き、燃料タンク13の燃料が吸入口57からパイプ50内に吸入される。
【0034】
また、消火操作手段7が操作されて自動消火手段9に消火信号が送られると、ソレノイド52への駆動電流の供給を停止してプランジャ51が初期位置に復帰して、燃料ポンプ5から燃料パイプ4への燃料の供給が停止する。その後運転中とは異なる周波数の駆動電流を供給してプランジャ51をゆっくり移動させ、押上ピン58が吐出弁56と当接して吐出弁56を徐々に押し上げることで、燃料ポンプ5から燃料パイプ4側に燃料が送られることなく、吐出弁56が開く。吐出弁56が開くと落差圧によって燃料パイプ4の燃料が燃料ポンプ5側に流れ、燃料パイプ4の燃料を吸引することができる。駆動電流の供給が停止すると、プランジャ51が上・下バネ51a・51bによって急速に初期位置に移動するので、パイプ50内が負圧となり、このときにも燃料パイプ4の燃料が燃料ポンプ5内に吸引されるものである。
【0035】
10は感震検出器8の出力信号が地震等の振動によるものであるか、石油燃焼器の転倒によるものであるかを判定する判定手段であり、感震検出器8はおもりとおもりに押されるスイッチとで構成され、おもりの動きによってスイッチの接点のON−OFFが切換る。地震等の振動時はおもりが揺れ続けるので、スイッチがON−OFFを繰り返し、転倒時はおもりがスイッチから離れるので、少しの間ON−OFFを繰り返した後でONまたはOFFのままとなるので、判定手段10は感震検出器8のON−OFF回数を検出して振動と転倒を判断する。自動消火手段9には判定手段10から二種類の消火信号が出力され、自動消火手段9は振動時の消火システムと、転倒時の消火システムを選択して作動するものである。
【0036】
感震検出器8のON−OFF信号が出力されると自動消火手段9は緊急時の消火システムを作動し、ポンプ制御手段5aが燃料ポンプ5の運転を停止すると共に、送風機制御手段1aが送風機1の回転数を最大燃焼の回転数よりも高い最高回転数に変更する。判定手段10は感震検出器8の作動開始から所定の時間(例えば2秒後)が経過するまでのON−OFF回数を検出し、ON−OFF回数が所定回数より多いときは石油燃焼器の揺れが長く続く地震のような振動と判断し、所定回数より少ないときは転倒と判断する。
【0037】
判定手段10から振動時の信号が出力されたときは、自動消火手段9は振動時の消火システムを作動し、送風機制御手段1aは炎検知手段16からの炎検知信号がないときは送風機1を停止し、炎検知手段16から炎検知信号があるときは送風機1を最高回転数のまま保持し、所定の時間が経過するか炎検知手段16からの炎検知信号がなくなると送風機1を停止する。
【0038】
また、ポンプ制御手段5aが燃料ポンプ5の燃料吸引手段12を作動し、ソレノイド52に運転中とは異なる周波数の駆動電流を供給し、プランジャ51をゆっくり移動させて押上ピン58が吐出弁56を徐々に押し上げて開くので、燃料パイプ4の燃料が燃料ポンプ5側に流れる。所定の時間が経過するとソレノイド52への駆動電流の供給を停止して吐出弁56が閉止する。
【0039】
石油燃焼器が振動を受けたときには、ポット3に供給する空気量を増やすことで燃焼を促進させ、ポット3内の燃料をできるだけ短時間で燃焼させて消火時間を短くしている。また、燃料吸引手段12が作動して燃料パイプ4内の燃料を吸引することによって、消火後にポット3内へ燃料が滴下したり再着火を起こしたりすることはなく、確実に消火できるものである。
【0040】
11は送風機1に半波の直流を微小時間供給するブレーキ手段であり、判定手段10から転倒時の信号が出力されたときは、自動消火手段9は転倒時の消火システムを作動し、送風機制御手段1aがブレーキ手段11を作動して送風機1に半波の直流を微小時間供給するブレーキ操作を行なった後、送風機1への通電を停止する。
【0041】
また、ポンプ制御手段5aは燃料ポンプ5の燃料吸引手段12を作動せず、吐出弁56を閉止した状態のまま保持するものであり、燃料パイプ4内の燃料の吸引が行われないので、燃料パイプ4内には燃料が残ったままとなる。
【0042】
送風機1は通電を停止しても惰性で回転するため、送風機1の回転が完全に停止するまでの間にポット3内に空気が送られ、燃料パイプ4や送油ノズル4aに燃料が残っているとこの空気によって再着火の恐れがある。
【0043】
この発明ではブレーキ手段11によって送風機1の回転数を急速に低下して停止することで、ポット3内への燃焼用空気の供給を非常に短時間で停止することができるものとなった。このため、ポット3内には燃焼に必要な空気が供給されなくなり、ポット3内が空気不足の状態となるから、燃料パイプ4や送油ノズル4a内に燃料が残っていても着火の恐れはなく確実に消火できるものであり、燃料パイプ4内の燃料を吸引する必要がなくなった。
【0044】
また、石油燃焼器が転倒したときに、転倒の方向によっては燃料ポンプ5の位置が送油ノズル4aよりも高くなることがあり、この場合は燃料ポンプ5の吐出弁56を開放しても燃料パイプ4内の燃料が燃料ポンプ5側に流れなくなり、燃料ポンプ5から燃料パイプ4側に燃料を流出させる恐れがあるが、転倒消火時は燃料パイプ4の燃料吸引手段12を作動せず、燃料ポンプ5の吐出弁56を閉止した状態のまま保持するので、燃料ポンプ5から燃料パイプ4側に燃料を流出させることがなくなり、石油燃焼器の転倒の方向に関係なく確実な消火が可能となったものである。
【0045】
また、感震検出器8のON−OFF信号が出力されたときに、送風機1を最大燃焼の回転数より高い最高回転数に設定することで、ポット3内に供給する空気量を多くして燃焼を促進させ、ポット3内に残る燃料を短時間で消費し、ポット3内に残る炎を強制的に吹き消すことができる。このため、感震検出器8のON−OFF信号が出力されて自動消火手段9が緊急時の消火システムを作動してから、判定手段10が振動と転倒を判断するまでの間にポット3内の燃料がなくなって消火するから、転倒時に送風機制御手段5aがブレーキ手段11を作動して送風機1を停止し、ポット3内への空気の供給を停止して空気不足の状態を作り出した時に、立炎や発煙を起こすことなく確実に消火できる。
【0046】
また、転倒消火時に燃料パイプ4の吐出弁56を閉止することで、転倒時に燃料ポンプ5から燃料パイプ4側への燃料の流出の恐れがなくなったから、燃料ポンプ5の取り付け位置や燃料パイプ4の形状に制約がなくなった。このため、燃料ポンプ5をできるだけポット3に近づけて設置して、燃料ポンプ5からポット3までの距離を短くすることで、燃料パイプ4は寸法が短く簡単な形状とすることができ、材料費や加工費を抑えることができるので、コスト低減を図るうえで有効である。
【符号の説明】
【0047】
1 送風機
2 風胴
3 ポット
3a 空気孔
4 燃料パイプ
4a 送油ノズル
5 燃料ポンプ
6 燃焼室
7 消火操作手段
8 感震検出器
9 自動消火手段
10 判定手段
11 ブレーキ手段
12 燃料吸引手段
51 プランジャ
56 吐出弁
58 押上ピン
図1
図2
図3