特許第6822689号(P6822689)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6822689
(24)【登録日】2021年1月12日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】液体の浄化方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20060101AFI20210114BHJP
   B01D 61/08 20060101ALI20210114BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20210114BHJP
   C02F 1/469 20060101ALI20210114BHJP
   B01D 61/44 20060101ALI20210114BHJP
   B01D 61/46 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   C02F1/44 D
   B01D61/08
   B01D61/58
   C02F1/44 A
   C02F1/469
   B01D61/44
   B01D61/46
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-512506(P2018-512506)
(86)(22)【出願日】2016年5月20日
(65)【公表番号】特表2018-515340(P2018-515340A)
(43)【公表日】2018年6月14日
(86)【国際出願番号】IB2016052976
(87)【国際公開番号】WO2016189438
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2019年4月4日
(31)【優先権主張番号】14/720,666
(32)【優先日】2015年5月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/748,654
(32)【優先日】2015年6月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517405921
【氏名又は名称】アブシャルク,バセル
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アブシャルク,バセル
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0055955(US,A1)
【文献】 特表平11−504855(JP,A)
【文献】 特開2015−029932(JP,A)
【文献】 特開2015−029934(JP,A)
【文献】 特開2013−043156(JP,A)
【文献】 特開平04−150923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44
B01D 61/08
B01D 61/44
B01D 61/46
B01D 61/58
C02F 1/469
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の浄化方法であって、
(a)複数の第一段階逆浸透ユニットを使用する第一段階液体浄化を実行し、前記第一段階逆浸透ユニットは、第一逆浸透ユニットから最終逆浸透ユニットまで互いに直列に配置され、前記第一段階逆浸透ユニットは各々、濃縮側、透過側、及び前記透過側から前記濃縮側を分離する逆浸透膜を有し、前記第一段階逆浸透ユニットの各々の濃縮側は、次の逆浸透ユニットの濃縮側と連続的に連絡し、前記第一段階逆浸透ユニットの各々の透過側は、前の逆浸透ユニットの透過側と連続的に連絡する、ステップと、
(b)前記第一段階逆浸透ユニットの第一逆浸透ユニットの少なくとも濃縮側と連絡するナノ濾過デバイス又は電気透析デバイスを設けるステップと、
(c)前記ナノ濾過デバイス又は前記電気透析デバイスと連絡する金属及び固体回収デバイスを設けるステップと、
(d)前記金属及び固体回収デバイスと連絡する溶媒回収デバイスを設けるステップと、
(e)前記ナノ濾過デバイス又は前記電気透析デバイス、前記金属及び固体回収デバイス及び前記溶媒回収デバイスを介して液体を処理し、
前記ナノ濾過デバイス又は前記電気透析デバイス、前記金属及び固体回収デバイス及び前記溶媒回収デバイスは互いに直列に配置される、ステップと、
(f)少なくとも一つの最終段階逆浸透ユニットを設けることを含む最終段階液体浄化を実行し、前記最終段階逆浸透ユニットは、濃縮側、透過側、及び前記透過側から前記濃縮側を分離する逆浸透膜を有し、前記最終段階逆浸透ユニットの濃縮側は、前記直列の第一段階逆浸透ユニットの第一逆浸透ユニットの透過側と連絡する、ステップを備え、
前記第一段階液体浄化は、前記第一段階逆浸透ユニットの濃縮側内の含塩液体の供給流を連続的に受け取ることと、逆浸透によって前記逆浸透ユニットの濃縮側から透過側に純粋な水を押し出すことと、前記最終逆浸透ユニットの濃縮側から、前記最終逆浸透ユニットの透過側に濃縮物の少なくとも一部を送り、混合透過物を形成することと、前記最終逆浸透ユニットの前の逆浸透ユニットの透過側で混合透過物を連続的に受け取ることを含み、
前記最終段階液体浄化は、前記最終段階逆浸透ユニットの濃縮側で混合透過物の供給流を受け取ることと、前記最終段階逆浸透ユニットの濃縮側から、前記最終段階逆浸透ユニットの透過側に純粋な水を押し出すことと、前記最終段階逆浸透ユニットの透過側から前記純粋な水を放出し、浄化した水を提供することを含む、液体の浄化方法。
【請求項2】
隣接する第一段階逆浸透ユニットの濃縮側の間に液体処理デバイスを設けるステップと、
前記液体処理デバイスに含塩液体の供給流を供給するステップを更に含み、
前記液体処理デバイスは、濾過システム、化学物質シーディングシステム、化学物質注入システム、及びナノ濾過デバイス又は前記電気透析システムからなるグループから選択された少なくとも一つの処理デバイスを含む、請求項1に記載の液体の浄化方法。
【請求項3】
前記第一段階逆浸透ユニットの各々の逆浸透膜は低除去膜であり、前記最終段階逆浸透ユニットの逆浸透膜は高除去膜である、請求項1に記載の液体の浄化方法。
【請求項4】
前記第一段階逆浸透ユニットの最終逆浸透ユニットの濃縮側と連絡する気化器及び/又は晶析器デバイスを設けるステップと、
前記最終逆浸透ユニットの濃縮側から前記気化器及び/又は晶析器デバイスに濃縮物の少なくとも一部を通過させるステップと、
を更に含む、請求項1に記載の液体の浄化方法。
【請求項5】
前記最終逆浸透ユニットの濃縮側と連絡する水酸化マグネシウム回収デバイスを設けるステップを更に含む、請求項1に記載の液体の浄化方法。
【請求項6】
液体の浄化システムであって、
(a)第一段階逆浸透ユニットが第一逆浸透ユニットから最終逆浸透ユニットまで互いに直列に配置され、前記第一段階逆浸透ユニットは各々濃縮側、透過側、及び前記透過側から前記濃縮側を分離する逆浸透膜を有し、前記第一段階逆浸透ユニットの各々の濃縮側は次の逆浸透ユニットの濃縮側と連続的に連絡し、前記第一段階逆浸透ユニットの各々の透過側は前の逆浸透ユニットの透過側と連続的に連絡する、複数の第一段階逆浸透ユニットと、
(b)前記第一逆浸透ユニットの少なくとも濃縮側と連絡するナノ濾過デバイス又は前記電気透析デバイスと、
(c)前記ナノ濾過デバイス又は前記電気透析デバイスと連絡する金属及び固体回収デバイスと、
(d)前記金属及び固体回収デバイスと連絡し、
前記ナノ濾過デバイス又は前記電気透析デバイス、及び前記金属及び固体回収デバイスと直列に配置される溶媒回収デバイスと、
(e)最終段階逆浸透ユニットが濃縮側、透過側、及び前記透過側から前記濃縮側を分離する逆浸透膜を有し、前記最終段階逆浸透ユニットの濃縮側は、前記第一段階逆浸透ユニットの第一逆浸透ユニットの透過側と連絡する、少なくとも一つの最終段階逆浸透ユニットと、
前記最終逆浸透ユニットの濃縮側から、前記最終逆浸透ユニットの透過側に濃縮物の少なくとも一部を送り、混合透過物を形成する第一再循環ラインと、
を備える、液体の浄化システム。
【請求項7】
前記第一段階逆浸透ユニットの各々の逆浸透膜は低除去膜であり、前記最終段階逆浸透ユニットの逆浸透膜は高除去膜である、請求項6に記載の液体の浄化システム。
【請求項8】
前記第一段階逆浸透ユニットの最終逆浸透ユニットの濃縮側と連絡する気化器及び/又は晶析器デバイスを更に備える、請求項6に記載の液体の浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2015年5月22日に出願され、現係属中の米国特許出願14/720,666の継続出願である。
【0002】
本発明は、一般に液体処理システム及び方法、特に直列の逆浸透ユニットを用いる液体の浄化方法に関し、そこでは逆浸透ユニットの膜にかかる圧力差を低減する。
【背景技術】
【0003】
人口圧力の増大、産業化の拡大及び様々な他の要素が、世界の多くの場所で真水の供給の要求を増大させている。この必要性に応じて、水を浄化する複数の技術が開発されてきた。これらの技術は主に、海水から塩及び他の不純物を除去し、真水に浄化する。
【0004】
水(及び他の液体)の浄化に用いられる最も一般的な技術の一つは、浸透圧より高い圧力を加えることによって、高い溶質濃度の領域から透過膜を介して低い溶質濃度の領域に溶媒を押し出す逆浸透(RO)のものである。しかし、逆浸透(RO)技術は、低い回収率及び膜スケーリングを含む所定の課題に悩まされている。これらの二つの課題はRO脱塩の経済性を制御し、それらは両方とも膜にかかる圧力に関係している。より高い回収は、膜にかかる圧力を増大させることによって得られる。しかし、このような圧力の増大は(1)圧縮によって促進されるより高いスケール形成、及び(2)膜の濃縮側により高い塩濃度をもたらす。加えて、膜にかかる圧力が増大すると、膜組立てコストを高くし、消費電力を増大させる必要がある。
【0005】
複数の液体浄化システムがこれまで開発されてきた。このようなものの一例は、Uwatech GMBHらに2000年7月19日に公開された欧州特許公開第1,020,407号明細書(特許文献1)に見出される。この参考文献は(図面及び英語の要約によると)連続的な逆浸透によって硝酸アンモニウムを含む凝縮流出物を処理し、処理水流及び再循環させる濃縮物を得ることを説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許公開第1,020,407号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、上記の問題を解決する液体の浄化方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
液体の浄化方法は、第一段階液体浄化と最終段階液体浄化を含む。第一段階液体浄化は、複数の第一段階逆浸透ユニットに含塩液体を供給することを含む。最終段階液体浄化は、第一段階液体浄化から処理した液体を最終段階逆浸透ユニットに提供し、逆浸透によって脱塩することを含む。
【0009】
第一段階逆浸透ユニットは、第一逆浸透ユニットから最終逆浸透ユニットまで互いに直列に配置する。第一段階逆浸透ユニットは各々、濃縮側、透過側、及び濃縮側と透過側を分離する逆浸透膜を有する。第一段階逆浸透ユニットは、低除去膜を用いる及び/又は濃縮側から透過側にニガリ(brine)を通過させ、混合透過物を形成することによって、膜にかかる小さなイオン濃度差を維持する。この小さなイオン濃度差は、膜にかかる圧力勾配を低減する。第一逆浸透ユニットからの混合透過物は、最終段階逆浸透ユニットに供給される。最終段階逆浸透ユニットは高除去膜を含み、純粋な脱塩水を生成する。
【0010】
本発明のこれらの及び他の特徴は、以降の明細書及び図面を更に検討することで容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による液体の浄化システム及び方法の第一実施形態の概略図である。
図2】本発明による液体の浄化システム及び方法の第二実施形態の概略図であり、気化器及び/又は晶析器を含む。
図3】本発明による液体の浄化システム及び方法の第三実施形態の概略図であり、浸入液体供給流内にナノ濾過デバイスを含む。
図4】本発明による液体の浄化システム及び方法の第四実施形態の概略図であり、浸入液体供給流内に電気透析デバイスを含む。
図5】本発明による液体の浄化システム及び方法の第五実施形態の概略図であり、出力液体供給流内に水酸化マグネシウム回収デバイスを含む。
【0012】
同様の参照文字は、添付の図面全体で一貫して対応する特徴を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
液体の浄化方法は複数の実施形態を含み、各々含塩液体を浄化する複数の逆浸透(RO)ユニットを含む。本明細書で用いる場合、「含塩液体」は、著しい濃度の溶解塩(主にNaCl)を含む液体を指す。液体の浄化方法は、海水、汽水、産業廃水、都市廃水、浸出水、フラッキング水(frac water)、油田生産水、又は脱塩を必要とする任意の他の種類の水等の、含塩液体を浄化するために用いることができる。各実施形態は、第一段階液体浄化を実行する複数の第一段階逆浸透ユニットと、最終段階液体浄化を実行する最終段階逆浸透ユニットを含む。第一段階逆浸透ユニットは、第一段階液体浄化内の複数の逆浸透ステージを提供する。第一段階逆浸透ユニットは、第一逆浸透ユニットから最終逆浸透ユニットまで互いに直列に配置される。第一段階逆浸透ユニットは各々、濃縮側、透過側、及び透過側から濃縮側を分離する逆浸透膜を有する。第一段階逆浸透ユニットは、低除去膜を用いること及び/又は濃縮側から透過側にニガリ(brine)を通過させ、混合透過物を形成することによって、膜にかかるイオン濃度差を小さく維持する。この小さなイオン濃度差は、膜にかかる圧力勾配を低減する。第一逆浸透ユニットからの混合透過物は、最終段階逆浸透ユニットに供給される。最終段階逆浸透ユニットは高除去膜を含み、純粋な脱塩水を生成する。
【0014】
図面の図1は、液体の浄化方法の第一実施形態の概略図である。第一実施形態の方法は、第一段階液体浄化と最終段階液体浄化を実行することを含む。第一段階液体浄化は、第一逆浸透ユニット100a、第二逆浸透ユニット100b及び最終逆浸透ユニット100nとして指定された直列の第一段階逆浸透(RO)ユニットを用いて実行される。必要に応じて、任意の適用可能な数の逆浸透ユニットを提供できることが分かる。最終段階液体浄化は、少なくとも一つの最終段階逆浸透ユニット101を用いて実行される。第一段階逆浸透ユニット100a、100b、…100nは各々、濃縮側102a〜102n、透過側104a〜104n、及び各逆浸透ユニットの濃縮側と透過側を分離するRO膜106a〜106nを含む。最終段階逆浸透ユニット101は、濃縮側103a、透過側103b及びRO膜103cを含む。第一段階逆浸透ユニット100a〜100nの各々の濃縮側102a〜102nは、連続的に次の逆浸透ユニットの濃縮側と連絡関係にある。第一段階逆浸透ユニット100a〜100nの各々の透過側104a〜104nは、連続的に前の逆浸透ユニットの透過側と連絡する。最終段階逆浸透ユニット101の濃縮側103aは、第一段階逆浸透ユニットの直列の第一逆浸透ユニット100aの透過側104aと連絡関係にある。
【0015】
第一段階液体浄化は、第一段階逆浸透ユニット100a〜100nの濃縮側102a〜102n内の含塩液体の供給流を連続的に受け取ることを含む。第一段階逆浸透ユニット100a〜100nの各々では、水は逆浸透によって濃縮側から透過側に押し出される。最終逆浸透ユニット100nの濃縮側102nからの濃縮物の少なくとも一部は、最終逆浸透ユニット100nの透過側104nに送られ、混合透過物を形成する。最終逆浸透ユニット100nからの混合透過物は、最終逆浸透ユニットの直前の逆浸透ユニット100n−1の透過側104n−1に供給され、混合透過物が第一段階逆浸透ユニットの各々に形成されるまで、逆浸透ユニット100n−1からの混合透過物は前の逆浸透ユニット100b等に送られる。第一段階逆浸透ユニットの各々の透過物は次の逆浸透ユニットから再循環させた濃縮物によって濃縮されるので、第一段階逆浸透ユニットの各々の透過物と濃縮物の間の濃度差はより小さくなる。これは、第一段階逆浸透ユニットの各々にかかる圧力差、従って必要な電力を低減できる。
【0016】
最終段階液体浄化は、最終段階逆浸透ユニット101の濃縮側103a内への混合透過物の供給流を第一逆浸透ユニット100aから受け取ることを含む。上記のように、最終段階逆浸透ユニット101は高除去RO膜103cを含む。純粋な水は、最終段階逆浸透ユニット101の濃縮側103aから透過側103bに押し出され、透過側103bから放出され、浄化した液体を供給する。最終段階逆浸透ユニット101からの濃縮物は、ライン118を介して第一逆浸透ユニット100aの濃縮側102aに戻すことができる。
【0017】
より詳細には、第一逆浸透ユニット100aは、供給流114を介して、例えば、塩水等の含塩液体を受け取る。水は、第一逆浸透ユニット100aのRO膜106aを介して透過側に押し出され、残りの濃縮物は濃縮ライン120aを介して直列に次の逆浸透ユニット100bの濃縮側102bに通過する。逆浸透ユニットからの濃縮液体は、同様の濃縮ラインを介して連続的に次の逆浸透ユニットに通過する。全ての逆浸透ユニット100a、100b、…100nの濃縮側102a、102b、…102nは、各濃縮ライン120a、120b、…120n−1によって互いに連続的に接続される。各濃縮ライン内には液体処理デバイスを直列に設置でき、全ての濃縮液体は各デバイスを連続的に通過する。従って、第一液体処理デバイス122aは、第一逆浸透ユニット100a及び第二逆浸透ユニット100b等の濃縮側102a及び102bの間の濃縮ライン120a内に設置でき、最後から二番目の液体処理デバイス122n−2は、前の逆浸透ユニットの濃縮側と、逆浸透ユニット100n−1の濃縮側102n−1との間の濃縮ライン120n−2内に設置され、最終液体処理デバイス122n−1は、最後から二番目の逆浸透ユニット100n−1の濃縮側102n−1と、最終逆浸透ユニット100nの濃縮側102nとの間の濃縮ライン120n−1内に設置される。これらの液体処理デバイス122a…122n−1は、塩、イオン及び/又は他の物質を形成するスケールを除去することによって、システムを通過する水又は他の液体を更に浄化する。液体処理デバイスは、濾過デバイス、化学物質シーディングデバイス、化学物質注入デバイス及び/又はナノ濾過デバイスであってもよく、別の濾過及び/又はイオン交換を続けてもよい。
【0018】
濃縮物は、最終逆浸透ユニット100nの濃縮側102nの出力又は濃縮流108から再循環させ、第一再循環ライン110aによってその逆浸透ユニットの透過側104nに戻し、混合透過物を形成し、その逆浸透ユニットの透過側104n内の濃度レベルを増大させる。最終逆浸透ユニット100nの透過側104nは、第二再循環ライン110bによって直前の逆浸透ユニット100n−1の透過側104n−1に接続される。混合透過物は、直列の逆浸透ユニットの最終逆浸透ユニット100nの透過側104nから前の逆浸透ユニット100n−1の透過側104n−1に通過させる。この再循環処理は継続し、再循環ライン110n−1は、第二逆浸透ユニット100bの透過側104bに混合透過物を送出し、第二逆浸透ユニット100bからの混合透過物は第一逆浸透ユニット100aの透過側104に通過する。第一逆浸透ユニットからの混合透過物は最終段階逆浸透ユニット101に供給される。最終段階逆浸透ユニット101の透過側103bの浄化した液体は、そこから生産水又は溶媒ライン112によって放出される。
【0019】
各々の連続的な逆浸透ユニットから前の逆浸透ユニットに透過物を再循環させる処理は、各逆浸透ユニットの透過側の濃度レベルを増大させる効果を有し、RO膜にかかる濃度差を低減する。従って、各逆浸透ユニットのRO膜を介して濃縮物を押し出すために必要な圧力及び電力は小さくなる。更に、第一段階逆浸透ユニットのRO膜は、低除去膜又は漏出性の膜であってもよく、膜を介して塩イオンを漏出可能にし、膜にかかる濃度差を低減する。言い換えると、第一段階逆浸透ユニットのRO膜は、そうではない場合に必要とされるより、やや多孔性、つまり、より透過性であってもよい。多孔性及び透過性がおおきくなると、コストも低減される。
【0020】
図面の図2は、液体の浄化方法の第二実施形態の概略図を提供する。図2の第二実施形態の部品は、図1の第一実施形態の対応する部品と基本的に同一であることが分かるが、図2の実施形態の部品は、図1の実施形態の場合の「1」ではなく、数字「2」で始まる参照文字によって指定される。図2に示したシステムの動作方法は、図1の第一実施形態の動作方法に対して上で説明したものと同じであるが、ただし、追加の気化器及び/又は晶析器デバイス224が濃縮又は出力流又はライン108の出力又は放出端部に設置される。残りの溶媒、例えば、水等は、最終逆浸透ユニット100nの濃縮側102nから濃縮出力ライン108を通過し、このデバイス224を介して処理され、固形物は、必要に応じて使用又は廃棄するために回収される(例えば、溶液から沈殿させる、液体を気化させた後に回収する等)。
【0021】
図面の図3は、液体の浄化方法の第三実施形態の概略図を提供する。図3の第三実施形態の大部分の部品は、図1及び2の第一及び第二実施形態の対応する部品と基本的に同一であることが分かるが、図3の実施形態の部品は、図1及び2の実施形態の場合の「1」又は「2」ではなく、数字「3」で始まる参照文字によって指定される。図3に示したシステムの動作方法は、図2の実施形態の動作方法に対して上で説明したものと一般に同じであるが、ただし、供給流314と気化器及び/又は晶析器324の間に並列システムがある。図3のシステムでは、第一逆浸透ユニット304aの上流の供給流ライン内にナノ濾過デバイス326が直列に設置される。ナノ濾過デバイス326は、浸入供給流ライン314aによって供給される濃縮側328、送出供給流ライン314b、従って第一RO逆浸透ユニット300aの濃縮側302aに透過物を送出する透過側330、及び二つの側328と330の間の逆浸透ユニット要素332((例えば、ナノ逆浸透ユニット等)を含む。接続ライン318は、送出供給流ライン314bと、最終段階逆浸透ユニット301の濃縮側303aとの間に延在し、処理した液体を最終段階逆浸透ユニット301に送出する。最終段階逆浸透ユニット301はまた、図1の第一実施形態に対して上で説明され、図2の第二実施形態で用いられるように、第一逆浸透ユニット300aの透過側304aから混合透過物を受け取る。
【0022】
図3の第三実施形態は更に金属及び固体回収デバイス334を含み、ナノ濾過デバイス326の濃縮側328から相互接続ライン320aを介して濃縮物を受け取り処理し、水及び/又は溶媒回収デバイス336は、金属及び固体回収デバイス334から相互接続ライン320bを介して出力された液体を受け取り処理する。処理した水又は溶媒は、水及び/又は溶媒回収デバイス336からのライン320cによって、及び気化器/晶析器324からのライン320dによってシステムから送出される。処理した固体及び/又は濃縮物は、金属及び固体回収デバイス334からの出力308aによって、及び気化器/晶析器デバイス324からの出力308bによってシステムから除去される。二つの出力308a、308bは、単一の出力宛先、同様に単一の生産水又は溶媒収集点まで延在する二つのライン320c及び320dまで延在する。
【0023】
図面の図4は、液体の浄化方法の第四実施形態の概略図を提供する。図4の第四実施形態の大部分の部品は、図3の第三実施形態の対応する部品と基本的に同一であることが分かるが、図4の実施形態の部品は、図3の実施形態の場合の「3」ではなく、数字「4」で始まる参照文字によって指定される。図4に示したシステムの動作方法は、図3の実施形態の動作方法に対して上で説明したものと一般に同じであるが、ただし、図3のシステムのナノ濾過デバイス326の代わりに電気透析デバイス426を設置する。電気透析デバイス426は、入力又は濃縮側428、出力又は透過側430、及びそれらの間の電気透析ユニット又は部品432を含む。濃縮液体は、そのデバイスの濃縮側428に提供され、電気透析ユニット432によってそこで処理され、処理された液体は、出力側430からライン414bを介して第一段階ROユニット400aの濃縮側402aに通過させ、ライン418を介して最終逆浸透ユニット401の濃縮側403aに通過させる。電気透析デバイス426の濃縮側428はまた、ライン420aを介して金属及び/又は固体回収デバイス434に濃縮物を提供し、図4のシステムの残りのものは図3のシステムと同一に動作する。
【0024】
図面の図5は、液体の浄化方法の第五実施形態の概略図を提供する。図5の第五実施形態の大部分の部品は、図2の第二実施形態の対応する部品と基本的に同一であることが分かるが、図5の実施形態の部品は、図2の実施形態の場合の「2」ではなく、数字「5」で始まる参照文字によって指定される。図5に示したシステムの動作方法は、図2の実施形態の動作方法に対して上で説明したものと一般に同じであるが、ただし、最終ROユニット500nの濃縮側502nと、晶析器524との間には水酸化マグネシウム(MgOH)回収デバイス538が配置され、それは、図2〜4の実施形態の気化器及び/又は晶析器デバイスと同一であってもよい。濃縮流ライン508aは、最終段階ROユニット500aの濃縮側502nから延在し、MgOH回収デバイス538に供給を行う。MgOH回収デバイス538からの出力は、第二濃縮ライン508bによって気化器及び/又は晶析器(又は晶析器)524に供給される。石灰及び/又はドロマイト石灰、ソーダ灰、及び/又は水酸化ナトリウムの形態の追加の濃縮物は、追加の供給ライン540によってMgOH回収デバイスに供給され、MgOH回収デバイスは入力物質を処理し、そこからMgOHを送出する。他の濃縮物は、処理用のライン又は供給部508bによって晶析器又は気化器及び/又は晶析器524に送出される。気化器及び/又は晶析器524は、硫酸カリウム及び結晶塩の固体出力を送出し、生産水の形態の液体はライン520によって出力される。生産水はまた、ライン512によって最終段階逆浸透ユニット501の透過側503bから送出される。これらの二つのライン512と520は、図5に示したように、共通の収集点にそれらの生産水の出力を送出してもよい。
【0025】
本方法によって生成される生産水の体積は、供給水流の体積の少なくとも70%であってもよい。例えば、生産水の体積は、供給水流の体積の約70%〜約95%であってもよい。上記の実施形態の効率の一例として、脱塩プラントの除去流は、本開示内容に従って、三つの逆浸透ユニットを有する第一段階液体浄化と、一つの逆浸透ユニットを有する最終段階液体浄化を含み、第二の第一段階逆浸透ユニットの後にイオン交換を備えた逆浸透システムを介して処理した。以下の表1は、三つの濃縮流の濃縮物、並びに最終段階液体浄化からの透過流の濃縮物を示す。第三ROユニットの濃縮流からは26%の濃縮物を実現できる。
【0026】
【表1】
【0027】
上の表1で説明したように、第三ROユニットからの濃縮流を更に処理し、ドロマイド石灰を加えることによって水酸化マグネシウムを回収することもできることに留意されたい。更に、上の表1で説明したように、第三ROユニットからの濃縮流は、図2〜5の概略図に示したように三段階晶析器に供給でき、そこでは、最大99.8%の純度の石膏、水酸化マグネシウム及び結晶塩を得ることができ、水が回収される。
【0028】
本発明は、上記の実施形態には限定されないが、以降の請求項の範囲内の任意の及び全ての実施形態を包含すると理解される。
図1
図2
図3
図4
図5