【実施例】
【0046】
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0047】
[実施例1]
濃度200mg/Lでフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH3に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
【0048】
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、スルホン酸系アニオン凝集剤(スルホ基を官能基として有するアニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロック(登録商標)A−235H,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が30mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。これにより、清澄な上澄み液が得られた。
【0049】
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ2mg/Lであった。
【0050】
[比較例1]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH3に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
【0051】
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、カルボン酸系アニオン凝集剤(アニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックA−130,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が30mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。これにより、清澄な上澄み液が得られた。
【0052】
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ10mg/Lであり、実施例1に比べて処理後の排水中のフッ素濃度が高かった。
【0053】
[比較例2]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH3に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
【0054】
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、スルホン酸系ノニオン凝集剤(スルホ基を官能基として有するノニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックN−210,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が30mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。しかしながら、清澄な上澄み液は得られず、濁りが残った。
【0055】
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ16mg/Lであった。また、その上澄み液を濾過し、濾液のフッ素濃度を測定したところ4mg/Lであった。
【0056】
[比較例3]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH3に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
【0057】
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、カルボン酸系ノニオン凝集剤(ノニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックN−100,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が30mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。しかしながら、清澄な上澄み液は得られず、濁りが残った。
【0058】
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ30mg/Lであった。また、その上澄み液を濾過し、濾液のフッ素濃度を測定したところ14mg/Lであった。
【0059】
[実施例2]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH4に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
【0060】
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、スルホン酸系アニオン凝集剤(スルホ基を官能基として有するアニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックA−235H,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が30mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。これにより、清澄な上澄み液が得られた。
【0061】
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ2mg/Lであった。
【0062】
[実施例3]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH5に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
【0063】
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、スルホン酸系アニオン凝集剤(スルホ基を官能基として有するアニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックA−235H,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が30mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。これにより、清澄な上澄み液が得られた。
【0064】
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ2mg/Lであった。
【0065】
[実施例4]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH3に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
【0066】
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、スルホン酸系ノニオン凝集剤(スルホ基を官能基として有するノニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックN−210,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が10mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。清澄な上澄み液は得られず、濁りが残った。
【0067】
次に、さらにその排水に、スルホン酸系アニオン系凝集剤(スルホ基を官能基として有するアニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックA−235H,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が5mg/Lとなるように添加した。これにより、清澄な上澄み液が得られた。
【0068】
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ5mg/Lであった。
【0069】
[実施例5]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH3に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
【0070】
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、スルホン酸系ノニオン凝集剤(スルホ基を官能基として有するノニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックN−210,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が10mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。清澄な上澄み液が得られず、濁りが残った。
【0071】
次に、さらにその排水に、カルボン酸系アニオン系凝集剤(アニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックA−130,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が10mg/Lとなるように添加した。これにより、清澄な上澄み液が得られた。
【0072】
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ6mg/Lであった。
【0073】
[実施例6]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH3に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
【0074】
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、カルボン酸系ノニオン凝集剤(ノニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックN−100,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が10mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。清澄な上澄み液が得られず、濁りが残った。
【0075】
次に、さらにその排水に、スルホン酸系アニオン凝集剤(スルホ基を官能基として有するアニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックA−235H,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が10mg/Lとなるように添加した。これにより、清澄な上澄み液が得られた。
【0076】
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ6mg/Lであった。
【0077】
[実施例7]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH3に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
【0078】
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、カルボン酸系ノニオン凝集剤(ノニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックN−100,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が10mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。清澄な上澄み液が得られず、濁りが残った。
【0079】
次に、さらにその排水に、カルボン酸系アニオン系凝集剤(ノニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックA−130,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が10mg/Lとなるように添加した。これにより、清澄な上澄み液が得られた。
【0080】
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ8mg/Lであった。
【0081】
[実施例8]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH3に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
【0082】
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、添加後の濃度が10mg/L〜30mg/Lの範囲となるようにスルホン酸系アニオン凝集剤(スルホ基を官能基として有するアニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックA−235H,MTアクアポリマー株式会社製)を加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。これにより生成した上澄み液中のフッ素濃度と、その上澄み液の透視度を測定した。下記表1に、測定結果を示す。
【0083】
【表1】