特許第6822803号(P6822803)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6822803
(24)【登録日】2021年1月12日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20210114BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20210114BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20210114BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20210114BHJP
   G06F 3/048 20130101ALI20210114BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   F24C3/12 E
   F24C7/04 301A
   F24C7/04 301Z
   F24C15/00 M
   F24C15/00 D
   F24C3/12 L
   F24C3/12 A
   H05B6/12 324
   G06F3/048
   H04Q9/00 301D
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-173491(P2016-173491)
(22)【出願日】2016年9月6日
(65)【公開番号】特開2018-40515(P2018-40515A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2019年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】加藤 定基
(72)【発明者】
【氏名】杉本 喜輝
(72)【発明者】
【氏名】柴垣 俊浩
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−222333(JP,A)
【文献】 特開2003−207139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
F24C 7/04
F24C 15/00
G06F 3/048
H04Q 9/00
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を加熱する加熱手段と、器具の電源がオンの状態のときに、加熱手段が使用される可能性が低いか否かを判定する器具使用判定手段と、器具使用判定手段によって加熱手段が使用される可能性が低いと判定された場合に、器具の電源を自動でオフにする機能を有する電源制御手段と、情報通信端末との間で無線通信するための通信手段とを備えた加熱調理器であって、
事前に登録されている情報通信端末からの接続情報を受信して当該情報通信端末との通信が可能な状態にある場合は、加熱手段が使用される可能性が低いか否かにかかわらず、器具の電源を自動でオフにしないことを特徴とする、加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
器具の動作状態を表示する表示手段を備え、
器具の操作が行われず、且つ、情報通信端末との間で通信が行われている間、表示手段を消費電力の少ない表示形態に設定することを特徴とする、加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器、特に、情報通信端末との間で無線通信可能な加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンロやグリル装置など加熱調理器において、自動調理の動作条件を携帯移動通信端末などの情報通信端末で選択し、加熱調理器に無線送信することで、自動調理メニューを予約設定したり、特定の動作を制限したりするように構成された加熱調理器が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−185011号公報
【特許文献2】特開2014−165548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、この種の加熱調理器では、各種センシング機能の向上や自動調理機能の多様化に伴う制御回路の大型化、器具の動作状態を表示する表示部の大型化などに相まって、器具全体としての電力消費量が増加している。そのため、この種の加熱調理器では、器具の電源がオンにされているにもかかわらず、加熱手段が使用されていない場合は、自動で電源をオフにする機能を備えているのが望ましい。
【0005】
しかしながら、情報通信端末との通信機能を備えた上記従来の加熱調理器では、例えば、情報通信端末で動作条件の設定操作をしている間に自動で器具の電源がオフにされてしまうと、情報通信端末から動作条件の設定を送信しても器具側で正常に設定されない、動作条件を再設定するのに改めて電源のオン操作をしなければならないなど、使用者にとって著しく不便である。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、情報通信端末との間で無線通信可能な加熱調理器において、使い勝手の向上を図りつつ、電力消費量の低減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被加熱物を加熱する加熱手段と、器具の電源がオンの状態のときに、加熱手段が使用される可能性が低いか否かを判定する器具使用判定手段と、器具使用判定手段によって加熱手段が使用される可能性が低いと判定された場合に、器具の電源を自動でオフにする機能を有する電源制御手段と、情報通信端末との間で無線通信するための通信手段とを備えた加熱調理器であって、事前に登録されている情報通信端末からの接続情報を受信して当該情報通信端末との通信が可能な状態にある場合は、加熱手段が使用される可能性が低いか否かにかかわらず、器具の電源を自動でオフにしないことを特徴としたものである。
【0008】
このものでは、器具の電源がオンにされている状態で、加熱手段が使用される可能性が低いと判定された場合は、器具の電源が自動でオフにされるから、無駄な電力消費を抑制できる。一方、器具の電源がオンにされている状態で、事前に登録されている情報通信端末からの接続情報を受信して当該情報通信端末との通信が可能な状態にある場合は、加熱手段が使用される可能性が低いか否かにかかわらず、器具の自動電源オフを行わない。従って、情報通信端末で動作条件の設定操作等をしている途中で器具の電源が自動でオフにされてしまうこともない。
【0011】
好ましくは、上記加熱調理器において、器具の動作状態を表示する表示手段を備え、器具の操作が行われず、且つ、情報通信端末との間で通信が行われている間、表示手段を消費電力の少ない表示形態に設定する。
【0012】
器具の電源がオンにされた後、器具の操作が行われず、且つ、情報通信端末との間で通信が行われている間は、使用者は情報通信端末を使用しており、器具側の表示手段は利用されていないと想定される。従って、このものでは、この間、表示手段を消費電力の少ない表示形態に切り替える。これにより、器具の自動電源オフが行われない状態であっても、器具全体の消費電力を抑制することができる。尚、表示手段を消費電力の少ない表示形態にする方法としては、消灯させる、照度を低減させる、表示情報を少なくさせる等の方法が挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、情報通信端末との間で通信が行われている間は、器具の電源が自動でオフにされてしまうことがないから、使い勝手が格段に向上する。一方、情報通信端末との間で通信が行われていない場合は、器具の電源が自動でオフにされるから、電力消費量の低減を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の概略斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の概略構成図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の電源をオンにしたときの作動フローチャートである。
図4図4は、本発明の他の実施形態に係る加熱調理器の電源をオンにしたときの作動フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、上記した本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
【0016】
図1および図2に示すように、本発明の実施の形態に係る加熱調理器は、天板11の上面に単数或いは複数の加熱手段としてバーナ21を有するガスコンロ1であり、情報通信端末としての携帯移動通信端末(以下、「携帯端末」という)5との間で、ガスコンロ1の動作状態や携帯端末5で選択設定されたレシピデータ等の自動調理の動作条件を無線で送受信する機能を備えている。
【0017】
コンロ本体10の内部中央には、食材のグリル調理を行うための加熱庫30が設けられている。また、加熱庫30の内部には、単数或いは複数の加熱手段としてバーナ31が組み込まれている(図2参照)。尚、本明細書では、コンロ本体10の前面(本体前面)13をガスコンロ1の正面とし、ガスコンロ1を正面側から見たときのコンロ本体10の奥行き方向を前後方向、幅方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
【0018】
バーナ21,31は、何れもガスの燃焼排ガスを熱源として食材や調理容器などの被加熱物を加熱するバーナであり、ガス配管から供給されるガスを空気と混合して着火させ、燃焼排ガスを生成する。
【0019】
天板11の上面におけるバーナ21の外周には、鍋やフライパンなどの調理容器を下方から支持する五徳22が載置されている。また、バーナ21の中央部には、五徳22上に載置された調理容器の底部に当接し、容器底面の温度を検出する温度検出手段としての鍋底温度センサ23が設けられている。さらに、バーナ21の炎孔形成部の近傍には、ガスの燃焼炎の有無を検出する炎検知センサ24と、炎孔形成部の近傍で火花放電させる点火プラグ25とが設けられている。
【0020】
加熱庫30内の後部には、庫内の温度、即ち、食材や調理容器を加熱する加熱雰囲気の温度を検出する温度検出手段としての庫内温度センサ33が設けられている。また、バーナ31の炎孔形成部の近傍には、ガスの燃焼炎の有無を検出する炎検知センサ34と、炎孔形成部の近傍で火花放電させる点火プラグ35とが設けられている(図2参照)。
【0021】
天板11の下面側の中央前寄りの位置には、ガスコンロ1の動作状態や設定情報などを表示する表示手段としての表示部41が設けられている。また、コンロ本体10の内部には、携帯端末5との間でデータを無線送受信するための通信手段としての無線通信部42が組み込まれている。尚、本実施の形態に係るガスコンロ1と携帯端末5との間の通信は、Bluetooth(登録商標)や赤外線通信等の近距離無線通信規格に基づいて行われるが、家庭内通信ネットワークを介して通信接続される構成としてもよい。
【0022】
本体前面13には、下辺部を軸として前後に開閉し、内側に各バーナ21,31の動作条件を設定入力するための複数の操作スイッチを有する設定操作パネル40が設けられている。
【0023】
また、本体前面13には、ガスコンロ1の主電源のオンおよびオフを手動操作するための電源スイッチ43と、バーナ21の点火や消火、火力調整を手動操作するためのバーナ21用の点消火操作子44と、バーナ31の点火や消火、火力を手動操作するためのバーナ31用の点消火操作子45とが設けられている。
【0024】
電源スイッチ43は、常に本体前面13よりも前方へ突出した状態で設けられており、一回押される毎にガスコンロ1の主電源がオンの状態とオフの状態とで交互に切り替わるように構成されている。
【0025】
点消火操作子44,45は、コンロ本体10内に埋没した加熱オフの状態(図1中の「本体前面13の右側に配設された点消火操作子44のうち、中央および左側の点消火操作子44、本体前面13の左側に配設された点消火操作子45」の状態)からさらに後方へ押し込むことで、本体前面13より前方へ突出して加熱オンの状態(図1中の「本体前面13の右側に配設された点消火操作子44のうち、右側の点消火操作子44」の状態)になり、加熱オンの状態から再び後方へ押し戻すことで加熱オフの状態になるように構成されている。
【0026】
図示しないが、点消火操作子44,45にはそれぞれ、点火操作によりオンとなり、消火操作によりオフとなるオルタネートスイッチと、複数(例えば、9つ)の接点を有するロータリースイッチとを備えており、点火操作がなされた後、左右に回動させれば、その回動位置に対応する火力が選択設定される。
【0027】
設定操作パネル40には、食材の調理モードや加熱時間、加熱温度など自動調理の動作条件を設定入力するための設定入力スイッチ46と、設定入力スイッチ46により設定された加熱時間や加熱温度を表示する表示手段としての表示部47とが設けられている。
【0028】
設定入力スイッチ46は、湯沸し、煮物、揚物、炊飯などの調理モードを選択設定するための調理モード設定スイッチ、被加熱物の加熱時間を設定するためのタイマ設定スイッチ、被加熱物の加熱温度を設定するための温度設定スイッチ、設定された加熱時間や加熱温度を加減するための加減スイッチ、ガスコンロ1の設定を変更するための設定変更スイッチなどからなり、これら各スイッチを操作することで自動調理の動作条件の設定や携帯端末5との通信設定を行うことができる。
【0029】
図2に示すように、コンロ本体10の内部には、点消火操作子44による点火操作や消火操作、火力設定操作に応じてバーナ21へのガスの供給量を調整するバーナ21用のバルブユニット26と、点消火操作子45による点火操作や消火操作、火力設定操作に応じてバーナ31へのガスの供給量を調整するバーナ31用のバルブユニット36とが組み込まれている。
【0030】
バーナ21用のバルブユニット26は、点消火操作子44にて点火操作がなされれば開き、炎検知センサ24にてガスの燃焼炎が検出されなければ閉じる電磁開閉弁、点消火操作子44にて点火操作がなされれば開き、消火操作がなされれば閉じる主弁、点消火操作子44の火力設定操作に合わせて開度調整されるニードル弁、コンロ制御回路15からの火力変更の指示に応じて開度を切り替える火力切替弁などからなり、これら各弁体によってバーナ21へのガスの供給量が適宜調整される。
【0031】
バーナ31用のバルブユニット36も同様、点消火操作子45にて点火操作がなされれば開き、炎検知センサ34にてガスの燃焼炎が検出されなければ閉じる電磁開閉弁、点消火操作子45にて点火操作がなされれば開き、消火操作がなされれば閉じる主弁、点消火操作子45の火力設定操作に合わせて開度調整されるニードル弁、コンロ制御回路15からの火力変更の指示に応じて開度を切り替える火力切替弁などからなり、これら各弁体によってバーナ31へのガスの供給量が適宜調整される。
【0032】
コンロ本体10の内部には、ガスコンロ1全体の動作を制御するコンロ制御回路15が組み込まれている。鍋底温度センサ23、庫内温度センサ33、炎検知センサ24,34、バルブユニット26,36、表示部41,47、無線通信部42、電源スイッチ43、点消火操作子44,45、および、設定入力スイッチ46は、何れもコンロ制御回路15に有線接続されている。点火プラグ25,35は、点火操作がなされた際に点火プラグ25,35に高電圧を印加する図示しないイグナイタを介してコンロ制御回路15に接続されている。尚、本実施の形態に係るガスコンロ1は、乾電池を電源とするガスコンロであって、コンロ本体10に搭載された図示しない乾電池からコンロ制御回路15を通じて上記各構成部品の動作に必要な電力が供給されるように構成されている。
【0033】
図示しないが、コンロ制御回路15は、電源スイッチ43の操作に応じてガスコンロ1の電源(以下、「コンロ電源」という)のオンオフを制御する電源制御部、点消火操作子44,45の操作に応じてバーナ21,31の点火や消火、火力調整を行うバーナ制御部、表示部41,47の表示形態を制御する表示制御部、炎検知センサ24,34の出力値に基づいてバーナ21,31の点火や消火を判定する点消火判定部、鍋底温度センサ23の検出温度に基づいて五徳22上に載置された調理容器の温度状態を判定する鍋温度判定部、庫内温度センサ33の検出温度に基づいて加熱庫30内の加熱雰囲気の温度状態を判定する庫内温度判定部、無線通信部42の通信動作を制御する通信制御部、無線通信部42で受信した携帯端末5の端末情報や携帯端末5で選択設定された自動調理の動作条件などのデータを記憶する設定記憶部、設定入力スイッチ46によって設定された動作条件或いは携帯端末5から送信された動作条件に基づいてバーナ21,31の動作を制御する自動調理制御部、コンロ電源がオンの状態で、バーナ21,31の点火操作や火力調整操作、設定入力スイッチ46の設定操作が所定時間(第1の所定時間S1)なされなかったか否か、即ち、バーナ21,31が使用される可能性が低いか否かを判定する器具使用判定部、コンロ電源がオンの状態で、通信接続された携帯端末5にて動作条件の設定操作或いは設定操作画面の表示が所定時間(第2の所定時間S2)なされなかったか否か、即ち、携帯端末5が使用されている可能性が低いか否かを判定する端末使用判定部等の回路構成を有している。
【0034】
また、コンロ制御回路15は、携帯端末5から送信された端末情報が登録された端末のものであるか否かを判定する端末判定部、特定の携帯端末5と通信可能な状態にする端末接続動作(ペアリング)の実行部、特定の携帯端末5との間で通信が行われているか否かを判定する接続判定部等の回路構成をさらに有している。
【0035】
電源制御部は、器具使用判定部にてバーナ21,31が使用される可能性が低いと判定された場合に、コンロ電源を自動でオフにする自動電源オフ動作の実行機能、および、特定の携帯端末5との間で通信が行われている場合に、上記自動電源オフ動作を行わない電源オフ制限機能を有している。また、表示制御部は、特定の携帯端末5との間で通信が行われている場合に、表示部41,47を消費電力の少ない表示形態に設定する機能を有している。
【0036】
携帯端末5には、操作機能兼表示機能を有する操作表示パネル61と、外部通信ネットワークに無線接続可能な無線通信部62とを備えた情報通信端末、所謂スマートフォンが好適に用いられ、無線通信部62は、さらにガスコンロ1との間でデータを無線送受信する機能を有している。尚、携帯端末5の無線通信部62は、屋外に設置された通信基地局のアンテナを介して外部通信ネットワークに無線接続するように構成されたものであってもよいし、室内等に設置された中継器を介して外部通信ネットワークに無線接続するように構成されたものであってもよいし、その何れかの通信形態に切り替えて外部通信ネットワークに無線接続するように構成されたものであってもよい。また、携帯端末5には、所謂タブレットPCのような無線通信端末や、ネットワーク通信機能を備えたテレビ受像機、リモートコントローラ等を用いることもできる。
【0037】
携帯端末5の端末制御回路55は、内部に組み込まれた各種アプリケーションプログラムの動作を制御するAP制御部、上記アプリケーションプログラムの動作に応じて操作表示パネル61の表示形態を制御する端末表示制御部、無線通信部62の通信動作を制御する通信制御部、無線通信部62で受信した情報やアプリケーションプログラムを記憶する情報記憶部等の回路構成を有している。
【0038】
ところで、ガスコンロ1と携帯端末5との無線通信機能を利用する場合、使用する携帯端末5をガスコンロ1に予め登録しておく必要がある。その手順を詳述すると、まず、携帯端末5側で、ガスコンロ1の動作状態の表示や自動調理のレシピデータ等の動作条件を設定するための遠隔操作用のアプリケーションプログラム(以下、「コンロ操作AP」という)を起動する。これにより、携帯端末5の操作表示パネル61には、湯沸し、煮物、揚物、炊飯など複数の調理モードを選択設定するための擬似操作キーとなる調理モード設定ボタン、加熱目標温度を設定するための擬似操作キーとなる温度設定ボタン、火力を設定するための擬似操作キーとなる火力設定ボタン、加熱時間を設定するための擬似操作キーとなるタイマ設定ボタン、加熱目標温度や火力、加熱時間の設定を加減するための擬似操作キーとなる加減ボタン、ガスコンロ1との間で通信可能な状態にするための擬似操作キーとなる接続ボタン、携帯端末5の設定を変更するための擬似操作キーとなる設定変更ボタン等が配置された設定操作画面が表示され、自動調理の動作条件の選択設定やガスコンロ1との通信設定が可能な状態となる。
【0039】
そして、操作表示パネル61に表示された設定変更ボタンを押し、通信設定モードを選択した後、操作表示パネル61に表示される端末情報送信ボタンを押すことで、登録に必要な端末情報がガスコンロ1に送信される。
【0040】
一方、ガスコンロ1側では、コンロ電源がオンの状態で、設定入力スイッチ46にて端末登録モードの選択操作(例えば、設定変更スイッチを押した後、加減スイッチによって「端末登録モード」を選択する操作)を行う。これにより、無線通信部42による端末情報の検索が開始される。即ち、携帯端末5から端末情報が送信されたか否かの監視を開始する。そして、無線通信部42にて端末情報が正常に受信された場合は、上記端末情報を図示しないメモリの特定のブロックに記憶させると共に、端末情報が正常に登録された旨を示す情報を無線通信部42から携帯端末5へ送信し、登録動作を終了する。
【0041】
このように、使用する携帯端末5の端末情報がガスコンロ1に正常に登録されると、コンロ電源がオンの状態で、携帯端末5にてコンロ操作APを起動する度に、ガスコンロ1との通信に必要な接続情報が携帯端末5から自動送信されて端末接続動作(ペアリング)が行われ、携帯端末5との間で通信可能な状態になる。一方、端末情報の検索が開始されてから一定時間が経過しても、無線通信部42にて端末情報が正常に受信されなかった場合は、タイムエラーとして登録動作を中止する。
【0042】
尚、携帯端末5がガスコンロ1との間で通信可能な状態になった後、調理モードボタンやタイマ設定ボタン等によって選択設定した動作条件をガスコンロ1に送信する場合は、動作条件の設定後に操作表示パネル61に表示される動作条件送信ボタンを押すことで、その設定データがガスコンロ1に送信される。
【0043】
次に、コンロ電源がオンにされたときのガスコンロ1の制御動作を、図3に示すフローチャートに従って説明する。
【0044】
電源スイッチ43にてコンロ電源のオン操作がなされると、図示しない乾電池からコンロ制御回路15へガスコンロ1全体の動作に必要な電力を供給可能な状態にする。即ち、コンロ電源をオンの状態にする(ST1〜ST2)。尚、図示しないが、コンロ電源がオンの状態にされると、表示部41にはガスコンロ1の動作状態や設定情報などを表示させ、表示部47には設定された加熱時間や加熱温度などを表示させる。即ち、表示部41,47を標準の表示形態に設定する。
【0045】
また、コンロ電源がオンの状態になれば、事前に登録されている携帯端末5から接続情報が送信されているか否かの検索を一定時間(例えば、5秒間)行う(ST3)。このとき、携帯端末5側でコンロ操作APが起動されておらず、携帯端末5から接続情報が送信されていない場合(ST3のステップでNo)は、検索を中止して、バーナ21,31の点火操作や火力調整操作、設定入力スイッチ46の設定操作(以下、総称して「コンロ操作」という)が第1の所定時間S1(例えば、120秒間)以上なされなかったか否か、および、電源スイッチ43にてコンロ電源のオフ操作がなされたか否かの監視を開始する(ST4〜ST6)。
【0046】
その結果、コンロ操作が第1の所定時間S1以上なされなかった場合は(ST5のステップでYes)、コンロ電源を自動でオフにし、動作を終了する(ST7)。また、使用者が手動でコンロ電源のオフ操作を行った場合も(ST6のステップでYes)、コンロ電源をオフにして、動作を終了する(ST7)。
【0047】
一方、コンロ電源がオンの状態になったときに、携帯端末5側でコンロ操作APが起動されており、携帯端末5から送信された接続情報を無線通信部42が受信した場合は、その接続情報と図示しないメモリに記憶された登録情報との照合を行う。その結果、上記接続情報が予め登録されている携帯端末5のものと認定されれば、携帯端末5との通信接続を許可し、端末接続動作を終了する(ST3のステップでYes)。
【0048】
尚、登録済みの携帯端末5をガスコンロ1に手動で無線接続する場合は、接続ボタンを押すことで、ガスコンロ1との通信に必要な接続情報が携帯端末5から送信される。そして、ガスコンロ1側で受信した接続情報が予め登録されている携帯端末5のものと認定されれば、携帯端末5との通信接続が許可される。
【0049】
携帯端末5との通信が可能な状態になると、上記ST4からST6のステップで説明した自動電源オフ動作を実行しないで、即ち、自動電源オフ機能を無効にして、第2の所定時間S2(例えば、90秒間)以上、携帯端末5が使用されなかったか否か(ここでは、設定操作画面が表示されているか否か)の監視を開始する(ST8〜ST9)。尚、携帯端末5が使用されなかったか否かの判定は、設定操作画面に配置された何れかのボタンが押されたか否かによって判定するものとしてもよい。
【0050】
携帯端末5が第2の所定時間S2以上使用されていないと判定された場合は(ST9のステップでYes)、ST3のステップに戻り(後述する省電力表示モードに設定された状態であれば省電力表示モードの設定を解除して)、携帯端末5との通信接続が維持されているか否かの確認を行う(ST10,ST3)。そしてこのとき、携帯端末5側でコンロ操作APが終了されている、通信不良により携帯端末5との通信が遮断されている、携帯端末5の電源がオフになっているなど、携帯端末5との通信接続が解除されていれば(ST3のステップでNo)、再び、ST4以降のステップを行う。即ち、自動電源オフ機能が有効な状態になる。
【0051】
一方、第2の所定時間S2内に携帯端末5が使用されていると判定された場合は(ST8のステップでYes)、表示部41,47の表示形態を、消費電力の少ない省電力表示モード(ここでは、全消灯)に設定する(ST11)。尚、省電力表示モードとしては、照度を低減させるようにしてもよいし、表示情報を少なくさせるようにしてもよい。また、表示部41,47にバックライト式の液晶表示パネルが用いられている場合は、バックライトのみ消灯させるようにしてもよいし、何れか一方の表示部41,47のみ消灯、照度低減、表示情報の制限等を行うようにしてもよい。
【0052】
ST11のステップにて、表示部41,47の表示形態が省電力表示モードに設定された後、コンロ操作がなされた場合は、省電力表示モードの設定を解除して表示部41,47を標準の表示形態(ここでは、全点灯)に戻し、ST3のステップに戻る(ST12,ST10,ST3)。そしてこのとき、携帯端末5との通信接続が解除されていれば(ST3のステップでNo)、再び、自動電源オフ機能が有効な状態になる。
【0053】
ST11のステップにて、表示部41,47の表示形態が省電力表示モードに設定された後、コンロ操作がなされるまでの間に、コンロ電源のオフ操作が行われた場合は、コンロ電源をオフにし、動作を終了する(ST13,ST7)。
【0054】
上記ガスコンロ1によれば、コンロ電源がオンにされている状態で、携帯端末5との間で通信が行われておらず、且つ、バーナ21,31が使用される可能性も低いと判定された場合(ここでは、第1の所定時間S1以上、携帯端末5との間で通信が行われず、且つ、コンロ操作もなされなかった場合)は、コンロ電源が自動でオフにされるから、無駄な電力消費を抑制できる。よって、その分、電池寿命を長くすることができる。
【0055】
一方、コンロ電源がオンにされている状態で、携帯端末5との間で通信が行われている場合は、バーナ21,31が使用される可能性が低いか否かにかかわらず、自動電源オフ動作が行われないから、携帯端末5で動作条件の設定操作等をしている途中でコンロ電源が自動でオフにされてしまうことがない。よって、使い勝手も格段に向上する。
【0056】
しかも、上記ガスコンロ1によれば、コンロ電源がオンにされた後、携帯端末5が使用されている間、即ち、携帯端末5との間で通信が行われている間は、表示部41,47を消費電力の少ない表示形態に切り替えるから、上記のように自動電源オフ動作が行われない状態であっても、器具全体の消費電力を抑制することができる。よって、その分、電池寿命を長くすることができる。
【0057】
尚、上記実施の形態では、携帯端末5との間で通信が行われていない場合に、コンロ電源がオンにされた状態で第1の所定時間S1以上、コンロ操作がなされなければ、自動でコンロ電源がオフにされるように構成されたものを説明したが、ガスコンロ1の前面13側の人の存否を検知する人感知センサを備え、携帯端末5との間で通信が行われていない場合に、コンロ1の前面13側に人が第3の所定時間S3(例えば、180秒間)以上存在していなければ、自動でコンロ電源がオフにされるように構成されたものとしてもよい。このものでは、携帯端末5との間で通信が行われていない場合、実際にガスコンロ1の前に使用者が居なければ、コンロ電源が自動でオフにされるから、消費電力を適切に抑制することができる。また、バーナ21,31を使用する目的でガスコンロ1の前に使用者が居るにもかかわらず、コンロ電源が自動でオフにされてしまうといった不都合も生じないから、使い勝手が一層向上する。
【0058】
或いは、ガスコンロ1の上方に設置される換気装置の運転状態を判定する換気状態判定部を備え、携帯端末5との間で通信が行われていない場合に、換気装置が停止されれば、自動でコンロ電源がオフにされるように構成されたものとしてもよい。このものでは、携帯端末5との間で通信が行われていない場合、換気装置が停止されるのに合わせて、自動でコンロ電源がオフにされるから、消費電力を適切に抑制することができる。また、バーナ21,31を消火して調理を一時的に中断しているような場合に、コンロ電源が自動でオフにされてしまうといった不都合も生じないから、使い勝手が一層向上する。
【0059】
また、上記実施の形態では、携帯端末5との間で通信が行われている場合は、バーナ21,31が使用される可能性が低いか否かにかかわらず、バーナ21,31の使用可能性の判定(ST4〜ST5のステップ)を行わないように構成されたものを説明したが、携帯端末5との間で通信が行われている場合は、携帯端末5にて動作条件の設定操作中である場合や、自動調理を行う意思がある場合などが想定されるため、バーナ21,31が使用される可能性が高いとして、自動電源オフ動作を行わないように構成されたものとしてもよい。
【0060】
具体的には、図4のフローチャートに示すように、まず、電源スイッチ43にてコンロ電源のオン操作がなされると、上記実施の形態のST1からST2のステップと同様、コンロ電源をオンの状態にする(ST21〜ST22)。尚、図示しないが、コンロ電源がオンの状態にされると、上記実施の形態と同様、表示部41,47を標準の表示形態に設定する。
【0061】
また、コンロ電源がオンの状態になれば、コンロ操作がなされたか否か、事前に登録されている携帯端末5から接続情報が送信されているか否か、および、既に携帯端末5との通信が可能な状態であり、携帯端末5が使用されているか否か(例えば、設定操作画面が表示されているか否か)の監視を開始する(ST23)。
【0062】
その後、コンロ操作がなされた場合は(ST23のステップでYes、ST24のステップでYes)、表示部41,47を上記標準の表示形態で維持して(省電力表示モードに設定された状態であれば省電力表示モードの設定を解除して)、電源スイッチ43にてコンロ電源のオフ操作がなされたか否かの監視を行う。そして、コンロ電源のオフ操作が行われれば、コンロ電源をオフにし、動作を終了する(ST24〜ST27)。
【0063】
一方、コンロ電源がオンの状態になったときに、事前に登録されている携帯端末5側でコンロ操作APが起動されており、携帯端末5から送信された接続情報を無線通信部42が受信した場合は(ST23のステップでYes)、携帯端末5との通信接続を許可し、端末接続動作を終了する。そして、コンロ操作がなされず、且つ、携帯端末5との通信が可能な状態になり、携帯端末5が使用中の状態(設定操作画面が表示されている状態、設定操作画面に配置された何れかのボタンが所定時間以内に押されている状態など)であれば、表示部41,47の表示形態を、消費電力の少ない省電力表示モード(例えば、全消灯)に設定し、この状態でコンロ電源のオフ操作がなされたか否かの監視を行う。そして、コンロ電源のオフ操作が行われれば、コンロ電源をオフにし、動作を終了する(ST28〜ST29,ST26〜ST27)。
【0064】
即ち、コンロ電源がオンの状態になった後、コンロ操作がなされるか、携帯端末5からの接続情報の送信がなされるか、或いは、携帯端末5が使用された場合は、携帯端末5にて動作条件の設定操作中である場合や、自動調理を行う意思がある場合など、バーナ21,31が使用される可能性が高いとして、手動で電源がオフにされるまでST23からST26のステップを繰り返し、自動電源オフ動作は行わない。
【0065】
図示しないが、コンロ電源のオフ操作がなされたか否かの監視を行っている間に携帯端末5にて設定操作が終了し、一定時間以上設定操作されなかった場合や、設定操作画面の表示がオフにされた場合など、携帯端末5が使用中の状態でなくなった場合は(ST28のステップでNo)、次にコンロ操作がなされる可能性があるとして、省電力表示モードの設定を解除し、表示部41,47を標準の表示形態に戻した上で、コンロ電源のオフ操作がなされたか否かの監視を行う(ST26)。
【0066】
コンロ電源がオンの状態になってから第4の所定時間S4(例えば、120秒間)が経過するまでの間に、コンロ操作がなされず、携帯端末5からの接続情報の送信もなされず、且つ、携帯端末5の使用もなされなかった場合は(ST23のステップでNo、ST30のステップでYes)、コンロ電源を自動でオフにし、動作を終了する(ST27)。また、使用者が手動でコンロ電源のオフ操作を行った場合も(ST6のステップでYes)、コンロ電源をオフにして、動作を終了する(ST27)。
【0067】
このものでは、上記実施の形態と同様、コンロ電源がオンにされている状態で、携帯端末5との間で通信が行われておらず、且つ、バーナ21,31が使用される可能性も低いと判定された場合(ここでは、第4の所定時間S4以上、携帯端末5との間で通信が行われず、且つ、コンロ操作もなされなかった場合)は、コンロ電源が自動でオフにされるから、無駄な電力消費を抑制できる。よって、その分、電池寿命を長くすることができる。
【0068】
一方、コンロ電源がオンの状態になった後、コンロ操作がなされるか、携帯端末5からの接続情報の送信がなされるか、或いは、携帯端末5が使用された場合は、携帯端末5にて動作条件の設定操作中である場合や、自動調理を行う意思がある場合など、バーナ21,31が使用される可能性が高いとして、ST24からST26のステップを実行し、自動電源オフ動作が行われないから、携帯端末5で動作条件の設定操作等をしている途中でコンロ電源が自動でオフにされてしまうことがない。よって、使い勝手も格段に向上する。
【0069】
しかも、このものでは、上記実施の形態と同様、コンロ電源がオンにされた後、携帯端末5との間で通信が行われている間、表示部41,47を消費電力の少ない表示形態に切り替えられるから、上記のように自動電源オフ動作が行われない状態であっても、器具全体の消費電力を抑制することができる。よって、その分、電池寿命を長くすることができる。
【0070】
上記実施の形態では、被加熱物を加熱する加熱手段として、ガスの燃焼排ガスを熱源とするバーナが用いられたものを説明したが、上記バーナに代えて、電熱部からの輻射熱や伝導熱により被加熱物を加熱する電熱ヒータが用いられたものであってもよいし、電磁誘導により被加熱物を加熱する電磁誘導ヒータが用いられたものであってもよいし、バーナや電熱ヒータ、電磁誘導ヒータが組み合わせて用いられたものであってもよい。
【0071】
上記したように、本発明は、乾電池や蓄電池などの電池を電源とする加熱調理器に特に有用であるが、外部電力を電源とする加熱調理器にも適用できる。また、本発明は、本体上部にのみ加熱手段が設けられたガスコンロにも適用できるし、本体内部にのみ加熱手段が設けられたグリル装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0072】
1 ガスコンロ(加熱調理器)
15 コンロ制御回路
21,31 バーナ(加熱手段)
42 無線通信部(通信手段)
5 携帯端末(情報通信端末)
図1
図2
図3
図4