特許第6822818号(P6822818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6822818医用画像診断装置、磁気共鳴イメージング装置、および頭部コイル装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6822818
(24)【登録日】2021年1月12日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】医用画像診断装置、磁気共鳴イメージング装置、および頭部コイル装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20210114BHJP
   A61B 6/03 20060101ALN20210114BHJP
【FI】
   A61B5/055 390
   A61B5/055 366
   A61B5/055 350
   A61B5/055 355
   !A61B6/03 323Z
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-207997(P2016-207997)
(22)【出願日】2016年10月24日
(65)【公開番号】特開2018-68365(P2018-68365A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】石井 学
【審査官】 姫島 あや乃
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0065852(US,A1)
【文献】 特開平11−290293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体が挿入されるボアを有する架台と、
前記ボアの中心軸に沿って移動可能な天板と、
前記天板とともに移動可能であって、反射板を回転可能に支持する支持アームを前記中心軸に沿って移動可能に支持するベース部材と
記天板に設けられ前記ボアの中心軸方向についての前記天板に載置された前記被検体の目の位置を測る第1目盛と、を具備し、
前記ベース部材に設けられ、前記支持アームの位置に関して前記第1目盛に対応付けられた第2目盛と、前記支持アームの前記反射板側の端部に設けられ、前記反射板の回転に関して前記第1目盛に対応付けられた第3目盛とのうち少なくとも一つの目盛をさらに有する医用画像診断装置。
【請求項2】
前記第1目盛および前記第2目盛各々は、基準を示す基準線を有し、
前記目の位置に対応する前記第1目盛の目盛線と前記第1目盛の前記基準線との間の目幅数だけ、前記第1目盛の前記基準線から前記目盛線に向かう方向に、前記第2目盛および前記第2目盛の前記基準線を用いて前記支持アームを移動させることにより、前記反射板は前記目の位置の直上に移動される、
請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記第1目盛および前記第3目盛各々は、基準を示す基準線を有し、
前記第1目盛の前記基準線から前記目の位置に対応する前記第1目盛の目盛線に向かう方向に対応する回転方向について、前記目盛線と前記第1目盛の前記基準線との間の目幅数だけ、前記第3目盛および前記第3目盛の前記基準線を用いて前記反射板を回転させることにより、前記目の位置の直上における前記反射板を介した視線の到達先は所定の位置に維持される、
請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記第1目盛、前記第2目盛、および前記第3目盛各々は、基準を示す基準線を有し、
前記目の位置に対応する前記第1目盛の目盛線と前記第1目盛の前記基準線との間の目幅数だけ、前記第1目盛の前記基準線から前記目盛線に向かう方向に、前記第2目盛および前記第2目盛の前記基準線を用いて前記支持アームを移動させることにより、前記反射板は前記目の位置の直上に移動され、
前記方向に対応する回転方向に前記目幅数だけ、前記第3目盛および前記第3目盛の前記基準線を用いて前記反射板を回転させることにより、前記目の位置の直上における前記反射板を介した視線の到達先は所定の位置に維持される、
請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記支持アームは、
前記ベース部材上における前記支持アームの移動量に応じた回転量で、前記反射板を回転させる回転機構をさらに具備する、
請求項1から4までのうちいずれか1項に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
被検体が挿入されるボアを有する架台と、
前記ボアの中心軸に沿って移動可能であって、天板に搭載された頭部コイル装置と、
前記頭部コイル装置とともに移動可能であって、反射板を支持する支持アームを前記中心軸に沿って移動可能に支持するベース部材と
記頭部コイル装置に設けられ前記ボアの中心軸方向についての前記被検体の目の位置を測る第1目盛と、を具備し
前記ベース部材に設けられ、前記支持アームの位置に関して前記第1目盛に対応付けられた第2目盛と、前記支持アームの前記反射板側の端部に設けられ、前記反射板の回転に関して前記第1目盛に対応付けられた第3目盛とのうち少なくとも一つの目盛をさらに有する磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記第1目盛および前記第2目盛各々は、基準を示す基準線を有し、
前記目の位置に対応する前記第1目盛の目盛線と前記第1目盛の前記基準線との間の目幅数だけ、前記第1目盛の前記基準線から前記目盛線に向かう方向に、前記第2目盛および前記第2目盛の前記基準線を用いて前記支持アームを移動させることにより、前記反射板は前記目の位置の直上に移動される、
請求項6に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記第1目盛および前記第3目盛各々は、基準を示す基準線を有し、
前記第1目盛の前記基準線から前記目の位置に対応する前記第1目盛の目盛線に向かう方向に対応する回転方向に、前記目盛線と前記第1目盛の前記基準線との間の目幅数だけ、前記第3目盛および前記第3目盛の前記基準線を用いて前記反射板を回転させることにより、前記目の位置の直上における前記反射板を介した視線の到達先は所定の位置に維持される、
請求項6に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記第1目盛、前記第2目盛、および前記第3目盛各々は、基準を示す基準線を有し、
前記目の位置に対応する前記第1目盛の目盛線と前記第1目盛の前記基準線との間の目幅数だけ、前記第1目盛の前記基準線から前記目盛線に向かう方向に、前記第2目盛および前記第2目盛の前記基準線を用いて前記支持アームを移動させることにより、前記反射板は前記目の位置の直上に移動され、
前記方向に対応する回転方向に前記目幅数だけ、前記第3目盛および前記第3目盛の前記基準線を用いて前記反射板を回転させることにより、前記目の位置の直上における前記反射板を介した視線の到達先は所定の位置に維持される、
請求項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
前記支持アームは、前記ベース部材上における前記支持アームの移動量に応じた回転量で、前記反射板を回転させる回転機構をさらに具備する、
請求項6から9までのうちいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
被検体の頭部を囲う枠体と、
前記枠体に設けられたMR撮像用のRFコイルと、
前記枠体に設けられ、前記被検体が挿入されるボアの中心軸方向についての前記被検体の目の位置を測る目盛と、
前記枠体に設けられ、反射板を回転可能に支持する支持アームと、を具備し、
前記支持アームは、前記反射板の回転に関して前記目の位置を測る目盛に対応付けられた目盛を有する頭部コイル装置。
【請求項12】
前記目の位置を測る目盛および前記反射板の回転に関して前記目の位置を測る目盛に対応付けられた目盛各々は、基準を示す基準線を有し、
前記目の位置に対応する前記目の位置を測る目盛の目盛線と前記目の位置を測る目盛の前記基準線との間の目幅数だけ、前記目の位置を測る目盛の前記基準線から前記目盛線に向かう方向に対応する回転方向に、前記反射板の回転に関して前記目の位置を測る目盛に対応付けられた目盛と前記反射板の回転に関して前記目の位置を測る目盛に対応付けられた目盛の前記基準線とを用いて前記反射板を回転させることにより、前記目の位置の直上における前記反射板を介した視線の到達先は所定の位置に維持される、
請求項11に記載の頭部コイル装置。
【請求項13】
前記支持アームは、前記頭部コイル装置が設置される天板の長軸方向に沿って移動可能であって、
前記枠体は、前記支持アームの位置に関して前記目の位置を測る目盛に対応付けられた目盛をさらに有する、
請求項11または12に記載の頭部コイル装置。
【請求項14】
前記目の位置を測る目盛および前記支持アームの位置に関して前記目の位置を測る目盛に対応付けられた目盛各々は、基準を示す基準線を有し、
前記目の位置に対応する前記目の位置を測る目盛の目盛線と前記目の位置を測る目盛の前記基準線との間の目幅数だけ、前記目の位置を測る目盛の前記基準線から前記目盛線に向かう方向に、前記支持アームの位置に関して前記目の位置を測る目盛に対応付けられた目盛と前記支持アームの位置に関して前記目の位置を測る目盛に対応付けられた目盛の前記基準線とを用いて前記支持アームを移動させることにより、前記反射板は前記目の位置の直上に移動される、
請求項13に記載の頭部コイル装置。
【請求項15】
前記支持アームは、
前記枠体上における前記支持アームの移動量に応じた回転量で、前記反射板を回転させる回転機構をさらに具備する、
請求項13または14に記載の頭部コイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像診断装置、磁気共鳴イメージング装置、および頭部コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断装置は、例えば、ボアが設けられた架台に被検体を挿入して撮像する。医用画像診断装置の一例として、磁気共鳴イメージング装置は、磁石等の撮像機構を装備する架台を有し、ボア内に被検体が挿入された状態でMR(Magnetic Resonance)撮像を行う。ボア内に移動された被検体は、圧迫感や閉塞感を感じることがある。このため、圧迫感や閉塞感を低減させるために、反射板を介して映像をボア内に移動された被検体に、反射板を介して映像を視認させることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−32644号公報
【特許文献2】特開平2−234745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の目的は、天板に載置された被検体の目の位置に応じて、反射板の位置を容易に調整可能な医用画像診断装置、磁気共鳴イメージング装置、および頭部コイル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る医用画像診断装置は、架台と、天板と、ベース部材とを有する。前記架台は、被検体が挿入されるボアを有する。前記天板は、前記ボアの中心軸に沿って移動可能である。前記ベース部材は、前記天板とともに移動可能であって、反射板を回転可能に支持する支持アームを前記中心軸に沿って移動可能に支持する。前記天板は、前記天板に載置された前記被検体の目の位置を測る第1目盛を有する。前記医用画像診断装置は、前記ベース部材に設けられ前記支持アームの位置に関して前記第1目盛に対応付けられた第2目盛と前記支持アームの前記反射板側の端部に設けられ前記反射板の回転に関して前記第1目盛に対応付けられた第3目盛とのうち少なくとも一つの目盛を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態に係る医用画像診断装置を含む医用画像診断システムの構成を示す図である。
図2図2は、本実施形態において、磁気共鳴イメージング装置の構成を示す図である。
図3図3は、本実施形態において、係る磁気共鳴イメージングシステムの設置環境の一例を示す図である。
図4図4は、本実施形態において、スクリーン装置の斜視図である。
図5図5は、図4のスクリーン装置の側面図である。
図6図6は、本実施形態において、スクリーン装置と天板との斜視図である。
図7図7は、本実施形態において、天板に載置された被検体と、スクリーン装置との側面図である。
図8図8は、本実施形態において、位置調整機能に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9図9は、本実施形態において、支持アームの移動前後における天板とスクリーン装置との側面を示す図である。
図10図10は、本実施形態に係る第1の変形例において、支持アームの移動前後における頭部コイル装置とスクリーン装置との側面を示す図である。
図11図11は、本実施形態に係る第2の変形例において、反射板の回転前後における天板と頭部コイル装置との側面を示す図である。
図12図12は、第2の変形例において、位置調整機能による支持アームの移動により、被検体の視線の到達先が変化する一例を示す図である。
図13図13は、第2の変形例において、傾き調整機能に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14図14は、本実施形態に係る第3の変形例において、支持アームの移動前後および反射板の回転前後における天板とスクリーン装置との側面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる医用画像診断システムを説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合に行う。
【0008】
図1は、本実施形態に係わる医用画像診断システム1の構成を示す図である。この医用画像診断システム1は、互いに有線又は無線で通信可能に接続された医用画像診断装置10と投影機100と投影機制御装置200とを含む。医用画像診断装置10は、架台11、寝台13、スクリーン装置15及び撮像制御ユニット17を有する。例えば、架台11、寝台13及びスクリーン装置15は、検査室に設置され、撮像制御ユニット17は、検査室に隣接する制御室に設置される。
【0009】
架台11は、撮像機構を有する。架台11には、被検体が挿入される中空形状を有するボアが形成される。すなわち、架台11は、被検体が挿入されるボアを有する。ここで、架台11の外装において、開口部を有する面のうち、寝台13が設置される側をフロント面と呼ぶことにする。一方、架台11の外装において、開口部を有する面のうち、フロント面とは反対側の面をリア面と呼ぶことにする。
【0010】
寝台13は、被検体が載置される天板を移動自在に支持する。寝台13は、コンソール等による制御に従い、ボア内に天板を移動させる。ボア内には、ボアの中心軸に沿って移動可能なスクリーン装置15が設けられる。
【0011】
架台11のリア面側には投影機100が設置されている。投影機100は、スクリーン装置15を挟んで寝台13とは反対側、すなわちリア面側に設置される。
【0012】
投影機制御装置200は、投影機100を制御するコンピュータ装置である。投影機制御装置200は、投影対象の映像に関するデータを投影機100に供給する。投影機100は、投影機制御装置200からのデータに対応する映像を、スクリーン装置15のスクリーンに投影する。なお、スクリーンは、架台11のリア面における開口部に対向する検査室の壁面に設けられてもよい。また、スクリーン、投影機100および投影機制御装置200の代わりに、架台11のリア面における開口部に対向する検査室の壁面に、ディスプレイが設けられてもよい。このディスプレイに表示させる制御は、例えば、制御室内に設置されたコンソール等により制御される。
【0013】
撮像制御ユニット17は、医用画像診断装置10の中枢として機能する。例えば、撮像制御ユニット17は、撮像を行うために架台11を制御する。また、撮像制御ユニット17は、撮像において架台11により収集されたデータに基づいて被検体Pに関する医用画像を再構成する。なお、撮像制御ユニット17は、投影機制御装置200を介して投影機100を制御してもよい。
【0014】
医用画像診断システム1は、投影機100とスクリーン装置15とを利用して、医用画像診断装置10による撮像時におけるボア内の居住性を高めることを可能にする。医用画像診断装置10としては、ボアが形成された架台11を用いて被検体を撮像可能な任意のモダリティに適用可能となっている。具体的には、本実施形態に係る医用画像診断装置10は、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴イメージング)装置、X線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置及びSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置等の単一モダリティに適用可能である。或いは、本実施形態に係る医用画像診断装置10としては、MR/PET装置、CT/PET装置、MR/SPECT装置、CT/SPECT装置等の多様な複合モダリティに適用されてもよい。しかしながら、以下の説明を具体的に行うため、本実施形態に係る医用画像診断装置10は、磁気共鳴イメージング装置10であるとする。また、磁気共鳴イメージング装置10と投影機100と投影機制御装置200とを含む医用画像診断システム1を磁気共鳴イメージングシステム1と呼ぶことにする。
【0015】
図2は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置10の構成を示す図である。この磁気共鳴イメージング装置10は、架台11、寝台13、スクリーン装置15及び撮像制御ユニット17を有する。撮像制御ユニット17は、傾斜磁場電源21、送信回路23、受信回路25及びコンソール27を有する。コンソール27は、撮像制御回路31、再構成回路32、画像処理回路33、通信回路34、表示回路35、入力回路36、主記憶回路37及びシステム制御回路38を有する。各回路32〜38は、互いにバスを介して通信可能に接続されている。傾斜磁場電源21、送信回路23及び受信回路25は、コンソール27と架台11とは別個に設けられている。
【0016】
架台11は、静磁場磁石41、傾斜磁場コイル43及びRFコイル45を有する。また、静磁場磁石41と傾斜磁場コイル43とは架台11の筐体(以下、架台筐体と呼ぶ)51に収容されている。架台筐体51には中空形状を有するボア53が形成されている。架台筐体51のボア53内にRFコイル45が配置される。また、架台筐体51のボア53内にスクリーン装置15が配置される。
【0017】
静磁場磁石41、傾斜磁場コイル43及びRFコイル45等は、撮像機構に相当する。なお、本医用画像診断装置10がCT装置、PET装置、SPECT装置、CT/PET装置、MR/PET装置、MR/SPECT装置、CT/SPECT装置等の各種モダリティである場合、これらモダリティにおける架台の装備は、各種撮像機構に相当する。
【0018】
静磁場磁石41は、中空の略円筒形状を有し、略円筒内部に静磁場を発生する。静磁場磁石41は、例えば超伝導磁石である。ここで、静磁場磁石41の中心軸をZ軸に規定し、Z軸に対して鉛直に直交する軸をY軸と呼び、Z軸に水平に直交する軸をX軸と呼ぶことにする。X軸、Y軸、及びZ軸は、直交3次元座標系を構成する。
【0019】
傾斜磁場コイル43は、静磁場磁石41の内側に設けられ、中空の略円筒形状に形成されたコイルユニットである。傾斜磁場コイル43は、傾斜磁場電源21からの電流の供給を受けて傾斜磁場を発生する。
【0020】
傾斜磁場電源21は、撮像制御回路31による制御に従い傾斜磁場コイル43に電流を供給し、傾斜磁場コイル43に傾斜磁場を発生させる。
【0021】
RFコイル45は、傾斜磁場コイル43の内側に配置され、送信回路23からRFパルスの供給を受けて高周波磁場を発生する。また、RFコイル45は、高周波磁場の作用を受けて被検体P内に存在する対象原子核から発せられる磁気共鳴信号(以下、MR信号と呼ぶ)を受信する。受信されたMR信号は、有線又は無線を介して受信回路25に供給される。
【0022】
送信回路23は、被検体P内に存在する対象原子核を励起するための高周波磁場を、RFコイル45を介して被検体Pに送信する。具体的には、送信回路23は、撮像制御回路31による制御に従って、例えばプロトンなどの対象原子核を励起するための高周波信号(RF信号)をRFコイル45に供給する。RFコイル45から発生された高周波磁場は、対象原子核に固有の共鳴周波数で振動し、対象原子核を励起させる。励起された対象原子核からMR信号が発生され、RFコイル45により検出される。検出されたMR信号は、受信回路25に供給される。
【0023】
受信回路25は、励起された対象原子核から発生されるMR信号を、RFコイル45を介して受信する。受信回路25は、受信されたMR信号を信号処理してデジタルのMR信号を発生する。デジタルのMR信号は、有線又は無線を介して再構成回路32に供給される。
【0024】
一方、架台11に隣接して寝台13が設置される。寝台13は、天板131と基台133とを有する。天板131には被検体Pが載置される。基台133は、天板131を例えば、X軸、Y軸、ボア53の中心軸Z軸各々に沿ってスライド可能に支持する。基台133には寝台駆動装置135が収容される。寝台駆動装置135は、撮像制御回路31からの制御を受けて天板131を移動させる。
【0025】
撮像制御回路31は、ハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。撮像制御回路31は、システム制御回路38から供給されるパルスシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源21、送信回路23及び受信回路25を同期的に制御し、当該パルスシーケンス情報に応じたパルスシーケンスで被検体Pを撮像する。
【0026】
再構成回路32は、ハードウェア資源として、CPUやGPU(Graphical processing unit)、MPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。再構成回路32は、受信回路25からのMR信号に基づいて被検体Pに関するMR画像を再構成する。なお、再構成回路32は、再構成機能を実現する特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)やフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Logic Array:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されてもよい。
【0027】
画像処理回路33は、ハードウェア資源として、CPU、GPU、MPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。画像処理回路33は、再構成回路32により再構成されたMR画像に種々の画像処理を施す。
【0028】
通信回路34は、図示しない有線又は無線を介して投影機制御装置200又は投影機100との間でデータ通信を行う。
【0029】
表示回路35は、種々の情報を表示する。例えば、表示回路35は、再構成回路32により再構成されたMR画像や画像処理回路33により画像処理が施されたMR画像を表示する。また、表示回路35は、投影機100により投影される映像を表示してもよい。
【0030】
入力回路36は、具体的には、入力機器と入力インタフェース回路とを有する。入力機器は、ユーザからの各種指令を受け付ける。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。入力インタフェース回路は、入力機器からの出力信号を、バスを介してシステム制御回路38に供給する。なお、入力回路36は、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限らない。例えば、磁気共鳴イメージング装置10とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、受け取った電気信号を種々の回路へ出力するような電気信号の処理回路も入力回路36の例に含まれる。
【0031】
主記憶回路37は、種々の情報を記憶するHDD(hard disk drive)やSSD(solid state drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、主記憶回路37は、CD−ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。主記憶回路37は、MR画像や磁気共鳴イメージング装置10の制御プログラム等を記憶する。
【0032】
システム制御回路38は、ハードウェア資源として、CPU、MPU等のプロセッサとROM、RAM等のメモリとを有する。システム制御回路38は、磁気共鳴イメージング装置10の中枢として機能する。システム制御回路38は、主記憶回路37に記憶されている制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従って磁気共鳴イメージング装置10の各部を制御する。
【0033】
図3は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステムの設置環境の一例を示す図である。MR撮像が行われる検査室300には架台11と寝台13とが設置されている。架台11のフロント面側に寝台13が設けられている。架台11のボア53にはスクリーン装置15が設けられている。検査室300に隣接する制御室400には、コンソール27と投影機100と投影機制御装置200とが設置されている。投影機100は、検査室300と制御室400との間の壁500を隔てて架台11のリア面側に設置される。壁500のうちの、投影機100から架台11に向かう投影光LPが伝播する部分には当該投影光LPが透過可能な窓510が設けられている。窓510を介して、制御室400に設置された投影機100から検査室300のスクリーン装置15に投影光LPを伝播させることができる。なお、上記のレイアウトは一例であり、例えば投影機100を磁場による影響を受けない材料で構成できるのであれば、投影機100は検査室300内に設けられてもよい。
【0034】
以上、本実施形態における磁気共鳴イメージングシステム1について説明した。このような構成のもと、ボア53内に移動された被検体Pによる圧迫感及び閉塞感を緩和するために、被検体Pをリラックスさせるための映像が、投影機100によりボア53内やスクリーン装置に設けられたスクリーン63に投影される。以下、本スクリーン装置15および天板131について、天板131に載置された被検体Pの目の位置に応じて、スクリーン装置15に支持アームを介して設けられた反射板を容易に調整可能な構成について説明する。
【0035】
まず、図4図5を参照しながらスクリーン装置15の構造について説明する。図4は、スクリーン装置15の斜視図である。図5は、スクリーン装置15の側面図である。スクリーン装置15は、ベース部材61、スクリーン63、支持アーム65、反射板67を有する。
【0036】
ベース部材61は、天板131とともにZ軸に沿って移動可能な構造体である。ベース部材61は、スクリーン63と支持アーム65とを支持する。ベース部材61は、樹脂等の磁場に作用しない非磁性材料により形成される。ベース部材61の上面において、スクリーン63より外側には、中心軸Zに沿った支持アーム65の移動をガイドするレール71が設けられる。ベース部材61は、例えば、天板131とスクリーン装置15とを中心軸Zに沿って案内する不図示のガイドに沿って動くようにしてもよい。図4及び図5に示すように、天板131に被検体Pが載置されていないときなどにおいて、支持アーム65は、レール71上において、リア面側の位置に配置される。ベース部材61の少なくとも一つの側面には、ベース部材61上における支持アーム65の位置を示す目盛73が設けられる。図4および図5に示すように、支持アーム65の位置を示す目盛73が設けられるベース部材の側面は、X軸に略垂直な面である。目盛73については、後程詳述する。
【0037】
スクリーン63は、ベース部材61に設けられている。スクリーン63には、投影機100から出力される映像が、リア面側から投影される。天板131に載置された被検体Pは、スクリーン63に映し出された映像を、支持アーム65に支持された反射板67を介して見ることができる。
【0038】
支持アーム65は、ベース部材61に取り付けられる。支持アーム65は、反射板67をスクリーン63と寝台13との間の空間に配置するように支持する。支持アーム65の基部には、例えば、レール71に嵌合された不図示の直動軸受が設けられる。また、支持アーム65の基部には、目盛73上の支持アーム65の位置を示すアーム位置指針75が設けられる。支持アーム65は、直動軸受およびレール71を介して、中心軸Zに沿って移動可能にベース部材61に支持される。なお、支持アーム65は、直動軸受及びレール71の代わりにランクアンドピニオン等の各種直動ガイドに関する機構を介して、中心軸Zに沿って移動可能に、ベース部材61に支持されてもよい。
【0039】
反射板67は、ベース部材61と天板131とが隣接している状態において、天板131に載置された被検体Pの頭部にぶつからない程度に、ベース部材61の上面から離れて支持アーム65により支持される。反射板67は、スクリーン63に投影された映像を反射する。反射板67は、非磁性材料により形成され、対象を光学的に反射可能であれば如何なる素材により形成されてもよい。反射板67は、図5に示すように、X軸に平行な軸を回転軸RR1として回転可能に、支持アーム65に支持される。
【0040】
図6は、スクリーン装置15と天板131との斜視図である。図6に示すように、スクリーン装置15のベース部材61と天板131とが連結されている。天板131の前方部には頭部コイル装置の下部コイル137が取り付けられている。下部コイル137は、天板131に仰向けに載置された被検体Pの視界を遮ることのなく被検体Pの後頭部を覆うことできる湾曲形状を有している。図6における支持アーム65は、天板131に向けてZ軸に沿って引き出されている。支持アーム65の引き出し時において、支持アーム65は、例えば、目盛73の基準線にアーム位置指針75が一致する位置に、リア面側から寝台13へ移動される。図6に示すように天板131において、目盛73が設けられた側面に略平行な側面には、天板131に載置された被検体Pの目の位置を測るための目盛77が設けられる。
【0041】
目盛73は、支持アーム65の位置に関して被検体Pの目の位置を測る目盛77と対応付けられている。具体的には、目盛73および目盛77各々の基準線、目幅、目量、および目盛スパンは、それぞれ対応付けられている。すなわち、目盛73と目盛77とは、例えば,反射板67の略短軸の中点を通りかつ反射板67の略長軸に平行な部分領域を被検体Pの目の位置の直上に配置させることを実現するために対応付けられた目盛である。目盛73の基準線と目盛77の基準線とは、天板131に載置された被検体Pの目の位置に応じた反射板67の位置の基準となる目盛線である。目幅とは、隣接する目盛線の間隔である。目量とは、目幅に対応する測定量の大きさであり、一目の読みと称されることもある。目盛スパンとは、最大目盛値と最小目盛値との差の絶対値である。
【0042】
図7は、天板131に載置された被検体Pと、スクリーン装置15との側面図である。図7に示すように、被検体Pには頭部コイル装置における上部コイル139が装着されているものとして説明する。図7における点線LS1は、被検体Pの目の位置の直上における反射板67を介した被検体Pの視線を示している。図7における80は、視線LS1の到達先の映像を示している。視線LS1の到達先の映像は、例えば、スクリーン63に投影された映像の一部分、または検査室300のリア面側の壁面に設けられたディスプレイに表示された映像の一部分などである。
【0043】
(位置調整機能)
以下、本実施形態に係る位置調整機能について、フローチャートを用いて説明する。位置調整機能とは、天板131に載置された被検体Pの目の位置に応じて、反射板67の位置を調整させる機能である。図8は、位置調整機能に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0044】
検査室300への被検体Pの入室に先立って、天板131は、架台11のフロント面側のボア53外に位置する。天板131に被検体Pが載置されると、支持アーム65は、ユーザの操作により、寝台13側に引き出される。例えば、支持アーム65は、アーム位置指針75が目盛73の基準線に一致する位置に移動される。
【0045】
(ステップSa1)
ユーザは、天板131に載置された被検体Pの目の位置が目盛77の基準線に一致しているか否かを確認する。天板131に載置された被検体Pの目の位置が目盛77の基準線に一致している場合(ステップSa1のYes)、位置調整機能は終了する。図7は、天板131に載置された被検体Pの目の位置が目盛77の基準線に一致している状態を示している。このとき、反射板67の位置の調整、すなわち支持アーム65の移動は不要となる。天板131に載置された被検体Pの目の位置が目盛77の基準線に一致していない場合、ステップSa2へ進む。
【0046】
(ステップSa2)
ユーザは、目盛77において、基準線から被検体Pの目の位置に対応する目盛線までの目幅数と、基準線からこの目盛線までの方向とを特定する。これらの特定は、ユーザにより被検体Pの目の位置を、目盛77で測ることで実現される。以下、説明を簡単にするために、天板131に載置された被検体Pの目の位置を示す目盛線は、目盛77において、基準線から寝台13側に向かって、5つの目幅数であるものとする。このとき、ユーザにより特定された目幅数は5である。加えて、ユーザにより特定された方向は、基準線から寝台13側へ向かう方向である。目盛77における目幅数と方向との特定後、ステップSa3へ進む。
【0047】
(ステップSa3)
目盛73の基準線から、特定された方向に沿って、特定された目幅数だけ、ユーザ操作により支持アーム65がレール71上で移動される。図9は、支持アーム65の移動前後において、天板131とスクリーン装置15との側面を示す図である。図9における点線の反射板および支持アームは、支持アームの移動前の状態を示している。図9における実線の反射板67および支持アーム65は、支持アーム65の移動後の状態を示している。図9における点線LS2は、支持アーム65の移動後において、被検体Pの目の位置の直上における反射板67を介した被検体Pの視線を示している。本ステップにおいて、ユーザは、図9の矢印81に示すように、アーム位置指針75を、目盛73の基準線から寝台側13へ、5つの目幅数だけ移動させる。支持アーム65に対するユーザ操作により、移動後の反射板67の部分領域は、被検体Pの目の位置の略直上に配置される。
【0048】
以上に述べた構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態に係る医用画像診断装置10によれば、目盛77を天板131に設けることができ、支持アーム65の位置に関して目盛77に対応付けられた目盛73をベース部材61に設けることができる。これにより、ユーザは、被検体Pの目の位置に対応する目盛77の目盛線と目盛77の基準線との間の目幅数だけ、目盛77の基準線から目の位置に対応する目盛線に向かう方向に、目盛73およびアーム位置指針75を用いて、支持アーム65を簡便に移動させることができる。すなわち、本実施形態に係る医用画像診断装置10によれば、被検体Pの体型により天板131に対する被検体Pの目の位置が変わったとしても、反射板67の部分領域の位置を被検体Pの目の位置の直上に容易に移動させることができる。これにより、被検体Pの目の位置に対する反射板67の位置調整において、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0049】
これらのことから、本実施形態によれば、反射板67を介した映像の視野範囲を最適な状態として被検体Pに提供できるため、被検体Pはより明瞭に映像を視認することができる。以上のことから、本実施形態によれば、被検体Pに対して映像への没入感を向上させることができ、ボア53内での圧迫感や閉塞感を低減させることができる。
【0050】
(第1の変形例)
本実施形態との相違は、目盛77が天板131に搭載された頭部コイル装置に設けられることにある。図10は、支持アーム65の移動前後において、頭部コイル装置140とスクリーン装置15との側面を示す図である。図9との相違は、目盛77が頭部コイル装置140に設けられていることにある。
【0051】
頭部コイル装置140は、枠体と、下部コイル137と、上部コイル139と、第1目盛77とを有する。枠体は、被検体Pの頭部を囲う。下部コイル137と上部コイル139とは、枠体に設けられ、MR撮像用のRFコイルである。目盛77は、枠体に設けられ、被検体の目の位置を測るために利用される。本変形例における位置調整機能については、本実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0052】
以上に述べた構成によれば、本実施形態に係る効果に加えて以下の効果を得ることができる。
本変形例に係る医用画像診断装置10によれば、目盛77を頭部コイル装置140に設けることができる。これにより、頭部コイル装置140が装着された被検体の目の位置と目盛77との距離が近くなるため、被検体Pの目の位置を測る精度を向上させることができる。これらのことから、本変形例に係る医用画像診断装置10によれば、反射板67の部分領域の位置を被検体Pの目の位置の直上に精度よくかつ容易に移動させることできる。以上のことから、本変形例によれば、被検体Pに対して映像への没入感をさらに向上させることができ、ボア53内での圧迫感や閉塞感をさらに低減させることができる。
【0053】
(第2の変形例)
本実施形態および第1の変形例との相違は、支持アーム65の反射板67側の端部に、反射板67の回転に関する目盛が設けられていることにある。図11は、反射板67の回転前後において、天板131と頭部コイル装置140との側面を示す図である。
【0054】
本変形例における頭部コイル装置140は、支持アーム65を有する。本変形例における支持アーム65は、頭部コイル装置140における枠体に設けられ、反射板67を回転可能に支持する。支持アーム65は、反射板67の回転に関して目盛77に対応付けられた目盛85を有する。反射板67は、回転指針87を有する。
【0055】
なお、頭部コイル装置140の枠体には、図4および図6に示すレール71が設けられてもよい。このとき、枠体には、目盛が設けられる。加えて、支持アーム65の基部には、アーム位置指針が設けられる。このような構成を頭部コイル装置140が有する場合、頭部コイル装置140は、本実施形態における位置調整機能を有する。このとき、支持アーム65は、天板131の長軸方向に沿って移動可能となる。
【0056】
目盛85は、反射板67の回転に関して被検体の目の位置を測る目盛77と対応付けられている。具体的には、目盛85および目盛77各々の基準線、目幅、目量、および目盛スパンは、それぞれ対応付けられている。目盛85と目盛77とは、天板131に載置された被検体Pの目の位置の直上における反射板67を介した視線を所定の位置80に到達させることを実現するために対応付けられた目盛である。なお、目盛85は、ベース部材61に設けられた支持アーム65の反射板67側の端部に設けられてもよい。ここで、所定の位置とは、例えば、スクリーン63の中央部分、または検査室300のリア面側の壁面に設けられたディスプレイの中央部分などであり、被検体Pに視認させる対象物に相当する。
【0057】
回転指針87は、目盛85上の反射板67の向きを示す指針である。回転指針87は、反射板67の回転軸RR1近傍に設けられる。
【0058】
図12は、位置調整機能による支持アーム65の移動により、被検体Pの視線の到達先が変化する一例を示す図である。被検体Pの目が目盛77の基準線に位置し、アーム位置指針75が目盛73の基準線に位置している場合、被検体Pの目の位置の直上における反射板67を介した被検体Pの視線LS1は、図12に示すように、スクリーン63上の所定の位置80に到達する。このとき、反射板67の回転は不要となる。
【0059】
一方、目盛77の基準線から寝台13側に5つの目幅数だけ離れた場所に被検体Pの目が位置し、目盛73の基準線から寝台13側に5つの目幅数だけ離れた場所にアーム位置指針75が位置している場合、被検体Pの目の位置の直上における反射板67を介した被検体Pの視線LS4は、図12に示すように、スクリーン63上の所定の位置80の下方に到達する。LS4で示す視線の到達先を所定の位置80に合わせるために、反射板67は、図12の89に示すように、回転軸RR1周りに、X軸の向きに対して右回りに回転される。ユーザは、目盛77に対応付けられた目盛85により、回転の程度を把握することができる。
【0060】
また、目盛77の基準線からリア面側に5つの目幅数だけ離れた場所に被検体Pの目が位置し、目盛73の基準線からリア面側に5つの目幅数だけ離れた場所にアーム位置指針75が位置している場合、被検体Pの目の位置の直上における反射板67を介した被検体Pの視線LS5は、図12に示すように、スクリーン63上の所定の位置80の上方に到達する。LS5で示す視線の到達先を所定の位置80に合わせるために、反射板67は、図12の91に示すように、回転軸RR1周りに、X軸の向きに対して左回りに回転される。
【0061】
図12に示すように、被検体Pの目の位置が目盛77の基準線に対して寝台側にある場合、反射板67は、反射板67の反射面をリア側に向ける方向、すなわち反射板67を鉛直に立てる方向に回転される。また、図12に示すように、被検体Pの目の位置が目盛77の基準線に対してリア側にある場合、反射板67は、反射板67の反射面を寝台側に向ける方向、すなわち反射板67を水平にする方向に回転される。
【0062】
(傾き調整機能)
以下、本実施形態に係る傾き調整機能について、フローチャートを用いて説明する。傾き調整機能とは、被検体Pの目の位置に応じて、反射板67の傾きを調整させる機能である。図13は、傾き調整機能に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0063】
(ステップSb1)
ユーザは、天板131に載置された被検体Pの目の位置が目盛77の基準線に一致しているか否かを確認する。天板131に載置された被検体Pの目の位置が目盛77の基準線に一致している場合(ステップSb1のYes)、傾き調整機能は終了する。図11の点線の反射板67は、天板131に載置された被検体Pの目の位置が目盛77の基準線に一致している場合の反射板67の傾きを示している。このとき、反射板67の傾きの調整、すなわち反射板67の回転は不要となる。天板131に載置された被検体Pの目の位置が目盛77の基準線に一致していない場合、ステップSb2へ進む。
【0064】
(ステップSb2)
ユーザは、目盛77において、基準線から被検体Pの目の位置に対応する目盛線までの目幅数と、基準線からこの目盛線までの方向とを特定する。これらの特定は、ユーザにより被検体Pの目の位置を、目盛77で測ることで実現される。以下、説明を簡単にするために、図11に示すように、天板131に載置された被検体Pの目の位置を示す目盛線は、目盛77において、基準線からリア側に向かって、5つの目幅数であるものとする。このとき、ユーザにより特定された目幅数は5である。加えて、ユーザにより特定された方向は、基準線からリア側へ向かう方向である。目盛77における目幅数と方向との特定後、ステップSb3へ進む。
【0065】
(ステップSb3)
目盛85の基準線から、特定された方向に対応する回転方向に沿って、特定された目幅数だけ、ユーザ操作により反射板67が回転軸RR1周りに回転される。特定された方向に対応する回転方向とは、被検体Pの目の位置が目盛77の基準線に対して寝台側にある場合X軸の向きに対して右回りであり、被検体Pの目の位置が目盛77の基準線に対してリア側にある場合X軸の向きに対して左回りである。
【0066】
図11における点線の反射板および回転指針は、反射板の回転前の状態を示している。図11における実線の反射板67および回転指針87は、反射板67の回転後の状態を示している。図11における点線LS3は、反射板67の回転後において、被検体Pの目の位置の直上における反射板67を介した被検体Pの視線を示している。本ステップにおいて、ユーザは、図11の矢印91に示すように、回転指針87を、目盛85の基準線からX軸の向きに対して左回りに、5つの目幅数だけ移動させる。反射板67に対するユーザ操作により、回転後の反射板67を介した被検体Pの視線LS3の到達先は、所定の位置80に維持される。
【0067】
なお、本変形例を本実施形態に組み入れる場合、ステップSb1およびステップSb2は不要となる。例えば、位置調整機能に続いて傾き調整機能が実行される場合、図8のステップSa3の処理の後に、ステップSb3の処理が実行される。
【0068】
以上に述べた構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態に係る医用画像診断装置10によれば、支持アーム65の反射板67側の端部に、反射板67の回転に関して目盛77に対応付けられた目盛85を設けることができる。これにより、ユーザは、被検体Pの目の位置に対応する目盛77の目盛線と目盛77の基準線との間の目幅数だけ、目盛77の基準線から目の位置に対応する目盛線に向かう方向に対応する回転方向に、回転指針87および目盛85を用いて、反射板67を簡便に回転させることができる。すなわち、本実施形態に係る医用画像診断装置10によれば、天板131に対する被検体Pの目の位置が変わったとしても、被検体Pの目の位置に応じて反射板67を回転させることにより、被検体Pの視線の到達先を所定の位置80に容易に維持することができる。これにより、被検体Pの目の位置に対する反射板67の傾き調整において、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0069】
これらのことから、本変形例によれば、反射板67を介した映像の視野範囲を最適な状態として被検体Pに提供できるため、被検体Pはより明瞭に映像を視認することができる。以上のことから、本変形例によれば、被検体Pに対して映像への没入感を向上させることができ、ボア53内での圧迫感や閉塞感を低減させることができる。
【0070】
(第3の変形例)
本実施形態、第1の変形例および第2の変形例との相違は、目盛73の目盛スパンが目盛77の目盛スパンより小さい場合、被検体Pの目の位置の直上における反射板67を介した被検体Pの視線の到達先を、反射板67の回転により所定の位置に合わせることにある。本変形例における支持アーム65の反射板67側の端部には、目盛85が設けられる。本変形例においては、位置調整機能と傾き調整機能とを併用することにより、反射板67の位置が調整される。位置調整機能と傾き調整機能とは、上述した手順に対応するため、説明は省略する。また、本変形例における効果は、実施形態の効果に加えて第2の変形例の効果を有するため、説明を省略する。
【0071】
図14は、支持アーム65の移動前後および反射板67の回転前後において、天板131とスクリーン装置15との側面を示す図である。図14に示すように、天板131に載置された被検体Pの目の位置は、目盛77の基準線から寝台側に15の目幅数だけ進んだ位置に相当する。このため、支持アーム65は、位置調整機能により、図14の矢印81のように、目盛73の基準線から寝台13側に最大目幅である5つの目幅だけ進んだ位置に、ユーザの操作により移動される。次いで、傾き調整機能により、目盛77における基準線から被検体Pの目の位置に対応する目盛り線までの目幅数(15)と特定された方向に対応する回転方向とに従って、目盛85と回転指針87とを用いて、反射板67がユーザの操作により回転される。以上のように、被検体Pの目の位置の直上における反射板67を介した被検体Pの視線LS6は、図14に示すように、所定の位置80に到達する。
【0072】
(第4の変形例)
本変形例は、位置調整機能により、支持アーム65が移動されると、支持アーム65の移動量に応じて反射板67が回転することにある。本変形例において、目盛85と回転指針87とは不要となる。
【0073】
本変形例における支持アーム65は、枠体上における支持アーム65の移動量に応じた回転量、またはベース部材61上における支持アーム65の移動量に応じた回転量で、反射板67を回転させる回転機構を有する。回転機構は、例えば、支持アーム65の移動を回転に変換するボールネジと、ボールネジの回転を回転軸RR1に伝達するフレキシブルシャフトとを有する。フレキシブルシャフトと回転軸RR1との間と、ボールネジとフレキシブルシャフトとの間とのうち少なくとも一方には、支持アーム65の移動量と反射板67の回転量とを対応付けた少なくとも一つの歯車が設けられる。少なくとも一つの歯車は、図12に示すように、被検体Pの目の位置の直上に位置する反射板67を介して対象物80を被検体Pが視認できるように支持アーム65の移動量に応じて反射板67を回転させる歯数を有する。このような構成により、支持アーム65の移動に応答して、支持アーム65の移動量に対応する回転量だけ、反射板67は回転する。
【0074】
以上に述べた構成によれば、本実施形態および第1、第2変形例に係る効果に加えて以下の効果を得ることができる。
本変形例によれば、支持アーム65の移動に応じて、反射板67は回転することができる。これにより、天板131に載置された被検体Pの目の位置に応じて、反射板67の位置をさらに容易に調整することができ、ユーザの負担を軽減させることができる。
【0075】
以上述べた実施形態および変形例等の医用画像診断装置(磁気共鳴イメージング装置)10、および頭部コイル装置140によれば、天板に載置された被検体の目の位置に応じて、反射板の位置を容易に調整することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。なお、被検体Pの目の位置を測る目盛77は第1目盛に相当する。また、第1目盛に対応付けられ、支持アーム65の位置を示す目盛73は、第2目盛に相当する。また、反射板67の回転に関して第1目盛に対応付けられた目盛85は、第3目盛に相当する。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0077】
1…医用画像診断システム、10…医用画像診断装置、11…架台、13…寝台、15…スクリーン装置、17…撮像制御ユニット、21…傾斜磁場電源、23…送信回路、25…受信回路、27…コンソール、31…撮像制御回路、32…再構成回路、33…画像処理回路、34…通信回路、35…表示回路、36…入力回路、37…主記憶回路、38…システム制御回路、41…静磁場磁石、43…傾斜磁場コイル、45…RFコイル、51…架台筐体、53…ボア、61…ベース部材、63…スクリーン、65…支持アーム、67…反射板、71…レール、73…目盛、75…アーム位置指針、77…目盛、80…対象物、85…目盛、87…回転指針、100…投影機、131…天板、137…下部コイル、139…上部コイル、140…頭部コイル装置、200…投影機制御装置、300…検査室、400…制御室、500…壁、510…窓。
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