(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示データ生成部は、高さ測定データについて測定時のスキャン方向に応じて発生したスキャン方向の座標値のずれを補正し、当該補正が反映された表示データを生成する
請求項1に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を説明する。実施の形態では、塗布処理対象物である回路基板100に薄膜を形成するためのコーティング剤を吐出するコーティング装置1と、そのコーティング装置1と通信可能なコンピュータ装置200の例を挙げる。
コンピュータ装置200、もしくはコーティング装置1に内蔵された演算処理装置(主制御部30)が、本発明の情報処理装置として構成可能である。
説明は次の順序で行う。
<1.実施の形態のコーティング装置の構成>
<2.コーティング装置の制御構成>
<3.コンピュータ装置の構成>
<4.各種設定及び表示>
<5.まとめ及び変形例>
<6.プログラム>
【0014】
<1.実施の形態のコーティング装置の構成>
図1にコーティング装置1の外観例を示す。
このコーティング装置1は搬入されてきた回路基板100に対して、吐出部であるノズル3からコーティング剤を吐出して吹き付けるコーティング処理を行い、回路基板100に防湿や防錆のための保護薄膜を形成する装置である。
なお後述するが、ノズル3は塗布液体(コーティング剤)を扇状又は円錐状に吐出する吐出部である。
【0015】
図示のように、回路基板100の搬入のためにX方向に延伸するコンベア機構10が設けられている。
コンベア機構10は、Y方向に離隔したコンベア10a、10aと、コンベア10a、10aをそれぞれ支持するとともに搬送される回路基板100をガイドする搬送ガイド10b、10bとを有する。搬送ガイド10bの上面は高さ基準面10cとされている。
コンベア10a、10aには、回路基板100のY方向における両端部がそれぞれ載置される。回路基板100は、コンベア10a、10aの駆動により搬送される。回路基板100の搬入時、搬出時にコンベア10a、10aは図示しないモータにより駆動される。
なお搬送ガイド10b、10bのX方向における所定の位置には、位置決め部としてのストッパ20、20が設けられている。ストッパ20は、コンベア10a、10aの上方(Z方向)に張り出すように搬送ガイド10b、10bからY方向に突出されている。コンベア10a、10a上を搬送される回路基板100は、先端面がストッパ20、20に突き当てられることでその移動が規制され、コーティング処理が行われるコーティング位置に位置決めされる。
【0016】
例えばこのコーティング装置1は電子回路基板等の製造ラインの一部として使用することができ、コーティング装置1の操作者もしくは図示しない前工程からの搬入機構により回路基板100がコンベア機構10にセットされ、矢印DRinの方向に搬入される。そしてコーティング装置1でコーティング処理が行われ、その後コンベア機構10で矢印DRoutの方向に搬出され次工程に移送される。これによりライン上で連続作業としてのコーティング処理が実行される。
もちろん、コーティング装置1は、このようにラインを構成するだけでなく、個別に回路基板100等の処理対象物に対してコーティングを行う機器としてもよい。
【0017】
搬入された回路基板100の上方には、コーティング剤を吐出するノズル3が位置される。
ノズル3は、筒状先端部3aがノズルベース部3bに取り付けられた構造とされている。
ノズル3は、ホルダ4に取り付けられた状態で、搬入された回路基板100の上方空間をX方向、Y方向、Z方向に移動可能とされている。
【0018】
またホルダ4にはレーザセンサ25が取りつけられている。レーザセンサ25は高さ測定を行うためのセンサであり、塗布処理対象物である回路基板100の高さを測定できる。レーザセンサ25は、例えば基台10bの天面である高さ基準面10cを基準として回路基板100上の各所の高さを測定する。
レーザセンサ25がホルダ4に装着されていることで、レーザセンサ25はノズル3とともにX方向、Y方向、Z方向に移動可能とされている。
【0019】
ホルダ4は、Y方向ガイド11に対して、Y方向にスライド可能に取り付けられている。Y方向ガイド11には、Yモータ7と、Yモータ7によって回転される駆動軸11aが配備されており、ホルダ4は駆動軸11aの回転により、Y方向ガイド11に沿ってY方向に移動可能とされている。このため駆動軸11aとホルダ4の間では、駆動軸11aの回転がスライド移動方向に変換されるギア構成等による連結機構が採用される。
【0020】
Y方向ガイド11は、ガイドホルダ13に固定されている。そしてガイドホルダ13は、X方向ガイド12に対して、X方向にスライド可能に取り付けられている。X方向ガイド12には、Xモータ8と、Xモータ8によって回転される駆動軸12aが配備されており、ガイドホルダ13(即ちY方向ガイド11全体)は駆動軸12aの回転により、X方向ガイド12に沿ってX方向に移動可能とされている。このため駆動軸12aとガイドホルダ13との間は、駆動軸12aの回転がスライド移動方向に変換されるギア構成などによる連結機構が採用される。
【0021】
ホルダ4には、ノズルZモータ5が配置されており、このノズルZモータ5によって、ノズル3の先端が上下(Z方向)に移動される。つまり塗布処理対象物に対するノズル3の筒状先端部3aの高さ位置が変動される。
以上の構成により、ノズル3の位置は、Xモータ8、Yモータ7、ノズルZモータ5によってX方向、Y方向、Z方向に移動可能となる。X方向、Y方向、Z方向に移動することで、搬入された回路基板100上の各所を移動しながらのコーティング剤のスプレーを行うことができる。
またレーザセンサ25の位置はXモータ8、Yモータ7によりX方向、Y方向に移動可能となる。これにより回路基板100の平面をスキャンして、回路基板100の各部の高さを計測できる。
【0022】
またさらにホルダ4には、ノズル回転モータ6が取り付けられており、ノズル回転モータ6によりノズル3の回転角度位置を変化させることができる。回転角度位置とは、
図2Aのθ方向の位置である。
【0023】
図2Aには、ノズル3が回路基板100の上方からコーティング剤(スプレーパターン90)を吐出して吹き付けている様子を拡大して示している。
図2Aに示すように、回路基板100には、抵抗、コンデンサ、ICチップ等の各種の電子部品110,111,112,113がマウントされており、その各種電子部品の高さw,vや、電子部品間のサイズk,mなども多様である。本実施の形態では、例えばこのような回路基板100に対して、X方向、Y方向、Z方向にノズル3が移動されながら吹きつけを行うことで、回路基板100の形状や部品配置に応じた適切な薄膜形成を可能とする。
【0024】
X方向、Y方向の移動制御に関しては、例えばコーティング処理にあたっては、ストッパ20により規定されるコーティング位置に位置された状態の回路基板100の角部(隅部)を座標上の原点aとし、この原点aを中心としてノズル3のX−Y方向の移動距離が設定される。
【0025】
ノズル3の筒状先端部3aは、
図2B、
図2Cに示すように形成され、吐出孔3cから加圧液体のコーティング剤を吐出する。突端部3d,3dより奥まった位置に吐出孔3cが形成されていることで、吐出されるコーティング剤のスプレーパターン90は、
図2Dに示すように扁平な扇状となる。
図2Eには、
図2Dのスプレーパターン90のa−a断面を示しているが、扇状のスプレーパターン90は、縁部近傍に、厚幅部分90aが生じ、縁部及び中央部は、厚みが比較的薄くなる。
この
図2Dのようなスプレーパターン90は、a−a断面線の位置よりさらに下方にいくと、霧化状になり、コーティングに適さなくなる。霧化状のパターンで塗布したコーティング剤は塗布されない部分やピンホールが多くなり、不良品になることがある。そのため、例えばa−a断面線の位置あたりで、回路基板100の表面に達することが適切である。
図2Aでは、上述のZ方向移動によりノズル3の回路基板100の表面からの高さ位置が、距離tの状態に調整され、コーティング剤の塗布が行われている様子を示している。この場合の塗布面からの距離tは、スプレーパターン90による塗布幅が、最も効率よく塗布ができる幅hとなる高さを得る距離である。この状態でX方向に移動されることで、幅hの状態でのX方向へ帯状に進行する塗布が行われることになる。
なお、最適な距離tは、塗布液体の粘度やノズル3のサイズ・形状等にもよるが、例えば本実施の形態では距離t=10mmとして説明する。
【0026】
また上述のようにノズル回転モータ6によりノズル3の回転角度位置を変化させることができる。例えば
図2Aの状態から90°回転角度位置を変化させてY方向に移動させれば、幅hの状態でのY方向へ帯状に進行する塗布が行われることになる。
さらに回転角度位置により、進行させる塗布の帯の幅を調節することもできる。例えば
図2Aの状態から45°回転角度位置を変化させてX方向に移動させれば、図示の幅hの半分の幅の状態でのX方向へ帯状に進行する塗布を行うことが可能になる。
図3A、
図3B、
図3Cには、各種回転角度位置θ1、θ2、θ3の場合に、例えばX方向側から見た場合のスプレーパターン90及び塗布領域92の塗布幅を示している。図のように、塗布幅を回転角度位置によって調整できる。
従って重ね塗り部分を考慮して塗布幅を調整したり、比較的狭い箇所にスプレーを行う場合などは、回転角度位置を調整して、進行方向からみたスプレーパターン幅を調整することで、適切な幅の塗布が可能となる。
【0027】
なお
図1,
図2には示していないが、ノズル3に対しては、加圧液体としてのコーティング剤を吐出させるために、コーティング剤を供給する供給機構や吐出機構が設けられる。吐出機構で圧力が調節されることで、コーティング剤の吐出量やスプレーパターン幅が調整される。
コーティング剤は例えばポリオレフィン系若しくはアクリル系若しくはポリウレタン系の絶縁コーティング剤である。シンナーで希釈して液状で回路基板100に塗布した場合、10分程度乾燥させることで、回路基板100に基板遮蔽層としての薄膜が形成される。
【0028】
図1に示すようにコーティング装置1には、光センサを構成する発光部21,受光部22や、捨て打ち部23、浸け置き部24が設けられる。
光センサを構成する発光部21と受光部22は、X方向に対向するように配置されている。発光部21は例えば半導体レーザ等により構成され、例えば直径1.5mm程度のレーザ光を出力する。このレーザ光は受光部22によって受光される。受光部22では、受光光量に応じて、検出信号を出力する。
この場合、レーザ光の光線はX方向に伸びる線状となり、例えばノズル3がY方向に移動されてレーザ光の光線を横切ると、光線がノズル3によって妨げられ、受光部22に達しない。これによって受光部22では、受光光量が低下し、光量低下状態を示す検出信号を出力することとなる。
適切な塗布幅で塗布を行うために、ノズル3からの扇状のスプレーパターン90の幅を調整することが行われる。そのために、ノズル3のからスプレーパターン90を吐出させながら、センサの光線を横切る方向性でノズル3を移動させて、スプレーパターン90の幅を測定する。測定結果に応じて、コーティング剤のスプレー圧を調整することで、スプレーパターン幅を所望の幅に調整できる。
【0029】
捨て打ち部23は、いわゆる捨て打ちとしてコーティング剤を吐出する場合などに用いられる。また浸け置き部24は、ノズル3の先端を希釈剤に浸け置きするために設けられている。また浸け置き部24の側壁にはブラシ26を取り付けている。
本例では、揮発性の高い溶剤で希釈されたコーティング剤を用いており、これが乾燥してノズル3の筒状先端部3a(吐出孔)で硬化し、吐出するスプレーパターン90を変化させてしまうことがある。
そこで不使用時には、希釈剤を入れた浸け置き部24にノズル3の先端が浸されるようにしておく。浸け置き部24には例えばシンナー系の溶剤を入れておく。これによりノズル3の詰まりを防ぐ。
また使用前には捨て打ち部23の上方にノズル3を位置させた状態で、捨て打ちとしての吐出を行って硬化部分を吹き飛ばしたり、ノズル3の先端をブラシ26に接触させるようにY方向に移動させて清掃できるようにしている。これらの作業により、実際のコーティング作業時には、安定したスプレーパターンが得られるようにしている。
【0030】
また上述のスプレーパターン90の幅の測定の際にも、上述の浸け置き、捨て打ち、ブラシ洗浄が行われていることで、安定したスプレーパターン90の幅の測定ができることとなる。
また、捨て打ち部23の上方は、発光部21からのレーザ光の光線位置となる。従って、後述する測定処理としてスプレーパターン90を吐出しながらノズル3を移動させる動作は、捨て打ち部23の上方で行うことができる。つまり捨て打ち部23が測定処理の際に吐出されるスプレーパターン90の受け部としても機能する。
また捨て打ち部23には図示の様に斜面が形成されており、該斜面によって捨て打ちされたコーティング剤は一定方向に飛び散るように構成されている。この
図1の場合、浸け置き部24の方向にコーティング剤が飛び散るようにされている。このため捨て打ちの際や、測定処理の際に、むやみにコーティング剤が飛散することがないようにできる。
【0031】
また例えば液晶パネル等により構成された表示部9が設けられている。表示部9には、タッチパネルが搭載されてオペレータが入力操作を行うことも可能とされる。
この表示部9には、このコーティング装置1に取り込まれた回路基板100の画像(撮像画像)や撮像画像を加工した画像、操作アイコン、メッセージ表示、その他、ユーザインターフェースのための各種画像が表示される。
回路基板100の画像が表示されることで、オペレータは、画像上で、コーティングを行う部位を指定したり、あるいはコーティングを禁止する領域を指定したりすることも可能とされる。
【0032】
<2.コーティング装置の制御構成>
図4にコーティング装置1の制御構成を示す。なおここでは特に電気系統を示し、コーティング剤の供給、加圧制御等の流体制御系についての説明は省略する。
【0033】
主制御部30は、例えばマイクロコンピュータ(CPU:Central Processing Unit)により形成された演算処理装置であり、各部の動作制御を行う。
メモリ部34は、主制御部30が各種制御で用いるROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEP−ROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の不揮発性メモリ等の記憶領域を総括的に示している。
なお、このメモリ部34としては、マイクロコンピュータ内部に形成される記憶領域(レジスタ、RAM、ROM、EEP−ROM等)や、マイクロコンピュータとしてのチップ外部で外付けされるメモリチップの領域の両方をまとめて示している。つまり、いずれの記憶領域が用いられても良いため区別せずに示したものである。
【0034】
メモリ部34におけるROM領域には、主制御部30としてのCPUが実行するプログラムが記憶される。
メモリ部34におけるRAM領域は、主制御部30としてのCPUが各種演算処理のためのワークメモリとして用いたり、画像データ等の一時的な記憶等に用いられる。
メモリ部34における不揮発性メモリ領域は、演算制御処理のための係数、定数等、必要な情報が格納される。
主制御部30は、メモリ部34に格納されるプログラムや、入力部31からのオペレータの操作入力に基づいて、或いは外部装置であるコンピュータ装置200等からの指示に基づいて、必要な演算処理、制御処理を行う。
【0035】
入力部31は、オペレータが操作入力を行う部位とされる。例えば上述のように表示部9にタッチパネルが形成される場合、該タッチパネルが入力部31となる。また操作キーや、リモートコントローラ等による入力部31が設けられても良い。
入力部31からの入力情報は主制御部30に供給され、主制御部30は入力情報に応じた処理を行う。
【0036】
センサ駆動部32は主制御部30の指示に応じてレーザセンサ25を駆動する。レーザセンサ25による高さ測定のための検出信号は主制御部30に供給される。主制御部30は回路基板100の表面をスキャンする測定をレーザセンサ25に実行させるが、その際の検出信号から、回路基板100の各部の高さ値を検出し、メモリ部34に記憶する。
【0037】
主制御部30は、表示駆動部33に表示データを供給し、表示部9での表示を実行させる。表示駆動部33は、供給された表示データに基づいて画像信号を生成し、表示部9を駆動する。
例えば主制御部30は、回路基板100の撮像画像データを表示駆動部33に受け渡して、撮像画像を表示部9に表示させたり、撮像画像データを編集して表示部9に表示させたりすることができる。
なお主制御部30は、例えばコンピュータ装置200やデジタルスチルカメラ等の外部機器から撮像画像データを取り込んで、メモリ部34に格納する。そして主制御部30は、例えばスプレーパスの設定などのために必要に応じて撮像画像データを読み出して画像解析処理、拡大/縮小処理、画像編集処理、或いは外部送信処理等を行うことができる。
【0038】
外部インターフェース46は外部機器(例えばコンピュータ装置200等)との通信やネットワーク通信を行う。主制御部30は外部インターフェース46を介して、各種情報を通信により入力したり、送信出力することができる。例えばライン上の各機器がネットワークシステム化させている場合、ホスト機器や他の機器との間で通信を行うことができる。
この通信により、外部機器から撮像画像データ等の供給を受けたり、或いはバージョンアッププログラムをロードしたり、各種処理係数、定数の変更設定を受け付けたりすることができる。また主制御部30がホスト機器に対し、エラーメッセージ、ワーニング等を送信したり、撮像画像データを送信することなども可能とされる。
また図示のようにコンピュータ装置200と通信可能とされた場合、コンピュータ装置200から撮像画像データ、動作プログラム、スプレーパスの設定データ等を取り込むことができる。
【0039】
主制御部30はモータコントローラ35に対してノズル3の移動のためのコマンドを送信する。コマンド内容は、移動方向(X、Y、Z方向及び回転角度位置θ方向)、移動量、移動速度を指示する内容などとされる。
例えば主制御部30は、コーティング処理を開始する前に、回路基板100を撮像した撮像画像の解析、及びオペレータの操作入力による禁止エリア設定等に応じて、スプレーパスを作成する処理を行う。もしくはコンピュータ装置200側で設定したスプレーパスのデータを取得する。
実際のコーティング処理を開始した後は主制御部30は、スプレーパスに応じて、ノズル移動方向をモータコントローラ35に指示していくこととなる。
また、高さ測定の際にも、主制御部30は、モータコントローラ35に対してレーザセンサ25(ホルダ4)の所定の移動を指示する。
これらの移動のコマンドに応じて、モータコントローラ35は、各モータドライバ(36,37,38,39)を駆動制御することとなる。
【0040】
Yモータドライバ36は、Yモータ7に正方向回転又は逆方向回転の駆動電流を与える。これによりYモータ7が駆動され、ノズル3とレーザセンサ25を装着したホルダ4全体がY方向の正方向又は逆方向にスライド移動される。
Xモータドライバ38は、Xモータ8に正方向回転又は逆方向回転の駆動電流を与える。これによりXモータ8が駆動され、ホルダ4を支持するY方向ガイド11全体がX方向の正方向又は逆方向にスライド移動される。
ノズルZモータドライバ39は、ノズルZモータ5に正方向回転又は逆方向回転の駆動電流を与える。これによりノズルZモータ5が駆動され、ノズル3が垂直方向に繰り出されたり、引き上げられたりするように移動される。
ノズル回転モータドライバ37は、ノズル回転モータ6に正方向回転又は逆方向回転の駆動電流を与える。これによりノズル3の回転角度位置を変化させる回転動作が行われる。
モータコントローラ35は、主制御部30からのコマンドに応じて、各モータドライバ36,37,38,39に指示を出し、電流印加を実行させることで、各モータが連携してノズル3とレーザセンサ25の移動が実行される。
【0041】
位置検出部51は、Yモータ7により移動されるホルダ4のY方向の位置を検出する。例えばストッパ20に規定されて配置された回路基板100の上方空間が、X座標、Y座標、Z座標としての三次元座標空間として管理されるとする。位置検出部51は、Y方向の位置をY座標値として検知し、現在のY座標値を主制御部30に通知する。
位置検出部52は、ノズル回転モータ6により回転駆動されるノズル3の回転角度位置を検出する。そして回転角度位置を主制御部30に通知する。
位置検出部53は、Xモータ8により移動されるホルダ4のX方向の位置を、X座標値として検知し、主制御部30に通知する。
位置検出部54は、ノズルZモータ5により上下移動されるノズル3のZ方向の位置を、Z座標値として検知し、主制御部30に通知する。
位置検出部51,53,54は、それぞれY方向ガイド11,X方向ガイド12、ホルダ4に機械的或いは光学的なセンサが設けられて位置を検出するようにしても良いし、或いはYモータ7,Xモータ8,ノズルZモータ5がステッピングモータの場合、位置検出部51,53,54は、正逆方向の駆動ステップ数をアップ/ダウンカウントするカウンタとし、そのカウント値を検出位置とするものでもよい。またYモータ7,Xモータ8,ノズルZモータ5に取り付けられたFG(Frequency Generator)やロータリエンコーダ等の信号を用いて、現在位置を計測するものでもよい。いずれにせよ位置検出部51,53,54は、ノズル3の現在位置としてX座標値、Y座標値、Z座標値が検出できる構成であればよく、その具体的手法は問われない。
また位置検出部52も同様に、ノズル回転位置を機械的或いは光学的に検出するセンサでもよいし、例えばノズル回転モータ6のFGやロータリエンコーダ、或いはステッピングモータの場合のステップ数のアップダウンカウンタなどとしてもよい。
【0042】
従って位置検出部51,52,53,54は、モータコントローラ35の内部カウンタ等による構成となってもよいし、機械的或いは光学的な外部センサの情報をモータコントローラ35が取り込む形式で構成してもよい。
モータコントローラ35は、位置検出部51,52,53,54からの位置情報を監視しながら、主制御部30から求められたノズル駆動を実行することになる。
また主制御部30は、モータコントローラ35を介して位置検出部51,52,53,54による位置情報の通知を受けることで、ノズル3とレーザセンサ25の現在位置を把握でき、正確かつ無駄のない移動制御が実行できる。
【0043】
なお、この場合、ノズル3の位置、レーザセンサ25の位置としてのX、Y座標値は、あくまでホルダ4の位置として検出される。従って主制御部30は、ノズル3の塗布位置、レーザセンサ25の検出位置としてのそれぞれのX、Y座標値は、ホルダ4の位置から所定量オフセットさせるように計算上求めるようにすればよい。
【0044】
吐出制御部40は、主制御部30の指示に応じて、ノズル3からのコーティング剤の吐出の実行/停止を制御する。この図では吐出機構41として、ノズル3へのコーティング剤の供給及び加圧・吐出を行う機構部位として概念的に示している。
また吐出制御部40は、主制御部30の指示に応じて、吐出の際の圧力を調整することで、コーティング剤のスプレーパターン90の幅や量を調整することもできる。
例えば吐出機構41では、コーティング剤の吐出用の空気圧の調整に電空レギュレータを使用する。吐出制御部40は電空レギュレータを制御することで、噴射圧でコーティング剤のスプレーパターン90の幅を調整できる。電空レギュレータによって電気信号に比例して空気圧を無段階に制御できることで、スプレーパターン90の幅を無段階で変化させることができる。これにより、スプレーパターン90の調整、あるいは設定変更などが容易に実行できる。
【0045】
センサ駆動部42は、発光部21からのレーザ発光駆動を実行させるとともに、受光部22の受光信号を検出し、検出信号を生成する。
このセンサ駆動部42は主制御部30の指示に応じてレーザ発光駆動を行い、またその際、検出信号を主制御部30に供給することになる。
【0046】
搬送制御部43はコンベア機構10内のモータを駆動制御する。回路基板100の搬入時、排出時に主制御部30は搬送制御部43に指示してコンベア機構10を駆動させる。
【0047】
<3.コンピュータ装置の構成>
図5にコンピュータ装置200の構成を示す。コーティング装置1と接続されるコンピュータ装置200は、例えば
図5のようなハードウエア構成で実現される。
【0048】
コンピュータ装置200は、CPU251、ROM252、RAM253を有して構成される。CPU251は、ROM252に記憶されているプログラム、または記憶部259からRAM253にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM253にはまた、CPU251が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。CPU251、ROM252、RAM253は、バス254を介して相互に接続されている。このバス254には入出力インターフェース255も接続されている。
【0049】
入出力インターフェース255には、液晶パネル或いは有機EL(Electroluminescence)パネルなどよりなるディスプレイ256が接続される。また入出力インターフェース255には、キーボード、マウスなどよりなる入力部256、スピーカ258、HDD(Hard Disk Drive)などより構成される記憶部259、通信部260などが接続可能である。
通信部260は、例えばLANなどによりコーティング装置1を含む周辺装置との間の通信を行う。
【0050】
入出力インターフェース75にはまた、必要に応じてドライブ261が接続され、メモリカード262が装着され、メモリカード262から読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部278にインストールされたり、CPU251で処理したデータが記憶される。もちろんドライブ261は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等のリムーバブル記憶媒体に対する記録再生ドライブとされてもよい。
【0051】
このようなハードウエア構成のコンピュータ装置200において、コーティング装置1の塗布処理のためのスプレーパス設定やコーティング条件設定その他の各種設定処理をCPU251が実行し、通信部260から設定情報をコーティング装置1に転送することができる。
例えばコーティング装置1で必要とされる処理をコンピュータ装置200側で行うことでコーティング装置1の主制御部30の処理負担を軽減できる。
【0052】
このコンピュータ装置200は、主にCPU251においてソフトウエアにより実現される機能として、
図6のような機能を備える。即ち撮像データ取得部301、測定データ取得部302、表示データ生成部303、表示制御部304である。
撮像データ取得部301は、塗布処理対象物である回路基板100の塗布面の撮像データを取得する機能である。例えば通信や記憶媒体からの読み出しなどにより撮像データを取得する。
測定データ取得部302は、塗布処理対象物である回路基板100の塗布面、つまり各種電子部品110等が装着された基板上面の各所の高さを測定した高さ測定データを取得する機能である。例えばコーティング装置1との通信により高さ測定データを取得する。
表示データ生成部303は、回路基板100の塗布面において高さ測定データと閾値の比較結果に基づく条件該当位置、例えば高さ測定データの値が閾値以上となっている位置などを判別し、撮像データ上で条件該当位置が識別可能に表示されるように表示するデータを生成する機能である。
表示制御部304は、表示データ生成処理で生成した表示データをディスプレイ256に表示させる制御を行う機能である。
これらの機能により、撮像画像上で条件該当部分、例えば高さが所定以上の部分を明確に識別できるような表示を実現する。詳細は後述する。
【0053】
なおこれらの撮像データ取得部301、測定データ取得部302、表示データ生成部303、表示制御部304を備えたコンピュータ装置200が、請求項にいう情報処理装置となる。コーティング装置1の主制御部30がこれらと同様の機能を備える場合、コーティング装置1(もしくは主制御部30)が請求項にいう情報処理装置となる。
【0054】
<4.各種設定>
実施の形態のコーティング装置1とコンピュータ装置200によるシステムでは、コーティング装置1におけるコーティングを効率よくかつ正確に行うために、実際の塗布作業の前に、ノズル3による塗布作業時の移動経路(スプレーパス)の設定や、その他付随する各種の設定が行われる。
【0055】
まず
図7,
図8でスプレーパス設定の概要を説明する。このスプレーパス設定の処理はコーティング装置1の主制御部30で行っても良いし、コンピュータ装置200のCPU251で行っても良い。
図7Aはコーティング処理対象物である回路基板100を示している。この回路基板100にはコーティングを行わない領域も存在するため、あらかじめ
図7Bのように禁止エリアARを設定する。
禁止エリアARは、ノズル3によるスプレーパターン90の吐出を行わない領域であるとする。
【0056】
図8はこのような禁止エリア設定と、その後のスプレーパス設定の様子を、撮像画像で示している。
図8Aは、例えば表示部9又はディスプレイ256に表示される回路基板100の撮像画像である。回路基板100や電子部品110、111、112、113等が画像として表示されている。
このような画像に対し、オペレータのタッチ入力、クリック操作、範囲指定走査、もしくは主制御部30又はCPU251の画像解析により
図8Bのように禁止エリアARを設定する。主制御部30やCPU251はこの禁止エリアARを考慮してスプレーパスを設定する。即ち禁止エリアARを避けるようにノズル3を移動させる経路を算出する。
【0057】
図8Cは作成したスプレーパスを表示部9又はディスプレイ256に表示させている状態を示している。各パスマーカPMがスプレーパスを示す。三角形のパスマーカPMによりノズル3の移動方向が示される。また例えば各パスマーカPMには数字が付されており、塗布時にノズル3を移動させる経路の順序が示される。
なお各パスマーカPMによっては、ノズル3がコーティング剤を吐出しながら移動する吐出移動経路が示される。各パスマーカPMで示されるのが、それぞれ1つの吐出移動経路となる。或る吐出移動経路から次の吐出移動経路に移動するときは、ノズル3からの吐出を継続させながら移動できる箇所もあれば、一旦コーティング剤の吐出を停止させて移動させる場合もある。例えば
図8Cで「7番」のパスマーカPMの吐出移動経路で塗布を行った後、「8番」のパスマーカPMの吐出移動経路での塗布に移る場合、ノズル3は非吐出状態で移動される。このような非吐出状態で移動する経路(非吐出移動経路)は、パスマーカPMによって直接的には示されないが、実質的には塗布作業時のノズル移動経路であり、スプレーパスに含まれることになる。
【0058】
以下、スプレーパス設定を含む各種設定処理や、その際の表示態様の具体例を、
図9を参照して詳細に説明する。
なお、ここではコンピュータ装置200のCPU251が設定処理用のプログラムに応じて実行する設定処理として説明する。但し以下の設定処理は、例えばコーティング装置1の主制御部30が実行してもよい。
【0059】
図9の設定処理が開始されると、まずCPU251はステップS101で基板撮像データの取り込みを行う。
例えば処理対象とする回路基板100については、予め作業者がデジタルスチルカメラ等を用いて撮像し、コンピュータ装置200等に取り込んでおく。CPU251は、取り込んであった基板撮像データを補正してディスプレイ256に表示させる。ここでの補正とは、例えば回路基板100の撮像画像を実物と同じ大きさで表示部9に表示させるように、画像を縮小又は拡大する処理である。例えばディスプレイ256の表示上の基板画像上で原点aからX方向に1cmだけ仮想ノズルを移動させると、コーティング装置1に搬送された実物の回路基板100上でも同様に原点aからX方向に1cmだけ実際のノズル3が移動するように、画像と現物のサイズを合わせる。即ち現実の回路基板100の大きさとCPU251が管理する縮尺とが一致するように画像補正を行う。
【0060】
次にステップS102でCPU251は、撮像画像上でスプレーパス原点位置を設定する処理を行う。これは、ノズル3のX、Y方向移動の原点と、表示された画像の原点位置を一致させる処理である。例えばノズル3が撮像画像の原点a(
図2参照)の位置に相当する位置にある場合の移動座標値(X方向ガイド12上の検出位置、及びY方向ガイド11上の検出位置)をノズル原点座標とする。
【0061】
ステップS103でCPU251は高さ測定データを取得する。例えばコーティング装置1がレーザセンサ25を用いて回路基板100の平面の各部の高さ位置を測定したデータを取得する。
図10A、
図10Bのそれぞれは、コーティング装置1においてストッパ20で規定される位置に載置された回路基板100の平面を示しているとする。この回路基板100に対して、レーザセンサ25で測定スキャンを行う。
【0062】
図10Aはスキャン方向をX軸方向とした例である。
まずレーザセンサ25を原点aから破線矢印で示すように端辺bの位置までX方向に移動させるように第1ラインL1をスキャンする。
続いて端辺bに沿って1ライン分だけY方向に移動させ、破線矢印に示すようにX方向に逆移動させ、第2ラインL2をスキャンする。
このような1つのライン毎にレーザセンサ25を移動させて高さ測定値を取得していく動作を、最終ラインLnまで行う。
【0063】
図10Bはスキャン方向をY軸方向とした例である。
まずレーザセンサ25を原点aから破線矢印で示すように端辺cの位置までY方向に移動させるように第1ラインL1をスキャンする。
続いて端辺cに沿って1ライン分だけY方向に移動させ、破線矢印に示すようにY方向に逆移動させ、第2ラインL2をスキャンする。
このような1つのライン毎にレーザセンサ25を移動させて高さ測定値を取得していく動作を、最終ラインLmまで行う。
【0064】
スキャン方向はX方向、Y方向のいずれでもよく、設定操作によりオペレータが指定しても良いし、例えば回路基板100の形状等に応じて自動的に選択されるようにしてもよい。
いずれにしても、回路基板100の平面上を第1ラインL1〜最終ラインLn(又はLm)までレーザセンサ25によりスキャンさせて、平面上の各部の高さ位置を測定する。
なお、各ラインL1,L2・・・Ln(又はLm)は、例えば1mm間隔などとして設定すればよい。ライン間隔を狭くするほど、回路基板100の平面上を精密に高さ測定できることになる。
このようなレーザスキャンにより測定された高さ測定データはメモリ部34に記憶される。コンピュータ装置200は、コーティング装置1に対してこのように測定した高さ測定データを要求して取得する。
【0065】
なお、このようなレーザスキャンを実行させる際にコンピュータ装置200のCPU251は、高さ測定のための設定データをコーティング装置1(主制御部30)に送ったうえで、スキャン実行を指示している。
高さ測定のための設定データとしては、走査方向(X方向/Y方向)、走査ピッチ(ライン間隔)、測定回数(ライン数)、測定速度(軸モータ速度)等がある。
つまりステップS103では、これらの設定データとともに高さ測定開始を主制御部30に指示している。そしてその測定によって得られた高さ測定データを受信することになる。
【0066】
またステップS103でCPU251は、取得した高さ測定データについて、上述のレーザスキャンによる高さ測定で発生する座標値のズレを補正する。これは高さ測定データについて測定時のスキャン方向に応じて発生したスキャン方向の座標値のずれの補正である。これについては後述する。
【0067】
図9のステップS104でCPU251は、部品位置座標の補正を行う。ステップS101で取得した基板撮像データの画像を解析することで、電子部品110等の位置(X−Y座標値)を判定できるが、デジタルスチルカメラ等で撮像した基板撮像データから得られる電子部品110等の位置はずれが生じている。
例えば基板撮像データ上で観察される電子部品等は、上方の或る点の光軸を中心として観察される斜視形状が二次元に投影された画像となる。このため電子部品の位置(X、Y座標値)には誤差が生ずる。しかし実際の各電子部品の範囲のX−Y座標値は、レーザセンサ25を用いた高さ測定データから正確に判定できる。
そこでCPU251は、高さ測定データを用いて基板撮像データの補正を行う。具体的には電子部品等の配置物の輪郭線が、高さデータの変化点に一致するように補正を行えば良い。
なお、この補正処理は、基板撮像データによる画像自体の補正を行っているものではなく、基板撮像データを解析して得た回路基板100上の各種部品の位置データについて行っている。即ちスプレーパスの設定に反映させる各種電子部品の位置が補正されるようにすればよい。
但し、画像における電子部品110等の位置がずれたままであると、禁止エリアAR等の適切な設定に不便である。そこで画像については後述するように
図11の処理で高さ識別表示が行われるようにしている。
【0068】
図9のステップS105でCPU251は作業者の入力等に基づいてコーティング条件設定を行う。ここでは例えば以下の(1)〜(8)のような設定を行う。
【0069】
(1)ノズル3の扇状スプレーパターン90の幅や塗布厚の設定
扇状のスプレーパターン90の幅は加圧液体の加圧力やノズル3の種別によって異なる。スプレーパターン90の幅が異なれば効率の良いスプレーパスも変わる。そこでスプレーパス作成のために扇状スプレーパターン90の幅を設定する。また塗布厚の設定はノズル3の移動速度や、隣のすでに塗布された部分への重ね塗り量に関わる。
【0070】
(2)重ね塗り量の設定
塗布幅hで塗布する際に、隣の既に塗布された部分にどれだけ重ねて塗布するかを設定する。通常は重ね塗りしないでスプレーパスを設定しても、液化したコーティング剤の塗布後の僅かな拡張によって隣同士の塗布が合体し隙間のない塗布が完成する。しかし付着しない部分やピンホールを完全に防ぐための塗布作業ないし厚みのある塗布を必要とする場合は重ね塗り量を多く設定する必要がある。
【0071】
(3)基板外周のり代の設定
回路基板100の端面までコーティング剤を塗布すると、コーティング剤が流れ落ちピンホールや付着しない部分を形成することがある。また、コーティング剤が流れ出して回路基板100の側面や裏面に付着すると粘着性が発生するともに厚みが変化し、後の搬送に支障をきたす恐れがある。また、無駄なコーティング剤の消費ともなる。そこで外周でコーティング剤を塗布しないのり代を設定できるようにしている。回路基板100の外周に数ミリ間隔の塗布しないのり代を設定すると、のり代の手前に塗布されたコーティング剤の表面張力によって、回路基板100上に塗装厚を保持しコーティング膜を作成することができる。この表面張力によってコーティング剤が流れ落ちることもない。
【0072】
(4)塗布方向の設定
効率的で短時間に塗布作業を完成させる為に、回路基板100の横方向(X方向)か縦方向(Y方向)のどちらに主にノズル3を移動させたほうが良いかを設定する。なお、基本的には主に回路基板100長手方向に移動させることで、パスの数を少なくできる可能性が高い。従ってCPU251は、回路基板100のX方向が長手方向であればX方向、Y方向が長手方向であればY方向を、主な塗布方向と自動的に設定することが望ましい。
【0073】
(5)塗布高さの設定
回路基板100上の電子部品110,111等の高さにも応じたノズル3の高さ位置の設定であって、扇状スプレーパターン90が霧化しないダブテイル状の部分を使って塗布するための高さ設定である。過去のデータが揃っていれば条件を入力するだけで自動的に効率よい塗布幅hに設定することができる。
例えば
図2Aに示した距離tが塗布高さであり、例えばt=10mmとする。
【0074】
(6)移動高さ設定
上述のように塗布作業時の移動経路であるスプレーパスは、吐出移動経路と非吐出移動経路を含む。
非吐出移動経路においてコーティング剤の吐出を行わずに回路基板100上をノズル3が通過するときは、回路基板100上の電子部品110,111等の高さに考慮して移動しなくてはならない。そこでノズル3が電子部品等に当接して破損することがないように移動高さを設定する。具体的には、非吐出状態で移動が行われる非吐出移動経路でのノズル3の高さ位置を設定する。
ここでノズル移動高さは、塗布処理対象物である回路基板100に設けられた構造物(電子部品110,111)の高さを越える高さに設定することで、非吐出移動経路において、ノズル3が電子部品110,111に衝突することがないようにされる。
基本的には、移動高さとは、回路基板100上の電子部品110等に衝突しない十分な高さに設定される。例えば移動高さ=30mmなどとする。
もちろん、実際の電子部品110等の高さに応じて設定してもよい。例えば後述のようにスプレーパス設定を行った後、非吐出移動経路となる部分の高さに応じて、移動高さ設定を行ったり、非吐出移動経路毎に、移動高さを設定しても良い。
【0075】
(7)塗布速度設定
ノズル3の選定と吐出圧の設定と塗布速度の設定によってコーティング剤の塗布厚が決定する。塗布速度を下げるとコーティング剤が厚く塗布され、ひび割れの原因になったり、あふれて禁止エリアARに入ってしまうことがある。塗布速度を早くするとコーティング剤が薄く塗布され、塗布されない箇所ができてしまうと共に、飛沫量が大きくなり、禁止エリアARに飛沫が飛んでしまうことがある。そこで適切な塗布速度を設定する。
なお、設定する塗布速度としては、ノズル3による直線方向塗布速度、θ回転角度に応じた塗布速度、斜め方向移動のための塗布速度、円弧移動のための塗布速度などがある。
【0076】
(8)塗布タイミング設定
塗布方向にノズル3が移動する際、停止した状態から加速して一定速度に達するまでの期間に吐出したコーティング剤は厚く塗布されてしまう。同様にノズル3の速度が減速して停止するまでの間に吐出したコーティング剤も厚く塗布されてしまう。また、一定速度で移動していたノズル3が停止するまでコーティング剤が吐出されると、慣性力によって停止位置よりも先にコーティング剤が塗布されてしまう。そこでノズル3の移動が一定速度に達してからコーティング剤を塗布するとともに、一定速度より減速するとコーティング剤の塗布を中止するように、塗布タイミングを設定する。
【0077】
ステップS105でCPU251は、以上の(1)〜(8)のような各種設定を、オペレータの入力、或いは入力に基づいた演算などによって実行する。もちろん必要に応じて上記以外の設定も行われる。
続いてステップS106では、CPU251は禁止エリアARの設定を行う。
上述のように回路基板100の画像がディスプレイ256に表示されている際に、オペレータが塗布を禁止させたい領域範囲をマウスやタッチペンなどを用いて囲うなどの入力を行うことに応じて、CPU251は
図7Bのように禁止エリアARの領域を設定する。
【0078】
ステップS107でCPU251はパス作成の処理を行う。これは具体的にスプレーパスを構成する各パスを設定していく処理となる。CPU251はステップS105で設定した各種コーティング条件や、ステップS106で設定した禁止エリアAR、さらにはステップS103で取得した高さ測定データに基づいて塗布する経路の方向や順序、各経路上での高さ位置を演算し、禁止エリアARを少なくとも除いた吐出移動経路と非吐出移動経路を含むスプレーパスを作成する。そして
図8Cに示したようにパスマーカPMによりスプレーパスをディスプレイ256に表示させる。なお、
図8CのパスマーカPMは、全体のスプレーパスを構成する1つ1つの吐出移動経路の略中央に表示される例としている。
具体的なノズルパス作成処理は、全体の経路を設定するとともに、1つのパスマーカPMで示される1つ1つの吐出移動経路について、開始位置、終了位置、パス長、方向、ノズル回転角度(θ)、吐出時のノズル高さ(Z座標値)、移動速度などを設定する処理となる。また非吐出移動経路のノズル高さもスプレーパスの情報に含まれる。
このようなスプレーパス設定により、ノズル3の吐出移動経路の移動が禁止エリアARを含まず、また吐出移動経路及び非吐出移動経路の移動が適切な高さで行われ、さらに各種コーティング条件に応じて効率良く行われるようにする。
【0079】
図9のステップS108では、CPU251は設定したスプレーパスをディスプレイ256に
図8Cのように表示させる。これによりオペレータは設定されたスプレーパスを確認できる。
またオペレータが転送操作を行うことに応じて、設定されたスプレーパスの情報をコーティング装置1の主制御部30に転送する。
主制御部30はスプレーパスの情報を取得してメモリ部34に保存する。そして実際の塗布実行時にはスプレーパスの情報を参照して、塗布動作を制御する。
例えば主制御部30は、スプレーパスに応じた移動が実行されるようにモータコントローラ35に指示するとともに、吐出制御部40に指示してノズル3からのコーティング剤の吐出を実行させる。これによりスプレーパスの経路で回路基板100上に塗布が行われていく。
【0080】
<5.高さ識別表示>
以上の設定処理に関して、オペレータはディスプレイ256に表示される基板100の画像を見ながら各種操作を行って設定値等の入力を行う。
実際の回路基板100の撮像画像を確認することは、回路基板100上の配置事情や部品種別なども明確で、禁止エリアARの指定やスプレーパスの確認等に好適である。しかしながら、撮像画像に写る電子部品110等は、必ずしも正確なX−Y座標で写っていない。
【0081】
図12にディスプレイ256に表示される設定操作画面の例を示している。例えば設定操作画面には撮像画像領域81が用意されて、回路基板100の撮像画像が表示される。
また設定操作領域82が用意されて、各種設定操作のための入力ウインドウを呼び出すことができる。例えば設定操作領域82のボタンクリックにより、禁止領域の設定操作、画像高さ表示の指示操作、塗布軌跡(スプレーパス)の表示指示などが可能とされている。
なお転送ボタン83は、上述のようにスプレーパス情報や高さ測定データの設定情報とうのコーティング装置1への転送を指示する操作子である。
【0082】
ここで撮像画像領域81に表示された回路基板100をみると、各種の電子部品110、111,112,113等がマウントされている様子が表示されている。なおここでは、例えば電解コンデンサやトランス等の比較的背の高い部品を「電子部品110」としている。特には高さが10mm以上の部品である。
各電子部品110等については、撮像が正確に真上から行われるものとはならない。撮像画像は、カメラのレンズの光軸中心からみた被写体を平面化した画像であるためである。このためわずかに斜視的に表示される。特に比較的高さのある電子部品110だと、その側面Sが明確に現れている状態である。つまり正確な平面図的な画像ではない。
そのため電子部品110等の配置(特に上面の位置)は、撮像画像上では、実際の回路基板100上でのX−Y座標値には、正確に一致はしていない。
【0083】
すると、オペレータにとっては、特に高さのある電子部品110の位置が撮像画像からは正確に判断できないことになる。
塗布時のノズル3の高さ(
図2のt)が10mmであるとすると、10mm以上の電子部品110の位置が正確に判断できないことは、オペレータによるスプレーパスを確認する際に都合が悪い。設定されたスプレーパスによって、ノズル3の電子部品110等への衝突が発生しないか否かが正確に判断できないためである。
【0084】
そこで本実施の形態では、CPU251は
図11の処理を行うことにより高さ識別表示を実行できるようにしている。
図11の処理はCPU251が、
図6の撮像データ取得部301の機能(
図9のS101)、測定データ取得部302の機能(
図9のS103)で取得したデータを用いて、表示データ生成部303,表示制御部304の機能により実行する処理である。
【0085】
例えばCPU251は、
図12の設定操作領域82で画像高さ表示の指示入力が行われた場合に、
図11の処理を行う。ここでいう画像高さ表示とは、撮像画像領域81の基板100の画像上で、所定以上の高さの領域を識別する高さ識別表示を行うことである。
【0086】
画像高さ表示の指示入力に応じて高さ識別表示を実行する場合、CPU251はステップS200からS201に進み、識別表示する高さの閾値thZを取得する。
なお閾値thZとは、その閾値以上の高さの部分を表示させるための値である。
閾値thZは、オペレータが任意に設定できるようにすることが望ましい。例えば設定用の入力部を設けて表示高さとしての値(閾値thZ)を入力可能とする。オペレータは、例えば任意の高さ以上の領域を確認したい場合に、その高さの値を入力すればよい。
また閾値thZは、スプレーパスで設定される塗布高さの値に基づいて自動設定されてもよい。例えば塗布高さt=10mmの場合に、閾値thZ=10mmとされたり、或いは少々余裕をもった値として固定値(例えば0.2mm)を減算し、閾値thZ=9.8mmに設定されるなどである。
【0087】
ステップS202でCPU251は高さ測定データが閾値thZ以上となっているという条件に該当する位置としてのX−Y座標値を抽出する。
上述した高さ測定の結果として、原点aを座標(0,0)としたX−Y座標の各点について得られた高さ測定データ(Z値)が対応して記憶されている。その各Z値と閾値thZと順次比較していき、Z値が閾値thZ以上の座標を全て条件該当位置として抽出する。
【0088】
ステップS203でCPU251は、条件該当位置として抽出したX−Y座標値のそれぞれが対応する、撮像データの画素を判定する。撮像画像における基板100は、必ずしも正確なX−Y座標と対応していない。そこで高さ測定データから閾値thZ以上の高さの条件該当位置として抽出したX−Y座標値について、表示している撮像画像上で対応する画素位置を判定する。
【0089】
ステップS204でCPU251は、閾値thZ以上の高さの条件該当位置に相当する画素において、高さ識別用の表示が行われるように画素値を変換して表示データとする。例えば画素値を赤色表示が行われる画素値に置き換える。
そしてステップS205でCPU251は、表示データに基づいた表示が撮像画像領域81において行われるように制御する。
【0090】
以上の処理の結果として、撮像画像領域81には、例えば
図13Aのような表示が行われることになる。例えば特定色領域150として、特定の色に塗りつぶされた領域が、回路基板100上の撮像画像に重畳するように表示されている。特定色領域150は例えば全て赤色の画像とされるなどして、回路基板100の撮像画像上で明確にその位置を識別できるような態様とされている。もちろん赤色でなくてもよいが、目立つ表示態様であることが望ましい。
【0091】
上記処理から理解されるように、この特定色領域150は、高さ測定データの値が閾値thZ以上となっている部分を、正確なX−Y座標において提示するものである。正確なX−Y座標とは、撮像画像の影響を受けず、コーティング装置1上に配置される状態で原点aからの平面座標としての座標値に即した表示であるということである。
このため、実際に閾値thZ以上となる特定色領域150は、電子部品110の画像とは微妙にずれた状態となっている。ところが、これはX−Y座標値に基づく表示となっているため、特定色領域150が、設定したスプレーパスに対応する状態で、閾値thZ以上のエリアを示すものとなっている。
【0092】
このように例えば特定色領域150として高さ識別表示を行うようにすることで、オペレータは閾値thZより高い領域を正確に把握できるため、禁止エリアARの指定やスプレーパスの確認に好適となる。
【0093】
図13Bは、オペレータが特定色領域150をガイドにして禁止エリアARを設定している様子を示している。破線が禁止エリアARを指定するラインとする。ここでは特定色領域150を囲むように禁止エリアARを指定している状態である。
禁止エリアARは、電子部品110の上面などとすることが多いため、特定色領域150により電子部品110の上面の位置を把握することで、望みの禁止エリアAR設定を容易に行うことができ、また禁止エリアAR設定を精密に行うことができる。
【0094】
図13Cは、撮像画像上に特定色領域150を重畳し、かつスプレーパスを重畳表示した例である。例えばCPU251は
図9のステップS108でスプレーパスを提示する際に、
図11の処理を行い、そのステップS205で撮像画像への特定色領域150の重畳に加えてスプレーパスの画像も重畳する。これにより
図13Cのように特定色領域150とともにスプレーパスも表示される。スプレーパスはパスを示すラインとパスマーカPMによって表現されている。
このように撮像画像上に、スプレーパスと特定色領域150をともに表示させることで、設定したスプレーパスの適格性をオペレータが確認しやすくなる。
即ち設定されたスプレーパスが、電子部品110等に衝突しないものであるか否かを正確に確認できる。また設定されたスプレーパスが、禁止エリアARを適切に設定したものであるか否かも正確に確認できる。
【0095】
なお、撮像画像は表示させずに、スプレーパスと特定色領域150(所定以上の高さ以上の領域識別表示)のみを重ねて表示させるようにできると、状況によっては見やすいものとすることができる。
【0096】
ここで、
図9のステップS103で行う高さデータのズレ補正について説明する。
高さ測定データの値が閾値thZ以上となる位置を特定色領域150として表示させる場合、
図14Aのようにヒゲ状に乱れた形状が生じることがある。これはレーザスキャンによる高さ測定の際のタイムラグによるものである。
例えば
図10BのようにY方向にレーザスキャンを行う例で考える。コーティング装置1の主制御部30は、各ラインのスキャン開始タイミングをモータコントローラ35に指示するわけであるが、主制御部30が把握するスキャン開始タイミングに対して、実際にXモータ8,Yモータ7の移動開始タイミングにはわずかな遅れが生ずる。さらに主制御部30がレーザセンサ25からの高さ検出値を取得するまでの時間差も生ずる。
これらの事情で、スキャンの往路と復路で検出された高さ値とY座標値のズレが生ずる。
【0097】
例えばY方向スキャンの場合、レーザスキャンは
図14Bのように、回路基板100よりやや広い範囲であるスキャン範囲SCLの区間で行われる。
ところが上記の開始タイミングからの遅延により、ラインL1,L3・・・の往路では、実線矢印に示す範囲の高さ値が検出される。またラインL2,L4・・・の復路では、破線矢印に示す範囲の高さ値が検出される。
この結果、検出された高さ測定データをそのまま用いると、閾値thZ以上となる位置が、往路スキャンが行われた部分と復路スキャンが行われた部分とでずれてしまい、特定色領域150が
図14Aのように、スキャン方向にヒゲが生じた状態となる。
【0098】
そこでステップS103では、取得した高さ測定データを補正する。補正は往路スキャンの高さ測定データと復路スキャンの高さ測定データについて、
図14Cのように、互いに範囲が一致するようにY座標値をずらせば良い。具体的には
図14Cの往路LOについての高さ測定データは、Y座標値が所定値だけ原点に近づく値に補正し、復路LEについての高さ測定データは、Y座標値が所定値だけ原点から遠くなる値に補正する。所定値は、オペレータが入力すればよい。例えば画面を見ながら、ヒゲがなくなるように所定値を可変入力していけばよい。
或いは、ズレ幅Δyの1/2を所定値とし、往路LOについての高さ測定データは、Y座標値を−Δy/2の値に補正し、復路LEについての高さ測定データは、Y座標値を+Δy/2の値に補正するようにしてもよい。
これにより往路と復路での検出位置のズレを解消した状態で特定色領域150の表示に反映させる。例えば
図14Aのような表示が行われる場合でも、補正により
図13Aのような表示とすることができる。
【0099】
なお、回路基板100よりやや広い範囲であるスキャン範囲SCLで高さ検出をおこなうため、上記のズレに応じた補正を行っても回路基板100の一部で高さ検出データが欠損することはないようにされている。
【0100】
<5.まとめ及び変形例>
以上の実施の形態では次のような効果が得られる。
実施の形態のコンピュータ装置200は、塗布処理対象物(回路基板100)の撮像画像を表示装置(ディスプレイ256)に表示させる情報処理装置である。そして、塗布処理対象物の塗布面の撮像データを取得する撮像データ取得部301と、塗布処理対象物の塗布面の各所の高さを測定した高さ測定データを取得する測定データ取得部302と、塗布面において高さ測定データが閾値の比較結果に基づく条件該当位置を判別し、撮像データ上で条件該当位置が特定色領域150として識別可能に表示されるように表示データを生成する表示データ生成部303と、生成した表示データを表示装置に表示させる表示制御部304とを備える。
回路基板100などの塗布処理対象物の撮像画像は、塗布処理に関する各種の設定のためにオペレータに対して表示される。この場合に、平面的な画像上で例えば高さが閾値thZ以上の箇所を明示するようにする。
撮像画像は、撮像時のレンズの光軸中心からみた被写体を平面化した画像であるため、基板の上面の全域の全てを真上から表しているものではない。このため撮像画像に写っている電子部品110等の上面は、画像上で正しい位置に現れているとは限らない。
一方、撮像画像でスプレーパスを確認したり、或いは撮像画像を用いて禁止エリアARを設定することは、オペレータにとってやりやすいものとなる。ところが上記の撮像画像の事情で、電子部品110等の位置がずれていると、禁止エリアARの設定やスプレーパスの確認に不適となる。そこで本実施の形態では、高さ測定データを用いて、正しい座標位置として閾値以上の高さの領域が識別できるような表示を行うようにしている。
これにより回路基板100をそのまま認識できる撮像画像を用いながら正確な高さ情報をオペレータに与えることができ、オペレータは高い箇所を正確に認識して設定や確認を行うことができるようになる。そしてこのため設定や確認の精度が向上し、塗布工程の正確性や効率が向上される。
なお、コーティング装置1の主制御部30が、表示部9に回路基板100の撮像画像を表示させる場合に、以上のような高さ識別表示を行うようにしてもよい。主制御部30が撮像データ取得部301、測定データ取得部302、表示データ生成部303、表示制御部304を備え
図11の処理を行うようにすればよい。この場合も同様の効果が得られる。
【0101】
閾値thZはオペレータが入力可能とすることが望ましい。これにより任意の高さ以上の部分を表示させることができる。特に、スプレーパスにおける塗布高さに応じて閾値thZを設定し、高さ識別表示をさせることで、例えばスプレーパスの適格性の確認に好適となる。
高さ識別表示は、閾値との比較の結果で判定された条件該当位置を提示できるものであればよい。条件該当位置を抽出する場合の条件は、高さ測定データ値が閾値thZ以上という条件に限らず、他の条件でもよい。
例えば高さ測定データの値が閾値thZを越えることを条件としてその条件該当位置を提示することや、閾値thZ以下である条件該当位置とを提示すること、さらには閾値thZ未満という条件該当位置を提示することなども考えられる。いずれにしても高さに関する条件に該当する位置が表示されることで、オペレータは回路基板100上の各位置の高さを正確に把握できる。
【0102】
高さ識別表示として特定色領域150による表示を行う例を述べたが、これに限らず、多様な表示態様が考えられる。例えば該当位置のみカラー画像としたり、該当位置のみモノクロ画像としたり、該当位置をハイライト表示や高輝度表示とさせることが考えられる。また該当位置を囲うように領域の輪郭線を表示するなども考えられる。
【0103】
実施の形態では、高さ測定データについて測定時のスキャン方向に応じて発生したスキャン方向の座標値のずれを補正し、当該補正が反映された表示データを生成するようにしている(
図14参照)。
これによりオペレータがレーザスキャン測定時のずれの影響のない状態で回路基板100上の高い箇所を確認できる。
【0104】
実施の形態では、スプレーパス設定情報が重畳表示される表示データを生成する例を述べた(
図13C)。高さの情報とともに、スプレーパス設定情報を表示することで、オペレータは、現在のスプレーパス設定が、電子部品110等の高さとの関連で適切なものか否かを正確に判断することができる。
【0105】
実施の形態では、塗布禁止エリアの設定の際に、高さ測定データが閾値thZ以上となる該当位置を撮像データ上で識別可能に表示される表示データを生成する例を述べた(
図13B)。
これによりオペレータが高さの情報を確認しながら禁止エリアARを設定できるため、禁止エリアARを正確に設定できる。つまり電子部品110等を禁止エリアARとしたいときに、その電子部品110等の位置を高さ表示に基づいて正確に認識しながらエリア選択を行うことで、実際の電子部品110等の位置を正確に禁止エリアARに指定できる。換言すれば、撮像画像のみを頼りにした範囲指定を行って禁止エリアがずれてしまうということがなくなる。
また、より正確に禁止エリアARを反映したスプレーパス設定を実現できる。
【0106】
実施の形態では、ノズル3から扇状のスプレーパターンが吐出される例としたが、必ずしも扇状のスプレーパターンを吐出するノズルでなくともよい。
例えば円錐状に広がるスプレーパターンを吐出するノズルであっても本発明は適用できる。
またノズル3とニードルという2つの吐出部を備えた液体吐出装置としても実現可能である。ニードルとは細径の吐出口を持つ針状ノズルであり、電子部品間の狭い領域等に塗布できるものである。その場合、ニードルについてもスプレーパスが設定されることが考えられる。
【0107】
また実施の形態のコーティング装置1は、回路基板100に薄膜を形成する装置に限ることなく、各種の塗布処理対象物に対して薄膜等を形成するコーティング装置に適用できる。薄膜とは、防湿膜、防さび膜、塗装膜、着色膜など、各種の膜のコーティングに適用できる。
また実施の形態で説明したスプレーパスの設定処理は、膜形成、洗浄、塗装など、各種の目的で加圧液体の吐出を行う液体吐出装置のスプレーパス設定手法として広く適用できる。さらに基板接着装置やレーザ加工装置などに応用することもできる。
【0108】
<6.プログラム>
実施の形態のプログラムは、上述の
図9及び
図11の処理を、例えばCPU、DSP(Digital Signal Processor)等の演算処理装置に実行させるプログラムである。
即ち塗布処理対象物の塗布面の撮像データを取得する撮像データ取得ステップ(S101)と、塗布処理対象物の塗布面の各所の高さを測定した高さ測定データを取得する測定データ取得ステップ(S103)と、塗布面において高さ測定データと閾値の比較結果に基づく条件該当位置を判別し、撮像データ上で条件該当位置が識別可能に表示されるように表示データを生成する表示データ生成ステップ(S201〜S204)と、生成した表示データを表示装置に表示させる表示制御ステップ(S205)を情報処理装置に実行させるプログラムである。
このようなプログラムによれば、実施の形態のコンピュータ装置200やコーティング装置1等の塗布装置の広範な提供に適している。
【0109】
以上のプログラムは、コーティング装置1やコンピュータ装置200に内蔵されている記録媒体としてのメモリ部34或いは、HDD等や、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROM等に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))、磁気ディスク、半導体メモリ、メモリカードなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記録媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。