(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
周方向に間隔をあけて配置された複数の前記メインバーナーを、一または互いに周方向に隣接する複数のメインバーナーからなり、且つ、同数のメインバーナーからなる群に周方向に分割した場合に、
少なくとも一つの前記群における第一バーナー及び第二バーナーの配置関係が、他の前記群と異なる請求項1に記載の燃焼器。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第一実施形態)
次に、この発明の第一実施形態における燃焼器及びガスタービンを図面に基づき説明する。
図1は、この発明の第一実施形態におけるガスタービンの概略構成を示す図である。
図1に示すように、ガスタービン1は、圧縮機2と、燃焼器3と、タービン4と、を備えている。
圧縮機2は、空気Aを圧縮して圧縮空気を生成する。燃焼器3は、燃料Fを圧縮機2で生成した圧縮空気中で燃焼させて高温高圧の燃焼ガスを生成する。タービン4は、燃焼器3により生成された燃焼ガスにより駆動され、燃焼ガスのエネルギーを回転エネルギーに変換する。
【0015】
圧縮機2は、圧縮機ロータ6と、圧縮機ケーシング7と、を備えている。また、タービン4は、タービンロータ8と、タービンケーシング9と、を備えている。
圧縮機ロータ6とタービンロータ8は、直列に配置されて回転軸線Arを中心に回転する。タービンロータ8と圧縮機ロータ6とは一体に連結されており、これら圧縮機ロータ6とタービンロータ8とによってガスタービンロータ10が構成されている。このガスタービンロータ10には、例えば、発電機GENのロータが連結されている。
【0016】
圧縮機ケーシング7は、圧縮機ロータ6を覆うとともに回転可能に支持している。同様に、タービンケーシング9は、タービンロータ8を覆うとともに回転可能に支持している。圧縮機ケーシング7とタービンケーシング9とは連結されており、これら圧縮機ロータ6とタービンロータ8とによってガスタービンロータ10が構成されている。このガスタービンケーシング11には、燃焼器3が固定されている。
【0017】
図2は、この発明の第一実施形態における燃焼器の概略構成を示す図である。
図3は、この発明の第一実施形態におけるメインバーナーの配置を示す図である。
図2に示すように、燃焼器3は、燃焼筒(又は尾筒)13と、燃料噴出器14Aとを備えている。燃焼筒13は、その内部で燃料Fを燃焼させて、この燃料Fの燃焼の結果生成される燃焼ガスをタービン4に送る。燃料噴出器14Aは、燃焼筒13内に燃料F及び圧縮空気Aを噴出する。
【0018】
図3に示すように、燃料噴出器14Aは、パイロットバーナー15と、メインバーナー16と、バーナー保持筒17と、を備えている。
パイロットバーナー15は、燃焼器軸線Ac上に配置され、燃料を拡散燃焼させる。このパイロットバーナー15は、パイロットノズル18と、パイロットバーナー筒19と、パイロットスワラ(図示せず)と、を備えている。
【0019】
パイロットノズル18は、燃焼器軸線Acを中心として軸線方向Daに延びるように形成されている。このパイロットノズル18は、例えば、その下流側端部に燃料噴射用の噴射孔18aを有している。
【0020】
パイロットバーナー筒19は本体部21と、コーン部22と、を備えている。本体部21は、パイロットノズル18の外周を覆っている。コーン部22は、本体部21の下流側に配置されて、下流側向かって次第に拡径するように形成されている。
【0021】
パイロットスワラ(図示せず)は、パイロットノズル18の噴射孔が形成されている位置よりも軸線方向Daで上流側に配置されている。このパイロットスワラ(図示せず)は、上流側から流れてきた圧縮空気(一次空気)Aを、燃焼器軸線Acを旋回中心にして旋回させる。パイロットスワラ(図示せず)は、パイロットバーナー筒19の本体部21の内周面から径方向内側に延びている。これらパイロットスワラ(図示せず)は、例えば、周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0022】
上述した構成を備えるパイロットバーナー15は、そのパイロットバーナー筒19内に、圧縮機2で圧縮された圧縮空気Aが上流側から流入する。また、パイロットノズル18の噴射孔から燃料が噴射される。この燃料は、パイロットスワラ(図示せず)により旋回成分を付与された圧縮空気Aと共に、パイロットバーナー筒19から燃焼筒13に向けて噴出され、燃焼筒13内で拡散燃焼する。
【0023】
メインバーナー16は、複数設けられ、パイロットバーナー15の外周を囲むように配置され、燃料を予混合燃焼させる。これらメインバーナー16は、燃焼器軸線Acを中心とした周方向に間隔をあけて、より具体的には等間隔に配置されている。
メインバーナー16は、メインノズル23と、メインバーナー筒24と、メインスワラ25と、を備えている。
メインノズル23は、燃焼器軸線Acと平行に延びるように形成されている。これらメインノズル23は、例えば、その外周面に燃料噴射用の噴射孔23aを有している。
【0024】
メインバーナー筒24は、メインノズル23の外周を覆っている。
図3に例示するメインバーナー筒24は、燃焼器軸線Acを中心とした径方向における内側に配置される部分が、パイロットバーナー筒19の一部を兼ねている。
メインスワラ25は、上流側から流れてきた圧縮空気(一次空気)Aを、メインノズル23を旋回中心にして旋回させる。メインスワラ25は、メインバーナー筒24の内周面からメインノズル23に向かって延びている。メインスワラ25は、複数設けられたメインバーナー16において、それぞれメインノズル23を中心とした周方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0025】
バーナー保持筒17は、上述したパイロットバーナー15及びメインバーナー16を保持している。より具体的には、複数のメインバーナー16がパイロットバーナー15の外周を囲むように、パイロットバーナー15及びメインバーナー16を保持している。
【0026】
上述した構成を備えるメインバーナー16は、そのメインバーナー筒24内に、圧縮機2で圧縮された圧縮空気Aが上流側から流入する。また、メインノズル23の噴射孔から燃料が噴射される。この燃料は、メインスワラ25により旋回成分を付与された圧縮空気Aと混合され、又は、圧縮空気Aに噴射された後にメインスワラ25により旋回成分が付与される。これら燃料と圧縮空気Aとが混合された予混合気体は、燃焼筒13に向けて噴出され、燃焼筒13内で予混合燃焼する。
【0027】
図4は、この発明の第一実施形態におけるメインバーナーの旋回方向を示す図である。
図4に示すように、メインバーナー16は、メインスワラ25による旋回方向が互いに逆方向となる第一バーナー16Aと、第二バーナー16Bと、を備えている。これら第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとは、旋回方向が互いに逆方向である点を除いて、同一の構成となっている。なお、
図4において、パイロットバーナー15の図示を省略している。
【0028】
この第一実施形態における第一バーナー16Aは、燃焼筒13側から見て旋回方向が左回りになり、第二バーナー16Bは、燃焼筒13側から見て旋回方向が右回りになっている。また、この第一実施形態における燃料噴出器14Aは、5つの第一バーナー16Aが周方向に連続して配置されるとともに、3つの第二バーナー16Bが周方向に連続して配置されている。ここで、
図4に示す燃料噴出器14Aは、8つのメインバーナー16を備える場合を示しているが、メインバーナー16の数は、複数であれば9つ以上や、7つ以下であっても良い。なお、
図4において、周方向の8つのメインバーナー16の位置をそれぞれ配置番号「1」から「8」で示している。
【0029】
燃料噴出器14Aは、周方向の全周に渡って非周期的な配置パターンで第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが配置されている。ここで、「周期的な配置パターン」とは、燃焼器軸線Acを中心として周方向に一周する間に、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの配置されている順序のパターンが同一のパターンのみで繰り返されることである。周期的な場合の一例としては、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが周方向に交互に配置されている場合や、第一バーナー16Aのみが配置される場合や、第二バーナー16Bのみが配置される場合などを挙げることができる。
つまり、この第一実施形態における燃料噴出器14Aにおけるメインバーナー16の配置パターンは、燃焼器軸線Acを中心として周方向に一周する間に、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの配置されている順序のパターンが同一のパターンのみで繰り返されていない。
【0030】
また、燃料噴出器14Aは、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが、燃焼器軸線Acを中心とした周方向で非対称な配置パターンで配置されている。この周方向で非対称な配置パターンとは、いわゆる回転対称となるような順序で第一バーナー16Aと第二バーナー16Bが配置されていないことを意味している。なお、以下の実施形態の説明においては、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの配置パターンの非周期性の指標の一例として、発熱率重心と合成ベクトルとを用いているが、何れか一方だけ用いても良い。
【0031】
燃料噴出器14Aは、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが、複数のメインバーナー16の全体の発熱率の重心位置g(
図5参照)が、周方向の中心位置である燃焼器軸線Acからオフセットする配置パターンで配置されている。周方向で全てが第一バーナー16Aである場合、周方向ですべてが第二バーナー16Bである場合、及び、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが周方向で交互に配置されている場合には、全周で発熱率がバランスされるため、発熱率の重心位置gと燃焼器軸線Acとは実質的に一致する。
【0032】
図5は、この発明の第一実施形態における発熱率の重心位置を示す図である。ここで、
図5において「8−1」,「1−2」,「2−3」,「3−4」,「4−5」,「5−6」,「6−7」は、それぞれ
図4に示すメインバーナー16の配置番号に対応した位置である。一例を示すと、「8−1」は、メインバーナー16の位置「1」と「8」の間の位置を示している。
【0033】
図5に示すように、この第一実施形態の燃料噴出器14Aは、3つの第二バーナー16Bが周方向に連続して配置され、5つの第一バーナー16Aが周方向に連続して配置されるため、周方向において発熱率に偏りが生じて位置「8−1」の外側にオフセットしている。この発熱率の偏りは、周方向で隣り合う第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの境界におけるスワールの向きによるものと考えられる。そのため、この燃料噴出器14Aの発熱率の重心位置gは、燃焼器軸線Acから位置「8−1」側にオフセットしている。ここで、
図5において、全周に第一バーナー16Aが設けられている場合(後述するケース0の場合)、周方向の全周に渡って発熱率が「1」となる(
図5中、実線で示す)。そして、この場合、発熱率の重心位置gは、燃焼器軸線Acと重なる。また、径方向外側に向かうスワールが強い場合は、発熱率を1.5とし、径方向内側に向かうスワールが強い場合は、発熱率を0.5としている(
図5中、破線で示す)。
【0034】
さらに、燃料噴出器14Aは、周方向における第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの境界に生じる径方向の流れの向きに応じた単位ベクトルをそれぞれ合成した合成ベクトルの大きさが単位ベクトルの大きさ以上となる配置パターンで配置されている。
【0035】
例えば、隣り合うメインバーナー16の旋回方向が同一の場合、境界において互いの旋回流同士が打ち消し合うように作用するので、径方向の流れは実質的に生じないものとする。その一方で、隣り合うメインバーナー16の旋回方向が逆方向の場合、その境界において互いの旋回流が径方向で同一の方向に向かう。つまり、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの境界には、燃焼器軸線Acを中心とした径方向内側又は径方向外側への流れが生じる。この境界に生じる径方向の流れを大きさが「1」の単位ベクトルで表すと、
図4に示すような径方向外側に向かう単位ベクトルUAと、径方向内側に向かう単位ベクトルUBとを描くことができる。
【0036】
図6は、この発明の第一実施形態における合成ベクトルを示す図である。
図6に示すように、この第一実施形態における燃料噴出器14は、燃焼器軸線Acの位置を原点としての(0,0)座標とすると、単位ベクトルUAは、(0,0)座標から(0,1)座標に至る。また、単位ベクトルUBは、(−0.71,0.71)座標から(0,0)座標に至る。そして、これら単位ベクトルUA,UBの和(以下、合成ベクトルSVと称する)の大きさは、1.8程度となる。すなわち、単位ベクトルUA,UBの合成ベクトルSVの大きさは、1以上となっている。
【0037】
また、この発明の第一実施形態における燃料噴出器14Aは、周方向に間隔をあけて配置された複数のメインバーナー16を、互いに周方向に隣接する複数のメインバーナー16からなり、且つ、同数のメインバーナー16からなる群に周方向に分割した場合に、少なくとも一つの群における第一バーナー16A及び第二バーナー16Bの周方向の配置順(配置関係)が、他の群と異なるようになっている。
【0038】
図4に示すように、この第一実施形態の燃料噴出器14Aは、周方向に隣接する2つのメインバーナー16を一つの群とすると、周方向に4つの群が設定できる。この場合、周方向のうち一方向(例えば、右回り)で見ると、メインバーナー16の配置番号で「8」及び「7」の2つの第二バーナー16Bからなる第一群G1と、配置番号「6」及び「5」の一つの第二バーナー16Bと一つの第一バーナー16Aとからなる第二群G2と、が設定できる。さらに、メインバーナー16の配置番号で「4」及び「3」の2つの第一バーナー16Aのみからなる第三群G3と、配置番号「2」及び「1」の2つの第一バーナー16Aのみからなる第四群G4と、が設定できる。そして、第一群G1は、第二群G2から第四群G4の何れに対しても周方向の第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの配置順が異なっている。なお、上述した群として組み合わせるメインバーナー16は、上述したものに限られない。例えば、メインバーナー16の配置番号で「7」を周方向の始点として、配置番号「7」と「6」、「5」と「4」、「3」と「2」、「1」と「8」等による各群を構成しても同様である。
【0039】
この第一実施形態の燃料噴出器14Aは、8つのメインバーナー16を有しているため、複数のメインバーナー16を周方向に等分できる個数は、2個又は4個である。図示は省略するが、4個の場合も2個の場合と同様に、それぞれの群における第一バーナー16Aと第二バーナー16Bの配置順は異なるものとなる。
【0040】
したがって、上述した第一実施形態によれば、燃焼器軸線Acを中心とする周方向の全周に渡って非周期的な配置パターンで第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが配置されている。
これにより、外形が異なる複数種のメインバーナーを用いずに、周方向で一様ではない火炎を形成することができる。
その結果、メインバーナー16の製造に係る工数が増加することを抑制しつつ、燃焼振動の発生を抑制することができる。
【0041】
また、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとを回転対称に配置しないため、周方向で一様な火炎となることを抑制できる。
【0042】
さらに、各メインバーナー16による火炎の発熱率を指標とした重心位置gを、複数のメインバーナー16の配置の中心位置である燃焼器軸線Acからオフセットさせることで、周方向における火炎のバランスを崩して一様な火炎となることを抑制できる。
【0043】
また、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの周方向における配置パターンを、合成ベクトルSVの大きさが単位ベクトルUAの大きさ以上となる配置パターンとすることで、周方向における火炎のバランスを崩して一様な火炎となることを抑制できる。
【0044】
さらに、周方向に間隔をあけて配置された複数のメインバーナー16を、一または互いに周方向に隣接する複数のメインバーナー16からなり、且つ、同数のメインバーナー16からなる群に周方向に分割した場合に、少なくとも一つの群における第一バーナー16A及び第二バーナー16Bの配置関係が、他の群と異なるようにしている。そのため、周方向において一様な火炎が形成されることを抑制できる。
【0045】
(第二実施形態)
次に、この発明の第二実施形態を図面に基づき説明する。この第二実施形態は、上述した第一実施形態に対してメインバーナーの配置パターンを変化させたものである。そのため、上述した第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
【0046】
図7は、この発明の第二実施形態における
図4に相当する図である。
図7に示すように、この第二実施形態における燃料噴出器14Bは、上述した第一実施形態の燃料噴出器14Aと同様に、複数のメインバーナー16として第一バーナー16Aと、第二バーナー16Bと、を備えている。これら第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとは、旋回方向が互いに逆方向である点を除いて、同一の構成となっている。
【0047】
この第二実施形態における燃料噴出器14Bは、6つの第一バーナー16Aが周方向に連続して配置されるとともに、2つの第二バーナー16Bが周方向に連続して配置されている。
図7に示す燃料噴出器14Bは、
図4と同様に、8つのメインバーナー16を備える場合を示しているが、メインバーナー16の数は、複数であれば9つ以上や、7つ以下であっても良い。
【0048】
燃料噴出器14Bは、燃料噴出器14Aと同様に、周方向の全周に渡って非周期的な配置パターンで第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが配置されている。
さらに、燃料噴出器14Bは、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが、燃焼器軸線Acを中心とした周方向で非対称な配置パターン(回転対称ではない配置パターン)で配置されている。
【0049】
また、燃料噴出器14Bは、第一実施形態の燃料噴出器14Aと同様に、その発熱率の重心位置gが、燃焼器軸線Acからオフセットしている。
さらに、燃料噴出器14Bは、周方向における第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの境界に生じる径方向の流れの向きに応じた単位ベクトルUA,UBをそれぞれ合成した合成ベクトルSVの大きさが単位ベクトルUA(又はUB)の大きさ以上となる配置パターンで配置されている。
【0050】
また、燃料噴出器14Bは、周方向に隣接する2つのメインバーナー16を一つの群とすると、周方向に4つの群が設定できる。この場合、周方向のうち一方向(例えば、右回り)で見ると、2つの第二バーナー16Bからなる第一群G1と、二つの第一バーナー16Aからなる第二群G2から第四群G4と、が設定できる。そして、第一群G1は、第二群G2から第四群G4の何れに対しても周方向の第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの配置順が異なっている。なお、この第二実施形態の燃料噴出器14Bも、第一実施形態と同様に、8つのメインバーナー16を有している。つまり、複数のメインバーナー16を周方向に等分できる個数は、2個又は4個である。
【0051】
したがって、上述した第二実施形態によれば、第一実施形態と同様に、燃焼器軸線Acを中心とする周方向の全周に渡って非周期的な配置パターンで第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが配置されている。
これにより、外形が異なる複数種のメインバーナーを用いずに、周方向で一様ではない火炎を形成することができる。
その結果、メインバーナー16の製造に係る工数が増加することを抑制しつつ、燃焼振動の発生を抑制することができる。
【0052】
また、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとを回転対称に配置しないため、周方向で一様な火炎となることを抑制できる。
【0053】
さらに、各メインバーナー16による火炎の発熱率を指標とした重心位置gを、複数のメインバーナー16の配置の中心位置である燃焼器軸線Acからオフセットしているため、周方向における火炎のバランスを崩して一様な火炎となることを抑制できる。
【0054】
また、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの周方向における配置パターンを、合成ベクトルSVの大きさが単位ベクトルUA(又は、UB)の大きさ以上となる配置パターンとすることで、周方向における火炎のバランスを崩して一様な火炎となることを抑制できる。
【0055】
さらに、周方向に間隔をあけて配置された複数のメインバーナー16を、一または互いに周方向に隣接する複数のメインバーナー16からなり、且つ、同数のメインバーナー16からなる群に周方向に分割した場合に、少なくとも一つの群における第一バーナー16A及び第二バーナー16Bの配置関係が、他の群と異なるようにしている。そのため、周方向において一様な火炎が形成されることを抑制できる。
【0056】
(第三実施形態)
次に、この発明の第三実施形態を図面に基づき説明する。この第三実施形態は、第二実施形態と同様に、上述した第一実施形態に対してメインバーナーの配置パターンを変化させたものである。そのため、上述した第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
【0057】
図8は、この発明の第三実施形態における
図4に相当する図である。
図8に示すように、この第三実施形態における燃料噴出器14Cは、上述した第一実施形態の燃料噴出器14Aと同様に、複数のメインバーナー16として第一バーナー16Aと、第二バーナー16Bと、を備えている。これら第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとは、旋回方向が互いに逆方向である点を除いて、同一の構成となっている。
【0058】
この第三実施形態における燃料噴出器14Cは、4つの第一バーナー16Aが周方向に連続して配置されるとともに、4つの第二バーナー16Bが周方向に連続して配置されている。
図8に示す燃料噴出器14Cは、
図4と同様に、8つのメインバーナー16を備える場合を示しているが、メインバーナー16の数は、複数であれば9つ以上や、7つ以下であっても良い。
【0059】
燃料噴出器14Cは、燃料噴出器14Aと同様に、周方向の全周に渡って非周期的な配置パターンで第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが配置されている。
ここで、第三実施形態においては、一見すると周期的な配置パターンであるように見える。しかし、ここで言う周期的な配置パターンとは、周方向で第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが隣り合う配置パターンにおいて、例えば、周方向で第一バーナー16A、第二バーナー16Bの順、又は、第二バーナー16B、第一バーナー16Aの順の何れかの配置パターンが周方向に一周する間に2回以上現れる配置パターンを意味する。
【0060】
さらに、燃料噴出器14Bは、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが、燃焼器軸線Acを中心とした周方向で非対称な配置パターン(回転対称ではない配置パターン)で配置されている。
また、燃料噴出器14Bは、第一実施形態の燃料噴出器14Aと同様に、その発熱率の重心位置gが、燃焼器軸線Acからオフセットしている。
さらに、図示は省略するが、燃料噴出器14Bは、周方向における第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの境界に生じる径方向の流れの向きに応じた単位ベクトルUA,UBをそれぞれ合成した合成ベクトルSVの大きさが単位ベクトルUA(又は、UB)の大きさ以上となる配置パターンで配置されている。なお、この第三実施形態における合成ベクトルSVの大きさは、単位ベクトルUA(又は、UB)に対して2倍の大きさとなっている。
【0061】
また、燃料噴出器14Bは、周方向に隣接する2つのメインバーナー16を一つの群とすると、周方向に4つの群が設定できる。この場合、周方向のうち一方向(例えば、右回り)で見ると、メインバーナー16の配置位置が「1」と「8」の1つの第一バーナー16Aと一つの第二バーナー16Bとからなる第一群G1と、二つの第一バーナー16Aからなる第二群G2と、一つの第二バーナー16Bと一つの第一バーナー16Aとからなる第三群G3と、二つの第一バーナー16Aからなる第四群G4と、が設定できる。そして、第一群G1は、第二群G2から第四群G4の何れに対しても周方向の第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの配置順が異なっている。なお、この第三実施形態の燃料噴出器14Cも、第一実施形態と同様に、8つのメインバーナー16を有している。つまり、複数のメインバーナー16を周方向に等分できる個数は、2個又は4個である。
【0062】
したがって、上述した第三実施形態によれば、第一実施形態と同様に、燃焼器軸線Acを中心とする周方向の全周に渡って非周期的な配置パターンで第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが配置されている。
これにより、外形が異なる複数種のメインバーナーを用いずに、周方向で一様ではない火炎を形成することができる。
その結果、メインバーナー16の製造に係る工数が増加することを抑制しつつ、燃焼振動の発生を抑制することができる。
【0063】
また、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとを回転対称に配置しないため、周方向で一様な火炎となることを抑制できる。
【0064】
さらに、各メインバーナー16による火炎の発熱率を指標とした重心位置gを、複数のメインバーナー16の配置の中心位置である燃焼器軸線Acからオフセットしているため、周方向における火炎のバランスを崩して一様な火炎となることを抑制できる。
【0065】
また、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの周方向における配置パターンを、合成ベクトルSVの大きさが単位ベクトルUA(又は、UB)の大きさ以上となる配置パターンとすることで、周方向における火炎のバランスを崩して一様な火炎となることを抑制できる。
【0066】
さらに、周方向に間隔をあけて配置された複数のメインバーナー16を、一または互いに周方向に隣接する複数のメインバーナー16からなり、且つ、同数のメインバーナー16からなる群に周方向に分割した場合に、少なくとも一つの群における第一バーナー16A及び第二バーナー16Bの配置関係が、他の群と異なるようにしている。そのため、周方向において一様な火炎が形成されることを抑制できる。
【0067】
(第四実施形態)
次に、この発明の第四実施形態を図面に基づき説明する。この第四実施形態は、上述した第一実施形態に対してメインバーナーの配置パターンを変化させたものである。また、第四実施形態は、合成ベクトルの大きさが「1」未満になる点で第一実施形態と異なる。そのため、上述した第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
【0068】
図9は、この発明の第四実施形態における
図4に相当する図である。
図9に示すように、この第四実施形態における燃料噴出器14Dは、上述した第一実施形態の燃料噴出器14Aと同様に、複数のメインバーナー16として第一バーナー16Aと、第二バーナー16Bと、を備えている。これら第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとは、旋回方向が互いに逆方向である点を除いて、同一の構成となっている。
【0069】
この第四実施形態における燃料噴出器14Dは、7つの第一バーナー16Aが周方向に連続して配置されるとともに、1つの第二バーナー16Bが配置されている。つまり、周方向に配置された複数のメインバーナー16のうち、一つだけ第二バーナー16Bとされ、他の全てが第一バーナー16Aとなっている。
図9に示す燃料噴出器14Dは、
図4と同様に、8つのメインバーナー16を備える場合を示しているが、メインバーナー16の数は、複数であれば9つ以上や、7つ以下であっても良い。
【0070】
燃料噴出器14Dは、燃料噴出器14Aと同様に、周方向の全周に渡って非周期的な配置パターンで第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが配置されている。
さらに、燃料噴出器14Dは、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが、燃焼器軸線Acを中心とした周方向で非対称な配置パターン(回転対称ではない配置パターン)で配置されている。
【0071】
また、燃料噴出器14Dは、第一実施形態の燃料噴出器14Aと同様に、その発熱率の重心位置gが、燃焼器軸線Acからオフセットしている。
【0072】
さらに、燃料噴出器14Dは、周方向に隣接する2つのメインバーナー16を一つの群とすると、周方向に4つの群が設定できる。この場合、周方向のうち一方向(例えば、右回り)で見ると、一つの第二バーナー16Bと一つの第一バーナー16Aとからなる第一群G1(メインバーナー16の配置番号「8」及び「7」)と、二つの第一バーナー16Aからなる第二群G2から第四群G4(メインバーナー16の配置番号「6」及び「5」,「4」及び「3」,「2」及び「1」)と、が設定できる。そして、第一群G1は、第二群G2から第四群G4の何れに対しても周方向における第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの配置順が異なっている。なお、この第四実施形態の燃料噴出器14Dも、第一実施形態と同様に、8つのメインバーナー16を有している。つまり、複数のメインバーナー16を周方向に等分できる個数は、2個又は4個である。
【0073】
したがって、上述した第四実施形態によれば、第一実施形態と同様に、燃焼器軸線Acを中心とする周方向の全周に渡って非周期的な配置パターンで第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが配置されている。
これにより、外形が異なる複数種のメインバーナーを用いずに、周方向で一様ではない火炎を形成することができる。
その結果、メインバーナー16の製造に係る工数が増加することを抑制しつつ、燃焼振動の発生を抑制することができる。
【0074】
また、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとを回転対称に配置しないため、周方向で一様な火炎となることを抑制できる。
【0075】
さらに、各メインバーナー16による火炎の発熱率を指標とした重心位置gを、複数のメインバーナー16の配置の中心位置である燃焼器軸線Acからオフセットしているため、周方向における火炎のバランスを崩して一様な火炎となることを抑制できる。
【0076】
さらに、周方向に間隔をあけて配置された複数のメインバーナー16を、一または互いに周方向に隣接する複数のメインバーナー16からなり、且つ、同数のメインバーナー16からなる群に周方向に分割した場合に、少なくとも一つの群における第一バーナー16A及び第二バーナー16Bの配置関係が、他の群と異なるようにしている。そのため、周方向において一様な火炎が形成されることを抑制できる。
【実施例】
【0077】
次に、上述した各実施形態の燃料噴出器を有する燃焼器の実施例について説明する。
以下の表に示すケース1からケース22まで、第一バーナー16A及び第二バーナー16Bが配置される配置パターンについて、それぞれ発熱率の重心(発熱率重心)と、合成ベクトルの大きさとを求めるとともに、燃焼振動の大きさを求めた。以下の表において、各列における最も上に記載した「1」から「8」の数字は、上述した各実施形態の周方向におけるメインバーナー16の位置に対応している。また、最も左側の逆旋回本数とは、一つの燃料噴射器における第二バーナーの本数である。また、「発熱率重心」は、燃焼器軸線Acから発熱率重心までの距離を示したものある。なお、発熱率重心を計算する際には径方向外側に向かうスワールが強い場合は、発熱率を1.5とし、径方向内側に向かうスワールが強い場合は、発熱率を0.5としている。
【0078】
【表1】
【0079】
(実施例)
ここで、上述した第一実施形態の燃料噴出器14Aにおけるメインバーナー16の配置は、ケース「6」である。さらに、第二実施形態の燃料噴出器14Bにおけるメインバーナー16の配置は、ケース「2」である。また、第三実施形態の燃料噴出器14Cにおけるメインバーナー16の配置は、ケース「13」である。さらに、第四実施形態の燃料噴出器14Dにおけるメインバーナー16の配置は、ケース「1」である。
なお、この表において、第一バーナー16Aが配置されている場合は「0」で、第二バーナー16Bが配置されている場合は「1」で示している。
【0080】
(比較例)
上記の表におけるケース「0」、ケース「5」、ケース「20」、ケース「22」は、それぞれ周方向の全周に渡って周期的な配置パターンで第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが配置されている。
【0081】
(発熱率重心)
比較例であるケース「0」、ケース「5」、ケース「20」、ケース「22」の発熱率重心の値は、何れも「0.0000」となった。
その一方で、比較例を除く全てのケースについては、発熱率重心の値が「0.0000」よりも大きくなっている。
【0082】
(合成ベクトルの大きさ)
図10は、左側の縦軸を発熱率重心と燃焼器中心との距離とし、右側の縦軸を合成ベクトルの大きさとし、横軸をケース番号としたグラフである。実線は、発熱率重心の値、破線は、合成ベクトルの大きさを示している。この
図10において、横軸の左端部がケース「0」であり、右端部がケース「22」である。つまり、横軸においてケース番号は、右側に向かうほど大きくなっている。また、
図10中、水平方向に延びる太い実線は、これら発熱率重心の値と合成ベクトルの大きさとの基準値の一例である。
【0083】
この
図10に示すように、合成ベクトルの大きさ(破線)は、発熱率重心の値(実線)と相関があることが分かる。そして、これら合成ベクトルの大きさと発熱率重心の値とは、上述した第一、第二、第三実施形態に対応するケース「2」、「6」、「13」において、特に高い数値となっている。また、これらケース「2」、「6」、「13」よりも低い数値ではあるものの、第四実施形態に対応するケース「1」の場合も、合成ベクトルの大きさ、及び発熱率重心の値は、「0」よりも十分に高い値となっている。
【0084】
燃焼振動による圧力変動の値をシミュレーション計算により検証したところ、ケース「1」、「2」、「6」、「13」において、それぞれケース「0」よりも燃焼振動が低減される傾向が確認された。
これらケース「1」、「2」、「6」、「13」は、何れも、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの配置が非周期的であるとともに回転対称ではなく、さらにそれぞれの発熱率重心の値と合成ベクトルの大きさとが、ケース「0」の場合よりも大きくなり、特に、ケース「2」、「6」において、燃焼振動の低減が顕著となった。
つまり、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの配置パターンの非周期性と、燃焼振動の低減との間に相関があることが確認された。
【0085】
この発明は上述した各実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
例えば、第一実施形態から第四実施形態の配置パターンに限られない。すなわち、ケース「1」、「2」、「6」、「13」の配置パターンに限られない。ケース「0」、ケース「5」、ケース「20」、ケース「22」を除く他のケース(配置パターン)であれば、ケース「1」、「2」、「6」、「13」以外の配置パターンであっても良い。