(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6822877
(24)【登録日】2021年1月12日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20210114BHJP
B60K 37/00 20060101ALI20210114BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20210114BHJP
G02B 30/56 20200101ALI20210114BHJP
【FI】
B60R11/02 C
B60K37/00 Z
B60K37/00 D
B60H1/00 103T
B60H1/00 103Z
G02B30/56
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-54797(P2017-54797)
(22)【出願日】2017年3月21日
(65)【公開番号】特開2018-154302(P2018-154302A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2019年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小杉 正則
(72)【発明者】
【氏名】江川 哲也
【審査官】
上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−011863(JP,A)
【文献】
特開2009−154660(JP,A)
【文献】
特開2001−311902(JP,A)
【文献】
特開2009−063757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
B60H 1/00
B60K 37/00
G02B 30/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のダッシュボード内に搭載される表示装置であって、
画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された画像を反射して投影画像を空間上に結像する反射投影部材とを備え、
前記表示部及び前記反射投影部材は、車室内に向けて噴き出す前記ダッシュボードに形成された開口部である空調機器の吹き出し口の表面に投影画像が結像されるように配置されている、表示装置。
【請求項2】
前記開口部は、投影画像を囲う枠によって形成され、
前記表示部及び前記反射投影部材は、前記枠の少なくとも一部分の周辺に投影画像が結像されるように配置されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記吹き出し口よりも前記ダッシュボードの内部方向には、前記表示部から前記反射投影部材を介して投影画像の結像位置に至る光路を妨げない位置に風向調整部材が配置されている
請求項1または2に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車のダッシュボード内に搭載される表示装置であって、表示パネルと、反射型結像素子とを備え、空中映像が反射型結像素子を対称面とし、表示パネルと面対称な位置に形成されるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開(WO)2014/069205号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
結像位置をダッシュボード上とした場合、結像位置の周辺に物体が存在せず、空間しか存在しない。この場合、そのダッシュボード上に結像された像に早期に焦点を合わせることが困難となる。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、その目的は、結像された像に早期に焦点を合わせることを可能にした表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する表示装置は、画像を表示する表示部と、前記表示部に表示された画像を反射して投影画像を空間上に結像する反射投影部材とを備え、前記表示部及び前記反射投影部材は、自動車の内装部品における実体物の周辺に投影画像が結像されるように配置されていることをその要旨としている。
【0007】
この構成によれば、結像位置の周辺に自動車の内装部品における実体物が存在することとなる。したがって、投影画像を視認する場合、実体物に目の焦点が合うため、その周辺に結像された像に早期に焦点を合わせることが容易となる。
【0008】
上記表示装置について、前記実体物は、自動車の内装部品に形成された開口部であることとしてもよい。
この構成によれば、開口部の周辺に結像された像が見やすくなる。
【0009】
上記表示装置について、前記開口部は、投影画像を囲う枠によって形成され、前記表示部及び前記反射投影部材は、前記枠の少なくとも一部分の周辺に投影画像が結像されるように配置されていることとしてもよい。
【0010】
この構成によれば、結像位置の周辺に枠の少なくとも一部分が実体物として存在することで、該実体物に目の焦点が合うため、その周辺に結像された像に早期に焦点を合わせることが容易となる。
【0011】
上記表示装置について、前記実体物は、空調機器の吹き出し口であることとしてもよい。
この構成によれば、空調機能を損なうことなく、空調機器の吹き出し口に表示機能を設けることができる。
【0012】
上記表示装置について、前記吹き出し口よりも車両内部方向には、前記表示部から前記反射投影部材を介して投影画像の結像位置に至る光路を妨げない位置に風向調整部材が配置されていることとしてもよい。
【0013】
この構成によれば、風向調整部材によって投影画像が見にくくなることを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、結像された像に早期に焦点を合わせることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】空調機器の吹き出し口の周辺に投影画像が結像されている様子を示す外観図。
【
図2】自動車のダッシュボード内に搭載される表示装置を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、表示装置の一実施の形態について説明する。
図1に示すように、表示装置1は、自動車のダッシュボード2内に搭載され、ヒータコントローラスイッチ3の操作に基づく車内温度が、ヒータコントローラスイッチ3の上側に位置する空調機器の吹き出し口4の周辺に表示される。尚、表示内容に風量が含まれていてもよい。
【0017】
図2に示すように、吹き出し口4の下側であって、ヒータコントローラスイッチ3から車両内部方向に離間する位置には、LCD等の表示デバイス5が表示面を車両内部側にして該表示面の上端側が下側となる向きで配置されている。尚、図示しないCPU等の制御手段により表示制御が行われて表示デバイス5の表示面上に画像が表示される。表示デバイス5は表示部に相当する。
【0018】
吹き出し口4とヒータコントローラスイッチ3との境目付近には、車両内部方向に向かって投影プレート6が表示デバイス5に対し90度に近い鋭角をなすように配置されている。これにより、表示デバイス5上では画像が倒立状態で表示され、その画像が投影プレート6によって反射されると、投影画像7が順の向きで吹き出し口4の表面、すなわち空間上に結像される。投影プレート6は反射投影部材に相当する。
【0019】
本例の吹き出し口4は、投影画像7を囲う四面の枠によって形成されるが、投影画像7を囲う枠の形状は四角形に限らず、多角形でもよいし、円形でもよいし、楕円形等でもよい。ただし、枠の少なくとも一部分が実体物として投影画像7の周辺に存在することが好ましい。枠の少なくとも一部分が実体物として投影画像7の周辺に存在することの具体例の一つは、投影画像7の端から実体物までが視野角で5°以下、直線距離で5cm以下である。吹き出し口4は、自動車の内装部品に形成された開口部の一例である。
【0020】
吹き出し口4よりも車両内部方向には、表示デバイス5から投影プレート6を介して投影画像7の結像位置に至る光路8を妨げない位置に風向調整部材9が配置されている。
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
【0021】
(1)結像位置の周辺に自動車の内装部品における実体物として空調機器の吹き出し口4を形成する枠の少なくとも一部分が存在する。したがって、投影画像7を視認する場合、実体物に目の焦点が合うため、その周辺に結像された像に早期に焦点を合わせることが容易となる。
【0022】
(2)開口部である吹き出し口4の表面に結像された像が見やすくなる。
(3)空調機能を損なうことなく、空調機器の吹き出し口4に表示機能を設けることができる。
【0023】
(4)風向調整部材9によって投影画像7が見にくくなることを抑制できる。
(5)風向調整部材9の位置を車両内部方向へ移動させる必要があるにせよ、吹き出し口4自体は位置を変更しなくてもよく、意匠性に大きな変更が生じない。
【0024】
(6)ヒータコントローラスイッチ3の近くで、関連する温度表示を行うため、ヒータコントローラスイッチ3と吹き出し口4とを一つの空調ユニットとして自動車に搭載することが容易となる。
【0025】
尚、上記実施の形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・投影画像7の大きさは任意である。例えば、投影画像7の大きさが大きい場合、吹き出し口4の表面およそ全体に亘る範囲を結像位置とすることで、投影画像7を囲う四面の枠全体が投影画像7の端から直線距離で5cm以下となりやすい。この場合、その枠全体による実体物に目の焦点が合うため、その周辺に結像された像に早期に焦点を合わせることが容易となる。
【0026】
或いは、投影画像7の大きさが小さい場合、吹き出し口4を形成する四面の枠のいずれか一つから投影画像7の端までが直線距離で5cm以下となる範囲を結像位置とすることで、該当する枠による実体物に目の焦点が合うため、その周辺に結像された像に早期に焦点を合わせることが容易となる。つまり、結像位置は吹き出し口4の中央に限らず、いずれかの枠に近い片寄りの位置でもよい。
【0027】
・投影画像7の周辺に実体物が存在すればよく、その実体物は吹き出し口4に限らない。例えば、投影画像7の端から直線距離で5cmよりも長い位置に形成される枠による吹き出し口に代えて、投影画像7の端から直線距離で5cm以下の位置に少なくとも一部分が配置される風向調整部材を実体物としてもよい。或いは、吹き出し口の表面付近に配置される、手等の進入を阻止する柵状物を実体物としてもよい。
【0028】
・投影プレート6を対称面とし、表示デバイス5が上側に、結像位置となる吹き出し口4が下側に配置されていてもよい。すなわち、表示デバイス5及び投影プレート6は、自動車の内装部品における実体物(例えば、吹き出し口4)の周辺であって空間上に投影画像7が結像されるように配置されていればよい。
【符号の説明】
【0029】
1…表示装置、2…ダッシュボード、3…ヒータコントローラスイッチ、4…吹き出し口(実体物、開口部)、5…表示デバイス(表示部)、6…投影プレート(反射投影部材)、7…投影画像、8…光路、9…風向調整部材。