(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0016】
本実施の形態の営業活動支援システムは、顧客に対する産業用機械の保守に関する営業活動を支援するためのものである。ここで、産業用機械としては、レシプロ圧縮機、スクリュー圧縮機、ターボ圧縮機、真空成膜装置、タイヤ試験機、連続混練機、及びゴム混練機等、様々なものが想定される。これらの産業用機械は、工場等の生産施設に設置され、製品の製造に供される。産業用機械は、長期間に亘って使用されるため、修理、点検、部品の交換、技術指導等の保守サービスが必須である。かかる保守サービスは、産業用機械の製造メーカによって提供される。また、製造メーカの営業担当者は、顧客に対して情報収集のための営業活動を行い、顧客からその後の営業活動上重要な情報を収集する。
【0017】
[営業活動支援システムの構成]
本実施の形態において、営業活動支援システムは、1台のサーバで実現されている。
図1は、そのサーバ及びその通信接続先の構成を示す模式図である。サーバ1は、社内LAN等のコンピュータネットワークを介して端末機2,2,…と通信可能に接続されている。これらの端末機2,2,…は、産業用機械の製造メーカの営業担当者によって使用される。
【0018】
次に、サーバ1の詳細な構成について説明する。
図2は、サーバ1の構成を示すブロック図である。サーバ1は、コンピュータ1aによって実現される。
図2に示すように、コンピュータ1aは、本体11と、画像表示部12と、入力部13とを備えている。本体11は、CPU11a、ROM11b、RAM11c、ハードディスク11d、読出装置11e、入出力インタフェース11f、通信インタフェース11g、及び画像出力インタフェース11hを備えており、これらのCPU11a、ROM11b、RAM11c、ハードディスク11d、読出装置11e、入出力インタフェース11f、通信インタフェース11g、及び画像出力インタフェース11hは、バス11jによって接続されている。
【0019】
CPU11aは、RAM11cにロードされたコンピュータプログラムを実行することができる。営業活動支援用のコンピュータプログラム14aをCPU11aが実行することにより、コンピュータ1aがサーバ1として機能する。
【0020】
ROM11bは、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、又はEEPROM(Electrically Erasable PROM)等によって構成されており、CPU11aにより実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0021】
RAM11cは、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM11cは、ハードディスク11dに記録されている種々のコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM11cは、CPU11aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU11aの作業領域として利用される。
【0022】
ハードディスク11dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU11aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。営業活動支援用のコンピュータプログラム14aも、このハードディスク11dにインストールされている。
【0023】
読出装置11eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体14に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。この可搬型記録媒体14には、コンピュータ1aをサーバ1として機能させるためのコンピュータプログラム14aが格納されている。コンピュータ1aは、読出装置11eを用いて可搬型記録媒体14からコンピュータプログラム14aを読み出し、そのコンピュータプログラム14aをハードディスク11dにインストールする。
【0024】
なお、コンピュータプログラム14aは、可搬型記録媒体14によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ1aと通信可能に接続された外部の機器から当該電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、コンピュータプログラム14aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ1aがアクセスして、当該コンピュータプログラム14aをダウンロードし、これをハードディスク11dにインストールすることも可能である。
【0025】
さらにハードディスク11dには、顧客情報管理データベース(DB)101、教材コンテンツデータベース(DB)102、営業担当者情報データベース(DB)103、ステージ情報管理データベース(DB)104、収集情報項目データベース(DB)105、設問情報データベース(DB)106、案件情報管理データベース(DB)107、情報収集結果データベース(DB)108、状態実績値データベース(DB)109、及び営業行動情報データベース(DB)110が設けられている。各データベースの詳細については後述する。
【0026】
入出力インタフェース11fは、例えばUSB、IEEE1394、又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI、IDE、又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース11fには、キーボード及びマウスからなる入力部13が接続されており、ユーザが当該入力部13を使用することにより、コンピュータ1aにデータを入力することが可能である。
【0027】
通信インタフェース11gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース11gは、無線アクセスポイントAPを介して、端末機2,2,…に接続されている。コンピュータ1aは、通信インタフェース11gにより、所定の通信プロトコルを使用して、無線アクセスポイントAPに接続された端末機2,2,…との間でデータの送受信を行う。
【0028】
画像出力インタフェース11hは、LCD又はCRT等で構成された画像表示部12に接続されており、CPU11aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部12に出力する。画像表示部12は、入力された映像信号に従って、画像(画面)を表示ずる。
【0029】
次に、上述した各データベースの詳細について、図を参照しながら説明する。
(a)顧客情報管理DB101
顧客情報管理DB101は、顧客に関する情報を格納するためのデータベースである。
図3は、その顧客情報管理DB101の構成を示す概念図である。
図3に示すとおり、顧客情報管理DB101は、顧客を特定するための顧客ID、顧客名称、顧客が所属する業界及び市場に関する業界情報、顧客を担当する営業担当者を特定するための営業担当者ID、及び顧客の所在地を示すエリア情報を有している。
【0030】
(b)教材コンテンツDB102
教材コンテンツDB102は、産業用機械の保守に関する教材コンテンツを格納するためのデータベースである。
図4は、その教材コンテンツDB102の構成を示す概念図である。
図4に示すように、教材コンテンツDB102は、教材コンテンツを特定するための教材コンテンツID、教材コンテンツのタイトル、教材コンテンツの概要、教材コンテンツの実体データ、教材内容種別、及び対象機械装置種別を有している。教材コンテンツの概要は、教材コンテンツに関連するキーワードを列記したものである。また、教材コンテンツの実体データは、例えばPDF(Portable Document Format)ファイル等の文書ファイル、動画像又は静止画像の映像ファイル、音声ファイル、図面データ等である。教材内容種別は、教材コンテンツの種別を示すものであり、「製品知識」、「部品知識」、「点検知識」、「工事知識」、「機能強化・改善知識」等である。また、対象機械装置種別は、教材コンテンツが対象とする産業用機械の種別を示すものである。
【0031】
(c)営業担当者情報DB103
営業担当者情報DB103は、営業担当者に関する情報を格納するためのデータベースである。
図5は、その営業担当者情報DB103の構成を示す概念図である。
図5に示すように、営業担当者情報DB103は、営業担当者ID、営業担当者氏名、営業担当者が担当するエリアを特定する担当エリア情報、営業担当者の営業活動の技能レベルを示す営業スキル値を有している。営業スキル値は、営業活動の技能レベルを3段階で評価した値であり、「初級」、「中級」、「上級」がある。
【0032】
(d)ステージ情報管理DB104
ステージ情報管理DB104は、産業用機械の営業活動のステージに関する情報を格納するためのデータベースである。
図6は、そのステージ情報管理DB104の構成を示す概念図である。
図6に示すように、ステージ情報管理DB104は、ステージID、ステージ名称、及びステージ詳細情報を有している。産業用機械の営業活動には複数のステージによって区切られ、各ステージに応じた情報収集が重要となる。ここで、ステージとは、受注までに至る営業活動のプロセスにおける段階である。ここで、営業活動のプロセスは、一般的に業種によって異なるものであり、また、製造メーカ等の営業活動を実施する企業によりステージの範囲及び捉え方は若干異なるものである。例えば、大型設備機械の受注の場合には、ステークホルダーとして「エンドユーザ(大型設備機械を購入、導入する顧客)」、「プロセスライセンサー(エンドユーザが導入する設備を使用した生産方式等のノウハウを提供する企業)」、「FEED(Front−End Engineering Design。プラントの基本設計業務を受託する企業)」、「PMC(Project Management Consultant。プロジェクトマネジメント業務を受託する企業)」、「EPC(Engineering,Procurement and Construction。プラントの建設等においてエンジニアリングの設計、資機材調達、製作、建設工事を含む一連の工程を請け負う企業)」、「機器ベンダー」が存在し、各ステークホルダーによってステージは異なりうる。「機器ベンダー」の企業の場合を例に挙げると、次のような5段階に営業活動のプロセスを区分けし、受注確度を高めるための情報収集活動が行われることがある。
ステージ1:エンドユーザ、プロセスライセンサーとの良好な関係を構築する段階。
ステージ2:エンドユーザ、プロセスライセンサー、及びFEEDによる投資意思決定のための情報収集段階。
ステージ3:エンドユーザによる投資意思決定の段階。
ステージ4:エンドユーザ、PMCによるEPCの選定段階。
ステージ5:EPCによる機器ベンダーの選定段階。
ステージIDは、営業活動のステージを特定する識別情報である。ステージ詳細情報は、そのステージの内容を説明する文章のテキストデータである。本実施の形態では、ステージ名に、「ステージ1」、「ステージ2」、「ステージ3」、「ステージ4」があるものとする。
【0033】
(e)収集情報項目DB105
収集情報項目DB105は、営業活動のステージ毎に定義される、そのステージにおいて収集すべき情報の項目である収集情報項目に関する情報を格納するためのデータベースである。営業活動では、顧客における業態、事業の段階、進捗状況等に応じて、適切な時期に適切な情報を収集することが重要である。例えば、営業活動に対応する顧客側の担当者又は担当部署が変更することがあり、このような場合には新たな担当者又は担当部署の情報を収集しておかなければ、以後の営業活動を円滑に進めることが難しくなる。どのような情報を収集すべきかは、営業活動のステージに応じて変動し、また、異なるステージで同じ情報を収集すべき場合もある。そこで、収集情報項目DB105では、ステージに応じて収集情報項目が規定される。
【0034】
図7は、その収集情報項目DB105の構成を示す概念図である。
図7に示すように、収集情報項目DB105は、ステージID、収集情報項目ID、及び収集情報項目名称を有している。収集情報項目IDは、収集情報項目を特定する識別情報である。収集情報項目名称は、その収集情報項目の名称であり、収集すべき情報の項目がどのようなものであるかを大まかに示すものである。例えば、収集情報項目としては、「発注者候補購買部門組織情報」、「発注者候補技術部門組織情報」、「発注者候補プロジェクト部門組織情報」、「発注者候補その他組織で当社とつながりのある人の確認」、「発注者候補と当社の基本的なつながりの確認」、「EPC候補の確認」、「これまでの当社に対する評価の確認」、「発注者候補の現在の状況についての把握」、「発注者候補のそのプロジェクトへの関心把握」等が挙げられる。
【0035】
(f)設問情報DB106
本実施の形態では、収集情報項目毎に設けられた情報収集についての設問に回答する形でその情報収集の達成度の選択肢を営業担当者が選択することにより、顧客における情報収集の達成度を営業活動支援システムに入力する。本実施の形態においては、達成度の選択肢には、達成したことを示す「1」(Yes)と達成していないことを示す「0」(No)との2つが設けられる。なお、回答の選択肢を3以上設けることもできる。その場合の選択肢としては、例えば、「十分把握できている」、「一部把握できている」、「全く把握できていない」等が考えられる。また、1つの収集情報項目に対して設問は複数設けられ、回答毎に重み値が設定されている。この重み値が利用されて後述する営業活動状態が算出される。
【0036】
設問情報DB106は、かかる設問に関する情報を格納するためのデータベースである。
図8は、その設問情報DB106の構成を示す概念図である。
図8に示すように、設問情報DB106は、収集情報項目ID、顧客ID、収集情報項目の内容を示す内容情報、収集情報項目における設問番号、設問、回答選択肢及び回答選択肢に対応する重み値を有している。なお、本実施の形態では回答選択肢及び重み値それぞれの数を2としている。また、設問数Nは2以上であり、設問番号、設問、2つの回答選択肢(
図8において回答選択肢1及び回答選択肢2)及び2つの重み値(
図8において重み値1及び重み値2)のそれぞれは、設問数Nだけ設けられる。具体的な設問例としては、収集情報項目「発注者候補購買部門組織情報」に対応して、「問い合わせのあった発注者候補の、購買部門/役員の情報(名前等)を把握していますか?」、「その役員と、当社(関係者)との人間関係は、良好ですか?」、「その役員について、上記以外の情報も、把握していますか?」、「問い合わせのあった発注者候補の、購買部門/部長の情報(名前等)を把握していますか?」等が挙げられる。
【0037】
(g)案件情報管理DB107
上記のような各設問の達成度は、営業担当者が担当する営業案件毎に入力され、登録される。案件情報管理DB107は、営業案件に関する情報を格納するためのデータベースである。
図9は、その案件情報管理DB107の構成を示す概念図である。
図9に示すとおり、案件情報管理DB107は、営業担当者ID、顧客ID、営業案件を特定するための案件ID、案件名称、及び営業案件が開始された日付を示す案件開始年月日を有している。
【0038】
(h)情報収集結果DB108
情報収集結果DB108は、営業担当者が設問毎に入力した回答を登録するためのデータベースである。
図10は、その情報収集結果DB108の構成を示す概念図である。
図10に示すとおり、情報収集結果DB108は、営業担当者ID、顧客ID、ステージID、収集情報項目ID、回答を入力した日付を示す回答入力日、設問番号、設問に対する回答の選択肢(「1」又は「0」)、設問に対応する重み値、及び前回回答日からの経過日数を有している。なお、設問番号、回答の選択肢、重み値、経過日数のそれぞれは、設問数Nだけ設けられる。
【0039】
(i)状態実績値DB109
ベテラン営業担当者による各ステージでの情報収集の実績は、若手営業担当者に対する情報収集活動の手本となる。このため、本実施の形態に係る営業活動支援システムでは、ベテラン営業担当者の情報収集に関する営業活動状態の実績を、営業活動を支援する情報として提示する。状態実績値DB109は、ベテラン営業担当者による営業活動状態の実績に関する情報を格納するためのデータベースである。
図11は、その状態実績値DB109の構成を示す概念図である。
図11に示すとおり、状態実績値DB109は、ステージID、収集情報項目ID、情報収集が行われた時点の案件開始年月日からの経過日数、及びその時点での営業活動状態を示す営業活動状態値を有している。なお、営業活動状態値については後述する。
【0040】
(j)営業行動情報DB110
各ステージにおいて、ベテラン営業担当者が情報収集活動に伴い、どのような営業行動を行ったのかもまた、若手営業担当者にとっては有用な手本となる。このため、本実施の形態に係る営業活動支援システムでは、ベテラン営業担当者の情報収集に伴い行った営業行動を、営業活動を支援する情報として提示する。営業行動情報DB110は、ベテラン営業担当者によるこのような営業行動に関する情報を格納するためのデータベースである。
図12は、その営業行動情報DB110の構成を示す概念図である。
図12に示すとおり、営業行動情報DB110は、ステージID、収集情報項目ID、営業行動が行われた時点の案件開始年月日からの経過日数、ベテラン営業担当者が行った営業行動を示す営業行動情報、及びこの営業行動に関連する教材コンテンツを特定するための教材コンテンツIDを有している。
【0041】
[営業活動支援システムの動作]
次に、上述したように構成された営業活動支援システムの動作について、フローチャートを参照しながら説明する。
【0042】
営業活動支援システム(サーバ1)は、顧客に対する情報提供に関する営業活動の分析機能を有している。営業担当者は、営業活動支援システムの営業活動分析機能を用いて、自身の今後の営業活動を検討する。
【0043】
図13は、本発明の実施の形態の営業活動支援システム(サーバ1)が実行する営業活動分析処理の処理手順を示すフローチャートである。営業活動分析処理は、営業担当者による顧客に対する情報収集についての達成度の入力を受け付ける達成度受付処理(S100)と、営業担当者による営業活動状態を評価する営業活動評価処理(S200)と、営業活動状態の評価結果を出力する評価結果出力処理(S300)とを含む。
【0044】
<1>達成度受付処理
図14は、本発明の実施の形態の営業活動支援システム(サーバ1)が実行する達成度受付処理の処理手順を示すフローチャートである。達成度受付処理を実行するとき、営業担当者は、端末機2に自分の営業担当者IDを入力し、営業行動チェックシート画面の表示指示をサーバ1に与える。これにより、サーバ1に営業担当者IDが送信される。なお、端末機2からサーバ1に営業担当者IDを与えるのではなく、サーバ1の入力部13を操作してサーバ1に営業担当者IDを入力してもよい。サーバ1は、営業担当者IDを受け付ける(S101)。サーバ1のCPU11aは、営業行動チェックシート画面を表示するための情報を端末機2に送信し、端末機2に営業行動チェックシート画面を表示させる(S102)。
【0045】
図15は、営業行動チェックシート画面の一例を示す図である。営業行動チェックシート画面200には、案件選択欄201と、新規案件名入力欄202と、表示領域203とが含まれる。営業担当者は、評価対象とする営業案件を指定する。案件選択欄201は、案件情報管理DB107に登録された案件名称がドロップダウン形式で表示される。過去に営業活動状態を評価したことのある営業案件を指定する場合、営業担当者は案件選択欄201において目的の営業案件の名称を選択することで当該営業案件を指定する。また、まだ営業活動状態を評価したことのない営業案件を指定する場合、営業担当者は新規案件名入力欄202に案件の名称を入力し、案件追加ボタン202aを選択する。これにより、新規案件追加画面が表示される(図示せず)。新規案件追加画面には、顧客IDと、当該案件の開始年月日とを入力する入力欄が設けられている。営業担当者が顧客ID及び案件開始年月日を入力し、当該画面に設けられた追加ボタンを選択することで、当該案件の案件IDが自動生成され、営業担当者ID、顧客ID、案件ID、案件名称、及び案件開始年月日が端末機2からサーバ1へと送信され、案件情報管理DB107の新規レコードが登録される。このようにして新規案件が追加された場合、案件選択欄201に追加された新規案件の名称が表示される。営業担当者は、表示された新規案件の名称を選択することで、当該新規案件を指定することができる。
【0046】
営業行動チェックシート画面200には、ステージを指定するためのステージボタン204a〜204dが設けられている。ステージボタン204aはステージ1に、ステージボタン204bはステージ2に、ステージボタン204cはステージ3に、ステージボタン204dはステージ4に、それぞれ割り当てられている。営業担当者は、ステージボタン204a〜204dの何れか1つを選択することにより、評価対象の営業案件のステージを指定することができる。営業担当者がステージを指定すると、端末機2がこれを受け付け、指定されたステージのステージIDをサーバ1へ送信する。サーバ1のCPU11aは、ステージIDを受け付け(S103)、収集情報項目DB105から当該ステージIDに対応する収集情報項目を取得する。サーバ1は、取得された収集情報項目を端末機2へ送信し、端末機2がこれを受信し、営業行動チェックシート画面200に収集情報項目を表示する(S104)。営業行動チェックシート画面200には、収集情報項目を指定するための項目指定部205が設けられている。この項目指定部205は、受信された収集情報項目が並んで表示されるドロップダウンリストであり、営業担当者はこの中から目的の収集情報項目を1つ指定することができる。端末機2が収集情報項目の指定を受け付けると、収集情報項目IDと顧客IDとをサーバ1へ送信する。サーバ1のCPU11aは、収集情報項目ID及び顧客IDを受け付け(S105)、設問情報DB106から当該収集情報項目ID及び顧客IDに対応する設問情報を取得し、営業行動チェックシート画面200に設問を表示させるために端末機2に設問情報を送信する。端末機2は、設問情報を受信すると、営業行動チェックシート画面200の表示領域203に各設問を表示させる(S106)。
【0047】
また、サーバ1は、当該営業担当者が当該顧客に対して過去に行った収集情報項目についての情報収集結果が情報収集結果DB108に登録されているか否か、即ち、営業担当者ID、顧客ID、ステージID、収集情報項目IDに対応するレコードが情報収集結果DB108に存在するか否かを判定し、レコードが存在する場合にはそのレコードに含まれる回答入力日及び設問毎の前回回答日からの経過日数を取得し、端末機2にこれらを送信する。営業行動チェックシート画面200には、前回回答日の表示欄206と、前回回答日からの経過日数の表示欄207とが設けられており、端末機2は受信した回答入力日を表示欄206に表示し、選択された設問毎に対応する前回回答日からの経過日数を表示欄207に表示させる。営業担当者が当該顧客、ステージ、収集情報項目についての設問に今まで回答していない場合、つまり、営業担当者ID、顧客ID、ステージID、収集情報項目IDに対応するレコードが情報収集結果DB108に存在しない場合には、前回回答日の表示欄206には日付が表示されず、また、前回回答日からの経過日数の表示欄207には「0」が表示される。
【0048】
各設問は、収集情報項目に関する顧客に対する情報収集についての設問であり、例えば、収集情報項目「発注者候補購買部門組織情報」に対応して、「問い合わせのあった発注者候補の、購買部門/役員の情報(名前等)を把握していますか?」、「その役員と、当社(関係者)との人間関係は、良好ですか?」、「その役員について、上記以外の情報も、把握していますか?」、「問い合わせのあった発注者候補の、購買部門/部長の情報(名前等)を把握していますか?」等の設問が表示される。
図15に示すように、営業行動チェックシート画面200では、営業担当者が各設問に対する選択肢を選択することで、設問に回答することができる。回答の選択肢は、その設問で問われる情報収集についての達成度を表すものである。本実施の形態では、情報収集が完了したこと、つまり、情報収集の達成度が「高」であることを示す回答選択肢と、情報収集が完了していないこと、つまり、情報収集の達成度が「低」であることを示す回答選択肢とが含まれる。
【0049】
営業行動チェックシート画面200には、入力された回答を情報収集結果DB108に保存することを指示するための回答保存ボタン208が設けられている。営業担当者は、回答を入力した上で回答保存ボタン208を選択することで、回答の保存指示を与えることができる。
【0050】
営業担当者が各設問の回答を指定し、回答保存ボタン208を選択すると、端末機2が回答及びその保存指示データをサーバ1へ送信する。サーバ1は、回答(達成度)及びその保存指示を受け付け(S107)、CPU11aが情報収集結果DB108に、営業担当者ID、顧客ID、ステージID、収集情報項目ID、回答入力日(その日の日付)、設問番号、設問に対する回答の選択肢(「1」又は「0」)、回答に対応する重み値、及び前回回答日からの経過日数の各データを含む新規レコードを登録する(S108)。ここで重み値は、設問情報DB106に格納されている回答毎の重み値とされる。
【0051】
営業担当者は、設問の回答を情報収集結果DB108に登録されていない収集情報項目が残っている場合(S109においてNO)、項目指定部205のドロップダウンリストからまだ回答を入力していない収集情報項目を1つ指定する。端末機2が収集情報項目の指定を受け付けると、この収集情報項目IDと顧客IDとをサーバ1へ送信する。これにより、S105〜S108の処理が再び実行され、指定された収集情報項目についての回答が入力され、情報収集結果DB108に登録される。全ての収集情報項目について設問の回答が情報収集結果DB108に登録された場合(S109においてYES)、達成度受付処理が終了する。
【0052】
<2>営業活動評価処理
図15に示すように、営業行動チェックシート画面200には、現在値ボタン209が設けられている。現在値ボタン209は、営業活動評価処理の実行指示を生成するためのボタンであり、営業担当者は現在値ボタン209を選択することで、営業活動評価処理の実行指示を営業活動支援システムに与えることができる。
図16は、本発明の実施の形態の営業活動支援システム(サーバ1)が実行する営業活動評価処理の処理手順を示すフローチャートである。営業活動評価処理において、サーバ1のCPU11aは、営業担当者ID、顧客ID、及びステージIDを検索キーとして、情報収集結果DB108から収集情報項目毎の設問の回答(達成度)、重み値、回答入力日、及び前回回答日からの経過日数(以下、「第1経過日数」という)を検索する(S201)。また、CPU11aは、案件情報管理DB107から、営業担当者ID、顧客ID、及び案件IDを検索キーとして、当該営業案件における案件開始年月日を検索し、案件開始年月日から回答入力日までの経過日数(以下、「第2経過日数」という)を算出する(S202)。
【0053】
次にCPU11aは、評価対象の案件のステージに含まれる全収集情報項目のうち、注目する収集情報項目(以下、「注目項目」という)を1つ選択する(S203)。CPU11aは、注目項目について、設問の回答である達成度と重み値との積の総和(以下、「達成度重み付け積算値」という)と、全設問の第1経過日数の総和(以下、「経過日数積算値」という)とを算出する(S204)。また、CPU11aは、収集情報項目毎の設問数を算出する(S205)。
【0054】
次にCPU11aは、注目項目について達成度重み付け積算値を設問数で割って回答値相加平均値Aを算出し、また、経過日数積算値を設問数で割って経過日数相加平均値Bを算出する(S206)。さらにCPU11aは、次式にしたがって営業活動状態値Zを収集情報項目毎に算出する(S207)。
z=A×X(B)
Z=z×Y(C)
ここで、Cは第2経過日数であり、X(B)は情報信頼度指数であり、Y(C)は情報重要度指数である。情報信頼度指数X(t)は、収集情報項目について情報が収集されてからの経過時間に応じて定まる数値であり、次式によって定義される。
X(t)=1−{(1−X
0)/T
max}×t
ここで、tは経過日数であり、X
0及びT
maxは定数である。なお、ここでいう「収集情報項目について情報が収集されてからの経過時間」とは、実際に顧客から情報収集が行われた日からの経過時間でも、前回情報収集の達成度が入力されてからの経過時間(つまり、前回回答日からの経過日数)でもよい。本実施の形態では、「収集情報項目について情報が収集されてからの経過時間」を、前回回答日からの経過日数としている。
図17は、情報信頼度指数を示すグラフである。
図17において、縦軸は情報信頼度指数の値を示し、横軸は経過日数tを示す。
図17に示すように、情報信頼度指数は、経過日数tが0以上T
max以下の範囲において、経過日数tが増加するにしたがって減少し、経過日数tがT
max以上の範囲において、一定の値である減衰最小値X
0を取る。一般に、B2B型ビジネスでは、営業活動のサイクルが長く、競合他社との競争、市場及び外部環境の変化により、顧客から収集された情報の信頼度が時間に応じて変化する。つまり、特定の業界のB2Bビジネスにおいては、営業活動により取得された情報は、取得されてからの経過時間が長くなるほどその信頼度が低下し、ある一定の経過日数で信頼度は最低となり、それ以上時間が経過しても殆ど信頼度は変化しない。情報信頼度指数は、営業活動において取得された情報の信頼度を示す指標であり、このような信頼度の特性を示している。なお、業界によって信頼度の特性は異なるため、業界毎に情報信頼度指数は定義される。
【0055】
また、情報重要度指数Y(t)は営業活動の経過時間に応じて定まる数値である。
図18は、情報重要度指数を示すグラフである。
図18において、縦軸は情報重要度指数の値を示し、横軸は経過日数tを示す。収集された情報の重要度(価値)は、営業案件の開始タイミング及びその進捗状況により異なる場合がある。かかる収集された情報の重要度が変化することを、未熟な営業担当者に意識させながら、営業活動を推進させることが重要である。営業活動のサイクルが長いB2B型ビジネスにおいては、一度情報を取得すると、その情報を再度取得する重要性はある一定の期間において低いが、その期間を経過すると情報が変化している可能性があり、情報を取得する重要度は高まる。また、さらに期間が経過すると情報が変化している可能性がさらに高くなるため、当該情報を取得する重要度はより一層高くなる。情報重要度指数は、営業活動において情報を取得する重要度を示す指標であり、このような重要度の特性を示している。なお、業界によって重要度の特性は異なるため、業界毎に情報重要度指数は定義される。
【0056】
本実施の形態では、上記のような情報信頼度指数X(t)及び情報重要度指数Y(t)に基づいて営業活動状態値Zを算出する。営業活動状態値Zは、あるステージにおける顧客に対する情報収集に関する営業活動の状態を示す数値である。顧客に対する情報収集に関する営業活動状態は、収集情報項目について情報が収集されてからの経過時間に応じて定まる情報信頼度指数と、営業活動の経過時間に応じて定まる情報重要度指数との両方に影響を受ける。このため、情報信頼度指数X(t)及び情報重要度指数Y(t)を考慮して定義された営業活動状態値Zは、かかる営業活動状態を正確に定量化したものということができる。
【0057】
CPU11aは、注目項目について営業活動状態値を算出すると、当該ステージにおける収集情報項目の全てが、注目項目として選択されたか否かを判定し(S208)、注目項目として選択されていない収集情報項目が存在する場合には(S208においてNO)、S203に処理を戻し、まだ選択されていない収集情報項目の1つを新たな注目項目として選択し(S203)、S204〜S207の処理を実行して、新たな注目項目についての営業活動状態値Zを算出する。全ての収集情報項目が注目項目として選択された場合には(S208においてYES)、CPU11aは、営業活動評価処理を終了する。本実施の形態に係る営業活動支援システムは、以上のように営業活動状態値Zを算出することで、営業担当者の顧客に対する情報収集に関する営業活動状態を収集情報項目毎に定量評価する。算出された営業活動状態値Zは、営業活動評価処理における評価結果とされる。
【0058】
<3>評価結果出力処理
上記のような営業活動評価処理が終了した後、CPU11aは評価結果出力処理を実行する。
図19は、本発明の実施の形態の営業活動支援システム(サーバ1)が実行する評価結果出力処理の処理手順を示すフローチャートである。評価結果出力処理において、サーバ1のCPU11aは、状態実績値DB109から、情報収集が行われた時点の案件開始年月日からの経過日数が、評価対象の案件の第2経過日数と最も近いレコード(実績値データ)を抽出する(S301)。抽出された実績値データには、ベテラン営業担当者による営業活動状態値が含まれている。
【0059】
次にCPU11aは、上記の営業活動評価処理によって算出された各営業活動状態値と、S301において状態実績値DB109から抽出されたベテラン営業担当者による営業活動状態値の実績値とを示すグラフを作成する(S302)。CPU11aは、作成されたグラフを表示するための情報を生成し、これを端末機2に送信して、端末機2に評価結果画面を表示させる(S303)。
【0060】
図20は、評価結果画面の一例を示す図である。評価結果画面300には、営業行動チェックシート画面200と同様の画面レイアウトを有しており、表示領域303以外の部分は営業行動チェックシート画面200と共通している。表示領域303は、営業活動状態値のグラフを表示する領域である。表示領域303に表示されるグラフは、評価対象の案件における営業担当者の営業状態評価値を示す第1グラフ301、及び、状態実績値DB109から抽出されたベテラン営業担当者の営業活動状態値の実績値を示す第2グラフ302である。第1及び第2グラフ301,302は、各収集情報項目が放射状に配置された多角形のレーダーチャートとされる。これにより、営業担当者は、第1及び第2グラフ301,302を比較して、収集情報項目に、営業活動が十分に行われているか否かを判断することができる。例えば、
図20の例では、「発注者候補プロジェクト部門組織情報」及び「発注者候補の現在の状況についての把握」については第1グラフ301の値が第2グラフ302の値を上回っているため、営業活動が十分であると判断でき、「発注者候補購買部門組織情報」及び「発注者候補と当社の基本的なつながりの確認」については第1グラフ301の値が第2グラフ302の値を下回っているため、営業活動が不十分であると判断できる。
【0061】
また表示領域303には、レーダーチャートの各頂点(つまり、各収集情報項目)に対応付けて、「アクション参照」と表示された選択部304が含まれる。選択部304は、対応する収集情報項目について、ベテラン営業担当者が過去に行った営業行動を示す営業行動情報を出力するためのボタン又はリンクである。営業担当者は、例えばベテラン営業担当者よりも営業活動状態値が低い収集情報項目について、ベテラン営業担当者がどのような営業行動を取ったのか知りたい場合がある。そのような場合、営業担当者は、自分がベテラン営業担当者の営業行動を知りたい収集情報項目に対応する選択部304を選択する操作を行う。選択部304が選択されると、端末機2は選択部304が選択されたことを示すデータをサーバ1へ送信する。サーバ1のCPU11aは、選択部304が選択されたか否か、即ち、ベテラン営業担当者の過去の営業行動情報の出力指示を受け付けたか否かを判定し(S304)、選択部304が選択された場合(S304においてYES)、ステージIDと、選択された選択部304に対応する収集情報項目IDとを検索キーとして、営業行動情報DB110から該当する営業行動情報を取得する(S305)。CPU11aは、取得された営業行動情報を含む営業行動情報画面を表示するための情報を生成し、これを端末機2へ送信する。これにより、端末機2に営業行動情報画面が表示され(S306)、評価結果出力処理が終了する。他方、選択部304が選択されない場合(S304においてNO)、CPU11aは評価結果出力処理を終了する。
【0062】
図21は、営業行動情報画面の一例を示す図である。営業行動情報画面400は、ベテラン営業担当者が実際に取った営業行動を示すテキスト情報である営業行動情報の表示欄401と、教材コンテンツを呼び出すためのボタン402とを含む。営業担当者は、営業行動情報を参照することで、実際に行う営業行動を検討する際に、ベテラン営業担当者の過去の営業行動を参考にすることができる。また、営業担当者は、端末機2に表示されているボタン402を選択する操作を行うことで、表示されている営業行動に関連する教材コンテンツの表示要求を営業活動支援システム(サーバ1)に与えることができる。ボタン402を選択する操作が行われると、サーバから教材コンテンツが読み出され、再生又は出力される。これにより、営業担当者は、教材コンテンツを視聴することで、不足している営業行動に関連する知識を学習することができる。
【0063】
(その他の実施の形態)
上述した実施の形態では、営業活動のステージにおける営業活動状態値を算出することで、前記ステージにおける営業活動状態を定量評価する構成について述べたが、これに限定されるものではない。特定のステージだけでなく、それ以前からの営業活動を定量的又は定性的に評価する構成とすることもできる。例えば、特定のステージにおける営業活動状態を設問の回答等に基づいて定性的に評価し、これを評価結果として出力する構成としてもよい。
【0064】
また、上述した実施の形態では、算出された営業活動状態値を示す第1グラフと、ベテラン営業担当者による営業活動状態値の実績値を示す第2グラフとを出力する構成について述べたが、これに限定されるものではない。第1グラフを出力し、第2グラフを出力しない構成とすることもできる。また、上述した実施の形態では、第1及び第2グラフをレーダーチャートとして出力する構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、棒グラフ形式等のレーダーチャート以外のグラフ形式で第1及び第2グラフを出力するようにしてもよい。
【0065】
また、上述した実施の形態では、設問に対する回答の選択肢を「YES(1)」、「NO(0)」の2つとしたが、これに限定されるものではない。多段階の達成度を示す複数の回答選択肢を設ける構成としてもよい。
【0066】
また、上述した実施の形態1及び2では、単一のコンピュータ1aによってコンピュータプログラム14aのすべての処理が実行される構成について述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、当該コンピュータプログラム14aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。