特許第6822946号(P6822946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6822946
(24)【登録日】2021年1月12日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】複合積層集成体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B44C 1/175 20060101AFI20210114BHJP
   B32B 3/14 20060101ALI20210114BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20210114BHJP
【FI】
   B44C1/175 D
   B32B3/14
   B32B7/02 103
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-511661(P2017-511661)
(86)(22)【出願日】2015年8月25日
(65)【公表番号】特表2017-530875(P2017-530875A)
(43)【公表日】2017年10月19日
(86)【国際出願番号】US2015046649
(87)【国際公開番号】WO2016033010
(87)【国際公開日】20160303
【審査請求日】2018年8月24日
(31)【優先権主張番号】62/043,751
(32)【優先日】2014年8月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/833,688
(32)【優先日】2015年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル エム.スムスキ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム エー.ヘリング
(72)【発明者】
【氏名】スウィット サングカラタナ
【審査官】 川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−328398(JP,A)
【文献】 特開2011−128209(JP,A)
【文献】 特開2009−241613(JP,A)
【文献】 特開2013−000895(JP,A)
【文献】 特開2013−071322(JP,A)
【文献】 特開2014−208478(JP,A)
【文献】 特開2014−208477(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第105073442(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0048304(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44C 1/16−1/175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水圧転写システムにおいて対象を装飾する積層集成体であって、
前記水圧転写システム内に配置されると溶けるように構成されている水溶性担体フィルムと、
前記対象に光学的効果又はセキュリティ特徴のうちの1つ又は複数をもたらすように構成されている光学的効果層であって、該光学的効果層の全厚さを通して延びるクラックによって互いに離間された小部分に分割されている光学的効果層と、
前記水溶性担体フィルムと前記効果層との間に配置される1つ又は複数のインク層と、
前記1つ又は複数のインク層と前記光学的効果層との間に配置されるコート層と、
を備え、前記効果層は、前記対象に前記光学的効果又は前記セキュリティ特徴のうちの前記1つ又は複数をもたらすように構成されている浮彫りパターンを備える、積層集成体。
【請求項2】
前記効果層は、金属、金属合金又は高屈折率材料のうちの1つ又は複数から形成される、請求項1に記載の積層集成体。
【請求項3】
前記効果層によってもたらされる前記光学的効果は、ホログラフィデザイン、又は見る角度によって色が変化するデザインのうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の積層集成体。
【請求項4】
前記小部分は、前記コート層に向き合う該効果層の表面に平行な方向における前記クラックによって横方向に互いに分離されている、請求項1に記載の積層集成体。
【請求項5】
前記効果層の全厚さを通して延びる前記クラックは、マイクロクラックである請求項1に記載の積層集成体。
【請求項6】
前記浮彫りパターンは、前記効果層のエンボス加工パターンである、請求項1に記載の積層集成体。
【請求項7】
水圧転写システムにおいて対象上に装飾を転写する積層集成体であって、
前記水圧転写システム内に配置されると溶けるように構成されている水溶性担体フィルムと、
前記対象に光学的効果又はセキュリティ特徴のうちの1つ又は複数をもたらすように構成されている光学的効果層であって、該光学的効果層の全厚さを通して延びるクラックによって互いに離間された小部分に分割されている光学的効果層と、
前記水溶性担体フィルムと前記光学的効果層との間に配置されるコート層と、
を備え、前記効果層は、前記対象に前記光学的効果又は前記セキュリティ特徴のうちの前記1つ又は複数をもたらすように構成されている浮彫りパターンを備える、積層集成体。
【請求項8】
前記効果層は、金属、金属合金又は高屈折率材料のうちの1つ又は複数から形成される、請求項に記載の積層集成体。
【請求項9】
前記効果層によってもたらされる前記光学的効果は、ホログラフィデザイン、又は見る角度によって色が変化するデザインのうちの1つ又は複数を含む、請求項に記載の積層集成体。
【請求項10】
前記浮彫りパターンは、前記小部分によって画定される、請求項に記載の積層集成体。
【請求項11】
前記コート層はエンボス加工層である、請求項に記載の積層集成体。
【請求項12】
前記クラックはマイクロクラックである、請求項に記載の積層集成体。
【請求項13】
前記浮彫りパターンは、前記効果層のエンボス加工パターンである、請求項に記載の積層集成体。
【請求項14】
水圧転写システムにおいて対象を装飾する積層集成体であって、
水溶性担体フィルムと、
反射又は回折層に形成された浮彫りパターンを有するとともに前記対象に光学的効果を与えるデザイン層であって、前記反射又は回折層が該反射又は回折層の全厚さを通して延びるクラックによって互いに離間された小部分に分割される、デザイン層と、
前記水溶性担体フィルムと前記デザイン層との間に配置される1つ又は複数のインク層と、
を備える、積層集成体。
【請求項15】
前記デザイン層は、前記対象を見る角度に基づいて色を変化させる光学的効果デザインを与える、請求項14に記載の積層集成体。
【請求項16】
前記デザイン層における前記浮彫りパターンは、前記小部分によって形成される、請求項14に記載の積層集成体。
【請求項17】
記クラックはマイクロクラックである、請求項16に記載の積層集成体。
【請求項18】
前記デザイン層における前記浮彫りパターンはエンボス加工パターンである、請求項16に記載の積層集成体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2014年8月29日に出願された米国仮特許出願第62/043,751号に対する優先権を主張し、その開示全体は引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、三次元(3D)表面又は他の表面等の様々な対象上に画像を形成する積層集成体に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、非平面又は3D表面への水転写法又は水圧転写法(water or hydrographic transfers)は、従来のインク及びコーティングが印刷された水溶性担体フィルムを含む構造体を伴っていた。担体フィルムは、後続の印刷プロセスにおいて担体としての役割を果たすのに十分な厚さの流延ポリビニルアルコール(PVA)とされ得る。担体上に印刷されるインクは溶剤型であり、グラビア印刷等の印刷法によって塗布してもよいが、グラビア印刷、フレキソ印刷、リトグラフ、スクリーン印刷、熱転写印刷、インクジェット印刷又は他の短工程印刷技法を用いて印刷することもできる。
【0004】
インクは種々のパターンで印刷することができ、また、担体フィルム上へのインクの印刷に続く水転写プロセスにおいて、複数の対象を同時に装飾することができる。多くの装飾アイテムは、装飾を保護するために、アイテムの装飾面上に透明ポリマーコーティングを施してアイテムを上塗りすること等によって後仕上げされる。この後続のプロセスは、透明コートのスプレー塗布(例えばスプレー塗装)によって達成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の転写プロセスを用いて形成される最終製品は、用いられるインクの顔料及びコーティングが外部環境又は苛酷な使用環境に適さないため、インテリア用途であることが多い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施形態において、水圧転写システムにおいて対象を装飾する積層集成体が提供される。この積層集成体は、水圧転写システム内に配置されると溶けるように構成されている担体フィルムと、対象に光学的効果又はセキュリティ特徴のうちの1つ又は複数をもたらすように構成されている光学的効果層と、担体フィルムとコート層との間に配置される1つ又は複数のインク層と、1つ又は複数のインク層と光学的効果層との間に配置されるコート層とを備える。効果層は、対象に光学的効果又はセキュリティ特徴のうちの1つ又は複数をもたらすように構成されている浮彫りパターンを備える。
【0007】
別の実施形態において、水圧転写システムにおいて対象上に装飾を転写する別の積層集成体が提供される。この積層集成体は、水圧転写システム内に配置されると溶けるように構成されている担体フィルムと、対象に光学的効果又はセキュリティ特徴のうちの1つ又は複数をもたらすように構成されている光学的効果層と、担体層と光学的効果層との間に配置されるコート層とを備える。効果層は、対象に光学的効果又はセキュリティ特徴のうちの1つ又は複数をもたらすように構成されている浮彫りパターンを備える。
【0008】
別の実施形態において、水圧転写システムにおいて対象上に転写される積層集成体を製造する方法が提供される。この方法は、水圧転写システム内に配置されると溶けるように構成されている担体フィルムの上方に1つ又は複数のインク層を堆積することと、1つ又は複数のインク層の上方にコート層を堆積することと、コート層の上方に光学的効果層を堆積することと、光学的効果層に浮彫りパターンを形成することとを含む。浮彫りパターンは、対象に光学的効果又はセキュリティ特徴のうちの1つ又は複数をもたらすように構成されている。
【0009】
別の実施形態において、水圧転写システムにおいて対象上に印刷する積層集成体を製造する別の方法が提供される。この方法は、担体フィルムの上方にコート層を堆積することと、コート層の上方に光学的効果層を堆積することと、光学的効果層に浮彫りパターンを形成することとを含む。浮彫りパターンは、対象に光学的効果又はセキュリティ特徴のうちの1つ又は複数をもたらすように構成されている。
【0010】
本発明の主題は、添付図面(必ずしも縮尺通りに描かれていない)を参照して、非限定的な実施形態の以下の説明を読むことによってよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】1つの実施形態に係る水圧転写システムの概略図である。
図2】1つの実施形態に係る積層集成体の製造時の積層集成体の断面図である。
図3】1つの実施形態に係る積層集成体の製造時の積層集成体の断面図である。
図4】1つの実施形態に係る積層集成体の製造時の積層集成体の断面図である。
図5】別の実施形態に係る積層集成体の製造時の積層集成体の断面図である。
図6】別の実施形態に係る積層集成体の製造時の積層集成体の断面図である。
図7】別の実施形態に係る積層集成体の製造時の積層集成体の断面図である。
図8】別の実施形態に係る積層集成体の製造時の積層集成体の断面図である。
図9】別の実施形態に係る積層集成体の製造時の積層集成体の断面図である。
図10】別の実施形態に係る積層集成体の製造時の積層集成体の断面図である。
図11】別の実施形態に係る積層集成体の製造時の積層集成体の断面図である。
図12】1つの実施形態に係る水圧転写システムにおいて使用される積層集成体を製造する方法のフローチャートである。
図13】別の実施形態に係る水圧転写システムにおいて使用される積層集成体を製造する方法のフローチャートである。
図14】別の実施形態に係る水圧転写システムにおいて使用される積層集成体を製造する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態は、液圧転写法(例えば水転写法)等によって3D表面を有する対象等の対象を装飾するのに使用することができる積層集成体(及び積層集成体を製造する方法)に関する。他の液圧転写法とは対照的に、本明細書に記載の積層集成体は、対象の3D表面に、ホログラフィパターン、回折パターン、セキュリティパターン、テクスチャパターン又はブラシ仕上げ金属パターンをもたらす1つ又は複数の効果層を備えることができる。この効果層は、金属材料及び/又は高屈折率(HRI)材料の印刷、エンボス加工、気相蒸着等によって生成し、装飾効果又はセキュリティ効果をもたらすことができる。HRI材料は、1つの実施形態において少なくとも1.5の屈折率を有する材料とすることができる。
【0013】
図1は、1つの実施形態に係る水圧転写システム100の概略図である。システム100は、水等の液体104を保持する槽102を備える。積層集成体106は、液体104の表面上に浮かべられる。後述するように、この積層集成体106は、1つ又は複数の装飾層が配置されている担体フィルムを備えることができる。これらの装飾層は、1つ又は複数の装飾的特徴、電子的特徴又はセキュリティ特徴を提供する光学層及び/又は効果層、インク印刷層等を含むことができる。担体フィルムは液体104に溶解することができ、それにより、装飾層が液体104の表面上に浮かんだままになる。次に、装飾される又はラミネートされる対象が液体104に浸漬される。装飾層が対象の3D表面に付着し、装飾層の1つ又は複数の画像を対象の3D表面上に装飾する。
【0014】
積層集成体106として使用することができる様々な積層集成体のいくつかの実施形態を本明細書に記載する。図面は縮尺通りではなく、1つ又は複数のフィルム又は層を、図に示されている他のフィルム又は層よりも大きく又は小さくしてある場合がある。
【0015】
図2図4は、1つの実施形態に係る積層集成体200の製造時の積層集成体200の断面図を示している。積層集成体200は、図1に示す積層集成体106を表し得る。積層集成体200は、積層集成体200の追加層を支持する担体フィルム202を備える。担体フィルム202は、1つ又は複数の層上に画像を印刷すること、1つ又は複数の層を金属化すること、水圧転写のために積層集成体200を槽102に運ぶこと等を含み得る積層集成体200の製造時に、積層集成体200の追加層を支持することができる材料から形成することができる。担体フィルム202は、液体104及び/又はポリビニルアルコール(PVA)等の別の化学薬品又は別の材料と接触すると溶解する材料から形成することができる。
【0016】
インク層204は担体フィルム202上に配置される。インク層204は、装飾される対象の3D表面上に少なくとも部分的に視認可能となる視覚イメージ、デザイン等をもたらす、インクでできた1つ又は複数の層を表す。インク層204は、熱転写印刷、デジタルインクジェット印刷、三次元印刷、グラビア印刷等のような1つ又は複数の印刷法を用いて担体フィルム202上に形成することができる。インク層204を形成する1つ又は複数のインクは、フリーラジカルインク、紫外線及び電子線硬化(UV/EB)インク又は別の種類のインクとすることができる。これらのタイプのインク及び印刷法は、積層集成体200における溶剤残渣の量を低減又は溶剤残渣を無くすことができ、これは、後述の効果層208の堆積において役立ち得る。1つの態様において、インク層204を形成するのに使用されるインクは、熱、UV光又はEB照射にインクを曝露すること等によって架橋させることができる。インク層204の転写後にインクを架橋することで、インク層204を保護するための追加のコーティングの必要性を低減させることができる。
【0017】
フラッドコート層206をインク層204上に配置し、インク層204が、担体フィルム202とフラッドコート層206との間にある及び/又は担体フィルム202及び/又はフラッドコート層206と直接接触するようにすることができる。フラッドコート層206は、必要に応じてエンボス加工層、エンボスコート層等と呼ばれ得る。フラッドコート層206は、コート層206に圧力が印加される場合に変形することができる、熱可塑性材料等の軟質及び/又は可鍛性材料から形成される。例えば、コート層206は、ポリエステル、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)等のような1つ又は複数のポリマー材料から形成することができる。
【0018】
効果層208をコート層206上に堆積し、コート層206がコート層206と効果層208との間にある及び/又はコート層206及び/又は効果層208と直接接触するようにすることができる。1つの実施形態において、効果層208は、金属又は金属合金等の1つ又は複数の反射性材料から形成される金属化層である。効果層208は、連続する導電層とすることもできるし、2つ以上の別個の導電体(導電結合されていない)から形成することもできる。効果層208は、1つ又は複数の金属又は金属合金をコート層206上に真空蒸着、スパッタリング、印刷、気相蒸着させること等によって形成することができる。必要に応じて、効果層208は、インクのナノ粒子、真空金属化顔料(VMP:vacuum metalized pigments)、スーパーシルバー(super argents)等を用いて形成することができる。効果層208を形成するのに使用される金属又は金属合金は、アルミニウム、銀等を含むことができる。必要に応じて、効果層208は、1つ又は複数のHRI材料から形成される屈折層等の、1つ又は複数の屈折層から形成される屈折層又は回折層(例えば色変化をもたらす又は生じる)としてもよい。
【0019】
効果層208の厚さは、様々な光学的効果に関して、及び/又は、インク層204、コート層206及び/又は効果層208の対象上への転写の容易性に好影響を与えるように、効果層208が印刷される対象の表面の光学密度を調整するために制御することができる。
【0020】
図2に示すように、1つの実施形態において、効果層208は、コート層206上に連続シートとして堆積することができる。図3に示すように、エンボス加工ダイ300を用いて、効果層208に浮彫りパターンをエンボス加工することができる。ダイ300を効果層208上に押し下げることができる(及び/又は積層集成体200がダイ300に押し付けられる)。ダイ300が積層集成体200に印加する圧力により、効果層208に浮彫りパターンをエンボス加工することができる。例えば、ダイ300は、円筒形であるか又は平坦な本体302を備えることができ、本体302は、本体302から延びる1つ又は複数の突起304を有する。ダイ300は、効果層208をコート層206に押し付けることができる。コート層206は、効果層208よりも柔軟及び/又は可鍛性が高いものとすることができ、その結果、図4に示すように、ダイ300によって印加される圧力により、効果層208を別個の離間した塊400に分離することができる。例えば、ダイ300は、効果層208に応力を加えて効果層208を裂断し、それにより、間隙402(図4に示す)によって互いに分離されている塊400を形成することができる。間隙402は、効果層208の厚さの全て又は少なくとも一部を通るマイクロクラック等の亀裂を表し得る。
【0021】
エンボス加工ダイ300は、効果層208においてダイ300によって形成されるパターン間に継ぎ目が形成されないように十分大きいものとすることができる。例えば、円筒形のダイ300は、図3に示すように、効果層208の幅の全て又は実質的に全て(例えば少なくとも90%又は別の量)にわたって延びるように十分幅広とすることができる。この場合、ダイ300は、効果層208上に転がして、効果層208の長さの全て又は実質的に全て(例えば少なくとも90%又は別の量)にわたって浮彫りパターンを効果層208にエンボス加工することができる。結果として、効果層208の別の部分を別個にエンボス加工するためにダイ300を持ち上げてダイ300を効果層208の別の部分に当てる必要なく、浮彫りパターンが効果層208の全て又は実質的に全てにエンボス加工される。
【0022】
塊400及び/又は間隙402によって効果層208に形成される浮彫りパターンは、インク層204の印刷によって形成される印刷パターンと組み合わせることができる。対象の表面上にインク層204、コート層206及び効果層208を塗布した後、効果層208及び/又はインク層204は、対象を見る角度を変えると動く、きらめく、色変化する等のように見える劇的かつ光学的に可変の(又は動的な)装飾を提供することができる。効果層208(及び/又はインク層204)は、ホログラフィ、回折、テクスチャ、セキュリティ又はブラシ仕上げパターン/デザイン/構造を形成し、3D表面に転写することができる。代替的には、効果層208によって形成される浮彫りパターンは、微視的な字句、数字を形成すること等によって比較的小さいセキュリティ特徴を提供することができる。
【0023】
必要に応じて、黒色顔料及び/又は染料(又は別の色)を効果層208のエンボス加工部の直後(例えばその上)に印刷して、視覚効果をつくり出すことができる。効果層208は、装飾される対象にセキュリティ特徴、機能的特徴、装飾的特徴及び/又は別の特徴を与えるように反射性とすることができる。例えば、効果層208は、対象の装飾、対象の真贋確認等を援助する対象の表面上のミラー層又はホログラフィ層に用いられる反射層を提供することができる。必要に応じて、インク層204及び/又は効果層208は、木目、大理石、石材、金属仕上げ、布地、幾何学的デザイン、カーボンファイバー等の種々の印刷パターンを提供するようにパターン化し、向上した視覚効果、セキュリティ特徴及び3D対象の装飾容易性を達成することができる。
【0024】
効果層208及び/又はインク層204における浮彫りパターンは、装飾される対象の表面に、整合された確実かつ固有の効果をもたらすようにパターン化するとともに互いに整合することができる。加えて、効果層208は、装飾される対象に、少なくともいくらかの耐引掻き性又は傷耐性、耐薬品性、天候に起因する摩耗及び引裂きへの耐性等を与えることができる。1つの実施形態において、積層集成体が転写される対象は、積層集成体によって形成される装飾を保護するのに、透明ポリマーコーティングによる対象の上塗り等の後仕上げ作業を必要としない。
【0025】
図5図8は、別の実施形態に係る積層集成体500の製造時の積層集成体500の断面図を示している。積層集成体500は、図1に示す積層集成体106を表し得る。積層集成体500は、上述の担体フィルム202及びコート層206(図5図8の「エンボスコート層」)を備える。積層集成体500と図2に示す積層集成体200との1つの違いは、積層集成体500にはインク層204(図2に示す)が無いことである。例えば、コート層206は、担体フィルム202上に直接堆積することができる。
【0026】
積層集成体200、500間のもう1つの違いは、ダイ300によって形成される浮彫りパターンが、図2に示す積層集成体200の効果層208(図2に示す)ではなく、図5に示す積層集成体500のコート層206に形成され得ることである。図6及び図7に示すように、ダイ300は、コート層206に直接係合してコート層206をエンボス加工し、コート層206にエンボス加工パターン700又は凹部を形成することができる。図示の例では、パターン700はコート層206内に延び、コート層206の凹凸面又は別様な不均一面を形成する。
【0027】
図8に示すように、効果層800をエンボス加工コート層206上に形成することができる。効果層800をコート層206上に堆積し、コート層206がコート層206と効果層800との間にある及び/又はコート層206及び/又は効果層800と直接接触するようにすることができる。1つの実施形態において、効果層800は、金属又は金属合金等の1つ又は複数の反射性材料から形成されている金属化層である。
【0028】
効果層800は、効果層208を形成するのに用いた材料のうちの1つ又は複数から形成することができる。図示の実施形態では、効果層800は、互いから離間した不連続塊802を含む。例えば、塊802は、間隙804によって互いから分離し、塊802が互いに係合しないようにすることができる。塊802は、選択的アディティブ金属化法又は選択的サブトラクティブ金属化法等の金属材料の選択的蒸着法(例えば「DEMET」)によって形成することができる。選択的アディティブ金属化法において、オイル等の蒸発材料を、コート層206上の塊802が存在しない箇所に(例えば間隙804に)堆積することができる。塊802を形成するのに用いられる材料(例えば金属又は金属合金)は真空チャンバー内で加熱され、材料は材料源から蒸発し、次にコート層206上の蒸発材料が存在しない箇所に(例えば間隙804に)凝結し、塊802を形成する。塊802の蒸着中、蒸発材料は、塊802がオイルの存在する箇所に(例えば間隙804に)蒸着するのを阻止することができる。蒸発材料は、塊802の蒸着中にコート層206から蒸発し得る。
【0029】
選択的サブトラクティブ金属化法では、効果層800の塊802を形成するのに用いられる材料の連続層を、コート層206上に堆積することができる。例えば、図2に示す効果層208と同様の層を、コート層206上の、間隙804と間隙間の領域802との双方に堆積することができる。コート層206上に堆積されている層上に、マスクを印刷又は配置することができる。このマスクは、堆積層のいくつかの部分(例えば間隙804間の部分)を、堆積層の他の部分を除去する後続のエッチング作業中に除去されないように被覆又は保護することができる。次に、マスクを堆積層から除去することができる。マスクが堆積層の間隙804間の部分を保護するので、塊802はマスクの除去後も残存することができる。
【0030】
別の例では、効果層800は、反射性顔料又はインク、回折性顔料又はインク(例えば層800から反射される光の波長を変化させる)等を用いた層800を印刷することによって形成してもよい。必要に応じて、効果層800の塊802は、三次元印刷法を用いて形成してもよい。
【0031】
効果層800の塊802は、対象を見る角度を変えると「動く」又は「きらめく」ように見える劇的かつ光学的に可変の(又は動的な)装飾を提供することができる浮彫りパターンを形成する。必要に応じて、黒色顔料及び/又は染料(又は別の色)を効果層800の上及び/又は下に印刷して、視覚効果をつくり出すことができる。効果層800は、装飾される対象にセキュリティ特徴、機能的特徴、装飾的特徴及び/又は別の特徴を与えるように反射性とすることができる。例えば、効果層800は、対象の装飾、対象の真贋確認等を援助する対象の表面上のミラー層又はホログラフィ層に用いられる反射層を提供することができる。1つの実施形態において、積層集成体が転写される対象は、積層集成体によって形成される装飾を保護するのに、透明ポリマーコーティングによる対象の上塗り等の後仕上げ作業を必要としない。
【0032】
図9図11は、別の実施形態に係る積層集成体900の製造時の積層集成体900の断面図を示している。積層集成体900は、図1に示す積層集成体106を表し得る。積層集成体900は、担体フィルム202と、コート層206(図9図11の「エンボスコート層」)と、上述の効果層208とを備える。積層集成体900と図2に示す積層集成体200との1つの違いは、積層集成体500にはインク層204(図2に示す)が無いことである。例えば、コート層206は、担体フィルム202上に直接堆積することができる。
【0033】
図9及び図10に示すように、1つの実施形態において、効果層208は、連続シートとしてコート層206上に堆積することができる。エンボス加工ダイ300を用いて、効果層208に浮彫りパターンをエンボス加工することができる。効果層208に形成される浮彫りパターンには、図4に関して上述した塊400及び/又は間隙402を含むことができる。装飾される対象の表面上にインク層204、コート層206及び効果層208を塗布した後、効果層208及び/又はインク層204は、対象を見る角度を変えると「動く」又は「きらめく」ように見える劇的かつ光学的に可変の(又は動的な)装飾を提供することができる。必要に応じて、黒色顔料及び/又は染料(又は別の色)を効果層208のエンボス加工部の直後に(例えばその上に)印刷して、視覚効果をもたらすことができる。効果層208は、装飾される対象にセキュリティ特徴、機能的特徴、装飾的特徴及び/又は別の特徴を与えるように反射性とすることができる。例えば、効果層208は、対象の装飾、対象の真贋確認等を援助する対象の表面上のミラー層又はホログラフィ層に用いられる反射層を提供することができる。
【0034】
図2図11に示す積層集成体の2つ以上の層を堆積する順番は、図1に示す水圧転写システム100を用いた、槽102内の液体104から装飾される対象への層の転写に影響を与え得る。例えば、(例えば積層集成体200、900に関して上述したように)効果層208を堆積した後に効果層208をエンボス加工することで、効果層208に間隙402を形成することができる。これらの間隙402は、効果層208をより小さい部分に分断することができ、それにより、転写システム100において積層集成体200、900の対象上への取付けは、積層集成体500に対して容易になり得る。
【0035】
本明細書に記載の効果層208に浮彫りパターンを形成するのにエンボス加工が用いられたが、必要に応じて、浮彫りパターンを形成するのに別の技法を用いてもよい。例えば、効果層208を形成する材料は、或る特定の領域において(例えばVMPインク、色変化インク等を使用して)選択的に堆積又は印刷して他の領域では堆積又は印刷しないか、異なる領域において異なる厚さに堆積又は印刷する等して、浮彫りパターンを形成することができる。1つの実施形態において、積層集成体が転写される対象は、積層集成体によって形成される装飾を保護するのに、透明ポリマーコーティングによる対象の上塗り等の後仕上げ作業を必要としない。
【0036】
図12は、1つの実施形態に係る水圧転写システムにおいて用いられる積層集成体を製造する方法1200のフローチャートを示している。この方法1200は、図4に示す積層集成体200を製造するのに用いることができる。1202において、担体フィルム202上又はその上方に1つ又は複数のインク層204を堆積する。1204において、インク層204上又はその上方にエンボスコート層又はフラッドコート層206を堆積する。1206において、コート層206上又はその上方に効果層208を堆積する。1208において、エンボス加工等により、効果層208に浮彫りパターンを形成する。
【0037】
図13は、1つの実施形態に係る水圧転写システムにおいて用いられる積層集成体を製造する方法1200のフローチャートを示している。この方法1300は、図8に示す積層集成体500を製造するのに用いることができる。1302において、担体フィルム202上又はその上方にエンボスコート層又はフラッドコート層206を堆積する。1304において、エンボス加工等により、効果層208に浮彫りパターンを形成する。1306において、選択的金属蒸着法又は別の技法を使用すること等により、コート層206上又はその上方に効果層を堆積する。
【0038】
図14は、1つの実施形態に係る水圧転写システムにおいて用いられる積層集成体を製造する方法1400のフローチャートを示している。この方法1400は、図11に示す積層集成体900を製造するのに用いることができる。1402において、担体フィルム202上又はその上方にエンボスコート層又はフラッドコート層206を堆積する。1404において、コート層206上又はその上方に効果層208を堆積する。1406において、エンボス加工等により、効果層208に浮彫りパターンを形成する。
【0039】
1つの実施形態において、水圧転写システムにおいて対象を装飾する積層集成体が提供される。積層集成体は、水圧転写システム内に配置されると溶けるように構成されている担体フィルムと、対象に光学的効果又はセキュリティ特徴のうちの1つ又は複数をもたらすように構成されている光学的効果層と、担体フィルムと効果層との間に配置される1つ又は複数のインク層と、1つ又は複数のインク層と光学的効果層との間に配置されるコート層とを備える。効果層は、対象に光学的効果又はセキュリティ特徴のうちの1つ又は複数をもたらすように構成されている浮彫りパターンを備える。
【0040】
1つの態様において、効果層は、金属、金属合金又は高屈折率材料のうちの1つ又は複数から形成される。
【0041】
1つの態様において、効果層によってもたらされる光学的効果は、ホログラフィデザイン、又は見る角度によって色が変化するデザインのうちの1つ又は複数を含む。
【0042】
1つの態様において、効果層は、光学的効果又はセキュリティ特徴のうちの1つ又は複数をもたらす浮彫りパターンを備える。
【0043】
1つの態様において、浮彫りパターンは、間隙によって分離されている効果層の別個の塊によって画定される。
【0044】
1つの態様において、浮彫りパターンは、マイクロクラックによって分離されている効果層の別個の塊によって画定される。
【0045】
1つの態様において、浮彫りパターンは、効果層のエンボス加工パターンである。
【0046】
別の実施形態において、水圧転写システムにおいて対象上に装飾を転写する積層集成体が提供される。この積層集成体は、水圧転写システム内に配置されると溶けるように構成されている担体フィルムと、対象に光学的効果又はセキュリティ特徴のうちの1つ又は複数をもたらすように構成されている光学的効果層と、担体層と光学的効果層との間に配置されるコート層とを備える。効果層は、対象に光学的効果又はセキュリティ特徴のうちの1つ又は複数をもたらすように構成されている浮彫りパターンを備える。
【0047】
1つの態様において、効果層は、金属、金属合金及び/又は高屈折率材料のうちの1つ又は複数から形成される。
【0048】
1つの態様において、効果層によってもたらされる光学的効果は、ホログラフィデザイン、及び/又は見る角度によって色が変化するデザインのうちの1つ又は複数を含む。
【0049】
1つの態様において、効果層は、光学的効果又はセキュリティ特徴のうちの1つ又は複数をもたらす浮彫りパターンを備える。
【0050】
1つの態様において、浮彫りパターンは、間隙によって分離されている効果層の別個の塊によって画定される。
【0051】
1つの態様において、コート層はエンボス加工層である。
【0052】
1つの態様において、浮彫りパターンは、マイクロクラックによって分離されている効果層の別個の塊によって画定される。
【0053】
1つの態様において、浮彫りパターンは、効果層のエンボス加工パターンである。
【0054】
別の実施形態において、水圧転写システムにおいて対象上に転写される積層集成体を製造する方法が提供される。この方法は、水圧転写システム内に配置されると溶けるように構成されている担体フィルムの上方に1つ又は複数のインク層を堆積することと、1つ又は複数のインク層の上方にコート層を堆積することと、コート層の上方に光学的効果層を堆積することと、光学的効果層に浮彫りパターンを形成することとを含む。浮彫りパターンは、対象に光学的効果又はセキュリティ特徴のうちの1つ又は複数をもたらすように構成されている。
【0055】
1つの態様において、浮彫りパターンを形成することは、光学的効果層に浮彫りパターンをエンボス加工することを含む。
【0056】
1つの態様において、効果層を堆積することは、金属、金属合金及び/又は高屈折率材料のうちの1つ又は複数を堆積することを含む。
【0057】
1つの態様において、1つ又は複数のインク層を堆積することは、熱転写印刷、デジタルインクジェット印刷、三次元印刷のうちの1つ若しくは複数を用いて1つ若しくは複数のインク層を印刷すること、及び/又は、1つ若しくは複数のインク層のインクを架橋することを含む。
【0058】
1つの態様において、効果層を堆積することは、1つ又は複数の金属及び/又は金属合金を気相蒸着することを含む。
【0059】
1つの態様において、効果層によってもたらされる光学的効果は、ホログラフィデザイン、及び/又は見る角度によって色が変化するデザインのうちの1つ又は複数を含む。
【0060】
1つの態様において、浮彫りパターンを形成することは、間隙によって互いに分離されている効果層の1つ又は複数の別個の塊を形成することを含む。
【0061】
1つの態様において、浮彫りパターンを形成することは、選択的アディティブ金属蒸着法を用いて反射層を堆積すること、選択的サブトラクティブ金属蒸着法を用いて反射層を堆積すること、反射性顔料で1つ又は複数の層を印刷すること、及び/又は回折性顔料で1つ又は複数の層を印刷することのうちの1つ又は複数を含む。
【0062】
1つの態様において、浮彫りパターンを形成することは、効果層にマイクロクラックを形成することを含む。
【0063】
1つの態様において、浮彫りパターンを形成することは、効果層をエンボス加工することを含む。
【0064】
別の実施形態において、水圧転写システムにおいて対象上に印刷する積層集成体を製造する方法が提供される。この方法は、担体フィルムの上方にコート層を堆積することと、コート層の上方に光学的効果層を堆積することと、光学的効果層に浮彫りパターンを形成することであって、浮彫りパターンは、対象に光学的効果又はセキュリティ特徴のうちの1つ又は複数をもたらすように構成されていることとを含む。
【0065】
1つの態様において、浮彫りパターンを形成することは、光学的効果層に浮彫りパターンをエンボス加工することを含む。
【0066】
1つの態様において、効果層を堆積することは、金属、金属合金及び/又は高屈折率材料のうちの1つ又は複数を堆積することを含む。
【0067】
1つの態様において、効果層を堆積することは、1つ又は複数の金属及び/又は金属合金を気相蒸着することを含む。
【0068】
1つの態様において、効果層によってもたらされる光学的効果は、ホログラフィデザイン、及び/又は見る角度によって色が変化するデザインのうちの1つ又は複数を含む。
【0069】
1つの態様において、浮彫りパターンを形成することは、間隙によって互いに分離されている効果層の1つ又は複数の別個の塊を形成することを含む。
【0070】
1つの態様において、浮彫りパターンを形成することは、選択的アディティブ金属蒸着法を用いて反射層を堆積すること、選択的サブトラクティブ金属蒸着法を用いて反射層を堆積すること、反射性顔料で1つ又は複数の層を印刷すること、及び/又は回折性顔料で1つ又は複数の層を印刷することのうちの1つ又は複数を含む。
【0071】
1つの態様において、浮彫りパターンを形成することは、効果層にマイクロクラックを形成することを含む。
【0072】
1つの態様において、浮彫りパターンを形成することは、効果層をエンボス加工することを含む。
【0073】
1つの態様において、パターンを形成することは、効果層にテクスチャを形成することを含む。
【0074】
上記記載は、限定的ではなく例示的であるように意図されていることが理解されるべきである。例えば、上述した実施形態(及び/又はその態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。さらに、本発明の主題の範囲から逸脱することなく、その教示に対して特定の状況又は材料を適合させるように、多くの変更を行うことができる。本明細書に記載する材料の寸法及びタイプは、本発明の主題のパラメーターを定義するように意図されているが、決して限定するものではなく、例示的な実施形態である。上記記載を検討して、当業者には他の多くの実施形態が明らかとなろう。したがって、本発明の主題の範囲は、添付の請求項を、こうした請求項に権利が与えられる均等物の全範囲とともに参照することにより、判断されるべきである。添付の請求項において、「含む、備える(including)」及び「in which」という用語は、それぞれ「含む、備える(comprising)」及び「wherein」という用語の平易な英語の同義語として用いられている。さらに、添付の請求項において、「第1の」、「第2の」及び「第3の」等の用語は、単に標識として用いられており、それらの対象物に対して数値的要件を課すようには意図されていない。さらに、添付の請求項の限定は、ミーンズプラスファンクション(means-plus-function)形式で書かれておらず、こうした請求項の限定が更なる構造を記述しない機能的表現に伴い「〜手段(means for)」という句を明示的に使用しない限り、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されるようには意図されていない。例えば、「〜機構」、「〜モジュール」、「〜デバイス」、「〜ユニット」、「〜構成要素」、「〜要素」、「〜部材」、「〜装置」、「〜機械」又は「〜システム」の列挙は、米国特許法第112条(f)を行使するものとして解釈されるべきではなく、これらの用語のうちの1つ又は複数を列挙するいかなる請求項も、ミーンズプラスファンクションクレームとして解釈されるべきではない。
【0075】
この書かれている記載は、例を用いて、本発明の主題のいくつかの実施形態を開示するとともに、当業者が、任意のデバイス又はシステムを作製し使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含めて、本発明の主題の実施形態を実施するのを可能する。本発明の主題の特許可能な範囲は、請求項によって定義され、当業者が想到する他の例を含むことができる。こうした他の例は、請求項の文字通りの言語と相違のない構造的要素を有する場合、又は請求項の文字通りの言語と実質的には相違のない均等の構造的要素を含む場合、請求項の範囲内にあるように意図される。
【0076】
本明細書で用いる、単数で列挙され「1つの(a又はan)」といった語が先行する要素又はステップは、複数の上記要素又はステップの排除が明示的に述べられていない限り、これらを排除しないものとして理解されるべきである。さらに、本明細書に記載する本発明の主題の「1つの実施形態」又は「一実施形態」に言及する場合、それは、列挙された特徴を同様に組み込む更なる実施形態の存在を排除するものとして解釈されるようには意図されていない。さらに、明示的に述べられていない限り、特定の特性を有する要素又は複数の要素を「備えている」、「備える」、「含んでいる」、「含む」、「有している」又は「有する」実施形態は、その特性を有していない更なるこうした要素を含む可能性がある。
本発明は、以下の様態16〜20に示される方法としても実施することができる。
[様態16]
水圧転写システムにおいて対象上に転写される積層集成体を製造する方法であって、
前記水圧転写システム内に配置されると溶けるように構成されている担体フィルムの上方に1つ又は複数のインク層を堆積することと、
前記1つ又は複数のインク層の上方にコート層を堆積することと、
前記コート層の上方に光学的効果層を堆積することと、
前記光学的効果層に浮彫りパターンを形成することであって、前記浮彫りパターンは、前記対象に光学的効果又はセキュリティ特徴のうちの1つ又は複数をもたらすように構成されている、浮彫りパターンを形成することと、
を含む、方法。
[様態17]
前記浮彫りパターンを形成することは、前記光学的効果層に前記浮彫りパターンをエンボス加工することを含む、様態16に記載の方法。
[様態18]
前記効果層を堆積することは、金属、金属合金又は高屈折率材料のうちの1つ又は複数を堆積することを含む、様態16に記載の方法。
[様態19]
前記1つ又は複数のインク層を堆積することは、熱転写印刷、デジタルインクジェット印刷、三次元印刷のうちの1つ若しくは複数を用いて前記1つ若しくは複数のインク層を印刷すること、又は、前記1つ若しくは複数のインク層のインクを架橋することを含む、様態16に記載の方法。
[様態20]
前記効果層を堆積することは、1つ又は複数の金属又は金属合金を気相蒸着することを含む、様態16に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14