(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、例えば、電子ディスプレイ、フレキシブル光電池又はソーラーパネル、及びウェアラブル電子機器等のフレキシブルデバイスにおいて使用可能な、アセンブリ層である。本明細書で使用する場合、用語「アセンブリ層」は、以下の特性を有する層を指す:(1)少なくとも2つのフレキシブル基材への接着性及び(2)繰り返しの曲げの間に被着体を堅持し、耐久試験に合格する十分な能力。本明細書で使用する場合、「フレキシブルデバイス」は、曲げ半径が200mm、100mm、50mm、20mm、10mm、5mm程度の低さ、若しくは2mm未満の、繰り返しの曲げ又は丸め作用に耐えることができるデバイスと定義される。アセンブリ層は、軟質で、主として弾性で、プラスチックフィルム又はガラスのような他のフレキシブル基材に対して良好な接着性を有し、かつせん断荷重に対して高い耐用性を有する。更に、アセンブリ層は、比較的低い弾性率、中等度の応力における高率のコンプライアンス、低いガラス転移温度、折り曲げ中の最小のピーク応力の発生、及び応力を負荷し、かつ取り除いた後の良好なひずみ回復を有し、繰り返しの折り曲げ及び折り曲げの解除に耐えられるその能力のため、フレキシブルアセンブリにおける使用に好適となっている。多層構造体を繰り返し曲げる、又は、丸める状況下では、接着剤層に対するせん断荷重が非常に顕著となり、あらゆる形態の応力が、機械的不良(層間剥離、1つ以上の層の座屈、接着剤中のキャビテーション気泡等)だけでなく、視覚的不良又はむらの原因となり得る。主として粘弾性を特徴とする従来の接着剤とは異なり、本発明のアセンブリ層は、使用条件では主として弾性であり、それでもなお、様々な耐久性要求事項に合格するのに十分な接着性を維持する。一実施形態において、アセンブリ層は光学的に透明であり、低ヘイズ、高可視光透明度、抗白色化挙動、及び環境耐久性を呈する。
【0011】
本発明のアセンブリ層は、精選された組成物から調製され、異なる程度で架橋され、様々な弾性特性をもたらす一方で、なお、全ての光学的に透明な要求事項を概ね満たしている。例えば、折り曲げ半径が5mm以下のラミネート内で用いられるアセンブリ層は、ラミネートの層間剥離若しくは座屈、又は接着剤の気泡を起こさずに得ることができる。好適なアセンブリ層組成物の例は、これらに限定されるものではないが、アクリル、アクリルブロックコポリマー、物理的に架橋されたシリコーンエラストマー、共有結合で架橋されたシリコーンエラストマー、アイオノマー架橋されたシリコーンエラストマー試薬生成混合物、ポリウレタン、シリコーン系部分を含む共有結合で架橋されたポリウレタン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、オレフィンブロックコポリマー、ポリイソブチレン、及び高級アルキルポリオレフィンのうちの少なくとも1つを含む。
【0012】
一実施形態において、アセンブリ層組成物はアクリル系であり、約1〜約24個の炭素原子をアルキル基に有する少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートエステルと、フリーラジカル生成開始剤とを含む前駆体から誘導される。いくつかの実施形態において、前駆体混合物は、極性の共重合性モノマー及び架橋剤を含む。
【0013】
一実施形態において、アセンブリ層組成物は、アクリルブロックコポリマー系である。本明細書で使用する場合、用語「アクリル」は、「(メタ)アクリレート」と同義であり、アクリレート、メタクリレート、又はこれらの誘導体から調製されるポリマー材料を指す。本明細書で使用する場合、用語「ポリマー」は、ホモポリマー又はコポリマーであるポリマー材料を指す。本明細書で使用する場合、用語「ホモポリマー」は、1種類のモノマーの反応生成物であるポリマー材料を指す。本明細書で使用する場合、用語「コポリマー」は、少なくとも2種類の異なるモノマーの反応生成物であるポリマー材料を指す。本明細書で使用する場合、用語「ブロックコポリマー」は、少なくとも2種類の互いに異なるポリマーブロックを共有結合させることにより生成され、しかし、くし型構造を有していないコポリマーを指す。2種類の異なるポリマーブロックは、Aブロック及びBブロックと呼ぶ。
【0014】
一実施形態において、本発明のアセンブリ層は、少なくとも1つのマルチブロックコポリマー[例えば、ABA又は星型ブロック(AB)n(式中、nは星型ブロック中の腕の数を表す)]と、任意に、ジブロック(AB)コポリマーとを含む。このようなブロックコポリマーは、ハードAブロックとソフトBブロックとの相分離により、物理的に架橋している。追加の架橋を、共有結合架橋機序(すなわち、熱的に誘導する、又はUV照射、電子線等の高エネルギー照射、若しくはイオン架橋を用いる)によって導入してもよい。この追加の架橋は、ハードブロックA中、ソフトブロックB中、又は両方において実施可能である。他の一実施形態において、アクリルブロックコポリマーアセンブリ層は、少なくとも1つのマルチブロックコポリマー[例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)ハードAブロック及び1つ以上のポリ−n−ブチルアクリレート(PnBA)ソフトBブロックを有する]をベースとしている。更に他の一実施形態において、アクリルブロックコポリマー系アセンブリ層は、少なくとも1つのABジブロックコポリマー[例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)ハードAブロック及びポリ−n−ブチルアクリレート(PnBA)ソフトBブロックを有する]と結合した、少なくとも1つのマルチブロックコポリマー[例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)ハードAブロック及び1つ以上のポリ−n−ブチルアクリレート(PnBA)ソフトBブロックを有する]をベースとしている。
【0015】
アセンブリ層は、少なくとも2つのAブロックポリマー単位と少なくとも1つのBブロックポリマー単位との反応生成物(すなわち、少なくとも2つのAブロックポリマー単位が少なくとも1つのBブロックポリマー単位に共有結合している)を含むブロックコポリマーを含有する。各Aブロック(少なくとも50℃のTgを有する)は、アルキルメタクリレート、アラルキルメタクリレート、アリールメタクリレート、又はこれらの組み合わせを含有する第1のモノマー組成物の反応生成物である。Aブロックはまた、スチレン等のスチレンモノマーから製造することができる。Bブロック(Tgが約10℃以下、詳細には約0℃以下、より詳細には約−10℃以下である)は、アルキル(メタ)アクリレート、ヘテロアルキル(メタ)アクリレート、ビニルエステル、又はこれらの組み合わせを含有する第2のモノマー組成物の反応生成物である。ブロックコポリマーは、ブロックコポリマーの重量に基づいて、約5〜約50重量%のAブロックと、約50〜約95重量%のBブロックと、を含有する。
【0016】
一実施形態において、アセンブリ層組成物はシリコーン系であり、物理的に架橋されたシリコーンエラストマー、共有結合で架橋されたシリコーンエラストマー及びアイオノマー架橋されたシリコーンエラストマーのうちの少なくとも1つを含む。好適なシリコーンエラストマーポリマーとしては、例えば、尿素系シリコーンコポリマー、オキサミド系シリコーンコポリマー、アミド系シリコーンコポリマー、ウレタン系シリコーンコポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な共有結合で架橋されたシリコーンとしては、例えば、縮合硬化、付加硬化、及びチオール−エン型反応を受ける、シリコーンエラストマー生成試薬から誘導されるものが挙げられる。用語「シリコーン系」は、本明細書で使用する場合、大多数のシリコーン単位を含有する巨大分子(例えば、コポリマーのポリマー)を指す。シリコーン又はシロキサンという用語は互換的に使用され、シロキサン(−Si(R
1)
2O−)繰り返し単位(式中、R
1は下記に定義される)を有する単位を指す。多くの実施形態において、R
1は、アルキルである。いくつかの実施形態において、アセンブリ層はMQ樹脂を含む。ウレタン系シリコーンコポリマーの場合、架橋は、付加硬化によって、例えば、ウレタン系シリコーンコポリマーを含む(メタ)アクリレート官能基の光架橋によって実施され得る。また、ウレタン系シリコーンコポリマーの場合、架橋は、縮合硬化によって、例えば、ポリアジリジン又はカルボジイミドによって硬化する、ウレタン系シリコーンコポリマーを含むカルボン酸基の反応によって実施され得る。亜鉛、アルミニウム、及びチタン等に基づくもののような、多価の金属イオンもまた、ウレタン系シリコーンコポリマーを含有する酸基と組み合わせて用いられ、アイオノマー架橋されたネットワークを形成することができる。ウレタン系シリコーンコポリマーはまた、スルホン酸基(−SO
3−M+)(式中、Mは、Na又はLiである)等のイオン官能基を含有し得る。ウレタン系シリコーンコポリマーはまた、第四級アンモニウム塩(−N(R
5)
3+X−)(式中、R
5は、独立して、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、アルキレン、アリーレン、アラルキレン、又はアルカリーレンであり、X−は、対イオンである)等のイオン官能基を含有し得る。対イオンは、例えば、ハライド(Cl−、Br−等)又はスルホネート(R
6SO
3−)(式中、R
6は、アルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールである)であり得る。これらのウレタン系シリコーンコポリマーは、ジイソシアネート、カルビノールでキャップされたシリコーン系ポリオール、及び他のポリオールを用いて調製することができる。これらのポリウレタンは、以下の式:
【化1】
[式中、R
ISOは、ジイソシアネートの残渣であり、R
DIOLは、ジオールの残渣であり、
ここで、R
DIOLは、
a)式−R
2−
(式中、R
2は、直鎖、分枝鎖、若しくは環状アルキレン又はオキシアルキレンである)の単位と、
b)式−Q−(R
1)
2SiO−(Si(R
1)
2O)
n−Si−(R
1)
2−Q−
(式中、R
1は、独立してアルキル又はアリールであり、Qは、結合価2以上の結合基であり、n=5〜200である)のシリコーン系単位と、
単位c)、d)、e)、及びf)のうちの少なくとも1つと、を含み、ここで、
c)は、式−R
2−(A)
b−Q−(A)
b−R
2−
(式中、Aは、(メタ)アクリル官能基X−C(O)C(R
4)=CH
2
(式中、Xは、O−又はNR
3
(式中、R
3は、H又は1〜4個の炭素原子のアルキルである)から選択され、
R
4は、1〜4個の炭素原子のアルキルである)であり、
bは、1〜3であり、Q及びR
2は、上記定義のとおりである)のアクリレート含有単位であり、
d)は、式−R
2−Q−(CO
2H)
b−R
2−
(式中、−R
2−、b、及びQは、上記定義のとおりである)のカルボン酸含有単位であり、
e)は、式−R
2−Q−(SO
3M)
b−R
2−
(式中、−R
2−、b、及びQは、上記定義のとおりであり、Mは、Na又はLiである)のスルホン酸塩含有単位であり、
f)は、式−R
2−Q−(N(R
5)
3+X
−)
b−R
2−(式中、−R
2−、b、及びQは、上記定義のとおりであり、R
5は、独立して、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、アルキレン、アリーレン、アラルキレン、又はアルカリーレンであり、X
−は対イオンである)の第四級アンモニウム塩単位である]の単位を含み得る。
【0017】
式−Q−(R
1)
2SiO−(Si(R
1)
2O)
n−Si−(R
1)
2−Q−中のnは、5〜200、詳細には10〜100、より詳細には15〜75である。
【0018】
Qは、直鎖若しくは分枝鎖、又は環含有結合基であり得る。Qは、共有結合、アルキレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレンを含み得る。Qは、任意に、O、N、及びS等のヘテロ原子、並びにこれらの組み合わせを含み得る。Qはまた、任意に、ヒドロキシル、カルボニル又はスルホニル、及びこれらの組み合わせ等の、ヘテロ原子含有官能基を含み得る。
【0019】
ジイソシアネートの例としては、イソホロンジイソシアネート1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、EvonikよりVestanat TMDIとして入手可能な、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートと2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとの混合物が挙げられる。少量の、官能性が2より大きいポリイソシアネートもまた、用いられる場合がある。官能性が2より大きい多官能イソシアネートの多くは、材料の配分として存在する。例えば、商品名DESMODUR N100で入手可能なビウレットマルチイソシアネート等のヘキサメチレンジイソシアネート系イソシアネートオリゴマーは、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートビウレットトリマー、ヘキサメチレンジイソシアネートビウレットペンタマー、及びヘキサメチレンジイソシアネートビウレットヘプタマー等の混合物として存在する。商品名DESMODUR N3300で入手可能なヘキサメチレンジイソシアネート系イソシアヌレートマルチイソシアネートについても、同様である。ビウレット及びイソシアヌレートマルチイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート又はトリレンジイソシアネート等の、他のジイソシアネートをベースとする場合がある。
【0020】
ジオールの例としては、1,2−エチレングリコール、及び1,4−ブタンジオール等が挙げられる。更に、少量のジオールが、ヒドラジン又はジアミンで置換される場合がある。シリコーン系ジオールとしては、Dow Corningのジメチルシロキサンジカルビノール5562、及びGelestのジメチルシロキサンジカルビノール、DMS−C21が挙げられる。アクリル化ジオールとしては、エポキシアクリレートジオールDenacol DA−920、2モルのアクリル酸と反応したポリプロピレングリコール(3)ジグリシジルエーテルが挙げられる。酸官能性ジオールとしては、2,2−ジメチロールプロパン酸が挙げられる。少量の、官能性が2より大きいポリオール、例えば、グリセロール及びポリカプロラクトントリオールが用いられる場合がある。
【0021】
一実施形態において、アセンブリ層組成物は、ポリウレタンをベースとする。このようなポリウレタンは、多官能イソシアネートと反応したポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールから誘導することができる。ポリエステルポリオールとの若干の共重合により、ポリマーの機械的特性の調整が可能ではあるが、より低い弾性率及びより低いTgを考慮すると、ポリエーテルポリオール系ポリウレタンが好ましい場合がある。ポリウレタンは、フレキシブル基材に確実に接着するのに十分に粘着性であり得るが、これらの接着性及び弾性率は、粘着付与剤及び可塑剤を配合物の一部として用いることにより、更に高めることができる。これらの粘着付与剤及び可塑剤は、典型的には、ポリウレタンの弾性率を低下させ、これらは、ポリウレタンポリマー中のハードセグメントによってもたらされる物理的架橋の妨げとはならない。所望により、ポリウレタンはまた、例えば、アクリレート官能性、及びシラン官能性等を有するポリウレタンを用いること等により、共有結合で架橋することもできる。
【0022】
一実施形態において、アセンブリ層組成物は、ポリイソプレン又はポリブタジエン等の、ジエンをベースとする。このようなジエンの例としては、液体イソプレン及びブタジエンジオール又はイソプレンジオールが挙げられる。液体イソプレンは、触媒及び熱又は化学線の存在下で主として弾性のアセンブリ層材料を生成する多官能チオール試薬を用いて、架橋することができる。ブタジエンジオール又はイソプレンジオールは、ポリウレタンポリマー中の主要なポリオールとして用いることができ、又は、これらはアクリレート官能化し、他のアクリレート若しくはメタクリレートとフリーラジカル誘発性の架橋若しくは共重合を行い、アセンブリ層を得ることができる。所望により、ジエン系アセンブリ層の弾性率及び接着性は、粘着付与剤及び/又は可塑剤をアセンブリ層配合物の一部として用いることにより、調整することができる。
【0023】
一実施形態において、アセンブリ層は、オレフィンブロックコポリマー、ポリイソブチレン、及び高級アルキルポリオレフィン等の、オレフィンポリマーをベースとする。オレフィンブロックコポリマーの一例は、Dow Chemical(Midland,MI)より入手可能なInfuse(登録商標)である。このようなブロックコポリマーは、半結晶性の補強セグメントと、軟質のエラストマーセグメントとの、交互ブロックを有する。Exxon Chemical(Baton Rouge,LA)より入手可能なVistanex(登録商標)等のポリイソブチレンが、様々な分子量で入手可能である。典型的には、高分子及び低分子のポリイソブチレンのブレンドが用いられ、高分子量のポリマーはエラストマー特性をもたらし、低分子量のポリマーはより粘性の特性をもたらし、組成物の粘着性を高める。高級アルキルオレフィンとしては、高級アルキルオレフィンモノマーのホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。高級アルキルオレフィンとしては、例えば、ヘキサン及びオクテンが挙げられる。所望により、これらは、より少量の低級アルキルオレフィンモノマー、例えば、エチレン及びプロピレンと共重合させることができる。低級アルキルオレフィンの含量が高すぎると、接着性を低下させすぎ、弾性率を増加させすぎる場合がある。これらのポリマーの一部は、メタロセン系触媒を用い、重合を行った。所望により、オレフィン系アセンブリ層は、共有結合で架橋させることができ、粘着付与剤を配合し、弾性率及び粘着性を調整することができる。典型的な粘着付与剤としては、水素添加が可能な炭化水素(すなわち、C5、C9、又はシクロペンタジエン系として知られる)粘着付与剤が挙げられる。場合によっては、オレフィンはまた、相互貫入ポリマーネットワークを用い、凝集によって補強することもできる。この例は、米国特許第8,232,350号(Bhartiら)に見出すことができる。
【0024】
例えば、熱開始剤又は光開始剤、架橋剤、粘着付与剤、分子量調節剤、カップリング剤、オイル、可塑剤、抗酸化剤、UV安定剤、UV吸収剤、顔料、触媒、硬化剤、ポリマー添加剤、ナノ粒子、及び他の添加剤といった、他の材料を、特殊用途のアセンブリ層組成物に加えることができる。アセンブリ層が光学的に透明である必要がある場合、他の材料をモノマー混合物に加えることができる。ただし、重合及びコーティング後に、これらの材料が、アセンブリ層の光学的透明度を著しく低下させないことを条件とする。本明細書で使用する場合、用語「光学的に透明」は、400〜700nmの波長範囲において、視感透過率が約90%超、ヘイズが約2%未満、かつ不透明度が約1%未満である材料を指す。視感透過率及びヘイズは両方とも、例えば、ASTM−D 1003−92を用いて測定することができる。典型的には、光学的に透明なアセンブリ層は、視覚的に気泡を含まない。
【0025】
一実施形態において、アセンブリ層は、インジウムスズ酸化物(ITO)を除去するための酸及び金属の微量腐食を実質的に含み得ない。これらが存在すると、タッチセンサ及びそれらの積分回路又はコネクタに損傷を与える可能性がある。本明細書で使用する場合、「実質的に含まない」とは、約2重量部未満、詳細には約1部未満、より詳細には約0.5部未満という意味である。
【0026】
アセンブリ層は、アセンブリ層の特定の構成成分に応じ、当該技術分野において既知の任意の方法によって製造することができる。一実施形態において、アセンブリ層の構成成分を前駆体混合物中に混合することができる。次に、この混合物をライナー上にコーティングし、又は、基材上に直接コーティングし、更に熱若しくは化学線に曝露することにより、完全に重合させる。
【0027】
別の方法において、アセンブリ層の構成成分を溶媒と混合し、混合物を形成することができる。混合物は、熱又は化学線に暴露することにより、重合させることができる(混合物中の開始剤を分解する)。架橋剤並びに粘着付与剤及び可塑剤等の追加の添加剤を溶媒和ポリマーに加える場合もあり、これらを、次いでライナー上にコーティングし、オーブンにかけて溶媒を乾燥除去し、コーティングされた接着フィルムを得ることができる。無溶媒重合法、例えば、米国特許第4,619,979号及び同第4,843,134号(Kotnourら)に記載の連続フリーラジカル重合法;同第5,637,646号(Ellis)に記載の、バッチ反応器を用いた本質的に断熱性の重合法;並びに同第5,804,610号(Hamerら)に記載の、パッケージ化されたプレ接着剤組成物(pre−adhesive compositions)の重合について説明した方法もまた、ポリマーの調製に用いることができる。
【0028】
別の方法において、アセンブリ層用のポリマーをあらかじめ生成する場合がある。このような場合、ポリマーを好適な有機溶媒中に溶解することができ、粘着付与剤、可塑剤、又は必要に応じて架橋剤等の添加剤を加える場合がある。続いて、溶媒和ポリマー混合物をライナー上にコーティングし、オーブンにかけて溶媒を乾燥除去し、コーティングされたアセンブリ層を得ることができる。
【0029】
アセンブリ層組成物は、剥離ライナー上にコーティングする、キャリアフィルム上に直接コーティングする、フレキシブル基材フィルムと共に共押出成形する、又は、別の層として形成(例えば、剥離ライナー上にコーティングする)した後、フレキシブル基材へと積層することができる。いくつかの実施形態において、アセンブリ層は、後にフレキシブル基材に積層するため、2つの剥離ライナーの間に配置される。
【0030】
開示された組成物又は前駆体混合物は、ロールコーティング、スプレーコーティング、ナイフコーティング、及びダイコーティング等の、当業者に既知の任意の各種の手法によりコーティングすることができる。あるいは、前駆体組成物はまた、液体として提供してもよく、2つの基材の間の間隙を埋めた後、熱又はUVに暴露し、2つの基材の間で、組成物を重合及び硬化させる。
【0031】
本発明はまた、アセンブリ層を含むラミネートを提供する。ラミネートは、2つのフレキシブル基材層又は複数の基材層の間に挟まれた、少なくとも1つのアセンブリ層の多層複合体と定義される。例えば、複合体は、基材/アセンブリ層/基材の3層複合体、基材/アセンブリ層/基材/アセンブリ層/基材の5層複合体等であり得る。このような多層積層体におけるフレキシブルアセンブリ層のそれぞれの厚さ、機械的特性、電気的特性(比誘電率等)、及び光学特性は同一であってもよいが、これらはまた、最終的なフレキシブルデバイスアセンブリの設計及び性能特性に、より適合するため、異なる場合もある。ラミネートは、以下の特性のうちの少なくとも1つを有する:ラミネートが用いられる物品の有用な耐用期間にわたる光透過性、ラミネートが用いられる物品の層間の十分な接着強度を維持する能力、層間剥離に対する抵抗性又は回避、及び有用な耐用期間にわたる気泡に対する抵抗性。気泡形成に対する抵抗性及び光透過性の保持は、加速経時保存試験を用いて評価することができる。加速経時保存試験において、アセンブリ層を2つの基材の間に配置する。次いで、得られたラミネートを、ある期間、多くの場合、高湿度と組み合わせ、高温に曝露する。高温及び高湿に暴露した後でさえも、アセンブリ層を含むラミネートは、光学的透明度を保持する。例えば、アセンブリ層及びラミネートは、70℃及び相対湿度90%で約72時間経時保存し、続いて室温まで冷却した後、光学的に透明なままである。経時保存後、接着剤の400ナノメートル(nm)〜700nmにおける平均透過率は約90%超であり、ヘイズは約5%未満、詳細には約2%未満である。
【0032】
使用において、アセンブリ層は、氷点のはるか下(すなわち、−30℃、−20℃、又は−10℃)〜約70、85又は90℃の広範な温度範囲における、数千回以上にわたる折り曲げサイクルの疲労に耐える。更に、アセンブリ層を組み込んだディスプレイは、折り曲げられた状態で数時間静止して置かれる場合があるため、アセンブリ層は最小のクリープを有するか、クリープがなく、ディスプレイの顕著なひずみを防止し、たとえひずみがあったとしても、部分的にのみ回復可能であり得るひずみを防止する。アセンブリ層又はパネル自体のこの永久ひずみは、光学的ひずみ又はむらの原因となることがあり、ディスプレイ産業では許容できない。そのため、アセンブリ層は、ディスプレイデバイスを折り曲げることによってもたらされた相当な曲げ応力に耐えることができ、また、高温高湿(HTHH)試験条件にも耐える。最も重要なこととしては、アセンブリ層は、並外れて低い貯蔵弾性率及び高い伸長を、広範な温度範囲(氷点をはるかに下回り、したがって、低ガラス転移温度が好ましい)にわたって有し、架橋され、静荷重下でほとんど又は全くクリープがないエラストマーを生成する。
【0033】
折り曲げ又は折り曲げ解除の発生中、アセンブリ層は著しいひずみを受け、応力を引き起こすことが予想される。これらの応力に抵抗する力は、アセンブリ層を含む、折り曲げられるディスプレイの層の弾性率及び厚さにより、部分的に求められる。折り曲げに対する低い抵抗性及び適切な性能、最小の応力の発生、並びに曲げの発生に伴う応力の良好な消散を確保するため、シリコーン系アセンブリ層は、十分に低い貯蔵弾性率又は弾性率(多くの場合、せん断貯蔵弾性率(G’)で特徴づけられる)を有する。この挙動の一貫性を、このようなデバイスについて予想される使用温度範囲にわたって更に確保するため、広範な、かつ相応する温度範囲にわたり、G’の変化は最小である。一実施形態において、相応する温度範囲は、約−30℃〜約90℃である。一実施形態において、せん断弾性率は、相応する温度範囲全体にわたり、約2MPa未満、詳細には約1MPa未満、より詳細には約0.5MPa未満、最も詳細には約0.3MPa未満である。したがって、ガラス転移温度(Tg)(物質がガラス状状態に移行する温度)を、典型的には約10
7Pa超の値に相当するG’の変化により、この相応する操作範囲外、かつこの範囲より低く設定するのが好ましい。一実施形態において、フレキシブルディスプレイ中のアセンブリ層のTgは、約10℃未満、詳細には約−10℃未満、より詳細には約−30℃未満である。本明細書で使用する場合、用語「ガラス転移温度」又は「Tg」は、ポリマー材料がガラス状状態(例えば、脆性、剛性、及び強剛性)からゴム状状態(例えば、可撓性及びエラストマー)に移行する温度を指す。Tgは、例えば、動的機械分析(DMA)等の手法を用いて測定することができる。一実施形態において、フレキシブルディスプレイ中のアクリル系アセンブリ層のTgは、約10℃未満、詳細には約−10℃未満、より詳細には約−30℃未満である。
【0034】
アセンブリ層は、典型的には、乾燥厚約300μm未満、詳細には約50μm未満、詳細には約20μm未満、より詳細には約10μm未満、最も詳細には約5μm未満でコーティングされる。アセンブリ層の厚さは、フレキシブルディスプレイデバイス中の位置に従って最適化され得る。デバイスの全厚を低下させ、並びに複合構造体の座屈、クリープ、又は層間剥離不良を最小化するため、アセンブリ層の厚さを低減することが好ましい場合がある。
【0035】
アセンブリ層が、曲げ応力を吸収し、急激に変化する曲げ又は折り曲げの形状に適合する能力は、相応する負荷された応力下での大きなひずみ又は伸長を受けるこのような材料の能力によって特徴づけることができる。この適合挙動は、従来の引張伸び試験並びにせん断クリープ試験といった、多くの方法によって精査することができる。一実施形態では、せん断クリープ試験において、アセンブリ層は、負荷されたせん断応力約5kPa〜約500kPa、詳細には約20kPa〜約300kPa、より詳細には約50kPa〜約200kPaの下で、少なくとも約6×10
−6 1/Pa、詳細には少なくとも約20×10
−6 1/Pa、約50×10
−6 1/Pa、より詳細には少なくとも約90×10
−6 1/Paのせん断クリープコンプライアンス(J)を呈する。試験は通常室温で実施されるが、フレキシブルデバイスの使用に相応する任意の温度で実施される場合もある。
【0036】
アセンブリ層はまた、比較的低いクリープを呈し、繰り返しの折り曲げ又は曲げの発生後のディスプレイの多層複合体における持続するひずみを防止する。材料のクリープは、一定のせん断応力が、所与の時間にわたって材料に負荷される、簡便なクリープ実験によって測定することができる。応力が解除されると、もたらされたひずみの回復が確認される。一実施形態において、負荷された応力の解除後1分以内のせん断ひずみ回復(少なくとも約5kPa〜約500kPaの範囲内で負荷されたせん断応力の少なくとも1点における)は、室温で、せん断応力の負荷時に確認されたピークひずみの少なくとも約50%、詳細には少なくとも約60%、約70%及び約80%、並びにより詳細には少なくとも約90%である。試験は通常室温で実施されるが、フレキシブルデバイスの使用に相応する任意の温度で実施される場合もある。
【0037】
更に、アセンブリ層が、折り曲げ又は曲げの発生中に最小の応力を発生し、応力を消散する能力は、アセンブリ層が、層間不良を防止する能力、並びにフレキシブルディスプレイアセンブリのより脆弱な構成要素を保護する能力にとって非常に重要である。応力の発生及び消散は、材料が相応のせん断ひずみ量を負荷された後、そのせん断ひずみ量で保持される、従来の応力緩和試験を用いて測定することができる。続いて、せん断応力の量を、材料が、この対象となるひずみで保持された時間にわたって確認する。一実施形態において、約500%のせん断ひずみ、詳細には約600%、約700%、及び約800%、並びにより詳細には約900%のひずみに続き、5分後に確認された残留応力(測定されたせん断応力をピークせん断応力で除算したもの)は、ピーク応力の約50%未満、詳細には約40%未満、約30%未満、及び20%未満、並びにより詳細には約10%未満である。試験は通常室温で実施されるが、フレキシブルデバイスの使用に相応する任意の温度で実施される場合もある。
【0038】
アセンブリ層として、アセンブリ層は、ディスプレイアセンブリ内の隣接した層に十分に良好に接着し、繰り返しの曲げ及び折り曲げ作用を含むデバイスの使用中の層の層間剥離を防止しなくてはならない。複合体の正確な層はデバイス固有であるが、PET等の標準的な基材への接着が、従来の180度剥離試験モードにおけるアセンブリ層の一般的な接着性能の測定に用いられ得る。接着剤はまた、十分に高い凝集力を必要とし得る。凝集力は、例えば、2つのPET基材の間のアセンブリ層材料のラミネートとして、従来のT型剥離モードで測定することができる。
【0039】
シリコーン系アセンブリ層を2つの基材の間に配置してラミネートを形成し、ラミネートを折り曲げ、又は、曲げ、相応の曲率半径で保持するとき、ラミネートは、全ての使用温度間(−30℃〜90℃)で、座屈又は層間剥離(フレキシブルディスプレイデバイスにおける材料不良の代表的な事象である)を起こさない。一実施形態において、アセンブリ層を含有する多層ラミネートは、約200mm未満、約100mm未満、約50mm未満、詳細には約20mm未満、約15mm未満、約10mm未満、約5mm未満、並びにより詳細には約2mm未満の曲率半径を負荷するチャネル内に約24時間の期間にわたって定置したとき、不良を呈さない。更に、チャネルから取り出し、曲がった配置からその以前の平坦な配置に復帰させると、本発明のアセンブリ層を含むラミネートは、持続するひずみを呈さず、速やかに平坦又はほぼ平坦な配置に復帰する。一実施形態において、ラミネートを、詳細には50mm未満、詳細には約20mm未満、約15mm未満、約10mm未満、及び約5mm未満、並びにより詳細には約3mmの曲率半径で保持するチャネルから、24時間保持した後に取り出したとき、複合体はほぼ平坦な配置に戻り、ラミネート、ラミネートの屈曲点及び復帰した面の間の最終的な角度は、ラミネートをチャネルから取り出した後1時間以内で、約50度未満、より詳細には約40度未満、約30度未満、及び約20度未満、並びにより詳細には約10度未満である。換言すれば、折り曲げられたラミネートの平坦部分の間の夾角は、ラミネートをチャネルから取り出した後1時間以内に、チャンネル中の0度から、少なくとも約130度、詳細には約140度超、約150度超、及び約160度超、並びにより詳細には約170度超の角度まで広がる。この復帰は、好ましくは、耐久試験条件への暴露後を含む通常の使用条件下で得られる。
【0040】
上記の静的な折り曲げ試験挙動に加え、アセンブリ層と接着された第1及び第2の基材を含むラミネートは、動的折り曲げシミュレーション試験中に、座屈又は層間剥離等の不良を呈さない。一実施形態において、ラミネートは、自由曲げモードの(すなわちマンドレルを使用しない)動的折り曲げ試験(約10,000サイクル超、詳細には約20,000サイクル超、約40,000サイクル超、約60,000サイクル超、及び約80,000サイクル超、並びにより詳細には約100,000サイクル超の、曲率半径約50mm未満、詳細には約20mm未満、約15mm未満、約10mm未満、及び約5mm未満、並びにより詳細には約3mmの折り曲げ)において、全ての使用温度間(−30℃〜90℃)で、不良事象を呈さない。
【0041】
フレキシブルラミネートを形成するため、本発明のアセンブリ層を第1の基材と第2の基材との間に配置することにより、第1の基材は、第2の基材に接着される。追加の層も含ませ、多層積層体を形成する場合もある。次いで圧力及び/又は熱を加え、フレキシブルラミネートを形成する。
【実施例】
【0042】
本発明は、以下の実施例においてより詳細に説明されるが、実施例は例示のみを意図している。これは、本発明の範囲内の多数の変更及び変形が、当業者には明らかであるためである。特に断りのない限り、以下の実施例において報告される全ての部、百分率、及び比は、重量に基づく。
【0043】
試験法1動的機械分析
動的機械分析を用い、弾性率を温度の関数として精査し、また、材料のガラス転移温度(T
g)を測定した。アセンブリ層の直径8mm、厚さ約1mmの円板を、DHR平行板レオメータ(TA Instruments(New Castle,DE))のプローブの間に定置した。温度走査は、−45℃から50℃に3℃/分で昇温して実施した。この昇温中、試料を振動数1Hz及びひずみ約0.4%で振動させた。せん断貯蔵弾性率(G’)を、選択した主要な温度で記録した。材料のT
gもまた、タンデルタ対温度プロファイルにおけるピークとして求めた。使用温度の典型的な範囲にわたってアセンブリ材料の充分なコンプライアンスを確保するため、上記の試験を用いて測定するとき、約−20℃〜約40℃の温度範囲全体にわたり、約2MPa未満のせん断貯蔵弾性率を有することが好ましい。
【0044】
試験法2クリープ試験
直径8mm、厚さ約1.0mmの円板をDHR平行板レオメータに定置し、95kPaのせん断応力を5秒間負荷し、その時点で負荷した応力を解除し、試料を固定具で60秒間回復させることにより、アセンブリ層の試料にクリープ試験を実施した。5秒におけるピークせん断ひずみ及び60秒後のひずみ回復の量を記録した。応力を負荷した後の任意の時間におけるせん断クリープコンプライアンスJは、その時間のせん断ひずみを、負荷した応力で除算した比と定義される。アセンブリ層内の十分なコンプライアンスを確保するため、上記の試験において荷重を加えた後のピークせん断ひずみは、約200%超であることが好ましい。更に、フレキシブルアセンブリ内の材料クリープを最小化するため、負荷した応力を解除した60秒後に、材料が約50%超のひずみを回復することが好ましい。回復可能ひずみ率は、((S
1−S
2)/S
1)×100(式中、S
1は、応力を負荷した5秒後のピークで記録されたせん断ひずみであり、S
2は、負荷した応力を解除した60秒後に測定されたせん断ひずみである)と定義される。
【表1】
【0045】
シリコーンポリウレタン1の調製
250mLの丸底に、IPDI 8.41g(0.075644当量)、シリコーンジオール1 40.80g(0.047277当量)、DMPA 0.79g(0.011819当量)、MEK 12.74g、及びDBTDA 3滴(約0.06g)を加え、油浴中に定置し、80℃まで加熱した。反応温度において7時間後、反応を終夜で室温まで冷却した。反応をMEK 58gで希釈し、MEK 2g中のBD 0.96g(0.080371当量)の溶液の約半分を、反応を85℃の内部温度まで加熱しながら加えた。30分後、BDの残りを加え、MEK約1gですすいだ。反応をFTIRによってモニターし、7時間後に、小さな−NCOのピークが、2265cm
−1に依然として確認された。反応に、MEK溶液中のBDの10重量%溶液0.20gを加え、反応を78℃で3時間継続した。若干の溶媒が失われ、反応を、MEKにより、50%固体まで希釈した。
【0046】
比較例1の調製
50mLの広口瓶に、表2に示した材料を加え、数秒間振とうした。溶液を、0.762mmのドローダウンバーを用い、PET剥離ライナー上にコーティングし、室温で終夜、約0.25mmの通常の乾燥厚まで乾燥した。コーティングを80℃のオーブン中に20分間定置した後、コーティングをコーティング自体に対して積層した。次に、得られた2倍厚のラミネートを半分にカットし、再度ラミネート自体に積層した。約1mmのラミネートを、更なる試験に用いた。
【表2】
【0047】
シリコーンポリウレタン2の調製
250mLの丸底に、TMDI 10.23g(0.075644当量)、シリコーンジオール1 52.53g(0.060863当量)、DMPA 0.98g(0.014607当量)、MEK 16.25g、及びDBTDA 3滴(約0.06g)を加え、油浴中に定置し、80℃まで加熱した。反応温度において3時間後に、反応のFTIRをとったところ、2265cm
−1にピークを示した。3時間10分において、反応をMEK 48.75gで希釈し、MEK 2g中のBD 1.26g(0.027997当量)の溶液の約半分を加えた。3時間30分において、BDの残りを加え、MEK約1gですすいだ。反応を80℃で更に12時間加熱した後、FTIRによってモニターしたところ、2265cm
−1に−NCOのピークを示さなかった。反応を、MEKにより、50%固体に調整した。
【0048】
実施例1及び2並びに比較例2の調製
試料のそれぞれについて、50mLの広口瓶に、表3に示した材料を加え、数秒間振とうした。約1mmのラミネートを、比較例1の調製に記載のとおり調製した。
【表3】
【0049】
シリコーンポリウレタン3の調製
250mLの丸底に、TMDI 9.34g(0.084028当量)、シリコーンジオール1 40.79g(0.047266当量)、シリコーンジオール2 13.13g(0.007195当量)、DMPA 0.98g(0.014607当量)、MEK 16.25g、及びDBTDA 3滴(約0.06g)を加え、油浴中に定置し、80℃まで加熱した。反応温度において3時間後に、反応のFTIRをとったところ、2265cm
−1にピークを示した。3時間10分において、反応をMEK 48.75gで希釈し、MEK 2g中のBD 0.76g(0.016911当量)の溶液の約半分を加えた。3時間10分において、BDの残りを加え、MEK約1gですすいだ。反応を80℃で更に16時間加熱した後、FTIRによってモニターしたところ、2265cm
−1に小さな−NCOのピークを示した。反応に、MEK中のBDの10重量%溶液0.45g(0.045g固体(0.001当量))を加えた。BD 0.045gを加えてから4時間後、非常に小さな−NCOのピークが2265cm
−1に残存し、MEK中のBDの10重量%溶液0.28g(0.028g固体(0.00062当量))を加えた。2時間後、2265cm
−1の−NCOのピークは微々たるものであった。反応を、MEKにより、50%固体に調整した。
【0050】
実施例3〜5の調製
試料のそれぞれについて、50mLの広口瓶に、表4に示した材料を加え、数秒間振とうした。約1mmのラミネートを、比較例1の調製に記載のとおり調製した。
【表4】
【0051】
シリコーンポリウレタン4の調製
250mLの丸底に、IPDI 10.69g(0.096146当量)、EAD 0.78g(0.00361当量)、MEK 16.25g、及びDBTDA 3滴(約0.06g)を加え、油浴中に定置し、75℃まで30分間加熱した。次に、シリコーンジオール1 51.86g(0.06009当量)及びDMPA 0.97g(0.01442当量)を加え、3時間反応させた。次いで、反応をFTIRによって分析したところ、2265cm
−1に小さな−NCOのピークを示した。反応に、MEK 48.75gと、続いてBD 0.71g(0.015744)を加えた。反応を75℃で12時間進行させた。この時間の終了時に、反応は−NCOのピークを示さなかった。固体を、MEKにより、50%固体に調整した。
【0052】
シリコーンポリウレタン5の調製
ポリウレタン4の調製と同様に、MEK 16.25g中のIPDI 9.25g(0.08323当量)、EAD 0.78g(0.00361当量)、DBTDA 3滴(約0.06g)を、75℃で30分間反応させた後、シリコーンジオール1 40.40g(0.046817当量)、シリコーンジオール2 13.00g(0.07127当量)、及びDMPA 0.97g(0.0144当量)を加え、3時間反応させた。次に、反応をMEK 48.75gで希釈し、BD 0.59g(0.01314当量)を加えた後、12時間反応し、MEKにより、固体を50%に調整し、シリコーンポリウレタン5を得た。
【0053】
実施例6及び比較例3の調製
ポリウレタン4(50%固体の溶液10.0g)に、Esacure KB1の10%溶液0.50gを加えた。同様に、ポリウレタン5(50%固体の溶液10.0g)に、Esacure Oneの10%溶液0.50gを加えた。各溶液を、比較例1の調製に記載のとおりコーティングした。コーティングを室温で終夜乾燥した後、オーブン中80℃で5分間乾燥した。次に、各コーティングを、300WのFusion Dバルブを備え、窒素パージしたFusion Systems装置(Fusion Systems,Inc.(Gaithersburg,MD)を用い、コンベア速度9.14m/分で硬化させた。この状態から、約1mmのラミネートを、比較例1の調製に記載のとおり調製した。表5を参照されたい。
【表5】
【0054】
実施例7及び8:ポリイソブチレン系アセンブリ層試料の調製
アセンブリ層フィルムを、表6に示した組成に従って調製した。実施例7では、B 50 SF 5.876g、SR 833 S 0.293g、TPO−L 0.029g、及びヘプタン12.011gを、ガラスバイアルに加えた。バイアルを密封し、内容物を終夜混合した。次に、溶液を50μm厚のシリコーン処理したポリエステル剥離ライナーRF02N(SKC Haas(Korea))上に、ナイフコータを用い、8milの間隙でコーティングした。コーティングした試料は、70℃のオーブン中に15分間定置した。次に、このコーティングした試料を、H−バルブにより、総線量1200mJ/cm
2のUV−Aで照射した。実施例8では、B 50 SF 8.333g、Escorez 5300 0.416g、及びヘプタン16.667gを、ガラスバイアルに加えた。バイアルを密封し、内容物を終夜混合した。次に、溶液を50μm厚のシリコーン処理したポリエステル剥離ライナーRF02N(SKC Haas(Korea))上に、ナイフコータを用い、8milの間隙でコーティングした。コーティングした試料は、70℃のオーブン中に15分間定置した。比較例4(CE4)では、ヘプタン6g及び12.011gを、ガラスバイアルに加えた。バイアルを密封し、内容物を終夜混合した。次に、溶液を50μm厚のシリコーン処理したポリエステル剥離ライナーRF02N(SKC Haas(Korea))上に、ナイフコータを用い、8milの間隙でコーティングした。コーティングした試料は、70℃のオーブン中に15分間定置した。
【表6】
【0055】
実施例7〜8及び比較例CE4を、T
g、せん断クリープ、せん断弾性率及びせん断応力について、上記の試験法2〜3に記載のとおり試験した。データを下記の表7に記録する。
【表7】
【0056】
本発明について、好ましい実施形態を参照して説明してきたが、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく形状及び細部において変更がなされ得ることを認識するであろう。
本開示の実施態様の一部を以下の[項目1]−[項目21]に記載する。
[項目1]
接着剤組成物を含む、フレキシブルデバイス用のアセンブリ層であって、
約−30℃〜約90℃の温度範囲内で、前記アセンブリ層が、振動数1Hzにおいて約2MPaを超えないせん断貯蔵弾性率と、約50kPa〜約500kPaのせん断応力を負荷して5秒において測定される少なくとも約6×10−6 1/Paのせん断クリープコンプライアンス(J)と、約5kPa〜約500kPaの範囲内のせん断応力を負荷した少なくとも1点において前記負荷したせん断応力の解除後約1分以内に少なくとも約50%のひずみ回復と、を有する、アセンブリ層。
[項目2]
前記アセンブリ層が光学的に透明である、項目1に記載のアセンブリ層。
[項目3]
前記フレキシブルデバイスが電子ディスプレイデバイスである、項目1に記載のアセンブリ層。
[項目4]
前記アセンブリ層が、アクリル、アクリルブロックコポリマー、物理的に架橋されたシリコーンエラストマー、共有結合で架橋されたシリコーンエラストマー試薬生成混合物、アイオノマー架橋されたシリコーンエラストマー試薬生成混合物、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、オレフィンブロックコポリマー、ポリイソブチレン、及び高級アルキルポリオレフィンのうちの少なくとも1つを含む、項目1に記載のアセンブリ層。
[項目5]
前記アセンブリ層が、最高で約10℃のガラス転移温度を有する、項目1に記載のアセンブリ層。
[項目6]
前記接着剤組成物が、ウレタン系シリコーンコポリマーを含み、前記ウレタン系シリコーンコポリマーが、以下の式:
【化2】
[式中、RISOは、ジイソシアネートの残渣であり、RDIOLは、ジオールの残渣であり、
ここで、RDIOLは、
a)式−R2−
(式中、R2は、直鎖、分枝鎖、若しくは環状アルキレン又はオキシアルキレンである)の単位と、
b)式−Q−(R1)2SiO−(Si(R1)2O)n−Si−(R1)2−Q−
(式中、R1は、独立してアルキル又はアリールであり、Qは、結合価2以上の結合基であり、n=5〜200である)のシリコーン系単位と、
単位c)、d)、e)、及びf)のうちの少なくとも1つと、を含み、ここで、
c)は、式−R2−(A)b−Q−(A)b−R2−
(式中、Aは、(メタ)アクリル官能基X−C(O)C(R4)=CH2
(式中、Xは、O−又はNR3
(式中、R3は、H又は1〜4個の炭素原子のアルキルである)から選択され、
R4は、1〜4個の炭素原子のアルキルである)であり、
bは、1〜3であり、Q及びR2は、上記定義のとおりである)のアクリレート含有単位であり、
d)は、式−R2−Q−(CO2H)b−R2−
(式中、−R2−、b、及びQは、上記定義のとおりである)のカルボン酸含有単位であり、
e)は、式−R2−Q−(SO3M)b−R2−
(式中、−R2−、b、及びQは、上記定義のとおりであり、Mは、Na又はLiである)のスルホン酸塩含有単位であり、
f)は、式−R2−Q−(N(R5)3+X−)b−R2−(式中、−R2−、b、及びQは、上記定義のとおりであり、R5は、独立して、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、アルキレン、アリーレン、アラルキレン、又はアルカリーレンであり、X−は対イオンである)の第四級アンモニウム塩単位である]の単位を含む、項目1に記載のアセンブリ層。
[項目7]
第1のフレキシブル基材と、
第2のフレキシブル基材と、
前記第1のフレキシブル基材と前記第2のフレキシブル基材との間に接触して配置されたアセンブリ層と、を含み、約−30℃〜約90℃の温度範囲内で、前記アセンブリ層が、振動数1Hzにおいて約2MPaを超えないせん断貯蔵弾性率と、約50kPa〜約500kPaのせん断応力を負荷して5秒において測定される少なくとも約6×10−6 1/Paのせん断クリープコンプライアンス(J)と、約5kPa〜約500kPaの範囲内のせん断応力を負荷した少なくとも1点において前記負荷したせん断応力の解除後約1分以内に少なくとも約50%のひずみ回復と、を有する、ラミネート。
[項目8]
前記アセンブリ層が光学的に透明である、項目7に記載のラミネート。
[項目9]
前記第1の基材及び前記第2の基材のうちの少なくとも1つが光学的に透明である、項目7に記載のラミネート。
[項目10]
前記ラミネートが70℃/相対湿度90%の環境に72時間置かれ、次いで室温まで冷却された後に、前記ラミネートが約5%未満のヘイズ値を有する、項目7に記載のラミネート。
[項目11]
前記アセンブリ層が、最高で約10℃のガラス転移温度を有する、項目7に記載のラミネート。
[項目12]
前記ラミネートが、約15mm未満の曲率半径を負荷するチャネル内に室温で24時間の期間にわたって定置された際、不良を呈さない、項目7に記載のラミネート。
[項目13]
前記ラミネートが、室温での前記24時間の期間後に前記チャネルから取り出された後、少なくとも約130度の夾角まで復帰する、項目12に記載のラミネート。
[項目14]
前記ラミネートに、約10,000サイクルの曲率半径約15mm未満の折り曲げによる動的折り曲げ試験を室温で実施するとき、前記ラミネートが不良を呈さない、項目7に記載のラミネート。
[項目15]
前記アセンブリ層が、アクリル、アクリルブロックコポリマー、物理的に架橋されたシリコーンエラストマー、共有結合で架橋されたシリコーンエラストマー試薬生成混合物、アイオノマー架橋されたシリコーンエラストマー試薬生成混合物、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、オレフィンブロックコポリマー、ポリイソブチレン、及び高級アルキルポリオレフィンのうちの少なくとも1つを含む、項目7に記載のラミネート。
[項目16]
第1の基材と第2の基材とを接着する方法であって、前記第1の基材と前記第2の基材の両方が可撓性であり、前記方法が、
前記第1のフレキシブル基材と前記第2のフレキシブル基材との間にアセンブリ層(ここで、約−30℃〜約90℃の温度範囲内で、前記アセンブリ層は、振動数1Hzにおいて約2MPaを超えないせん断貯蔵弾性率と、約50kPa〜約500kPaのせん断応力を負荷して5秒において測定される少なくとも約6×10−6 1/Paのせん断クリープコンプライアンス(J)と、約5kPa〜約500kPaの範囲内のせん断応力を負荷した少なくとも1点において前記負荷したせん断応力の解除後約1分以内に少なくとも約50%のひずみ回復と、を有する)を配置してラミネートを形成することと、
圧力及び熱のうちの少なくとも1つを加えてラミネートを形成することと、を含む、方法。
[項目17]
前記アセンブリ層が光学的に透明である、項目16に記載の方法。
[項目18]
前記ラミネートが、約15mm未満の曲率半径を負荷するチャネル内に室温で24時間の期間にわたって定置された際、不良を呈さない、項目16に記載の方法。
[項目19]
前記ラミネートが、室温での前記24時間の期間後に前記チャネルから取り出された後、少なくとも約130度の夾角まで復帰する、項目18に記載の方法。
[項目20]
前記ラミネートに、約10,000サイクル超の曲率半径約15mm未満の折り曲げによる動的折り曲げ試験を室温で実施するとき、前記ラミネートが不良を呈さない、項目16に記載の方法。
[項目21]
前記アセンブリ層が、アクリル、アクリルブロックコポリマー、物理的に架橋されたシリコーンエラストマー、共有結合で架橋されたシリコーンエラストマー試薬生成混合物、アイオノマー架橋されたシリコーンエラストマー試薬生成混合物、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、オレフィンブロックコポリマー、ポリイソブチレン、及び高級アルキルポリオレフィンのうちの少なくとも1つを含む、項目16に記載の方法。