(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6823024
(24)【登録日】2021年1月12日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】ロボットのキャリブレーションシステムおよびキャリブレーション方法
(51)【国際特許分類】
B25J 9/10 20060101AFI20210114BHJP
【FI】
B25J9/10 A
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-169336(P2018-169336)
(22)【出願日】2018年9月11日
(65)【公開番号】特開2020-40165(P2020-40165A)
(43)【公開日】2020年3月19日
【審査請求日】2020年2月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】王 悦来
(72)【発明者】
【氏名】有田 創一
【審査官】
臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−031665(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/129473(WO,A1)
【文献】
特開平06−236205(JP,A)
【文献】
国際公開第2017/033247(WO,A1)
【文献】
特開平06−274213(JP,A)
【文献】
特開2013−132731(JP,A)
【文献】
国際公開第2018/114041(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0066131(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第105397807(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/10−19/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの先端位置を実測した実測位置情報と、該実測位置情報の実測時における前記ロボットの状態を表す情報とを組み合わせたデータを複数記憶するデータ保存部と、
前記ロボットの機械誤差を表すパラメータ群から、同定する一群の機械誤差パラメータを選定するパラメータ選定部と、
前記データ保存部に記憶されている前記データと、前記パラメータ選定部により選定された一群の前記機械誤差パラメータの情報とを用いて、一群の前記機械誤差パラメータを最小二乗法によって同定するパラメータ同定部と、
該パラメータ同定部による同定結果を評価する同定結果評価部とを備え、
該同定結果評価部による評価が所定の基準を満たしていない場合に、前記パラメータ選定部による異なる前記機械誤差パラメータの選定、前記パラメータ同定部による同定および前記同定結果評価部による評価を繰り返すロボットのキャリブレーションシステム。
【請求項2】
前記ロボットの状態を表す情報が、前記実測位置情報を実測した時点での前記ロボットの各関節の角度を含む請求項1に記載のロボットのキャリブレーションシステム。
【請求項3】
前記ロボットの状態を表す情報が、前記実測位置情報を実測した時点での前記ロボットの各関節に作用するトルクを含む請求項1に記載のロボットのキャリブレーションシステム。
【請求項4】
前記同定結果評価部による評価が、所定の時間内に前記基準を満たさない場合に、それまでに得られた評価が最も高い前記機械誤差パラメータを使用する機械誤差パラメータとして設定する請求項1から請求項3のいずれかに記載のロボットのキャリブレーションシステム。
【請求項5】
前記同定結果評価部による評価が、前記機械誤差パラメータの所定回数の選定によっても前記基準を満たさない場合に、それまでに得られた評価が最も高い前記機械誤差パラメータを使用する機械誤差パラメータとして設定する請求項1から請求項3のいずれかに記載のロボットのキャリブレーションシステム。
【請求項6】
前記同定部が、前記ロボットの状態を表す情報と一群の前記機械誤差パラメータとに基づく理論位置情報と、前記実測位置情報との誤差関数が最小となるように、一群の前記機械誤差パラメータを同時に同定する請求項1から請求項5のいずれかに記載のロボットのキャリブレーションシステム。
【請求項7】
ロボットの先端位置を実測した実測位置情報と、該実測位置情報の実測時における前記ロボットの状態を表す情報とを組み合わせたデータを複数記憶し、
前記ロボットの機械誤差を表すパラメータ群から、同定する一群の機械誤差パラメータを選定し、
記憶されている前記データと、選定された一群の前記機械誤差パラメータの情報とを用いて、一群の前記機械誤差パラメータを最小二乗法によって同定し、
同定結果を評価し、
評価が所定の基準を満たしていない場合に、異なる前記機械誤差パラメータの選定、同定および評価を繰り返すロボットのキャリブレーション方法。
【請求項8】
前記ロボットの状態を表す情報と一群の前記機械誤差パラメータとに基づく理論位置情報と、前記実測位置情報との誤差関数が最小となるように、一群の前記機械誤差パラメータを同時に同定する請求項7に記載のロボットのキャリブレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットのキャリブレーションシステムおよびキャリブレーション方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、3次元位置計測器を利用して多関節型ロボットの複数の姿勢における先端位置情報を計測した実測位置情報と、各回転関節の角度データおよびリンクの長さを運動学順変換することによって算出した先端の理論位置との差が最小となるように、複数の機械誤差パラメータを同定することにより、ロボットの先端の絶対精度を向上する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載された技術では、同定する機械誤差パラメータを、姿勢パラメータ、直動軸移動方向パラメータおよび並進パラメータの3つにグループ化し、この順にグループ内の全ての機械誤差パラメータを順次同定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−28514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、グループ分けされた機械誤差パラメータ全てを同定しても、最も良好な精度が得られる訳ではないという問題がある。
本発明は、適正な数および種類の機械誤差パラメータを同定して、ロボットの先端の絶対精度を向上することができるロボットのキャリブレーションシステムおよびキャリブレーション方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ロボットの先端位置を実測した実測位置情報と、該実測位置情報の実測時における前記ロボットの状態を表す情報とを組み合わせたデータを複数記憶するデータ保存部と、前記ロボットの機械誤差を表すパラメータ群から、同定する一群の機械誤差パラメータを選定するパラメータ選定部と、前記データ保存部に記憶されている前記データと、前記パラメータ選定部により選定された
一群の前記機械誤差パラメータの情報とを用いて、
一群の前記機械誤差パラメータを
最小二乗法によって同定するパラメータ同定部と、該パラメータ同定部による同定結果を評価する同定結果評価部とを備え、該同定結果評価部による評価が所定の基準を満たしていない場合に、前記パラメータ選定部による異なる前記機械誤差パラメータの選定、前記パラメータ同定部による同定および前記同定結果評価部による評価を繰り返すロボットのキャリブレーションシステムである。
【0007】
本態様によれば、ロボットの先端位置を実測した実測位置情報と、実測位置情報を実測したときのロボットの状態を表す情報とを組み合わせたデータを、データ保存部に複数記憶すると、パラメータ選定部により、ロボットの機械誤差を表すパラメータ群から、同定すべき一群の機械誤差パラメータが選定される。パラメータ同定部が、選定された機械誤差パラメータと記憶されている複数のデータとを用いて機械誤差パラメータを同定し、同定結果が同定結果評価部により評価される。そして、評価が所定の基準を満たしていない場合には、パラメータ選定部により異なる機械誤差パラメータが選定され、パラメータ同定部による同定および同定結果評価部による評価が繰り返される。
【0008】
予め定められた先端位置の実測位置情報が、予め定められた数だけデータ保存部に記憶できる場合には、先端位置の算出に使用すべき機械誤差パラメータはロボットの出荷時に特定することができる。しかしながら、データ保存部に記憶されるデータ数が足りない場合、あるいは、予め定められた先端位置における実測位置情報が得られない場合に、出荷時に特定された機械誤差パラメータを用いても、ロボットの先端の絶対位置精度を向上することができない場合がある。
【0009】
本態様によれば、データ保存部に記憶されるデータ数が足りない場合、あるいは、予め定められた先端位置における実測位置情報が得られない場合であっても、パラメータ群の中から選定した一群の機械誤差パラメータを同定し、同定結果を評価して所定の基準を満たしていない場合には異なる一群の機械誤差パラメータの選定、同定および評価が行われるので、上記基準により近い機械誤差パラメータを設定することができる。これにより、ロボットの状態を示す情報および機械誤差パラメータを用いて算出されるロボットの先端位置の絶対位置精度を向上することができる。
【0010】
上記態様においては、前記ロボットの状態を表す情報が、前記実測位置情報を実測した時点での前記ロボットの各関節の角度を含んでいてもよい。
この構成により、ロボットの各関節の角度と機械誤差パラメータとを用いて算出されるロボットの先端位置の絶対位置精度を向上することができる。
【0011】
また、上記態様においては、前記ロボットの状態を表す情報が、前記実測位置情報を実測した時点での前記ロボットの各関節に作用するトルクを含んでいてもよい。
この構成により、ロボットの各関節に作用するトルクと機械誤差パラメータとを用いて算出されるロボットの先端位置の絶対位置精度を向上することができる。
【0012】
また、上記態様においては、前記同定結果評価部による評価が、所定の時間内に前記基準を満たさない場合に、それまでに得られた評価が最も高い前記機械誤差パラメータを使用する機械誤差パラメータとして設定してもよい。
この構成により、機械誤差パラメータの選定を切り替えても同定結果が基準を満たさない場合であっても、過大な時間を要することなく、適正な機械誤差パラメータの集合を設定することができる。
【0013】
また、上記態様においては、前記同定結果評価部による評価が、前記機械誤差パラメータの所定回数の選定によっても前記基準を満たさない場合に、それまでに得られた評価が最も高い前記機械誤差パラメータを使用する機械誤差パラメータとして設定してもよい。
この構成により、機械誤差パラメータの選定を切り替えても同定結果が基準を満たさない場合であっても、過大な時間を要することなく、より適正な機械誤差パラメータの集合を設定することができる。
【0014】
また、本発明の他の態様は、ロボットの先端位置を実測した実測位置情報と、該実測位置情報の実測時における前記ロボットの状態を表す情報とを組み合わせたデータを複数記憶し、前記ロボットの機械誤差を表すパラメータ群から、同定する一群の機械誤差パラメータを選定し、記憶されている前記データと、選定された
一群の前記機械誤差パラメータの情報とを用いて、
一群の前記機械誤差パラメータを
最小二乗法によって同定し、同定結果を評価し、評価が所定の基準を満たしていない場合に、異なる前記機械誤差パラメータの選定、同定および評価を繰り返すロボットのキャリブレーション方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、適正な数および種類の機械誤差パラメータを同定して、ロボットの先端の絶対精度を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るキャリブレーションシステムを備えるロボットシステムを示す全体構成図である。
【
図2】
図1のキャリブレーションシステムを示すブロック図である。
【
図3】
図2のキャリブレーションシステムのパラメータ選定部による機械誤差パラメータの集合の選定を説明する図である。
【
図4】
図2のキャリブレーションシステムを用いたキャリブレーション方法を説明するフローチャートである。
【
図5】
図4のキャリブレーション方法の第1の変形例を示すフローチャートである。
【
図6】
図4のキャリブレーション方法の第2の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係るロボットのキャリブレーションシステム1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るキャリブレーションシステム1は、
図1に示されるように、ロボット2と、ロボット2に接続される制御装置3と、ロボット2の先端位置Aを外部から実測する3次元位置計測器4とを備えるシステムに接続され、制御装置3において先端位置の算出のために使用される機械誤差パラメータを設定するシステムである。
【0018】
ロボット2は、例えば、多関節型ロボットである。
制御装置3は、多関節型ロボットであるロボット2は、各回転関節(関節)のエンコーダにより検出される角度情報とリンクの長さ情報とを運動学順変換によって、固定された3次元の直交座標系におけるロボット2の先端位置の理論的な位置情報(以下、理論位置という。)に変換する。しかし、ロボット2の構成部品の加工誤差および組み付け誤差により、リンクの長さなどに個体差が生じている。
【0019】
そこで、理論的な位置情報を算出するために、角度情報等のロボット2の状態を表す情報に加え、リンクの長さを含むDHパラメータや回転関節の負荷トルクにより生じる撓み量等、複数の機械誤差パラメータを用いたモデリングを行って、実測位置と理論位置との差が最小となるように機械誤差パラメータを同定することにより、算出される先端位置の絶対位置精度を向上することができる。
【0020】
キャリブレーションシステム1は、
図2に示されるように、3次元位置計測器4により実測された実測位置情報と、実測位置情報が実測された時点でのロボット2の各関節の角度情報を含む、ロボット2の状態を表す情報とを対応づけたデータを複数保存するデータ保存部5と、ロボット2の機械誤差を表す機械誤差パラメータの情報を記憶するパラメータ記憶部(パラメータ選定部)6と、パラメータ記憶部6に記憶されている機械誤差パラメータの中から、同定する一群の機械誤差パラメータを選定する選定部(パラメータ選定部)7とを備えている。
また、キャリブレーションシステム1は、選定された機械誤差パラメータを同定するパラメータ同定部8と、同定結果を評価する同定結果評価部9とを備えている。
【0021】
データ保存部5およびパラメータ記憶部6は、例えば、メモリである。選定部7、パラメータ同定部8および同定結果評価部9は、例えば、プロセッサにより構成されている。
パラメータ記憶部6には、機械誤差パラメータとして選定可能な候補が複数記憶されている。
図3に示す例では、P1からP60までの60個の機械誤差パラメータの候補の識別情報が記憶されている。
【0022】
選定部7は、パラメータ記憶部6に記憶されている候補の内の複数の候補を含む集合を選定する。最初の選定は、予め定められたものを使用してもよいし、任意に選択したものを使用してもよい。
図3に示す例では、パラメータ記憶部6に記憶されている60個の機械誤差パラメータの内の例えば21個の機械誤差パラメータを含む集合が選定されている。
【0023】
2回目以降の選定は、それまでに選定されていなかった機械誤差パラメータをランダムに追加したり、選定されていたいずれかの機械誤差パラメータをランダムに削除したりすることにより行われてもよい。追加や削除は1つずつ行ってもよいし任意の数だけ行ってもよい。
図3に示す例では、2回目の選定において機械誤差パラメータP1を追加し、3回目の選定において機械誤差パラメータP3を追加している。
【0024】
パラメータ同定部8は、データ保存部5に記憶されている複数のデータと、選定部7により選定された機械誤差パラメータの集合とを用いて、集合内に含まれる機械誤差パラメータを公知の方法により同定する。例えば、データ保存部5に記憶されているロボット2の先端位置の実測位置と、
データ保存部5に記憶されている角度情報および機械誤差パラメータを用いて算出される理論位置との誤差関数を作成して、最小二乗法により、機械誤差パラメータを同定すればよい。
【0025】
同定結果評価部9は、パラメータ同定部8により同定された結果を所定の基準により評価する。例えば、同定された機械誤差パラメータの集合を用いて算出された理論位置と実測位置との誤差を、全ての実測位置について算出し、その平均値が評価基準(例えば、0.3mm以下)を満たしているか否かを判定すればよい。
【0026】
このように構成された本実施形態に係るロボット2のキャリブレーションシステム1を用いたキャリブレーション方法について、以下に説明する。
本実施形態に係るキャリブレーションシステム1を用いて、キャリブレーションを行うには、
図4に示されるように、まず、多関節型ロボットであるロボット2の各関節を動作させて先端を複数の位置に配置し、各位置において、3次元位置計測器4により先端位置を実測する(ステップS1)。また、実測した時点でのロボット2の各関節の角度情報を取得し(ステップS2)、取得された角度情報を計測された実測位置に対応づけてデータ保存部5に記憶する(ステップS3)。
【0027】
次に、選定部7がパラメータ記憶部6に記憶されている機械誤差パラメータの候補の中から一群の機械誤差パラメータの集合を選定する(ステップS4)。
そして、選定された一群の機械誤差パラメータと、データ保存部5に記憶されている角度情報とを用いて算出される理論位置と、実測位置との誤差関数を作成して、最小二乗法により、機械誤差パラメータを同定する(ステップS5)。
【0028】
この後に、同定された機械誤差パラメータを用いて同定結果評価部9により同定結果が所定の基準を満たすか否かの評価が行われる(ステップS6)。
基準を満たしていない場合には、ステップS4に戻り、選定されている機械誤差パラメータの集合とは異なる集合を選定するステップS4からステップS6の工程が繰り返される。
ステップS6において基準を満たしている場合には、その時点で同定されている機械誤差パラメータが制御装置3に対して出力される(ステップS7)。
【0029】
このように、本実施形態に係るロボット2のキャリブレーションシステム1およびキャリブレーション方法によれば、予め定められた機械誤差パラメータのみを同定するのではなく、同定結果が所定の基準を満たす機械誤差パラメータの集合を探索するので、適正な数および種類の機械誤差パラメータを同定して、ロボット2の先端の絶対精度を向上することができるという利点がある。
【0030】
すなわち、ユーザにおいて、必要数あるいは必要な位置についての実測位置と理論位置とを含むデータを用意できない場合であっても、同定結果が所定の基準を満たす機械誤差パラメータの集合を探索することで、ロボット2の先端の絶対精度を向上することができる。
【0031】
なお、本実施形態においては、ロボット2の状態を表す情報として、エンコーダにより検出された各回転関節の角度情報を例示したが、これに代えて、あるいは、これに加えて、センサにより検出されあるいは他の情報から算出されたトルクあるいは外力等の他の情報を採用してもよい。
【0032】
また、本実施形態においては、同定結果が所定の基準を満たすまで機械誤差パラメータの選定、同定および評価が繰り返されることとしたが、これに代えて、
図5に示されるように、機械誤差パラメータの集合の選定が開始される時点で時間の計時が開始され(ステップS8)、同定結果が基準を満たさない場合に、所定時間経過したか否かが判定されることにしてもよい(ステップS9)。
【0033】
すなわち、所定時間経過していない場合には、ステップS4に戻り機械誤差パラメータの選定、同定および評価が繰り返され、所定時間経過していた場合には、その時点で最も基準に近い同定結果を示す機械誤差パラメータを出力することにすればよい(ステップS7)。このようにすることで、評価の基準が厳しく設定された場合に、基準を満たすまでに多くの時間を要するため、時間を限って処理を行うことにより、短時間で基準に近い同定結果を示す機械誤差パラメータを設定することができる。
【0034】
また、経過時間を限って処理することに代えて、
図6に示されるように、機械誤差パラメータの集合の選定回数kが所定回数となった場合に、その時点で最も基準に近い同定結果を示す機械誤差パラメータを出力することにしてもよい。図中、選定開始前に選定回数kをリセットし(ステップS10)、インクリメントする(ステップS11)。そして、同定結果が基準を満たさない場合に、所定回数k0回選定が行われたか否かが判定される(ステップS12)。所定回数k0回選定が行われていない場合には、ステップS4に戻り機械誤差パラメータの選定、同定および評価が繰り返される。
【0035】
これによっても、評価の基準が厳しく設定された場合に、基準を満たすまでに多くの時間を要するため、繰り返し回数を限って処理を行うことにより、短時間で基準に近い同定結果を示す機械誤差パラメータを設定することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 キャリブレーションシステム
2 ロボット
5 データ保存部
6 パラメータ記憶部(パラメータ選定部)
7 選定部(パラメータ選定部)
8 パラメータ同定部
9 同定結果評価部
A 先端位置