(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連結壁は、前記第1シャフト部と前記第2シャフト部の中心を結ぶ線の両側に対になって設けられ、前記補強部材は対になった前記連結壁に各々設けられる請求項1に記載の医療用デバイス。
前記補強部材は、前記連結壁の前記外壁部と、前記第1シャフト部の内壁面と、前記第2シャフト部の内壁面と、の間に配置される請求項1または2に記載の医療用デバイス。
前記連結壁は、前記基端側における前記連結壁の外壁が前記先端側における前記外壁部よりも外方に張り出した突出外壁部をさらに有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用デバイス。
前記補強部材は、前記外壁部または前記突出外壁部の外壁面の位置に応じて前記先端側から前記基端側にかけて太くなるように構成される請求項4に記載の医療用デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0011】
本実施形態に係る医療用デバイス1は、
図1、2に示すように、内部に超音波診断のためのイメージングコア4を収納して生体管腔内に挿入される超音波カテーテルである。医療用デバイス1は、当該医療用デバイス1を保持してイメージングコア4を駆動させる外部駆動装置7(
図2を参照)に接続されて、主として血管内を診断するために使用される。なお、本明細書では、生体の管腔に挿入する側を「先端」若しくは「先端側」、操作する手元側を「基端」若しくは「基端側」と称することとする。
【0012】
医療用デバイス1は、
図1に示すように管腔内に挿入される長尺状のシャフト部2と、管腔内組織に向けて超音波を送受信するイメージングコア4(観察部に相当)と、イメージングコア4が貫通しかつシャフト部2より基端側に位置するハブ5と、イメージングコア4を操作する操作部3と、を備えている。以下、各構成について詳述する。
【0013】
シャフト部2は、
図1、
図4(D)などに示すように、基端側から先端側まで伸びイメージングコア4をスライド自在に挿通させる長尺状の第1シャフト部21と、基端側から第1シャフト部21よりも先端側に伸びガイドワイヤWを挿通させる長尺状の第2シャフト部22と、第1シャフト部21と第2シャフト部22との間に形成された連結壁23と、連結壁23内に埋設して設けられた補強部材24と、を有する。
【0014】
第1シャフト部21は、
図3、
図4(B)に示すように、イメージングコア4を挿通可能な画像用ルーメン211(観察部用ルーメンに相当)が形成され、断面が略中空円筒状に形成されている。第2シャフト部22は、ガイドワイヤWを挿通させるガイドワイヤルーメン221が形成され、断面が第1シャフト部21と同様に略中空円筒状に形成されている。ガイドワイヤWとイメージングコア4との大きさの違いによって、ガイドワイヤルーメン221は、画像用ルーメン211よりも断面が小さく構成されている。
【0015】
第2シャフト部22は、
図4(B)に示すように、ガイドワイヤルーメン221が画像用ルーメン211の内方(同軸)ではなく、画像用ルーメン211と別個に隣接して配置されるように、第1シャフト部21に隣接して配置されている。第1シャフト部21および第2シャフト部22は、先端からハブ5の先端側まで並んで配置しており、ハブ5の内部において分岐するように構成している。第1シャフト部21および第2シャフト部22は、
図4(B)に示す比較的先端側の位置において外壁面212、222を略円形状に構成している。また、第1シャフト部21および第2シャフト部22は、
図4(C)に示すように、連結壁23が形成される断面において互いから離れる位置の外壁面213、223が略円形状に形成されている。
【0016】
第1シャフト部21および第2シャフト部22は長手方向の位置によって外径および/または内径が異なっていてもよい。例えば、基端側から先端側に向かって外径および内径をテーパ状に減少させて物性の極端な変化を生じさせないことによって、高い押し込み性、通過性を実現しつつ、キンクの発生を抑制することができる。
【0017】
画像用ルーメン211内には、イメージングコア4がシャフト部2の軸線(長手)方向にスライド可能に配置されている。イメージングコア4は、管腔内から生体組織に向けて超音波を送受信するための振動子ユニット41と、振動子ユニット41を先端に取り付けるとともに回転させる駆動シャフト42と、を備える。振動子ユニット41は、超音波を送受信する超音波振動子411と、超音波振動子411を収納するハウジング412とで構成されている。
【0018】
振動子ユニット41は、体外からX線撮影により血管を撮影したアンギオ画像により観察可能である。ハウジング412は、材料は限定されないが、X線造影部としても機能するように、例えば金、プラチナ、プラチナ系合金、タングステン系合金などの金属、あるいは硫酸バリウム、酸化ビスマス、タングステンのようなX線不透過材料を含んでいることが好ましい。また、ハウジング412の近傍に別途X線造影マーカーを設けてもよい。
【0019】
連結壁23は、シャフト部2の中でも軸線方向においてイメージングコア4が前後進する範囲の後端付近に設けられている。連結壁23は、シャフト部2の長手方向において第1シャフト部21および第2シャフト部22の先端よりも手前側まで形成され、
図4(C)に示すように第1シャフト部21および第2シャフト部22の外壁面の少なくとも一部を被覆するように構成している。連結壁23はこのように構成することによって、医療用デバイス1の先端の断面形状をできるだけ大きくしないようにしつつ第1シャフト部21および第2シャフト部22を一体とし、特に基端側の剛性の向上に寄与する。
【0020】
連結壁23は、
図4(C)におけるシャフト部2の長手方向の軸に直交する断面において第1シャフト部21の中心と第2シャフト部22の中心を結ぶ線CLを境に左右に2か所対になって配置される。連結壁23は、
図4(C)において左右対称に、つまり線CLを境に反転させると略同じ形状となるように構成している。しかし、シャフト部2が特定の方向に偏らずに屈曲または湾曲することができれば、必ずしも左右対称な断面形状でなくてもよい。
【0021】
図4(C)における断面において、第1シャフト部21は略円弧状の外壁面213を有し、第2シャフト部22は略円弧状の外壁面223を有するように構成している。
図4(C)において第1シャフト部21および第2シャフト部22の断面は真円にて図示しているが、これに限定されず、例えば楕円であってもよい。連結壁23は、連結壁23が形成されている中でも先端側にあたる
図4(C)の断面において、円弧状の外壁面213と円弧状の外壁面223をおよそ接線で結ぶような断面が略直線形状の外壁面231(外壁部に相当)を有するように構成している。これにより、シャフト部2の外形が過剰に大きくなることを防止している。
【0022】
逆に、連結壁23の中でも比較的基端側の断面を示す
図4(E)では、連結壁23の外壁面232(突出外壁部に相当)の断面は直線状ではなく、外方に突出するような曲線形状にて構成している。しかし、シャフト部2の先端側の外形を小さくし、手元側における剛性を向上させることができれば、連結壁23の外壁面の形状はこれに限定されない。
【0023】
補強部材24は、
図1、
図4(D)に示すように、イメージングコア4が最も後退した位置よりも基端側であって、連結壁23の内部に埋設されている。補強部材24は、連結壁23の外壁面231、第1シャフト部21の内壁面214、および第2シャフト部22の内壁面224の間において張り出さないように設けられる。補強部材24は、連結壁23と同様に、
図4(C)に示す第1シャフト部21と第2シャフト部22の中心を結ぶ線CLをまたいで両側に対になって設けている。補強部材24は、連結壁23と同様にシャフト部2の特に基端側の剛性の向上に寄与する。補強部材24は、断面形状を一例として略円形状にて構成している。
【0024】
シャフト部2における第1シャフト部21および第2シャフト部22の材料は、超音波の透過性の高い材料によって形成している。第1シャフト部21および第2シャフト部22は可撓性を有する材料で形成され、その材料は特に限定されないが、一例としてスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等であって、これらのうちの一種または二種以上を組み合わせたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体等)を用いることができる。
【0025】
補強部材24の材料についても特に限定されないが、一例としてステンレス鋼線やNi−Ti合金などを挙げることができる。
【0026】
ここで、以下にシャフト部2の長手方向において連結壁23および補強部材24の設けられる位置について、シャフト部2の長手方向の所定位置における断面を参照しながら説明する。
【0027】
まず、シャフト部2の先端側の地点4Aでは、
図4(A)に示すように、ガイドワイヤWを挿通させるための略中空円筒形状の第1シャフト部21のみが存在するように構成している。
【0028】
シャフト部2の先端側の地点Aよりも基端側に位置する地点4Bでは、
図4(B)に示すように第1シャフト部21に加えて略中空円筒形状の第2シャフト部22の先端部が形成されている。第2シャフト部22の先端部には、
図3に示すように充填液入出路部材215が設けられている。充填液入出路部材215は、画像用ルーメン211に充填される生理食塩水などを外部に流すために設けられ、そのために孔であるプライミングポート216を形成している。
【0029】
シャフト部2の地点4A、4Bよりも基端側に位置する地点4Cでは、
図4(C)に示すように第1シャフト部21、第2シャフト部22に加えて第1シャフト部21と第2シャフト部22の間に連結壁23が形成されている。連結壁23によって、シャフト部2の外壁面は地点4A、4Bよりも外方に突出する。
【0030】
シャフト部2の地点4A、4B、4Cよりも基端側に位置する地点4Dでは、
図4(D)に示すように第1シャフト部21、第2シャフト部22、および連結壁23が配置されるとともに、連結壁23の内部に補強部材24が埋設される。地点4Cと地点4Dとではシャフト部2の外形はほぼ同じであることを想定しているが、所望の管腔への挿入が可能であれば、地点4Cと地点4Dとでシャフト部2の外形の大きさが異なっていてもよい。
【0031】
シャフト部2の地点4A、4B、4C、4Dよりも基端側に位置する地点4Eでは、
図4(E)に示すように外壁面213、223の外形は地点4Dと類似する。これに対し、連結壁23の外壁面232は地点4Dの外壁面231よりも外側に張り出すように構成している。補強部材24は、
図4(E)に示すように連結壁23の外壁面の位置に合わせて
図4(D)に示す地点4Dよりも補強部材24自体が太くなるように構成している。
【0032】
このように構成することによって、地点4Aから地点4Dなどのシャフト部2の先端側は補強部材などがない場合と同様に細径を維持して、様々な生体管腔への挿入を可能にすることができる。また、地点4Eなどのシャフト部2の基端側は、基端に近づく程、連結壁23や補強部材24によって手元側の剛性を上げることができ、医療用デバイス1の操作性を向上させることができる。
【0033】
駆動シャフト42は、柔軟で、しかも操作部3において生成された回転の動力を振動子ユニット41に伝達可能な特性を持ち、例えば
図3に示すように右左右と巻き方向を交互にしている3層コイルなどの多層コイル状の管体で構成されている。駆動シャフト42が回転の動力を伝達することによって、振動子ユニット41が回転し、血管および脈管などの管腔内の患部を周方向に亘って観察することができる。また、駆動シャフト42は、振動子ユニット41で検出された信号を操作部3に伝送するための信号線43が内部に通されている。
【0034】
ハブ5は、
図5に示すように第1シャフト部21に気密に連結される第1ハブ部51と、第2シャフト部22に気密に連結される第2ハブ部52と、第1ハブ部51および第2ハブ部52を覆うハブ用ケーシング53と、第1耐キンクプロテクタ54とを備えている。
【0035】
第1ハブ部51には、イメージングコア4を操作するために外部駆動装置7に連結される操作部3が連結されている。操作部3は、
図1等に示すように第1ハブ部51に連結される外管32と、外管32の基端部に連結されるユニットコネクタ37と、外管32に対して軸線方向へ移動可能な内管34と、内管34の基端部に連結される操作基端部31と、を備えている。
【0036】
操作基端部31は、駆動シャフト42および内管34を保持する。操作基端部31が移動して内管34がユニットコネクタ37および外管32に押し込まれ(
図1を参照)、または引き出されることによって(
図9を参照)、駆動シャフト42が連動してシャフト部2内を軸線方向にスライドする。操作基端部31には、プライミングのための生理食塩液を注入するポート311が形成されている。ポート311は、画像用ルーメン211に連通している。
【0037】
内管34を最も押し込んだときには、
図1に示すように、内管34は、先端側の端部が外管32の内部を移動し、第1ハブ部51の付近まで到達する。そして、この状態では、振動子ユニット41は、
図3に示すように、画像用ルーメン211の先端付近に位置する。
【0038】
また、内管34を最も引き出したときには、
図9に示すように、内管34は、先端に形成されたストッパー315がユニットコネクタ37の内壁に引っかかり、引っかかった先端付近以外が露出する。そして、この状態では、振動子ユニット41は、シャフト部2を残したままその内部を引き戻されている。このように、振動子ユニット41は、回転しながら軸線方向に沿って移動することによって、血管などの断層画像を作成することができる。
【0039】
操作基端部31は、
図1に示すようにジョイント312と、駆動シャフト42の基端部に接続されたハブ側コネクタ313と、第2耐キンクプロテクタ314とを有する。
【0040】
ジョイント312は、基端側に開口部を有し、ハブ側コネクタ313を内部に配置する。ハブ側コネクタ313は、ジョイント312の基端側から外部駆動装置7が有する駆動用雌コネクタ711(
図2を参照)に連結可能であり、連結することで、外部駆動装置7とハブ側コネクタ313とが機械的および電気的に接続される。
【0041】
ハブ側コネクタ313には、信号線43の一端が接続されており、この信号線43は、
図3に示すように、駆動シャフト42内を通り抜けて、他端が振動子ユニット41に接続されている。外部駆動装置7から駆動用雌コネクタ711、ハブ側コネクタ313、信号線43を介して振動子ユニット41に送信される信号によって、振動子ユニット41から超音波が照射される。また、超音波を受けることにより振動子ユニット41で検出された信号は、信号線43、ハブ側コネクタ313、駆動用雌コネクタ711を介して外部駆動装置7へ伝送される。
【0042】
第2耐キンクプロテクタ314は、内管34および操作基端部31の周囲に配置され、内管34のキンクを抑制する。
【0043】
ユニットコネクタ37は、第1ハブ部51に取り付けられた外管32の基端部が内部に嵌合するように挿入され、この外管32の内部に、操作基端部31から伸びた内管34が挿入される。ユニットコネクタ37は、外部駆動装置7の保持部73(
図2を参照)に接続可能である。
【0044】
第1ハブ部51は、
図1、5に示すように、基端側から外管32の先端部が嵌合して連結されるとともに、先端側から第1シャフト部21が挿入されて熱融着または接着して気密に連結されている。したがって、内管34および外管32を通り抜けた駆動シャフト42および生理食塩液は、第1ハブ部51を通って画像用ルーメン211へ移動可能である。第1ハブ部51の外周面には、ハブ用ケーシング53に連結するために、リング状に突出する第1連結用凸部511が形成されている。
【0045】
第2ハブ部52は、先端側から第2シャフト部22が挿入されて熱融着または接着して気密に連結されている。したがって、第2ハブ部52は、ガイドワイヤルーメン221に連通しており、ガイドワイヤWが通過可能である。第2ハブ部52の外周面には、ハブ用ケーシング53に連結するために、リング状に突出する第2連結用凸部521が形成されている。
【0046】
ハブ用ケーシング53は、
図6に示すように、シャフト部2、第1ハブ部51および第2ハブ部52の外周面を両側から挟むように割型構造で構成される2つの第1ケーシング531および第2ケーシング532を備えている。第1ケーシング531および第2ケーシング532は、シャフト部2、第1ハブ部51および第2ハブ部52を挟んで対称的な形状で形成されている。第1ケーシング531および第2ケーシング532は、シャフト部2が嵌合する先端側嵌合部533と、第1ハブ部51が嵌合する第1ハブ用嵌合部534と、第2ハブ部52が嵌合する第2ハブ用嵌合部535とが形成されている。
【0047】
第1ハブ用嵌合部534には、第1ハブ部51の外周面に形成される第1連結用凸部511が嵌合可能な第1連結用凹部536が形成されている。第2ハブ用嵌合部535には、第2ハブ部52の外周面に形成される第2連結用凸部521が嵌合可能な第2連結用凹部537が形成されている。
【0048】
第1ケーシング531および第2ケーシング532には、
図6、7に示すようにシャフト部2、第1ハブ部51および第2ハブ部52の外周面を両側から挟むように重ねることで、引っ掛かるように連結される連結用フック538および連結用段差部539が形成されている。第1ケーシング531および第2ケーシング532を重ねることで、連結用フック538が一旦撓んだ後に連結用段差部539に引っ掛かり、第1ケーシング531および第2ケーシング532が連結される。なお、第1ケーシング531および第2ケーシング532は、連結用フック538および連結用段差部539のような機械的な構造を用いずに、接着剤や熱融着により接合されてもよい。
【0049】
また、第1ケーシング531および第2ケーシング532には、
図8に示すようにシャフト部2の連結壁23に埋設された補強部材24の基端側の端部を固定する固定部541が設けられている。固定部541は補強部材24と接着剤などで接合されるが、接合の態様は接着剤に限定されない。また、固定部541の形状等も補強部材24の長手方向における位置ずれを防止できれば、
図8に限定されない。
【0050】
第1ハブ部51の第1連結用凸部511が第1連結用凹部536に嵌合し、かつ第2ハブ部52の第2連結用凸部521が第2連結用凹部537に嵌合した状態で、第1ケーシング531および第2ケーシング532が連結されると、第1ハブ部51および第2ハブ部52がハブ用ケーシング53に対して脱落不能に固定される。なお、第1ハブ部51およびハブ用ケーシング53は、第1連結用凸部511および第1連結用凹部536のような機械的な構造を用いずに、接着剤や熱融着により接合されてもよい。また、第2ハブ部52およびハブ用ケーシング53も、第2連結用凸部521および第2連結用凹部537のような機械的な構造を用いずに、接着剤や熱融着により接合されてもよい。
【0051】
シャフト部2は、外管32と接続される部位が、ハブ用ケーシング53の内部に位置している。
【0052】
ハブ用ケーシング53内において、シャフト部2の基端部の軸線Xを基準線として、軸線Xに対する第1ハブ部51の中心軸Y1の傾き|θ1|は、軸線Xに対する第2ハブ部52の中心軸Y2の傾き|θ2|よりも大きい。
【0053】
第1ハブ部51の傾き|θ1|を大きくし過ぎると、駆動シャフト42と第1シャフト部21との摩擦により、画像の回転むらが発生しやすくなる。また、イメージングコア4をプルバックする際に、断線や、イメージングコア4の移動が乱れるジャンピングによる画像むらが発生しやすくなる。したがって、傾き|θ1|は、イメージングコア4に回転むら、断線、ジャンピング等が生じない程度の角度であることが好ましい。
【0054】
第2ハブ部52の傾き|θ2|を大きくし過ぎると、ガイドワイヤWと第2シャフト部22との摩擦により、ガイドワイヤWの操作性が低下する可能性がある。
【0055】
したがって、上記の点を考慮すると、|θ1|≒0、|θ2|≒0であることが好ましいが、第1ハブ部51の中心軸Y1と第2ハブ部52の中心軸Y2の間の角度|θ1−θ2|の値が小さくなるほど、術者によるガイドワイヤWの操作が、外部駆動装置7と干渉するため、|θ1−θ2|の値はできるだけ大きい方が好ましい。
【0056】
また、ガイドワイヤWの剛性は、通常、駆動シャフト42の剛性よりかなり高いため、|θ2|≒0であることが好ましい。本実施形態では、|θ2|=0であり、|θ1|>0である。なお、|θ2|が|θ1|以上であってもよい。
【0057】
そして、一般的には、ハブ内で曲がらないように配置されるべき駆動シャフト42が、本実施形態では、ハブ5内で曲がって配置される。なお、駆動シャフト42は、血管内で曲がりつつも駆動力を伝達できるように構成されているため、ハブ5内での曲がりを許容できる。そして、駆動シャフト42を収容する画像用ルーメン211が形成されている第1シャフト部21が、ハブ用ケーシング53内で、曲がりつつ延びて第1ハブ部51に連結されているため、ハブ用ケーシング53内で回転する駆動シャフト42の位置を適切に保持することができる。
【0058】
また、ガイドワイヤWを収容するガイドワイヤルーメン221が形成されている第2シャフト部22が、ハブ用ケーシング53内で、第2ハブ部52に連結されているため、ハブ用ケーシング53内でガイドワイヤWの位置を適切に保持することができ、ガイドワイヤWの良好な操作が可能である。
【0059】
第1耐キンクプロテクタ54は、
図1に示すように、ハブ用ケーシング53の先端部およびハブ用ケーシング53から先端方向へ導出されるシャフト部2を囲み、シャフト部2のキンクを抑制する。
【0060】
第1ハブ部51、第2ハブ部52、ハブ用ケーシング53、外管32、内管34、ユニットコネクタ37および操作基端部31の構成材料は、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂が挙げられる。
【0061】
上述した医療用デバイス1は、
図2に示すように、外部駆動装置7に接続されて駆動される。外部駆動装置7は、基台75上に、モータ等の外部駆動源を内蔵して駆動シャフト42を回転駆動させる駆動部71と、駆動部71を把持してモータ等により軸線方向へ移動させる移動手段72と、医療用デバイス1の一部を位置固定的に保持する保持部73とを備えている。外部駆動装置7は、駆動部71および移動手段72を制御する制御部79に接続されており、振動子ユニット41によって得られた画像は、制御部79に接続された表示部78に表示される。
【0062】
移動手段72は、駆動部71を把持して固定することが可能であり、把持した駆動部71を、基台75上の溝レール76に沿って前後進させる送り機構である。
【0063】
駆動部71は、医療用デバイス1のハブ側コネクタ313が接続可能な駆動用雌コネクタ711と、医療用デバイス1のジョイント312に接続可能なジョイント接続部712と、を有し、当該接続によって、振動子ユニット41との間で信号の送受信が可能となると同時に、駆動シャフト42を回転させることが可能となる。
【0064】
医療用デバイス1における超音波走査(スキャン)は、
図2、9に示すように、移動手段72を軸線方向へ移動させつつ、駆動部71内のモータの回転運動を駆動シャフト42に伝達し、駆動シャフト42の先端に固定されたハウジング412を回転させる。これにより、ハウジング412に設けられた超音波振動子411が長手方向に移動しつつ回転し、超音波振動子411で送受信される超音波を略径方向に走査することができる。これにより、血管内の軸方向にわたる包囲組織体における360°の断面画像を任意の位置まで走査的に得ることができる。
【0065】
次に本実施形態に係る医療用デバイス1を用いて血管などの生体管腔内から生体組織を観察する際の動作について説明する。
【0066】
まず、医療用デバイス1のシャフト部2を管腔内に挿入する前に、当該医療用デバイス1内を生理食塩水で満たすプライミング操作を行う。プライミング操作を行うことによって、超音波振動子411から超音波が伝達可能となり、かつ医療用デバイス1内の空気を除去し、血管などの管腔内に空気を入り込むことを防止する。
【0067】
プライミングを行なうには、
図9に示すように、ユニットコネクタ37から操作基端部31を基端側に最も引っ張った状態、すなわち、外管32から内管34が最も引き出された状態にし、操作基端部31のポート311に接続した図示しないチューブおよび三方活栓からなる器具を介し、例えばシリンジ等を用いて、生理食塩水を注入する。注入された生理食塩液は、操作基端部31から第1ハブ部51を通って、画像用ルーメン211内に充填されて、充填液入出路部材215のプライミングポート216から生理食塩液が抜ける。これにより、医療用デバイス1内の空気を除去し、生理食塩液の充填が確認され、プライミングが完了する。
【0068】
次に、
図2に示すように、医療用デバイス1を図示しない滅菌されたポリエチレン製の袋などで覆った外部駆動装置7に連結する。すなわち、医療用デバイス1の操作基端部31のジョイント312を、駆動部71のジョイント接続部712に接続する。これにより、振動子ユニット41と外部駆動装置7との間で信号の送受信が可能になると同時に、駆動シャフト42を回転させることが可能となる。そして、ユニットコネクタ37を保持部73に嵌合させると、連結は完了する。
【0069】
次に、駆動部71を基台75上の溝レール76に沿って先端部に動かすことで、操作基端部31を先端側へ押し込み、外管32に内管34が最も押し込まれた状態とする(
図1参照)。
【0070】
次に、ガイドワイヤWを生体管腔内に挿入し、その先端部を観察する目的位置近傍まで到達させる。次に、ガイドワイヤWの基端部を医療用デバイス1のガイドワイヤルーメン221の先端開口部から挿入し、シャフト部2をガイドワイヤWに沿って移動させて、超音波振動子411を、観察する患部よりも奥側(先端側)に配置する。この状態で、
図9に示すように、シャフト部2を移動させないように保持しつつ、駆動シャフト42を駆動部71により回転させながらプルバック操作することで、超音波振動子411をラジアル走査しつつ患部よりも基端側へ軸線方向に沿って移動させて、管腔の軸線方向に沿って患部を含む生体組織の画像を取得できる。
【0071】
プルバック操作は、医療用デバイス1の後端部に接続される移動手段72を制御部79により操作することによって行なうことができる。取得されたデータは、制御部79でデジタル処理された後、イメージデータとして表示部78に表示される。
【0072】
次に本実施形態に係る作用効果について説明する。本実施形態に係る医療用デバイスによれば、少なくとも連結壁23の先端側において外壁面231が第1シャフト部21の円弧状の外壁面213と第2シャフト部22の円弧状の外壁面223とを接線で結ぶように構成している。そのため、先端側における連結壁23の外方への張り出しを抑制し、シャフト部2の外形が増加することを抑制できる。また、連結壁23は少なくとも第1シャフト部21の基端側に設けられ、連結壁23の基端側には補強部材24が埋設されるように構成している。そのため、シャフト部2の基端側における剛性を向上させ、医療用デバイス1の手元側の剛性を向上させることができる。
【0073】
また、連結壁23は、第1シャフト部21と第2シャフト部22の中心を結ぶ線CLを跨いで両側に対になって設けられ、補強部材24は対になった連結壁23にそれぞれ設けられるように構成している。そのため、
図4(D)などの断面において対称なシャフト部2の剛性を左右均等に向上させることができ、生体内に医療用デバイス1を良好に導入できる。
【0074】
また、補強部材24は、連結壁23の外壁面231、第1シャフト部21の内壁面214、および第2シャフト部22の内壁面224との間において張り出さないように設けられる。これによって、シャフト部2の外形が大きくなることを抑制し、ガイドワイヤルーメン221および画像用ルーメン211の断面が小さくなることを抑制できる。
【0075】
また、連結壁23は、先端側における外壁面231よりも基端側における連結壁23の外壁面232が外方に張り出すように構成している。体内の管腔はデバイスの先端が導入される末梢の部位である程、断面が小さくなる傾向がある。そのため、上記のように構成することによって、画像を形成する先端側のサイズが大きくなることを抑制しつつ、基端側の剛性をより効果的に向上させることができる。
【0076】
また、補強部材24は、
図4(D)、
図4(E)に示すように、外壁面231、232の位置に応じて先端側から基端側にかけて断面が大きくなるように構成している。そのため、補強部材24が連結壁23からはみ出してシャフト部2の断面が過剰に大きくなったり、ガイドワイヤルーメン221または画像用ルーメン211の断面が小さくなることを抑制し、先端側から基端側にかけて剛性が徐々に増加するようにできる。
【0077】
また、イメージングコア4は、第1シャフト部21の長手方向において進退移動可能であることによって、生体内の所望の位置における断面画像を取得することができる。
【0078】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。
図10(A)、10(B)は
図4(D)に示す位置でのシャフト部の変形例を示す断面図である。上記では、補強部材24の断面が略円形状である実施形態について説明したが、これに限定されない。
【0079】
比較的基端側における医療用デバイス1の剛性を向上させることができれば、医療用デバイスは上記以外にも例えば
図10(A)に示すように断面が略三角形状の補強部材24aを有するように構成してもよい。また、医療用デバイスは、
図10(B)に示すように、断面において
図10(A)の三角形の頂点のような鋭角な角部がなく、画像用ルーメン211とガイドワイヤルーメン221と隣接する面が円弧のような形状を備える補強部材24bを有するように構成してもよい。
【0080】
また、補強部材24は、第1シャフト部21と第2シャフト部22の中心を結ぶ線CLを境に両側に2か所設ける実施形態について説明した。しかし、これに限定されず、特に先端側においてシャフト部2の外形からはみ出さず、ガイドワイヤルーメン221および画像用ルーメン211に張り出さなければ、補強部材を2か所以上設けてもよい。また、補強部材24は、シャフト部2の基端側からイメージングコア4が画像取得時に最も後退した位置よりも基端側まで設けられる実施形態について説明した。しかし、これに限定されず、シャフト部2の基端側からイメージングコア4が最も後退した位置よりも先端側にまで補強部材24を設けてもよい。
【0081】
また、イメージングコア4は、第1シャフト部21の画像用ルーメン211において長手方向に移動可能である実施形態について説明した。しかし、これに限定されず、イメージングコアは長手方向に移動せず、周方向に回転して断面画像を取得するようにしてもよい。
【0082】
また、上記では医療用デバイス1が血管内超音波診断(IVUS)を用いて断面画像を取得する実施形態について説明した。しかし、これに限定されず、光干渉断層診断装置(OCT:Optical Coherence Tomography)や光学周波数領域画像化診断装置(OFDI:Optical Frequency Domain Imaging)などの光を利用して断面画像を取得するデバイスに適用することも可能である。
【0083】
本出願は、2016年2月29日に出願された日本国特許出願第2016−038230号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。