特許第6823048号(P6823048)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6823048ドットマトリクス型表示装置および時刻表示装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6823048
(24)【登録日】2021年1月12日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】ドットマトリクス型表示装置および時刻表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20210114BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20210114BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   G09G3/36
   G09G3/20 611A
   G09G3/20 621K
   G09G3/20 622F
   G09G3/20 623R
   G09G3/20 624B
   G09G3/20 633B
   G09G3/20 660U
   G09G3/20 660V
   G09G3/20 680W
   G02F1/133 550
【請求項の数】9
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-508802(P2018-508802)
(86)(22)【出願日】2017年2月24日
(86)【国際出願番号】JP2017007257
(87)【国際公開番号】WO2017169406
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2018年9月26日
(31)【優先権主張番号】特願2016-73106(P2016-73106)
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】粕尾 智夫
(72)【発明者】
【氏名】山川 英司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆信
【審査官】 武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−99018(JP,A)
【文献】 特開2015−87437(JP,A)
【文献】 特開2002−175040(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0038604(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102456321(CN,A)
【文献】 特開平10−26945(JP,A)
【文献】 特開2001−42831(JP,A)
【文献】 国際公開第00/08625(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 − 3/38
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に配設された複数のゲート信号線と、前記一方向と交差する方向に配設された複数のソース信号線と、表示のための制御を行うマトリクス状に配設された複数の画素電極部から成る表示部とを備え、前記複数の画素電極部のうち、一部の画素電極部が前記ゲート信号線と前記ソース信号線とに基づいて選択され書き換え駆動が実行される、ドットマトリクス型表示装置であって、
前記一部の画素電極部のアドレスを特定するアドレス信号および前記一部の画素電極部に供給される画像信号を含むシリアル信号に基づいて、前記一部の画素電極部に対応する、前記一方向の垂直アドレスを特定するゲート選択信号と、前記一方向に交差する方向における水平アドレスを特定するソース選択信号と、画像データとを生成する画素書換制御部と、
前記画素書換制御部において生成された前記ゲート選択信号に基づいて前記一部の画素電極部に対応するゲート信号線に活性化するゲート信号を生成し、かつ、前記画素書換制御部において生成された前記ソース選択信号に基づいて前記一部の画素電極部に対応するソース信号線に活性化するソース信号を生成し、かつ、前記画素書換制御部において生成された前記画像データを前記活性化されたソース信号線に対応する画素電極部に供給するデコーダ部と、を備えており、
前記一部の画素電極部は、連続している複数の画素電極部であり、
前記画素書換制御部は、前記一部の画素電極部のうち最初または最後の画素電極部に対応する開始アドレスに基づき、前記一部の画素電極部の各アドレスを、前記開始アドレスに対して前記水平アドレスの方向および/または前記垂直アドレスの方向に加算または減算して順次生成するアドレス演算回路を含み、
前記アドレス演算回路は、一つの前記開始アドレス信号に基づいて、前記一部の画素電極部に対応する前記ゲート選択信号および前記ソース選択信号の少なくとも一方を演算により順次生成することを特徴とするドットマトリクス型表示装置。
【請求項2】
外部から供給された映像信号に基づいて、前記シリアル信号と前記シリアル信号における前記画像信号の処理に関するタイミングを規定する制御信号とを生成し、前記シリアル信号と前記制御信号とを前記画素書換制御部に出力する信号供給部を備えることを特徴とする請求項1記載のドットマトリクス型表示装置。
【請求項3】
外部から供給された映像信号に基づいて、前記シリアル信号のみを生成し、前記シリアル信号を前記画素書換制御部に出力する信号供給部を備えることを特徴とする請求項1記載のドットマトリクス型表示装置。
【請求項4】
前記画素書換制御部は、
前記信号供給部から入力した前記シリアル信号と前記制御信号とに基づいて、前記一部の画素電極部に対応するゲート選択信号とソース選択信号とを生成する前記アドレス演算回路と、
前記信号供給部から入力した前記シリアル信号と前記制御信号とに基づいて、前記一部の画素電極部に供給される画像データを生成するデータレジスタ回路とを備えることを特徴とする請求項2に記載のドットマトリクス型表示装置。
【請求項5】
前記画素電極部は、
供給された前記画像データを保持する保持回路と、
生成された前記ゲート信号と生成された前記ソース信号とに基づいて、前記書き換え駆動と静止画駆動の何れを実行するかを選択する駆動選択回路とを備え、
前記書き換え駆動が選択された場合は、供給された前記画像データで前記保持回路における画像データを書き換え、前記静止画駆動が選択された場合は、前記保持回路に保持されている画像データの保持を継続することを特徴とする請求項1または2に記載のドットマトリクス型表示装置。
【請求項6】
前記アドレス演算回路は、
前記一部の画素電極部が前記一方向に連続している場合は、一つのソースアドレス信号に基づいて、前記一部の画素電極部に対応する前記ソース選択信号を演算により順次生成することを特徴とする請求項4に記載のドットマトリクス型表示装置。
【請求項7】
前記アドレス演算回路は、
前記一部の画素電極部が前記一方向に交差する方向に連続している場合は、一つのゲートアドレス信号に基づいて、前記一部の画素電極部に対応する前記ゲート選択信号を演算により順次生成することを特徴とする請求項4に記載のドットマトリクス型表示装置。
【請求項8】
前記アドレス演算回路は、
前記一部の画素電極部が前記一方向および前記一方向に交差する方向に連続している場合は、それぞれ一つのソースアドレス信号およびゲートアドレス信号に基づいて、前記一部の画素電極部に対応する前記ソース選択信号および前記ゲート選択信号を演算により順次生成することを特徴とする請求項4に記載のドットマトリクス型表示装置。
【請求項9】
請求項2〜4および請求項6〜8のいずれか1項に記載のドットマトリクス型表示装置と、
時刻を計時し、前記計時された時刻の表示に係る、少なくとも映像信号を生成して前記信号供給部に出力する時計制御部と、を備えることを特徴とする時刻表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor :TFT)素子を含む画素電極部が多数形成されているドットマトリクス型表示装置および時刻表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種のドットマトリクス型表示装置が作製されている。例えば、液晶表示装置(Liquid Crystal Display :LCD )は、TFT素子を含む画素電極部が多数形成されたTFTアレイ側基板と、カラーフィルタおよびブラックマトリクスが形成されたカラーフィルタ側基板とを互いに対向させて、それらの基板を所定の間隔でもって貼り合わせ、それらの基板間に液晶を充填、封入させることによって作製される。
【0003】
従来のドットマトリクス型表示装置の構成について説明する(例えば、特許文献1を参照されたい)。図14は、従来のドットマトリクス型表示装置の基本構成を示すブロック回路図である。図14は、65536ドット(縦256ドット×横256ドット)の画素数を有する白黒表示のLCDパネル111の構成を示したものである。図14において、LCDパネル111の一方の横側にゲート信号線駆動回路103が設けられ、LCDパネル111の下側に画像信号(ソース信号)線駆動回路104が設けられている。なお、図14に示されるように、表示部110の各々の画素電極部100(P11〜Pmn)は画素電極部選択用の2個のTFT素子101が形成されており、それぞれの画素電極部100には、共通電圧Vcomを供給する共通電圧線102、ゲート信号線を選択するための信号(ゲート信号)が供給されるゲート信号線1(GL1〜GL256)、画像データが供給されるソース信号線2(DL1〜DL256)、およびソース信号線2を選択するための信号(ソース信号)が供給されるソース信号線選択線3(SL1〜SL256)が接続されている。
【0004】
ここで、TFT素子101は、例えば、アモルファスシリコン(a−Si)等から成る半導体膜を有し、ゲート電極部、ソース電極部、ドレイン電極部の3端子部を有する。そして、TFT素子101は、ゲート電極部に所定電位の電圧(例えば、3Vまたは6V)を印加することにより、ソース電極部とドレイン電極部の間の半導体膜(チャンネル)に電流を流す、スイッチング素子(ゲートトランスファ素子)として機能する。また、画素電極部100は、一般に酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide :ITO)等から成る透明導電体層から成る。
【0005】
また、カラーフィルタ側基板は、共通電極および共通電圧線が形成された面またはそれと反対側の面に、各画素に対応する赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタが形成されており、各画素を通過する光が相互に干渉することを防ぐブラックマトリクスがカラーフィルタの外周を囲むように形成されている。尚、カラーフィルタおよびブラックマトリクスは、カラー表示を行わない場合は形成されない。また、透過型LCDの場合はバックライトが設けられているが、反射型LCDの場合はバックライトは設けられていない。
【0006】
図15Aおよび図15Bは、従来のドットマトリクス型表示装置における動作の概略を示すタイミングチャートである。最初に、ゲート信号線駆動回路103には、1画面の先頭タイミングを示す垂直同期信号STVおよび1水平期間毎に水平同期信号STHが入力される。すると、ゲート信号線駆動回路103は、外部装置(図示せず)から入力したゲート選択信号に基づいて、第1行のゲート信号線GL1を選択するための信号を生成し、このゲート信号線GL1を活性化(L→Hに変化)する。これと同時に、第1行における最初の8画素の表示(8画素についての画素データの更新)を可能にするために、ソース信号線選択線SL1〜SL8を活性化する。これにより、ソース信号線駆動回路104は、第1行の8個の画素電極部100(P(1,1)〜P(1,8))に対応する画像データ(DATA(1,1))をソース信号線DL1〜DL8に供給する。これにより、8個の画素電極部100(P(1,1)〜P(1,8))には、それぞれ対応するソース信号線DL1〜DL8を介して画素データが供給される。
【0007】
この後、次の右方向の8個の画素電極部100(P(1,9)〜P(1,16))についても、同様にソース信号線選択線SL9〜SL16が活性化され、画像データDATA(1,9)が取り込まれて、これらの画素電極部100(P(1,9)〜P(1,16))にも画像データが供給される。このように、第1行目の全ての画素電極部100に画素データが供給され、順次下位の行の画素電極部100に対しても同様の制御が実行され、1画面分の画素データの供給が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015−87437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の構成のドットマトリクス型表示装置は、以下の問題点がある。即ち、オン状態とするゲート信号線GLnを選択するための垂直アドレス信号と、オン状態とするソース信号線選択線SLnを選択するための水平アドレス信号と、選択される画素電極部100に入力される画像信号(画像データ)とを、LCDパネル111に並列的(パラレル)に入力しているために、各信号を入出力させるための端子数が多くなり、配線構造が複雑化するという問題点がある。すなわち、図14に示すように、外部の信号供給部120から、ゲート選択信号GS[7:0]がゲート信号線駆動回路103に、ソース選択信号SS[7:3]および画像データDATA[7:0]がソース信号線駆動回路104に、パラレルに入力されるので、ゲート選択信号GS[7:0]用の8本の配線、ソース選択信号SS[7:3]用の5本の配線、画像データDATA[7:0]用の8本の配線を、LCDパネル111の周縁部において引き回す必要があるからである。
【0010】
このような問題点を解消するために、垂直アドレス信号と水平アドレス信号と画像信号とを、LCDパネル111に直列的に(シリアル)入力する構成が考えられるが、この構成では信号の転送時間が長くなり、結果として動作が遅くなるという問題点が生じてしまう。
【0011】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、静止画表示と動画表示を組み合わせて成る表示を極めて低い消費電力で可能とするドットマトリクス型表示装置および時刻表示装置を提供することであり、さらに、信号を入力するための端子数を少なくして配線構造を簡素化するとともに、信号の転送時間を短くすることが可能なドットマトリクス型表示装置および時刻表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のドットマトリクス型表示装置は、一方向に配設された複数のゲート信号線と、前記一方向と交差する方向に配設された複数のソース信号線と、表示のための制御を行うマトリクス状に配設された複数の画素電極部から成る表示部とを備え、前記複数の画素電極部のうち、一部の画素電極部が前記ゲート信号線と前記ソース信号線とに基づいて選択され書き換え駆動が実行される、ドットマトリクス型表示装置であって、
前記一部の画素電極部のアドレスを特定するアドレス信号および前記一部の画素電極部に供給される画像信号を含むシリアル信号に基づいて、前記一部の画素電極部に対応する、前記一方向の垂直アドレスを特定するゲート選択信号と、前記一方向に交差する方向における水平アドレスを特定するソース選択信号と、画像データとを生成する画素書換制御部と、
前記画素書換制御部において生成された前記ゲート選択信号に基づいて前記一部の画素電極部に対応するゲート信号線に活性化するゲート信号を生成し、かつ、前記画素書換制御部において生成された前記ソース選択信号に基づいて前記一部の画素電極部に対応するソース信号線に活性化するソース信号を生成し、かつ、前記画素書換制御部において生成された前記画像データを前記活性化されたソース信号線に対応する画素電極部に供給するデコーダ部と、を備えており、
前記一部の画素電極部は、連続している複数の画素電極部であり、
前記画素書換制御部は、前記一部の画素電極部のうち最初または最後の画素電極部に対応する開始アドレスに基づき、前記一部の画素電極部の各アドレスを、前記開始アドレスに対して前記水平アドレスの方向および/または前記垂直アドレスの方向に加算または減算して順次生成するアドレス演算回路を含み、
前記アドレス演算回路は、一つの前記開始アドレス信号に基づいて、前記一部の画素電極部に対応する前記ゲート選択信号および前記ソース選択信号の少なくとも一方を演算により順次生成する。
【0013】
また、本発明のドットマトリクス型表示装置においては、さらに、外部から供給された映像信号に基づいて、前記シリアル信号前記シリアル信号における前記画像信号の処理に関するタイミングを規定する制御信号とを生成し、前記シリアル信号と前記制御信号とを前記画素書換制御部に出力する信号供給部を備えることが好ましい。
【0014】
また、本発明においては、外部から供給された映像信号に基づいて、前記シリアル信号のみを生成し、前記シリアル信号を前記画素書換制御部に出力する信号供給部を備えることが好ましい。
【0015】
また、本発明においては、前記画素書換制御部は、前記信号供給部から入力した前記シリアル信号と前記制御信号とに基づいて、前記一部の画素電極部に対応するゲート選択信号とソース選択信号とを生成する前記アドレス演算回路と、前記信号供給部から入力した前記シリアル信号と前記制御信号とに基づいて、前記一部の画素電極部に供給される画像データを生成するデータレジスタ回路とを備えることが好ましい。
【0016】
また、本発明においては、前記画素電極部は、供給された前記画像データを保持する保持回路と、生成された前記ゲート信号と生成された前記ソース信号とに基づいて、前記書き換え駆動と静止画駆動の何れを実行するかを選択する駆動選択回路とを備え、前記書き換え駆動が選択された場合は、供給された前記画像データで前記保持回路における画像データを書き換え、前記静止画駆動が選択された場合は、前記保持回路に保持されている画像データの保持を継続することが好ましい。
【0017】
また、本発明においては、前記アドレス演算回路は、前記一部の画素電極部が前記一方向に連続している場合は、一つのソースアドレス信号に基づいて、前記一部の画素電極部に対応する前記ソース選択信号を演算により順次生成することが好ましい。
【0018】
また、本発明においては、前記アドレス演算回路は、前記一部の画素電極部が前記一方向に交差する方向に連続している場合は、一つのゲートアドレス信号に基づいて、前記一部の画素電極部に対応する前記ゲート選択信号を演算により順次生成することが好ましい。
【0019】
また、本発明においては、前記アドレス演算回路は、前記一部の画素電極部が前記一方向および前記一方向に交差する方向に連続している場合は、それぞれ一つのソースアドレス信号およびゲートアドレス信号に基づいて、前記一部の画素電極部対応する前記ソース選択信号および前記ゲート選択信号を演算により順次生成することが好ましい。
【0020】
また、本発明の時刻表示装置は、前記ドットマトリクス型表示装置と、時刻を計時し、前記計時された時刻の表示に係る、少なくとも映像信号を生成して前記信号供給部に出力する時計制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明のドットマトリクス型表示装置は、以下の効果を奏する。
【0022】
すなわち、本発明のドットマトリクス型表示装置によれば、画素書換制御部は、静止画駆動が選択された画素電極部に対しては、画像データを非入力とし、また静止画駆動が選択された画素電極部は、保持回路に保持されている画像データによって静止画駆動されるので、静止画表示と動画表示を組み合わせて成る表示を極めて低い消費電力でもって実行できる。また、画素書換制御部は、ゲートアドレス信号とソースアドレス信号と画像信号とがシリアル入力される入力部を有しているので、信号を入力するための端子数を少なくして配線構造を簡素化することができる。さらに、画素書換制御部は、ゲート選択信号とソース選択信号と画像データとをパラレル出力する出力部を有しているので、これらの信号の転送時間を短く維持することができる。
【0023】
また、本発明のドットマトリクス型表示装置によれば、アドレス演算回路は、書き換え駆動が実行される画素電極部が一方向に連続している場合、ソースアドレス信号に基づいて複数の画素電極部のそれぞれに出力するソース選択信号を生成する際に、画素書換制御部にシリアル入力されるソースアドレス信号は、書き換え駆動が実行される画素電極部が複数あるにも拘らず、一つで済むので、信号の転送時間を短くすることができる。
【0024】
また、本発明のドットマトリクス型表示装置によれば、アドレス演算回路は、書き換え駆動が実行される画素電極部が一方向に交差する方向に連続している場合、ゲートアドレス信号に基づいて複数の画素電極部のそれぞれに出力するゲート選択信号を生成する際に、画素書換制御部にシリアル入力されるゲートアドレス信号は、書き換え駆動が実行される画素電極部が複数あるにも拘らず、一つで済むので、信号の転送時間を短くすることができる。
【0025】
さらに、本発明のドットマトリクス型表示装置によれば、アドレス演算回路は、書き換え駆動が実行される画素電極部が一方向および一方向に交差する方向にそれぞれ連続している場合、ゲートアドレス信号およびソースアドレス信号に基づいて複数の画素電極部のそれぞれに出力するゲート選択信号およびソース選択信号を生成する際に、画素書換制御部にシリアル入力されるゲートアドレス信号およびソースアドレス信号は、書き換え駆動が実行される画素電極部が多数あるにも拘らず、それぞれ一つで済むので、信号の転送時間を短くすることができる。
【0026】
さらに、本発明の時刻表示装置によれば、上記のドットマトリクス型表示装置を備えているので、静止画表示と動画表示を組み合わせて成る表示を極めて低い消費電力で実現可能にするとともに、信号を入力するための端子数を少なくして配線構造を簡素化したことにより、これらの信号の転送時間を短く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の目的、特色、および利点は、下記の詳細な説明と図面とからより明確になるであろう。
図1】本発明に係るドットマトリクス型表示装置の構成の一例を示すブロック回路図である。
図2図1のドットマトリクス型表示装置における信号供給部の構成の一例を示すブロック図である。
図3A図1のドットマトリクス型表示装置における画素書換制御部の全体構成を示すブロック回路図である。
図3B図3Aの画素書換制御部におけるアドレスコントロール回路の構成の一例を示す回路図である。
図4図3Aの画素書換制御部におけるアドレス演算回路の構成の一例を示す回路図である。
図5A図3Aの画素書換制御部におけるシフトレジスタ回路の構成の一例を示す回路図である。
図5B図3Aの画素書換制御部におけるデータレジスタ回路の構成の一例を示す回路図である。
図6】ドットマトリクス型表示装置における保持回路と画素電極制御回路を有する駆動選択回路を含む画素電極部の構成の一例を示すブロック回路図である。
図7図6の画素電極部における各ブロックを構成するTFT素子群の接続関係を描いた詳細な回路図である。
図8】ドットマトリクス型表示装置における画素電極制御回路を構成するTFT素子群の接続関係を描いた詳細な回路図である。
図9】ドットマトリクス型表示装置における画素電極制御回路について、共通電圧Vcom(A)と画像信号data(B)を2値入力とする、排他的論理和の論理ゲート回路の出力(Y)を記載した真理値表である。
図10】本発明に係るドットマトリクス型表示装置を適用したデジタル表示式腕時計の表示パネルの一例を示す図である。
図11A】本発明に係るドットマトリクス型表示装置の全体動作を説明するためのタイミングチャートの一部である。
図11B図11Aに対応する、本発明に係るドットマトリクス型表示装置の全体動作を説明するためのタイミングチャートの一部である。
図12A】本発明の第1の実施の形態に係るドットマトリクス型表示装置における動作を説明するためのタイミングチャートの一部である。
図12B図12Aに対応する、本発明の第2の実施の形態に係るドットマトリクス型表示装置における動作を説明するためのタイミングチャートの一部である。
図13A】本発明の第2の実施の形態に係るドットマトリクス型表示装置における動作を説明するためのタイミングチャートの一部である。
図13B図13Aに対応する、本発明の第2の実施の形態に係るドットマトリクス型表示装置における動作を説明するためのタイミングチャートの一部である。
図14】従来のドットマトリクス型表示装置の基本構成を示すブロック回路図である。
図15A】従来のドットマトリクス型表示装置の動作を説明するためのタイミングチャートの一部である。
図15B図15Aに対応する、従来のドットマトリクス型表示装置の動作を説明するためのタイミングチャートの一部である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係るドットマトリクス型表示装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図には、本発明のドットマトリクス型表示装置の構成部材のうち、本発明の特徴を説明するために必要な主要な構成部材を示している。従って、本発明に係るドットマトリクス型表示装置は、各図に示されていない、配線導体、回路基板、制御IC、制御LSI等の周知の構成部材を備えていてもよい。
【0029】
(第1の実施の形態)
図1図13Bを参照しながら、本実施の形態に係るドットマトリクス型表示装置11について説明する。図1は、ドットマトリクス型表示装置11の全体構成を示すブロック回路図である。図1では、65536ドット(縦256ドット×横256ドット)の画素数を有する白黒表示の表示部10を備えるドットマトリクス型表示装置11の構成例を示したものである。
【0030】
本実施の形態に係るドットマトリクス型表示装置11は、図1に示すように、信号供給部6と、画素書換制御部5と、保持回路(メモリ)を含むマトリクス状に配置された画素電極部4を有する表示部10と、一方向と交差する方向(例えば、図1の上から下の方向)に配列されたゲート信号線1(GL1〜GL256)を選択させる(オン状態にさせる)ゲート信号を生成するゲートデコーダ回路12と、一方向(例えば、図1の左から右の方向)に配列されたソース信号線選択線3を選択させる(オン状態にさせる)ソース信号を生成するソースデコーダ回路13と、選択されたソース信号線選択線3に対応させて選択的に画像データDATA[7:0]をソース信号線2(DL1〜DL256)に供給するソース信号線セレクタ回路14とを備えている。なお、ゲートデコーダ回路12、ソースデコーダ回路13およびソース信号線セレクタ回路14は、デコーダ部の一例である。以下、詳細に説明する。
【0031】
信号供給部6は、TV受像機やパソコン等の外部装置から入力した映像信号、同期信号およびクロック信号等に基づいて、シリアル信号SI[7:0]、シフトクロック信号SCLK、データ識別信号DENおよびイネーブル信号ENBを生成して、画素書換制御部5、またはゲートデコーダ回路12およびソースデコーダ回路13に出力する。ここで、画素書換制御部5に出力されるシリアル信号SI[7:0]は、ゲートアドレス信号とソースアドレス信号と画像信号とを含むシリアル構成の信号である。このシリアル信号SI[7:0]の具体例としては、ゲート信号線GL1およびソース信号線選択線SL1〜SL8を選択し、ソース信号線DL1〜DL8に全て“1”データを書込む場合、シリアル信号SI[7:0]の第1サイクルから第3サイクルまでの入力データは、00h,00h,FFhとなる。
【0032】
画素書換制御部5は、本発明の特徴的な構成の一つであり、信号供給部6から入力したシリアル信号SI[7:0]から、表示部10におけるマトリクス状に配置された画素電極部4を制御するために必要なゲート選択信号GS[7:0]、ソース選択信号SS[7:3]および画像データDATA[7:0]を抽出し、または生成する。具体的には、画素書換制御部5は、ゲート信号線1を選択するためのゲート選択信号GS[7:0]をシリアル信号SI[7:0]のゲートアドレス信号から抽出し、または生成する。同様に、ソース信号線選択線3を選択するためのソース選択信号SS[7:3]をシリアル信号SI[7:0]のソースアドレス信号から、さらに、ソース信号線2に入力する画像データDATA[7:0]をシリアル信号SI[7:0]の画像信号から、それぞれ抽出し、または生成する。ここで、上記の表記のうち、[7:3]は7ビットから3ビットまでの5ビット幅のデータを表し、[7:0]は7ビットから0ビットまでの8ビット幅のデータを表す。なお、上記ゲート選択信号GS[7:0]およびソース選択信号SS[7:3]の具体例としては、ゲート信号線GL1およびソース信号線選択線SL1〜SL8を選択する場合、ゲート選択信号GS[7:0]は00h、ソース選択信号SS[7:3]は00hとなる。
【0033】
さらに、画素書換制御部5は、(図6で後述する)書き換え駆動が選択された画素電極部4に対しては、オン状態とするゲート信号線1およびオン状態とするソース信号線2を選択するとともに画像データDATA[7:0]を選択的に入力させ、一方、(図6で後述する)静止画駆動が選択された画素電極部4に対しては、画像データを非入力にして、画素電極部4における(図6で後述する)保持回路に保持されている画像データによって表示を行うように制御する。
【0034】
なお、画素書換制御部5には、信号供給部6から出力された、シリアル信号SI[7:0]、シフトクロック信号SCLKおよびデータ識別信号DENが入力部5aを介して入力される。また、画素書換制御部5の出力部5b1からは、ソース選択信号SS[7:3]が、出力部5b2からは画像データDATA[7:0]が、さらに、出力部5b3からはゲート選択信号GS[7:0]が、それぞれ出力される。
【0035】
ここで、シフトクロック信号SCLKは、画素書換制御部5において生成るソース選択信号SS[7:0]、画像データDATA[7:0]およびゲート選択信号GS[7:0](なお、それぞれ単に「ソース選択信号」、「画像データ」および「ゲート選択信号」とも表記する。)をパラレル出力する際のタイミングを制御するために使用するクロック信号である。また、データ識別信号DENは、画像データを生成する際のタイミングを制御するために使用される制御信号である。
【0036】
ゲートデコーダ回路12は、画素書換制御部5において生成された8ビットのゲート選択信号GS[7:0]とその反転信号(「否定信号」ともいう。)に基づき、表示部10に接続されるゲート信号線1(GL1〜GL256)について、順次何れか(GLn)を選択するためのゲート信号を生成する。ここで、信号供給部6から出力されるイネーブル信号ENBは、ゲートデコーダ回路12における各AND素子に入力され、上記の各画素電極部4に画像データを供給するタイミングを制御する。
【0037】
ソースデコーダ回路13は、画素書換制御部5において生成された5ビットのソース選択信号SS[7:3]とその反転信号に基づき、表示部10に接続されるソース信号線選択線3(SL1〜SL256)について、水平方向に8本単位で順次選択するためのソース信号を生成する。具体的には、ソースデコーダ回路13における各AND素子は、信号供給部6から入力される5ビット幅のソース選択信号SS[7:3]とその反転信号の内容に基づいて、8本単位でソース信号線選択線3(SLn〜SLn+7)を選択する。例えば、AND素子13aの場合は、ソース選択信号SS[7:3]とその反転信号に基づいて、ソース信号線選択線3(SL1〜SL8)を活性化するようにソース信号を生成する。なお、上記のゲートデコーダ回路12と同様に、信号供給部6から出力されるイネーブル信号ENBは、ソースデコーダ回路13の各AND素子に入力され、上記の各画素電極部4に画像データを供給するタイミングを制御する。
【0038】
ソース信号線セレクタ回路14は、書き換え駆動が選択された(即ち、ゲート信号線GLnとソース信号線選択線SLnが活性化した)場合に、画素電極部4に対して画像データDATA[7:0]を供給する。
【0039】
表示部10は、マトリクス状に配置された画素電極部4を備え、各画素電極部4は、ゲート信号線GLnおよびソース信号線選択線SLnによって選択され、選択された個々の画素電極部4には、ソース信号線DLnを介して画像データDATA[7:0]が供給される。ここで、表示部10の各画素電極部4(P11〜Pmn)は画素電極部選択用の2個のTFT素子101を備え、それぞれの画素電極部4には、共通電圧Vcomを供給する共通電圧線7、ゲート信号が供給されるゲート信号線1(GL1〜GL256)、画像データが供給されるソース信号線2(DL1〜DL256)、およびソース信号線2(DL1〜DL256)を選択するためのソース信号が供給されるソース信号線選択線3(SL1〜SL256)が接続されている。
【0040】
また、表示部10においては、オン状態とされたゲート信号線1と、オン状態とされたソース信号線2との交差部に対応して配置されている画素電極部4において、書き換え駆動が実行される。一方、書き換え駆動が実行されない画素電極部4に対しては、画像データは非入力とされて、静止画駆動が選択される。静止画駆動が選択された画素電極部4は、保持回路(図6における保持回路162)に保持されている画像データによって静止画駆動される。
【0041】
時計制御部20は、本発明のドットマトリクス型表示装置に接続される外部装置の一例であり、計時機能を内蔵するとともに、時間表示を行うために必要な、少なくとも映像信号を生成して上記信号供給部6に出力する。
【0042】
上記のように、本実施の形態に係るドットマトリクス型表示装置を構成することにより、以下の効果を奏する。すなわち、画素書換制御部5は、静止画駆動が選択された画素電極部4に対しては、画像データを非入力とし、また静止画駆動が選択された画素電極部4は、保持回路に保持されている画像データによって静止画駆動されるので、静止画表示と動画表示を組み合わせて成る表示を極めて低い消費電力でもって実行できる。また、画素書換制御部5は、ゲートアドレス信号とソースアドレス信号と画像信号とがシリアルで入力される入力部5aを有しているので、信号を入力するための端子数を少なくして配線構造を簡素化することができる。さらに、画素書換制御部5は、ゲート選択信号GS[7:0]とソース選択信号SS[7:3]と画像データDATA[7:0]とをパラレルで出力する出力部5b1,5b2,5b3を有しているので、これらの信号の転送時間を短く維持することができる。
【0043】
なお、以下の説明においては、画素書換制御部をインターフェース回路と、ゲートアドレスを垂直アドレスと、ソースアドレスを水平アドレスと、それぞれ称する場合もある。また、図1において、共通電圧線7は、各画素電極部4に共通電圧(Vcom)を印加するための電圧線である。
【0044】
図2は、信号供給部6の構成の一例を示すブロック図である。この図に示すように、信号供給部6は、クロック信号CLKを伝送するクロック信号線、垂直同期信号STVを伝送する垂直同期信号線、水平同期信号STHを伝送する水平同期信号線にそれぞれ並列的に接続されている、クロック生成回路15、アドレス生成回路16、画像信号生成回路17および制御信号生成回路18と、パラレル−シリアル変換回路19と、を有している。クロック生成回路15は、クロック信号CLK、垂直同期信号STV、水平同期信号STHに基づいて、シフトクロック信号SCLKを生成し出力する。アドレス生成回路16は、クロック信号CLK、垂直同期信号STV、水平同期信号STHに基づいて、書き換え駆動が実行されるアドレスを指定するアドレス信号(ゲートアドレス信号、ソースアドレス信号)を、パラレル−シリアル変換回路19に出力する。画像信号生成回路17は、クロック信号CLK、垂直同期信号STV、水平同期信号STHおよび映像信号Dに基づいて、画像信号を生成し、パラレル−シリアル変換回路19に出力する。制御信号生成回路18は、クロック信号CLK、垂直同期信号STV、水平同期信号STHに基づいて、データ識別信号DENおよびイネーブル信号ENBを出力する。さらに、パラレル−シリアル変換回路19は、ゲートアドレス信号、ソースアドレス信号および画像信号から成るシリアル信号SI[7:0]を出力する。
【0045】
図3Aは、上記図1のドットマトリクス型表示装置11における画素書換制御部5の全体構成を示すブロック図である。図3Aに示すように、画素書換制御部5は、アドレスコントロール回路21、シフトレジスタ回路22、アドレス演算回路23およびデータレジスタ回路24を備えている。アドレスコントロール回路21は、信号供給部6で生成されたシフトクロック信号SCLKおよびデータ識別信号DENに基づいて、アドレス演算回路23の動作の制御を行うための、互いに排他的な(即ち、同時期に活性化しない)制御信号AEN,AINC,AHOLDを生成し、このうち1個の制御信号を選択してアドレス演算回路23に出力する。
【0046】
図3Bは、上記図3Aに示されるアドレスコントロール回路21の構成の一例を示す回路図である。アドレスコントロール回路21は、D型フリップフロップから成るレジスタ回路、D型ラッチ回路、インバータ、および論理積(アンド)回路から構成されており、アドレス演算回路23の動作を制御する制御信号AEN,AINC、およびAHOLDを生成する。制御信号AENは、シフトレジスタ回路22の出力信号GS_SFT,SS_SFTをアドレス演算回路23に取り込ませる際に活性化する信号であり、後述の図12A図13Bに示すように、データ識別信号DENのL(ロー)からH(ハイ)への遷移後、次のシフトクロック信号SCLKのLエッジまでの期間、活性状態(H)を保持する。制御信号AINCは、アドレスの演算結果をアドレス演算回路23に反映させる際に活性化する信号であり、後述の図12A図13Bに示すように、データ識別信号DENが「H」であり、かつ制御信号AINCが「L」である期間、活性化する。制御信号AHOLDは、現アドレス信号を保持する際に活性化する信号であり、制御信号AENが「L」であり、かつ制御信号AINCが「L」である期間、活性化する。なお、制御信号AEN,AINC,およびAHOLDは同時に活性化することはない。
【0047】
図5Aは、上記図3Aに示されるシフトレジスタ回路22の構成の一例を示す回路図である。シフトレジスタ回路22は、入力部5aを介してシリアルで入力された、ゲートアドレス信号とソースアドレス信号と画像信号とを含むシリアル信号SI[7:0]を、シリアル−パラレル(シリアル・ツー・パラレル)変換する。そして、ゲート選択信号GS[7:0]を生成するためのゲート選択信号シフト信号GS_SFT[7:0]と、ソース選択信号SS[7:3] を生成するためのソース選択信号シフト信号SS_SFT[7:3]とを、アドレス演算回路23に出力する。なお、以下、単に「アドレス」という場合は、ゲートアドレスとソースアドレスの双方を示すものとする。
【0048】
さらに、シフトレジスタ回路22は、シリアル信号SI[7:0]の各アドレスビット毎に、セレクタ、D型フリップフロップから成るレジスタ回路から構成される1組の回路が直列に接続されている。シリアル入力される垂直アドレス信号、水平アドレス信号をシフトクロック信号SCLKに同期してシフトさせて、ゲート選択信号シフト信号GS_SFTとソース選択信号シフト信号SS_SFTを生成し、それらをアドレス演算回路23内の各アドレスビットに対応する回路部に出力する。シフト動作を行うのは、データ識別信号DENが非活性の時である。
【0049】
図4は、上記図3Aに示されるアドレス演算回路23の構成の一例を示す回路図である。アドレス演算回路23は、各アドレスビット毎に、演算回路と、セレクタと、D型フリップフロップ( Flip-Flop )から成るレジスタ回路とを有する。セレクタは、互いに排他的な制御信号AEN,AINCおよびAHOLDの中から選択された1個の制御信号に基づいて、レジスタ回路への入力信号SS_INまたはGS_INを生成する。さらに、各セレクタは、制御信号AENが活性化した時には、シフトレジスタ回路22の出力信号であるゲート選択信号シフト信号GS_SFTまたはソース選択信号シフト信号SS_SFTを選択し、制御信号AINCが活性化した時には、演算回路の出力信号N_SSまたはN_GSを選択し、制御信号AHOLDが活性化した時には、レジスタ回路の現在値SSまたはGSを選択する。各セレクタによって選択されたこれらの信号の何れかが、次のシフトクロック信号SCLKの立上りエッジで、次段のレジスタ回路に、入力信号SS_INまたは入力信号GS_INとして取込まれる。なお、「信号が活性化する」というときは、信号がオン状態(H:ハイ,Highの状態)となることを意味し、「信号が非活性になる」というときは、信号がオフ状態(L:ロー,Lowの状態)となることを意味する。
【0050】
さらに、アドレス演算回路23は、上記シフトレジスタ回路22で生成されたゲート選択信号シフト信号GS_SFT[7:0]に基づいてゲート選択信号GS[7:0]を生成するとともに、ソース選択信号シフト信号SS_SFT[7:3]に基づいてソース選択信号SS[7:3]を生成し、それらを出力部5b1,5b2からパラレル出力する。また、アドレス演算回路23は、連続する複数の画素電極部4にアクセスする時(連続アクセス時)には、最初に取り込んだゲートアドレス信号、ソースアドレス信号から、次の画素電極部4のアドレスに対応するゲートアドレス信号、ソースアドレス信号を演算し、生成してゲートデコーダ回路12、ソースデコーダ回路13に出力し、再びその次の画素電極部4のアドレスに対応するゲートアドレス信号およびソースアドレス信号を演算し、生成してゲートデコーダ回路12、ソースデコーダ回路13に出力し、最後の画素電極部4に至るまで繰り返す。すなわち、アドレス演算回路23は、書き換え駆動が実行される画素電極部4の複数が所定方向に連続している場合、一つのソースアドレス信号に基づいて複数の画素電極部4のそれぞれに出力するソース選択信号SS[7:3]を生成することが好ましい。この場合、画素書換制御部5にシリアル入力されるソースアドレス信号は、書き換え駆動が実行される画素電極部4が複数あるにも拘らず、一つで済むので、信号の転送時間をより短くすることができる。また、アドレス演算回路23は、書き換え駆動が実行される画素電極部4の複数が所定方向に交差する方向に連続している場合、一つのゲートアドレス信号に基づいて複数の画素電極部4のそれぞれに出力するゲート選択信号GS[7:0]を生成することが好ましい。この場合、画素書換制御部5にシリアル入力されるゲートアドレス信号は、書き換え駆動が実行される画素電極部4が複数あるにも拘らず、一つで済むので、信号の転送時間をより短くすることができる。
【0051】
また、アドレス演算回路23における演算回路は、連続アクセス時に、連続するアドレスの仕様に応じて、現在のアドレス値から次のアドレス値を演算し生成する。各アドレスビットで異なる論理回路になり、アドレス値のインクリメント(加算)、アドレス値のデクリメント(減算)等は、連続するアドレスの仕様により異なる。水平アドレス、垂直アドレスを合わせて演算回路の演算処理の対象としているが、水平アドレス、垂直アドレスのうちの片方のみを演算処理の対象としても良い。なお、水平アドレスを演算処理の対象とする場合、水平アドレスの一行の範囲内が対象となり、垂直アドレスを演算処理の対象とする場合、垂直アドレスの一列の範囲内が対象となる。
【0052】
図5Bは、上記図3Aに示されるデータレジスタ回路24の構成の一例を示す回路図である。なお、データレジスタ回路24におけるデータとは、画像データ(画像信号)を意味する。このデータレジスタ回路24は、入力されたシリアル信号SI[7:0]の各アドレスビットに対応して、セレクタ、D型フリップフロップから成るレジスタ回路から構成されている。データレジスタ回路24は、入力される書き換え信号としてのシリアル信号SI[7:0]を保持する。データ識別信号DENが活性化した時に、入力されるシリアル信号SI[7:0]をレジスタ回路に取り込み、後述の図12A図13Bに示すように、データ識別信号DENの活性期間におけるシフトクロック信号SCLKが「L」から「H」となる立ち上がりエッジのタイミングで、画像データDATA[7:0]をソース信号線セレクタ回路14に出力する。
【0053】
図6および図7は、本実施の形態に係る画素電極部4の一例を示す回路図である。図6は画素電極部4のブロック回路図の一例であり、図7は画素電極部4における各ブロックを構成するTFT素子群を含む詳細な回路図の一例である。ここで、駆動選択回路164は、ゲート信号線139(GLn)を伝送されてきた信号(ゲート信号)とソース信号線選択線138(SLn)を伝送されてきた信号(ソース信号)とに基づいて、静止画駆動と書き換え駆動の何れかを選択する回路であり、保持回路162、画素電極制御回路163を有している。
【0054】
これらの図に示されるように、駆動選択回路164の前段の入力部161には、第1および第2のnチャンネルTFT素子161aおよび161bを直列的に接続させて成るトランスファゲート回路が設けられている。ソース信号線137(DLn)側の第1のnチャンネルTFT素子161aには、そのゲート電極部にソース信号線選択線138(SLn)を伝送されてきた信号が入力される。その信号が「H」の場合に第1のnチャンネルTFT素子161aはオンとなり、「L」の場合に第1のnチャンネルTFT素子161aはオフとなる。ゲート信号線139(GLn)側の第2のnチャンネルTFT素子161bには、そのゲート電極部にゲート信号線139(GLn)を伝送されてきた信号が入力される。その信号が「H」の場合に第2のnチャンネルTFT素子161bはオンとなり、「L」の場合に第2のnチャンネルTFT素子161bはオフとなる。
【0055】
従って、ゲート信号線139(GLn)を伝送されてきた信号(ゲート信号)が「H」であり、かつソース信号線選択線138(SLn)を伝送されてきた信号(ソース信号)が「H」である場合にのみ、トランスファゲート回路は等価回路的に閉(クローズ)状態となり、ソース信号線137(DLn)を伝送されてきた信号が保持回路162へ伝送されて、書換データである画像データが更新される書き換え駆動となり、その他の場合は、それまでに保持回路に保持されている画像データに基づいて画素が制御される静止画駆動となる。
【0056】
図6は、保持回路162としてのスタティック型メモリの構成も示している。保持回路162は、第1および第2のCMOSインバータ162a,162bを直列に接続し、第2(後段側)のCMOSインバータ162bのドレイン共通接続点からの出力を、第1(前段側)のCMOSインバータ162aのゲート共通接続点に帰還入力させている。これにより、第1のCMOSインバータ162aのゲート共通接続点に「H」の信号が入力されると、次に第1のCMOSインバータ162aのドレイン共通接続点から「L」の信号が出力され、次にその「L」の信号が第2のCMOSインバータ162bのゲート共通接続点に入力され、次に第2のCMOSインバータ162bのドレイン共通接続点から「H」の信号が出力され、次にその「H」の信号が第1のCMOSインバータ162aのゲート共通接続点に帰還入力される。その結果、例えば、常時「H,L,H」の信号が、ループ状の伝送線上において保持される。
【0057】
図8は、画素電極制御回路163を構成するTFT素子群の接続関係を描いた回路図である。画素電極制御回路163は、保持回路162の第1のCMOSインバータ162aを共用しており、画像信号Bの反転信号iB(図8では符号に上付きバー(−)の反転記号を付している)を出力する第1のCMOSインバータ162aと、pチャンネルTFT素子181aとnチャンネルTFT素子181bとから成り、共通電圧Vcom(A)と画像信号data(B)と第1のCMOSインバータ162aの出力(iB)が入力されることによって2値データを出力する第1の2値選択回路181と、pチャンネルTFT素子182aとnチャンネルTFT素子182bとから成り、共通電圧Vcom(A)と画像信号data(B)と第1のCMOSインバータ162aの出力(iB)が入力されることによって2値データを出力する、出力線が第1の2値選択回路181の出力線に並列的に接続されている第2の2値選択回路182と、を有している。そして、第1の2値選択回路181の出力および第2の2値選択回路182の出力が、共通電圧Vcom(A)と画像信号data(B)について排他的論理和(Exclusive OR : EXOR)の論理ゲート出力を構成している。
【0058】
第1の2値選択回路181は、pチャンネルTFT素子181aとnチャンネルTFT素子181bを、ゲート電極部を共通接続するとともにドレイン電極部を共通接続したCMOSインバータであり、画像信号data(B)が「H(1)」の信号である場合にのみ、2値データ(Y)を出力する。逆に、画像信号data(B)が「L(0)」の信号である場合、第1の2値選択回路181はインバータとして機能せず、ハイインピーダンスの状態、即ち等価回路的に開(オープン)状態となり、2値データ(Y)を出力しない。第2の2値選択回路182は、pチャンネルTFT素子182aとnチャンネルTFT素子182bを、ソース電極部同士およびドレイン電極部同士を接続した4端子型のトランスファゲート回路であり、nチャンネルTFT素子182bのゲート電極部に入力される第1のCMOSインバータ162aの出力(iB)を制御入力としている。そして、第1のCMOSインバータ162aの出力(iB)が「Hの(1)」である場合、即ち、画像信号data(B)が「L(0)」である場合にのみ、2値データ(Y)を出力する。逆に、第1のCMOSインバータの出力(iB)が「L(0)」である場合、第2の2値選択回路182はトランスファゲート回路として機能せず、ハイインピーダンスの状態、即ち、等価回路的に開(オープン)状態となり、2値データ(Y)を出力しない。このように、第2の2値選択回路182の出力線が第1の2値選択回路181の出力線に並列的に接続されているので、第1の2値選択回路181の出力および第2の2値選択回路182の出力が、共通電圧Vcom(A)と画像信号data(B)について排他的論理和の論理ゲート出力を構成することになる。即ち、画素電極制御回路163は、共通電圧Vcom(A)と画像信号data(B)について排他的論理和の論理ゲート回路となっている。
【0059】
図9は、共通電圧Vcom(A)と画像信号data(B)を2値入力とする、排他的論理和の論理ゲート回路の出力(Y)を記載した真理値表である。画像信号data(B)が画素電極部に入力された場合、即ち、画像信号data(B)がH(3V:「1」)の信号である場合に、画素電圧Pixelと共通電圧Vcom(A)との間に電位差が生じて、ノーマリホワイトモードであれば黒表示、ノーマリブラックモードであれば白表示となる。このように共通電圧Vcom(A)を反転駆動させても、画素電圧Pixelと共通電圧Vcom(A)との間の電位差は保持されるので、画素電極部における表示を保持した状態で、液晶の劣化を防ぐための、液晶に対する交流駆動が実現する。一方、画像信号data(B)が画素電極部に入力されない場合、即ち、画像信号data(B)がL(0V:「0」)の信号である場合に、画素電圧Pixelと共通電圧Vcom(A)との間には電位差が生じず、ノーマリホワイトモードであれば白表示、ノーマリブラックモードであれば黒表示となる。このように共通電圧Vcom(A)を反転駆動させても、画素電圧Pixelと共通電圧Vcom(A)との間の電位差がない状態が保持されるので、画素電極部における表示を保持した状態で、液晶の劣化を防ぐための、液晶に対する交流駆動が実現する。
【0060】
また、画素電極部における表示を書き換える場合、上記図6に示す駆動選択回路164の前段の入力部161における、第1および第2のnチャンネルTFT素子161a,161bを直列的に接続させて成るトランスファゲート回路をオンにする。即ち、ゲート信号線139(GLn)を伝送されてきた信号を「H」とし、ソース信号線選択線138(SLn)を伝送されてきた信号を「H」とする。この状態で、ソース信号線137(DLn)を伝送されてきた信号(data)を保持回路162へ伝送させる。例えば、信号(data)が「H」である場合、保持回路162は「H」の信号(data)を保持する。そして、図9におけるdata(B)が「H」の場合に相当する表示が画素電極部4で実行される。即ち、画素電極部4の表示は、ノーマリホワイトモードであれば黒表示、ノーマリブラックモードであれば白表示となる。
【0061】
一方、信号(data)が「L」である場合、保持回路162は「L」の信号(data)を保持する。そして、図9におけるdata(B)が「L」の場合に相当する表示が画素電極部4で実行される。即ち、画素電極部4の表示は、ノーマリホワイトモードであれば白表示、ノーマリブラックモードであれば黒表示となるように、書き換えられる。
【0062】
上述の構成により、本実施の形態に係るドットマトリクス型表示装置11は、表示領域における書き換え駆動を1画素(ドット)毎に行うことができ、それ以外の全ての画素を静止画駆動させることができるので、消費電力が極めて低いものとなる。例えば、腕時計用の白黒表示のLCDにおいて、静止画駆動および書き換え駆動を全画面走査して行う場合に100μW程度の消費電力であったものが、上記のドットマトリクス型表示装置においては10μW程度以下、さらには3μW程度以下にまで抑えることができる。これにより、複雑な表示構成のLCDであっても、例えば、1回の電池交換で駆動可能な期間を10倍以上に延ばすことが可能となる。
【0063】
以下、上記のように構成される、本実施の形態に係るドットマトリクス型表示装置11の動作について説明する。図11Aおよび図11Bは、本発明に係るドットマトリクス型表示装置11における全体動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0064】
最初に、従来の場合と同様に、垂直同期信号STVと水平同期信号STHが入力されると(図示せず)、画素書換制御部5は、信号供給部6からシリアル信号SI[7:0]、データ識別信号DENおよびシフトクロック信号SCLKを受信した後(図示せず)、シリアル信号SI[7:0]に含まれているゲートアドレス信号(GSn)とソースアドレス信号(SSm)を取り込み、書き換え対象となる画素に対応するゲート信号線GLnを選択するための垂直アドレスと、ソース信号線選択線SLmを選択するための水平アドレスとを特定する。次に、画素書換制御部5は、データ識別信号DENが活性化している期間に、イネーブル信号ENB、ゲート信号線GLnおよびソース信号線選択線SLm〜SLm+7が活性化され、上記イネーブル信号ENBが活性化されるタイミングに合わせて、対応する画像データDATA(n,m)が取り込まれて、それぞれの画素電極部4(この場合、P(n,m)〜P(n,m+7))の保持回路に供給され、画像データの書き換えが行われる。以下、同様に、1水平期間における画像データDATA(n,m+8)〜DATA(n,m+248)が順次取り込まれ、それぞれ対応する画素電極部4(P(n,m+8)〜P(n,m+255))における画像データの書き換えが実行される。
【0065】
具体的には、まず、データ識別信号DENが活性化すると、その後にイネーブル信号ENB、ゲート信号線GL1およびソース信号線選択線SL1が活性化されるタイミングで画像データDATA(1,1)が取り込まれて、対応する水平方向に8個の画素電極部4(P(1,1)〜P(1,8))の保持回路に供給され、それぞれの画像データの書き換えが行われる。以下、同様に、1水平期間における画像データDATA(1,9)〜DATA(1,249)が順次取り込まれ、水平方向に8画素づつ、それぞれ対応する画素電極部4(P(1,9)〜P(1,16),・・・,P(1,249)〜P(1,256))の保持回路における画像データの書き換えが実行される。その後、同様に、最後の水平期間においても、対応する各画素電極部4における画像データの書き換えが実行され、1画面の表示のための制御が終了する。
【0066】
(第2の実施の形態)
上記の第1の実施の形態では、本発明に係るドットマトリクス型表示装置における一般的な全体動作について説明したが、本実施の形態では、特に、画素書換制御部5における駆動制御を1画素単位で行う場合について説明する。
【0067】
図12Aおよび図12Bは、本実施の形態に係るドットマトリクス型表示装置11の画素書換制御部5における動作を説明するためのタイミングチャートである。すなわち、図12Aおよび図12Bは、一つ々のアドレスにランダムにアクセスして書き換え駆動するランダムアクセスのタイミングチャートである。まず、データ識別信号DENが非活性の期間の第1サイクルおよび第2サイクルで、ゲートアドレス信号、ソースアドレス信号を含むシリアル信号SI[7:0]を、信号供給部6から画素書換制御部5のシフトレジスタ回路22に入力する。その後、データ識別信号DENを活性化させ、第3サイクルで書き換え駆動に供される画像データDATA[7:0]を画素書換制御部5のデータレジスタ回路24に入力する。第1サイクルおよび第2サイクルでシフトレジスタ回路22に取り込まれたゲートアドレス信号およびソースアドレス信号は、データ識別信号DENが活性化し、かつ制御信号AENが活性化すると、アドレス演算回路23に取り込まれる。また、画像データDATA[7:0]はデータ識別信号DENが活性化した時に、データレジスタ回路24に取り込まれる。したがって、第3サイクルにおけるシフトクロック信号SCLKの「H」の立ち上がりエッジのタイミングで、ゲート選択信号GS[7:0]となる入力信号GS_INがアドレス演算回路23内部にあるレジスタ回路(D型フリップフロップ)に、ソース選択信号SS[7:3]となる入力信号SS_INがアドレス演算回路23内部にあるレジスタ回路(D型フリップフロップ)に、画像データDATA[7:0]となるシリアル信号SI[7:0]がデータレジスタ回路24内部にあるレジスタ回路(D型フリップフロップ)に、それぞれ同時に取り込まれる。この後、書き換えを実行させるイネーブル信号ENBを活性化することにより、画素電極部4の保持回路162に画像データDATA[7:0]が書き込まれる。次に、イネーブル信号ENBを非活性とすることにより保持回路162への書き込みが終了する。その後、次のシフトクロック信号SCLKから再び上記の第1サイクル〜第3サイクルを繰り返すことにより、別のアドレスに対する書き換え動作が実施される。
【0068】
(第3の実施の形態)
上記の第2の実施の形態では、1画素単位で駆動制御を行う様子について説明したが、本実施の形態では、特に、画素書換制御部5における制御対象の画素が部分的に連続する場合について説明する。
【0069】
図13Aおよび図13Bは、本実施の形態に係るドットマトリクス型表示装置の画素書換制御部5における動作を説明するためのタイミングチャートである。すなわち、図13Aおよび13Bは、連続するアドレスにアクセスして書き換え駆動を行う場合のタイミングチャートである。第1サイクルから第3サイクルまでは、上記12Aおよび図12Bに示すランダムアクセスの場合と同じ動作である。第3サイクルでシリアル入力されたゲートアドレス(GS(A))、ソースアドレス(SS(B))、画像信号(DATA(A,B))が内部レジスタに取り込まれ、書き換えを実行させるイネーブル信号ENBを活性化することにより、画素電極部4の保持回路162に画像データ(DATA(A,B))が書き込まれる。次に、アドレス演算回路23は、内部レジスタに取り込まれたアドレス値に基づいて次のアドレス値の演算を行う。第3サイクルの後もデータ識別信号DENを活性化したままに保持すると、制御信号AINCが活性化し、次のシフトクロック信号SCLKのHの立ち上がりエッジ(第4サイクル)で、アドレス演算回路23の演算結果が内部レジスタにおいて更新される。第4サイクルでは、演算して得られた次アドレスに対応する画像データ(DATA(A,B+8)のみを入力部5aから入力する。この後、イネーブル信号ENBを活性化することにより、画像データ(DATA(A,B+8))が保持回路162に書き込まれる。
【0070】
第5サイクル以降も第4サイクルと同様に、演算して得られた次アドレスに対応する画像データ(DATA(A,B+16))のみを入力部5aから入力することにより、保持回路162の書き換えを実行することができる。以上より、連続したアドレスへアクセスする場合、アドレス信号の入力は開始アドレスのみでよく、その後のアドレスはアドレス演算回路23により生成されるため、書き換え駆動のためのアドレス信号の転送時間を短縮することができる。
【0071】
上記の第1の実施の形態および第2の実施の形態の説明においては、図12Aおよび図12B並びに図13Aおよび図13Bに示すように、アドレスの演算対象範囲について、水平アドレスと垂直アドレスを併せて演算し、垂直アドレスを上位としたが、水平アドレスのみ、あるいは垂直アドレスのみを演算対象としてもよい。
【0072】
また、アドレス演算の内容ついては、アドレスを加算(8ビット分ずつ増加)する場合(加算数を1:8ビット分)について説明したが、アドレスを減算することとしてもよく、また、加減算数を1(8ビット分)以外の値に設定してもよい。
【0073】
また、アドレスの演算対象範囲、演算内容について、画素書換制御部5に追加したレジスタ等によって、ダイナミックに切替えられるようにしてもよい。
【0074】
シリアル入力する入力信号SIのビット幅について、8ビット([7:0])としているが、8ビットでない場合でも、本発明と同様の構成をとることによって同様の効果を得ることができる。
【0075】
また、本発明のドットマトリクス型表示装置は、以下のような好適な構成を採用し得る。1つの表示パネルにおいて、書き換え周期をそれぞれに最適なものとした表示領域を複数設けることができる。この場合、ある表示領域では書き換えと次の書き換えとの間の期間を非常に長く設定し、他の表示領域では書き換えと次の書き換えとの間の期間を短く設定することにより、消費電力の制御を高い精度で行うことができる。その結果、消費電力をより低減させることができる。
【0076】
さらに、書き換え駆動を適用する表示領域を書き換え周期を相違させて複数設け、相違する書き換え周期の比を10倍以上とすることが良い。この場合、ある表示領域では書き換えと次の書き換えとの間の期間を非常に長く設定し、他の表示領域では書き換えと次の書き換えとの間の期間を短く設定することにより、消費電力の制御をきめ細かく高い精度で行うことができる。その結果、消費電力をより低減させることができる。さらに、相違する書き換え周期の比を10倍以上とすることにより、消費電力をより低減させる効果が高まる。
【0077】
図10は、ドットマトリクス型表示装置11を適用したデジタル表示式腕時計195の表示パネル190の一例を示す図である。本発明に係る時刻表示装置としてのデジタル表示式腕時計195は、計時機能を内蔵しており、時間、分および秒などの時刻表示に必要な、少なくとも映像信号を生成し、各表示内容の書き換え周期に合わせてドットマトリクス型表示装置11に出力する(なお、上記映像信号とともに同期信号やクロック信号を生成して、ドットマトリクス型表示装置11に出力することとしてもよい)。例えば、図10に示すように、表示パネル190において、時間を表示させる表示領域191と、分を表示させる表示領域192と、秒を表示させる表示領域193とで、書き換え周期を大きく相違させることができる。秒を表示させる表示領域193では、1秒毎に書き換え駆動するのに対して、分を表示させる表示領域192では、1分毎に書き換え駆動し、時間を表示させる表示領域191では、1時間毎に書き換え駆動すればよい。従って、表示領域191〜193以外の表示領域は静止画の表示領域194である。好適な実施形態として、分を表示させる表示領域192と秒を表示させる表示領域193の書き換え駆動の周期の比は60倍となる。換言すれば、1/60になるともいえる。また、時間を表示させる表示領域191では、1時間毎に書き換え駆動すればよいので、秒を表示させる表示領域193と時間を表示させる表示領域191との書き換え駆動の周期の比は3600倍となる。換言すれば、1/3600になるともいえる。また、表示領域191〜193において、書き換え駆動を1画素(ドット)毎に行うことができるが、複数画素毎に書き換え駆動してもよい。また、表示領域191〜193において、全ての画素を書き換えてもよいし、書き換えに必要な画素のみを書き換えてもよい。例えば、1つの表示領域において、「5」の表示を「6」に書き換える場合、書き換え不要な画素と書き換え必要な画素を区別することができるので、書き換えが必要な画素のみを書き換えることができる。
【0078】
また、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等からのメール着信の電波信号を腕時計で受信した際に、その腕時計のLCD等から成る表示パネルに、メール受信の表示を上述した画素選択駆動方式の書き換え駆動によって行わせることができる。このような複雑な表示機能を極めて低い消費電力でもって行うことができる。例えば、気温、湿度、高度、方位、照度、気圧、水深、水圧、天気予報、外国との時差、歩数計、潮汐時間、日の出・日没の時間、血圧、脈拍、メールの内容、ニュース速報、緊急地震速報等の告知などの表示を、それらの最適な書き換え周期または任意のタイミングでもって表示することができる。また、それらの書き換え周期または表示のタイミングを、外部から人が入力、変更等して制御することもできる。書き換え周期の変更、制御または表示のタイミングの制御は、ドットマトリクス型表示装置11の周辺に設けられた制御LSI等によって行うことができる。
【0079】
本発明のドットマトリクス型表示装置11において、表示領域の書き換え周期に対応する書き換え期間は、書き換えを実行する動作期間およびそれ以外の書き換え休止期間を含んでおり、書き換え休止期間が動作期間よりも長いことが好ましい。この構成により、書き換えによる表示の切り換え動作が素早くなり、表示の切り換えプロセスが視認されなくなるので、表示の切り換えが見やすくなる。例えば、時計の秒の表示を書き換える場合、書き換え期間を1秒とし、書き換えを実行する動作期間を0.1〜0.3秒(10%〜30%)程度とし、それ以外の0.7〜0.9秒程度の期間を書き換え休止期間とすれば良い。
【0080】
また、時計の秒を表示する表示領域のように書き換え周期が短い表示領域の画素数を、時計の分、時間を表示する表示領域のように書き換え周期が長い表示領域の画素数よりも少なくすることが好ましい。これにより、消費電力をさらに低減させることができる。例えば、好ましくは、書き換え周期が短い表示領域の画素数を、書き換え周期が長い表示領域の画素数の30%以下、より好ましくは、10%以下とすることが良い。
【0081】
また、本発明のドットマトリクス型表示装置11は、画素電極を反射型電極とした反射型LCDであることが好ましい。この場合、保持回路等を画素電極の下方に配置することができ、保持回路等による光反射率の低下をなくすことができる。一方、透過型LCDにおいて、透明な画素電極と保持回路162とを重ねて配置すると、透過光によって保持回路162等を構成するTFT素子が誤作動する可能性がある。そのため、TFT素子のゲート電極部を遮光膜で覆う必要があり、開口率が低下し易い。また、反射型LCDは、バックライトを設ける必要がないため、消費電力の低減に有効である。また、本発明のドットマトリクス型表示装置11は、画素電極の領域に上記の反射型電極を有する反射領域と透過型電極を有する透過領域を備えた、半透過型液晶表示装置であってもよい。
【0082】
また、保持回路によって保持されるビット数を1以上とすることが好ましい。このビット数を複数として多ビット化した場合、静止画表示の際に階調表示を行うことができる。また、アナログ信号を記憶する保持回路とすれば、フルカラー表示を行うこともできる。
【0083】
また、画素電極制御回路は、図9の真理値表に示すように、共通電圧VcomのH/Lのいずれの信号に対しても静止画駆動と書き換え駆動を行うものとされている。即ち、共通電圧Vcom(A)がH(3V)で画像信号data(B)がH(3V)である場合、共通電圧Vcom(A)と画素電圧Pixel(L:0V)との間に電位差が形成され、共通電圧Vcom(A)がL(0V)で画像信号data(B)がH(3V)である場合にも同様に共通電圧Vcom(A)と画素電圧Pixel(H:3V)との間に電位差が形成されて、液晶が交流駆動されている。これにより、例えば、秒表示の書き換え周期に合わせて1秒毎に共通電圧Vcom(A)のH/Lを反転させることができ、液晶分子の劣化を抑えることができる。即ち、液晶分子に直流電圧成分が長時間印加されることによって、液晶分子が画素電極表面で正負の電荷の偏り(微量不純物の固定化)を起こして寿命が短くなることを抑えることができる。
【0084】
このように、共通電圧VcomのH/Lの反転を、書き換え周期に連動させて定期的に反転させることが好ましい。この場合、共通電圧VcomのH/Lの反転を、書き換え周期に連動させない場合と比較して、共通電圧Vcomを個別に制御するための制御回路等を付加する必要がなく、消費電力のさらなる低下に有効である。また、共通電圧VcomのH/Lの反転駆動は、液晶分子の劣化を抑制するための反転駆動と、EXORの論理ゲート回路を構成する画素電極制御回路の制御入力としての画素電圧制御信号との、2つの役割を果たしており、これによっても消費電力のさらなる低下に寄与している。
【0085】
また、本発明のドットマトリクス型表示装置11において、静止画駆動が適用される表示領域において、各画素電極部に供給される共通電圧のハイ/ローを定期的に反転させることが好ましい。これにより、書き換え駆動が適用される表示領域は勿論のこと静止画駆動が適用される領域においても液晶分子の劣化が抑制される。また、共通電圧Vcomの反転の定期的な周期は、制御LSI等によって、1秒毎、数十秒毎、分単位、時間単位で適宜設定することもできる。さらに、共通電圧Vcomの反転の周期をn秒毎(nは自然数)にしてもよく、その場合、秒表示の書き換え周期を共通電圧Vcomの反転の制御のベースに用いることができ、共通電圧Vcomの反転の制御が容易になる。
【0086】
本発明のドットマトリクス型表示装置11において、画素電極制御回路と画素電極との間に1〜3pF程度の補助容量を並列的に接続してもよい。これにより、書き換え駆動する際に、画素電圧が次第に低下して1フィールド期間保持されにくくなるのを抑え、画素電圧を1フィールド期間保持することができる。
【0087】
また、低温多結晶シリコン(Low-Temperature Poly Silicon:LTPS)を用いてnチャンネルTFT素子およびpチャンネルTFT素子を形成してもよい。この場合、CMOS回路を基礎とした駆動回路、SRAM回路、D/A変換器、画像表示部等をガラス基板上に一体的に集積化することができる。従って、音声処理回路、マイクロプロセッサを搭載したLCDをも、LTPSを用いて作製することができる。ガラス基板上に液晶表示パネルとその周辺駆動回路を一体的に形成できるので、電気的な信頼性が向上する。即ち、液晶表示パネルと駆動回路との電気的接続数を大幅に低減させることができ、振動に強く、軽量化がなされるので、携帯情報端末にとって好適なものとなる。また、電流駆動能力が高いので、高精細な画素、開口率の高い画素を有するLCDを作製することができる。
【0088】
LTPSの製造方法を以下に示す。まず、ガラス基板上に、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、アモルファスシリコン膜を形成する。次に、アモルファスシリコン膜を多結晶化するために、450℃以下のガラス基板の温度でアモルファスシリコン膜にエキシマレーザ光を照射する。エキシマレーザ装置としては、例えば、ガスレーザ光源にArF(波長193n,m),KrF(波長248nm)等を用いた、アモルファスシリコン膜の吸収が大きい紫外光を発振するものが使用できる。レーザ発振周波数約300Hz、レーザ光エネルギー約300W、パルス幅約20ns〜約60ns、照射エネルギー密度500mJ/cm〜1J/cm程度のパルスレーザ光をアモルファスシリコン膜に照射し、アモルファスシリコン膜を瞬間的に溶融し過冷却状態にした後に凝固させる。その結果、平均粒径0.3μm程度の結晶粒径を有する多結晶シリコンの膜に変化する。
【0089】
また、画素電極は、透光性を有する場合、酸化インジウムスズ(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化珪素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、リンやボロンが含まれるシリコン(Si)等の透光性を有する導電性材料を用いて形成することができる。
【0090】
画素電極部に配置する表示素子としては、LCD素子、有機EL(Electro Luminescence)素子、無機EL素子、PDP( Plasma Display )素子などの表示素子を用いることができる。また、本発明のドットマトリクス型表示装置は、LCDである場合、TN(Twisted Nematic)方式、インプレーンスイッチング(In-plane Switching: IPS)方式、フリンジフィールドスイッチング(Fringe Field Switching :FFS )方式のものなどを採用できる。IPS方式のLCD、FFS方式のLCDである場合、画素電極が形成されているアレイ側基板(TFT素子が形成された基板)の主面に、共通電極を画素電極部毎に形成することによって、共通電圧の制御を画素電極部毎に独立して行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
また、本発明のドットマトリクス型表示装置は各種の電子機器に適用できる。その電子機器としては、スマートウォッチ等のデジタル表示式腕時計、自動車経路誘導システム(カーナビゲーションシステム)、船舶経路誘導システム、航空機経路誘導システム、スマートフォン端末、携帯電話、タブレット端末、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電子手帳、電子書籍、電子辞書、パーソナルコンピュータ、複写機、ゲーム機器の端末装置、テレビジョン、商品表示タグ、価格表示タグ、産業用のプログラマブル表示装置、カーオーディオ、ヘッドアップディスプレイ、デジタルオーディオプレイヤー、ファクシミリ、プリンター、コピー機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機、頭部装着型画像表示装置(Head Mounted Display device :HMD)などがある。
【0092】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は特許請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0093】
1 ゲート信号線
2 ソース信号線
3 ソース信号線選択線
4,100 画素電極部
5 画素書換制御部
5a 入力部
5b1,5b2,5b3 出力部
6 信号供給部
7 共通電圧線
10 表示部
11 ドットマトリクス型表示装置
12 ゲートデコーダ回路
13 ソースデコーダ回路
13a AND素子
14 ソース信号線セレクタ回路
15 クロック生成回路
16 アドレス生成回路
17 画像信号生成回路
18 制御信号生成回路
19 パラレル−シリアル変換回路
20 時計制御部
21 アドレスコントロール回路
22 シフトレジスタ回路
23 アドレス演算回路
24 データレジスタ回路
101 TFT素子
102 共通電圧線
103 ゲート信号線駆動回路
104 ソース信号線駆動回路
110 表示部
111 LCDパネル
161 入力部
161a ソース信号線側の第1のnチャンネルTFT素子
161b ゲート信号線側の第2のnチャンネルTFT素子
162 保持回路
162a 第1のCMOSインバータ
162b 第2のCMOSインバータ
163 画素電極制御回路
164 駆動選択回路
181 第1の2値選択回路
181a pチャンネルTFT素子
181b nチャンネルTFT素子
182 第2の2値選択回路
182a pチャンネルTFT素子
182b nチャンネルTFT素子
190 表示パネル
191 時間を表示させる表示領域
192 分を表示させる表示領域
193 秒を表示させる表示領域
194 静止画を表示させる表示領域
195 デジタル表示式腕時計
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15A
図15B